説明

空気調和機の包装装置

【課題】 従来の包装装置では、段ボールパレットの上に載置された被包装体を緩衝材が内装された包装箱で上側から下方の段ボールパレットまで覆うように取り付け包装されているので、被包装体の上下方向が把握できない。また、空気調和機のように下方に重心があり、略直方体の筐体を持つ機器の場合、包装箱の上下・左右各面は平坦な面となっているので、どの面を下向きにしても置くことができる。梱包装体には縦置保管禁止の記載と筐体上下方向の記載はあるが、その記載が無視されて倉庫に保管されるケースが散見されている。それにより、保管倉庫にて被包装体の重心バランスが崩れて転倒しやすく、筐体に打痕が出来るという課題があった。
【解決手段】 この発明に係る空気調和機の包装装置は、縦長形状の被包装体の上部側の包装体に被包装体の長手方向に設けられた包装体の包装面より突出させた突出部を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機の包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空気調和機は、室内機、室外機ともに、包装装置により包装されて、倉入れ、出荷されている。特に、大型の空気調和機になると、室内機であっても重量が増し、重量物を包装方法が必要になってくる。
【0003】
従来の重量物の包装装置は、被包装体に当てがい輸送・保管時の衝撃を吸収する緩衝材が上部および下部に内装された包装箱にて、段ボールパレットに載置された被包装体を上側から覆うようにして、段ボールパレットに包装箱を取り付け包装している(例えば、特許文献1参照)。
このような包装装置により、輸送・保管時の衝撃を吸収するとともに、倉庫内での運搬および取り扱いを容易にしている。しかしながら、製品によっては、積載方法や積載方向が決められているものがあり、製品を輸送・保管する場合には、注意が必要である。
【0004】
製品を置く方向が決められているものとして、重量が大きなものではないが複数枚の基板を搬送や一時保管し製造装置や検査装置のカセット支持台にセットする基板用カセットがある。基板用カセットは上下逆転させて製造装置や検査装置にセットしても、基板用カセットがローディングあるいはアンローディングできないので、製造装置による組立や検査装置による検査ができない。そのため、基板用カセットを上下間違いなくセットするため基板用カセットの上面フレームの外側に凸部を設け、基板カセットが上下逆転してセットできないようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、基板は重量が軽いものであり、基板用カセットは内部の基板を出し入れするため、6面すべての方向を覆い隠して、被包装体が外部に飛び出さないようにしているものではない。すなわち、基板用カセットは、内部の基板を常に確認できるものである。また、上下方向を逆転させて取り扱っても内部の基板を損傷させるものではなく、上下方向を逆転させてカセット支持台にセットされないように考慮すればよいものである。よって、内部の基板を損傷するので基板用カセットのいずれかの面を下向きに置くことを禁止したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−301740号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】特開平11−121604号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空気調和機のような重量があるものは、その構成物のうち、重量の大きいものは下方へ偏っている、すなわち、空気調和機の下方に重心がある場合が多い。これに対して、従来の包装装置では、段ボールパレットの上に載置された被包装体を緩衝材が内装された包装箱で上側から下方の段ボールパレットまで覆うように取り付け包装されているので、被包装体の姿は外側からは梱包の塗装や刻印からしか判断出来ない。そのため、梱包の塗装や刻印を見ない場合は指定された正規倒置方法と異なる置き方をされる可能性があった。すなわち、被包装体の上下方向が把握できない。また、空気調和機のように略直方体の筐体を持つ機器の場合、包装箱の上下・左右各面は平坦な面となっているので、どの面を下向きにしても置くことができる。よって、被包装体の上下方向を逆転させ倒置すると、被包装体の重心バランスによって転倒しやすくなり、転倒によって筐体に打痕が出来るものが散見されるという課題があった。
また、包装装置を上下方向逆転して倒置することを避けるため外装面の上面の外側に凸部を設けたとしても、凸部を設けた外装面が広い場合は凸部の高さだけ傾いて置くことができたり、空気調和機の重量で凸部がつぶれたりして、包装装置を床等に置いた場合、傾きに気が付かないという課題があった。また、包装装置を搬送する場合は、パレットに複数積載して搬送するが、包装装置の上面に凸部を設けると凸部が邪魔となって、包装装置の上に別の包装装置を積み重ね搬送や保管ができないという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、通常運転される状態では縦長形状の筐体の長手方向を上下方向に設置し重心が下方にある空気調和機を包装された状態で倒置されないようにした空気調和機の包装装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る空気調和機の包装装置は、縦長形状の空気調和機の上部側の包装体に包装体より外部に突出させた突出部を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の空気調和機の包装装置は、縦長形状の空気調和機の上部側の包装体に包装体より外部に突出させた突出部を設けたので、通常運転される状態では縦長形状の筐体の長手方向を上下方向に設置し重心が下方にある空気調和機を包装された状態で倒置されないようにした空気調和機の包装装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