説明

空気清浄機

【課題】 吹出し口から空気をより均一に吹出すことができ、しかも、イオンを効率よく発生させることのできる空気清浄機を提供する。
【解決手段】 空気を送る送風部と、送風部によって送り出される空気を吹出す吹出し口と、送風部によって送り出される空気を吹出し口にまで導く送風通路と送風通路内に配設され、複数の電極に所定の電圧をそれぞれ印加することによって、吹出し口から外部へ放出するためのイオンを生成するイオン発生器とを備え、イオン発生器では、複数の電極は、一方の電極を通過した空気が他方の電極を通過しない態様で送風通路内を流れる風の方向と交差するように、一方向に配置され、イオン発生器は、送風通路をなす所定の壁面に露出し、複数の電極は、複数の電極の下流側に位置する縁が上流側に位置する縁よりも壁面から離れるように、所定の壁面から傾けられて配設された、空気清浄機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機に関し、特に、イオン発生器を備えた空気清浄機に関するものである。
【0002】
室内の空気は、塵埃、煙草の煙、呼吸に伴って排出される二酸化炭素等のさまざまな物質で汚染されている。近年の住宅では気密性が高められて、このような汚染物質が室内に溜まりやすく、積極的に室内の空気の換気を行なう必要がある。
【0003】
ところが、大気汚染の比較的ひどい地域にある家屋やオフィス等では、窓を開けて換気することはかえって室内に汚れた空気を取り込むことになって好ましくない。また、大気汚染のひどくない地域の家屋等でも、季節によっては花粉を室内に取り込むことになって、この場合には、花粉症の人にとって好ましくない。
【0004】
そこで、窓を開けずに室内の空気を清浄化するために、空気清浄機が使用される。室内の空気を浄化する手法としては、室内の空気を吸引してフィルターで塵埃等を捕集し、活性炭等で汚染物質を吸着する手法が一般的である。そのため、空気清浄機には次のような基本的な構造が採用される。
【0005】
すなわち、空気清浄機の本体内に送風機を有する送風通路が設けられ、その送風通路の入口に空気吸込み口が配設される一方、送風通路の出口に吹出し口が配設される。そして、送風通路の途中に集塵フィルタと脱臭フィルタとがそれぞれ配設される。さらに、送風通路の途中にイオン発生器が配設され、そのイオン発生器で発生したイオンが清浄な空気とともに室内に放出される。室内に浮遊するカビ菌等は、放出されたイオンによって取囲まれて不活性化される。こうして、空気清浄機によって室内の空気が浄化されることになる。このような空気清浄機は、たとえば特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−121111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
室内の空気を効果的に浄化するために、空気清浄機には、従来からイオンを効率よく発生させ、その発生したイオンを含んだ空気を吹出し口からより均一にして吹出させることが求められている。
【0008】
本発明は、その一環で提案されたものであり、その目的は、吹出し口から空気をより均一に吹出すことができ、しかも、イオンを効率よく発生させることのできる空気清浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気清浄機は、空気を送る送風部と吹出し口と送風通路とイオン発生器とを備えている。吹出し口は、送風部によって送り出される空気を吹出す。送風通路は、送風部によって送り出される空気を吹出し口にまで導く。イオン発生器は、送風通路内に配設され、複数の電極に所定の電圧をそれぞれ印加することによって、吹出し口から外部へ放出するためのイオンを生成する。イオン発生器では、複数の電極は、一の電極を通過した空気が他の電極を通過しない態様で送風通路内を流れる風の方向と交差するように、一方向に配置されている。
【0010】
この構成によれば、複数の電極は、一の電極を通過した空気が他の電極を通過しない態様で送風通路内を流れる風の方向と交差するように、一方向に配置されていることで、送風部から送り出される空気が複数の電極上を通過することがなくなって、流れの上流側に位置する一の電極において発生したイオンが流れの下流側に位置する他の電極において発生したイオンと干渉したりするなどして減衰することがなくなり、効率よくイオンを送り出すことができる。
【0011】
そのイオン発生器は、送風通路をなす所定の壁面に露出し、複数の電極は、複数の電極の下流側に位置する縁が上流側に位置する縁よりも壁面から離れるように、所定の壁面から傾けられて配設されていることが好ましい。
【0012】
