空気調和機
【課題】リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、所定時間が経過しても受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、受信部による指示信号の受信があった場合に表示部に受信表示パターンを表示させ、受信部が次の指示信号を受信するかまたは所定時間が経過するまでの間表示部に待機表示パターンを表示させ、所定時間が経過した後表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部とを備える。
【解決手段】空気調和機は、設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、所定時間が経過しても受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、受信部による指示信号の受信があった場合に表示部に受信表示パターンを表示させ、受信部が次の指示信号を受信するかまたは所定時間が経過するまでの間表示部に待機表示パターンを表示させ、所定時間が経過した後表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔制御を可能にするために、ワイヤレスリモコンからの指示信号を受信し、指示信号に含まれる設定条件に基づいて運転制御を行うようにした空気調和機が存在する。
【0003】
空気調和機を遠隔制御するためのワイヤレスリモコンは、設定条件の入力を行うための操作部と、この操作部の操作により設定される設定条件を表示する表示部とを有し、表示部に表示される設定条件を確認しながら指示信号の送信を行うことができる。
【0004】
設定条件を含む指示信号をリモコンから送信した後、リモコンの表示部に現在の運転状態を表示させる場合には、直前に送信した設定条件が表示されることとなる。
【0005】
しかしながら、リモコンからの指示信号が空気調和機本体で正常に受信されなかった場合に、そのことがリモコンにフィードバックされず、本体の現在の運転状態とリモコンの表示とが一致しないという問題が生じる。
【0006】
また、一般的に、空気調和機本体側には、運転状態を表示する表示部として複数のLEDを筐体前面に設け、自動・冷房・暖房・除湿などの現在の運転状態に対応するLEDを点灯することが行われている。リモコンからの指示信号を受信すると、指示信号に含まれる設定条件として、運転切り換えの指示があれば、これに対応して点灯するLEDを変更するように構成される。この場合、表示態様に限界があることから、リモコンからの指示信号の受信状態を確認できるような表示を行うことが困難である。
【0007】
このため、空気調和機本体側に現在の運転状態などの情報を音声により報知する手段を設け、リモコンからの指示信号を受信した場合に音声による報知を行うことが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−40644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リモコン側の操作内容と空気調和機本体側の表示の不一致は、音声による報知手段を設けたとしても解決されるわけではく、空気調和機本体側の表示と音声との不一致、空気調和機本体側の表示とリモコン側の表示との不一致は依然として解決されない。また、空気調和機本体側における設定条件や運転状態などの状態情報の表示にバリエーションが少なく、リモコンからの指示信号を送信した際に、空気調和機本体側で指示信号を確実に受信したのか否か、あるいは受信した指示信号に基づいて空気調和機本体がどのような処理を行っているのかを把握することが困難である。
【0009】
本発明では、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点に基づく空気調和機は、設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過しても受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、受信部による指示信号の受信があった場合に表示部に受信表示パターンを表示させ、受信部による指示信号の受信後受信部が次の指示信号を受信するかまたは所定時間が経過するまでの間表示部に待機表示パターンを表示させ、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過した後表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部とを備える。
【0011】
ここで、表示部はマトリクス形態で配置された複数の表示エレメントで構成することができる。
【0012】
また、表示部は液晶表示パネルで構成することができる。
【0013】
さらに、表示制御部は受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを、動的表示パターンとして表示部に表示させるように構成できる。
【0014】
また、受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを含む表示パターンを格納する表示パターン記憶部をさらに備える構成とすることができる。
【0015】
さらに、音声データを出力するスピーカと、少なくとも表示部に表示される受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンにそれぞれ対応する受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを、表示制御部による制御に同期して音声データとしてスピーカに出力させる音声出力制御部とをさらに備える構成とすることができる。
【0016】
また、受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを含む音声パターンを格納する音声パターン記憶部をさらに備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認可能な空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の1実施形態として、壁掛け型室内機を備えるセパレートタイプのエアコン(空気調和機)を例にして説明する。本発明は、以下に説明するような壁掛け型の室内機を備えるセパレートタイプのエアコンに限定されるものではなく、天井埋め込み型、壁面埋め込み型、または床設置型の室内機を備えたエアコンに適用することが可能である。また、一体型のエアコンや空気清浄機、加湿器、除湿器などの室内ユニットのみの空気調和機にも適用することが可能である。
【0019】
〔外観構成〕
本発明の1実施形態が採用される空気調和機の外観を図1に示す。
【0020】
この空気調和機10は、室内の壁面などに取り付けられる室内空調ユニット20と、室外に設置される室外空調ユニット30とを備えている。
【0021】
室内空調ユニット20内には、室内熱交換器、室内空気を導入して室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換させるための空気流を生成する室内ファンなどが収納されている。室内空調ユニット20は、筐体の前面にリモコンからの指示信号を受信する受信部22と、現在の設定条件や運転状態に関する状態情報を表示するための第1表示部23を備えている。
【0022】
室外空調ユニット30内には、圧縮機、室外熱交換器、減圧回路、四路切換弁などで構成される室外冷媒回路が構成されており、室外空気を取り入れて室外熱交換器内を通過する冷媒との熱交換を行わせるための空気流を生成する室外ファンなどが収納されている。
【0023】
室内空調ユニット20と室外空調ユニット30との間には冷媒管50が配設されており、室内熱交換器および室外熱交換器がこの冷媒配管で接続されることによって冷媒回路を構成している。
【0024】
また、空気調和機10は、室内空調ユニット20に向けて、設定条件を含む指示信号を送信するためのワイヤレスリモコン40を備えている。
【0025】
図2は室内空調ユニット20の前面パネルを開放した場合の斜視図である。
【0026】
室内空調ユニット20は、内部に室内熱交換器、室内ファン、各部の制御を行う室内制御部などを内蔵する筐体21と、筐体21に対して開閉自在に取り付けられる前面パネル24とを備えている。
【0027】
筐体21の前面下部には、室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換を行った後の調整空気を室内に送風するための吹き出し口25が形成されている。
【0028】
また、筐体21の前面下部に位置して、リモコン40から送信される指示信号を受信する受信部22と、自動運転・冷房・暖房・除湿などの運転状態を表示するための複数のLEDで構成された第2表示部26と、音声データを出力するスピーカ27とを備えている。
【0029】
第1表示部23は、設定条件や運転状態に関する状態情報を表示することが可能となるように、複数のLEDがマトリクス形態で配列された構成とすることができる。この第1表示部23は、数値や文字の表示が可能であり、また表示の変更に伴う動的表示を行うことが可能となるように、多数のドットがマトリクス形態で配列された表示装置で構成されており、単色のLEDを横m×縦nのマトリクス形態に配列することができる。また、赤、緑、青の3色のLEDをドット毎に配列してカラー表示が可能となるように構成することもできる。さらに、横m×縦nのマトリクス形態に配列された1キャラクタ分の表示要素を複数個配置し、各表示要素の表示が連携するように表示制御することが可能である。
【0030】
第1表示部23は、マトリクス形態で配列されたLEDに代えて、液晶表示パネルまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)などを用いることも可能である。第1表示部23を液晶表示パネルで構成する場合には、表示面側から入射する外部光を液晶層の背面側で反射することでこれを光源として画像表示を行う反射型液晶パネル、液晶層の背面側にバックライトを設けて画像表示を行う透過型液晶パネル、および反射型と透過型を組み合わせた半透過型液晶パネルのいずれも採用することが可能である。
【0031】
図示したものでは、通常使用時において前面パネル24を閉じた状態にすると、第1表示部23が前面パネル24の内部に位置するように構成される。前面パネル24は内部構造が見えないように不透明であるとともに、第1表示部23の表示内容が前面パネル24を通して識別できる程度の透光性を有する材質で構成される。この場合、前面パネル24による一体的な外観を得ることができ、美観を損なうことがなくなる。もちろん、前面パネル24を閉じた状態で第1表示部23が露出するように、前面パネル24の形状および第1表示部23の配置を構成することも可能である。