の設置台の詳細説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の組立図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の横置状態図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る包装装置の積載状態を表す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の縦置状態図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る包装装置に包装される空気調和機の概観図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る包装装置に包装される空気調和機の概観図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る包装装置に包装される空気調和機の内部構造図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る包装装置の設置台の詳細図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る包装装置を縦置状態にて倒置したときの説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の別角度からの斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の包装装置の別角度からの斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る包装装置の設置台の別例の詳細図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係る包装装置の設置台の別例の詳細図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係る包装装置の設置台の別例の詳細図である。
【図17】本発明の実施の形態1に係る包装装置の設置台の別例の詳細図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る包装装置の設置台の詳細図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る包装装置の積載状態を表す図である。
【図20】本発明の実施の形態3に係る包装装置の設置台の詳細図である。
【図21】本発明の実施の形態3に係る包装装置の積載状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
一般的に、部屋を空調するセパレート形空気調和機は、室内機と室外機に分かれている。室内機は部屋の中に、室外機は屋外にそれぞれ設置される。室内機には室内機の冷媒回路が、室外機には室外機の冷媒回路が備えられており、これらの冷媒回路を延長配管にて接続し、冷媒が循環するひとつの環状の冷媒回路を構成することで、空気調和機として構成される。この冷媒回路を循環する冷媒が室内機を設置した部屋および室外機を設置した屋外の空気と熱交換して、部屋の冷暖房などの空調を行う。このような空気調和機において、床置き型の室内機は、略直方体の縦長の形状をしており、これを包装する包装装置も長手方向を有する略直方体の形状をしている。この包装装置について説明する。
【0012】
図1は包装装置に空気調和機の室内機を収めた状態で梱包装置の外装である包装箱を外したときの斜視図である。図のように包装装置は、被包装体である空気調和機の室内機本体2を外側から包装体が覆う形で構成されている。また、包装体は、設置台3、緩衝材4〜9、フレーム10、包装箱11から構成されている。また、室内機本体2を包装するため、包装装置も上面、下面、左右側面、正面、背面の6面で囲まれた略直方体をしている。
【0013】
図1において、3は包装装置1の基礎となる設置台であって、例えば木材で構成され空気調和機の室内機本体2を載置する部分である。
図2は、設置台3の斜視図であって、被包装物すなわち空気調和機の室内機本体2が載置される上面デッキ3aと、設置台3を倉庫の床や地上に置いたとき床面や地上面などに直接接触する下面デッキ3bと、上面デッキ3aおよび下面デッキ3bとの間に隙間が作られるように、この2つのデッキをつなげ上面デッキ3aを支える複数のけた材3cとによって構成されている。上面デッキ3aは、複数の長い板状部材3dと板状部材3dの上に設けられた上面板材3eで構成されている。この上面板材3eは、板状部材3dの一部を覆うように板状部材3dに固定され被包装物が安定に置くことができる載置面を形成している。また、下面デッキ3bも、同様に複数の長い板状部材3fで構成されている。
複数の板状部材3dは長手方向が略平行になるように並べられるとともに、板状部材3dの長手方向と略直角に設けられたけた材3cに固定され上面デッキ3aを構成している。同様に、複数の板状部材3fも長手方向が略平行になるように並べられるとともに、板状部材3fの長手方向と略直角に設けられたけた材3cに固定され下面デッキ3bを構成されている。また、板状部材3dと3fとはけた材3cにてつなぎ合わされているとともに、けた材3cを介して、略平行に配置されている。すなわち、上面デッキ3aおよび下面デッキ3bは複数の板状部材を略平行に並べ、これと直角方向に設けられた渡り材であるけた材3cに固定しデッキ面を形成している。また、その2つのデッキ面はけた材3cを介して略平行に形成されている。さらに、上面デッキ3aは上面板材3eを取り付け被包装物が安定に置くことができる載置面を形成している。
【0014】
