説明

空気温度制御装置および制御方法

【課題】微細な空気温度変動、および大きな処理熱量の変化にも対応できる冷却コイルを用いた空気温度制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】冷水が循環し、循環ポンプ14、熱交換器15、ヒータ17、および冷却コイル12を有する冷水循環部Aと、前記熱交換器15で熱交換するための冷却水を製造、供給する冷却水製造部Cと、ヒータ17の出力および冷却水の供給量を制御するヒータ制御部Bと、を備える空気温度制御装置1において、冷水は、ヒータ制御部Bで算出されたヒータ出力値28の周期の短い信号に基づいてヒータ17により温度制御され、周期の長い信号に基づいて熱交換器15により温度制御されることを特徴とする空気温度制御装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気温度制御装置および制御方法に係り、特に、レーザー測長器や原子間力顕微鏡などが設置されている部屋など高度な温度管理が必要な設置環境用空調設備に用いられる空気温度制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置や、磁気ディスク、光ディスクなどの情報関連機器、超精密切削加工装置などは近年著しく進歩している。この分野では、超精密位置決め技術が装置全体の性能を決めるキーテクノロジーとなっている。位置決めの精度は±0.04μmの範囲内であることが要求されており、レーザー測長器の性能によって決まってくる。
【0003】
しかし、このレーザー測長器を大気中で使用する場合、空気の屈折率が変化すると、測定誤差が発生する。空気の屈折率は温度、気圧、湿度などによって変化するが、特に、温度、気圧が大きな要因となっている。そして、測定精度の高いレーザー測定器を使っても、温度が0.04℃異なることで、約12nmの測定誤差が生じる(非特許文献1参照)。したがって、測定誤差を小さくするため、温度変化の小さい測定室で測定を行う必要があり、これに対応できる空調設備が求められている。
【0004】
このような空調設備として、例えば、図3に示すような冷却コイル102を用いた空気温度制御装置100を挙げることができる。空気温度制御装置100においては、ダクト101を通過し、冷却コイル102出口の空気温度を調節するために、空気温度センサー103にて測定した空気温度現在値111、および空気温度目標値112からPID演算器113によりバルブ開度120を算出する。そして、モータバルブ110で冷却コイル102への冷水流量を調節することにより、空気温度を調節している(非特許文献2参照)。また、冷却コイル入口の空気温度や冷却コイルに送られる冷水の流量に変化がなくても、冷水の温度が変動すると冷却コイル出口での空気温度が変動するため、冷水温度をヒータで制御する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】光学 第22巻第6号(1993年6月)p.329-334 精密位置決め用変位センサーの現状と問題点(赤津)
【非特許文献2】改定4版 空気調和ハンドブック 井上宇市編 丸善株式会社 p.402−404
【特許文献1】特開2004−278976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般にモータバルブの開度調整は低速でしか行うことができていないため、図3に示すような空気温度制御装置100は、数分以下の短い周期の空気温度変動に対して追従できていなかった。そのため、精密な測定機器向けの空調設備には、向いていなかった。また、特許文献1に記載されているような、冷水流量を一定にし、ヒータで冷水温度を調節する方法では、短い周期の空気温度変動に対応することができる。しかし、長い周期の空気温度変動では、外乱や運転条件の変化による冷却コイル処理熱量の変化分と同等以上のヒータ容量が必要となるため、コストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、微細な空気温度変動に対応でき、かつ大きな処理熱量の変化にも対応できる冷却コイルを用いた空気温度制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、冷水が循環し、循環ポンプ、熱交換器、ヒータ、および冷却コイルを有する冷水循環部と、前記熱交換器で熱交換するための冷却水を製造、供給する冷却水製造部と、前記ヒータの出力および前記冷却水の供給量を制御するヒータ制御部と、を備える空気温度制御装置において、前記ヒータ制御部は、空気温度現在値と空気温度目標値から冷水温度目標値を算出する第一のPID演算器と、該冷水温度目標値と冷水温度現在値からヒータ出力値を算出する第二のPID演算器と、を備え、前記冷水は、前記ヒータ出力値の周期の短い信号に基づいて前記ヒータにより温度制御され、前記ヒータ出力値の周期の長い信号に基づいて前記熱交換器により温度制御されることを特徴とする空気温度制御装置を提供する。