【0032】
スピーカ27は、現在の運転状態などに関して必要に応じて音声による報知や警報音などを出力するものであり、たとえば、リモコン40からの指示信号を受信した際に、受信した旨の音声通知や設定条件の変更、運転状態の変更などに伴う音声通知を行う。
【0033】
〔制御ブロック〕
室内空調ユニット20および室外空調ユニット30の制御ブロック図を図3に示す。
【0034】
室内空調ユニット20は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなどを含む室内ユニット制御部201を備えている。
【0035】
室内ユニット制御部201は、各種センサ202、室内ファンモータ203、表示部204、受信部22、スピーカ27、他の作動部207などが接続されている。
【0036】
各種センサ202は、冷媒回路中の室内熱交サーミスタ、室温センサ、湿度センサなどを含み、検出信号を室内ユニット制御部201に送信する。
【0037】
室内ファンモータ203は、室内空調ユニット20内に設けられる室内ファンを駆動するためのものであり、室内空気を筐体内に導入し、室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換した後、調整空気を室内に供給するための空気流を生成するために、設定条件や環境情報に基づいて室内ユニット制御部201によって制御される。
【0038】
表示部204は、図2に示す第1表示部23及び第2表示部26を含むものであって、設定条件や現在の運転状態などの状態情報、室内温度、室外温度、湿度、消費電力などの環境情報など必要に応じて表示することが可能である。
【0039】
受信部22は、リモコン40から送信される指示信号を受信するためのものであり、たとえば、IrDA(Infrared Data Association)規格によりリモコン40との間で赤外線通信が可能な赤外線ポートとすることができる。室内空調ユニット20側で管理している設定条件や運転状態などの現在の状態情報、各種センサ202から得られた環境情報などをリモコン40に送信する場合には、受信部22が送信部を兼ねる送受信部とすることができる。
【0040】
他の作動部207は、フラップ(上下風向調節羽根)作動モータ、ルーバー(左右風向調節羽根)作動用モータなどを含んでおり、現在の設定状態や運転状態に応じて室内ユニット制御部201によって駆動制御される。
【0041】
室内ユニット制御部201は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなど備え、ROM中に格納されたプログラムに基づいて、空調運転に関する各部を制御するための運転制御部208、表示部204に対する表示制御を行う表示制御部209、スピーカ27に対する音声データの出力制御を行う音声出力制御部210を構成する。
【0042】
運転制御部208は、通信部(図示せず)を介して室外ユニット制御部301と通信を行い、制御信号や各種センサの検出信号に基づく環境情報、運転状態に関する状態情報などを送受信し、設定条件や現在の環境情報などに基づいて室内ファンモータ203、他の作動部207などを制御し、室外ユニット301側に制御信号を送信する。
【0043】
表示制御部209は、表示部204への表示制御を行うものであって、現在の運転状態、設定温度、室内温度、室外温度、湿度、その他の表示に関する制御を行う。前述したように、表示部204は、第1表示部23と第2表示部26とを備えており、現在の運転状態が自動・冷房・暖房・除湿のいずれであるかは第2表示部26の表示により一目で認識できるように構成されている。また、第2表示部23は、マトリクス形態で配列された表示要素が複数配置され、複数のキャラクタを同時表示できるように構成されている。このことにより、リモコン40からの指示信号を受信した際に、信号を受信したことを第1表示部23に動的に表示したり、文字や記号、絵による表示を行うことで、設定条件の変更や運転状態の変更、環境情報の変化などを容易に認識できるように表示できる。
【0044】
室外空調ユニット30は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなどを含む室外ユニット制御部301を備えている。
【0045】
室外ユニット制御部301は、各種センサ302、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306、他の作動部307などと接続されている。
【0046】
各種センサ302は、吐出管サーミスタ、外気サーミスタ、室外熱交サーミスタなどの各種センサと、吐出側圧力保護スイッチなどを含み、それぞれ検出信号を室外ユニット制御部301に送信する。
【0047】
圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305は、室外空調ユニット30内に配置され、室外冷媒回路の一部を構成するものである。また、室外ファンモータ306は、室外空調ユニット30内に外気を導入し、室外熱交換器と熱交換を行った後の空気を室外に排出するための室外ファンを駆動するものである。圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305および室外ファンモータ306は、現在の設定条件や環境情報などに基づいて、その時の最適な運転状態となるように室外ユニット制御部301により制御される。
【0048】
〔リモコン〕
ワイヤレスリモコン40の詳細を図4に示す。
【0049】
リモコン40は、図4に示すように、リモコン本体401、出力ポート402、液晶画面403、操作部404を備えている。
【0050】
出力ポート402は、リモコン本体401の上端に設けられており、室内空調ユニット20の受信部22に指示信号を送信する。
【0051】
液晶画面403は、リモコン本体401の前面に設けられており、操作内容の表示画面や、設定温度、設定湿度、風量の設定、現在の室内温度、室外温度、消費電力などの各種情報を表示する表示画面を備えている。
【0052】
操作部404は、リモコン本体401の前面であって、液晶画面403の下方に設けられている。操作部404には、運転・停止ボタン407、冷房ボタン408、暖房ボタン409、加湿ボタン410、除湿ボタン411、矢印ボタン412,413、切タイマーボタン405、情報表示ボタン406などがある。運転状態を切り換える際には操作部404のうち、運転・停止ボタン407、冷房ボタン408、暖房ボタン409、加湿ボタン410、除湿ボタン411、切タイマーボタン405などを操作することにより、指示信号が室内空調ユニット20に送信される。また、設定温度や設定湿度などを変更したい場合には、矢印ボタン412,413を上または下を押すことにより、指示信号を室内空調ユニット20に送信することができる。さらに、情報表示ボタン406を操作することにより、現在の室内温度、室外温度、湿度、消費電力などの各種情報を表示させるように構成できる。この場合は、情報表示ボタン406が操作されると、室内空調ユニット20側に各種情報の要求信号を送信し、室内空調ユニット20から送信されてくる情報をリモコン本体401の前面に設けられた液晶画面403に表示するように構成することができる。
【0053】
たとえば、通常の運転状態において、液晶画面403には、設定温度及び設定湿度が表示される構成であるとする。情報表示ボタン406が操作されると、室内空調ユニット20側に現在の室内温度及び室内湿度のデータを要求し、室内空調ユニット20から受信したデータに基づいて液晶画面403に現在の室内温度及び室内湿度を表示するように構成できる。この後、情報表示ボタン406が操作される毎に、現在の室外温度及び室外湿度、消費電力などの各種データを室内空調ユニット20から取得してこれを液晶画面403に表示するように構成できる。
【0054】
〔運転制御〕
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の運転制御部208では、指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、この所定時間が経過しても次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う。
【0055】
このような運転制御部208による運転制御を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0056】
電源が投入されると、運転制御部208はステップS501において初期設定を行う。運転制御部208は、ROM内に格納された各種パラメータと、必要に応じて各種センサ202,302からの検出信号から得た環境情報とから、運転に必要となる各種設定値を特定し、室外ユニット制御部301に必要なデータおよび制御信号を送信する。
【0057】
ステップS502では、運転制御部208は、運転に必要となる各種設定値を設定条件として各部の運転制御を実行する。このとき、室内ユニット制御部201は、室内ファンモータ203、他の作動部207を制御し、室外ユニット制御部301は、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306などを制御して、対応する運転制御を実行する。
【0058】
ステップS503では、運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、現在の運転制御を継続し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS504に移行する。
【0059】
ステップS504では、運転制御部208は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT1をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。
【0060】
ステップS505では、運転制御部208は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。運転制御部208は、タイマーT1の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS506に移行し、タイマーT1の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS507に移行する。ここで、タイマーT1の閾値となる所定時間は、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。