この場合には、送風部から送り出される空気が電極に直接当たって、発生したイオンが滞留したりするなどして減衰することがなくなって、発生したイオンを空気清浄機の外へ効率よく送り出すことができる。また、たとえ吹出し口から水等が侵入しても、電極が濡れてしまうのを防止することができ、電極に印加される高電圧が維持されて、安定してイオンを発生させることができる。さらに、電極の水濡れによる埃等の付着、空気清浄機の停止時およびシーズンオフなどの未使用時の埃の堆積も防止することができる。
【0013】
吹出し口は、イオン発生器が露出する所定の壁面から壁面と直交する方向に距離を隔てられた位置に設置された第1吹出し口と、第1吹出し口に対して壁面が位置する側に設置された第2吹出し口とを含み、第2吹出し口から吹出される空気に含まれるイオンの濃度が、第1吹出し口から吹出される空気に含まれるイオンの濃度よりも高くなるようにされていることが好ましい。
【0014】
この場合には、イオン濃度の低い空気がエアーカーテンとしての機能を発揮して、イオン濃度の高い空気を部屋の壁等に直接当てることなく室内の隅々にまでより均一に到達させることができて、イオンによる殺菌や除菌等を効果的に行なうことができる。
【0015】
そのイオン発生器は、複数の電極が形成された側が下を向くように斜めに傾けられて配設されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、送風部から送り出される空気が電極に直接当たって、発生したイオンが滞留したりするなどして減衰することがなくなって、発生したイオンを空気清浄機の外へ効率よく送り出すことができる。また、たとえ吹出し口から水等が侵入しても、電極が濡れてしまうのを防止することができ、電極に印加される高電圧が維持されて、安定してイオンを発生させることができる。さらに、電極の水濡れによる埃等の付着、空気清浄機の停止時およびシーズンオフなどの未使用時の埃の堆積も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄機を前面側から見た斜視図である。
【図2】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機を背面側から見た斜視図である。
【図3】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機の上面図である。
【図4】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機の縦断面図である。
【図5】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機の横断面図である。
【図6】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機の送風通路を含む背面側の構造を示す部分破断背面図である。
【図7】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機における送風通路の構造を示す分解斜視図である。
【図8】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機におけるイオン発生器の取付け部分とその近傍を示す部分斜視図である。
【図9】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機に使用されるイオン発生器を示す斜視図である。
【図10】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機の吹出し口から空気が吹き出る様子を示す部分斜視図である。
【図11】同実施の形態において、図1に示す空気清浄機における吹出し口の構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る空気清浄機として、空気清浄機能を有する据え置き型の空気清浄機について説明する。
【0019】
(全体構成)
図1〜図3に示すように、空気清浄機1は、本体ケーシング2と、前面パネル24とを主に備えている。本体ケーシング2は、縦長の前面開口の箱状体からなり、その内部には空気清浄機1の主要部品が納められている。本体ケーシング2の下部には、脚部3が設けられている。この脚部3は、空気清浄機1を直立状態で床面等に載置するための部位である。また、本体ケーシング2の上面には、上面パネル部5が設けられており、この上面パネル部5には、各種操作ボタンや表示ランプ等が配設されている。また、本体ケーシング2の背面には、把手部4が設けられている。この把手部4は、空気清浄機1を持ち上げて搬送する際等の利便性を考慮して設けられたものである。
【0020】
