空気調和機
【課題】、複数のファンを備えた大容量形の空気調和機において、室内吹出口をファンサービス口としてファン毎にアフターサービスを可能にした、簡易な構造の空気調和機を提供すること。
【解決手段】外装ケース1内の背面側部分に、室内空気吸込口から吸い込んだ室内空気と熱交換する熱交換器2が収納された熱交換器室3が形成されている。また、外装ケース1内の前面側部分には、ファン吸込口4bを熱交換器室3に向けて開口する複数台のファン4が収納されたファン室5が形成されている。ファン室5は、ファン4及び駆動用モータ4aが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室5a,5b,5cの前面にファン4からの空気を吹き出す室内吹出口20が形成され、さらに、各室内吹出口20には、ファンガード31,32,33が着脱自在に取り付けられている。
【解決手段】外装ケース1内の背面側部分に、室内空気吸込口から吸い込んだ室内空気と熱交換する熱交換器2が収納された熱交換器室3が形成されている。また、外装ケース1内の前面側部分には、ファン吸込口4bを熱交換器室3に向けて開口する複数台のファン4が収納されたファン室5が形成されている。ファン室5は、ファン4及び駆動用モータ4aが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室5a,5b,5cの前面にファン4からの空気を吹き出す室内吹出口20が形成され、さらに、各室内吹出口20には、ファンガード31,32,33が着脱自在に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、空気調和機に係り、特に、前面に室内吹出口を開口した空気調和機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
室内空気を外装ケースの後方部から吸い込み、熱交換した後の空気を前面から吹き出すようにした空気調和機として、従来特許文献1のものが知られている。この空気調和機によれば、ファン吸込口が後方に向くようにターボファンが外装ケース内に配置されるとともに、室内吸込口が外装ケースの延出ケーシング部の両側面に設けられている。そして、ターボファンの外周部から吹き出された空気が、ターボファンの左右側方に設けられた熱交換器を通過して熱交換され、外装ケースの前面における左右側部に設けられた室内吹出口から吹き出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−336910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の空気調和機は、小容量の薄型の空気調和機として好適な構造を提供するものであるが、大容量の空気調和機とする場合には大きな室内吹出口を開口することが困難であるとともに、大きな容量の熱交換器を配置することも困難であった。また、ターボファンを交換する等のアフターサービスの場合に、前面、側面及び吹出グリルを備えたケーシングを取り外す必要があり、手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術におけるこのような課題に鑑み成されたものであって、複数のファンを備えた大容量形の空気調和機において、室内吹出口をファンサービス口としてファン毎にアフターサービスを可能にした、簡易な構造の空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内部に機器を収納する外装ケースと、外装ケース内の背面側部分に形成された、室内空気と熱交換する熱交換器が収納された熱交換器室と、外装ケース内の前面側部分に形成された、ファン及び駆動用モータが各1台ずつ収納された複数のファン室とを備え、前記熱交換器室には室内空気吸込口が形成され、前記ファン室には、ファンが熱交換器室に向けてファン吸込口を開口するように配置され、各ファン室の前面には、各ファン室を介して各ファンから吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口が形成され、さらに、これら室内吹出口には、それぞれファンガードが着脱自在に取り付けられていることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、ファン室には、ファンが熱交換器室に向けてファン吸込口を開口するように配置されているので、機内循環用のファンの吸込側に熱交換器が配置されることになり、熱交換器を大きくすることができるとともに、熱交換器における風速分布を均一にすることができる。また、ファン室は、ファン及び駆動用モータが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室の前面には、各ファン室を介して各ファンから吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口が形成されている。そして、この各室内吹出口には、それぞれファンガードが着脱自在に取り付けられた簡易な構造とされている。したがって、このファンガードを取り外すことにより、室内吹出口をファンサービス口としてファン毎にファン交換等の保守サービスを迅速に行うことができる。また、複数のファンが使用されているので、高静圧、かつ大風量の送風を行う空気調和機とすることができる。