説明

空気清浄機

【課題】安価な方法で、集塵以外の機能を有するプレフィルタユニットを装着することができ、かつ浄化フィルタユニットに付着する菌や臭いを低減することができる空気清浄機用フィルタを提供する。
【解決手段】浄化フィルタユニット8の上流側に、集塵以外の機能を備えるプレフィルタ7を配設し、プレフィルタ7をプレフィルタ枠6で挟み込み、前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aにプレフィルタ枠係止部6aを係止することで可撓性のあるシート状のプレフィルタの形状を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機のフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機用フィルタは、上流側より、プレフィルタ,集塵フィルタ,脱臭フィルタの順に配置することが一般的であった。プレフィルタは比較的大きな塵埃を補塵し、集塵フィルタは比較的微細な塵埃を補塵する。脱臭フィルタは活性炭からなり、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒド,アンモニア,酢酸,トリメチルアミン,イソ吉草酸などを吸着する。
【0003】
上記構成のフィルタにおいて、脱臭フィルタに使用する活性炭は、粉末状活性炭のみを用いたものや、粒状活性炭のみを用いたものが使用されている。
【0004】
粉末活性炭のみを使用する場合、活性炭の粒子径が小さく表面積が大きいため吸着スピードが速いという利点はあるが、吸着できる量が少なく、早く飽和状態となり臭いを再放出しやすい。また、粒状活性炭のみを使用する場合、吸着できる量は多いという利点はあるが、活性炭の粒子径が約1mm以上で表面積を飛躍的に増やせないため、吸着スピードを速くするためには多量の活性炭を使用しなければならない。
【0005】
このため粒状活性炭と粉末活性炭を併用したフィルタにより、吸着スピードが速く、且つ吸着できる量を多くしたフィルタが提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、吸着スピードが速く、且つ吸着できる量が多い活性炭を含むフィルタの場合、これらの能力にも限界があり、脱臭性能を維持するためには、フィルタの交換が必要となり、使用者にとってランニングコストが高くなる傾向になる。
【0007】
このためフィルタ内の脱臭フィルタ部を別構造として、布などの柔軟で安価な材料で脱臭フィルタを形成して、自身で形状を保持することを可能とする図10に示す構造が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−114333号公報
【特許文献2】特開2004−105879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで特許文献2で提案されている図10の構造の場合、空気を浄化するために必要なプレフィルタ102,脱臭フィルタ104,集塵フィルタ105の他に、フィルタ押さえ枠103と、枠体106の部材が必要となりコストが高くなる。
【0010】
また、枠体106までを含めたフィルタユニット100を空気清浄機のフィルタ収納部に収納する必要があるため、空気清浄機自体の寸法も大きくなる。
【0011】
PP(ポリプロピレン)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)で構成されたプレフィルタ102に集塵以外の機能を持たせるのは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、プレフィルタユニットは、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることにより、フィルタ押さえ枠や枠体が不要となり、プレフィルタユニットの取付け構造を簡素化できる。
【0014】
本発明によれば、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることにより、フィルタ押さえ枠や枠体が不要となり、空気清浄機を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態の空気清浄機を示す斜視図。
【図2】(a)は、実施形態の空気清浄機の正面図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図。
【図3】実施形態の空気清浄機の分解斜視図。
【図4】実施形態のプレフィルタ枠の正面図。
