説明

空気浄化機

【課題】 空気中に含まれるカビや臭気成分等をより効果的に分解除去できる空気浄化機1の提供を目的とする。
【解決手段】 空気浄化機1は、通風路5と、空気を前記通風路5に送る送風手段6と、励起光源9からの光により励起する光触媒とを有し、前記励起した光触媒をもって前記通風路5を通過する空気を浄化する空気浄化機1において、前記光触媒を通気性の担持体に担持させて障壁部材8,8,8となし、前記障壁部材8,8,8を前記通風路5内に空気の流れの主方向Mと交差する向きで配設し、前記通風路5内の前記障壁部材8,8,8に光を照射可能な位置に前記励起光源9を配設した構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や車内の空気を浄化するために装置内に取り込んだ空気を、励起光源で励起させた光触媒に接触させて空気を浄化する装置が開示されている(下記特許文献1参照)。この空気浄化機は、通風路の内面に光触媒をコーティングし、この光触媒に紫外線を照射して励起させることで、空気の消臭、殺菌を効率よく行なうようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−263992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空気浄化機では、光触媒がコーティングされた通風路が比較的広く直線状であるため、空気中に含まれるカビや細菌、臭気成分、有害物質等が光触媒に十分に接触することなく装置外に放出され、空気が浄化されにくいという問題があった。
【0005】
本発明は上記したような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、空気中に含まれるカビや臭気成分等をより効果的に分解除去できる空気浄化機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る空気浄化機は、通風路と、空気を前記通風路に送る送風手段と、励起光源からの光により励起する光触媒とを有し、前記励起した光触媒をもって前記通風路を通過する空気を浄化する空気浄化機において、前記光触媒を通気性の担持体に担持させて障壁部材となし、前記障壁部材を前記通風路内に空気の流れの主方向と交差する向きで配設し、前記通風路内の前記障壁部材に光を照射可能な位置に前記励起光源を配設した構成にしてある。
【0007】
また、前記構成において、励起光源からの光が届く通風路の内面に、前記光触媒が担持されているものである。
【0008】
そして、前記した各構成において、通風路内に、空気の流れの主方向と交差する向きの邪魔板を配設したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る空気浄化機によれば、光触媒を通気性の担持体に担持させて障壁部材とし、前記障壁部材を通風路内に空気の流れの主方向と交差する向きで配設しているので、空気中のカビや細菌、臭気成分、有害化学物質等が光触媒によく接触することとなる。これにより、励起光源からの光により励起した光触媒がカビや細菌等を殺菌し、臭気成分や有害化学物質の分解反応を促進させて空気を効率よく浄化することができる。
【0010】
また、励起光源からの光が届く通風路の内面に光触媒が担持されている場合は、通風路を通過する空気中のカビや臭気成分等が光触媒に接触する機会が更に増加するので、上記した殺菌作用や分解反応を更に促進して、空気をより浄化できる。
【0011】
そして、通風路内に、空気の流れの主方向と交差する向きの邪魔板を配設した場合は、邪魔板により空気を乱流にして、空気中のカビや臭気成分等が光触媒に接触する機会を更に増加させて空気をよりいっそう浄化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る空気浄化機1の正面図、図2は図1におけるA−A線矢視断面図、図3は図1におけるB−B線矢視断面図である。
各図において、この実施形態に係る空気浄化機1は、一端側に吸気用の通気口3を有し他端側に排気用の通気口4を有するケーシング2を備えている。ケーシング2内は、通気口3と通気口4を結ぶ通風路5となっている。ケーシング2内の通気口3近傍には送風ファンなどの送風手段6が設けられている。
【0013】
ケーシング2内の通風路5における空気の流れの主方向Mの上流側には、前記主方向Mと直交する向きの姿勢にした3枚の邪魔板7,7,7が主方向Mに適宜間隔で配設されている。邪魔板7,7,7の高さは、ケーシング2の高さの2/3程度であり、横幅はケーシング2の左右内側壁に届く長さに設定されている。邪魔板7a,7cはケーシング2の上面より吊り下げられ、また、邪魔板7bはケーシング2の床面に立設される。
【0014】
更に、通風路5の下流側には障壁部材8,8,8が空気の流れの主方向Mと直交する向きの姿勢で配設されている。図3に示すように、障壁部材8は励起光源9が設置された部分を除く通風路5の断面全体に配設される。
【0015】
障壁部材8は、耐紫外線性を有する炭素繊維を平織りした織物を二枚重ねにした担持体11と、担持体11の周縁を挟持する金属製の枠体12と、図4に示すように、担持体11の表面に担持された光触媒10とよりなる。担持体11における繊維間の織目14は通気可能であり、織目間隔は、0.01mm以上1mm以下、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。光触媒10の付着層はアナターゼ型酸化チタンの超微粒子を水系溶媒に分散させたゾル(日本特殊塗料株式会社:エヌティオPA)内に担持体11を浸漬し、取り出して常温乾燥後ケーシング2内の所定位置に取り付け、更に、スプレーによって上記ゾルを塗布し、その後常温乾燥させて得られる。付着層の厚さは6μm程度である。ケーシング2の内壁面、邪魔板7c及び邪魔板7bの一部分の表面にも、同時にゾルスプレーが施されて光触媒10が担持される。
