説明

空気清浄装置および空気清浄方法

【課題】装置が流路方向に薄型化され、圧損が小さい放電型光触媒方式の空気清浄装置、およびこの空気清浄装置を用いた空気清浄方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る空気清浄装置1は、空気が流通する流路60中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部11が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部12が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10と、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に対向して配置された第1の電極20と、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の基体との間に電圧を印加する電源部50とを備え、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の基体14は電気導電性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電と光触媒とオゾン分解触媒とを利用して空気中に含まれる悪臭成分を吸着・分解することにより空気の脱臭等を行う脱臭技術に関し、詳しくは放電光を照射することで活性化した光触媒と、オゾンと、酸素ラジカルとの作用により空気に含まれる有機化学物質を酸化分解して清浄、脱臭、除菌する空気清浄装置および空気清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中のアンモニア、ホルムアルデヒド等の有機化学物質の脱臭を行う空気清浄装置としては、活性炭等の吸着剤を用いて吸着除去するタイプの装置が主流であった。
【0003】
しかし、吸着除去する空気清浄装置は、吸着剤への有機化学物質の吸着飽和により脱臭効果が低下するため、吸着剤の交換が必要である。このため、吸着除去する空気清浄装置は、吸着剤の交換等により、メンテナンスが煩雑であるとともに吸着剤の交換コストが高いという問題があった。
【0004】
これに対し、近年、放電用電極を用いて放電を発生させ、その際に生じる紫外光により光触媒を活性化させて、空気中のアンモニア、ホルムアルデヒド等の有機化学物質を酸化分解して空気を清浄化、あるいは脱臭を行う放電型光触媒方式の空気清浄装置が知られている。
【0005】
たとえば、特許文献1(特開2003−310731号公報)には、放電型光触媒方式の空気清浄装置として、図14に示すような空気清浄装置70が開示されている。空気清浄装置70は、流路80内に設けられた光触媒モジュール71と、流路80内の光触媒モジュール71の後段部に設けられたオゾン分解触媒モジュール75と、光触媒モジュール71の前記流路における上流側および下流側にそれぞれ配置された高圧電極72、接地電極73と、高圧電極72、接地電極73間に導線76、77を介して高電圧を印加する高圧電源74とを備えるものである。
【0006】
空気清浄装置70は、光触媒反応、オゾンによる酸化、およびオゾンの分解の際に生じた化学的活性の高い酸素ラジカルによる酸化等の作用により、有機化学物質を無害な物質に分解して除去する。
【0007】
空気清浄装置70によれば、吸着除去するタイプの空気清浄装置と異なり、吸着剤を交換する必要がないため、メンテナンスの手間とコストが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−310731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、空気清浄装置70は、光触媒モジュール71とオゾン分解触媒モジュール75という2個のモジュールを直列的に配置しているため、モジュールの流路内への設置には多くの取り付けスペースが必要である。このため、空気清浄装置70は、装置全体が流路方向に長くなるという問題があった。
【0010】
また、空気清浄装置70は、光触媒モジュール71を挟むようにして高圧電極72と接地電極73とが設けられている。この高圧電極72および接地電極73は、三次元網目構造等の通気可能な構造になっているが、電極を通気方向に2枚直列的に配置するため圧損は大きい。このため、空気清浄装置70は、流路内に空気を流したときに圧損が大きくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、装置が流路方向に薄型化され、圧損が小さい放電型光触媒方式の空気清浄装置、およびこの空気清浄装置を用いた空気清浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気清浄装置は、上記問題点を解決するものであり、空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールと、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に対向して配置された第1の電極と、この第1の電極と前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの基体との間に電圧を印加する電源部とを備え、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの基体は電気導電性を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る空気清浄装置は、上記問題点を解決するものであり、空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールと、第1の電極とこの第1の電極との間で放電光を発生する第2の電極とを有し、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に対向して配置された放電光発生電極ユニットと、この放電光発生電極ユニットの第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部とを備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る空気清浄方法は、上記問題点を解決するものであり、空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールを備える空気清浄装置を用い、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に放電光を照射しつつ、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールに光触媒機能部側から空気を供給しオゾン分解機能部側から空気を排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る空気清浄装置によれば、流路方向に薄型化され、圧損が小さい放電型光触媒方式の空気清浄装置が得られる。
【0016】
本発明に係る空気清浄方法によれば、流路方向に薄型化され、圧損が小さい放電型光触媒方式の空気清浄装置を用いて、空気を清浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る空気清浄装置の第1の実施形態の断面図。
【図2】図1に示す空気清浄装置に用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュールの斜視図。
【図3】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部の拡大図。
【図4】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部の拡大図。
【図5】本発明に係る空気清浄装置の第2の実施形態の断面図。
【図6】図5に示す空気清浄装置に用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュールの斜視図。
【図7】図6に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部の拡大図。
【図8】図6に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部の拡大図。
【図9】本発明に係る空気清浄装置の第3の実施形態の断面図。
【図10】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部の他の形態の拡大図。
【図11】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部のさらに他の形態の拡大図。
【図12】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部の他の形態の拡大図。
【図13】図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部のさらに他の形態の拡大図。
【図14】従来の空気清浄装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る空気清浄装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る空気清浄装置の第1の実施形態の断面図である。
【0020】
図1に示す空気清浄装置1は、放電型光触媒方式の空気清浄装置であり、空気が流通する流路60中に配置された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10と、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に対向して配置された第1の電極20と、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10との間に電圧を印加する電源部50とを備える。
【0021】
空気清浄装置1は、流路60中を図1中矢印65、66方向に空気を流通させる図示しないファンが設けられる。
【0022】
空気清浄装置1は、流路60中の空気に含まれる有機化学物質を酸化分解等により除去する。
【0023】
本発明で用いられる有機化学物質としては特に限定されないが、たとえば、アンモニア、ホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0024】
(光触媒−オゾン分解触媒モジュール)
図2は、図1に示す空気清浄装置1に用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の斜視図である。図3は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11の拡大図である。図4は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12の拡大図である。
【0025】
図2〜図4に示すように、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10は、通気可能な基体14を用い、この基体14のうち、上流側部分に光触媒機能部11が形成されるとともに、下流側部分にオゾン分解機能部12が形成されたものである。
【0026】
ここで上流側部分とは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のうち第1の電極20側の部分を意味する。また、下流側部分とは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のうち第1の電極20と反対側の部分を意味する。
【0027】