また、一部のファンが故障した場合において、残余のファンにより暫定的に空気調和機を運転することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の空気調和機において、前記外装ケースは、前面視縦長の直方体に形成され、前記複数のファン室は、鉛直方向に配列され、前記各ファンガードは、金属製線状体を縦横に配置して、複数の縦柵及び横柵がそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成され、前記複数の縦柵のうちの左右方向の最側部の縦柵は、上下端部が折り曲げられてねじ挿通部として形成され、前記複数の縦柵のうちの左右方向の中間に位置する縦柵は、上下端部が前記室内吹出口の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵が交差するように連結され、これによりファンガードの上下端部に折曲網部が形成されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、前面視縦長の直方体に形成された外装ケースにおけるファン室前面の室内吹出口に対し、複数の縦柵及び横柵がそれぞれ一定間隔に配置された網状のファンガードとして前面吹出口に配置されているので、このファンガードを嵩張らない前面装飾部材として取り扱うことができる。また、各ファンガードは、左右の縦柵のみにより外装ケースに固定されているので、着脱が容易である。また、このファンガードの上下端部は、どこにも固定されないが、縦柵の上下端部が室内吹出口の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵が交差するように連結され、これによりファンガードの上下端部に折曲網部が形成されている。したがって、この折曲網部が形成されていることにより、各ファンガードの上下端部の強度が向上している。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の空気調和機において、ファンガードにおける折曲網部のうちの少なくとも一部がファン室の水平方向を区画する区画板に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、ファンガードを取り付ける際に、このファンガードにおける折曲網部のうちの少なくとも一部がファン室の水平方向を区画する区画板に沿うように取り付けられているので、区画板をファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、区画板は、この区画板に接触又は近接するファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3記載の空気調和機において、鉛直方向に隣接するファンガードの間に、鉛直方向に比し左右方向の寸法が大きい略直方体のスイッチボックスが配置されるとともに、一部のファンガードの折曲網部がこのスイッチボックスの水平方向の外表面に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、一部のファンガードを取り付ける際に、このファンガードの折曲網部がスイッチボックスの水平方向の外表面に沿うように取り付けられているので、スイッチボックス面をファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、スイッチボックスは、このスイッチボックスに接触又は近接するファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載の空気調和機において、一部のファンガードの折曲網部が、区画板に沿うように取り付けられた、隣接するファンガードの折曲網部に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、一部のファンガードを取り付ける際に、このファンガードの折曲網部が隣接するファンガードの折曲網部に沿うように取り付けられているので、この隣接するファンガードの折曲網部を前記一部のファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、これら隣接するファンガード双方の折曲網部は、相互にファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機が、電算機室に設置される空気調和機であって、前記熱交換器には冷却された冷媒が循環されるように構成されていることを要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、大風量化が容易であるとともにファンのアフターサービスが容易である。熱交換器として冷媒を強制循環させる方式のものが使用されているので、電算機室に設置されている電算機に水が浸入する恐れがなく安全である。ファンとして複数台のファンが使用されているので、一部のファンが故障した場合等においても故障していない残余のファンにより暫定的に冷却運転を行うことができる。このような特性を備えた空気調和機は、電算機室用の空気調和機として好適である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の空気調和機において、前記複数の室内吹出口は、全体として外装ケースの前面に略全体に亘るように形成され、前記室内空気吸込口は外装ケースの背面に形成されていることを要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、大風量、前面吹出、背面吸い込み形の空気調和機として形成されるので、近年普及している前面吸い込み背面吹出の電算機ラックと並べて設置することができる。したがって、電算機室用の空気調和機として電算機室へのレイアウトが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の模式構成図。