【0061】
ステップS506では、運転制御部208は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合ステップS505に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS504に移行する。
【0062】
ステップS507では、運転制御部208は、受信した指示信号中に運転終了の指示が含まれているか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22により受信した指示信号中に運転終了の指示が含まれていないと判断した場合にはステップS508に移行し、運転終了の指示が含まれていると判断した場合にはステップS509に移行する。
【0063】
ステップS508では、運転制御部208は、最後に受信した指示信号に含まれる設定条件に基づいて、現在の設定条件を変更して運転制御を行う。たとえば、受信した指示信号中に設定温度を1度下げるような指示があった場合には、室内ユニット制御部201及び室外ユニット制御部301はこの設定条件に応じて設定値を変更し、これに基づいて室内ファンモータ203、他の作動部207、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306などの制御を行う。この後、運転制御部208は、ステップS503に移行し、受信部22により指示信号を受信するまで現在の設定条件による運転制御を継続する。
【0064】
ステップS509では、運転制御部208は、必要なパラメータを電源バックアップされたメモリに格納するとともに、各部を停止するための制御信号を出力して終了処理を実行する。
【0065】
このような構成とすることで、リモコン40からの指示信号を受信した後、所定時間経過するまで待機し、確実な制御運転を可能とする。
【0066】
〔表示制御〕
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の表示制御部209では、運転制御部208による運転制御と連動して、現在の運転状態やリモコンからの指示信号の受信状態などに応じた表示を表示部204に行うための表示制御を実行する。このような表示制御部209による表示制御を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0067】
ステップS601において受信部22が指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の表示制御部209は、ステップS602において第1表示部23に受信表示パターンが表示されるように表示制御を行う。受信表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、受信部22が指示信号を受信すると、表示制御部209がROMの所定領域から受信表示パターンを読み出して、第1表示部23にこれを表示するように構成できる。
【0068】
図7には、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の表示例を示す。図7に示すように、第1表示部23は、第1表示要素701〜第4表示要素704から構成されており、各表示要素701〜704は、それぞれ3×5のマトリクス形態に配列されたLEDを備えている。
【0069】
受信表示パターンは、たとえば、第2表示要素702および第3表示要素703を用いて「○」形状もしくは「◇」形状が表示されるように、各表示要素中のLEDのいくつかを点灯する。この受信表示パターンは、受信部22が指示信号を受信して一定時間経過するまで表示することで、リモコンからの指示信号を受信したことを明示することができる。
【0070】
この受信表示パターンは、動的な表示パターンとすることが可能である。たとえば、図7に示すような表示パターンを第1受信表示パターンとし、図8に示すような表示パターンを第2受信表示パターンとして、第1受信表示パターンと第2受信表示パターンとを所定時間毎に交互に繰り返すことで、「○」形状または「◇」形状が大きく広がっていくようなアニメーション表示とすることができる。
【0071】
このような受信表示パターンは、種々の形態を用いることができ、特に限定されるものではなく、リモコン40からの指示信号が室内空調ユニット20に到達したことをイメージできるような受信表示パターンを採用することができる。
【0072】
ステップS603では、表示制御部209は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT2をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。
【0073】
ステップS604では、表示制御部209は、第1表示部23に待機表示パターンが表示されるように表示制御を行う。待機表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、所定時間の受信表示パターンの表示が終了すると、表示制御部209がROMの所定領域から待機表示パターンを読み出して、第1表示部23にこれを表示するように構成できる。
【0074】
前述したような、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の待機表示パターンの表示例を図9に示す。
【0075】
図9に示すように、第1表示部23の第1表示要素701〜第3表示要素703を用いて、右向きの三角形状を表示することで、待機表示パターンとすることができる。図9に示すようなパターンの他に、第1表示要素701〜第3表示要素703のいずれか1つ以外に右向き三角形状が表示されるようなパターンを用意しておき、これらを順に一定時間ずつ表示することによって、三角形状が右側に流れるようなアニメーション表示を行うことができる。このような待機表示パターンは、表示の一例を示すものに過ぎず、待機状態をイメージできるような待機表示パターンを採用することができる。
【0076】
ステップS605では、表示制御部209は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。表示制御部209は、タイマーT2の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS606に移行し、タイマーT2の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS607に移行する。ここで、タイマーT2の閾値となる所定時間は、前述のタイマーT1の閾値と同様に、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。また、前述の運転制御部208と表示制御部209とが同一のタイマーの値を参照するように構成することも可能である。
【0077】
ステップS606では、表示制御部209は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。表示制御部209は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、ステップS604に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS602に移行する。
【0078】
ステップS607では、表示制御部209は、第1表示部23に指示確定表示パターンが表示されるように表示制御を行い、必要に応じて第2表示部26の表示変更を行う。指示確定表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、表示制御部209はリモコン40から受信した指示信号に含まれる設定条件を確定し、この確定された設定条件に基づいた指示確定表示パターンの表示を行う。
【0079】
前述したような、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の指示確定表示パターンの表示例を図10〜12に示す。
【0080】
受信部22で指示信号を受信する前の設定温度が25度であり、現在の設定温度を2度上げるような設定条件が指示信号に含まれている場合を想定する。タイマーT2の値が所定時間を超えた場合には、指示信号中に含まれる設定条件を確定し、まず、図10に示すように、指示信号受信前の設定温度を第1表示部23に表示する。
【0081】
図10に示すように、表示部23には、各表示要素701〜704を用いて設定温度が「25℃」であることを表示している。次に、表示部23に表示される設定温度が「25℃」から「27℃」に変更されたことを示すために、図11、図12に示すような表示パターンを順に所定時間ずつ表示する。この場合、設定温度の1の位の数字である「5」が上方に移動し、変更される数字である「7」が下から上がってくることをイメージさせるアニメーション表示を行うことで、動的に「25℃」から「27℃」に変更されたことを表現することができる。図10〜図12の表示パターンを連続的に複数回表示するように構成することも可能であり、その回数なども適宜設定することが可能である。また、上から下に数字が移動するような表現や、右方向または左方向に流れるような表現、数字や文字が回転するような表現を用いることも可能である。
【0082】
このように構成することによって、リモコン40からの指示信号に含まれる設定条件と室内空調ユニット20側の第1表示部23との間の不一致をなくし、リモコン40側の表示と室内空調ユニット20側の表示を一致させることができる。また、第1表示部23の表示により、リモコン40からの指示信号の受信中、待機中、指示確定などの情報を確実に把握することが可能となる。特に、第1表示部23に表示される各表示パターンをアニメーション表示などの動的表示とすることにより、より確実に状態を確認することが可能となる。
【0083】
〔運転制御と表示制御の連動〕
前述したような表示制御部209による表示制御は、運転制御部208による運転制御と同期させるように構成することができる。このような表示制御部209による表示制御を図13に示す。
【0084】
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、表示制御部209は、運転制御部208から指示信号を受信した旨の通知を受信し(ステップS1301)、受信表示パターンの表示制御を行う(ステップS1302)。受信表示パターンの表示制御については、前述した例と同様である。
【0085】