【0008】
請求項1によれば、空気温度と冷水温度を読みとることによりヒータ出力値を算出し、ヒータ出力値が周期の短い信号である場合は、冷水循環部が有するヒータで対応することにより、微調整をすばやく行うことができる。また、周期の長い信号においては、冷却水の供給量を調整することにより冷水の温度を制御することができる。大きな処理熱量に対しては、冷却水により対応することで、ヒータに必要な容量は小さくて済み、大幅にランニングコストを増加することなく温度制御が可能である。また、モータバルブの制御は、周期の長い温度変動にのみ対応することができればよいため、開度調整が低速であることは大きな問題とならない。
【0009】
請求項2は請求項1において、前記冷水循環部に、冷水が供給される供給口が下部に形成された円筒状流路管と、該円筒状流路管の上端部に一体的に連結され上部に前記冷水の送出口が形成された先細状の円錐状流路管とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2によれば、冷却循環部の熱交換器から送出された冷水は、円筒状流路管において、冷水を急拡散させ、その後、円錐状流路管において冷水を縮流させることができる。このような構成にすることにより、流れのなかで流体の温度むらを平均化させることができるため、拡散装置を別途設けることなく、流体の温度のばらつきを所定の範囲に抑えて冷水を送出することができる。
【0011】
請求項3は請求項1または2において、前記冷却水製造部の前記冷却水の供給量を、前記ヒータ制御部のヒータ出力値に応じて調整する第三のPID演算器を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3によれば、冷却水製造部の熱交換器への冷却水の供給量をヒータ出力値に応じて調整することが可能である。したがって、冷水温度の調節をヒータと冷却水の供給量とで調節可能であるため、より精密な温度調節が可能である。
【0013】
請求項4は、前記目的を達成するために、冷水を循環する冷却コイルを用いて空気温度を制御する空気温度制御方法において、前記冷水の温度は、ヒータと、冷却水による熱交換器と、によって制御されており、空気温度現在値と、空気温度目標値から冷水温度目標値を算出するステップと、冷水温度現在値と前記冷水温度目標値からヒータ出力値を算出するステップと、前記ヒータ出力値の周期の短い信号に基づいて前記ヒータにより、前記冷水温度現在値を前記冷水温度目標値に制御するステップと、前記ヒータ出力値の周期の長い信号に基づいて前記冷却水の流量を調節することにより冷水の温度を調節するステップと、を有することを特徴とする空気温度制御方法を提供する。
【0014】
請求項4によれば、空気温度現在値、空気温度目標値、冷水温度現在値からヒータ出力値を算出し、ヒータ出力値の周期の短い信号に基づいてヒータにより冷水温度を制御する。さらに、周期の長い信号を用いて冷却水流量を調節することにより、熱交換器にて冷水の温度を制御する。周期の短い信号である微細な空気温度変動は、ヒータで温度制御を行い、大きな空気温度変動は、冷却水を用いて温度制御を行う。したがって、ヒータに必要な容量は小さくて済み、冷水温度の微調整を素早く行うことができる。また、冷却水を用いることにより、大きな処理熱量にも対応することができ、大幅にランニングコストが増加することなく、温度制御が可能である。また、冷却水を調整するためのモータバルブの制御は、周期の長い温度変動にのみ対応することができればよいため、開度調整が低速であることは大きな問題とならない。
【0015】
請求項5は請求項4において、前記冷水の循環部に、冷水が供給される供給口が下部に形成された円筒状流路管と、該円筒状流路管の上端部に一体的に連結され上部に前記冷水の送出口が形成された先細状の円錐状流路管とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項5によれば、冷水は、円筒状流路管にて、冷水を急拡散させ、その後、円錐状流路管において冷水を縮流させることができる。このような構成にすることにより、流れのなかで流体の温度むらを平均化させることができるため、拡散装置を別途設けることなく、流体の温度のばらつきを所定の範囲に抑えて冷水を送出することができる。