複数のけた材3cは上面デッキ3aおよび下面デッキ3bの間に隙間を形成するとともに、上面デッキ3aおよび下面デッキ3bの間の隙間と連通する差込口3gを形成する。すなわち、差込口3gは、板状部材3dあるいは3fの長手方向と略直角に設けられており、フォークリフトによる搬送時に、フォークリフトの爪を差込み、被包装物を設置台3ごと持ち上げ、搬送できるにようしている。また、けた材3cの高さ分、包装装置1を載置する床面や地上面より高い位置に被包装物を載置できるので、被包装物は汚れにくく、床面や地上面から伝わる衝撃などもけた材3cが緩和している。
また、設置台3の差込口3gが設けられた面と直角を成す面、すなわち板状部材3dの長手方向の端面側に、けた材3cの長手方向と平行に、左側面板材3h、右側面板材3jが取り付けられている。
なお、上面板材3eと左側面板材3hは接触しておらず、間に左開口部3kが形成されている。同様に、上面板材3eと右側面板材3jも接触しておらず、間に右開口部3mが形成されている。
【0015】
なお、空気調和機の室内機本体2は、室内機本体2の長手方向を縦向きにして設置する設置・使用時と異なり、包装時には図1のように設置台3に室内機本体2の長手方向を横向きにして載置する。よって、室内機本体2の設置時に上部となる部分は包装時には設置台3に対して左側に配置され、室内機本体2の設置時に下部となる部分は包装時には設置台3に対して右側に配置されるように載置される。また、室内機本体2の設置時に左側面部となる部分は包装時の下側すなわち設置台3側、室内機本体2の設置時に右側面部となる部分は包装時の上側になるように載置される。なお、左側面部を上側に、右側面部を下側に載置しても構わないし、左側面部、右側面部の代わりに室内機本体2の前面部、背面部であっても構わない。
なお、包装前に空気調和機の室内機本体2のチェックを行う際、身長の高い低いに関わらず誰でも行えるように、設置台3には長手方向を横向きに載置し包装を行う。
また、包装装置1は横長の直方体とすることで、包装装置1の上部に別の包装装置を積み重ねることができ、保管・搬送が効率よく行える利点もある。
【0016】
この設置台3には、空気調和機の室内機本体2を載せ保持するとともに、搬送時に設置台3から空気調和機の室内機本体2へ伝わる衝撃、振動を緩和・吸収する左側下部緩衝材4と右側下部緩衝材5、および中央下部緩衝材6が取り付けられている。左側下部緩衝材4は、左側面板材3hと上面板材3eによって形成された上面デッキ3aの左開口部3kに嵌め込まれるとともに、左側下部緩衝材4の底面に設けられた2つの凸部4aによって左開口部3kの中を通過する板状部材3dを挟持するように勘合することで設置台3に固定される。右側下部緩衝材5は、右側面板材3jと上面板材3eによって形成された上面デッキ3aの右開口部3mに嵌め込まれるとともに、左側下部緩衝材5の底面に設けられた2つの凸部5aによって左開口部3kの中を通過する板状部材3dを挟持するように勘合することで設置台3に固定される。中央下部緩衝材6は、上面板材3eに設けられた貫通穴3nに中央下部緩衝材6の底面に設けられた凸部6aが勘合することで設置台3に固定される。このような構成にて、これら緩衝材は設置台3に取り付けられ、搬送時の衝撃振動を緩和するとともに、搬送時に空気調和機の室内機本体2が設置台3から外れたりすることも防止している。
【0017】
また、空気調和機の室内機本体2の上部および下部には空気調和機の室内機本体2の角を覆うように左側緩衝材7と右側緩衝材8とが取り付けられている。なお、左側緩衝材7と右側緩衝材8は、それぞれ一つの緩衝材部品であっても、複数の緩衝材部品に分かれた構成であっても構わない。この左側緩衝材7と右側緩衝材8により、包装状態の空気調和機の室内機本体2に包装装置1の左右から伝わる衝撃、振動が緩和・吸収される。なお、左側緩衝材7および右側緩衝材8は、左側下部緩衝材4および右側下部緩衝材5に当接され左右の緩衝材部を形成する。この左右の緩衝材部によって被包装物である空気調和機の室内機本体2は設置台3上の所定の位置に導かれ載置される。そして、このような構成にて、設置台3上から伝わる衝撃や振動および左側緩衝材7、右側緩衝材8に直接加わる衝撃や振動が緩和、吸収される。なお、このとき、空気調和機の室内機本体2の中央部には中央下部緩衝材6が当接され、中央下部緩衝材6によっても設置台3上の所定の位置に導かれ載置されるとともに、設置台3上から伝わる衝撃や振動が緩和、吸収される。すなわち、空気調和機の室内機本体2は、その上部を左側緩衝材7と左側下部緩衝材4にて、その下部を右側緩衝材8と右側下部緩衝材5にて、その中央部を中央下部緩衝材6にて、伝達される衝撃や振動から保護されるとともに、左側下部緩衝材4、右側下部緩衝材5、中央下部緩衝材6にて設置台3上の所定の位置に載置される。
【0018】
また、空気調和機の室内機本体2は、室内機本体2中央部の中央下部緩衝材6が当接された側と反対側、すなわち、空気調和機の室内機本体2の包装状態では上面側に上部緩衝材9が室内機本体2に当接された状態で取り付けられる。そして、上部緩衝材9は、包装状態の上面側からの衝撃、振動を左側緩衝材7と右側緩衝材8とともに緩和・吸収する。これら、左側緩衝材7、右側緩衝材8、中央下部緩衝材6は、フレーム10により空気調和機の室内機本体2とともに設置台3に組み付けられ固定されている。
【0019】
フレーム10は、包装装置1の上面側、長手方向、横向きに設けられた板状部材10a、10bと、板状部材10aと10bを上面側でつなぐ、板状部材10c、10d、10eと、これらを上下方向に支える6本の柱10f〜10kによって構成されている。なお、柱10i、10kは図1に図示できないので、図3に図示する。板状部材10aは、空気調和機の室内機本体2の正面側であって、緩衝材7、8、9の上面に当接し押さえるように設けられている。同じく、板状部材10bは、空気調和機の室内機本体2の背面側であって、緩衝材7、8、9の上面に当接し押さえるように設けられている。板状部材10cは、左側緩衝材7の上面に当接し押さえるように設けられ板状部材10a、10bに接続されている。板状部材10dは、右側緩衝材8の上面に当接し押さえるように設けられ板状部材10a、10bに接続されている。そして、板状部材10eは、上部緩衝材9の上面に当接し押さえるように設けられ板状部材10a、10bに接続され、板状部材10a〜10eにてフレーム10の上面部を構成している。柱10f、10gは、フレーム10の上面部を左側緩衝材7側で上下方向に支えるとともに左側緩衝材7が外れないように押さえるため、柱10fは板状部材10aと10cの接続部に、柱10gは板状部材10bと10cの接続部に、それぞれ接続され支えている。柱10h、10iも同様に、フレーム10の上面部を右側緩衝材8側で上下方向に支えるとともに右側緩衝材8が外れないように押さえるため、柱10hは板状部材10aと10dの接続部に、柱10iは板状部材10bと10dの接続部に、それぞれ接続され支えている。また、柱10j、10kは、フレーム10の上面部を上部緩衝材9の箇所で上下方向に支えるとともに上部緩衝材9が外れないように押さえるため、柱10jは板状部材10aと、柱10kは板状部材10bと、それぞれ接続され支えている。