光触媒機能部11とは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のうち、基体14の表面に、直接にまたは他の構成を介して間接的に、光触媒反応を行う光触媒反応部15が形成された部分を意味する。
【0028】
オゾン分解機能部12とは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のうち、基体14の表面に、直接にまたは他の構成を介して間接的に、オゾン分解反応を行うオゾン分解触媒反応部17が形成された部分を意味する。
【0029】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10において、光触媒機能部11とオゾン分解機能部12とは同一の基体14に連続して形成されている。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10は、光触媒機能部11とオゾン分解機能部12との2つの部分からなり、基体14単独で露出した部分を実質的に有しない。
【0030】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10は、空気が流通する流路60中に配置される。
【0031】
<基体>
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に用いられる基体14は、通気可能な空隙を有するとともに電気導電性を有する部材であり、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の全体にわたり一体成形されたものである。
【0032】
基体14としては、たとえば、電気導電性を有する材質からなるハニカム構造体が用いられる。ハニカム構造体のセルの流路の断面形状としては、特に限定されず、六角形、四角形、三角形等が挙げられる。
【0033】
基体14として、ハニカム構造体を用いると、表面積が大きいとともに圧損が小さいため好ましい。
【0034】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に用いられる基体14の材質としては、たとえば、アルミニウム、銅、銀、ステンレス、マグネシウム等の電気導電性を有する金属が挙げられる。
【0035】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に用いられる基体14は、電気導電性を有するため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の基体14を導線52を介して電源部50に接続することにより、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10を電極として用いることができるようになっている。
【0036】
このため、図1に示す空気清浄装置1は、電源部50に導線51を介して接続された第1の電極20を高圧電極とし、電源部50に導線52を介して接続された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10を接地電極とすることにより、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10との間で放電させることが可能になっている。
【0037】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11は、この放電光により光触媒反応を生じる。
【0038】
<光触媒機能部>
図3に示すように、光触媒機能部11は、基体14と、基体14の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部15とを有する。
【0039】
光触媒反応部15の形成に用いられる光触媒としては、たとえば、酸化チタンTiO、酸化イットリウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化タングステン等や、これらに白金、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。このうち、酸化チタンTiOは、高電圧印加で得られる一般的な放電光である波長300nm〜400nmの光に対して光触媒活性が高いため、好ましい。
【0040】
光触媒反応部15の形成に用いられる光触媒は、粒子状であると基体14の表面に担持したときに表面積が大きくなるため好ましい。
【0041】
粒子状の光触媒の粒径は特に限定されないが、通常1nm〜100nm、好ましくは5nm〜40nmである。粒径がこの範囲内にあると、光触媒反応部15の比表面積が大きくなるため好ましい。
【0042】
光触媒反応部15は、上記光触媒を公知の方法で基体14の表面に担持させることにより形成される。
【0043】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11は、第1の電極20−第2の電極22間で発生した放電光により光触媒反応を生じるものである。
【0044】
具体的には、流路60中に空気を流通させた状態で光触媒機能部11に光触媒反応を生じさせると、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。流路60内の空気中に有機化学物質が含まれる場合には、ヒドロキシラジカル(・OH)は有機化学物質を酸化分解する。これにより、光触媒機能部11から排出された空気は、有機化学物質の濃度が少なくなる。
【0045】
<オゾン分解機能部>
図4に示すように、オゾン分解機能部12は、基体14と、基体14の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部17とを有する。
【0046】
オゾン分解触媒反応部17の形成に用いられるオゾン分解触媒としては、たとえば、Mn、CuまたはNiの酸化物、Ni、Co、MnまたはCuを含有する多孔質カーボン、ゼオライト、および粘土鉱物の少なくとも1つからなるオゾン分解物質が用いられる。
【0047】
オゾン分解触媒反応部17の形成に用いられるオゾン分解触媒は、粒子状であると基体14の表面に担持したときに表面積が大きくなるため好ましい。
【0048】
粒子状のオゾン分解触媒の粒径は特に限定されないが、通常1nm〜100nm、好ましくは5nm〜40nmである。粒径がこの範囲内にあると、オゾン分解触媒反応部17の比表面積が大きくなるため好ましい。
【0049】
オゾン分解触媒反応部17は、上記オゾン分解触媒を公知の方法で基体14の表面に担持させることにより形成される。
【0050】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12は、流路60中の空気に含まれるオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。流路60内の空気中に有機化学物質が含まれる場合には、酸素ラジカルは有機化学物質を酸化分解する。これにより、オゾン分解機能部12から排出された空気は、有機化学物質の濃度が少なくなる。
【0051】
(第1の電極)
第1の電極20は、空気が通気可能で、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に対向して配置される電極である。第1の電極20は、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間で、放電光の発生が可能な電極になっている。
【0052】
第1の電極20としては、たとえば、導電性を有する材料からなるメッシュ状、格子状、円柱状等の電極が用いられる。
【0053】
第1の電極20は、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間の放電の際に、高圧電極になるように電源部50に接続される。
【0054】
具体的には、第1の電極20は、導線51を介して電源部50の高電圧側の端子に接続される。
【0055】
(電源部)
電源部50は、導線51、52を介して、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の基体14との間に電圧を印加する。
【0056】
電源部50としては、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間に高電圧を印加して放電光を発生させることが可能なものが用いられる。電源部50としては、たとえば、高周波高圧電源、高圧パルス発生回路、高圧直流電源等が用いられる。
【0057】
電源部50は、放電の際に、第1の電極20が高圧電極になり、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10が接地電極になるように、第1の電極20および光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に接続される。
【0058】
電源部50により、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10との間に電圧が印加されると、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間に放電光が発生するようになっている。
【0059】
第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間で発生させる放電光としては、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に担持された光触媒が光触媒反応を起こす波長のものが用いられる。具体的には、放電光として、波長10nm〜400nmの紫外線等が用いられる。
【0060】
第1の電極20とオゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間に放電光が発生すると、放電光により、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に担持された光触媒が光触媒反応を起こすとともに、流路60中の空気の一部が酸化されてオゾンが生成される。
【0061】
(作用)
図1を参照して空気清浄装置1の作用について説明する。
【0062】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1の流路60内に矢印65の方向に供給する。一方、電源部50を用いて第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の基体14との間に電圧を印加し、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間に放電光を発生させる。このとき、第1の電極20を高圧電極とし、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を接地電極とするようにして放電させる。
【0063】
第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間に放電光が発生すると、放電光の作用により、流路60内で放電光の近傍にある空気中の酸素からオゾンが生成される。生成したオゾンは、放電光の近傍から下流の流路60内、すなわち、第1の電極20より下流の流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0064】
一方、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11では、放電光により光触媒反応部15において光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0065】
このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気は、空気中に含まれる有機化学物質の量が少なくなっている。なお、オゾンは、通常、空気中で数時間程度、分解されずに残存する。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気中にはオゾンが相当量存在する。
【0066】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気は、直ちに光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12に導入される。
【0067】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12では、オゾン分解触媒反応部17の表面で、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気中に存在するオゾンが分解されるとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルが生成される。この酸素ラジカルは、流路60中の空気に含まれる有機化学物質を実質的に全て分解する。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12から、すなわち光触媒−オゾン分解触媒モジュール10から矢印66の方向に排出された空気中には有機化学物質は実質的に存在しなくなる。なお、酸素ラジカルは、極めて短時間で自然に消滅する。このため、空気清浄装置1から排出される空気は、有機化学物質や酸素ラジカルを実質的に含まない清浄な空気となる。
【0068】
このように、空気清浄装置1では、1個の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に光触媒機能部11とオゾン分解機能部12とが一体的に形成されている。このため、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとが別部材として設けられる従来の空気清浄装置に比べて、空気清浄装置1の空気の流路方向の長さが小さくなることから装置の薄型化が可能になるとともに、圧損も小さくなる。
【0069】
すなわち、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとが別部材として設けられる従来の空気清浄装置では、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの間に流路が設けられるため、この流路の分だけ空気清浄装置1の空気の流路方向の長さが大きくなったり、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの間に流路の拡大、縮小が生じて圧損が大きくなったりしやすかった。
【0070】
これに対し、空気清浄装置1では、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの間に余分な流路がなく、また流路の拡大、縮小もないため、空気清浄装置1の空気の流路方向の長さが小さくなることから装置の薄型化が可能になるとともに、光触媒機能部11とオゾン分解機能部12との間における圧損が実質的に生じない。
【0071】
また、空気清浄装置1では、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10が接地電極としての機能も有し、高圧電極である第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10との間で放電させることができる。このため、光触媒モジュールを高圧電極としての第1の電極と接地電極としての第2の電極との間に配置する従来の空気清浄装置のように、接地電極である第2の電極をさらに設ける必要がない。これにより、空気清浄装置1では、第2の電極の製造コストや、第2の電極の取り付けに必要な空気清浄装置1の空気の流路方向のスペースや第2の電極による圧損を削減することができる。
【0072】
空気清浄装置1によれば、光触媒機能部分とオゾン分解触媒機能部分とが1個の基体に形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10を用いるため、空気清浄装置1の空気の流路方向における薄型化が可能になるとともに、圧損も小さくなる。
【0073】
また、空気清浄装置1によれば、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10が接地電極としても機能し、光触媒機能部分の下流側に接地電極としての第2の電極をさらに設ける必要がないため、空気清浄装置1の空気の流路方向におけるさらなる薄型化が可能になるとともに、圧損もより小さくなる。
【0074】
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る空気清浄装置の第2の実施形態の断面図である。
【0075】
図5に示す空気清浄装置1Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1と同様に放電型光触媒方式の空気清浄装置であり、空気が流通する流路60中に配置された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aと、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に対向して配置され、別々に設けられた第1の電極20Aと第2の電極30Aとを有する放電光発生電極ユニット40Aと、放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に電圧を印加する電源部50とを備える。
【0076】
図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に比較して、接地電極としても用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に代えて接地電極として用いられない光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを用い、第1の電極20に代えて別々に設けられた第1の電極20Aと第2の電極30Aとを有する放電光発生電極ユニット40Aを用いるとともに、電源部50に接続された導線52を光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に代えて放電光発生電極ユニット40Aの第2の電極30Aに接続した点で異なり、その他の構成は同じである。
【0077】
このため、図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0078】
(光触媒−オゾン分解触媒モジュール)
図6は、図5に示す空気清浄装置1Aに用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの斜視図である。図7は、図6に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aの拡大図である。図8は、図6に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解機能部12Aの拡大図である。
【0079】
図6〜図8に示すように、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aは、通気可能な基体14Aを用い、この基体14Aのうち、上流側部分に光触媒機能部11Aが形成されるとともに、下流側部分にオゾン分解機能部12Aが形成されたものである。
【0080】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aおよび光触媒機能部11Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10および光触媒機能部11に比較して、基体14に代えて基体14Aを用いた点が異なり、その他の構成は同じである。
【0081】
このため、以下、基体14Aについて説明し、他の構成および作用についての説明を省略または簡略化する。
【0082】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aは、空気が流通する流路60中に配置される。
【0083】
<基体>
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aに用いられる基体14Aは、通気可能な空隙を有する部材であり、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの全体にわたり一体成形されたものである。
【0084】
空気清浄装置1Aに用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10と異なり、接地電極として用いられない。このため、空気清浄装置1Aに用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの基体14Aは、電気導電性を有する部材である必要はなく、電気導電性を有する部材であってもよいし、電気導電性を有しない部材であってもよい。
【0085】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aに用いられる基体14Aとしては、たとえば、三次元網目構造等の多孔質部材や、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に用いられる基体14と同じ電気導電性を有する材質からなるハニカム構造体が挙げられる。
【0086】
基体14Aが多孔質部材である場合の基体14Aの材質としては、たとえば、コーディエライト(MgAlSi18)を主成分とするケイ酸塩、アルミナ珪酸ガラス、アルミナ、シリカ、マグネシア、炭化珪素、チタン酸アルミニウム等が用いられる。ここで、コーディエライトを主成分とするということは、ケイ酸塩の50重量%以上がコーディエライトであることを意味する。
【0087】
三次元網目構造を有する基体14Aは、コーディエライトであると、光触媒反応部15が基体11から剥離しにくいため好ましい。
【0088】
基体14Aが電気導電性を有する材質からなるハニカム構造体である場合については、この基体14Aの材質光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に用いられる基体14の材質と同じであるから説明を省略する。
【0089】
<光触媒機能部>
図7に示すように、光触媒機能部11Aは、基体14Aと、基体14Aの表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部15とを有する。
【0090】
光触媒反応部15の形成に用いられる光触媒は、第1の実施形態として示した空気清浄装置1の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10において光触媒機能部11の光触媒反応部15の形成に用いられる光触媒と同じであるため、説明を省略する。
【0091】
<オゾン分解機能部>
図8に示すように、オゾン分解機能部12Aは、基体14Aと、基体14Aの表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部17とを有する。
【0092】
オゾン分解触媒反応部17の形成に用いられるオゾン分解触媒は、第1の実施形態として示した空気清浄装置1の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10においてオゾン分解機能部12のオゾン分解触媒反応部17の形成に用いられるオゾン分解触媒と同じであるため、説明を省略する。
【0093】
(放電光発生電極ユニット)
放電光発生電極ユニット40Aは、第1の電極20Aと、この第1の電極20Aとの間で放電光を発生する第2の電極30Aとを有する。
