説明

空気調和機の室外機

【課題】電装品ユニット内に搭載された発熱部品を効果的に冷却するとともに、発熱部品の熱を電装品ユニットの外へ排出する空気調和機の室外機を提供する。
【解決手段】筺体内部を仕切板18で熱交換器室3と機械室2に区切り、機械室2には、上部に仕切板18に固定された電装品ユニット5を配置し、機械室2側の筺体には電装品ユニット5より下部に外気取込口12aを備えた空気調和機の室外機において、電装品ユニット5は、仕切板18に沿って配置される第1基板取付台50と、室外機正面に沿って配置される第2基板取付台51と、第1基板取付台50と第2基板取付台51を連結する連結部材52、53とからなり、第1基板取付台50は、上部に発熱部品70を搭載し、発熱部品70より上部に第1通気口50bを設け、発熱部品70と第1通気口50bは、箱型で底面に第2通気口72aを備えた発熱部品カバー72で覆われるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に係わり、より詳細には、室外機に備えられた電装品ユニットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
1台の室外機に対して複数台の室内機が備えられ室外機と室内機とが冷媒配管で接続された多室型の空気調和機が知られている。室外機内部は、室外機の筐体の一部を構成する底板に取り付けられた仕切板によって、圧縮機やアキュムレータ等が備えられた機械室と、熱交換器や送風ファン等が設置された熱交換器室とに区画されている。
そして、機械室の上部には圧縮機や送風ファン等の装置に駆動電力を供給する電源装置や室外機の運転を制御する制御基板等を備えた電装品ユニットが配置される。
【0003】
上述した電装品ユニットの従来例1には、室外機の正面に沿って配置される第1制御基板と、仕切板に沿って配置される第2制御基板と、第1制御基板と第2制御基板とを連結する複数の連結部材とを備え、第1制御基板と第2制御基板とを上面から見て略V字状に構成したものがある。
第1制御基板には、発熱量の多いインバータ基板や、パワートランジスタおよびパワートランジスタを冷却する大型のヒートシンクとを搭載し、第2制御基板には、圧縮機や四方弁、ファンモータ等を制御する制御部品を搭載している。そして第1制御基板上に実装されている発熱部品によって発せられた熱は、室外機の正面下部に設けた配管用開口から取り込んだ外気により冷され、仕切板の上部に形成された通気口を通って熱交換器室へと送られる構成となっている。
一方、室外機の下部に設けた配管用開口から取り込まれた外気は、一部が第2制御基板にも送られ、仕切板の上部に形成された通気口を通って熱交換器室へと送られることになり、機械室内に取り込まれた空気を全て第1制御基板上に実装されている発熱部品の冷却に活用することができない。(特許文献1参照)。
【0004】
そこで、電装品ユニット内に取り込まれた空気を全て発熱部品の冷却に活用するものに、図6に示す従来例2の空気調和機の室外機の電装品ユニットがある。これは、仕切板100で熱交換器室101と、機械室102に区画され、機械室102の上部には電装品ユニット103が設けられ、この電装品ユニット103内にはインバータの電気部品104が収納されている。この電装品ユニット103には、熱交換器室と反対側の側面に外気を取り入れる冷却空気取入用のルーバー105が設けられ、熱交換器室側の側面には冷却空気吹出用のルーバー106が設けられている。仕切板100には、冷却空気吹出用のルーバー106から空気を熱交換器室101に送り出すための通風穴107が設けられており、通風穴107は、熱交換器室101側に突出したダクト108に覆われている。ダクト108は下部に開口が設けられている。ダクト108の内側には、発熱部品109が装着されている。機械室102の外側板には、電装品ユニット103のルーバー105に連通される外気取入用の通風穴110が設けられている。
したがって、ダクト108の内側の発熱部品109は、送風機111の運転によって通風穴110から取り込まれ電装品ユニット103を通り冷却空気吹出用のルーバー106に集約してダクト108に吹き出された外気により冷却される。さらに、送風機111の運転によって生じるダクト108の周囲を通る風にも冷却される。(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−72534号公報
【特許文献2】実開昭63−153034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例2の発熱部品109を覆うダクト108は、熱交換器室に向かって下部が開口しているため、ドレン水や吸込口から吹き込まれた雨水が送風機111で攪拌されて発熱部品109に当たる虞がある。