【図5】実施形態のプレフィルタユニットの斜視図。
【図6】プレフィルタユニット図5のB−B線断面図。
【図7】プレフィルタユニットをフロントケース被係止部に取付ける状態を示す斜視図。
【図8】図7のプレフィルタユニット係止部とフロントケース被係止部との組立時のC−C線断面図。
【図9】プレフィルタ枠にメッシュフィルタを配置したプレフィルタ枠の正面図。
【図10】従来の空気清浄機用フィルタユニットの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、空気が流通する浄化フィルタユニットと、浄化フィルタユニットの下流側に設けられたファンモータとを備える空気清浄機において、浄化フィルタユニットの上流側にプレフィルタユニットを配設し、プレフィルタユニットに、集塵以外の機能を備えることを特徴とする。好ましくは、浄化フィルタユニットが、上流側に集塵フィルタと、下流側に活性炭を含む脱臭フィルタを配設する。好ましくは、プレフィルタユニットが、取付け枠および集塵以外の機能を有するプレフィルタから構成される。好ましくは、取付け枠が、枠体とメッシュフィルタからなる。好ましくは、枠体とメッシュフィルタとが一体成形される。好ましくは、プレフィルタが、薄い可撓性のあるシート状で形成され、薬剤を塗布あるいは含有する。
【0017】
この構成によれば、プレフィルタユニットの部材数量を低減でき、コストを低くすることが可能となる。また集塵以外の、除菌や脱臭の機能を備えたプレフィルタによれば、浄化フィルタユニットに付着する菌や臭いを抑制するため、浄化フィルタユニットでの菌の繁殖を防ぎ、運転時、排気口から排出される空気の臭いも低減することができる。浄化フィルタユニットにおいて、上流側に集塵フィルタと、下流側に活性炭を含む脱臭フィルタを配設すれば、活性炭が塵埃などの付着により脱臭効果が低下することを抑制することが可能となる。プレフィルタユニットが、取付け枠および集塵以外の機能を有するプレフィルタから構成される構造によれば、薄いシート状で、可撓性のあるプレフィルタであっても、形状を保持することが可能となり取扱性及び着脱性を向上できる。プレフィルタユニットを構成する取付け枠が、枠体と、メッシュフィルタからなることにより、綿埃のような比較的大きな塵埃をメッシュフィルタで補塵することが可能となり、プレフィルタを清浄に保つ時間を延ばすことができ、清掃などのメンテナンスを容易にすることができる。
プレフィルタユニットを構成する取付け枠が、枠体と、メッシュフィルタを一体成形することにより、更に、安価で取扱性の良好な構造とすることができる。プレフィルタユニットを構成するプレフィルタが、薄いシート状で形成され、薬剤を塗布あるいは含有することにより、薬剤の効果に応じた機能を発現することが可能となる。またプレフィルタユニット内のプレフィルタが、薄いシート状で形成されているため、プレフィルタユニットを小型化でき、空気清浄機自体の寸法を小さくすることが可能となる。
【0018】
本発明は、フィルタ取付け部と、空気が流通する浄化フィルタユニットと、浄化フィルタユニットの上流側に配置されるプレフィルタユニットと、浄化フィルタユニットの下流側に設けられたファンモータとを備える空気清浄機において、プレフィルタユニットは、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることを特徴とする。好ましくは、プレフィルタユニットは、同一形状の複数のフィルタ枠と、集塵以外の機能を備えるプレフィルタを備え、プレフィルタは、180°反転した複数のフィルタ枠によって挟み込まれることによって複数のフィルタ枠に保持される。好ましくは、各フィルタ枠は、対角位置に爪と穴を備え、複数のフィルタ枠は、一方のフィルタ枠の爪が他方のフィルタ枠の穴に嵌め込まれ、一方のフィルタ枠の穴が他方のフィルタ枠の爪に嵌め込まれることによって互いに結合される。好ましくは、各フィルタ枠は、メッシュフィルタを備える。
【0019】
この構成によれば、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることにより、フィルタ押さえ枠や枠体が不要となり、プレフィルタユニットの取付け構造を簡素化できる。また、本発明によれば、プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによってフィルタ取付け部に形成された被係止部にプレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、フィルタ取付け部に装着されることにより、フィルタ押さえ枠や枠体が不要となり、空気清浄機を小型化できる。