【0094】
放電光発生電極ユニット40Aは、バリア放電(無声放電ともいう)を行う電極ユニットである。
【0095】
第1の電極20Aは、導電体からなる。第1の電極20Aに用いられる導電体の材質としては、たとえば銅、アルミニウム等が挙げられる。第1の電極20Aは、断面円形の円柱状になっており、複数本離間して略平行に配置される。なお、図5に示す第1の電極20Aは円柱状であるが、第1の電極20Aは円柱状以外の形状でもよい。第1の電極20Aは、たとえば、四角柱状等の多角形柱状であってもよい。
【0096】
第1の電極20Aは、第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間の放電の際に、高圧電極になるように、導線51を介して電源部50の高電圧側の端子に接続される。
【0097】
第2の電極30Aは、導電体31とこの導電体31を被覆する誘電体層32とからなる。第2の電極30Aに用いられる導電体31の材質としては、たとえば、第1の電極20Aに用いられる導電体と同じものが挙げられる。第2の電極30Aの誘電体層32に用いられる誘電体の材質としては、たとえば、ポリ塩化ビニル等のプラスチックが挙げられる。
【0098】
第2の電極30Aは、断面円形の円柱状になっており、複数本離間して略平行に配置される。なお、図5に示す第2の電極30Aおよび第2の電極30Aを構成する導電体31は円柱状になっているが、第2の電極30Aおよび導電体31の形状は円柱状に限らない。第2の電極30Aおよび導電体31は、たとえば、四角柱状等の多角柱状であってもよい。
【0099】
第2の電極30Aは、第1の電極20Aに離間して配置される。具体的には、第1の電極20Aは、それぞれ第2の電極30A間の空隙に配置される。
【0100】
第2の電極30Aは、第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間の放電の際に、接地電極になるように、導線52を介して電源部50の低電圧側の端子に接続される。
【0101】
電源部50により、放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に電圧が印加されると、第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に放電光が発生するようになっている。
【0102】
図5に示す放電光発生電極ユニット40Aは、7本の第1の電極20Aと6本の第2の電極30Aとを有している。しかし、本発明のバリア放電を行う放電光発生電極ユニット40Aにおいて、第1の電極20Aと第2の電極30Aの本数は、上記の7本や6本に限定されず、任意の本数とすることができる。
【0103】
(電源部)
電源部50は、導線51、52を介して、放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に電圧を印加する。
【0104】
電源部50としては、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に用いられる電源部50と同様に、たとえば、高周波高圧電源、高圧パルス発生回路、高圧直流電源等が用いられる。
【0105】
電源部50は、放電の際に、第1の電極20Aが高圧電極になり、第2の電極30Aが接地電極になるように、第1の電極20Aおよび第2の電極30Aに接続される。
【0106】
電源部50により、放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に電圧が印加されると、第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に放電光が発生するようになっている。
【0107】
(作用)
図5を参照して空気清浄装置1Aの作用について説明する。
【0108】
なお、図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aの作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用に比較して、空気清浄装置1の放電が第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間で行われるのに対し、空気清浄装置1Aの放電が放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間で行われる点で異なり、他の作用は同じである。重複説明を避けるため、作用の説明を一部省略または簡略化する。
【0109】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1Aの流路60内に矢印65の方向に供給する。一方、電源部50を用いて放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に電圧を印加し、放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間にバリア放電により放電光を発生させる。このとき、第1の電極20Aを高圧電極とし、第2の電極30Aを接地電極とするようにして放電させる。
【0110】
放電光発生電極ユニット40Aは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11A側に配置されるため、放電光発生電極ユニット40Aで生じた放電光は、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11A側に強く照射される一方、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解触媒機能部12A側には実質的に照射されない。
【0111】
放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aと第2の電極30Aとの間に放電光が発生すると、放電光の作用により、流路60内で放電光の近傍にある空気中の酸素からオゾンが生成される。生成したオゾンは、放電光発生電極ユニット40Aから下流の流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0112】
一方、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aでは、放電光発生電極ユニット40Aで生じた放電光により光触媒反応部15において光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0113】
このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気は、空気中に含まれる有機化学物質の量が少なくなっている。なお、オゾンは、通常、空気中で数時間程度、分解されずに残存する。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気中にはオゾンが相当量存在する。
【0114】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気は、直ちに光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解機能部12Aに導入される。
【0115】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気が光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解機能部12Aに導入された後の工程の作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用と同じであるため、説明を省略する。
【0116】
空気清浄装置1Aによれば、光触媒機能部分とオゾン分解触媒機能部分とが1個の基体に形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを用いるため、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1と同様の効果を奏する。
【0117】
また、空気清浄装置1Aによれば、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを接地電極として用いず、放電光発生電極ユニット40Aが単独で放電光を照射するため、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に比較して、より安定な放電を行うことができる。
【0118】
なお、放電光発生電極ユニット40Aの流路60の流れ方向の厚さは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の第1の電極20の厚さと同程度である。このため、放電光発生電極ユニット40Aを配置しても、空気清浄装置1Aの流路60方向の厚さは、空気清浄装置1よりも長くならない。
【0119】
[第3の実施形態]
図9は、本発明に係る空気清浄装置の第3の実施形態の断面図である。
【0120】
図9に示す空気清浄装置1Bは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1と同様に放電型光触媒方式の空気清浄装置であり、空気が流通する流路60中に配置された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aと、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aに対向して配置され、第1の電極20Bと第2の電極30Bとが誘電体で被覆されて一体化した放電光発生電極ユニット40Bと、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に電圧を印加する電源部50とを備える。
【0121】
図9に第3の実施形態として示した空気清浄装置1Bは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に比較して、接地電極としても用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に代えて接地電極として用いられない光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを用い、第1の電極20に代えて第1の電極20Bと第2の電極30Bとが誘電体で被覆されて一体化した放電光発生電極ユニット40Bを用いるとともに、電源部50に接続された導線52を光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に代えて放電光発生電極ユニット40Bの第2の電極30Bに接続した点で異なり、その他の構成は同じである。
【0122】
このため、図9に第3の実施形態として示した空気清浄装置1Bは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0123】
また、空気清浄装置1Bに用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aは、図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aに用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aと同じ構成である。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aについての説明を省略する。
【0124】
(放電光発生電極ユニット)
放電光発生電極ユニット40Bは、第1の電極20Bと、この第1の電極20Bとの間で放電光を発生する第2の電極30Bと、第1の電極20Bと第2の電極30Bとを誘電体で一体的に被覆する誘電体層42とを有する。
【0125】