フレーム10はこのような構成により、緩衝材7、8、9が、空気調和機の室内機本体2から外れないように押さえるとともに、緩衝材7、8が緩衝材4、5から外れないように押さえている。
なお、緩衝材4、5、6、7、8、9は、例えば、発泡スチロールなどで構成されており、フレーム10は木材などで構成されている。緩衝材4、5、6、7、8、9は、大きな衝撃に対して変形して衝撃を吸収するが、被包装体の重量や外部からの応力などによっても変形するので、外周をフレーム10などによって、補強し、包装装置1の形状が崩れないように支えている。
【0020】
フレーム10により設置台3上に緩衝材4、5、6、7、8、9を介して組み付けられた状態をさらに外部から覆うように包装箱11が覆い構成される。包装箱11は設置台3の上面デッキ部3aまで達し、内部を覆い隠す。よって、略立方体の室内機本体2を包装するため、包装箱11は上面と4方を取り囲む側面すなわち左右側面と前後面から形成されている。なお、略直方体の室内機本体2を包装する包装装置1は、設置台3が底面を構成して、6面を囲んでいる。なお、差込口3dは包装箱11にて、覆われないので、包装箱11にて包装後も、差込口3dにフォークリフトの爪を差し込んで搬送が可能である。これにより、空気調和機の室内機本体2は直接外界から触れられないようになるとともに、緩衝材4、5、6、7、8、9を固定するフレーム10も、緩衝材から抜け落ちたり、設置台3から外れたりすることなく、固定される。なお、この包装箱11は一般には段ボールシートを基材として形成されることが多い。
また、5面を段ボールで構成された包装箱11、底面を木材で構成された設置台3で囲われた説明したが、側面の一部はなくても構わない。例えば、包装箱11の正面や後面を構成する段ボールは面を構成しなくても、ビニールシート等のもので室内機本体2が覆われていることで、汚れなどの保護が可能なため、無くても構わない。
【0021】
また、包装箱11にて覆われた後、包装箱11と設置台3とが外れないように包装箱11と上からバンドで固定する。これによって、搬送時に包装箱11が外れて包装装置1内の空気調和機の室内機本体2が露出したり、設置台3から外れて床に落下したりすることはない。
【0022】
このような構成により、包装装置1は、搬送時に略直方体の空気調和機の室内機本体2のいずれの面から衝撃や振動が伝わっても、緩衝材4、5、6、7、8、9により、その衝撃や振動が吸収されるとともに、設置台3の差込口3dを利用しフォークリフト等にて簡単に搬送が可能である。また、これらの緩衝材4、5、6、7、8、9およびフレーム10は包装装置1の上に別の包装装置を積載しても、十分な強度を有しているため、包装装置1を積み重ね保管したり、その積載した状態でフォークリフトにて搬送したりすることも可能である。
【0023】
以上のような構成の包装装置1を組み立てるためには、図3のように、先ず、初めに、左側下部緩衝材4、右側下部緩衝材5、中央下部緩衝材6が取り付けられた設置台3をセットする。次に、空気調和機の室内機本体2の上部および下部を覆うように、左側緩衝材7と右側緩衝材8を取り付けられる。緩衝材7、8が取り付けられた空気調和機の室内機本体2は長手方向を横向きとし設置台3に取り付けられた左側下部緩衝材4、右側下部緩衝材5、中央下部緩衝材6を介して設置台3に載置する。このとき、左側緩衝材7は左側下部緩衝材4に、右側緩衝材8は右側下部緩衝材5に当接されることで、左右の緩衝材部が組み立てられ、設置台3に載置される。また、空気調和機の室内機本体2の中央部は中央下部緩衝材6に当接された状態に載置される。次に、空気調和機の室内機本体2の中央部に当接された中央下部緩衝材6側と反対側の中央部すなわち包装装置1の上部側に上部緩衝材9が取り付けられる。空気調和機の室内機本体2の中央部を中央下部緩衝材6と上部緩衝材9とで空気調和機の室内機本体2を包装時の横向きにセットした状態で上下方向すなわち設置時の左右方向に挟む形に取り付けられる。次に、取り付けられた緩衝材7、8、9にフレーム10が外側から覆うように取り付けられる。すなわち、フレーム10の柱10f、10gは、左側緩衝材7に設けられた溝7aに装着される形で当接され、左側緩衝材7と左側下部緩衝材4とで形成される隙間に、柱の先端がそれぞれ差し込まれて固定される。このとき、左側緩衝材7の上部に板状部材10a、10b、10cが当接され、左側緩衝材7を板状部材10a、10b、10cが上部から、柱10f、10gが側方から、それぞれ押さえるように左側下部緩衝材4を介して設置台3に固定される。同様に、フレーム10の柱10h、10iは、右側緩衝材8に設けられた溝8aに装着される形で当接され、右側緩衝材8と右側下部緩衝材5とで形成される隙間に柱の先端がそれぞれ差し込まれ固定される。このとき、右側緩衝材8の上部に板状部材10a、10b、10dが当接され、右側緩衝材8を板状部材10a、10b、10dが上部から、柱10h、10iが側方から、それぞれ押さえるように右側下部緩衝材5を介して設置台3に固定される。また、フレームの中央部の柱10j、10kは、上部緩衝材9に設けられた連通穴9aを通過し、中央下部緩衝材6に設けられた連通穴6bにその先端が差し込まれ固定される。このとき、上部緩衝材9の上部に板状部材10a、10b、10eが当接され、上部緩衝材9を板状部材10a、10b、10eが上部から押さえ固定される。最後に、フレーム10の外側から設置台3の上面デッキ3aまで覆うように包装箱11が被せられ、空気調和機の室内機本体3が包装される。そして、包装箱11と設置台3とが外れないように包装箱11の上からバンドにて固定される。
