説明

空気調和機の室内機

【課題】必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる空気調和機の室内機の提供。
【解決手段】空気調和機の室内機2は、室内の壁面Wに取り付けられる壁掛型の室内機であって、室内機本体11と、側方遮蔽部材20,90とを備えている。室内機本体11は、室内機ケーシング12を有する。室内機ケーシング12には、吹出口15が形成されている。また、吹出口15のうち室内機ケーシング12の側面に形成されている開口部分には、吹出口15において側方に空気を吹き出すための開口部分である第2部分17aおよび第3部分17bが含まれる。側方遮蔽部材20,90は、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを開閉可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、側方に向かって調和空気を吹き出し可能な壁掛型の空気調和機の室内機がある。例えば、特許文献1(特開2006−2984号公報)に記載の空気調和機では、本体(室内機に相当)には、正面下部に形成されている吹出口と側面に形成されており吹出口に連通している左右吹出口とが設けられている。また、この空気調和機は吹出口を覆うことが可能な上下風向板を備えており、上下風向板が吹出口を閉塞することで、左右吹出口から本体の左右側方への送風を可能にしている。このようにして、この空気調和機では、本体から側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されている空気調和機では、本体の正面側に位置する吹出口は上下風向板によって覆われているが、本体の側面側に位置する左右吹出口は上下風向板によって覆われていない構造になっている。言い換えると、この空気調和機では、本体の内部空間と本体の外部空間とが、左右吹出口を介して常に連通している。このため、この空気調和機において空気流が生成される場合には、左右吹出口から空気が吹き出される可能性がある。したがって、空気の吹き出し方向を室内機の前方のみに設定したい場合であっても、室内機の側方にも空気が吹き出される。
【0004】
そこで、本発明の課題は、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る空気調和機の室内機は、室内の壁面に取り付けられる壁掛型の室内機であって、本体と、遮蔽部材とを備えている。本体は、ケーシングを有する。ケーシングの側面には、側方に空気を吹き出すための側方吹出口が形成されている。遮蔽部材は、側方吹出口を開閉可能である。
【0006】
第1発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材によって、側方吹出口が開閉される。このため、例えば、側方に空気を吹き出させる必要がない場合には、遮蔽部材の状態を、側方吹出口が遮蔽部材によって遮蔽されている閉状態にすることができる。また、例えば、側方に空気を吹き出させる必要がある場合には、遮蔽部材の状態を、側方吹出口が開放されている開状態にすることができる。
【0007】
これによって、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる。
【0008】
第2発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明の空気調和機の室内機であって、遮蔽部材は、本体の側面近傍に配置されている。また、遮蔽部材は、本体の左右方向の中央に向かって移動することで、閉状態から開状態へ移行する。このため、室内への設置に際して、遮蔽部材の開閉が可能か否かについての設置スペースの制約を生じさせないようにすることができる。
【0009】
これによって、室内への設置に際して、設置スペースの制約が生じるおそれを減らすことができる。
【0010】
第3発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明または第2発明の空気調和機の室内機であって、水平羽根を更に備えている。水平羽根は、正面吹出口を開閉可能である。正面吹出口は、ケーシングの底面および前面の少なくともいずれか一方に形成されている。また、遮蔽部材は、水平羽根の側方に配置されている。また、遮蔽部材は、水平羽根の上側に移動することで、閉状態から開状態に移行する。このため、例えば、遮蔽部材と水平羽根とが近接している場合でも、遮蔽部材が閉状態から開状態に移行するときに、遮蔽部材と水平羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0011】
第4発明に係る空気調和機の室内機は、第3発明の空気調和機の室内機であって、水平羽根は、水平羽根が閉状態のときに位置する空間から離れるように移動することで、閉状態から開状態に移行する。また、遮蔽部材は、遮蔽部材の少なくとも一部が前記空間に移動することで、閉状態から開状態に移行する。このため、例えば、水平羽根が閉状態から開状態に移行した後に遮蔽部材が閉状態から開状態に移行する場合には、遮蔽部材と水平羽根とが近接して配置されていても、遮蔽部材が閉状態から開状態に移行するときに遮蔽部材と水平羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0012】
第5発明に係る空気調和機の室内機は、第3発明または第4発明の空気調和機の室内機であって、遮蔽部材および水平羽根が閉状態である場合には、遮蔽部材と水平羽根とが左右方向に近接するように配置される。このため、遮蔽部材および水平羽根が閉状態である場合に、遮蔽部材と水平羽根との間の目地が目立つおそれを減らすことができる。
【0013】
第6発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明の空気調和機の室内機であって、形成部材を更に備える。形成部材は、開状態の遮蔽部材の少なくとも一部を収納するための収納空間を形成する部材である。このため、開状態である遮蔽部材の少なくとも一部を収納することができる。
【0014】
第7発明に係る空気調和機の室内機は、第6発明の空気調和機の室内機であって、形成部材は、本体に固定されている。このため、収納空間が遮蔽部材の開閉によって移動するおそれを減らすことができる。
【0015】
第8発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明の空気調和機の室内機であって、流路形成部を更に備える。流路形成部は、側方吹出口に向かう空気が流れる側方吹き出し流路を形成する。また、遮蔽部材は、開状態において、側方吹き出し流路から離れた位置に配置される。このため、側方吹き出し流路を流れる調和空気によって遮蔽部材が結露するおそれを減らすことができる。
【0016】
第9発明に係る空気調和機の室内機は、第8発明の空気調和機の室内機であって、流路形成部は、本体に固定されている。このため、遮蔽部材の開閉によって側方吹き出し流路が移動するおそれを減らすことができる。
【0017】
第10発明に係る空気調和機の室内機は、第8発明または第9発明の空気調和機の室内機であって、遮蔽部材の状態を開状態または閉状態に移行するためのモータを更に備えている。また、モータは、側方吹き出し流路内に配置されている。このため、例えば、モータが側方吹出口の前部近傍に配置されている場合には、側方吹出口の前部から前側に向かって空気を吹き出させ難くすることができる。
【0018】
これによって、側方に空気を吹き出させやすくすることができる。
【0019】
第11発明に係る空気調和機の室内機は、第8発明または第9発明の空気調和機の室内機であって、遮蔽部材の状態を閉状態から開状態に移行するためのモータを更に備えている。また、モータは、側方吹き出し流路外に配置されている。このため、側方吹き出し流路を流れる空気の流れがモータによって規制されるおそれを減らすことができる。
【0020】
これによって、側方吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向を変更するおそれを減らすことができる。
【0021】
第12発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第11発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、遮蔽部材は、湾曲した湾曲面を有している。このため、例えば、ケーシングの角部が湾曲した形状を呈しており、かつ、側方吹出口がケーシングの底面から側面にかけて形成されている場合には、遮蔽部材を、側方吹出口に沿った形状とすることができる。
【0022】
第13発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第12発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、遮蔽部材は、略前後方向に沿った回転軸を中心に回転するように移動することで、側方吹出口を開閉する。このため、例えば、遮蔽部材が本体の左右方向に沿った回転軸を中心に回転するように移動する場合と比較して、室内機外郭からの遮蔽部材の突出量を抑えることができる。
【0023】
第14発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明に係る空気調和機の室内機であって、遮蔽部材は、本体に対して上方に移動することで、閉状態から開状態に移行する。このため、この空気調和機の室内機では、遮蔽部材を上方に移動することで、閉状態から開状態に移行させることができる。
【0024】
第15発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第14発明の空気調和機の室内機であって、ケーシング内には、ケーシング内部の空気流を形成可能なクロスフローファンが1つ配置されている。このため、例えば、ケーシング内部の空気流を形成可能なクロスフローファンが複数ケーシング内に配置されている場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0025】
