説明

空気清浄装置

【課題】 本発明は、閉鎖空間内の空気の汚染程度によって、ファンフィルタユニットの個数が増えた場合であっても、床面に設置するスペースを極力抑えて、閉鎖空間内にファンフィルタユニットを増減自在に設けることが可能となる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の空気清浄装置は、四隅に位置づけられて立設された四本の支柱と、これらの支柱の、上端部に掛け渡された部材と、下端部に掛け渡された部材から構成された枠体内に、ファンフィルタユニットを載置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、博物館の収蔵庫のような閉鎖空間の床面や天井や側壁面に、増減自在にファンフィルタユニットを設けることが可能となる空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、博物館の収蔵庫のような閉鎖空間内の空気を、空間内に設けた循環路によって循環させて清浄化する構造が知られている。例えば、特許文献1には、収蔵庫の周壁および天井から離間させて内壁を設け、この内壁内を収蔵室として、この内壁の天井部に空気の吹出口を設け、内壁の下部に空気の吸込口を設け、内壁と収蔵庫の周壁および天井の間を、空気の循環路とした構造が記載されている。また、収蔵庫の外部には、循環路と連通させた空気清浄装置が設置されている。収蔵室内の汚れた空気は、吸込口から吸い込まれることで、循環路内に導かれ、空気清浄装置で清浄化された後、吹出口から清浄化した空気が吹き出されて、収蔵室に供給される。尚、空気清浄装置は、収蔵庫の外部からも空気を取り入れており、循環路内を循環している空気と混合して、外部から取り入れた空気も収蔵室内に供給されている。
【0003】
また、特許文献2には、アルカリ性汚染物質を吸着する吸着材を、美術工芸品等の展示室や収納室等の閉鎖空間内の壁面に設けるとともに、閉鎖空間のスペースの広さまたは容積に応じて、複数個の空気清浄器を床面に設置する環境改善システムが開示されている。
【特許文献1】特開平11−169639号公報
【特許文献2】特開平8−257337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている構造では、収蔵庫等の閉鎖空間内に内壁を設けて空気の循環路を形成する必要があり、空気清浄するための構造が大がかりなものになるという問題があった。また、特許文献1に記載の空気清浄装置は、閉鎖空間の外部からも空気を取り入れて、閉鎖空間内に供給する構成となっているため、外部から汚染源が取り込まれ、充分に清浄化されていない空気が、閉鎖空間内に供給されてしまうというおそれもあった。
また、特許文献2に記載されているように、閉鎖空間内の空気の汚染程度に応じて、空気清浄器の個数を増加させて床面に設置すると、空気清浄器の設置によって、収蔵スペースが削減されてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、閉鎖空間内の空気の汚染程度によって、ファンフィルタユニットの個数が増えた場合であっても、床面に設置するスペースを極力抑えて、閉鎖空間内にファンフィルタユニットを増減自在に設けることが可能となる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の空気清浄装置は、前記目的を達成するべく、請求項1記載の通り、四隅に位置づけられて立設された四本の支柱と、これらの支柱の、上端部に掛け渡された部材と、下端部に掛け渡された部材から構成された枠体内に、ファンフィルタユニットを載置したことを特徴とする。
また、請求項2記載の空気清浄装置は、請求項1記載の空気清浄装置において、前記枠体に、鉛直方向および/または水平方向に複数の枠体を着脱自在に連結可能とする連結手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項3記載の空気清浄装置は、請求項1または2記載の空気清浄装置において、前記ファンフィルタユニットに、軸流ファンを設けたことを特徴とする。
また、請求項4記載の空気清浄装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置において、前記枠体が、移動自在な台車を備えたことを特徴とする。
また、請求項5記載の空気清浄装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置において、前記枠体に、天井から吊り下げ可能とする吊り下げ手段を設けたことを特徴とする。