放電光発生電極ユニット40Bは、沿面バリア放電を行う電極ユニットである。
【0126】
第1の電極20Bは、導電体からなる。第1の電極20Bに用いられる導電体の材質としては、たとえば、図5に第2実施形態として示した空気清浄装置1Aにおいて放電光発生電極ユニット40Aの第1の電極20Aに用いられる導電体と同じものが挙げられる。
【0127】
第1の電極20Bは、断面矩形の四角柱状になっている。なお、図9に示す第1の電極20Bは四角柱状であるが、第1の電極20Bは四角柱状以外の形状でもよい。第1の電極20Bは、たとえば、六角柱状等の多角柱状や円柱状であってもよい。
【0128】
第1の電極20Bは、第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間の放電の際に、高圧電極になるように、導線51を介して電源部50の高電圧側の端子に接続される。
【0129】
第2の電極30Bは、導電体からなる。第2の電極30Bに用いられる導電体の材質としては、たとえば、第1の電極20Bに用いられる導電体の材質と同じものが挙げられる。第2の電極30Bは、導通しないように第1の電極20Bに離間して配置される。
【0130】
離間して配置された第1の電極20Bと第2の電極30Bとは、誘電体層42で一体的に被覆される。
【0131】
誘電体層42とは、誘電体からなり、第1の電極20Bと第2の電極30Bとを一体的に被覆する層である。誘電体層42に用いられる誘電体としては、たとえば、図5に第2実施形態として示した空気清浄装置1Aにおいて放電光発生電極ユニット40Aの第2の電極30Aの誘電体層32に用いられる誘電体と同じものが挙げられる。
【0132】
誘電体層42は、断面矩形の四角柱状になっている。誘電体層42を四角柱状にすると、誘電体層42の外表面近傍に埋設された第1の電極20Bと第2の電極30Bとが、誘電体層42の外表面で沿面バリア放電を行いやすいため好ましい。なお、誘電体層42は、四角柱状以外の形状でもよい。誘電体層42は、たとえば、六角柱状等の多角柱状や円柱状であってもよい。
【0133】
図9に示すように、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとは、誘電体層42の断面方向の4つの外表面のうち図5中下方の一面の近傍に平行して埋設される。第1の電極20Bと第2の電極30Bとが誘電体層42の外表面の一面の近傍に平行して埋設されると、誘電体層42の外表面で沿面バリア放電を行いやすいため好ましい。
【0134】
放電光発生電極ユニット40Bは7本用いられ、7本の放電光発生電極ユニット40B、40B・・・が離間して略平行に配置される。
【0135】
各放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bは、第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間の放電の際に、高圧電極になるように、導線51を介して電源部50の高電圧側の端子に接続される。
【0136】
また、各放電光発生電極ユニット40Bの第2の電極30Bは、第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間の放電の際に、接地電極になるように、導線52を介して電源部50の低電圧側の端子に接続される。
【0137】
電源部50により、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に電圧が印加されると、放電光発生電極ユニット40Bの図5中下方の一面に沿って、第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に放電光が発生するようになっている。
【0138】
図9には、放電光発生電極ユニット40Bが7本示されている。しかし、本発明の沿面バリア放電を行う放電光発生電極ユニット40Bにおいて、放電光発生電極ユニット40Bの本数は、上記の7本に限定されず、任意の本数とすることができる。
【0139】
(電源部)
電源部50は、導線51、52を介して、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に電圧を印加する。
【0140】
電源部50としては、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に用いられる電源部50と同様に、たとえば、高周波高圧電源、高圧パルス発生回路、高圧直流電源等が用いられる。
【0141】
電源部50は、放電の際に、第1の電極20Bが高圧電極になり、第2の電極30Bが接地電極になるように、第1の電極20Bおよび第2の電極30Bに接続される。
【0142】
電源部50により、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に電圧が印加されると、第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に放電光が発生するようになっている。
【0143】
(作用)
図9を参照して空気清浄装置1Bの作用について説明する。
【0144】
なお、図9に第3の実施形態として示した空気清浄装置1Bの作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用に比較して、空気清浄装置1の放電が第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11との間で行われるのに対し、空気清浄装置1Bの放電が放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間で行われる点で異なり、他の作用は同じである。重複説明を避けるため、作用の説明を一部省略または簡略化する。
【0145】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1Bの流路60内に矢印65の方向に供給する。一方、電源部50を用いて放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に電圧を印加し、放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に沿面バリア放電により放電光を発生させる。このとき、第1の電極20Bを高圧電極とし、第2の電極30Bを接地電極とするようにして放電させる。
【0146】
放電光発生電極ユニット40Bは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11A側に配置されるため、放電光発生電極ユニット40Bで生じた放電光は、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11A側に強く照射される一方、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解触媒機能部12A側には実質的に照射されない。
【0147】
放電光発生電極ユニット40Bの第1の電極20Bと第2の電極30Bとの間に放電光が発生すると、放電光の作用により、流路60内で放電光の近傍にある空気中の酸素からオゾンが生成される。生成したオゾンは、放電光発生電極ユニット40Bから下流の流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0148】
一方、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aでは、放電光発生電極ユニット40Bで生じた放電光により光触媒反応部15において光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0149】
このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気は、空気中に含まれる有機化学物質の量が少なくなっている。なお、オゾンは、通常、空気中で数時間程度、分解されずに残存する。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気中にはオゾンが相当量存在する。
【0150】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11を通過した空気は、直ちに光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解機能部12Aに導入される。
【0151】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aの光触媒機能部11Aを通過した空気が光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aのオゾン分解機能部12Aに導入された後の工程の作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用と同じであるため、説明を省略する。
【0152】
空気清浄装置1Aによれば、光触媒機能部分とオゾン分解触媒機能部分とが1個の基体に形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを用いるため、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1と同様の効果を奏する。
【0153】
また、空気清浄装置1Bによれば、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aを接地電極として用いず、放電光発生電極ユニット40Bが単独で放電光を照射するため、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に比較して、より安定な放電を行うことができる。
【0154】
なお、放電光発生電極ユニット40Bの流路60の流れ方向の厚さは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の第1の電極20の厚さと同程度である。このため、放電光発生電極ユニット40Bを配置しても、空気清浄装置1Bの流路60方向の厚さは、空気清浄装置1よりも長くならない。
【0155】
[その他の実施形態]
上記第1の実施形態の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10において、光触媒機能部11は、図3に示すように、基体14と、基体14の表面に形成された光触媒反応部15とを有するものである。
【0156】
また、上記第1の実施形態の光触媒−オゾン分解触媒モジュール10において、オゾン分解機能部12は、図4に示すように、基体14と、基体14の表面に形成されたオゾン分解触媒反応部17とを有するものである。
【0157】
しかし、本発明の空気清浄装置で用いられる光触媒−オゾン分解触媒モジュールは、光触媒機能部11やオゾン分解機能部12に、さらに有機化学物質を吸着する吸着剤からなる吸着部が形成されていてもよい。
【0158】
光触媒機能部11やオゾン分解機能部12に吸着部がさらに形成されると、流路60内の空気中の有機化学物質が迅速に吸着部に吸着するとともに、吸着部に吸着した有機化学物質が表面拡散により光触媒反応部やオゾン分解触媒反応部に移動する。光触媒反応部やオゾン分解触媒反応部に移動した有機化学物質は、光触媒反応で生じたヒドロキシラジカル(・OH)やオゾン分解反応で生じた酸素ラジカルにより酸化分解されるため、吸着部に吸着した有機化学物質は吸着飽和することがない。このため、光触媒機能部11やオゾン分解機能部12に吸着部がさらに形成されると、空気中の有機化学物質の迅速な除去と、光触媒やオゾン分解触媒のメンテナンスフリー化が可能になる。
【0159】
以下、光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部11やオゾン分解機能部12に吸着部がさらに形成される実施形態について、説明する。