前面パネル24は、その主面から後方に向かって立設して設けられた側部26を有しており、本体ケーシング2の前面および側面の一部を覆うように本体ケーシング2に着脱自在に取付けられる。前面パネル24は、装置の動作時において、後述するシロッコファンやモータ等にて発生する騒音が装置外部へと漏れ出さないようにするための遮音部材として取付けられるものであり、同時に装置の外観上の美観を確保するためのものでもある。
【0021】
図2に示すように、本体ケーシング2の側面と前面パネル24の側部26との間には、隙間が設けられている。この隙間は、吸込口12を構成する。吸込口12は、空気清浄機1の外部の空気を空気清浄機1の内部へと導入するための開口部である。また、その吸込口12の近傍には、埃センサ30が設けられている。また、図2および図3に示すように、本体ケーシング2の上部には、第1吹出し口14Aと第2吹出し口14Bとの2つの吹出し口14が設けられている。この吹出し口14は、空気清浄機1によって清浄化された空気を空気清浄機1の外部へ吹出すための開口部である。
【0022】
次に、空気清浄機1の内部の構造について説明する。図4および図5に示すように、空気清浄機1の内部には、本体ケーシング2によって形成される空間を、前面パネル24が位置する側の前方空間S1と背面側の後方空間S2とに仕切る仕切り壁7が位置する。仕切り壁7と前面パネル24との間には、脱臭フィルタ、ホルムアルデヒド吸着フィルタおよび制菌/集塵フィルタの3つで構成された高機能フィルタ28が配設されている。この高機能フィルタ28は、本体ケーシング2の前面側に設けられた凹部6に配置され、前方空間S1を前後方向に2分割している。前方空間S1は、本体ケーシング2の側方において吸込口12を介して空気清浄機1の外部と連通している。
【0023】
一方、図4〜図6に示すように、仕切り壁7の後方には、シロッコファン18が配置されている。シロッコファン18は、その後方に配置されたモータ20によって回転駆動される。仕切り壁7に設けられた連通孔8は、シロッコファン18の吸い込み面と対面して設けられている。そのシロッコファン18を覆うように、背面側ファンカバー10が仕切り壁7に取付けられている。背面側ファンカバー10と仕切り壁7とによって送風通路13が構成される。送風通路13は、本体ケーシング2の上部に設けられた吹出口14に連通している。
【0024】
送風通路13内の仕切り壁7の所定位置には、正イオンおよび負イオンの少なくともいずれか一方のイオンを発生させるイオン発生器22が設けられている。イオン発生器22によって発生したイオンは、空気の流れに乗って空気清浄機1の外部へと放出される。
【0025】
(空気の流れ)
次に、空気清浄機1における空気の流れについて説明する。まず、シロッコファン18がモータ20によって回転駆動することにより、本体ケーシング2の前方空間S1において負圧が生じ、図5に示すように、本体ケーシング2の側方に位置する吸込口12を介して室内の空気が前方空間S1に取り込まれる。
【0026】
前方空間S1に取り込まれた空気は、図4および図5に示すように、高機能フィルタ28を通過する際に、脱臭処理、ホルムアルデヒドの吸着処理、集塵処理および制菌処理が施され、仕切り壁7に設けられた連通孔8を通過する。次に、連通孔8を通過した空気は、図4または図6に示すように、シロッコファン18の周面から外方に向かって吹出される。こうして吹出された空気は、送風通路13により吹出し口14にまで導かれて、イオン発生器22によって発生したイオンとともに室内に送り出されることになる。図4〜図6では、このような一連の空気の流れが矢印(白抜き)によって示されている。
【0027】
上述した空気清浄機1では、吹出し口として第1吹出し口14Aと第2吹出し口14Bとの2つの吹出し口14が設けられている。その吹出し口においては、イオン発生器22の位置との関係で、第2吹出し口14Bからはイオン濃度の相対的に高い空気が吹出され、第1吹出し口14Aからはイオン濃度の相対的に低い空気が吹出される。
【0028】
このとき、第1吹出し口14Aから吹出されるイオン濃度の低い空気は、第2吹出し口14Bから吹出されるイオン濃度の高い空気の側方と後方を覆うような態様で吹出される。これにより、室内に吹出されたイオン濃度の高い空気が壁等に直ちに付着するのを抑制して、イオンをより均一に室内に放出することができる。このことについて、送風通路の構造、吹出し口の構造およびイオン発生器の構造をまじえてより詳しく説明する。
【0029】
(送風通路)