第1発明に係る空気調和機の室内機では、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる。
【0026】
第2発明に係る空気調和機の室内機では、室内への設置に際して、設置スペースの制約が生じるおそれを減らすことができる。
【0027】
第3発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材が閉状態から開状態に移行するときに、遮蔽部材と水平羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0028】
第4発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材と水平羽根とが近接している場合でも、遮蔽部材が閉状態から開状態に移行するときに遮蔽部材と水平羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0029】
第5発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材および水平羽根が閉状態である場合に、遮蔽部材と水平羽根との間の目地が目立つおそれを減らすことができる。
【0030】
第6発明に係る空気調和機の室内機では、開状態である遮蔽部材の少なくとも一部を収納することができる。
【0031】
第7発明に係る空気調和機の室内機では、収納空間が遮蔽部材の開閉によって移動するおそれを減らすことができる。
【0032】
第8発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材が結露するおそれを減らすことができる。
【0033】
第9発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材の開閉によって側方吹き出し流路が移動するおそれを減らすことができる。
【0034】
第10発明に係る空気調和機の室内機では、側方に空気を吹き出させやすくすることができる。
【0035】
第11発明に係る空気調和機の室内機では、側方吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向を変更するおそれを減らすことができる。
【0036】
第12発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材を、側方吹出口に沿った形状とすることができる。
【0037】
第13発明に係る空気調和機の室内機では、室内機外郭からの遮蔽部材の突出量を抑えることができる。
【0038】
第14発明に係る空気調和機の室内機では、遮蔽部材を上方に移動することで、閉状態から開状態に移行させることができる。
【0039】
第15発明に係る空気調和機の室内機では、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係る室内機であって、上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である室内機の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る室内機であって、上下風向調整羽根が第2開状態であり、左側方遮蔽部材が閉状態であり、右側方遮蔽部材が開状態である室内機の斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る室内機の概略断面図(室内熱交換器は省略)。
【図4】上下風向調整羽根の状態が閉状態である場合の上下風向調整羽根および取り付け板の外観斜視図。
【図5】第1開状態である上下風向調整羽根を室内機の側方から視た概念図。
【図6】室内機の底面図であって、(a)上下風向調整羽根および右側方遮蔽部材が閉状態である場合を示す図、(b)上下風向調整羽根が第1開状態であって右側方遮蔽部材が開状態である場合を示す図。
【図7】上下風向調整羽根が第2開状態であって、右側方遮蔽部材が閉状態である室内機の斜視図であって、右側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図8】上下風向調整羽根が第2開状態であって、右側方遮蔽部材が開状態である室内機の斜視図であって、右側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図9】上下風向調整羽根が第1開状態であって、右側方遮蔽部材が開状態である室内機の側面図であって、室内機の下部を示す図。
【図10】上下風向調整羽根が第2開状態であって、右側方遮蔽部材が閉状態である室内機の断面図であって、右側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図11】上下風向調整羽根が第2開状態であって、右側方遮蔽部材が開状態である室内機の断面図であって、右側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図12】右側方遮蔽部材近傍の斜視図(室内機ケーシングの前部は省略)。
【図13】室内機の側面視における第2移動機構の概念図。
【図14】空気調和機の備える制御部の制御ブロック図。
【図15】本発明の第2実施形態に係る室内機であって、空気調和機の運転が停止している状態の室内機の外観斜視図。
【図16】本発明の第2実施形態に係る室内機であって、空気調和機において暖房運転が行われている室内機の外観斜視図。
【図17】本発明の第2実施形態に係る室内機であって、空気調和機において暖房運転が行われており、かつ、側方開口部が開放されている状態の室内機の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る室内機を備える空気調和機について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0042】
−第1実施形態−
<空気調和機の構成概略>
図1は、空気調和機の運転停止時であって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の斜視図である。図2は、上下風向調整羽根30が第2開状態であり、左側方遮蔽部材90が閉状態であり、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の斜視図である。なお、以下にいう室内機10の左右方向Y1とは、図1に示すように、室内機10の長手方向に平行な方向のことである。また、室内機10の前後方向Y2とは、図1に示すように、室内機10の厚さ方向に平行な方向のことである。
【0043】
空気調和機は、室内の壁面Wに取り付けられる室内機10と、室外に設置される室外機2(図14参照)とを備えており、冷房運転および暖房運転等の各種運転を実行することができる。
【0044】
室外機2は、圧縮機3と、圧縮機3の吐出側に接続されている四路切換弁4と、圧縮機3の吸入側に接続されるアキュムレータと、四路切換弁4に接続されている室外熱交換器と、室外熱交換器に接続された室外膨張弁7とを有している(図14参照)。室外膨張弁7は、冷媒配管を介して後述する室内熱交換器の一端と接続される。また、四路切換弁4は、冷媒配管を介して室内熱交換器の他端と接続されている。また、室外機2内には、室外ファン9が設けられている。室外ファン9は、室外の空気を取り込み、室外熱交換器での熱交換後の空気を室外機2外部に排出するプロペラファンである。
【0045】
室内機10は、上述のように、室内の壁面W等に取り付けられる壁掛型の室内機10である(図9参照)。また、室内機10は、主として、室内機本体11と、上下風向調整羽根30と、側方遮蔽部材20,90と、収納部25,95と、第1移動機構50と、第2移動機構29,99(図14参照)と、を備えている。以下に、室内機本体11、上下風向調整羽根30、側方遮蔽部材20,90、収納部25,95、第1移動機構50、第2移動機構29,99の順に説明する。
【0046】
<室内機本体の構成>
図3は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の概略断面図である。なお、図3では、室内熱交換器を省略して描いている。
【0047】
室内機本体11は、主に、室内機ケーシング12と、室内熱交換器と、1つの室内ファン14と、垂直羽根19とを備えている。
【0048】
室内機ケーシング12は、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、室内機ケーシング12には、室内熱交換器、室内ファン14、および、垂直羽根19等が収納されている。さらに、室内機ケーシング12には、取込口(図示せず)と、吹出口15とが形成されている。取込口は、室内の空気を室内機ケーシング12の内側に取り込むための開口であって、室内機ケーシング12の上部に形成されている。
【0049】
また、吹出口15は、室内機本体11内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機10の下部近傍に室内機10の左右方向Y1に延びるように形成されている。具体的には、吹出口15は、室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口15は、室内機10の側面視において、その一部を視認可能である(図9参照)。なお、本実施形態では、吹出口15が室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されているが、これに限定されず、吹出口が室内機ケーシングの前面、すなわち、正面から両側面にかけて連続して形成されていてもよい。また、吹出口が、室内機ケーシングの底面から両側面にかけて連続して形成されておらず、室内機ケーシングの底面と両側面とに別々に形成されていてもよい。
