説明

空気清浄機

【課題】本発明の課題は、リミットスイッチを設けた空気清浄機において、新たな部材を追加せずに、前面パネルを開きやすい構造とした空気清浄機を提供することにある。
【解決手段】空気清浄機10は、本体20と、前面パネル30と、リミットスイッチ21と、ロック機構22とを備える。前面パネルは、本体の前面を覆うように装着される。リミットスイッチは、バネ21aを有し、本体に配置され、バネが前面パネルからの押圧を受けたときに圧縮した状態でON状態となり、バネが前面パネルからの押圧が無くなったときに伸張した状態でOFF状態となる。ロック機構は、リミットスイッチをON状態で保持するように、前面パネルを本体にロックする。前面パネルは、ロック機構によるロックが解除されると、バネの反力により開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(実公平6−12435号公報)のような空気調和機において、本体に取り付けられた前面パネルが開く際に、付勢部材によって付勢されように構成されており、作業者が前面パネルを開けることを容易にしている。
【0003】
また、特許文献2(特開昭63−156553号公報)のような空気清浄機において、本体に取り付けられた前面パネル(フロントグリル)を開くことに連動するリミットスイッチが設けられているものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2のようなリミットスイッチを設けた空気清浄機において、特許文献1のように前面パネルの開放を容易にしようとすると、新たに付勢部材を設ける必要がある。このため、新たな部材を追加することによる製造コストのアップに繋がる。また、追加する部材を収めるスペースが必要になり、製品サイズのアップに繋がる。
【0005】
本発明の課題は、リミットスイッチを設けた空気清浄機において、新たな部材を追加せずに、前面パネルを開きやすい構造とした空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気清浄機は、本体と、前面パネルと、リミットスイッチと、ロック機構とを備える。前面パネルは、本体の前面を覆うように装着される。リミットスイッチは、バネを有し、本体に配置され、バネが前面パネルからの押圧を受けたときに圧縮した状態でON状態となり、バネが前面パネルからの押圧が無くなったときに伸張した状態でOFF状態となる。ロック機構は、リミットスイッチをON状態で保持するように、前面パネルを本体にロックする。前面パネルは、ロック機構によるロックが解除されると、バネの反力により開く。
【0007】
第1観点に係る空気清浄機によれば、前面パネルを作業者などが開ける際にロック機構によるロックを解除すると、リミットスイッチに設けられたバネの反力により前面パネルが開く。したがって、前面パネルを開きやすくすることができる。また、前面パネルを開きやすくする部材を別に設けなくとも良くなり、別部材を収納するスペースを設けなくとも良い。このため、生産コストを低減することができ、かつ、製品サイズを抑えることができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気清浄機は、第1観点に係る空気清浄機において、前面パネルは、前面パネルの上端部を軸として回動自在に本体の上部に支持され、ロックされているときに、上端部より下方の部分がバネを押圧してリミットスイッチをON状態にしており、ロック機構によるロックが解除されると、上端部を軸として回動することにより開く。
【0009】
第2観点に係る空気清浄機によれば、作業者がロック機構によるロックを解除すると、前面パネルは、その上端部を軸として回動して開く。
【0010】
このように、上端部を軸として回動して開くため、前面パネルの下端部を軸として開くよりも軸となる部材に負担がかかりにくい構造とすることができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る空気清浄機は、第1観点または第2観点に係る空気清浄機において、ロック機構は、本体の側部に配置される。
【0012】
したがって、作業者等がロック機構によるロックを解除する際に、本体側から解除するため、前面パネルに手をかけることなくロック機構によるロックを解除することができる。このため、前面パネルが前方に開く際に手が障害となることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、前面パネルを開きやすくすることができる。また、前面パネルを開きやすくする部材を別に設けなくとも良く、生産コストを低減することができる。
【0014】
本発明の第2観点に係る空気清浄機では、上端部を軸として回動して開くため、前面パネルの下端部を軸として開くよりも軸となる部材に負担がかかりにくい構造とすることができる。
【0015】