【0160】
[光触媒機能部に吸着部が形成された実施形態]
図10は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部の他の形態の拡大図である。
【0161】
図10に示すように、光触媒機能部11Kは、基体14と、基体14の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部15と、光触媒反応部15の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部16とをさらに有する。
【0162】
図10に示す光触媒機能部11Kは、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の拡大図である図3に示す光触媒機能部11に比較して、光触媒隣接吸着部16がさらに形成された点で異なり、他の構成は同じである。このため、図10に示した光触媒機能部11Kは、図3に示した光触媒機能部11との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0163】
なお、図1に示す空気清浄装置1において、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に代えて、光触媒機能部11Kを備える光触媒−オゾン分解触媒モジュールを光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kという。また、この光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kを備える空気清浄装置を空気清浄装置1Kという。空気清浄装置1Kは、空気清浄装置1と同様に図1に示す。
【0164】
以下、光触媒機能部11Kの光触媒隣接吸着部16について説明する。
【0165】
<光触媒隣接吸着部>
図10に示すように、光触媒隣接吸着部16は、光触媒反応部15の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されることにより形成されたものである。
【0166】
光触媒隣接吸着部16は、流路60中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するものである。
【0167】
光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤としては、たとえば、二酸化マンガン、ゼオライト、白金族金属の微粒子等が挙げられる。このうち、ゼオライトは、光触媒反応やオゾンで分解されないため好ましい。
【0168】
ゼオライトの形状は、バルク状でもよいが、微粒子状であると光触媒反応部15の表面に担持させやすいため好ましい。
【0169】
白金族金属としては、たとえば、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムの少なくとも一種が挙げられる。
【0170】
吸着剤が微粒子状である場合、吸着剤の粒径は、通常、1nm〜100nmである。吸着剤の粒径がこの範囲内にあると、光触媒隣接吸着部16で吸着された有機化学物質が、隣接した光触媒反応部15で速やかに酸化分解されるため好ましい。すなわち、吸着剤微粒子が1nm〜100nm程度の微小なものであると、吸着剤微粒子に吸着した有機化学物質は吸着剤微粒子上を表面拡散することにより隣接した光触媒反応部15に速やかに移動できるため、速やかに酸化分解される。
【0171】
光触媒隣接吸着部16は、上記吸着剤を公知の方法で光触媒反応部15の表面に担持させることにより形成される。
【0172】
たとえば、光触媒隣接吸着部16は、基体14の表面に光触媒を担持させた後、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体14に含侵させた後、焼成して、吸着剤微粒子を光触媒からなる光触媒反応部15の表面に担持させることにより得られる。また、光触媒隣接吸着部16は、上記の含侵させ焼成して担持させる工程に代えて、CVD(化学蒸着担持法)で光触媒反応部15の表面に担持させて形成してもよい。
【0173】
また、光触媒微粒子と吸着剤微粒子を共に分散させたゾルを用い、このゾルを基体14に含侵させ、焼成して、基体14に光触媒微粒子と吸着剤微粒子とを担持させることにより、基体14の表面に、光触媒隣接吸着部16と光触媒反応部15とを形成する方法でもよい。さらにこの含侵、焼成し、担持する工程に代えてCVDで担持してもよい。
【0174】
基体上の光触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5が望ましい。
【0175】
(作用)
図1を参照して空気清浄装置1Kの作用について説明する。
【0176】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1Kの流路60内に矢印65の方向に供給する。一方、電源部50を用いて第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kとの間に電圧を印加し、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kとの間に放電光を発生させる。
【0177】
第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kとの間に放電光が発生すると、流路60内で放電光の近傍にある空気中の酸素は、放電光の作用でオゾンを生成する。生成したオゾンは、流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0178】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kでは、光触媒反応部15において放電光により光触媒反応が生じるとともに、光触媒隣接吸着部16において有機化学物質の吸着反応が生じる。
【0179】
すなわち、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kとの間に放電光が発生すると、光触媒反応部15では、放電光により光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路60内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0180】
また、流路60内の空気中の有機化学物質の他の一部は、光触媒隣接吸着部16に吸着される。
【0181】
なお、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kでは、光触媒隣接吸着部16での有機化学物質の吸着速度の方が、光触媒反応部15での有機化学物質の酸化分解の反応速度よりも速い。このため、通常、流路60内で光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kの近傍にある空気中の有機化学物質の一部は、速やかに、光触媒隣接吸着部16に吸着される。また、流路60内で光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kの近傍にある空気中の有機化学物質の他の一部は、光触媒反応部15での光触媒反応により、光触媒隣接吸着部16への吸着反応よりもゆっくりとした速度で酸化分解される。
【0182】
さらに、光触媒隣接吸着部16に吸着された有機化学物質は、表面拡散により光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部15に移動し、光触媒反応部15で酸化分解される。このため、光触媒隣接吸着部16では、有機化学物質の吸着飽和が生じない。
【0183】
このように光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kでは、空気中の有機化学物質の光触媒隣接吸着部16への迅速な吸着反応と、空気中の有機化学物質の光触媒反応部15での吸着反応より速度の遅い酸化分解反応と、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質の光触媒反応部15への移動と、光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部15に移動した有機化学物質の光触媒反応部15での酸化分解反応と、が並行して生じている。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kから排出された空気中には有機化学物質は非常に少なくなっている。
【0184】
オゾンは、通常、空気中で数時間程度、分解されずに残存する。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kから排出された空気中にはオゾンが相当量存在する。
【0185】
空気清浄装置1Kにおいて光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kを通過した空気が光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kのオゾン分解機能部12に導入された後の工程の作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用と同じであるため、説明を省略する。
【0186】
このように、空気清浄装置1Kでは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11K近傍の空気中の有機化学物質は、その一部が光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kの光触媒隣接吸着部16に速やかに吸着して除去されるとともに、他の一部が光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kの光触媒反応部15で酸化分解される。また、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質は、表面拡散により、隣接した光触媒反応部15に移動して酸化分解される。このように、光触媒隣接吸着部16では、吸着した有機化学物質が光触媒反応部15に移動するため有機化学物質の吸着飽和という問題が実質的に生じない。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kの光触媒機能部11Kは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0187】
また、空気清浄装置1Kでは、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kのオゾン分解機能部12近傍の空気中の有機化学物質は、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kのオゾン分解機能部12のオゾン分解触媒反応部17で生成した酸素ラジカルにより酸化分解される。光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kのオゾン分解機能部12は、特段の吸着部が設けられていないため、有機化学物質の吸着飽和という問題は生じない。このため、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kのオゾン分解機能部12は、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0188】
空気清浄装置1Kによれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1Kによれば、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Kを半永久的に使用することができる。