送風通路13は、図6および図7に示すように、仕切り壁7と背面側ファンカバー10によって構成される。背面側ファンカバー10は、端板部10aとその端板部10aから立設するように形成された側板部10b〜10dとによって構成される。側板部10b〜10dは、側面部として、背面側ファンカバー10が仕切り壁7に取付けられた状態でシロッコファン18の回転軸18aと略平行に延在する。端板部10aと仕切り壁7とは、1対の端面部として、側板部10b〜10dをシロッコファン18の回転軸18a方向の一端側と他端側とからそれぞれ挟み込むように、回転軸18aと略直交する方向に延在する。
【0030】
その側板部10b〜10dは、第1側板部10b〜第3側板部10dの3つの側板部からなる。第1側板部10bは、シロッコファン18の外周に沿ってシロッコファン18を周方向から取囲むように略円弧状に形成されている。第2側板部10cは、第1側板部10bの周方向の一端側からほぼ接線方向に延在して吹出し口14に繋がる。第3側板部10dは第2側板部10cと対向し、第1側板部10bの周方向の他端側から吹出し口14に向かって第2側板部10cから遠ざかるように延在する。その第2側板部10cには、接線方向に流れようとする風の成分を第3側板部10dの側に向かう成分をもたせるように、第3側板部10dの側に向かって傾斜した偏向部11が設けられている。
【0031】
また、第2吹出し口14Bの直下近傍の仕切り壁7の部分には、イオン発生器22が取付けられている。このイオン発生器22は、図4および図8に示すように、イオンを発生させるための表面電極22a,22bが下に向くように傾けられた状態で所定の押え具23によって固定されている。その押え具23には、この傾きに対応した傾斜部23cと、表面電極22a,22bを露出する開口部23a,23bがそれぞれ設けられている。さらに、表面電極22a,22bは、送風通路13内を流れる空気の流れ(白抜き矢印)と交差する方向に配列されている。
【0032】
(吹出し口)
吹出し口14は、図6および図7に示すように、シロッコファン18の直上に配設され、第1吹出し口14Aと第2吹出し口14Bとによって構成される。第1吹出し口14Aは背面側ファンカバー10の端板部10aの側に配設され、第2吹出し口14Bはイオン発生器22が取付けられた仕切り壁7の側に配設されている。
【0033】
特に、第1吹出し口14Aは、第2吹出し口14Bの側方と後方(背面側)を取囲むように形成されている。また、吹出し口14(第1吹出し口)のシロッコファン18の回転軸18aと直交する方向の開口長さWは、シロッコファン18の直径Dよりも大きく設定されている。また、第1吹出し口14Aおよび第2吹出し口14Bのそれぞれには、空気の向きを調整するためのルーバ16A,16B,16Cが設けられている。また、このルーバ16A,16B,16Cは、送風通路内に異物が侵入したり、手や指などが入るのを防止するといった故障防止や安全対策を図る機能も有する。
【0034】
(イオン発生器)
送風通路13の途中に設けられるイオン発生器22は、図9に示すように、ケース本体22cとそのケース本体22cにはめ込まれたイオン発生素子(図示せず)とによって構成される。ケース本体22cの内部には、イオン発生素子を駆動するための駆動回路や昇圧コイル等が組み込まれている。イオン発生素子は、所定の誘電体を積層させた積層体として構成される。その積層体の表面には、たとえばメッシュ状の表面電極22a,22bが一方向に複数配列されている。この表面電極22a,22bが配列されている一方向は、送り出される空気の流れと交差する。一方、積層体の裏面には、板状の裏面電極(図示せず)が配設されている。
【0035】
表面電極と裏面電極との間に交流電圧を印加することによって、空気中の酸素または水分が電離によりエネルギーを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)と
2-(H2O)n(nは任意の自然数)を主体としたイオンが生成される。生成したイオンはシロッコファンで発生した風によって吹出し口から室内に放出される。放出されたこれらH+(H2O)mおよびO2-(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着し、化学反応して活性種
であるH22または(・OH)を生成する。H22または(・OH)は、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで不活化することができる。ここで、(・OH)は活性種の1種であり、ラジカルのOHを示している。
【0036】
正のイオンと負のイオンは、浮遊細菌の細胞表面で式(1)〜式(3)に示すように化学反応を起こして、活性種である過酸化水素H22または水酸基ラジカル(・OH)が生成される。
+(H2O)m+O2-(H2O)n → ・OH+1/2O2+(m+n)H2O … (1)H+(H2O)m+H+(H2O)m'+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n'