【0050】
また、室内機ケーシング12内には、取込口から吹出口15に至る空気流路が形成されている。この空気流路内には、室内ファン14、室内熱交換器および垂直羽根19等が配置されている。また、この空気流路には、室内ファン14から垂直羽根19を介して吹出口15に至るまでの流路部分である吹き出し流路が含まれる。なお、吹き出し流路は、室内機ケーシング12の一部と、後述する収納部25,95の一部とから構成されている。
【0051】
室内熱交換器は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管に挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0052】
室内ファン14は、モータ(図示せず)と、モータにより回転駆動される羽根車とを有するクロスフローファンである。また、室内ファン14は、取込口から室内機ケーシング12内に室内空気を吸入し、室内熱交換器を通過させた後に、吹出口15から室内機ケーシング12外に調和空気を吹き出す空気流を形成することができるように配置されている。
【0053】
垂直羽根19は、図3に示すように、吹き出し流路において、後述する収納部25,95の上端部よりも室内ファン14近傍に配置されている。また、垂直羽根19は、駆動モータ(図示せず)と、連結棒(図示せず)と、連結棒によって連結された複数枚の羽根19aとを有しており、揺動可能なように室内機ケーシング12に取り付けられている。また、複数枚の羽根19aの面は、駆動モータによって連結棒が駆動されることで、室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。さらに、羽根19aは、揺動することにより、または、揺動した後に任意の角度で止まることで、室内機10の左右方向における調和空気の吹き出し方向を調整する。
【0054】
<上下風向調整羽根>
図4は、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合の上下風向調整羽根30および取り付け板80の外観斜視図である。図5は、室内機10の側面図であって、第1開状態である上下風向調整羽根30の概念図である。図6(a)は、上下風向調整羽根30および右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の底面図である。図6(b)は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の底面図である。なお、図5では、側方遮蔽部材20,90、収納部25,95および第2移動機構29,99を省略して描いている。また、以下にいう上下風向調整羽根30の前側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の前側に近い側の端部を意味している。さらに、以下にいう上下風向調整羽根30の後側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の後側に近い側の端部を意味している。
【0055】
上下風向調整羽根30は、室内機10の左右方向に長い板状の部材である。また、上下風向調整羽根30は、室内機10の下部に配置されている。具体的には、上下風向調整羽根30は、吹出口15において室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分の略全部を覆うことが可能なように配置されている。
【0056】
さらに、上下風向調整羽根30は、後述する第1移動機構50と連結する連結部31,32,33,34,35を有する。連結部31,32,33,34,35は、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が吹出口15を覆っている状態で、室内機10の外部から視認することができる面とは反対側の面に配置されている。また、連結部31,32,33,34,35は、第1連結部31,32,33と、第2連結部34,35とを含む。第1連結部31,32,33は、上下風向調整羽根30の前側端部近傍であって、上下風向調整羽根30の両端部近傍および上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近にそれぞれ配置されている(図2および図5参照)。第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30の後側端部近傍であって、上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近にそれぞれ配置されている(図2および図5参照)。また、各第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30の長手方向に対して平行な方向に並んで配置されている。さらに、第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30において、3箇所の第1連結部31,32,33を結ぶ直線上から外れた位置に配置されている。このため、第1連結部31,32,33および第2連結部34,35の位置が確定することで、上下風向調整羽根30の位置および姿勢が確定する。
【0057】
また、第1連結部31,32,33および第2連結部34,35は、それぞれ軸支部を含む。各軸支部は、後述する支持軸47,57,67,78a,78bを回転可能に軸支している。また、各軸支部は、摺動性に優れた部材(高摺動部材)によって構成されており、摩擦を抑えて支持軸47,57,67,78a,78bを滑らかに回転させることができる。
【0058】
さらに、上下風向調整羽根30は、4つの状態(閉状態、第1開状態、第2開状態、および、第3開状態)を採ることが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15において、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に風向調整羽根30によって覆われる部分、すなわち、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に上下風向調整羽根30の配置されている空間を、吹出口15の第1部分16という。また、本実施形態における「遮蔽」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われている状態を意味しており、本実施形態における「開放」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われていない状態を意味している。例えば、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われている状態を吹出口15の第1部分16が遮蔽されている状態とし、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われていない状態を吹出口15の第1部分16が開放されている状態とする。
【0059】
上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を覆うように配置される(図1および図6(a)参照)。このため、上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合には、上下風向調整羽根30によって吹出口15の第1部分16が遮蔽される。
【0060】
上下風向調整羽根30の状態が第1開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16、すなわち、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して略平行に対向するように配置される(図5参照)。このため、開放されている吹出口15の第1部分16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の前方に向かって吹き出される。
【0061】
上下風向調整羽根30の状態が第2開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30の後側端部が前側端部よりも吹出口15の第1部分16に対して近くなるように、前後方向に傾斜して配置される(図2参照)。このため、開放されている吹出口15の第1部分16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の前方に向かって吹き出される。
【0062】
また、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して前後方向に傾斜して配置されている。このため、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合には、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合と比較して、室内機10の下方に向かう空気流が形成される。このため、以下より、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側下方といい、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側上方という。
【0063】
上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30の前側端部が後側端部よりも吹出口15の第1部分16に近くなるように、前後方向に傾斜して配置される。このため、開放されている吹出口15の第1部分16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の下方に向かって吹き出される。
【0064】
<側方遮蔽部材>