【0024】
このように組み立てられた包装装置1は、略直方体のため、図4のように長手方向を横向きに置かれるとともに、包装装置1の上に別の包装装置を積載しても、十分な強度を有しているので、図5のように搬送用のパレットの上に縦横に複数個積載し搬送することができる。また、包装装置1の1台1台は設置台3を利用してフォークリフトにて搬送することが多いので、図4のように設置台3が下向きになるように置かれる。
しかしながら、フォークリフトなどを利用せず、人が1台1台運ぶ場合には、設置台3が下向きになる方向、すなわち、包装装置1の長手方向が横向きの状態で運ぶと扱いづらいため、包装装置1の長手方向を縦向きになるような状態にて運び、図4のように横向きに載置する。しかしながら、まれに、図6のように縦向きに載置してしまうことがある。縦向きに載置した場合、包装された空気調和機の室内機本体2の重心が不安定であるとともに、包装装置1の左右の緩衝材で構成された面は載置される面としては強度の点で弱く、立設できても不安定なので、転倒する恐れがある。
【0025】
空気調和機の室内機本体2について説明する。図7、8は室内機と室外機とに分かれたセパレート形の空気調和機の床置き型の室内機本体2の概観図であり、略直方体の縦長の形状をしており、室内床面に室内機本体2を立設して使用するものである。そして、屋外に設置される図示しない室外機と延長配管で接続され、室内機と室外機との間で冷媒を循環させて、空調を行うものである。
図7のように室内機本体2の前面側、側面下方に筐体内へ空気を吸い込む吸込口15があり、吸込口15から吸い込んだ空気は、吹出口から筐体外へ吹き出される。図7は、空調停止時の場合であり、吹出口16は筐体上部にある可動パネル17にて覆い隠されているが、運転中は図8のように可動パネル17が下方にスライドし、吹出口16が現れるようになっている。可動パネル17は本体正面の正面パネル18内に収納されている。
図9は、室内機本体2の正面パネル18と右側面部を取り外した図である。室内機本体2の筐体内下方に送風機19が備えられている。送風機19は、ファンモータ20と、ファンモータ20に接続されたファン21によって構成されており、ファン21の外周には、ファン21が回転して引き起こされる気流を整流し、筐体の上方に導く、ケーシング22が備えられている。送風機19は、このような構成により、吸込口15を介してファン21の正面側から空気を吸い込み、ファン21の外周にその空気を気流として導く。ファン21の外周に備えられたケーシング22はファン21によって導かれた空気を整流した気流とし、筐体の上方に送る。送風機19の上方すなわち吸込口15から吸い込まれた空気がケーシング22を介して送られた先には、内部を冷媒が流れる熱交換器23が備えられている。吸込口15から吸い込まれた空気はこの熱交換器23を通過し吹出口16から筐体外に吹き出されるが、このとき、熱交換器23を流れる冷媒と熱交換される。この熱交換により吸い込んだ室内の空気を加熱あるいは冷却し室内の冷暖房空調を行う。
【0026】
熱交換器23は、冷媒を循環させる配管と接続されており、その配管には室内機本体2の下方に設けられている図示しない接続口が接続されている。接続口には、屋外に設置された室外機と接続する延長配管が接続される。延長配管は室内機本体2の側面等から筐体外に取り出され、屋外へと導かれる。延長配管を介して室内機本体2と接続される室外機は、熱交換器、圧縮機、膨張弁などを備え、これらと室内機本体2の熱交換器23が、配管により接続され内部を冷媒が循環する冷媒回路が構成される。冷媒回路では、室外機の熱交換器で屋外の外気と熱交換し吸熱した冷媒が室内機の熱交換器23にて室内の空気と熱交換し室内の空気を加熱し暖房を行う。同様に、室内機の熱交換器にて空気と熱交換し吸熱した冷媒が室外機の熱交換器で外気と熱交換し放熱することで、室内の空気を冷却し冷房運転を行う。なお、冷房運転と暖房運転とは室外機に設けられた四方弁にて冷媒の循環方向を切替えることで実現している。
【0027】
以上のような構成と仕組みにより、空気調和機の室内機本体2は空調を行うが、主要な構成部品である熱交換器23は筐体の中央部から上部にかけて、送風機19は下方に配置されている。その中でも、熱交換器23は冷媒を流す銅管とアルミでできたフィンで構成されることにより比較的軽量であるが、送風機19とケーシング22は送風を静かにかつ安定した風量を得るため、比較的堅牢に作られており重量が大きな部品である。よって、室内機本体2の重心も、縦長の筐体の下方に形成される。また、地震などの揺れに対しても室内機本体2の重心を安定させ、転倒を防止するために、縦長の筐体の下方に重心が形成されていることが望ましく、そのように設計されている。また、これら重量が大きな構成部品は、室内機本体2の取り付け構造においても、室内機本体2の設置時の重力方向(下方の本体床面側)の強度は強化され、室内機本体2の重力方向にゆれや振動による応力が発生しても筐体が十分耐えうるような構造となっている。
【0028】
しかしながら、空気調和機の室内機本体2は上下方向を逆に倒置した場合には、縦長の筐体の上方に重心があるため、立設しても不安定であり、ある程度の振動で転倒する恐れがある。また、室内機本体2は転倒により与えられる打撃の応力に耐えうる仕様には至っておらず、転倒した場合の強度は不十分であり、転倒した場合、筐体が歪んだり、破損や打痕が生じたりする恐れがある。室内機本体2が転倒により歪みや破損まで至らなくても、冷媒回路や送風機19のケーシング22等の風路が歪み十分な能力を出さなかったり、騒音の原因を作ったりする可能性がある。
【0029】