【0020】
本発明は、空気吸入手段と、集塵機能と脱臭機能の少なくとも1つを有する第1のフィルタユニットと、第1のフィルタの上流側に配置される第2のフィルタユニットとを備えた空気清浄機において、第2のフィルタユニットは、同一形状の2つの枠を備え、上下を反転させると共に表裏を反転させた2つの枠によって、着脱自在なシート状のフィルタを挟み込むことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、シート状のフィルタを容易に交換できる。さらに、シート状のフィルタを位置ずれなく、しわを寄せることなく、保持できる。さらに、異なる形状の枠を用意する必要がなく、1つの金型で枠を生成でき、生産効率を向上できる。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。
【0023】
図1に示す空気清浄機1は、図2(b)に示すように、前面パネル4と前部筐体ケース3との間のクリアランスcを通して室内(被清浄空間)の空気を吸入するためのファンモータ9(図2(b)参照)と、ファンモータ9によって吸入される室内の空気の集塵や脱臭を行うためのプレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8(メインフィルタユニット)と、室内の空気を加湿するための水が貯留されている水タンク10と、プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8を通して清浄された空気を水タンク10内から汲み上げられた水により加湿する気化フィルタユニット11と、プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8を通して清浄にされた空気の水分を吸い取る除湿用のデシカントロータ12と、デシカントロータ12で吸収した水分を気化する空気を加熱するためのヒータ13と、デシカントロータ12から吸収し気化された水分を含む空気からその水分を凝縮するための凝縮器14と、ファンモータ9の遠心ファン9aの周りを囲うとともに上部の排出口に向かって遠心ファン9a外周との間隙が拡がって形成され清浄にされた空気を排出するための渦巻状のファンケーシング15とを備えている。ファンモータ9の上流側または下流側に、さらにイオン発生器を備えていてもよい。除湿に必要なデシカントロータ12,ヒータ13,凝縮器14を必須の構成ではなく、なくてもよい。加湿に必要な水タンク10,気化フィルタユニット11も必須の構成ではなく、なくてもよい。プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8,気化フィルタユニット11,デシカントロータ12を、空気吸入手段であるファンモータ9の上流側かつ前側に配置する代わりに、浄化フィルタユニット8,気化フィルタユニット11,デシカントロータ12の全部または一部をファンモータ9の下流側に配置してもよいし、プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8,気化フィルタユニット11,デシカントロータ12を、ファンモータ9の上流側かつ後側に配置してもよい。
【0024】
図1,図2(b)に示すように、空気清浄機1の筐体である前部筐体ケース3と前面パネル4との間には、クリアランスc(隙間)が上下左右に形成され、このクリアランスcを通して、図2(b)の矢印a11のように、室内の汚れた空気が空気清浄機1内に吸入され、プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8を通ってろ過され清浄にされた空気が、渦巻状のファンケーシング15に案内され図1に示すように、主部筐体ケース2の上部に開口された排出口2oを通って、室内に排出される。
【0025】
浄化フィルタユニット8とプレフィルタユニット5と、前面パネル4は、図3の順序で空気清浄機に配置される。つまり前側かつ上流側から、前面パネル4,プレフィルタユニット5,浄化フィルタユニット8の順序で配置される。先ず最初に、浄化フィルタユニット8が空気清浄機1の前部に形成された前部筐体ケース浄化フィルタ取付け部3iのスペースに挿入される。浄化フィルタユニット8は上流側が塵埃などを補塵する集塵フィルタ8aであり、後部が活性炭を含む脱臭フィルタ8bである。また、集塵フィルタ8aと脱臭フィルタ8bとは、図3のようにそれぞれ独立していても良いし、一体となっていても良い。