また、温度の高い空気は上昇し、発熱部品109により熱せられた温度の高い空気がダクト108の冷却空気吹出用のルーバー106の通風経路にない天井付近に溜まるため、冷却空気吹出用のルーバー106から吹き出された空気が、発熱部品109全体に当たるものとは言い難い。
さらに、発熱部品109を電装品ユニット103とは別の場所に配置することで、電装部品の組立作業に手間が掛かり、作業性が落ちることになる。
【0007】
本発明は以上述べた問題点を解決し、電装品ユニット内に搭載された発熱部品を効果的に冷却するとともに、発熱部品の熱を電装品ユニットの外へ排出する空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、筺体内部を仕切板で熱交換器室と機械室に区切り、前記熱交換器室には送風機と熱交換器を配置し、前記機械室には、上部に前記仕切板に固定された電装品ユニットを配置し、前記機械室側の筺体には前記電装品ユニットより下部に外気取込口を備えた空気調和機の室外機において、
前記電装品ユニットは、前記仕切板に沿って配置される第1基板取付台と、前記室外機正面に沿って配置される第2基板取付台と、第1基板取付台と第2基板取付台を連結する連結部材とからなり、
前記第1基板取付台は、上部に発熱部品を搭載し、同発熱部品より上部に第1通気口を設け、同発熱部品と同第1通気口は、箱型で底面に第2通気口を備えた発熱部品カバーで覆われることを特徴とする。
【0009】
また、前記第2通気口の熱交換器室側には、通気孔を備えた遮水板を設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、前記発熱部品カバーは、側面に中央部から上端にかけて内側に傾く傾斜面を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明の空気調和機の室外機は、外気取込口から取り込まれた外気が、送風機により生じる風の流れに導かれ上昇し、機械室内の隙間を通り、電装品ユニットの第1基板取付台および第2基板取付台に搭載された制御部品や発熱部品を冷却する。
そして、電装品ユニット内を冷却した外気は、発熱部品カバーの第2通気口に流れ込み、発熱部品全体を冷却し、第1通気口より電装品ユニットの外へ排出するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による室外機の正面側斜視図である。
【図2】本発明による室外機の内部構造を示す図である。
【図3】本発明による電装品ユニットを示す図である。
【図4】本発明による電装品ユニットのコネクターカバーの構成を示す図である。
【図5】図3のA−A部分断面図である。
【図6】従来例2による電装品ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明に係る空気調和機の室外機は屋外に設置され、空調室内に設置される少なくとも1台以上の室内機と冷媒配管を介して接続されて冷凍サイクルを構成する。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2に示すように、本実施例による空気調和機の室外機1は、略直方体形状の筐体を有する。この筐体の外郭は、主に鋼板を加工して構成され、前面の一方を覆う前面パネル10と、前面パネル10の上下2箇所に円形に開口された吹出口1aと、吹出口1aを覆って保護するファンガード11と、一方の側面パネルを兼ねる背面パネル12と、前面の他の一方を覆う取り外し可能なサービスパネル13と、複数の四方形状の孔からなる吸込口1bを有する左側面パネル14と、底板15と、天板16と、配管カバー17とから構成されている。
底板15は、前面パネル10および背面パネル12の一部と、配管カバー17の下端とを、底板15の周囲のフランジ15aとのネジ止めによって組み付け、天板16は、前面パネル10および背面パネル12の上端を塞いで、ネジ止めによって組み付けている。
【0015】
尚、以下の説明では、室外機1の筐体において、図1で前面パネル10が配置された方を前面、その反対面を背面とし、前面パネル10を正視したときにサービスパネル13が配置された方を右側面、その反対面を左側面として説明を進める。
【0016】
室外機1の筐体内部は、仕切板18によって機械室2と熱交換器室3とに区画されている。熱交換器室3は、背面側に熱交換器4と、吹出口1aに対向した前面側に2個の送風ファン30とが設けられている。