【0189】
図10に示す光触媒機能部11Kでは、基体14上の光触媒反応部15の表面の一部に光触媒隣接吸着部16が形成されているが、本発明の空気清浄装置の光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部は、基体14上の光触媒隣接吸着部16の表面の一部に光触媒反応部15が形成されていてもよい。
【0190】
すなわち、基体14上における光触媒反応部15と光触媒隣接吸着部16との配置を逆にしてもよい。
【0191】
図11は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部のさらに他の形態の拡大図である。
【0192】
図11に示すように、光触媒機能部11Lは、基体14と、基体14の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部16と、光触媒隣接吸着部16の表面の一部に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部15とを有する。
【0193】
図11に示す光触媒機能部11Lは、図10に示す光触媒機能部11Kに比較して、光触媒隣接吸着部16が基体14上に形成されるとともに光触媒反応部15が光触媒隣接吸着部16の表面の一部に形成される点で異なり、他の構成は同じである。このため、図11に示した光触媒機能部11Lは、図10に示す光触媒機能部11Kとの同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0194】
なお、図1に示す空気清浄装置1において、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の光触媒機能部11に代えて光触媒機能部11Lを備える光触媒−オゾン分解触媒モジュールを光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Lという。また、この光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Lを備える空気清浄装置を空気清浄装置1Lという。空気清浄装置1Lは、空気清浄装置1と同様に図1に示す。
【0195】
光触媒機能部11Lは、たとえば、基体14上に吸着剤を担持させて光触媒隣接吸着部16を形成するとともに、光触媒隣接吸着部16上に光触媒を担持させて光触媒反応部15を形成することにより得られる。
【0196】
具体的には、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体14に含侵させ、焼成してはじめに基体14の表面に光触媒隣接吸着部16を形成したのち、光触媒の担持工程を行って光触媒隣接吸着部16の表面に光触媒反応部15を形成してもよい。さらに、吸着剤ゾルの基体14への含侵および焼成工程に代えて、CVDで基体14の表面に吸着剤を担持させて光触媒隣接吸着部16を形成した後、CVDで光触媒隣接吸着部16の表面に光触媒反応部15を形成してもよい。基体上の光触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5が望ましい。
【0197】
空気清浄装置1Lの作用は、空気清浄装置1Kの作用と同じであるため、説明を省略する。
【0198】
[オゾン分解機能部に吸着部が形成された実施形態]
図12は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部の他の形態の拡大図である。
【0199】
図12に示すように、オゾン分解機能部12Mは、基体14と、基体14の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部17と、オゾン分解触媒反応部17の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部18とをさらに有する。
【0200】
図12に示すオゾン分解機能部12Mは、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュール10の拡大図である図4に示すオゾン分解機能部12に比較して、オゾン分解触媒隣接吸着部18がさらに形成された点で異なり、他の構成は同じである。このため、図12に示すオゾン分解機能部12Mは、図4に示したオゾン分解機能部12との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0201】
なお、図1に示す空気清浄装置1において、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12に代えてオゾン分解機能部12Mを備える光触媒−オゾン分解触媒モジュールを光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mという。また、この光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mを備える空気清浄装置を空気清浄装置1Mという。空気清浄装置1Mは、空気清浄装置1と同様に図1に示す。
【0202】
以下、光触媒機能部11Mのオゾン分解触媒隣接吸着部18について説明する。
【0203】
<オゾン分解触媒隣接吸着部>
図12に示すように、オゾン分解触媒隣接吸着部18は、オゾン分解触媒反応部17の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されることにより形成されたものである。
【0204】
オゾン分解触媒隣接吸着部18は、流路60中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するものである。
【0205】
オゾン分解触媒隣接吸着部18の形成に用いられる吸着剤としては、たとえば、光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤と同じものが挙げられる。光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤の材料のうち、ゼオライトは、オゾンで分解されないため好ましい。
【0206】
オゾン分解触媒隣接吸着部18は、吸着剤を公知の方法でオゾン分解触媒反応部17の表面に担持させることにより形成される。
【0207】
吸着剤をオゾン分解触媒反応部17の表面に担持させてオゾン分解触媒隣接吸着部18を形成する具体的方法としては、たとえば、吸着剤を光触媒反応部15の表面に担持させて光触媒隣接吸着部16を形成する方法と同じ方法が用いられる。
【0208】
基体上のオゾン分解触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5が望ましい。
【0209】
(作用)
図1を参照して空気清浄装置1Mの作用について説明する。
【0210】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1Mの流路60内に矢印65の方向に供給する。一方、電源部50を用いて第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mとの間に電圧を印加し、第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mとの間に放電光を発生させる。
【0211】
第1の電極20と光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mとの間に放電光が発生した場合における、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mの光触媒機能部11の作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の光触媒機能部11の作用と同じであるため、説明を省略する。
【0212】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mの光触媒機能部11を通過した空気は、直ちに光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mのオゾン分解機能部12Mに導入される。
【0213】
光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mのオゾン分解機能部12Mは、光触媒機能部11を通過した空気中に存在する有機化学物質を吸着するとともに、光触媒機能部11を通過した空気中に存在するオゾンを分解し、さらに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。
【0214】
すなわち、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mのオゾン分解機能部12Mでは、はじめに流路60内の空気中の有機化学物質がオゾン分解触媒隣接吸着部18に吸着する。オゾン分解触媒隣接吸着部18に吸着した有機化学物質は、表面拡散によりオゾン分解触媒隣接吸着部18からオゾン分解触媒反応部17に移動する。オゾン分解触媒反応部17に移動した有機化学物質は、オゾン分解触媒反応部17の表面近傍で酸素ラジカルにより酸化分解される。
【0215】
また、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mのオゾン分解機能部12Mでは、オゾン分解触媒反応部17の表面で、流路60中の空気に含まれるオゾンが分解されるとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルが生成される。この酸素ラジカルは、流路60中の空気に含まれる有機化学物質を酸化分解するとともに、オゾン分解触媒隣接吸着部18に吸着した後に表面拡散によりオゾン分解触媒反応部17に移動してきた有機化学物質も酸化分解する。これにより、流路60中の空気に含まれる有機化学物質は実質的に全て除去される。
【0216】
このように、オゾン分解触媒隣接吸着部18に吸着した有機化学物質はオゾン分解触媒反応部17に移動して酸化分解されるため、オゾン分解触媒隣接吸着部18では、有機化学物質の吸着飽和が実質的に生じない。このため、空気清浄装置1Mの光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0217】
空気清浄装置1Mによれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1Mによれば、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Mを半永久的に使用することができる。
【0218】
図12に示すオゾン分解機能部12Mでは、基体14上のオゾン分解触媒反応部17の表面の一部にオゾン分解触媒隣接吸着部18が形成されているが、本発明の空気清浄装置の光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部は、基体14上のオゾン分解触媒隣接吸着部18の表面の一部にオゾン分解触媒反応部17が形成されていてもよい。
【0219】
すなわち、基体14上におけるオゾン分解触媒反応部17とオゾン分解触媒隣接吸着部18との配置を逆にしてもよい。
【0220】
図13は、図2に示す光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部のさらに他の形態の拡大図である。
【0221】
図13に示すように、オゾン分解機能部12Nは、基体14と、基体14の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部18と、オゾン分解触媒隣接吸着部18の表面の一部にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部17とを有する。