【0016】
通風路5内の障壁部材8,8,8及び邪魔板7b,7cに光を照射できる位置に、励起光源9が配設される。励起光源9は円柱状の紫外線ランプであり、通風路5の下流側でケーシング2の上面より懸架されている。紫外線ランプは波長が300nm〜450nmの近紫外線を放ち、光触媒10を励起させる。
【0017】
ケーシング2内の床面や側面、上面等であって励起光源9からの光が届く通風路5の内面には、上記の光触媒10がスプレーにより塗布されて担持されている。また、ケーシング2内であって通気口4の近傍には、通気口4が隠れる大きさの遮光部材20が設置されている。また、ケーシング2の外側には通気口3,4の近傍にそれぞれフィルター21,21が設置されている。
【0018】
引続き、空気浄化機1の動作につき、以下に説明する。
空気浄化機1の置かれた室内や車内の空気は送風手段6により通気口3からケーシング2内に吸気され、通風路5を移動し、空気の流れの主方向Mと交差する向きに設けられた邪魔板7a,7b,7cに順次衝突して乱流化される。また、通風路5の下流側に達した空気は障壁部材8,8,8に順次衝突し、平織の担持体11の織目14の間を通過する。
【0019】
障壁部材8,8,8には通風路5を移動してきた空気がまず衝突する空気の流れの主方向Mと直交する前面、担持体11の織目14の間であって空気の流れの主方向Mと平行な面、及び、空気の流れの主方向Mと直交する面であって障壁部材8の背面のいずれにも、光触媒10が担持されている。よって、光触媒10を担持する担持体11の表面積が広くなり、励起光源9によって励起される光触媒10の量が非常に多くなるので、カビや細菌、臭気成分、有害化学物質等が光触媒10と接触する機会が非常に多くなる。従って、励起光源9からの光により励起した多量の光触媒10が細菌やカビなどを殺菌し、臭気成分、有害化学物質等の分解反応を促進させて空気を効率よく大幅に浄化することができる。
【0020】
また、励起光源9からの光が届く通風路5の内面(邪魔板7c及び邪魔板7bの一部分も含む)に光触媒10が担持されており、通風路5を通過する空気中のカビや臭気成分等が光触媒10に接触する機会が更に増加するので、上記した殺菌作用や分解反応を更に促進して、空気をより浄化できる。
【0021】
そして、通風路5内に、空気の流れの主方向Mと交差する向きに担持した邪魔板7a,7b,7cを配設してあるので、邪魔板7a,7b,7cにより空気を乱流にして、空気中のカビや臭気成分等が光触媒10に接触する機会を更に増加させて空気をよりいっそう浄化できる。
【0022】
更に、ケーシング2内に設けられた送風手段6の配線(図示せず)等に励起光源9の光が直接照射された場合には、これらの部品が紫外線劣化を生じ、使用可能期間が短くなる。しかし、邪魔板7b,邪魔板7cが所定位置に設けられているので、配線等に直接紫外線が照射されず、長期間の使用が可能となる。また、排気側の通気口4には遮光部材20が設けられているので、励起光源9の光を遮光部材20が遮って、紫外線が通気口4からケーシング2外に漏れるのを防ぐことができる。
【0023】
尚、上記の実施形態では、邪魔板7及び障壁部材8を空気の流れの主方向Mと直交する向きで配設したが、空気が邪魔板7及び障壁部材8の光触媒10と接触すればよく、配設する際の設置角度は問わない。また、空気の流れの上流側に邪魔板7を3枚、下流側に障壁部材8を3枚配設したが、邪魔板7及び障壁部材8の配列態様はこれに限られず、邪魔板7及び障壁部材8の設置枚数もそれぞれ1枚又は2枚若しくは4枚以上であってよい。
【0024】
また、担持体11は炭素繊維を平織した織物が二枚重ねられたものに限定されず、ガラス繊維などであってもよく、斜子織、畝織、綾織等で織成したものであってよい。あるいは、耐紫外線性繊維で編成した編物であってもよい。また、光触媒10は二酸化チタンに限定されず、他の光触媒であってもよい。また、上記実施形態では、通気口3に送風手段6が設けられ、通気口3から吸気した空気が矢印Mの向きに通風路5を移動し、通気口4から排気させるようにしたが、これに限定されず、矢印Mと逆の方向を主方向として空気を移動させてもよい。即ち、送風手段6のファンを逆回転させることで、通気口4から吸気し、矢印Mとは逆向きに通風路5を移動させて空気を浄化した後、通気口3から排気するのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気浄化機の正面図である。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図である。
【図3】図1におけるB−B線矢視断面図である。
【図4】障壁部材の概略図である。
【符号の説明】
【0026】
1 空気浄化機
5 通風路
6 送風手段
7 邪魔板
8 障壁部材
9 励起光源
10 光触媒
11 担持体
M 主方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路と、空気を前記通風路に送る送風手段と、励起光源からの光により励起する光触媒とを有し、前記励起した光触媒をもって前記通風路を通過する空気を浄化する空気浄化機において、前記光触媒を通気性の担持体に担持させて障壁部材とし、前記障壁部材を前記通風路内に空気の流れの主方向と交差する向きで配設し、前記通風路内の前記障壁部材に光を照射可能な位置に前記励起光源を配設したことを特徴とする空気浄化機。
【請求項2】
励起光源からの光が届く通風路の内面に、前記光触媒が担持されている請求項1に記載の空気浄化機。
【請求項3】
通風路内に、空気の流れの主方向と交差する向きの邪魔板を配設した請求項2に記載の空気浄化機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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