表示制御部209は、所定時間の受信表示パターンが終了すると、待機表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1303)。この待機表示パターンの表示制御についても前述した例と同様であり、ここでは詳細説明を省略する。
【0086】
運転制御部208において、受信部22により指示信号を受信した後所定時間経過したと判断した場合に、表示制御部209に対して指示が確定した旨の指示確定信号を送信する。表示制御部209では、運転制御部208から受信した指示確定信号に基づいて、指示確定表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1304)。このステップS1304では、運転制御部208からの指示確定信号を受信するまで、ステップS1303の待機表示パターンの表示制御を継続し、指示確定信号を受信した場合にはステップS1305に移行する。
【0087】
表示制御部209は、運転制御部208からの指示確定信号に基づいて、確定表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1305)。この指示確定表示パターンの表示制御についても、前述の例と同様であり、詳細説明はここでは省略する。
【0088】
このように構成する場合には、表示制御部209における表示制御を運転制御部208における運転制御と同期させることが可能となる。また、表示制御におけるタイマーT2を省略することが可能となる。
【0089】
〔音声アンサーバック〕
図6に示されるような表示制御と同時に、スピーカ27を通じて音声による報知を行うような構成とすることも可能である。
【0090】
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、表示制御部209が第1表示部23に対する表示制御を行うと同時に、音声出力制御部210によりスピーカ27を通じて音声出力を行う。このような音声出力制御部210による音声出力制御に関して、図14に基づいて説明する。
【0091】
ステップS1401において受信部22が指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の音声出力制御部210は、ステップS1402においてスピーカ27に受信音声パターンが出力されるように音声出力制御を行う。受信音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、受信部22が指示信号を受信すると、音声出力制御部210がROMの所定領域から受信音声パターンを読み出して、スピーカ27にこれを出力する。受信音声パターンとしては、たとえば、「ピッ、ピピッ、ピピピッ」などのブザー音を用いることができ、また、「信号を受信しました」などの音声データを出力することも可能である。
【0092】
ステップS1403では、音声出力制御部210は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT3をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。このタイマーT3は、運転制御部208が参照するタイマーT1、表示制御部209が参照するタイマーT2と共通とすることが可能である。
【0093】
ステップS1404では、音声出力制御部210は、スピーカに待機音声パターンを出力する。待機音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、所定時間の受信音声パターンの出力が終了すると、音声出力制御部210がROMの所定領域から待機音声パターンを読み出して、スピーカ27にこれを表示するように構成できる。待機音声パターンは、必要に応じて無音とすることも可能であり、音楽や待機中を示すブザー音に設定することも可能である。
【0094】
ステップS1405では、音声出力制御部210は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。音声出力制御部210は、タイマーT3の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS1406に移行し、タイマーT3の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS1407に移行する。ここで、タイマーT3の閾値となる所定時間は、前述のタイマーT1,T2の閾値と同様に、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。また、前述の運転制御部208及び表示制御部209が参照するタイマーと同一のタイマーの値を、音声出力制御部210が参照するように構成することも可能である。
【0095】
ステップS1406では、音声出力制御部210は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。音声出力制御部210は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、ステップS1404に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS1402に移行する。
【0096】
ステップS1407では、音声出力制御部210は、スピーカに指示確定音声パターンを出力する。指示確定音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、音声出力制御部210はリモコン40から受信した指示信号に含まれる設定条件を確定し、この確定された設定条件に基づいた指示確定音声パターンを出力する。指示確定音声パターンは、変更された設定条件を音声で出力するように構成することが可能であり、必要に応じて音楽やブザー音などで出力することも可能である。
【0097】
このように構成することによって、リモコン40からの指示信号に含まれる設定条件と室内空調ユニット20側の音声アンサーバックとの間の不一致をなくし、リモコン40による指示信号の送信をユーザが容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明では、実施形態中で例示した壁掛け型室内機を備えるセパレートタイプのエアコン(空気調和機)の他、天井埋め込み型、壁面埋め込み型、または床設置型の室内機を備えたエアコンに適用することが可能であり、さらに、一体型のエアコン、空気清浄機、加湿器、除湿器などの室内ユニットのみの空気調和機にも適用することが可能である。
【0099】
このような空気調和機に本発明を適用することによって、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の1実施形態による空気調和機の外観図である。
【図2】本発明の1実施形態による室内空調ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態による制御ブロック図である。
【図4】本発明の1実施形態によるリモコンの正面図である。
【図5】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図6】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図7】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図8】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図9】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図10】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図11】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図12】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図13】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図14】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
10 空気調和機
20 室内空調ユニット
22 受信部
23 第1表示部
27 スピーカ
30 室外空調ユニット
40 リモコン
201 室内ユニット制御部
208運転制御部
209 表示制御部
210 音声出力制御部
301 室外ユニット制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔制御を可能にするために、ワイヤレスリモコンからの指示信号を受信し、指示信号に含まれる設定条件に基づいて運転制御を行うようにした空気調和機が存在する。
【0003】
空気調和機を遠隔制御するためのワイヤレスリモコンは、設定条件の入力を行うための操作部と、この操作部の操作により設定される設定条件を表示する表示部とを有し、表示部に表示される設定条件を確認しながら指示信号の送信を行うことができる。
【0004】
設定条件を含む指示信号をリモコンから送信した後、リモコンの表示部に現在の運転状態を表示させる場合には、直前に送信した設定条件が表示されることとなる。
【0005】
しかしながら、リモコンからの指示信号が空気調和機本体で正常に受信されなかった場合に、そのことがリモコンにフィードバックされず、本体の現在の運転状態とリモコンの表示とが一致しないという問題が生じる。
【0006】
また、一般的に、空気調和機本体側には、運転状態を表示する表示部として複数のLEDを筐体前面に設け、自動・冷房・暖房・除湿などの現在の運転状態に対応するLEDを点灯することが行われている。リモコンからの指示信号を受信すると、指示信号に含まれる設定条件として、運転切り換えの指示があれば、これに対応して点灯するLEDを変更するように構成される。この場合、表示態様に限界があることから、リモコンからの指示信号の受信状態を確認できるような表示を行うことが困難である。
【0007】
このため、空気調和機本体側に現在の運転状態などの情報を音声により報知する手段を設け、リモコンからの指示信号を受信した場合に音声による報知を行うことが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−40644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リモコン側の操作内容と空気調和機本体側の表示の不一致は、音声による報知手段を設けたとしても解決されるわけではく、空気調和機本体側の表示と音声との不一致、空気調和機本体側の表示とリモコン側の表示との不一致は依然として解決されない。また、空気調和機本体側における設定条件や運転状態などの状態情報の表示にバリエーションが少なく、リモコンからの指示信号を送信した際に、空気調和機本体側で指示信号を確実に受信したのか否か、あるいは受信した指示信号に基づいて空気調和機本体がどのような処理を行っているのかを把握することが困難である。