【0017】
請求項6は請求項4または5において、前記冷却水流量は、前記ヒータ出力値の周期の短い信号に応じて調整されることを特徴とする。
【0018】
請求項6によれば、冷却水の流量は、周期の長い信号のみでなく、周期の短い信号に応じて調整することができるため、より精密な温度調節が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、微細な空気温度変動、および、大きな処理熱量の変化に対応することができる。変動幅の小さい微細な空気温度変動には、ヒータを用いて冷水の温度を調節することで素早く対応することができる。また、変動幅の大きい大きな処理熱量の変化に対しては、冷却水による熱交換器により対応することで、大幅にランニングコストが増加することなく、温度制御が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面により本発明の空気温度制御装置および制御方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0021】
≪第一実施形態≫
[空気温度制御装置の全体構成]
図1は、本発明の第一実施形態に係る空気温度制御装置1の構成図である。図1に示すように、空気温度制御装置1は、冷水循環部A、ヒータ制御部B、冷却水製造部Cから構成されている。冷水循環部Aは、循環ポンプ14より流れ方向に、熱交換器15、バッファタンク16、ヒータ17、冷水温度センサー18、冷却コイル12が設置されている。ヒータ制御部Bは、空気温度センサー13、第一のPID演算器23、第二のPID演算器24、第三のPID演算器25、電力調整器30、ローパスフィルタ31から構成されている。そして、冷却水製造部Cは、冷却水製造設備19、モータバルブ20から構成されている。次に、各構成部分について説明する。
【0022】
[冷水循環部A]
冷水循環部Aは、冷却コイル12を備え、ダクト11を通過する空気を、冷却コイル12に接触させることにより、空気を所定の温度に制御することができる。冷水は、一定の供給量で冷水循環部Aを循環し、熱交換器15、およびヒータ17により冷水の温度を制御することで空気温度を制御する。冷水循環部Aには、循環ポンプ14が設けられており、この循環ポンプ14によって、冷水を冷水循環部で循環する。熱交換器15は、冷却水製造部Cで製造された冷却水を用いて冷水の温度を調整する。また、冷水を貯蓄し、冷水の温度を一定にするバッファタンク16、冷水の温度を加熱により調整するヒータ17、冷水の温度を測定する冷水温度センサー18を備えている。ヒータ17、冷水温度センサー18は、ヒータ制御部Bに接続されており、冷水温度、空気温度などのヒータ制御部Bからの温度情報に基づいてヒータ17を制御することにより、冷水の温度を調節することができる。
【0023】
[ヒータ制御部B]
ヒータ制御部Bは、ダクト内の空気温度現在値、冷水温度現在値などから冷水の温度を制御し、空気温度を調節する。ヒータ制御部Bは、空気温度センサー13、電力調整器30、第一のPID演算器23、第二のPID演算器24、第三のPID演算器25、およびローパスフィルタ31から構成されている。空気温度センサー13は、ダクト内を通過する空気の温度を測定し、空気温度現在値21を求める。第一のPID演算器23は、空気温度現在値21と空気温度目標値22から冷水温度目標値26を算出する。そして、第二のPID演算器24は、第一のPID演算器23で算出した冷水温度目標値26と、冷水循環部Aに備えられている冷水温度センサー18により測定された冷水温度現在値27からヒータ出力値28を算出する。電力調整器30は、ヒータ出力値28の信号から、ヒータ17の出力を調整し、冷水温度現在値27を冷水温度目標値26に近づけるように制御する。また、ローパスフィルタ31を通過させることにより、冷却水製造部Cのモータバルブ20に対応できない変動を予め除去し、第三のPID演算器25を安定させている。このローパスフィルタ31を通過したヒータ出力値29と、ヒータ出力目標値32から第三のPID演算器25で、冷却水製造部Cのモータバルブ20の開度を決定する。
【0024】
[冷却水製造部C]
冷却水製造部Cは、冷水循環部Aを循環する冷水を、熱交換器15を介して温度制御する冷却水を製造する。冷却水製造部Cは、冷却水製造設備19、モータバルブ20から構成される。ヒータ制御部Bからの周期の長い信号により、モータバルブ20の開度を調整して、冷却水の流量を調整することにより、冷水の温度を調整することができる。