図7は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図8は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図9は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の側面図であって、室内機10の下部を示す図である。
【0065】
側方遮蔽部材20,90は、室内機10の左右両側方下部に配置されている。具体的には、側方遮蔽部材20,90は、室内機10の下部の角部に沿った湾曲した形状を呈する部材であって、吹出口15において室内機ケーシング12の底面から側面にかけて形成されている開口部分を覆うことが可能である。また、側方遮蔽部材20,90は、吹出口15において、上下風向調整羽根30によって覆われる吹出口15の第1部分16以外の部分を覆うことが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15において、側方遮蔽部材90が閉状態である場合に側方遮蔽部材90によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材90が閉状態である場合に側方遮蔽部材90の配置される空間を吹出口15の第2部分17aという。また、側方遮蔽部材20が閉状態である場合に側方遮蔽部材20によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材20が閉状態である場合に側方遮蔽部材20の配置される空間を吹出口15の第3部分17bという。
【0066】
また、側方遮蔽部材20,90は、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが吹出口15を遮蔽している状態である場合には、室内機10の底面視において、吹出口15のうち室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分を覆う側方遮蔽部材20,90の一部と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置される(図6(a)参照)。
【0067】
次に、側方遮蔽部材20,90の構成について説明する。なお、以下より、側方遮蔽部材20,90のうち、室内機10の正面視において、室内機10の右側下部に配置される側方遮蔽部材20を右側方遮蔽部材20といい、室内機10の左側下部に配置される側方遮蔽部材90を左側方遮蔽部材90という。また、左側方遮蔽部材90は、右側方遮蔽部材20の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、右側方遮蔽部材20の構成のみを説明し、左側方遮蔽部材90の構成については説明を省略する。
【0068】
右側方遮蔽部材20は、第1部21と、第2部22とを有する。第1部21には、右側方遮蔽部材20の第1端部20aが含まれる。また、第1部21は、第3部分17bのうち吹出口15において室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分を覆うことが可能である。第2部22には、右側方遮蔽部材20が閉状態である場合に第1端部20aよりも上方に位置する第2端部20bが含まれる。また、第2部22は、第3部分17bのうち吹出口15において室内機ケーシング12の側面に形成されている開口部分を覆うことが可能である。
【0069】
また、側方遮蔽部材20,90は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることが可能である。
【0070】
側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを覆うように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを覆うように配置される(図7参照)。このため、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、吹出口15が遮蔽される。
【0071】
側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを開放するように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを開放するように配置される(図8参照)。
【0072】
なお、本実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態と採る場合には、上下風向調整羽根30は、第1開状態、第2開状態または第3開状態のいずれかの状態を採るものとする。また、本実施形態では、側方遮蔽部材20,90において、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に室内機10の外側から視認可能な意匠面とは反対側の面である内面には、結露防止のために発泡材が貼り付けられている。
【0073】
<収納部>
図10は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図11は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。
【0074】
収納部25,95は、開状態である側方遮蔽部材20,90の一部が収納される収納空間Sを形成する第1形成部材26,96と第2形成部材27,97とをそれぞれ有する(図10参照)。具体的には、第1形成部材26,96と第2形成部材27,97とによって形成される収納空間Sには、開状態である側方遮蔽部材20,90の第1部(21;図11参照)が収納される。また、第1形成部材26,96および第2形成部材27,97は、室内機ケーシング12に固定されている。さらに、収納部25は、吹き出し流路において吹出口15の第3部分17b近傍に配置されている(図3参照)。また、収納部95は、吹き出し流路において吹出口15の第2部分17a近傍に配置されている(図3参照)。このため、吹き出し流路は、その下部において、収納部25,95によって3つの流路に分けられる。ここで、説明の便宜上、吹き出し流路において、その入口が2つの収納部25,95の上端部によって規定されており、その出口が吹出口15の第1部分16である流路部分を主吹き出し流路Bという。また、吹き出し流路において、収納部25の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第3部分17bである流路部分を右側吹き出し流路Dという。また、吹き出し流路において、収納部95の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第2部分17aである流路部分を左側吹き出し流路Cという。このため、この室内機10では、上下風向調整羽根30によって主吹き出し流路Bの出口が塞がれ、右側方遮蔽部材20によって左側吹き出し流路Cの出口が塞がれ、右側方遮蔽部材20によって右側吹き出し流路Dの出口が塞がれる構成となっている。さらに、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、各側方遮蔽部材20,90は、右側吹き出し流路Dおよび左側吹き出し流路Cから離れた位置に配置される。このため、この室内機10では、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、各側方遮蔽部材20,90が吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bから吹き出される調和空気に影響を与えないような構成となっている。したがって、右側方吹き出し流路Dおよび左側方吹き出し流路Cを流れる調和空気は、右側方吹き出し流路Dおよび左側方吹き出し流路Cを形成している流路形成部材に規制されて、側方に向かって開口している吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bから吹き出される。
【0075】
また、第1形成部材26,96は、吹出口15の第2部分17a近傍または第3部分17b近傍から上方に延びている。第1形成部材26,96は、側方遮蔽部材20,90に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第1形成部材26,96の上部が第1形成部材26,96の下部よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。さらに、図3に示すように、第1形成部材26,96は、右側方吹き出し流路Dおよび左側方吹き出し流路Cを形成する流路形成部材の一部であって、室内機ケーシング12と共に右側方吹き出し流路Dおよび左側方吹き出し流路Cを形成している。
【0076】
第2形成部材27,97は、開状態である側方遮蔽部材に干渉しないように、第1形成部材26,96の下側に配置されている。また、閉状態である上下風向調整羽根30は、第2形成部材27,97の下側に配置される。
【0077】
<第1移動機構>
第1移動機構50は、吹出口15の第1部分16が遮蔽されている状態から吹出口15の第1部分16が開放されている状態となるように、上下風向調整羽根30を移動させるための機構である。また、第1移動機構50は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する上下風向調整羽根30の位置を変更することで、上下風向調整羽根30の状態(姿勢)を切り換えることができる。
【0078】
第1移動機構50は、迫り出し機構41,51,61と、角度調整機構71a,71bと、を有している。
【0079】
迫り出し機構41,51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から前方に迫り出されるように、上下風向調整羽根30と迫り出し機構41,51,61とが連結されている部分である第1連結部31,32,33を移動させることで、上下風向調整羽根30をスライド移動、すなわち、迫り出し移動させることができる。