また、請求項6記載の空気清浄装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置において、前記枠体に、閉鎖空間の側壁面に枠体を取り付け可能とする取付手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の空気清浄装置は、四隅に位置づけられて立設された四本の支柱と、これらの支柱の、上端部に掛け渡された部材と、下端部に掛け渡された部材から構成された枠体内に、ファンフィルタユニットを載置したため、複数の枠体を鉛直方向に積み上げて、閉鎖空間に設けることができる。このため、床面に設置するスペースを極力抑えて、ファンフィルタユニットを増減自在に設けることができる。
前記枠体が、鉛直方向および/または水平方向に複数の枠体を着脱自在に連結可能とする連結手段を設けた場合は、複数の枠体を互いに連結させて、安定した状態でファンフィルタユニットを閉鎖空間に設けることができる。閉鎖空間内の汚染程度が高い場合は、ファンフィルタユニットを載置した枠体の数を増やして、閉鎖空間内の清浄化度を上げ、閉鎖空間内の汚染程度が低い場合は、前記枠体の数を減らして、運転コストを低減することができる。また、前記枠体が、移動自在な台車を備えた場合は、閉鎖空間内の邪魔にならない場所に、空気清浄装置を、容易に移動させることができる。また、前記枠体に、天井から枠体を吊り下げ可能とする吊り下げ手段または側壁面に枠体を取り付け可能とする取付手段を設けた場合は、床面ではなく、閉鎖空間の天井や側壁面に、空気清浄装置を設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の空気清浄装置1の斜視図、図2は、空気清浄装置1の一部断面を示す側面図である。
図1および図2に示すように、枠体4は、四隅に位置づけられて立設された四本の支柱2a,2b,2c,2dと、これらの支柱2a,2b,2c,2dの下端部の間に掛け渡された部材3aと、支柱2a,2b,2c,2dの上端部の間に掛け渡された部材3bから構成されている。この枠体4内には、支柱2a,2b,2c,2dの下端部の間に掛け渡された部材3aの上に、ファンフィルタユニット5が載置されている。
【0008】
枠体4には、鉛直方向に複数の枠体4を着脱自在に連結可能とする連結手段を設けることが好ましい。図1に示すように、例えば、枠体4には、部材3a,3bに、ボルト貫通孔13を形成し、このボルト貫通孔13に貫通させたボルト11とナット14からなる連結手段を設けている。鉛直方向に連接された複数の枠体4は、部材3a,3bに形成されたボルト貫通孔13にボルト11を貫通させて、ナット14で締結させることにより、安定に連結される。
また、枠体4には、水平方向に複数の枠体4を着脱自在に連結可能とする連結手段を設けることが好ましい。図1に示すように、例えば、枠体4には、水平方向に連接された支柱同士にボルトを貫通させることが可能となるように、支柱2a,2b,2c,2dのそれぞれに、ボルト貫通孔12を形成している。そして、枠体4には、ボルト貫通孔12に貫通させたボルト11とナット14からなる連結手段を設けている。水平方向に連接された枠体4は、連接する支柱2b,2aの両方に形成されたボルト貫通孔12にボルト11を貫通させて、ナット14で締結させることにより、安定に連結される。
尚、複数の枠体同士を着脱自在に連結可能とする連結手段は、本実施の形態に限らず、例えば、連接された枠体を着脱自在に連結可能とするクランプ等の連結手段を設けてもよい。
【0009】
また、支柱2a,2b,2c,2dの下端部に掛け渡された部材3aのうち、一つの部材にL字金具等からなるストッパ6を設けることが好ましい。このストッパ6を設けることによって、ストッパ6を設けていない側から、ファンフィルタユニット5を部材3a上をスライドさせて枠体4内に載置する場合に、ファンフィルタユニット5の落下を防止することができる。
図2に示すように、支柱の下端部に掛け渡された部材3a上に、ファンフィルタユニット載置用板7を設けた場合は、ファンフィルタユニット載置用板7上で、立方体状のファンフィルタユニット5をスライドさせて、枠体4内に安定に載置することができる。
【0010】
ファンフィルタユニット5には、立方体状の箱体内に、シロッコファン、斜流ファン、軸流ファン等を設けることができる。特に、ファンフィルタユニット5内に流入させた気流の乱流を防止するため、空気を軸流方向に吸い込み、吹き出す、軸流ファン5aを設けることが好ましい。ファンフィルタユニット5に軸流ファン5aを設けた場合は、例えば、シロッコファンを設けた場合と比較して、ファンフィルタユニット5を薄型化することができるため好ましい。