2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O … (2)
+(H2O)m+H+(H2O)m'+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n'
22+O2+(m+m'+n+n')H2O … (3)
ここで、式(1)〜式(3)において、m、m'、n、n'は任意の自然数である。これにより、活性種の分解作用によって浮遊細菌が破壊される。したがって、効率的に空気中に浮遊する浮遊細菌が不活化されて、これを除去することができる。
【0037】
こうして、正のイオンと負のイオンの放出によって、浮遊菌等が破壊され、効率的に空気中の浮遊菌を殺菌することができる。上述した空気清浄機では、以上のメカニズムによって、浮遊菌等の殺菌効果を得ることができる。
【0038】
また、上記式(1)〜式(3)は、空気中の有害物質表面でも同様の作用を生じさせることができるため、活性種である過酸化水素H22または水酸基ラジカル(・OH)が、有害物質を酸化若しくは分解することにより、ホルムアルデヒドやアンモニアなどの化学物質を、二酸化炭素や、水、窒素などの無害な物質に変換することができる。
【0039】
この他、正イオンと負イオンには、コクサッキーウィルス、ポリオウィルス、などのウィルス類も不活化する働きがあり、これらウィルスの混入による汚染が防止できる。また、正イオンと負イオンには、臭いの元となる分子を分解する働きがあることも確かめられており、室内の脱臭にも利用することができる。
【0040】
上述した空気清浄機1では、図6または図7に示すように、吹出し口として、第1吹出し口14Aと第2吹出し口14Bの2つの吹出し口14が設けられている。第1吹出し口14Aはその仕切り壁7と対向する背面側ファンカバー10の端板部10aの側に配設され、第2吹出し口14Bは、イオン発生器22が取付けられた仕切り壁7の部分の直上に配設されている。そのため、イオン発生器22によって発生したイオンを含んだ空気は主に第2吹出し口14Bに導かれて、第2吹出し口14Bからはイオン濃度の相対的に高い空気が吹出され、第1吹出し口14Aからはイオン濃度の相対的に低い空気が吹出されることになる。
【0041】
その第1吹出し口14Aにおけるシロッコファン18の回転軸18aと直交する方向の開口長さWは、シロッコファン18の直径Dよりも大きく設定されている。このとき、シロッコファン18から遠心力によって吹出し口14に向かって送り出される空気は、略円弧状の第1側板部10bから接線方向に延在する第2側板部10cに沿って流れようとするところ、その第2側板部10cに設けられた偏向部11によって第3側板部10dの側へ向かう空気の流れの成分が生じることになる。
【0042】
これにより、第1吹出し口14Aにおける第2側板部10cの側の空気の吹出し量が第3側板部10dの側の空気の吹出し量よりも多くなるのが抑制されて、図10に示すように、第1吹出し口14Aの開口長さWにわたってより均一に空気が吹出される。こうして、イオン濃度の相対的に高い空気40の両側方と後方(背面側)をイオン濃度の相対的に低い空気41がほぼ均一に取囲むようにして、吹出し口14から空気40,41の吹出しが行なわれることになる。
【0043】
また、図8に示すように、イオン発生器22の表面電極22a,22bが空気の流れ(白抜き矢印)と交差する方向に配列されていることで、シロッコファン18から送り出される空気が複数の表面電極上を通過することがなくなり、流れの上流側に位置する一の表面電極において発生したイオンが流れの下流側に位置する他の表面電極において発生したイオンと干渉したりするなどして減衰することがなくなる。
【0044】
さらに、イオン発生器22は、表面電極22a,22bが下に向くように傾けられた状態で仕切り壁7に固定されていることで、シロッコファン18から送り出される空気が表面電極22a,22bに直接当たって、発生したイオンが滞留したりするなどして減衰することがなくなる。これにより、発生したイオンを空気清浄機1の外へ効率よく送り出すことができる。
【0045】
また、イオン発生器22は、表面電極22a,22bが下に向くように傾けられていることで、たとえ、空気清浄機1の吹出し口14から水等が侵入しても、表面電極22a,22bが濡れてしまうのを防止することができ、表面電極22a,22bに印加される高電圧が維持されて、安定してイオンを発生させることができる。さらには、表面電極22a,22bの水濡れによる埃等の付着も防止することができる。
【0046】