【0025】
[制御方法]
制御は、まず、ダクト11内を通過する空気温度を温度センサー13で測定し、空気温度現在値21を測定する。この空気温度現在値21と、空気温度目標値22から、第一のPID演算器23により、冷水温度目標値26を算出する。次に冷水温度センサー18で測定した冷水温度現在値27と冷水温度目標値26から、第二のPID演算器24によりヒータ出力値28を算出する。このヒータ出力値28を電力調整器30に信号入力しヒータ17の出力を調整して冷水温度現在値27を冷水温度目標値26に近づけるように制御する。
【0026】
また、ヒータ出力値28に適当なローパスフィルタ31を施す。これより算出されたヒータ出力値29とヒータ出力目標値32から、第三のPID演算器25でバルブ開度33を算出し、モータバルブ20の開度を調整してヒータ出力値29がヒータ出力目標値32に近づけるよう制御する。
【0027】
本発明では、周期が1000秒未満と比較的短く、温度の変動幅が0.5℃未満といった微細な空気温度変動は、ヒータ17の制御で対応する。これにより、制御をすばやく行うことができ、温度の微調整も可能となる。
【0028】
逆に周期が1000秒以上、変動幅が0.5℃以上あるような大きい空気温度変動は、冷却水のモータバルブ20の開度を制御し、冷却水により熱交換器を介して冷水の温度制御が可能となる。大きな温度変動は冷却水を用いて行うため、ヒータ17に必要な容量は小さくて済むため、コストを抑えることができる。また、モータバルブ20の制御による温度制御では、周期の長い温度変動に対応できれば充分であるため、開度の調整が低速であることは問題とならない。
【0029】
このように、周期が短く微細な温度変化は、ヒータ17により温度制御し、周期が長く大きい温度変化は熱交換器の流量で制御することにより、微細な温度変化にすばやく対応することができる。また、ヒータ17に必要な容量を少なくすることができ、大幅なランニングコストの増加なしに冷水温度の微調整を行うことができる。
【0030】
また、モータバルブ20のバルブ開度33を調節する前に、ヒータ出力値28にローパスフィルタ31を施すことにより、モータバルブ20で対応できない変動を予め除去し、バルブ開度を制御することができる。したがって、冷却水を用いた熱交換器による冷水の温度制御により、周期が短い温度変化の信号のみとなった場合には、ローパスフィルタ31で除去される。したがって、温度制御初期においては、熱交換器15、およびヒータ17により冷水の温度制御を行うが、温度変動が小さくなると、ヒータ17のみでの制御となるため、精密な温度制御が可能である。
【0031】
また、モータバルブ20の開度は、ヒータ出力値28に応じて調整可能であることが好ましい。モータバルブ20の開度を、ヒータ出力値28に応じて調整可能とすることにより、冷却水による熱交換器15とヒータ17とにより温度が調整されるため、より精密な温度制御が可能となる。
【0032】
≪第二実施形態≫
図2は、本発明の第二実施形態に係る空気温度制御装置40の構成図を示す。第二実施形態は、冷水循環部Aの熱交換器15とヒータ17との間に、冷水混合タンク50を備える点が第一実施形態と異なっている。なお、他の構成については、第一実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0033】
[冷水混合タンクの構成]
冷水混合タンク50は、図2に示すように、熱交換器15からの冷水が供給される供給口52が下部に形成された円筒状流路管54と、この円筒状流路管54の上端部に一体的に連結されたウエブに冷水の送出口56が形成された先細状の円錐状流路管58とによって構成されている。
【0034】
熱交換器15から円筒状流路管54に供給された、温度にばらつきのある冷水は、円筒状流路管54に流入した直後に、円筒状流路管54の下層部において急拡散する。これにより、冷水は、空間的に温度むらのある状態となるが、継続して供給されてくる冷水の水力によって円筒状流路管54内で自然に混合されることにより温度むらが徐々に少なくなっていく。そして、冷水は、円筒状流路管54の上層部において上昇流となって円錐状流路管58に導かれる。そして、円錐状流路管58を流れる際に、温度むらのあった流体が、縮流していき空間的な温度むらが小さくなって平均化される。そして、円錐状流路管58の送出口56から、図2に示したヒータ17に送り出される。
【0035】