また、ファンフィルタユニット5には、分子状汚染物質除去用のケミカルフィルタ、塵埃や浮遊菌除去用の集塵フィルタを設けることが好ましい。
【0011】
図3に示すように、枠体4が、移動自在な台車8を備えていてもよい。美術品等を収容する閉鎖空間内において、比較的邪魔にならない場所に、空気清浄装置1を容易に移動させることができるからである。尚、図3に示す形態においては、ファンフィルタユニット5を載置させた二つの枠体4を水平方向に連結させ、これら二つの枠体4の鉛直方向に、更に、二つの枠体4を連結させた空気清浄装置1を、台車8上に備えた形態を示している。
【0012】
また、図4に示すように、枠体4には、天井100から枠体4を吊り下げ可能とする吊り下げ手段9を設けてもよい。枠体4には、例えば、支柱の上端部に掛け渡された部材3bに固定したアイボルト9aと、このアイボルト9aに連結させた吊りボルト9bからなる吊り下げ手段9を設けている。尚、図4に示す形態に限らず、例えば、枠体4には、ワイヤーロープまたは吊りボルト等からなる吊り下げ手段を設けて、閉鎖空間の天井または天井付近に設けたフレーム等から枠体4を吊り下げるようにしてもよい。
【0013】
また、図5に示すように、枠体4には、閉鎖空間の側壁面101に枠体4を取り付け可能とする取付手段を設けてもよい。枠体4には、例えば、部材3a,3bに設けた、側壁面101に対して垂直にボルトを貫通可能とするボルト貫通孔10aと、このボルト貫通孔10aに貫通させた側壁面固定用のアンカーボルト10bからなる取付手段10を設けている。空気清浄装置1を側壁面101に取り付ける場合は、側壁面101と枠体4上に載置したファンフィルタユニット5の間に空気の流通路が形成されるように、枠体4を構成することが好ましい。具体的には、ファンフィルタユニット5の空気の吸い込み面から吹き出し面の間の長さよりも長い部材を用いて、枠体4を構成するとよい。尚、図5に示す形態に限らず、例えば、枠体4には、側壁面に固定したアンカーボルトに、取り付けブラケットを介して、取付用ボルトとナットによって枠体4を取り付ける取付手段を、設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の空気清浄装置の一実施の形態を説明する斜視図
【図2】図1に示す空気清浄装置のA−A線断面図
【図3】本発明の空気清浄装置の他の実施の形態を示す正面図
【図4】本発明の空気清浄装置の他の実施の形態を示す正面図
【図5】本発明の空気清浄装置の他の実施の形態を示す一部断面を示す側面図
【符号の説明】
【0015】
1 空気清浄装置
2a,2b,2c,2d 支柱
3a 部材
3b 部材
4 枠体
5 ファンフィルタユニット
5a 軸流ファン
6 ストッパ
7 ファンフィルタユニット載置用板
8 台車
9 吊り下げ手段
9a アイボルト
9b 吊りボルト
10 取付手段
10a ボルト貫通孔
10b アンカーボルト
11 ボルト
12 ボルト貫通孔
13 ボルト貫通孔
14 ナット
100 閉鎖空間の天井
101 閉鎖空間の側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に位置づけられて立設された四本の支柱と、これらの支柱の、上端部に掛け渡された部材と、下端部に掛け渡された部材から構成された枠体内に、ファンフィルタユニットを載置したことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記枠体に、鉛直方向および/または水平方向に複数の枠体を着脱自在に連結可能とする連結手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記ファンフィルタユニットに、軸流ファンを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記枠体が、移動自在な台車を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記枠体に、天井から吊り下げ可能とする吊り下げ手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記枠体に、閉鎖空間の側壁面に枠体を取り付け可能とする取付手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−255594(P2006−255594A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76897(P2005−76897)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】