脱臭フィルタ8bに塵埃が堆積するのを抑制するのであれば、集塵フィルタ8aを上流側に配置し脱臭フィルタ8bを下流側に配置するのが好ましいが、集塵フィルタ8aに捕集・堆積する塵埃の一部を脱臭フィルタ8bで補修するのであれば、脱臭フィルタ8bを上流側に配置し集塵フィルタ8aを下流側に配置するのが好ましい。集塵フィルタ8aは、いわゆるHEPAフィルタなどであって、微細な塵埃を補塵する。HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)とは、空気中からゴミ,塵埃などを取り除き、清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種であり、「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」である、HEPAフィルタの代わりに、粒子捕集効率をさらに上げたULPAフィルタを用いてもよい。集塵フィルタ8aは、プレフィルタユニット5や脱臭フィルタ8bよりも通気穴の径が小さく、粒子捕集率が高い。集塵フィルタ8aは、ひだ状に折られていてもよい。ひだ状に折られていれば、集塵フィルタ8aの空気への接触面積を大きくでき、通気抵抗を低減できる。
【0026】
その後、図4に示すプレフィルタユニット5側のプレフィルタ係止部6aを、前部筐体ケース3側の前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aに、プレフィルタユニット5の弾性を利用して変形させて取付ける。つまり、プレフィルタユニット5の側面に、左右方向の圧縮力を加え、プレフィルタユニット5を左右方向に撓ませて、左右方向の長さを短くした状態で、プレフィルタ係止部6aを前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aの内側に挿入し、プレフィルタユニット5に加えていた圧縮力を除去する。上から見ると、前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aは、略「コ」の字形状である。取付ける状態の図を図7に示す。4つのプレフィルタ係止部6aを左右外側に2つずつ設け、4つの前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aを左右のプレフィルタ係止部6aに対応する位置に2つずつ設ける代わりに、4つのプレフィルタ係止部6aを上下外側に2つずつ設け、4つの前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aを左右のプレフィルタ係止部6aに対応する位置に2つずつ設けてもよいし、4つのプレフィルタ係止部6aを上下左右外側に1つずつ設け、4つの前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aを上下左右のプレフィルタ係止部6aに対応する位置に1つずつ設けてもよい。最後に前部筐体ケースパネル取付け部3bに前面パネルの係止部(図示せず)を弾性変形させて取付ける。図3記載のプレフィルタ5は、組み合わされて図5の形態となる。プレフィルタユニット5によって、浄化フィルタユニット8が前部筐体ケース浄化フィルタ取付け部3iから脱落するのを防止できる。ただし、プレフィルタユニット5を前部筐体ケース3に取付ける代わりに、プレフィルタユニット5を前面パネル4の後面に取付けてもよい。
【0027】
以下、プレフィルタユニット5の構造について詳細に説明する。
【0028】
図4にはプレフィルタ枠6の正面図を示す。プレフィルタ枠6は、略四角形状の枠部6b及び枠部6bの内側に格子状に設けられた補強部6cからなり、材質はPP(ポリプロピレン),ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの樹脂製で、射出成形により成形される。プレフィルタ枠6は、樹脂以外でもよいが、ある程度の剛性と弾性を有する材質が好ましい。枠部6bおよび補強部6cは一体で構成されるのが好ましいが、別体であってもよい。図4の実施例では、補強部6cの数量は縦2本,横3本であるが、縦0〜4本,横0〜6本の間でそれぞれ任意に組み合わせて選定しても良い。
【0029】
枠部6bの上下左右の辺の外周部の裏面には、爪部6dと、挿入穴部6eが交互に配置されている。上下左右の各辺には、爪部6dと挿入穴部6eとが2つずつ配置されている。上辺の爪部6dと下辺の爪部6dの位置関係、上辺の挿入穴部6eと下辺の挿入穴部6eの位置関係、左辺の爪部6dと右辺の爪部6dの位置関係、左辺の挿入穴部6eと右辺の挿入穴部6eの位置関係のそれぞれは、プレフィルタ枠6センタを中心軸として180°回転した位置関係(対角位置の関係)にある。プレフィルタユニット5を前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aに取付けるためのプレフィルタ係止部6aがプレフィルタ枠6の端面に1箇所配置されており、更にプレフィルタ枠6センタを中心軸として180°回転した位置(対角位置)にもプレフィルタ係止部6aが配置されている。