【0009】
本発明では、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点に基づく空気調和機は、設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過しても受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、受信部による指示信号の受信があった場合に表示部に受信表示パターンを表示させ、受信部による指示信号の受信後受信部が次の指示信号を受信するかまたは所定時間が経過するまでの間表示部に待機表示パターンを表示させ、受信部による指示信号の受信後所定時間が経過した後表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部とを備える。
【0011】
ここで、表示部はマトリクス形態で配置された複数の表示エレメントで構成することができる。
【0012】
また、表示部は液晶表示パネルで構成することができる。
【0013】
さらに、表示制御部は受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを、動的表示パターンとして表示部に表示させるように構成できる。
【0014】
また、受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを含む表示パターンを格納する表示パターン記憶部をさらに備える構成とすることができる。
【0015】
さらに、音声データを出力するスピーカと、少なくとも表示部に表示される受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンにそれぞれ対応する受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを、表示制御部による制御に同期して音声データとしてスピーカに出力させる音声出力制御部とをさらに備える構成とすることができる。
【0016】
また、受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを含む音声パターンを格納する音声パターン記憶部をさらに備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認可能な空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の1実施形態として、壁掛け型室内機を備えるセパレートタイプのエアコン(空気調和機)を例にして説明する。本発明は、以下に説明するような壁掛け型の室内機を備えるセパレートタイプのエアコンに限定されるものではなく、天井埋め込み型、壁面埋め込み型、または床設置型の室内機を備えたエアコンに適用することが可能である。また、一体型のエアコンや空気清浄機、加湿器、除湿器などの室内ユニットのみの空気調和機にも適用することが可能である。
【0019】
〔外観構成〕
本発明の1実施形態が採用される空気調和機の外観を図1に示す。
【0020】
この空気調和機10は、室内の壁面などに取り付けられる室内空調ユニット20と、室外に設置される室外空調ユニット30とを備えている。
【0021】
室内空調ユニット20内には、室内熱交換器、室内空気を導入して室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換させるための空気流を生成する室内ファンなどが収納されている。室内空調ユニット20は、筐体の前面にリモコンからの指示信号を受信する受信部22と、現在の設定条件や運転状態に関する状態情報を表示するための第1表示部23を備えている。
【0022】
室外空調ユニット30内には、圧縮機、室外熱交換器、減圧回路、四路切換弁などで構成される室外冷媒回路が構成されており、室外空気を取り入れて室外熱交換器内を通過する冷媒との熱交換を行わせるための空気流を生成する室外ファンなどが収納されている。
【0023】
室内空調ユニット20と室外空調ユニット30との間には冷媒管50が配設されており、室内熱交換器および室外熱交換器がこの冷媒配管で接続されることによって冷媒回路を構成している。
【0024】
また、空気調和機10は、室内空調ユニット20に向けて、設定条件を含む指示信号を送信するためのワイヤレスリモコン40を備えている。
【0025】
図2は室内空調ユニット20の前面パネルを開放した場合の斜視図である。
【0026】
室内空調ユニット20は、内部に室内熱交換器、室内ファン、各部の制御を行う室内制御部などを内蔵する筐体21と、筐体21に対して開閉自在に取り付けられる前面パネル24とを備えている。
【0027】
筐体21の前面下部には、室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換を行った後の調整空気を室内に送風するための吹き出し口25が形成されている。
【0028】
また、筐体21の前面下部に位置して、リモコン40から送信される指示信号を受信する受信部22と、自動運転・冷房・暖房・除湿などの運転状態を表示するための複数のLEDで構成された第2表示部26と、音声データを出力するスピーカ27とを備えている。
【0029】
第1表示部23は、設定条件や運転状態に関する状態情報を表示することが可能となるように、複数のLEDがマトリクス形態で配列された構成とすることができる。この第1表示部23は、数値や文字の表示が可能であり、また表示の変更に伴う動的表示を行うことが可能となるように、多数のドットがマトリクス形態で配列された表示装置で構成されており、単色のLEDを横m×縦nのマトリクス形態に配列することができる。また、赤、緑、青の3色のLEDをドット毎に配列してカラー表示が可能となるように構成することもできる。さらに、横m×縦nのマトリクス形態に配列された1キャラクタ分の表示要素を複数個配置し、各表示要素の表示が連携するように表示制御することが可能である。
【0030】
第1表示部23は、マトリクス形態で配列されたLEDに代えて、液晶表示パネルまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)などを用いることも可能である。第1表示部23を液晶表示パネルで構成する場合には、表示面側から入射する外部光を液晶層の背面側で反射することでこれを光源として画像表示を行う反射型液晶パネル、液晶層の背面側にバックライトを設けて画像表示を行う透過型液晶パネル、および反射型と透過型を組み合わせた半透過型液晶パネルのいずれも採用することが可能である。
【0031】
図示したものでは、通常使用時において前面パネル24を閉じた状態にすると、第1表示部23が前面パネル24の内部に位置するように構成される。前面パネル24は内部構造が見えないように不透明であるとともに、第1表示部23の表示内容が前面パネル24を通して識別できる程度の透光性を有する材質で構成される。この場合、前面パネル24による一体的な外観を得ることができ、美観を損なうことがなくなる。もちろん、前面パネル24を閉じた状態で第1表示部23が露出するように、前面パネル24の形状および第1表示部23の配置を構成することも可能である。
【0032】
スピーカ27は、現在の運転状態などに関して必要に応じて音声による報知や警報音などを出力するものであり、たとえば、リモコン40からの指示信号を受信した際に、受信した旨の音声通知や設定条件の変更、運転状態の変更などに伴う音声通知を行う。
【0033】
〔制御ブロック〕
室内空調ユニット20および室外空調ユニット30の制御ブロック図を図3に示す。
【0034】
室内空調ユニット20は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなどを含む室内ユニット制御部201を備えている。
【0035】
室内ユニット制御部201は、各種センサ202、室内ファンモータ203、表示部204、受信部22、スピーカ27、他の作動部207などが接続されている。
【0036】
各種センサ202は、冷媒回路中の室内熱交サーミスタ、室温センサ、湿度センサなどを含み、検出信号を室内ユニット制御部201に送信する。
【0037】
室内ファンモータ203は、室内空調ユニット20内に設けられる室内ファンを駆動するためのものであり、室内空気を筐体内に導入し、室内熱交換器内を通過する冷媒との間で熱交換した後、調整空気を室内に供給するための空気流を生成するために、設定条件や環境情報に基づいて室内ユニット制御部201によって制御される。
【0038】
表示部204は、図2に示す第1表示部23及び第2表示部26を含むものであって、設定条件や現在の運転状態などの状態情報、室内温度、室外温度、湿度、消費電力などの環境情報など必要に応じて表示することが可能である。
【0039】
受信部22は、リモコン40から送信される指示信号を受信するためのものであり、たとえば、IrDA(Infrared Data Association)規格によりリモコン40との間で赤外線通信が可能な赤外線ポートとすることができる。室内空調ユニット20側で管理している設定条件や運転状態などの現在の状態情報、各種センサ202から得られた環境情報などをリモコン40に送信する場合には、受信部22が送信部を兼ねる送受信部とすることができる。
【0040】
他の作動部207は、フラップ(上下風向調節羽根)作動モータ、ルーバー(左右風向調節羽根)作動用モータなどを含んでおり、現在の設定状態や運転状態に応じて室内ユニット制御部201によって駆動制御される。
【0041】
室内ユニット制御部201は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなど備え、ROM中に格納されたプログラムに基づいて、空調運転に関する各部を制御するための運転制御部208、表示部204に対する表示制御を行う表示制御部209、スピーカ27に対する音声データの出力制御を行う音声出力制御部210を構成する。
【0042】
運転制御部208は、通信部(図示せず)を介して室外ユニット制御部301と通信を行い、制御信号や各種センサの検出信号に基づく環境情報、運転状態に関する状態情報などを送受信し、設定条件や現在の環境情報などに基づいて室内ファンモータ203、他の作動部207などを制御し、室外ユニット301側に制御信号を送信する。
【0043】