【0080】
また、迫り出し機構41,51,61は、ラック/ピニオン機構であって、図4および図5に示すように、ピニオン歯車42,52,62と、移動部材43,53,63とを有している。各ピニオン歯車42,52,62は、後述する迫り出し機構駆動用モータ54の有する駆動軸54aに連結されており、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する。移動部材43,53,63は、各ピニオン歯車42,52,62と噛み合うラック46,56,66と、支持軸47,57,67とを有している。ラック46,56,66は、移動部材43,53,63の一端部近傍から他端部近傍にかけて設けられている。各支持軸47,57,67は、上下風向調整羽根30の第1連結部31,32,33の有する各軸支部を上下風向調整羽根30の長手方向に対して平行に挿通しており、上下風向調整羽根30を回動可能に支持している。
【0081】
また、迫り出し機構41,51,61は、1つの迫り出し機構駆動用モータ54を有している。迫り出し機構駆動用モータ54には、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する駆動軸54aが連結されている。また、上述のように、駆動軸54aには、各迫り出し機構41,51,61のピニオン歯車42,52,62が連結されている。このため、迫り出し機構駆動用モータ54は、駆動軸54aを回転させることで、ピニオン歯車42,52,62を回転させることができる。なお、迫り出し機構駆動用モータ54は、後述する取り付け板80に固定されている。
【0082】
このような構成によって、迫り出し機構41,51,61では、迫り出し機構駆動用モータ54がピニオン歯車42,52,62を回転させると、ピニオン歯車42,52,62と噛み合うラック46,56,66に動力が伝達されて、ピニオン歯車42,52,62に対する移動部材43,53,63の位置が変化する。このため、上下風向調整羽根30は、移動部材43,53,63の移動に伴って、吹出口15における第1部分16に相当する開口面に向かう方向、あるいは、吹出口15における第1部分16に相当する開口面から遠ざかる方向に移動する。なお、迫り出し機構駆動用モータ54の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0083】
また、角度調整機構71a,71bは、上下風向調整羽根30の吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する前後方向の傾斜角度が調整されるように、上下風向調整羽根30と角度調整機構71a,71bとが連結されている部分である第2連結部34,35を移動させる。
【0084】
角度調整機構71a,71bは、角度調整機構駆動用モータ73a,73bと、リンク機構72a,72bと、を備えている。
【0085】
角度調整機構駆動用モータ73a,73bは、駆動軸79a,79bを有している。角度調整機構駆動用モータ73a,73bは、ステッピングモータであって、駆動軸79a,79bを介してリンク機構72a,72bを駆動させる。リンク機構72a,72bは、揺動レバー74a,74bと、アーム75a,75bと、を有している。揺動レバー74a,74bは、その一端部が駆動軸79a,79b近傍に配置されており、駆動軸79a,79bの回転に伴って揺動する。また、揺動レバー74a,74bの他端部は、アーム75a,75bの一端部と回動可能に連結されている。さらに、アーム75a,75bには、揺動レバー74a,74bと連結している端部とは反対側の端部近傍に支持軸78a,78bが形成されている。支持軸78a,78bは、上下風向調整羽根30の第2連結部34,35の軸支部とそれぞれ係合しており、上下風向調整羽根30を回動可能の支持している。
【0086】
このような構成によって、角度調整機構71a,71bは、角度調整機構駆動用モータ73a,73bが駆動することで、上下風向調整羽根30の第2連結部34,35を押し引きすることができる。なお、リンク機構72a,72bの回転角度、すなわち、角度調整機構駆動用モータ73a,73bの回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0087】
また、第1移動機構50は、取り付け板80を有している。取り付け板80は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面よりも上方に配置されている。また、取り付け板80の上面には、1つの迫り出し機構駆動用モータ54および2つの角度調整機構駆動用モータ73a,73bが固定されている。具体的には、迫り出し機構駆動用モータ54は、取り付け板80の左側の端部近傍に固定されている。また、角度調整機構駆動用モータ73a,73bは、取り付け板80の略中央部にそれぞれ固定されている。このようにして、迫り出し機構駆動用モータ54および角度調整機構駆動用モータ73a,73bは、取り付け板80とともに、室内機ケーシング12の内部に収納されている。
【0088】
<第2移動機構>
図12は、右側方遮蔽部材20近傍の斜視図である。図13は、室内機10の側面視における第2移動機構29の概念図である。なお、図12では、室内機ケーシング12の前部および収納部25を省略して描いている。また、図13中の一点鎖線は、右側方遮蔽部材20の回転軸を示している。
【0089】
第2移動機構29,99は、第1移動機構50とは別の移動機構であって、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが遮蔽されている状態から吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bが開放されている状態となるように、側方遮蔽部材20,90を移動させることが可能な機構である。言い換えると、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるために、側方遮蔽部材20,90を移動させるための機構である。具体的には、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように、閉状態である側方遮蔽部材20,90を室内機本体11の左右方向の中央に向かって移動させる。また、このとき、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90が上下風向調整羽根30の上側に配置されるように、側方遮蔽部材20,90を移動させる。
【0090】
次に、第2移動機構29,99の構成について説明する。また、第2移動機構29,99は、右側方遮蔽部材20の状態を切り換えるための第2移動機構29と、左側方遮蔽部材90の状態を切り換えるための第2移動機構99とを有する。なお、第2移動機構99は、第2移動機構29の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、第2移動機構29の構成のみを説明し、第2移動機構99の構成については説明を省略する。
【0091】
第2移動機構29は、第2移動機構駆動用モータ24と、支持部材23と、バネ部28とを備えている。
【0092】
第2移動機構駆動用モータ24は、右側方吹き出し流路D外に配置されており、室内機ケーシング12に固定されている。具体的には、第2移動機構駆動用モータ24は、図13に示すように、室内機ケーシング12内であって、吹出口15の第3部分17bの後部よりも室内機ケーシング12の後方に配置されている。
また、第2移動機構駆動用モータ24は、第2移動機構駆動用モータ24が駆動することによって回転する駆動軸24bと、駆動軸24bに連動して回転する連動レバー24aとを有している。駆動軸24bは、室内機10の略前後方向に延びている。具体的には、駆動軸24bは、図13に示すように、室内機10の前後方向に対して駆動軸24bの後部が前部よりも下がるように傾斜して配置されている。
【0093】
支持部材23は、前方支持部材23aと後方支持部材23bとを有している。前方支持部材23aの下端部は、右側方遮蔽部材20の第2端部20b近傍に固定されている。また、前方支持部材23aの上端部は、室内機ケーシング12に回転自在に支持されている。後方支持部材23bの下端部は、右側方遮蔽部材20の第1端部20a近傍に固定されている。また、後方支持部材23bの上端部は、第2移動機構駆動用モータ24の有する駆動軸24bに連結されている。このため、後方支持部材23bは、駆動軸24bが回転することで駆動軸24bを中心に回転可能である。
【0094】
バネ部28は、バネ保持部28aと、バネ保持部28aの外周面上にその一部が配置されるバネ部材28bとを有している。バネ保持部28aは、駆動軸24bを中心に回転可能に設けられている。また、バネ保持部28aは、その一部が後方支持部材23bと連結している。さらに、バネ保持部28aは、係止ピン28cを含む。係止ピン28cは、バネ保持部28aから突設されている。
【0095】
バネ部材28bは、その一端が図12に示す矢印X1方向より係止ピン28cに架かっており、係止ピン28cを介してバネ保持部28aを図12に示す矢印X1方向に付勢している。また、バネ部材28bの他端は、室内機ケーシング12に固定されている。このため、バネ部材28bは、係止ピン28cを介して図12に示す矢印X1方向に後方支持部材23bを常に付勢している。
【0096】