【0222】
図13に示すオゾン分解機能部12Nは、図12に示すオゾン分解機能部12Mに比較して、オゾン分解触媒隣接吸着部18が基体14上に形成されるとともにオゾン分解触媒反応部17がオゾン分解触媒隣接吸着部18の表面の一部に形成される点で異なり、他の構成は同じである。このため、図13に示したオゾン分解機能部12Nは、図12に示すオゾン分解機能部12Mとの同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0223】
なお、図1に示す空気清浄装置1において、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10のオゾン分解機能部12に代えて、オゾン分解機能部12Nを備える光触媒−オゾン分解触媒モジュールを光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Nという。また、この光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Nを備える空気清浄装置を空気清浄装置1Nという。空気清浄装置1Nは、空気清浄装置1と同様に図1に示す。
【0224】
オゾン分解機能部12Nは、たとえば、基体14上に吸着剤を担持させてオゾン分解触媒隣接吸着部18を形成するとともに、オゾン分解触媒隣接吸着部18上に光触媒を担持させてオゾン分解触媒反応部17を形成することにより得られる。
【0225】
具体的には、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体14に含侵させ、焼成してはじめに基体14の表面にオゾン分解触媒隣接吸着部18を形成したのち、オゾン分解触媒の担持工程を行ってオゾン分解触媒隣接吸着部18の表面にオゾン分解触媒反応部17を形成してもよい。さらに、吸着剤ゾルの基体14への含侵および焼成工程に代えて、CVDで基体14の表面に吸着剤を担持させてオゾン分解触媒隣接吸着部18を形成した後、CVDでオゾン分解触媒隣接吸着部18の表面にオゾン分解触媒反応部17を形成してもよい。基体上のオゾン分解触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5程度が望ましい。
【0226】
なお、その他の実施形態として示した空気清浄装置1K〜1Nは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1において、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10に代えて、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10K〜10Nを用いたものである。
【0227】
しかし、本発明の空気清浄装置は、図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aの光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Aや、図9に第3の実施形態として示した空気清浄装置1Bの光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Bに代えて、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10K〜10Nを用いた構成としてもよい。
【0228】
この構成の空気清浄装置は、図5に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aや図9に第3の実施形態として示した空気清浄装置1Bの光触媒−オゾン分解触媒モジュール10Bの奏する発明の効果と、光触媒−オゾン分解触媒モジュール10K〜10Nの奏する発明の効果とを併せ持ったものになる。
【0229】
[空気清浄方法]
次に、本発明に係る空気清浄方法について、添付図面を参照して説明する。
【0230】
本発明に係る空気清浄方法は、本発明に係る空気清浄装置を用いる空気清浄方法である。
【0231】
本発明に係る空気清浄方法は、たとえば、上記の実施形態で示した空気清浄装置1、1A〜1B、1K〜1Nの光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に放電光を照射しつつ、光触媒−オゾン分解触媒モジュールに光触媒機能部側から空気を供給しオゾン分解機能部側から空気を排出するものである。
【0232】
本発明に係る空気清浄方法によれば、光触媒機能部分とオゾン分解触媒機能部分とが1個の基体に形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールを備える空気清浄装置を用いるため、空気清浄装置の空気の流路方向における薄型化が可能になるとともに、圧損も小さくなる。
【符号の説明】
【0233】
1、1A、1B、70 空気清浄装置
10 光触媒−オゾン分解触媒モジュール(接地電極)
10A、10B 光触媒−オゾン分解触媒モジュール
11 光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部
12 光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部
14 基体
15 光触媒反応部
16 光触媒隣接吸着部
17 オゾン分解触媒反応部
18 オゾン分解触媒隣接吸着部
20、20A、20B、72 第1の電極(高圧電極)
30A、30B、73 第2の電極(接地電極)
31 第2の電極の電極本体
32 第2の電極の誘電体層
40A、40B 放電光発生電極ユニット
42 放電光発生電極ユニットの誘電体層
50、74 高圧電源(電源部)
51、52、76、77 導線
60、80 流路(通風路)
65、65A、65B、66、66A、66B、85、86 空気の流れる方向
71 光触媒モジュール
75 オゾン分解触媒モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールと、
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に対向して配置された第1の電極と、
この第1の電極と前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの基体との間に電圧を印加する電源部とを備え、
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの基体は電気導電性を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールと、
第1の電極とこの第1の電極との間で放電光を発生する第2の電極とを有し、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に対向して配置された放電光発生電極ユニットと、
この放電光発生電極ユニットの第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部とを備えることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項3】
前記放電光発生電極ユニットは、
導電体からなる第1の電極と、
導電体とこの導電体を被覆する誘電体層とからなり、前記第1の電極に離間して配置された第2の電極と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記放電光発生電極ユニットの第1の電極は、円柱状体であるとともに複数本離間して略平行に配置され、
前記放電光発生電極ユニットの第2の電極は、円柱状体であるとともに複数本離間して略平行に配置され、
前記第2の電極はそれぞれ前記第1の電極間の空隙に配置されることを特徴とする請求項3に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記放電光発生電極ユニットは、
導電体からなる第1の電極と、
導電体からなり、前記第1の電極に離間して配置された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極とを一体的に被覆する誘電体層と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記放電光発生電極ユニットは、角柱状であるとともに複数本離間して略平行に配置されることを特徴とする請求項5に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記基体は、ハニカム構造体であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記基体は、電気導電性を有することを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部は、前記基体と、この基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項10】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部は、前記光触媒反応部の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の空気清浄装置。
【請求項11】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部は、前記基体と、この基体の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部と、この光触媒隣接吸着部の表面の一部に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項12】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部は、前記基体と、この基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項13】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部は、前記オゾン分解触媒反応部の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の空気清浄装置。
【請求項14】
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールのオゾン分解機能部は、前記基体と、この基体の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部と、このオゾン分解触媒隣接吸着部の表面の一部にオゾン分解が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項15】
空気が流通する流路中に配置され、通気可能な一体成形された基体のうちの上流側部分に光触媒反応を行う光触媒機能部が形成されるとともに、前記基体のうちの下流側部分にオゾン分解反応を行うオゾン分解機能部が形成された光触媒−オゾン分解触媒モジュールを備える空気清浄装置を用い、
前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールの光触媒機能部に放電光を照射しつつ、前記光触媒−オゾン分解触媒モジュールに光触媒機能部側から空気を供給しオゾン分解機能部側から空気を排出することを特徴とする空気清浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−139850(P2011−139850A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3250(P2010−3250)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】