これは包装された状態でも、同様であり、倉庫内で荷積み、荷下ろしのとき、一時的に人の手によって長手方向を縦向きに、かつ、室内機本体2の上下方向を逆に載置してしまった場合、重心が上方にあり、立設には不安定で、ある程度の振動で転倒する恐れがある。また、包装装置1の左右の緩衝材で構成された面は載置される面としては梱包強度が弱く、室内機本体2の自重や応力によって、転倒しやすくなる。また、室内機本体2の上下方向を逆に載置した場合、重心位置の上昇により底面の梱包が不安定となり、転倒しやすくなる。転倒によって、室内機本体2の筐体に無理な応力がかかり、筐体が歪んだり、破損したりする可能性が大きい。特に、包装箱11の外装面からは室内機本体2の上下方向が梱包の塗装や刻印からしか判断できず、塗装や刻印を無視して上下方向を逆に載置されることが散見される。
そこで、例え、包装装置1が縦向きに載置されることがあっても、室内機本体2の上部を下向きに載置されることのないようにする必要がある。
【0030】
そのために、図1および図2の包装装置1において、室内機本体2の上部が載置される左側に突出部を設け、左側を下方に載置された場合には水平が保てず転倒するようにし、載置できないようにする。
なお、突出部の総接地面積は、突出部だけで包装装置1を支持し立設できない面積にて形成される。また、突出部が、複数、設けられる場合は、複数の突出部が略直線上に配置されることで、包装装置1を支持し立設することができないようにすることができる。また、突出部は、突出部を設けた面とその周囲壁のうちの1面あるいは隣り合う2面の近傍、例えば、略直方体の場合、上面と4つの側面のうちの1面あるいは隣り合う2面の近傍に設けることによって、包装装置1は立設することができないようにすることができる。このような構成とすることで、突出部により載置できないようできる。
【0031】
例えば、図10は図2の設置台3の上面と側面から見た図であるが、下面デッキ3bを構成する板状部材3fを左側面板材3hより延出させ、包装装置1における突出部3pを形成させている。すなわち、下面デッキ3bを構成する板状部材3fを31、32、33のように上面デッキ3aを構成する板状部材3dより長くするとともに、設置台3の左側面より突出させて配置する。
【0032】
この包装装置1の左側面に設けた突出部3pは、仮に包装装置1を左側面が下向きに載置しようしたとき、図11(a)のように傾きを生じさせ自立した立設ができないようにする。さらに、左側緩衝材7が室内機本体2の自重で変形するため傾きは大きくなる。そのため、上下方向が誤って載置しようとしていることを作業者に気付かせることができ、室内機本体2の上部を下向きに載置され、転倒することが未然に防ぐことができる。
また、包装装置1の左側面に突出部3pが設けられているだけなので、通常の横向きの積載を行っても、縦方向の荷積みに特に支障はない。横方向に整列させる点についても、支障はなく、従来通りの搬送と保管が効率的にできる。
【0033】
なお、包装箱11の表面には包装装置1を縦置きする場合の上下方向指定表示を設け、突出部3pによって立設できないこと、上下方向が誤って載置しようとしていることを作業者に知らせる。
【0034】
また、突出部3pは板状部材3fを延出して構成されているため、強度にも優れ、包装装置1を左側面が下向きに載置したとき、突出部3pが変形したり、破損したりすることはなく、必ず、傾きを持つようにできる。
【0035】
なお、突出部3pの突出される長さは、包装装置1を縦向きに載置した場合、自立して立設を維持できない程度の長さを有すれば良い。例えば、図11(c)は、包装装置1が直立している場合であるが、重心Gから鉛直方向すなわち床面に向かって自重がかかっている状態であり、この状態では、転倒はしない。これに対して、図11(a)(b)のように傾いている場合、重心Gから鉛直方向に下ろされた自重がかかる方向が、図11(b)のように包装装置1の底面すなわち図中のAからBの範囲内である場合は、自立し転倒はしない。重心Gから鉛直方向に下ろされた自重がかかる方向が、図11(a)にように包装装置1の底面であるAからBの範囲を外れる場合は、自立できず矢印Cの方向に倒れるようになる。したがって、包装装置1を縦向きに載置し、その重心から鉛直方向にかかる自重の方向が、包装装置1が床面と接触している範囲から外れた範囲に向くように、突出部3pの突出される長さを決める。これにより、包装装置1は縦向きに載置した場合、突出部3pを有する面を下向きに載置できないようにすることが可能である。
【0036】
一方、包装装置1を右側面が下向きに載置したとき、被包装体の重量に対して立設し続けることは可能だが、梱包強度が弱く、不安定となって包装装置1が傾き転倒する恐れがある。このため、図12、図13のように載置される面側すなわち包装装置1の右側面に補強材を追加している。補強材41は、フレーム10を構成する柱10hに沿うように設けられ、板状部材10aに固定されている。補強材42は、フレーム10を構成する柱10iに沿うように設けられ、板状部材10bに固定されている。補強材43は、板状部材10aと10bとの間に、板状部材10aと10bとを接続している板状部材10dを上から覆い固定されている。なお、補強材41、42、43はフレーム10と同様、木材などから構成される。
これによって、包装装置1を右側面が下向きに載置したとき、補強材41、42、43によって、緩衝材に関係なく底面が構成され、被包装体の重量や衝撃に対して変形することはないので底面は水平を保つことができ、包装装置1が傾き転倒する恐れがなくなる。
【0037】
なお、図2の突出部3pは設置台3と一体となるように形成されているが、必ずしも、一体である必要はなく、図14のように別体にて設けても構わない。例えば、図14は設置台3の上面と側面から見た図であるが、図のように板状部材3fの間に別の板状部材34、35を設けて突出部3pを構成しても構わない。このように突出部3pが別体で取り付けられるようにすれば、簡単な改造で従来からある設置台3を利用して、包装装置1の縦向きに載置したときの倒置を防止することができる。
【0038】