このように、冷水混合タンク50は、円筒状流路管54において冷水を急拡散させ、この後、円錐状流路管58において冷水を縮流させる、という構造である。したがって、冷水の流れのなかで冷水の温度むらを平均化することができるため、拡散装置を別途設けることなく、冷水の温度のばらつきを所定の範囲に抑えて、冷水を冷却コイル12に送り出すことができる。
【0036】
また、円筒状流路管54の中層部に、多孔質の整流板を設けることによって、円筒状流路管54から円錐状流路管58に流れる冷水を強制的に整流化することができる。したがって、円筒状流路管54において偏流が無くなり、冷水を均一に縮流・混合できる。これにより、温度制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施形態に係る空気温度制御装置の構成図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る空気温度制御装置の構成図である。
【図3】従来の冷却コイルを用いた空気温度制御装置の構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1、40…空気温度制御装置、11…ダクト、12…冷却コイル、13…空気温度センサー、14…循環ポンプ、15…熱交換器、16…バッファタンク、17…ヒータ、18…冷水温度センサー、19…冷却水製造設備、20…モータバルブ、21…空気温度現在値、22…空気温度目標値、23…第一のPID演算器、24…第二のPID演算器、25…第三のPID演算器、26…冷水温度目標値、27…冷水温度現在値、28、29…ヒータ出力値、30…電力調整器、31…ローパスフィルタ、32…ヒータ出力目標値、33…バルブ開度、50…冷水混合タンク、52…供給口、54…円筒状流路管、56…送出口、58…円錐状流路管、A…冷水循環部、B…ヒータ制御部、C…冷却水製造部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水が循環し、循環ポンプ、熱交換器、ヒータ、および冷却コイルを有する冷水循環部と、
前記熱交換器で熱交換するための冷却水を製造、供給する冷却水製造部と、
前記ヒータの出力および前記冷却水の供給量を制御するヒータ制御部と、を備える空気温度制御装置において、
前記ヒータ制御部は、空気温度現在値と空気温度目標値から冷水温度目標値を算出する第一のPID演算器と、該冷水温度目標値と冷水温度現在値からヒータ出力値を算出する第二のPID演算器と、を備え、
前記冷水は、前記ヒータ出力値の周期の短い信号に基づいて前記ヒータにより温度制御され、前記ヒータ出力値の周期の長い信号に基づいて前記熱交換器により温度制御されることを特徴とする空気温度制御装置。
【請求項2】
前記冷水循環部に、冷水が供給される供給口が下部に形成された円筒状流路管と、該円筒状流路管の上端部に一体的に連結され上部に前記冷水の送出口が形成された先細状の円錐状流路管とを備えることを特徴とする請求項1記載の空気温度制御装置。
【請求項3】
前記冷却水製造部の前記冷却水の供給量を、前記ヒータ制御部のヒータ出力値に応じて調整する第三のPID演算器を備えることを特徴とする請求項1または2記載の空気温度制御装置。
【請求項4】
冷水を循環する冷却コイルを用いて空気温度を制御する空気温度制御方法において、
前記冷水の温度は、ヒータと、冷却水による熱交換器と、によって制御されており、
空気温度現在値と、空気温度目標値から冷水温度目標値を算出するステップと、
冷水温度現在値と前記冷水温度目標値からヒータ出力値を算出するステップと、
前記ヒータ出力値の周期の短い信号に基づいて前記ヒータにより、前記冷水温度現在値を前記冷水温度目標値に制御するステップと、
前記ヒータ出力値の周期の長い信号に基づいて前記冷却水の流量を調節することにより冷水の温度を調節するステップと、を有することを特徴とする空気温度制御方法。
【請求項5】
前記冷水の循環部に、冷水が供給される供給口が下部に形成された円筒状流路管と、該円筒状流路管の上端部に一体的に連結され上部に前記冷水の送出口が形成された先細状の円錐状流路管とを有することを特徴とする請求項4記載の空気温度制御方法。
【請求項6】
前記冷却水流量は、前記ヒータ出力値の周期の短い信号に応じて調整されることを特徴とする請求項4または5記載の空気温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−175493(P2008−175493A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10619(P2007−10619)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】