熱交換器4は、密接して並列したアルミ材による薄板のフィン4aと、同フィン4aに直交するように蛇行状に配設された伝熱管4bとからなり、上面から見て略L字形状をなし、室外機1の左側面から背面に沿うように配置されている。
尚、室外機1の背面側は、背面パネル12の側端と左側面パネル14の側端との間に熱交換器4が露出して、送風ファン30により熱交換器室3に外気を取り入れるための背面吸込口1cとなり、背面吸込口1cには保護部材19が設けられている。
2個ある送風ファン30は、それぞれ図示しないモータに軸支され、モータが室外機1に固定されたモータ取付台31に取り付けられることにより、熱交換器室3内に配置される。
【0017】
機械室2は、アキュムレータ20や、図示しない圧縮機や四方弁および配管21が収容されている。機械室2の上部には、一部を熱交換器室3側に突出し、仕切板18に固定された電装品ユニット5が配置されている。
【0018】
上記の構成により、空気調和機の室外機1は、例えば冷房運転時に、熱交換器4の伝熱管4bの内部を流通する高温・高圧の冷媒の熱を、伝熱管4bからフィン4aに伝熱するとともに、この伝熱されたフィン4aが、送風ファン30により背面吸込口1cから吸い込まれた空気によって冷却されることで熱交換されるものである。
【0019】
次に、電装品ユニット5の構成について説明する。図2、図3に示すように、電装品ユニット5の基本構造は、仕切板18に沿って配置される第1基板取付台50と、室外機正面のサービスパネル13に沿って配置される第2基板取付台51と、第1基板取付台50と第2基板取付台51の側面を連結する連結部材52と、第1基板取付台50と第2基板取付台51の上面を連結して補強する連結部材53とからなる。
第1基板取付台50と第2基板取付台51は上面から見て略V字状に構成され、第1基板取付台50と第2基板取付台51の間の空間には、アキュムレータ20や配管21の一部が位置している。
【0020】
第1基板取付台50には、機械室側取付面50aに発熱量の多いパワートランジスタ60や、コンデンサ61およびインバータ基板62等が搭載されるとともに、特に発熱量の多い発熱部品であるリアクター70がリアクター取付台71を介して上部角に搭載される。リアクター70は図4に示すようにコイル部70aとコア部70bとからなる。さらに、リアクター70より上部に第1通気口50bが開口される。第1通気口50bの下端はリアクター70の上端よりも上方であることが望ましいが、これに限るものではない。
なお、ここでは発熱部品は、リアクターで説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
リアクター70と第1通気口50bは、図3、図4に示すように、板金を折り曲げ加工した箱型で機械室側取付面50aにネジ止めされる発熱部品カバー72で覆われる。発熱部品カバー72は、底面にリアクター70で発熱量の多いコイル部70aに位置と大きさを合わせた第2通気口72aを備え、側面の一方または両方に中央部から上端にかけて内側に傾く傾斜面72bを備えている。
【0022】
リアクター取付台71は、図4、図5に示すように、板金を折り曲げ加工して凹凸を設け、左右に2箇所ある第1凸部71aにリアクター70のコア部70bを固定する。これによりリアクター70と機械室側取付面50aとの間に空気が流れる隙間73が設けられる。また、リアクター取付台71の上端の第2凸部が曲面を構成することで、隙間73を流れた空気が第1通気口50bへ滑らかに導かれることになる。
【0023】
第1基板取付台50の熱交換器室側取付面50cには、図3、図4に示すように、パワートランジスタ60やインバータ基板62を冷却する大型のヒートシンク63を搭載し、第1通気口50bの周囲には電装品ユニット5内に吸込口から吹き込まれた雨水が送風機40で攪拌されて侵入することを防ぐ、板金を折り曲げ加工した箱型の遮水板80が配置されている。
【0024】
遮水板80は、図4、図5に示すように、遮水板内部の中央にドレン水の侵入を防ぐため上下2段の第1中仕切板81および第2中仕切板82が配置されている。上段に配置される第1中仕切板81は第1基板取付台50の熱交換器室側取付面50cに取り付けられ遮水板80の中央部まで垂直に延設され、下段に配置される第2中仕切板82は遮水板80の熱交換器室側の面に取り付けられ遮水板80の中央部まで垂直に延設される。また、遮水板80は、第2中仕切板82より下部で熱交換器室側の面にパンチング状の複数の通気孔82を備える。
交互に配置された第1中仕切板81と第2中仕切板82は空気は通過させるが、パンチング状の複数の通気孔82から侵入した雨水は第1中仕切板81および第2中仕切板82に当たり電装品ユニット5内部へ侵入することはできない。