また、突出部3pはかならずしも、31、32、33の板状部材のように3列必要なく、図15のように少なくとも1列延出されているだけでも構わない。これでも、突出部が形成され立設でき無くできる。よって、延出された板状部材を余分に配置摺ることなく効率的配置に利用できる。
【0039】
また、突出部3pを3列突出させる場合も、すべて同じ長さである必要はない。すなわち、図16のように板状部材31、32、33の突出される長さが違っていても、突出部は形成され立設でき無くできる。すなわち、板状部材の正確な寸法設計が無くても実現可能である。
【0040】
また、突出部3pは、図17のように上面デッキ3aを構成する板状部材3dを左側面板材3hより延出させ形成させても構わない。また、その場合、延出させる板状部材3dの長さ、数なども、板状部材3fを延出させる場合同様である。さらに、突出部3pは、上面デッキ3aを構成する板状部材3dと下面デッキ3bを構成する板状部材3fの両方とも延出させて構成しても構わない。
【0041】
以上により、包装装置1は、包装装置1の底面とすることを禁止した包装面すなわち室内機本体2の上部が設置台3に載置されている左側面に室内機本体2の長手方向に突き出された突出部を設けたので、室内機本体2の上部を下向きになるように包装装置1を載置しようとした場合、突出部によって自立・立設できず上下方向が逆となっていることを転倒する前に作業者に気付かせることができる。また、室内機本体2の上部を上向きに載置したとしても、包装装置1の床面に載置される面すなわち室内機本体2の下部が設置台3に載置されている右側面は変形することなく、水平を保つことができる。これによって、包装装置1を一時的に縦向きに載置されたとしても所定の方向を上向きに載置されるので、傾き転倒する恐れがない。さらに、通常の横向きの載置に対しても、設置台3に設けた突出部が邪魔となって、高さ方向に包装装置1を積み重ねることができないということはなく、従来同様の効率的な搬送と保管が可能である。
なお、セパレート形の空気調和機の室内機の包装装置についてのみ、説明してきたが、これは、室外機の包装装置に使用しても構わない。さらに、セパレート形ではない室内外一体型の空気調和機の包装装置についても使用して構わないし、床置き型にて説明してきたが、それ以外でも、重心に偏りがある空気調和機において、本発明を適用し、重心が上方なるような載置を防止することができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態1では、横長の包装装置を縦向きに立設しようとした場合、所定の包装面を底面として載置できないようにした例について説明したが、通常の横向きに載置した場合、高さ方向すなわち縦方向に積み重ねた荷積みには問題ないが、横方向に整列させた荷積みには突出部が邪魔で積載効率が悪くなる可能性がある。よって、この突出部の形状を変え、積載効率を改善した例について説明する。
【0043】
図18は、設置台3の突出部3pすなわち板状部材31、32、33の延出される長さを変えたものである。板状部材31の延出される長さをLとすると、板状部材32は、長さLの1/2とする。また、板状部材33は、長さ0であっても良い。板状部材31の延出される長さをLは、包装装置1を転倒させる十分な長さとする。これによって、包装装置1を縦向きに載置した場合、上下方向を逆転し載置させると、突出部3pによって立設できない。
【0044】
一方、横向きに載置・積載した場合、高さ方向に荷積みしても突出部3pが邪魔になることはない。これに対して、図19(a)のように横方向に整列させて積載した場合、突出部3pが外を向いている場合には、支障はない。突出部3pどうしを突き合わせた方向に整列させると、突出部分だけ保管スペースに余分なスペースが必要になるが、図18に示す突出部3pの形状の場合、突出部3pどうしを突き合わせても、図19(b)のように突出部3pが重なり合い、余分なスペースを縮小できる。すなわち、突出部3pの板状部材31と突出部3p’の33’、突出部3pの32と突出部3p’の32’、突出部3pの33と突出部3p’の31’、それぞれと突き合わされるので、包装装置1の2台の長さに対して突出部3pの長さL分の余分スペースで保管が可能である。
【0045】
なお、板状部材31のみの延出でも、同じ状態は実現可能である。また、板状部材31、32、33の順に延出される長さが短くなる説明をしたが、これは、板状部材33、32、31の順に延出される長さが短くなっても問題はない。
【0046】
以上により、横長の包装装置1は、縦向きに立設されても、底面とすることを禁止した包装面に設けられた突出部によって、その包装面を底面として載置できないようにするとともに、正常の横向きの載置に対しても、設けられた突出部どうしを突き合せた状態で省スペースにて保管可能であるので、従来と同様に縦方向の積み重ねと横方向の整列のいずれの方向の荷積みにも支障はなく、効率的な搬送と保管が可能である。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態2同様、包装装置の縦向きの載置に対して、上下方向を逆転し載置させない突出部を設けながら、通常の横向きに載置した場合の積載効率を改善する、別の例について説明する。
【0048】
図20は、設置台3の板状部材3fを延出させず、別体で突出部3pを形成する板状部材36を設けたものである。板状部材36は左側面板材3hに蝶番37で固定され、室内機本体2の上部が下方となるように包装装置1を倒置した場合には、図20(a)のように突出部3pとして形成されるが、包装装置1を室内機本体2の上部が上方となるように載置した場合には、図20(b)のように板状部材36は折りたたまれる。また、包装装置1を横置きとした場合も同様に、板状部材36は折りたたまれる。これによって、必要な時だけ、突出部3pが現われるようになる。
したがって、横向きに載置・積載した場合、縦方向に積み重ねるとともに横方向に整列させた荷積みをしても突出部3pが邪魔になることはなく、図21のように整列させて積載可能である。
【0049】