【0030】
図3に示すように、プレフィルタユニット5は、同一形状である2つのプレフィルタ枠6を、相互に180°回転させて相対させ(裏面同士を対向させ)、2つのプレフィルタ枠6の裏面でプレフィルタ7を挟み込み、組立てられる。交互に配置された爪部6dと挿入穴部6eが嵌合することにより図5に示すプレフィルタユニット5となる。外周部に設ける爪部6dと挿入穴部6eは1個おきに交互に配置する必要はなく、2個おき、3個おきに配置されても良く、数量は一辺に2〜8個程度設ける。つまり同一形状のプレフィルタ枠6を180°回転させて爪部6dと挿入穴部6eがかみ合う構造であれば良い。同一形状のプレフィルタ枠6を使用するため成形用の金型は1種類で済み、安価にプレフィルタユニット5を構成することが可能となる。
【0031】
図6にはプレフィルタ枠6の爪部6dと挿入穴部6eの断面図を示し、プレフィルタ7を挟み込みプレフィルタユニット5となる状態を示す。プレフィルタ枠6の裏面は、爪部6dが突出した側である。爪部6dおよび挿入穴部6eは、プレフィルタ枠6の裏面に配置される。
【0032】
プレフィルタ7を挟み込むプレフィルタ枠6同士の隙間5cは約1mm程度あり、プレフィルタ7の厚みが1mm以下であれば非常に薄いプレフィルタ7でも保持することが可能となる。プレフィルタ7の厚みが1mm以上の厚みの場合には、プレフィルタ枠6同士の隙間5cを大きくしておけば良い。プレフィルタ枠6同士の隙間5cは、プレフィルタ7の厚み以上であるのが好ましいが、未満であってもよい。
【0033】
プレフィルタ7は、メルトブロー不織布などでできており、ナノチタン酸化物などの塗布により抗菌や消臭作用などの機能を付与することができる。また、樹脂に抗菌作用を持つ物質を練り込みにより配合して繊維状とし、これを編むことによりネット状のシートなどとしても良い。つまりプレフィルタ7は、浄化フィルタユニット8の集塵フィルタ8aよりも大きな塵埃を補塵する目付け量となっており、且つ薄いシート状であれば、薬剤を塗布したり含有させることにより配合する薬剤の効果を得ることができる。プレフィルタ7の縦横の大きさは、プレフィルタ枠6の爪部6d,挿入穴部6eに掛からない程度の大きさにすることで組立が容易となる。プレフィルタ枠6全面に単一のプレフィルタ7を配置しても良いし、任意寸法にカットして、組み合わせてプレフィルタ枠6で挟み込んでも良い。この方法により、機能の異なるプレフィルタの効果を得ることもできる。プレフィルタ7は、使用者が交換可能である。プレフィルタ7を交換する際、使用者は、プレフィルタ7を挟み込んでいる2つのプレフィルタ枠6を分離し、プレフィルタ7を取り出し、新しいプレフィルタ7を2つのプレフィルタ枠6で挟み込んで空気清浄機1に組み込むことができる。よって、プレフィルタ7は使い捨てであっても、プレフィルタ枠6は再利用可能である。よって、無駄を省くことができる。
【0034】
プレフィルタ7を取付けない場合、プレフィルタユニット5は一般的なプレフィルタとして使用することができる。図8にはプレフィルタユニット5のプレフィルタ係止部6aが前部筐体ケースプレフィルタ被係止部3aに挿入され組立てられた状態の断面図を示す。プレフィルタ7を取付けずに、プレフィルタユニット5をプレフィルタとして使用する場合は、プレフィルタユニット5のプレフィルタ枠6は、2つでもよいが、1つでもよい。プレフィルタ枠6にメッシュフィルタ16を同一材料で一体に形成してもよい。横からの断面で見ると、プレフィルタ枠6よりも厚みの薄いメッシュフィルタ16は、プレフィルタ枠6の裏面側に位置する。
【0035】
また、プレフィルタ枠6とプレフィルタ7との間に、メッシュフィルタ16を配置することにより、比較的大きな塵埃を補塵することができ、プレフィルタ7を清浄に保つことができる。メッシュフィルタ16の粒子捕集率は、集塵フィルタ8aの粒子捕集率よりも低い。メッシュフィルタ16は、図9に示すようにプレフィルタ枠6と別体としてもよく、また、プレフィルタ枠6成形時、メッシュフィルタ16をインサートし、一体成形して製作しても良い。メッシュフィルタ16の仕様は、材質PP,ABS,ポリエステルなどが用いられ、線径0.1〜3mm,メッシュサイズ縦10メッシュ〜200メッシュ,10〜200メッシュのものが任意に組み合わされて適用される。綿埃のような比較的大きな塵埃を補塵する場合には、メッシュサイズ10メッシュ程度を使用し、比較的小さな塵埃を補塵する場合には200メッシュのフィルタを選択する。