【図2】同空気調和機の模式平面配置図。
【図3】同空気調和機の前方から見た外観斜視図。
【図4】図3において前板を取り外した状態の斜視図。
【図5】図4において側板及び後板を取り外し、内部構成を図示した状態の斜視図。
【図6】図5において前面のファンガード取り外した状態の分解斜視図。
【図7】同空気調和機における上ファンガードの斜視図。
【図8】同空気調和機における中ファンガード及び下ファンガードの斜視図。
【図9】同空気調和機における上ファンガードの上方取付部の拡大図。
【図10】同空気調和機における上ファンガードの下方取付部及び中ファンガードの上方取付部の拡大図であって、上ファンガードを取り外した状態図。
【図11】同空気調和機における上ファンガードの下方の折曲網部及び中ファンガードの上方の折曲網部周辺の断面図。
【図12】同空気調和機における中ファンガードの下方の折曲網部及び下ファンガードの上方の折曲網部周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1及び図2に基づきこの空気調和機の概略構成を説明する。なお、以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向(又は鉛直方向)というときは、図1〜図3に示した方向をいうものとする。
【0022】
本実施の形態に係る空気調和機は、電算機室用の空気調和機であって、図1及び図2に示すように、内部に機器を収納する外装ケース1内の背面側部分に室内空気と熱交換する熱交換器2を収納する熱交換器室3が形成され、外装ケース1の前面側部分にモ−タ駆動のファン4が収納されたファン室5が形成されている。ファン4はターボファンであって3台搭載されており、ファン室5は1台のファン4とその駆動用モータ4aとを収納するように3室に分割されている。また、分割されたファン室5a,5b,5cは、鉛直方向に3室並ぶように配置されている。なお、この明細書において、分割されたファン室について個々に区別して述べるときは、上から順に上ファン室5a、中ファン室5b、下ファン室5cと称するものとする。
【0023】
また、この空気調和機は、図1に示すように、冷却ユニット6により冷却された冷媒を熱交換器2に流通させて室内空気を冷却するファンコイルユニットとして形成されている。冷却ユニット6は、水配管7により別の冷却源から搬送される冷水により冷媒を冷却するものであって、この冷却ユニット6内の熱交換器8と、空気調和機内の熱交換器2とが冷媒配管9により接続されている。なお、水配管7及び冷媒配管9には、それぞれ循環用のポンプ7a,9aが接続されている。
【0024】
次に、各部の構成について図3乃至図11を用いてさらに詳しく説明する。
外装ケース1は、図3に示すように、外装ケース1の前面を形成する前板11、側面を形成する左右の側板12、天面を形成する天板14、空気調和機の骨組みを成すフレーム部材16を有する。なお、この図3においては、この空気調和機の下方にベデスタルという台15が配置されて図示されている。また、前板11、側板12、後板13及び天板14は、フレーム部材16に対し取り付けられている。
【0025】
前板11は、フレーム部材16に対し開きドア式に取り付けられるとともに、背面側においてフレーム部材16の正面4隅に取り付けられた耐震ピン11aに係合され、地震時に外れないように規制されている。また、前板11は、フレーム部材16の左側前部に設けられたキー機構(具体的機構の説明は省略)により普段は施錠されている。なお、このキー機構は、前板11の中段左側に位置するレバー11Aを引くと開錠され、レバー11Aを押すことにより施錠されるように構成されている。さらに、前板11は、中央部が開口部11bとして形成されており、この開口部11bを通じファン室5a,5b,5cが外部に連通されるように構成されている。
【0026】
側板12は、図3乃至図5から分かるように、左右の側板12が対称的に形成されたものであって、フレーム部材16に対しねじ止めされている。
後板13は、前板11と同様に中央に開口部が設けられ、この開口部を通じ熱交換器室3が外部に連通されるように構成されたものであって、その外観は前板に類似する。なお、その具体的な形状及び構造についての図示はここでは省略する。
【0027】
天板14は、図3に示すように、後方に冷却ユニット6とを連絡する冷媒配管9を貫通させるための開口部14aが設けられるとともに、4隅に搬送用のフック部材14bが取り付けられている。
【0028】
フレーム部材16は、外板を構成する前板11、側板12、後板13、天板14が取り付けられるとともに、内部にファン4や熱交換器2を取り付けるための直方体の骨組み構造部を形成するものであって、各部の目的に応じ各種構造の部材が使用されている。例えば、前面には、前板11を取り付けるのに都合のよいように額縁状に形成された枠部材16aが形成されている。