また、突出部3pは設置台3に収納される構造でもよく、同様に、室内機本体2の上部が下方となるように包装装置1を倒置した場合には、突出部3pが自重で設置台の中から出現し倒置を防止するとともに、包装装置1を室内機本体2の上部が上方となるように載置した場合には、設置台3の中に収納されるようにする。これによって、包装装置1を横向きに載置・積載した場合、縦方向に積み重ねるとともに横方向に整列させた荷積みをしても突出部3pが邪魔になることはなく、図21のように整列させて積載可能である。
【0050】
これによって、横長の包装装置1は、縦向きに立設されても、底面とすることを禁止した包装面に設けられた突出部によって、その包装面を底面として載置できないようにするとともに、正常な横向きの載置に対しても、設けられた突出部が折りたたまれた状態あるいは収納された状態で省スペースにて保管できるので、縦方向に積み重ねるとともに横方向に整列させた荷積みができ、効率的な搬送と保管が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 包装装置
2 室内機本体
3 設置台
3a 上面デッキ
3b 下面デッキ
3c けた材
3d 上面板状部材
3e 上面板材
3f 下面板状部材
3g 差込口
3h 左側面板材
3j 右側面板材
3k 左開口部
3m 右開口部
3n 貫通穴
4 左側下部緩衝材
4a 凸部
5 右側下部緩衝材
5a 凸部
6 中央下部緩衝材
6a 凸部
6b 貫通穴
7 左側緩衝材
7a 溝
8 右側緩衝材
8a 溝
9 上部緩衝材
9a 貫通穴
10 フレーム
10a〜10e フレーム上部板状部材
10f〜10k フレーム柱
11 包装箱
15 吸込口
16 吹出口
17 可動パネル
18 正面パネル
19 送風機
20 モータ
21 ファン
22 ケーシング
23 熱交換器
31 下面板状部材1
32 下面板状部材2
33 下面板状部材3
34 下面板状部材4
35 下面板状部材5
36 下面板状部材6
37 蝶番
41 フレーム補強材1
42 フレーム補強材2
43 フレーム補強材3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長形状の筐体を有し通常運転される状態では長手方向を上下方向に設置し重心が下方にある空気調和機と、前記空気調和機に取り付けられた包装体と、前記空気調和機の上部側の前記包装体に設けられ前記空気調和機に前記包装体が取り付けられた状態で倒置できないように前記包装体より外部に突出させた突出部と、を備えたことを特徴とする空気調和機の包装装置。
【請求項2】
前記包装体は上面と下面と4つの周囲壁を有し、前記突出部は上面に突出させ前記4つの周囲壁のうちの1面あるいは隣り合う2面の近傍に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の包装装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記包装体に複数設けられるとともに、略直線上に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の包装装置。
【請求項4】
前記包装体は、前記空気調和機を前記空気調和機の上下方向を横向きに載置し固定する設置台を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の包装装置。
【請求項5】
前記設置台は、複数の上面板状部材を前記設置台に載置される前記空気調和機の上下方向と平行に並べて構成した上面デッキと、複数の下面板状部材を前記空気調和機の上下方向と平行に並べて構成した下面デッキと、前記上面デッキと前記下面デッキを平行に接続する複数のけた材とから構成され、前記上面デッキ上に前記空気調和機を載置することを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の包装装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記設置台の前記下面デッキを構成する前記下面板状部材のうち少なくとも1つが前記空気調和機の上下方向に設けられた前記上面デッキの側面より外側に延出され構成されたことを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の包装装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記設置台の前記上面デッキを構成する前記上面板状部材のうち少なくとも1つが前記空気調和機の上下方向に設けられた前記下面デッキの側面より外側に延出され構成されたことを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の包装装置。
【請求項8】
前記突出部は、前記突出部を下向きに載置すると転倒する突出量を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の空気調和機の包装装置。
【請求項9】
前記設置台を下向きにして高さ方向に積み重ねられることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の空気調和機の包装装置。
【請求項10】
前記空気調和機の前記下部側を覆う前記包装体に補強材を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の空気調和機の包装装置。
【請求項11】
前記空気調和機が設置された場合の上下方向を表す表示を前記包装箱に設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気調和機の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−206729(P2012−206729A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72335(P2011−72335)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】