表示制御部209は、表示部204への表示制御を行うものであって、現在の運転状態、設定温度、室内温度、室外温度、湿度、その他の表示に関する制御を行う。前述したように、表示部204は、第1表示部23と第2表示部26とを備えており、現在の運転状態が自動・冷房・暖房・除湿のいずれであるかは第2表示部26の表示により一目で認識できるように構成されている。また、第2表示部23は、マトリクス形態で配列された表示要素が複数配置され、複数のキャラクタを同時表示できるように構成されている。このことにより、リモコン40からの指示信号を受信した際に、信号を受信したことを第1表示部23に動的に表示したり、文字や記号、絵による表示を行うことで、設定条件の変更や運転状態の変更、環境情報の変化などを容易に認識できるように表示できる。
【0044】
室外空調ユニット30は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、各種インターフェイスなどを含む室外ユニット制御部301を備えている。
【0045】
室外ユニット制御部301は、各種センサ302、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306、他の作動部307などと接続されている。
【0046】
各種センサ302は、吐出管サーミスタ、外気サーミスタ、室外熱交サーミスタなどの各種センサと、吐出側圧力保護スイッチなどを含み、それぞれ検出信号を室外ユニット制御部301に送信する。
【0047】
圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305は、室外空調ユニット30内に配置され、室外冷媒回路の一部を構成するものである。また、室外ファンモータ306は、室外空調ユニット30内に外気を導入し、室外熱交換器と熱交換を行った後の空気を室外に排出するための室外ファンを駆動するものである。圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305および室外ファンモータ306は、現在の設定条件や環境情報などに基づいて、その時の最適な運転状態となるように室外ユニット制御部301により制御される。
【0048】
〔リモコン〕
ワイヤレスリモコン40の詳細を図4に示す。
【0049】
リモコン40は、図4に示すように、リモコン本体401、出力ポート402、液晶画面403、操作部404を備えている。
【0050】
出力ポート402は、リモコン本体401の上端に設けられており、室内空調ユニット20の受信部22に指示信号を送信する。
【0051】
液晶画面403は、リモコン本体401の前面に設けられており、操作内容の表示画面や、設定温度、設定湿度、風量の設定、現在の室内温度、室外温度、消費電力などの各種情報を表示する表示画面を備えている。
【0052】
操作部404は、リモコン本体401の前面であって、液晶画面403の下方に設けられている。操作部404には、運転・停止ボタン407、冷房ボタン408、暖房ボタン409、加湿ボタン410、除湿ボタン411、矢印ボタン412,413、切タイマーボタン405、情報表示ボタン406などがある。運転状態を切り換える際には操作部404のうち、運転・停止ボタン407、冷房ボタン408、暖房ボタン409、加湿ボタン410、除湿ボタン411、切タイマーボタン405などを操作することにより、指示信号が室内空調ユニット20に送信される。また、設定温度や設定湿度などを変更したい場合には、矢印ボタン412,413を上または下を押すことにより、指示信号を室内空調ユニット20に送信することができる。さらに、情報表示ボタン406を操作することにより、現在の室内温度、室外温度、湿度、消費電力などの各種情報を表示させるように構成できる。この場合は、情報表示ボタン406が操作されると、室内空調ユニット20側に各種情報の要求信号を送信し、室内空調ユニット20から送信されてくる情報をリモコン本体401の前面に設けられた液晶画面403に表示するように構成することができる。
【0053】
たとえば、通常の運転状態において、液晶画面403には、設定温度及び設定湿度が表示される構成であるとする。情報表示ボタン406が操作されると、室内空調ユニット20側に現在の室内温度及び室内湿度のデータを要求し、室内空調ユニット20から受信したデータに基づいて液晶画面403に現在の室内温度及び室内湿度を表示するように構成できる。この後、情報表示ボタン406が操作される毎に、現在の室外温度及び室外湿度、消費電力などの各種データを室内空調ユニット20から取得してこれを液晶画面403に表示するように構成できる。
【0054】
〔運転制御〕
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の運転制御部208では、指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、この所定時間が経過しても次の指示信号を受信しなかった場合には、指示信号に基づいて設定条件を変更して運転制御を行う。
【0055】
このような運転制御部208による運転制御を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0056】
電源が投入されると、運転制御部208はステップS501において初期設定を行う。運転制御部208は、ROM内に格納された各種パラメータと、必要に応じて各種センサ202,302からの検出信号から得た環境情報とから、運転に必要となる各種設定値を特定し、室外ユニット制御部301に必要なデータおよび制御信号を送信する。
【0057】
ステップS502では、運転制御部208は、運転に必要となる各種設定値を設定条件として各部の運転制御を実行する。このとき、室内ユニット制御部201は、室内ファンモータ203、他の作動部207を制御し、室外ユニット制御部301は、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306などを制御して、対応する運転制御を実行する。
【0058】
ステップS503では、運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、現在の運転制御を継続し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS504に移行する。
【0059】
ステップS504では、運転制御部208は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT1をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。
【0060】
ステップS505では、運転制御部208は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。運転制御部208は、タイマーT1の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS506に移行し、タイマーT1の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS507に移行する。ここで、タイマーT1の閾値となる所定時間は、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。
【0061】
ステップS506では、運転制御部208は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合ステップS505に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS504に移行する。
【0062】
ステップS507では、運転制御部208は、受信した指示信号中に運転終了の指示が含まれているか否かを判別する。運転制御部208は、受信部22により受信した指示信号中に運転終了の指示が含まれていないと判断した場合にはステップS508に移行し、運転終了の指示が含まれていると判断した場合にはステップS509に移行する。
【0063】
ステップS508では、運転制御部208は、最後に受信した指示信号に含まれる設定条件に基づいて、現在の設定条件を変更して運転制御を行う。たとえば、受信した指示信号中に設定温度を1度下げるような指示があった場合には、室内ユニット制御部201及び室外ユニット制御部301はこの設定条件に応じて設定値を変更し、これに基づいて室内ファンモータ203、他の作動部207、圧縮機303、四路切換弁304、電動弁305、室外ファンモータ306などの制御を行う。この後、運転制御部208は、ステップS503に移行し、受信部22により指示信号を受信するまで現在の設定条件による運転制御を継続する。
【0064】
ステップS509では、運転制御部208は、必要なパラメータを電源バックアップされたメモリに格納するとともに、各部を停止するための制御信号を出力して終了処理を実行する。
【0065】
このような構成とすることで、リモコン40からの指示信号を受信した後、所定時間経過するまで待機し、確実な制御運転を可能とする。
【0066】
〔表示制御〕
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の表示制御部209では、運転制御部208による運転制御と連動して、現在の運転状態やリモコンからの指示信号の受信状態などに応じた表示を表示部204に行うための表示制御を実行する。このような表示制御部209による表示制御を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0067】
ステップS601において受信部22が指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の表示制御部209は、ステップS602において第1表示部23に受信表示パターンが表示されるように表示制御を行う。受信表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、受信部22が指示信号を受信すると、表示制御部209がROMの所定領域から受信表示パターンを読み出して、第1表示部23にこれを表示するように構成できる。
【0068】
図7には、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の表示例を示す。図7に示すように、第1表示部23は、第1表示要素701〜第4表示要素704から構成されており、各表示要素701〜704は、それぞれ3×5のマトリクス形態に配列されたLEDを備えている。
【0069】
受信表示パターンは、たとえば、第2表示要素702および第3表示要素703を用いて「○」形状もしくは「◇」形状が表示されるように、各表示要素中のLEDのいくつかを点灯する。この受信表示パターンは、受信部22が指示信号を受信して一定時間経過するまで表示することで、リモコンからの指示信号を受信したことを明示することができる。