このような構成によって、第2移動機構29では、第2移動機構駆動用モータ24の駆動によって連動レバー24aがバネ部材28bの付勢力に抗して係止ピン28cの当接部を押圧して図12中の矢印X2方向に回動することで、後方支持部材23bが同方向に回動する。このため、右側方遮蔽部材20は、傾斜して配置されている駆動軸24bを回転軸として、吹出口15の第3部分17bを開放する方向に移動する。すなわち、第2移動機構駆動用モータ24は、バネ部材28bによる付勢力に抗して右側方遮蔽部材20の状態を閉状態から開状態に切り換える。このようにして、右側方遮蔽部材20の第1部21が収納空間Sに収納される。なお、このとき、右側方遮蔽部材20において収納空間Sに収納されていない部分である第2部22の一部が、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に位置している空間である吹出口15の第1部分16に配置される。
【0097】
また、バネ部材28bによって後方支持部材23bが図12に示す矢印X1方向に常に付勢されているため、右側方遮蔽部材20はその状態が常に閉状態となる方向に付勢されている。したがって、第2移動機構29では、第2移動機構駆動用モータ24の駆動によって連動レバー24aが図12に示す矢印X1方向に回動することで、バネ部材28bの付勢力によって係止ピン28cおよび後方支持部材23bが同方向に回動する。これによって、右側方遮蔽部材20は、駆動軸24bを回転軸として、吹出口15の第3部分17bを遮蔽する方向に移動する。
【0098】
なお、第2移動機構99では、第2移動機構駆動用モータ94の駆動によって、左側方遮蔽部材90が、バネ部材による付勢力に抗して閉状態から開状態に切り換えられたり、バネ部材の付勢力によって開状態から閉状態に切り換えられたりする。また、第2移動機構駆動用モータ24,94の駆動は、後述する制御部84によって制御されている。
【0099】
<制御部>
図14は、空気調和機の備える制御部84の制御ブロック図である。
【0100】
制御部84は、図14に示すように、室内機10および室外機2の各種機器と接続されており、リモートコントローラ86を介した空調対象者からの運転指令に基づいて、冷房運転や暖房運転等の各運転モードに応じた各種機器の運転制御を行うことができる。
【0101】
また、リモートコントローラ86には、運転停止/開始ボタン、運転切り換えボタン、および、風向設定ボタン86a等の複数のスイッチが設けられている。運転停止/開始ボタンは、空調対象者によって空気調和機の運転が停止されるとき、または、運転が開始されるときに操作されるスイッチである。また、運転切り換えボタンは、空調対象者によって空気調和機の冷房運転または暖房運転等の各種運転モードが設定されるときに操作されるスイッチである。さらに、風向設定ボタン86aは、空調対象者によって室内機10から吹き出される空気の吹き出し方向が設定されるときに操作されるスイッチである。例えば、空調対象者によって風向設定ボタン86aが押されると、制御部84は空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信する。なお、本実施形態における風向設定指令には、調和空気が室内機10の側方にも吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第1指令と、調和空気が空調対象者に直接当たらないように室内機10の前側上方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第2指令とが含まれる。また、風向設定指令の第1指令は、上下風向調整羽根30が第2開状態または第3開状態を採っている場合にのみ為される指令とする。
【0102】
また、制御部84は、駆動制御部85を有する。駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54および2つの角度調整機構駆動用モータ73a,73bの回転数と回転方向とを制御することで、迫り出し機構41,51,61および角度調整機構71a,71bを任意のタイミングで駆動させる。これによって、上下風向調整羽根30の状態を切り換えることができる。また、駆動制御部85は、第2移動機構駆動用モータ24,94の回転数および回転方向を制御することで、第2移動機構29,99を任意のタイミングで駆動させる。これによって、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えることができる。
【0103】
なお、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90を閉状態から開状態に切り換える場合には、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが干渉しないように、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態、第2開状態、または、第3開状態に切り換えた後に、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換える。また、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態、または、第3開状態から閉状態に切り換える場合であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが干渉しないように、側方遮蔽部材20,90の状態を開状態から閉状態に切り換えた後に、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態、または、第3開状態から閉状態に切り換える。
【0104】
また、制御部84は、受信した風向設定指令に関する制御信号、冷房運転または暖房運転の運転モード設定指令に関する制御信号、および、運転停止指令に関する制御信号を駆動制御部85に送信する。そして、駆動制御部85は、制御部84から送信された制御信号に基づいて、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態を切り換える。
【0105】
例えば、制御部84から冷房運転の運転モード設定指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態となるように第1移動機構50を駆動させる。
【0106】
これによって、吹出口15の第1部分16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の前側下方に吹き出される。
【0107】
また、例えば、制御部84から暖房運転の運転モード設定指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態となるように第1移動機構50を駆動させる。
【0108】
これによって、吹出口15の第1部分16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の下方に吹き出される。
【0109】
また、例えば、制御部84から第1指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態となるように、第2移動機構29,99を駆動させる。
【0110】
これによって、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに至った調和空気は、室内機10の側方に向かって吹き出される。なお、このとき、駆動制御部85は、第1移動機構50を駆動させないため、上下風向調整羽根30の状態は、第2開状態または第3開状態のいずれか一方の状態が維持される。したがって、空調対象者からリモートコントローラ86を介して第1指令が為された場合、調和空気は、室内機10の側方と、室内機10の前方下方または下方とに吹き出される。
【0111】
また、例えば、制御部84から第2指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態となるように第1移動機構50を駆動させるとともに、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態となるように第2移動機構29,99を駆動させる。
【0112】
これによって、吹出口15の第1部分16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の前側上方に吹き出される。また、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに至った調和空気は、室内機10の側方に向かって吹き出される。
【0113】
また、例えば、制御部84から冷房運転および暖房運転の運転停止指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態となるように第1移動機構50および/または第2移動機構29,99を駆動させる。
【0114】
これによって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90によって、吹出口15が遮蔽される。
【0115】
<特徴>
(1)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90は、室内機10の側方に調和空気を吹き出すために室内機ケーシング12の側面に形成されている開口部分を含む吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを遮蔽したり開放したりすることができる。言い換えると、側方遮蔽部材20,90は、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを開閉することができる。このため、例えば、側方に空気を吹き出させる必要がない場合には側方遮蔽部材20,90によって吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを遮蔽することができ、側方に空気を吹き出させる必要がある場合には側方遮蔽部材20,90によって吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを開放することができる。
【0116】