【0029】
フレーム部材16の前後方向の中間部には、外装ケース1内の空間部を前後に仕切るための仕切り板17が設けられている。そして、背面側の空間部は、熱交換器2を収納する熱交換器室3として形成され、前面側の空間部は1台のファン4及び駆動用モータ4aを収納するファン室5として形成されている。
【0030】
熱交換器室3に収納されている熱交換器2は、平面視V字形のクロスフィンコイル式熱交換器であって、後方に開くV字型に形成されている。また、熱交換器室3の後面は室内空気吸込口18として開放されるとともに(図5参照)、この室内空気吸込口18には図示していないがエアフィルタが取り付けられる。
【0031】
また、ファン室5は、区画板19により鉛直方向に区画され、上ファン室5a、中ファン室5b、下ファン室5cが鉛直方向に並ぶように形成されている。各ファン室5a,5b,5cに収納されるファン4は、モータ駆動のターボファンであって、回転軸を前後方向とし、回転中心部の前方から内部に向かって駆動用モータ4aが組み込まれるとともに、ファン吸込口(ベルマウス)4bが後方の熱交換器室3に開放するように取り付けられている(図2も参照)。また、このファン吸込口4bから吸い込まれた空気は、ファン4の全外周から各ファン室5a,5b,5c内に吹き出される。そして、ファン4から吹き出された空気は、各ファン室5a,5b,5c内を経由して各ファン室5a,5b,5c前方の開口部を室内吹出口20として、この室内吹出口20から吹き出されるように形成されている。
【0032】
各ファン室5a,5b,5c前方の室内吹出口20は、前述のフレーム部材16の前部に形成された枠部材16aと区画板19により形成されるファン室5a,5b,5cの前面開口部の略全体を占めるように形成されている。但し、上ファン室5aの下方部には、鉛直方向の寸法が小さく左右方向の寸法が大きい、略室内吹出口20の全幅にわたるように形成された略直方体のスイッチボックス21が配置されている。
【0033】
また、これら室内吹出口20には、ファンガード30が取り付けられている。ファンガード30は、この空気調和機の使用者や取扱者が指をファン室5の内部に突っ込むことのないように予防するものであるが、この実施の形態においては装飾用のグリルを兼ねている。また、ファンガード30は、上ファン室5aの前面に取り付けられる上ファンガード31、中ファン室5bの前面に取り付けられる中ファンガード32及び下ファン室5cの前面に取り付けられる下ファンガード33からなり、図6の分解斜視図に示すように、それぞれが4隅においてねじ34により着脱自在に取り付けられている。
【0034】
上ファンガード31は、図6及び図7に示すように、金属製線状体を一定間隔で縦横に配置して複数(この実施の形態においては6本)の縦柵31a及び多数の横柵31bにより網状に形成されている。
【0035】
上記上ファンガード31において、縦柵31aは、主たる強度部材として機能するように大径の断面円形の金属製線状体から形成されている。これに対し、横柵31bは、この空気調和機の使用者や取扱者が指をファン室5の内部に突っ込むことのないように予防するものであって、縦柵31aに比し径の小さい断面円形の金属製線状体から形成されるとともに、人の指が入らないような間隔で取り付けられている。
【0036】
また、6本の縦柵31aにおける左右方向の最側部の縦柵31aは、上下端部がリング状に曲げられてねじ挿通部31cとして形成されている。また、残りの室内吹出口20の中間部に位置する縦柵31aは、端部が室内吹出口20の内方に折り曲げられるとともに、この折り曲げられた部分に複数の横柵31bが交差するように連結されている。これにより、上ファンガード31の上下端部に折曲網部31dが形成されている。
【0037】
中ファンガード32及び下ファンガード33は、全く同一形状に形成されている。したがって、ここでは中ファンガード32を代表例として図8に基づき説明する。なお、下ファンガード33の符号を括弧内に示す。
【0038】
中ファンガード32(下ファンガード33)は、上ファンガード31と同様に金属製線状体を縦横に配置して複数(この実施の形態においては6本)の縦柵32a(33a)及び多数の横柵32b(33b)により網状に形成されている。また、この中ファンガード32(下ファンガード33)における縦柵32a(33a)及び横柵32b(33b)は、上ファンガード31における縦柵31aと同一の金属製線状体が使用されている。
【0039】
また、中ファンガード32(下ファンガード33)における縦柵32a(33a)は、上ファンガード31における縦柵31aの延長線上に配置されている。また、横柵32b(33b)も上ファンガード31の横柵31bと同一の間隔で、かつ左右の長さも同一となるように形成されている。
【0040】
また、6本の縦柵32a(33a)における左右方向の最側部の縦柵32a(33a)は、上ファンガード31の場合と同様に、上下端部がリング状に曲げられてねじ挿通部32c(33c)として形成されている。そして、残りの縦柵32a(33a)の端部が室内吹出口20の内方に折り曲げられるとともに、この折り曲げられた部分に複数の横柵32bが交差するように連結されている。これにより、中ファンガード32(下ファンガード33)の上下端部に折曲網部32d(33d)が形成されている。