そして、図10および図11に示すように、第2吹出し口14Bから吹出されるイオン濃度の高い空気40の側方と後方とを取囲むように第1吹出し口14Aからイオン濃度の低い空気41が吹出されることで、イオン濃度の低い空気41がエアーカーテンとしての機能を発揮して、イオン濃度の高い空気40を部屋の壁等に直接当てることなく室内の隅々にまでより均一に到達させることができて、イオンによる殺菌や除菌等を効果的に行なうことができる。
【0047】
なお、図11に示すように、第2吹出し口14Bでは、ルーバとして固定式のルーバ16B,16Cを採用しているが、この他に、吹出し角度を変えることができるルーバを配設するようにしてもよい。これにより、イオン濃度の高い空気の吹出し方向の自由度が高められて、その結果、部屋の形状や大きさに応じた空気の吹き出しを行なうことができて、より効果的な空気の浄化を行なうことができる。
【0048】
上述した空気清浄機では、据え置き型の空気清浄機を例に挙げて説明したが、この他に、たとえば壁掛け式の空気清浄機やビルトインタイプの空気清浄機、車載用の空気清浄機、さらには、空気調和機、あるいは除湿機等へも適用することが可能である。
【0049】
今回開示された実施の形態は例示であって、これに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0050】
本発明に係る空気清浄機は、送風部と吹出し口と送風通路とを備えている。送風部は、回転軸の回りの回転に伴う遠心力によって空気を送る。吹出し口は、送風部によって送り出される空気を所定の方向に吹出す。送風通路は、送風部を取囲むように配設され、送風部の回転軸と略平行に延在する側面部を有して、送風部によって送り出される風を吹出し口にまで導く。側面部は、第1側面部と第2側面部と第3側面部と偏向部とを備えている。第1側面部は、送風部の外周に沿って送風部を周方向から取囲むように配設されて略円弧状をなしている。第2側面部は、第1側面部の周方向の一端側から略接線方向に延在して吹出し口に繋がっている。第3側面部は、第2側面部と対向し、第1側面部の周方向の他端側から吹出し口に向かって前記第2側面部から遠ざかるように延在している。偏向部は、第2側面部に設けられ、接線方向に流れようとする風の成分を第3側面部の側に向かう成分をもたせる。
【0051】
この構成によれば、送風部から遠心力によって吹出し口に向かって送り出される空気は、略円弧状の第1側板部から接線方向に延在する第2側板部に沿って流れようとするところ、その第2側板部に設けられた偏向部によって第3側板部の側へ向かう空気の流れの成分が生じることになる。これにより、吹出し口における第2側板部の側の空気の吹出し量が第3側板部の側の空気の吹出し量よりも多くなるのが抑制されて、吹出し口の開口長さにわたってより均一に空気を吹出すことができる。なお、略円弧状あるいは略接線方向とは、数学的な円弧状や接線方向を意図するものではなく、一見して円弧状や接線方向であることが認識できる程度の構造を意図するものである。
【0052】
その送風通路は、より具体的には、側面部を送風部の回転軸方向の一端側と他端側とからそれぞれ挟み込むようにして配設された対向する1対の端面部を備え、1対の端面部のうち一方の端面部における吹出し口の側に、イオン発生器が配設されていることが好ましい。
【0053】
また、イオン発生器は、イオンを発生するための電極が形成された側が下を向くように斜めに傾けられて配設されていることが好ましい。
【0054】
この場合には、送風部から送り出される空気が電極に直接当たって、発生したイオンが滞留したりするなどして減衰することがなくなって、発生したイオンを空気清浄機の外へ効率よく送り出すことができる。また、たとえ吹出し口から水等が侵入しても、電極が濡れてしまうのを防止することができ、電極に印加される高電圧が維持されて、安定してイオンを発生させることができる。さらに、電極の水濡れによる埃等の付着、空気清浄機の停止時およびシーズンオフなどの未使用時の埃の堆積も防止することができる。
【0055】
さらに、イオン発生器では、イオンを発生するための電極が一方向に複数設けられ、その一方向が送風通路内を流れる風の方向と交差するように電極が配設されていることが好ましい。
【0056】
この場合には、送風部から送り出される空気が複数の電極上を通過することがなくなり、流れの上流側に位置する一の電極において発生したイオンが流れの下流側に位置する他の電極において発生したイオンと干渉したりするなどして減衰することがなくなる。
【0057】