これによって、必要に応じて側方に調和空気を吹き出させることができている。
【0117】
(2)
上記実施形態では、閉状態である側方遮蔽部材20,90が第2移動機構29,99によって室内機本体11の左右方向の中央に向かって移動されることで、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に移行されている。このため、側方遮蔽部材20,90が開状態を採っても、室内機10の左右方向の幅が広がらないようにすることができる。したがって、例えば、側方遮蔽部材が閉状態から開状態に移行する場合に側方遮蔽部材が室内機から離れる方向に向かって移動される場合と比較して、室内機10の設置時において、側方遮蔽部材20,90の開閉が可能か否かについての設置スペースの制約を生じさせないようにすることができる。
【0118】
これによって、室内機10の設置に際して、室内機10の設置スペースの制約が生じるおそれを減らすことができている。
【0119】
(3)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が閉状態である場合には、室内機10の底面視において、吹出口15のうち室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分を覆う側方遮蔽部材20,90の第1部と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置されている。このため、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が閉状態である場合に、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30との間の目地が目立つおそれを減らすことができている。
【0120】
また、上記実施形態では、閉状態である側方遮蔽部材20,90が、第2移動機構29,99によって上下風向調整羽根30の上側に移動されることで、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換わる。このため、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に移行するときに、側方遮蔽部材20,90が上下風向調整羽根30と干渉するおそれを減らすことができている。
【0121】
(4)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態を採る場合には、上下風向調整羽根30は、第1開状態、第2開状態または第3開状態のいずれかの状態を採っている。すなわち、側方遮蔽部材20,90が開状態と採る場合には、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面よりも下側に離れて配置されている。また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の第2部の一部が、吹出口15の第1部分16に配置される。このため、側方遮蔽部材20,90が閉状態から開状態に移行する場合に、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが干渉するおそれを減らすことができている。
【0122】
(5)
上記実施形態では、第1形成部材26,96と第2形成部材27,97とによって、開状態である側方遮蔽部材20,90の第1部が収納される収納空間Sが形成される。このため、開状態である側方遮蔽部材20,90の少なくとも一部を収納することができている。さらに、側方遮蔽部材20,90が開状態を採る場合には、側方遮蔽部材20,90の第1部が収納空間Sに収納されることで、室内機10の外郭からの側方遮蔽部材20,90の突出を抑えることができる。したがって、側方遮蔽部材20,90が開状態を採る場合でも、室内機10の外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
【0123】
また、上記実施形態では、室内機ケーシング12の一部および第1形成部材26によって、吹出口15の第3部分17bに向かう空気が流れる右側方吹き出し流路Dが形成されている。また、室内機ケーシング12の一部および第1形成部材96によって、吹出口15の第2部分17aに向かう空気が流れる左側方吹き出し流路Cが形成されている。また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、各側方遮蔽部材20,90は、右側吹き出し流路Dおよび左側吹き出し流路Cから離れた位置に配置される。このため、例えば、側方吹き出し流路を流れる調和空気に側方遮蔽部材が接触する構成である場合と比較して、側方遮蔽部材20,90が吹き出し流路Dおよび左側吹き出し流路Cを流れる調和空気に接触するおそれを減らすことができる。
【0124】
これによって、側方遮蔽部材20,90が結露するおそれを減らすことができている。
【0125】
(6)
上記実施形態では、第1形成部材26,96および第2形成部材27,97が室内機ケーシング12に固定されている。このため、側方遮蔽部材20,90の開閉によって収納空間が移動しないようにすることができている。
【0126】
また、第1形成部材26,96が室内機ケーシング12に固定されているため、側方遮蔽部材20,90の開閉によって右側方吹き出し流路Dおよび左側方吹き出し流路Cが移動しないようにすることができている。
【0127】
(7)
上記実施形態では、第2移動機構駆動用モータ24,94は、それぞれ、右側方吹き出し流路D外および左側方吹き出し流路C外に配置されている。このため、右側方吹き出し流路D外および左側方吹き出し流路Cを流れる空気の流れが第2移動機構駆動用モータ24,94によって規制されるおそれを減らすことができる。
【0128】
これによって、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bから吹き出される空気の吹き出し方向を変更するおそれを減らすことができている。
【0129】
(8)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90は、室内機10の略前後方向に沿って配置される駆動軸を回転軸として回動することで、開状態から閉状態に、または、閉状態から開状態に移行する。このため、側方遮蔽部材20,90の室内機10の外郭からの突出量を抑えることができる。
【0130】
また、上記実施形態では、駆動軸が、室内機10の前後方向に対して傾斜して配置されている。このため、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bから斜め前方に空気を吹き出させることができる。
【0131】
(9)
上記実施形態では、室内機ケーシング12内には、室内ファン14が1つだけ配置されている。このため、この室内機10では、1つの室内ファン14によって室内機ケーシング12内部の空気流が形成されている。したがって、例えば、室内機ケーシング内部の空気流を形成可能な室内ファンが複数個室内機ケーシング内に配置されている場合と比較して、部品点数を削減することができている。
【0132】
<変形例>
(A)
上記実施形態では、第2移動機構駆動用モータ24,94が、右側方吹き出し流路D外および左側方吹き出し流路C外にそれぞれ配置されている。
【0133】
これに代えて、第2移動機構駆動用モータが、各側方吹き出し流路内に配置されていてもよい。
【0134】
例えば、第2移動機構駆動用モータが、室内機ケーシング内であって、吹出口の第2部分の前部および第3部分の前部を遮蔽する位置それぞれ配置されている場合には、吹出口の第2部分の前部および第3部分の前部から前方に向かって空気を吹き出させ難くすることができる。
【0135】
これによって、側方に空気を吹き出させやすくすることができる。
【0136】
また、第2移動機構駆動用モータを側方遮蔽部材の回転軌跡内部に配置することで、側方遮蔽部材を安定して移動させることができる。
【0137】
(B)
上記実施形態では、第2移動機構29,99において、第2移動機構駆動用モータ24,94の有する駆動軸と後方支持部材とが直接連結されているが、これに限定されず、第2移動機構が、駆動軸を回転軸として側方遮蔽部材を回動させることができるような機構であればよい。例えば、駆動軸と後方支持部材とがラック/ピニオン機構を構成していてもよい。また、例えば、第2移動機構がリンク機構であってもよい。
【0138】
−第2実施形態−
図15は、空気調和機の運転が停止している状態である場合の室内機110の外観斜視図である。図16は、空気調和機において暖房運転が行われている場合の室内機110の外観斜視図である。図17は、空気調和機において暖房運転が行われており、かつ、側方開口部117が開放されている状態の室内機110の外観斜視図である。なお、図16および図17において、符号116は、吹出口115において、室内機ケーシング112の底面に形成されており、上下風向調整羽根130によって覆うことが可能な開口部分を示している。
【0139】
本発明の第2実施形態に係る空気調和機について説明する。なお、この空気調和機の構成において、室内機110以外の構成は第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0140】
室内機110は、室内の壁面等に取り付けられる壁掛型の室内機である。また、室内機110は、主として、室内機本体111と、上下風向調整羽根130と、第1移動機構と、第2移動機構と、を備えている。なお、上下風向調整羽根130および第1移動機構の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0141】
<室内機本体の構成>