本発明の第3観点に係る空気清浄機では、作業者等がロック機構によるロックを解除する際に、本体側から解除するため、前面パネルに手をかけることなくロック機構によるロックを解除することができる。このため、前面パネルが前方に開く際に手が障害となることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄機の外観図である。
【図2】前面パネルの分解斜視図である。
【図3】前面パネルの本体側の面から見た平面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】空気清浄機の正面視において、水平方向の中心における鉛直断面図(下部前面側)である。
【図6】リミットスイッチの外観斜視図である。
【図7】リミットスイッチのOFF状態における内部構造の概略図である。
【図8】リミットスイッチのON状態における内部構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明に係る空気清浄機の実施形態について説明する。
【0018】
(1)空気清浄機の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気清浄機10の外観図である。空気清浄機10は、本体20と、本体の前面を覆う前面パネル30とにより構成される。
【0019】
(1−1)本体
本体20には、本体の電源回路のON/OFF可能なリミットスイッチ21と、前面パネル30をロックするロック機構22とが備えられる。リミットスイッチ21は、本体の前側下部に配置される。ロック機構22は、本体20の正面視において右側面に配置される。本体20にはまた、図示しない送風機、フィルタなどが収納されている。そして、送風機により室内の空気を本体20内部に取り入れて、内部でフィルタなどにより清浄処理された空気を排出する機能を有する。なお、本実施形態の空気清浄機10では、本体20の前面から空気を取り入れており、背面側から本体20の上方に向けて清浄空気が排出される構造となっている。
【0020】
(1−2)前面パネル
前面パネル30について、図2〜図4を用いて説明する。なお、図2は前面パネルの分解斜視図であり、図3は前面パネルの本体20側の面から見た平面図であり、図4は図3のIV−IV断面図である。
【0021】
前面パネル30は、図2に示すように、パネル部31とフレーム部32とにより形成される。パネル部31は、本体20に取設された状態において、本体20の外側に向かって膨らんだ本体20の前方に凸の形状となっており、前側を覆う板状の部材である。フレーム部32は、パネル部31の周縁部の外側を補強する周縁補強部32aと、パネル部31の剛性を確保するためのパネル面補強部32bとを有する。パネル面補強部32bには、水平方向に延びている3つのコの字状部材32cが有り、パネル部31の内側の形状と隙間なく接する形状となっている。すなわち、コの字状部材32cの本体20前面側の端部の形状は、パネル部31の本体20外側の膨らみと一致するように弓形の形状となっている。また、フレーム部32の本体側には、リミットスイッチ21を押圧して本体の電源回路をON状態にさせる押圧部32dと、本体20のロック機構22により係止される爪部32eとが設けられる。
【0022】
また、パネル部31の下方は、空気清浄機10の吸込口11となっている。すなわち、フレーム部32は、パネル部31により完全に覆われる上部領域Z1と、吸込口11となる下部領域Z2とに分けられる。フレーム部32の周縁補強部32aは、本体20に取設された状態で、フレーム部32の上端部及び下端が本体20と密着する。一方で、フレーム部32の周縁補強部32aの左端及び右端は、本体20と密着せずに、前面パネル30に形成される吸込口11とは別に、本体20の両側面に吸込口11が形成される。
【0023】
(2)本体と前面パネルとの関係
前面パネル30は、図1に示すように、本体20の前側の上部を軸として回動可能な状態で取設される。そして、図5に示すように前面パネル30のフレーム部32に設けられる押圧部32dが、本体20の前面下部に設けられるリミットスイッチ21を押圧した状態(電源回路ON)で、フレーム部32の爪部32eがロック機構22により係止される。このようにして、図1のように前面パネル30は、本体20に取設されることになる。図5は、空気清浄機10の正面視において、水平方向の中心における鉛直断面図(下部前面側)である。
【0024】
リミットスイッチ21について、図6〜図8を用いて説明する。なお、図6はリミットスイッチの外観斜視図であり、図7はリミットスイッチのOFF状態における内部構造の概略図であり、図8はリミットスイッチのON状態における内部構造の概略図である。
【0025】
リミットスイッチ21は、圧縮バネ21aと、突起部21bと、固定接点21cと、可動接点21dとを有している。リミットスイッチ21は、固定接点21cと、可動接点21dとが互いに接した状態において電源回路がON状態となり、離間した状態で電源回路がOFF状態となる。リミットスイッチ21は、図7に示すように突起部21bに加えている押圧が無く、可動接点21dが自由位置にある状態において、圧縮バネ21aは伸張状態となり、固定接点21cと可動接点21dとが離間した状態となる。このため、図7の状態において、リミットスイッチ21はOFF状態となる。また、リミットスイッチ21は、図8に示すように突起部21bに対して押圧が有り、可動接点21dが固定接点21cと接すると、ON状態となる。