【0070】
この受信表示パターンは、動的な表示パターンとすることが可能である。たとえば、図7に示すような表示パターンを第1受信表示パターンとし、図8に示すような表示パターンを第2受信表示パターンとして、第1受信表示パターンと第2受信表示パターンとを所定時間毎に交互に繰り返すことで、「○」形状または「◇」形状が大きく広がっていくようなアニメーション表示とすることができる。
【0071】
このような受信表示パターンは、種々の形態を用いることができ、特に限定されるものではなく、リモコン40からの指示信号が室内空調ユニット20に到達したことをイメージできるような受信表示パターンを採用することができる。
【0072】
ステップS603では、表示制御部209は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT2をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。
【0073】
ステップS604では、表示制御部209は、第1表示部23に待機表示パターンが表示されるように表示制御を行う。待機表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、所定時間の受信表示パターンの表示が終了すると、表示制御部209がROMの所定領域から待機表示パターンを読み出して、第1表示部23にこれを表示するように構成できる。
【0074】
前述したような、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の待機表示パターンの表示例を図9に示す。
【0075】
図9に示すように、第1表示部23の第1表示要素701〜第3表示要素703を用いて、右向きの三角形状を表示することで、待機表示パターンとすることができる。図9に示すようなパターンの他に、第1表示要素701〜第3表示要素703のいずれか1つ以外に右向き三角形状が表示されるようなパターンを用意しておき、これらを順に一定時間ずつ表示することによって、三角形状が右側に流れるようなアニメーション表示を行うことができる。このような待機表示パターンは、表示の一例を示すものに過ぎず、待機状態をイメージできるような待機表示パターンを採用することができる。
【0076】
ステップS605では、表示制御部209は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。表示制御部209は、タイマーT2の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS606に移行し、タイマーT2の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS607に移行する。ここで、タイマーT2の閾値となる所定時間は、前述のタイマーT1の閾値と同様に、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。また、前述の運転制御部208と表示制御部209とが同一のタイマーの値を参照するように構成することも可能である。
【0077】
ステップS606では、表示制御部209は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。表示制御部209は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、ステップS604に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS602に移行する。
【0078】
ステップS607では、表示制御部209は、第1表示部23に指示確定表示パターンが表示されるように表示制御を行い、必要に応じて第2表示部26の表示変更を行う。指示確定表示パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、表示制御部209はリモコン40から受信した指示信号に含まれる設定条件を確定し、この確定された設定条件に基づいた指示確定表示パターンの表示を行う。
【0079】
前述したような、LEDを横3×縦5のマトリクス形態に配列して1キャラクタ分の表示要素を構成し、このような表示要素を4つ配置して第1表示部23を構成する場合の指示確定表示パターンの表示例を図10〜12に示す。
【0080】
受信部22で指示信号を受信する前の設定温度が25度であり、現在の設定温度を2度上げるような設定条件が指示信号に含まれている場合を想定する。タイマーT2の値が所定時間を超えた場合には、指示信号中に含まれる設定条件を確定し、まず、図10に示すように、指示信号受信前の設定温度を第1表示部23に表示する。
【0081】
図10に示すように、表示部23には、各表示要素701〜704を用いて設定温度が「25℃」であることを表示している。次に、表示部23に表示される設定温度が「25℃」から「27℃」に変更されたことを示すために、図11、図12に示すような表示パターンを順に所定時間ずつ表示する。この場合、設定温度の1の位の数字である「5」が上方に移動し、変更される数字である「7」が下から上がってくることをイメージさせるアニメーション表示を行うことで、動的に「25℃」から「27℃」に変更されたことを表現することができる。図10〜図12の表示パターンを連続的に複数回表示するように構成することも可能であり、その回数なども適宜設定することが可能である。また、上から下に数字が移動するような表現や、右方向または左方向に流れるような表現、数字や文字が回転するような表現を用いることも可能である。
【0082】
このように構成することによって、リモコン40からの指示信号に含まれる設定条件と室内空調ユニット20側の第1表示部23との間の不一致をなくし、リモコン40側の表示と室内空調ユニット20側の表示を一致させることができる。また、第1表示部23の表示により、リモコン40からの指示信号の受信中、待機中、指示確定などの情報を確実に把握することが可能となる。特に、第1表示部23に表示される各表示パターンをアニメーション表示などの動的表示とすることにより、より確実に状態を確認することが可能となる。
【0083】
〔運転制御と表示制御の連動〕
前述したような表示制御部209による表示制御は、運転制御部208による運転制御と同期させるように構成することができる。このような表示制御部209による表示制御を図13に示す。
【0084】
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、表示制御部209は、運転制御部208から指示信号を受信した旨の通知を受信し(ステップS1301)、受信表示パターンの表示制御を行う(ステップS1302)。受信表示パターンの表示制御については、前述した例と同様である。
【0085】
表示制御部209は、所定時間の受信表示パターンが終了すると、待機表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1303)。この待機表示パターンの表示制御についても前述した例と同様であり、ここでは詳細説明を省略する。
【0086】
運転制御部208において、受信部22により指示信号を受信した後所定時間経過したと判断した場合に、表示制御部209に対して指示が確定した旨の指示確定信号を送信する。表示制御部209では、運転制御部208から受信した指示確定信号に基づいて、指示確定表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1304)。このステップS1304では、運転制御部208からの指示確定信号を受信するまで、ステップS1303の待機表示パターンの表示制御を継続し、指示確定信号を受信した場合にはステップS1305に移行する。
【0087】
表示制御部209は、運転制御部208からの指示確定信号に基づいて、確定表示パターンの表示制御を実行する(ステップS1305)。この指示確定表示パターンの表示制御についても、前述の例と同様であり、詳細説明はここでは省略する。
【0088】
このように構成する場合には、表示制御部209における表示制御を運転制御部208における運転制御と同期させることが可能となる。また、表示制御におけるタイマーT2を省略することが可能となる。
【0089】
〔音声アンサーバック〕
図6に示されるような表示制御と同時に、スピーカ27を通じて音声による報知を行うような構成とすることも可能である。
【0090】
リモコン40から設定条件を含む指示信号を受信すると、表示制御部209が第1表示部23に対する表示制御を行うと同時に、音声出力制御部210によりスピーカ27を通じて音声出力を行う。このような音声出力制御部210による音声出力制御に関して、図14に基づいて説明する。
【0091】
ステップS1401において受信部22が指示信号を受信すると、室内ユニット制御部201の音声出力制御部210は、ステップS1402においてスピーカ27に受信音声パターンが出力されるように音声出力制御を行う。受信音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、受信部22が指示信号を受信すると、音声出力制御部210がROMの所定領域から受信音声パターンを読み出して、スピーカ27にこれを出力する。受信音声パターンとしては、たとえば、「ピッ、ピピッ、ピピピッ」などのブザー音を用いることができ、また、「信号を受信しました」などの音声データを出力することも可能である。
【0092】
ステップS1403では、音声出力制御部210は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間を計測するためのタイマーT3をリセットし、指示信号を受信してからの経過時間の計測を開始する。このタイマーT3は、運転制御部208が参照するタイマーT1、表示制御部209が参照するタイマーT2と共通とすることが可能である。
【0093】
ステップS1404では、音声出力制御部210は、スピーカに待機音声パターンを出力する。待機音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、所定時間の受信音声パターンの出力が終了すると、音声出力制御部210がROMの所定領域から待機音声パターンを読み出して、スピーカ27にこれを表示するように構成できる。待機音声パターンは、必要に応じて無音とすることも可能であり、音楽や待機中を示すブザー音に設定することも可能である。
【0094】