室内機本体111は、主に、室内機ケーシング112と、室内熱交換器と、室内ファンと、垂直羽根とを備えている。また、室内機本体111において、室内熱交換器、室内ファンおよび垂直羽根の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0142】
室内機ケーシング112は、ケーシング本体112aと、前面パネル113とを有している。ケーシング本体112aは、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、ケーシング本体112aには、室内熱交換器、室内ファン、および、垂直羽根等が収納されている。さらに、ケーシング本体112aには、取込口(図示せず)と、吹出口115とが形成されている。取込口は、室内の空気を室内機ケーシング112の内側に取り込むための開口であって、ケーシング本体112aの上部に形成されている。
【0143】
また、吹出口115は、室内機本体111内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機110の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口115は、ケーシング本体112aの底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口115は、室内機110の側面視において、その一部を視認可能である。
【0144】
前面パネル113は、前部113aと、前部113aの両端部から室内機本体111の後方向に延びる側部113bとを含む。前部113aは、ケーシング本体112aの前側の略全部を覆うことが可能である。側部113bは、ケーシング本体112aの両側面の一部を覆うことが可能である。また、側部113bは、吹出口115においてケーシング本体112aの側面に形成されている開口部分(以下、側方開口部117という)を覆うことができる。
【0145】
また、前面パネル113は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることができる。
【0146】
前面パネル113が閉状態の場合には、図15および図16に示すように、前面パネル113の側部113bが側方開口部117を覆うように配置される。
【0147】
また、前面パネル113が開状態の場合には、図17に示すように、前面パネル113の側部113bが側方開口部117を開放するように配置される。具体的には、前面パネル113が開状態の場合には、前面パネル113が閉状態である場合の前面パネル113の位置と比較して、ケーシング本体112aに対して上方に配置されている。
【0148】
<第2移動機構の構成>
第2移動機構は、第1移動機構とは別の移動機構であって、前面パネル113の状態を切り換えるために、前面パネル113を室内機本体111に対して上下方向にスライド移動させることが可能である。
【0149】
第2移動機構は、室内機ケーシング112の内部に配置されている。また、第2移動機構は、ラック/ピニオン機構であって、駆動部の駆動力によって前面パネル113を移動させることで、側方開口部117を開閉する。このため、第2移動機構は、駆動部から伝わる回転運動を側方開口部117の開閉動作、すなわち、前面パネル113の上下方向の直線運動に変換する変換機構として機能する。なお、本実施形態では、第2移動機構はラック/ピニオン機構であるが、これに限定されず、前面パネルを上下方向にスライド移動させることができる機構であればよい。例えば、前面パネルを上下方向にスライド移動させることができる機構であれば、第2移動機構が、リンク機構等の別の機構であってもよい。
【0150】
このような構成によって、この室内機110では、前面パネル113を室内機本体111に対して上方向にスライド移動することで、側方開口部117を開放することができる。
【0151】
これによって、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる。
【0152】
また、前面パネル113は上下方向にスライド移動されることで側方開口部117が遮蔽または開放されるため、前面パネル113が室内機110の外郭から左右方向へ突出しないようにすることができる。したがって、前面パネル113の開閉において、室内機110の外郭から左右方向への前面パネル113の突出量を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる室内機の発明であるため、壁掛型の室内機への適用が有効である。
【符号の説明】
【0154】
12 室内機ケーシング(ケーシング)
14 室内ファン(クロスフローファン)
16 第1部分(正面吹出口)
17a 第2部分(側方吹出口)
17b 第3部分(側方吹出口)
20 右側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(遮蔽部材)
24b 駆動軸(回転軸)
30 上下風向調整羽根(水平羽根)
90 左側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(遮蔽部材)
112a ケーシング本体(ケーシング)
113 前面パネル(遮蔽部材)
117 側方開口部(側方吹出口)
10,110 室内機
11,111 室内機本体(本体)
24,94 第2移動機構駆動用モータ(モータ)
26,96 第1形成部材(形成部材/流路形成部)
27,97 第2形成部材(形成部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0155】
【特許文献1】特開2006−2984号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁面に取り付けられる壁掛型の室内機であって、
側方に空気を吹き出すための側方吹出口(17a,17b,117)が側面に形成されているケーシング(12,112a)を有する本体(11,111)と、
前記側方吹出口を開閉可能な遮蔽部材(20,90,113)と、
を備える空気調和機の室内機(10,110)。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記本体の側面近傍に配置されており、前記本体の左右方向の中央に向かって移動することで閉状態から開状態へ移行する、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記ケーシングの底面および前面の少なくともいずれか一方に形成されている正面吹出口(16)を開閉可能な水平羽根(30)を更に備え、
前記遮蔽部材は、前記水平羽根の側方に配置されており、前記水平羽根の上側に移動することで閉状態から開状態へ移行する、
請求項1または2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記水平羽根は、前記水平羽根が閉状態のときに位置する空間から離れるように移動することで、閉状態から開状態に移行し、
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の少なくとも一部が前記空間に移動することで、閉状態から開状態に移行する、
請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記遮蔽部材および前記水平羽根が閉状態である場合には、前記遮蔽部材と前記水平羽根とは左右方向に隣接するように配置される、
請求項3または4に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
開状態の前記遮蔽部材の少なくとも一部を収納するための収納空間(S)を形成する形成部材(26,27,96,97)を更に備える、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記形成部材は、前記本体に固定されている、
請求項6に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記側方吹出口に向かう空気が流れる側方吹き出し流路(C,D)を形成する流路形成部(26,96)を更に備え、
前記遮蔽部材は、開状態において、前記側方吹き出し流路から離れた位置に配置される、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
前記流路形成部は、前記本体に固定されている、
請求項8に記載の空気調和機の室内機。
【請求項10】
前記遮蔽部材の状態を開状態または閉状態に移行するためのモータ(24,94)を更に備え、
前記モータは、前記側方吹き出し流路内に配置されている、
請求項8または9に記載の空気調和機の室内機。
【請求項11】
前記遮蔽部材の状態を開状態または閉状態に移行するためのモータ(24,94)を更に備え、
前記モータは、前記側方吹き出し流路外に配置されている、
請求項8または9に記載の空気調和機の室内機。
【請求項12】
前記遮蔽部材は、湾曲した湾曲面を有している、
請求項1から11のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項13】
前記遮蔽部材は、略前後方向に沿った回転軸(24b)を中心に回転するように移動することで、前記側方吹出口を開閉する、
請求項1から12のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項14】
前記遮蔽部材(113)は、前記本体(111)に対して上方に移動することで、閉状態から開状態に移行する、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項15】
前記ケーシング内には、前記ケーシング内部の空気流を形成可能なクロスフローファン(14)が1つ配置されている、
請求項1から14のいずれかに記載の空気調和機の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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