【0026】
前面パネル30は、リミットスイッチ21の圧縮バネ21aを押圧部32dにより押圧して圧縮した状態で、ロック機構22によりフレーム部32の爪部32eがロックされている。このため、ロック機構22によるロックが解除されると、前面パネル30の爪部32eが開放される。そして、リミットスイッチ21の圧縮バネ21aは、押圧部32dからの押圧から解放されるため、伸張して突起部21bが押圧部32dを圧縮バネ21aの反力により押すことになる。このように、前面パネル30の下部側に設けられる押圧部32dが本体20のリミットスイッチ21により力を受けることになるため、前面パネル30はその上端部を軸として自動的に開くことになる。
【0027】
(3)特徴
本実施形態に係る空気清浄機10によれば、前面パネル30を作業者等が開ける際にロック機構22によるロックを解除すると、リミットスイッチ21に設けられた圧縮バネ21aの反力により前面パネル30が開く。したがって、作業者等がメンテナンスなどの際に、前面パネル30を前方に開かなくとも、ロック機構22によるロックを解除することのみで前面パネル30を開くことができる。また、リミットスイッチ21の圧縮バネ21aの反力を利用して前面パネル30を開く構造とするため、前面パネル30を開きやすくする部材を別に設けなくとも良くなり、別部材を収納するスペースを設けなくとも良い。このため、生産コストを低減することができ、かつ、製品サイズを抑えることができる。
【0028】
また、ロック機構22が本体20側に設けられているため、作業者等がロック機構22によるロックを解除する際に、本体20側から解除するため、前面パネル30に手をかけることなくロック機構22によるロックを解除することができる。このため、前面パネル30が前方に開く際に手が障害となることを防ぐことができる。
【0029】
(4)変形例
上記実施形態に係る空気清浄機10によれば、前面パネル30は、その上端部を軸として回動し、バネを有するリミットスイッチ21が本体の下部側に設けられているが、これに限らずに、前面パネル30が回動する軸とリミットスイッチ21の位置とが互いに反対側にあって、所定の距離が確保されていればよい。例えば、前面パネル30の左端を軸として回動し、本体20の右部側にリミットスイッチ21を設けても良いし、前面パネル30の右端を軸として回動し、本体20の左部側にリミットスイッチ21を設けても良いし、前面パネル30の下端を軸として回動し、本体20の上部側にリミットスイッチ21を設けても良い。なお、ロック機構22は、どの場合においてもリミットスイッチ21と同じ側に設けられることになる。
【符号の説明】
【0030】
10 空気清浄機
20 本体
21 リミットスイッチ
21a 圧縮バネ(バネ)
22 ロック機構
30 前面パネル
32d 押圧部(下方の部分)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】実公平6−12435号公報
【特許文献2】特開昭63−156553号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(20)と、
前記本体の前面を覆うように配置される前面パネル(30)と、
バネ(21a)を有し、前記本体に装着され、前記バネが前記前面パネルからの押圧を受けたときに圧縮した状態でON状態となり、前記バネが前記前面パネルからの押圧がなくなったときに伸張した状態でOFF状態となるリミットスイッチ(21)と、
前記リミットスイッチをON状態で保持するように、前記前面パネルを前記本体にロックするロック機構(22)と、
を備え、
前記前面パネルは、前記ロック機構によるロックが解除されると、前記バネの反力により開く、
空気清浄機(10)。
【請求項2】
前記前面パネルは、
前記前面パネルの上端部を軸として回動自在に前記本体の上部に支持され、
ロックされているときに、前記上端部より下方の部分(32d)が前記バネを押圧して前記リミットスイッチをON状態にしており、
前記ロック機構によるロックが解除されると、前記上端部を軸として回動することにより開く、
請求項1に記載の空気清浄機(10)。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記本体の側部に配置される、
請求項1または2に記載の空気清浄機(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−24714(P2012−24714A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166860(P2010−166860)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】