遮水板80は、第1中仕切板81よりも上部に第1通気口50bが位置するように覆い、熱交換器室側取付面50cにネジ止めされる。
【0025】
電装品ユニット5の第2基板取付台51には、図3に示すように、メンテナンス時にサービスパネル13を開けてすぐにチェックできるように、サービスパネル側の面に図示しないが表示基板や端子台64を搭載し、機械室側の面には比較的発熱量の少ない制御部品65を搭載している。
【0026】
次に、機械室2内を通過して熱交換器室3内へ排出する空気の流れについて説明する。図2、図3、図5では、外気Sの通風経路を矢印で示している。図2に示す背面パネル12の電装品ユニットより下部にある外気取込口12aから外気Sが取り込まれる。外気Sは送風機30から生じる風の流れに導かれ上昇し、機械室2の収納部品の隙間を通り、電装品ユニット5内全体を巡り、第2基板取付台51の制御部品65や、第1基板取付台50に搭載されたパワートランジスタ60や、コンデンサ61およびインバータ基板62の発熱部品によって発せられた熱を冷却する。
その後外気Sは、送風機30から生じる風の流れによって発熱部品カバー72の第2通気口72aに集約して流れ込む。図3、図5に示すように、第2通気口72aはリアクター70で発熱量の多いコイル部70aに位置と大きさを合わせてあり、またリアクター70が円筒形を寝かした形状であることで、第2通気口72aから発熱部品カバー72に流れ込んだ外気Sは、リアクター70の上部にある第1通気口50bに向かいリアクター70形状に沿ってリアクター70の周囲を包み込むように上昇することでリアクター70全体を冷却することができる。
リアクター70を冷却してさらに温度の上がった外気Sは、第1通気口50bに導かれ、電装品ユニット5の外へ排出される。また、発熱部品カバー70の天井付近に溜まった温度の高い空気も、傾斜面72bにより第1通気口50bに導かれ、電装品ユニット5の外へ排出される。
排出された外気Sは、第1通気口50bから遮水板80内へ流れ込み、送風機30に導かれ、第1中仕切板81と第2中仕切板82の間を通過して通気孔83から熱交換器室3へ排出される構成となっている。
なお通過経路の通気口の面積は、第2通気口72a>第1通気口50b>通気孔83で構成することで、風速が速くなりリアクター70の発熱を効率良く冷却することが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 室外機
12a 外気取込口
18 仕切板
2 機械室
3 熱交換器室
30 送風ファン
5 電装品ユニット
50 第1基板取付台
50b 第1通気口
51 第2基板取付台
70 リアクター(発熱部品)
72 発熱部品カバー
72a 第2通気口
80 遮水板
83 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体内部を仕切板で熱交換器室と機械室に区切り、前記熱交換器室には送風機と熱交換器を配置し、前記機械室には、上部に前記仕切板に固定された電装品ユニットを配置し、前記機械室側の筺体には前記電装品ユニットより下部に外気取込口を備えた空気調和機の室外機において、
前記電装品ユニットは、前記仕切板に沿って配置される第1基板取付台と、前記室外機正面に沿って配置される第2基板取付台と、第1基板取付台と第2基板取付台を連結する連結部材とからなり、
前記第1基板取付台は、上部に発熱部品を搭載し、同発熱部品より上部に第1通気口を設け、同発熱部品と同第1通気口は、箱型で底面に第2通気口を備えた発熱部品カバーで覆われることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記第2通気口の熱交換器室側には、通気孔を備えた遮水板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記発熱部品カバーは、側面に中央部から上端にかけて内側に傾く傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1、2に記載の空気調和機の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−50255(P2013−50255A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187827(P2011−187827)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)