本発明に係る他の空気清浄機は、空気を送る送風部と吹出し口と送風通路とイオン発生器とを備えている。吹出し口は、送風部によって送り出される空気を吹出す。送風通路は、送風部によって送り出される空気を吹出し口にまで導く。イオン発生器は、送風通路内に配設されている。そのイオン発生器では、イオンを発生するための電極が一方向に複数設けられ、イオン発生器は、一方向が送風通路内を流れる風の方向と交差するように配設されている。
【0058】
この構成によれば、送風部から送り出される空気が複数の電極上を通過することがなくなり、流れの上流側に位置する一の電極において発生したイオンが流れの下流側に位置する他の電極において発生したイオンと干渉したりするなどして減衰することがなくなり、効率よくイオンを送り出すことができる。
【0059】
そのイオン発生器は、複数の電極が形成された側が下を向くように斜めに傾けられて配設されていることが好ましい。
【0060】
この場合には、送風部から送り出される空気が電極に直接当たって、発生したイオンが滞留したりするなどして減衰することがなくなって、発生したイオンを空気清浄機の外へ効率よく送り出すことができる。また、たとえ吹出し口から水等が侵入しても、電極が濡れてしまうのを防止することができ、電極に印加される高電圧が維持されて、安定してイオンを発生させることができる。さらに、電極の水濡れによる埃等の付着、空気清浄機の停止時およびシーズンオフなどの未使用時の埃の堆積も防止することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 空気清浄機、2 本体ケーシング、3 脚部、4 把手部、5 上面パネル部、6 凹部、7 仕切り壁、8 連通孔、10 背面側ファンカバー、10a 端板部、10b 第1側板部、10c 第2側板部、10d 第3側板部、11 偏向部、13 送風通路、14A,14B 吹出し口、16A,16B,16C ルーバ、18 シロッコファン、18a 回転軸、20 モータ、22 イオン発生器、22a,22b 電極、23 押え具、23a 開口部、23b 傾斜部、24 前面パネル、26 側部、28 フィルタ、30 埃センサ、40,41 空気、51 室内、52 壁、53 天井、S1 前方空間、S2 後方空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送る送風部と、
前記送風部によって送り出される空気を吹出す吹出し口と、
前記送風部によって送り出される空気を前記吹出し口にまで導く送風通路と
前記送風通路内に配設され、複数の電極に所定の電圧をそれぞれ印加することによって、前記吹出し口から外部へ放出するためのイオンを生成するイオン発生器とを備え、
前記イオン発生器では、複数の前記電極は、一方の電極を通過した空気が他方の電極を通過しない態様で前記送風通路内を流れる風の方向と交差するように、一方向に配置され、
前記イオン発生器は、前記送風通路をなす所定の壁面に露出し、複数の前記電極は、複数の前記電極の下流側に位置する縁が上流側に位置する縁よりも前記壁面から離れるように、所定の前記壁面から傾けられて配設された、空気清浄機。
【請求項2】
空気を送る送風部と、
前記送風部によって送り出される空気を吹出す吹出し口と、
前記送風部によって送り出される空気を前記吹出し口にまで導く送風通路と
前記送風通路内に配設され、複数の電極に所定の電圧をそれぞれ印加することによって、前記吹出し口から外部へ放出するためのイオンを生成するイオン発生器とを備え、
前記イオン発生器では、複数の前記電極は、一方の電極を通過した空気が他方の電極を通過しない態様で前記送風通路内を流れる風の方向と交差するように、一方向に配置され、
前記イオン発生器は、前記送風通路をなす所定の壁面に露出し、複数の前記電極が形成された側が下を向くように斜めに傾けて配設された、空気清浄機。
【請求項3】
前記吹出し口は、
前記イオン発生器が露出する所定の前記壁面から前記壁面と直交する方向に距離を隔てられた位置に設置された第1吹出し口と、
前記第1吹出し口に対して前記壁面が位置する側に設置された第2吹出し口とを含み、
前記第2吹出し口から吹出される空気に含まれるイオンの濃度が、前記第1吹出し口から吹出される空気に含まれるイオンの濃度よりも高くなるようにされた、請求項1または2に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−105996(P2012−105996A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2827(P2012−2827)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2005−211583(P2005−211583)の分割
【原出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】