ステップS1405では、音声出力制御部210は、受信部22により指示信号を受信してからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判別する。音声出力制御部210は、タイマーT3の値が所定時間を超えていないと判断した場合にはステップS1406に移行し、タイマーT3の値が所定時間を超えたと判断した場合にはステップS1407に移行する。ここで、タイマーT3の閾値となる所定時間は、前述のタイマーT1,T2の閾値と同様に、ユーザがリモコン40を連続して操作する場合の操作間隔に所定のマージンを加算した時間に設定することができ、例えば、3〜5秒程度に設定することができる。また、前述の運転制御部208及び表示制御部209が参照するタイマーと同一のタイマーの値を、音声出力制御部210が参照するように構成することも可能である。
【0095】
ステップS1406では、音声出力制御部210は受信部22が指示信号を受信したか否かを判別する。音声出力制御部210は、受信部22が指示信号を受信していないと判断した場合、ステップS1404に移行し、受信部22が指示信号を受信したと判断した場合にはステップS1402に移行する。
【0096】
ステップS1407では、音声出力制御部210は、スピーカに指示確定音声パターンを出力する。指示確定音声パターンは、ROMなどの記憶手段中に格納しておくように構成でき、音声出力制御部210はリモコン40から受信した指示信号に含まれる設定条件を確定し、この確定された設定条件に基づいた指示確定音声パターンを出力する。指示確定音声パターンは、変更された設定条件を音声で出力するように構成することが可能であり、必要に応じて音楽やブザー音などで出力することも可能である。
【0097】
このように構成することによって、リモコン40からの指示信号に含まれる設定条件と室内空調ユニット20側の音声アンサーバックとの間の不一致をなくし、リモコン40による指示信号の送信をユーザが容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明では、実施形態中で例示した壁掛け型室内機を備えるセパレートタイプのエアコン(空気調和機)の他、天井埋め込み型、壁面埋め込み型、または床設置型の室内機を備えたエアコンに適用することが可能であり、さらに、一体型のエアコン、空気清浄機、加湿器、除湿器などの室内ユニットのみの空気調和機にも適用することが可能である。
【0099】
このような空気調和機に本発明を適用することによって、リモコン側の操作内容と空気調和機本体の表示内容を一致させるとともに、現在の状態情報を容易に確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の1実施形態による空気調和機の外観図である。
【図2】本発明の1実施形態による室内空調ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態による制御ブロック図である。
【図4】本発明の1実施形態によるリモコンの正面図である。
【図5】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図6】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図7】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図8】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図9】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図10】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図11】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図12】本発明の1実施形態による表示パターンの説明図である。
【図13】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【図14】本発明の1実施形態による制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
10 空気調和機
20 室内空調ユニット
22 受信部
23 第1表示部
27 スピーカ
30 室外空調ユニット
40 リモコン
201 室内ユニット制御部
208運転制御部
209 表示制御部
210 音声出力制御部
301 室外ユニット制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、
前記設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、
前記受信部による指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、前記受信部による指示信号の受信後前記所定時間が経過しても前記受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、前記指示信号に基づいて前記設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、
現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、
前記受信部による指示信号の受信があった場合に前記表示部に受信表示パターンを表示させ、前記受信部による指示信号の受信後前記受信部が次の指示信号を受信するかまたは前記所定時間が経過するまでの間前記表示部に待機表示パターンを表示させ、前記受信部による指示信号の受信後前記所定時間が経過した後前記表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部と、
を備える空気調和機。
【請求項2】
前記表示部はマトリクス形態で配置された複数の表示エレメントで構成されている、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記表示部は液晶表示パネルで構成されている、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記表示制御部は前記受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを、前記複数の表示エレメントを用いた動的表示パターンとして前記表示部に表示させる、請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを含む表示パターンを格納する表示パターン記憶部をさらに備える、請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
音声データを出力するスピーカと、
少なくとも前記表示部に表示される受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンにそれぞれ対応する受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを前記表示制御部による制御に同期して前記音声データとして前記スピーカに出力させる音声出力制御部と、
をさらに備える、請求項4または5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを含む音声パターンを格納する音声パターン記憶部をさらに備える、請求項6に記載の空気調和機。
【請求項1】
設定条件に基づいて運転制御を行い調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、
前記設定条件を含むリモコンからの指示信号を受信する受信部と、
前記受信部による指示信号の受信後所定時間が経過するまでは現在の運転制御を継続し、前記受信部による指示信号の受信後前記所定時間が経過しても前記受信部が次の指示信号を受信しなかった場合には、前記指示信号に基づいて前記設定条件を変更して運転制御を行う運転制御部と、
現在の設定条件および運転状態に関連する状態情報を表示する表示部と、
前記受信部による指示信号の受信があった場合に前記表示部に受信表示パターンを表示させ、前記受信部による指示信号の受信後前記受信部が次の指示信号を受信するかまたは前記所定時間が経過するまでの間前記表示部に待機表示パターンを表示させ、前記受信部による指示信号の受信後前記所定時間が経過した後前記表示部に指示確定表示パターンを表示させる表示制御部と、
を備える空気調和機。
【請求項2】
前記表示部はマトリクス形態で配置された複数の表示エレメントで構成されている、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記表示部は液晶表示パネルで構成されている、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記表示制御部は前記受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを、前記複数の表示エレメントを用いた動的表示パターンとして前記表示部に表示させる、請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンを含む表示パターンを格納する表示パターン記憶部をさらに備える、請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
音声データを出力するスピーカと、
少なくとも前記表示部に表示される受信表示パターン、待機表示パターン、指示確定表示パターンにそれぞれ対応する受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを前記表示制御部による制御に同期して前記音声データとして前記スピーカに出力させる音声出力制御部と、
をさらに備える、請求項4または5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記受信音声パターン、待機音声パターン、指示確定音声パターンを含む音声パターンを格納する音声パターン記憶部をさらに備える、請求項6に記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−65883(P2010−65883A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231144(P2008−231144)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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