【0036】
シート状のプレフィルタ7を、2つのプレフィルタ枠6によって挟み込んでいるため、用途によりシート状のプレフィルタ7を使い分けることができる。メッシュフィルタ16を具備しているプレフィルタ枠6が、メインの浄化フィルタユニット8の上流側に配置されているため、交換や掃除などのメンテナンスがしやすい。シート状のプレフィルタ7がなく、プレフィルタ枠6単体で使用しても大きな埃などを捕集できるプレフィルタとしてメインの浄化フィルタユニット8の目詰まりを防ぐことができる。
【0037】
プレフィルタ7の前後を格子状の2つのプレフィルタ枠6によって挟み込んで保持することにより、プレフィルタユニット5を空気清浄機1に取付ける際に、プレフィルタ7の位置がずれたり、プレフィルタ7にしわが生じたりするのを、抑制できる。さらに、プレフィルタ7の前後を格子状の2つのプレフィルタ枠6によって挟み込んで保持することにより、空気清浄機1が稼動してプレフィルタ7に吸い込み空気があたっても、プレフィルタ7の位置がずれたり、プレフィルタ7にしわが生じたりするのを抑制するだけでなく、プレフィルタ7の長手方向の中央部が空気によって下流側へ膨らむのを抑制でき、プレフィルタ7を通過せずプレフィルタ7の側面から下流側へ漏れる空気を低減でき、さらに、プレフィルタ7が損傷するのも抑制できる。プレフィルタ7が、シート状で、自立できないほど剛性の低いものである場合は、上記の効果が特に顕著である。さらに、格子状の2つのプレフィルタ枠6のプレフィルタ7側の面(裏面)にメッシュフィルタ16を設けることにより、さらに、プレフィルタ7の位置がずれたり、プレフィルタ7にしわが生じたりするのを抑制し、プレフィルタ7の長手方向の中央部が空気によって下流側へ膨らむのを抑制できる。
【0038】
本発明の技術思想は、空気清浄機だけでなく、空気調和機(エアコンディショナ)や、除湿機,加湿器にも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 空気清浄機
3 前部筐体ケース
3a 前部筐体ケースプレフィルタ被係止部
3b 前部筐体ケースパネル取付け部
3i 前部筐体ケース浄化フィルタ取付け部
4 前面パネル
5 プレフィルタユニット
6 プレフィルタ枠
6a プレフィルタ係止部
6b 枠部
6c 補強部
6d 爪部
6e 挿入穴部
7 プレフィルタ
8 浄化フィルタユニット
8a 集塵フィルタ
8b 脱臭フィルタ
9 ファンモータ
16 メッシュフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ取付け部と、空気が流通する浄化フィルタユニットと、前記浄化フィルタユニットの上流側に配置されるプレフィルタユニットと、前記浄化フィルタユニットの下流側に設けられたファンモータとを備える空気清浄機において、
前記プレフィルタユニットは、前記プレフィルタユニット自体を弾性変形させることによって前記フィルタ取付け部に形成された被係止部に前記プレフィルタユニットに形成された係止部を挿入することによって、前記フィルタ取付け部に装着されることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記プレフィルタユニットは、同一形状の複数のフィルタ枠と、集塵以外の機能を備えるプレフィルタを備え、
前記プレフィルタは、180°反転した前記複数のフィルタ枠によって挟み込まれることによって前記複数のフィルタ枠に保持されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
各フィルタ枠は、対角位置に爪と穴を備え、
前記複数のフィルタ枠は、一方のフィルタ枠の爪が他方のフィルタ枠の穴に嵌め込まれ、前記一方のフィルタ枠の穴が前記他方のフィルタ枠の爪に嵌め込まれることによって互いに結合されることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
各フィルタ枠は、メッシュフィルタを備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−55844(P2012−55844A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202629(P2010−202629)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】