【0041】
また、上記構成のファンガード31,32,33は、図6に示すように、枠部材16aの左右の内側面に取り付けられた取付板に対し固定されている。すなわち、上ファンガード31の上方部をねじ止めするための取付板35が枠部材16aにおける内側面の上方部に取り付けられている。同様に、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び、中ファンガード32の下方部をねじ止めするための取付板36が、枠部材16aにおける内側面の中間よりやや高い位置に取り付けられている。また、中ファンガード32の下方部及び下ファンガード33の上方部をねじ止めするための取付板37が、枠部材16aにおける内側面の中間よりやや低い位置に取り付けられている。また、下ファンガード33の下方部をねじ止めするための取付板38が、枠部材16aにおける内側面の下方部に取り付けられている。
【0042】
これら取付板35,36,37,38のうち、上ファンガード31の上方部をねじ止めするための取付板35の周辺部の詳細を図9に示し、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び中ファンガード32の下方部をねじ止めするための取付板36の周辺部の詳細を図10に示す。これら図からも分かるように、取付板35,36,37,38は、平断面L字型に形成されている。また、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び中ファンガード32の上方部をねじ止めするための取付板36においては、中央部の2個のねじ孔がスイッチボックス21の取り付け用とされている。そして、各ファンガード31,32,33は、それぞれのねじ挿通部31c,32c,33cにねじ34が挿通されて、取付板35,36,37,38に対してねじ止めされて取り付けられている。
【0043】
また、上ファンガード31は、図6から推測されるように、上方の折曲網部31dが最上部の区画板19の下表面に沿うように取り付けられるとともに、図11に示すように、下方の折曲網部31dがスイッチボックス21の上外表面に沿うように取り付けられている。また、中ファンガード32は、図11に示すように、上方の折曲網部32dがスイッチボックス21の下の区画板19に沿うように取り付けられるとともに、図12に示すように、下方の折曲網部32dが下ファンガード33の上方の折曲網部33dに沿うように取り付けられている。また、下ファンガード33は、図12に示すように、上方の折曲網部31dが区画板19の上表面に沿うように取り付けられるとともに、図6から推測されるように、下方の折曲網部31dが最下部の区画板19の上表面に沿うように取り付けられている。
【0044】
次にこのように構成された空気調和機におけるファンガード30の機能について説明する。
ファンガード30は、この空気調和機の使用者や、アフターサービスなどを行う取扱者の指が回転するファン4の翼に触れないように保護する機能を有する。この点に関し、各ファンガード31,32,33は、左右の端部は縦柵31a,32a,33aが端部近辺に取り付けられているので、この縦柵31a,32a,33aを構成する金属製線状体の径を太くして強度を向上させることにより、ファンガード31,32,33の左右端部の強度を強くしている。また、このような縦柵31a,32a,33aに比べて横柵31b,32b,33bを形成する金属製線状体の径を細くして、その数を増やすことにより、指を入らないようにしている。さらに、縦柵31a,32a,33aの上下端部が折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し横柵31b,32b,33bが交差するように結合されている。これにより、ファンガード31,32,33の上下端部に折曲網部31d,32d,33dが形成されている。このようにして、ファンガード31,32,33の上下端部に折曲網部31d,32d,33dが形成されることにより、ファンガード31,32,33の上下端部の強度が向上されるとともに、指が入り難くなるように構成されている。
【0045】
このファンガード31,32,33は、室内吹出口20の装飾部材を兼用しており、このファンガード31,32,33が外部に晒される構造に形成されている。このような構成は、外装ケース1の簡略化に貢献するとともに、このファンガード31,32,33を取り外すことにより、室内吹出口20をサービス口として容易にファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等のアフターサービスを可能としている。
【0046】
ファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等のアフターサービスは次のようにして行われる。
何れかのモータ駆動のファン4が故障した場合には、先ず前板11のレバー11Aを引いて前板11を開く。
【0047】
次いで、故障したファン4が収納されているファン室5a,5b,5cのファンガード31,32,33を取り外す。ファンガード31,32,33の取り外しは、4隅のねじ34を取り外すことにより行える。また、ファンガード31,32,33が取り外されると、室内吹出口20をサービス口として前方からファン4及び駆動用モータ4aに接することができ、ファン4及び駆動用モータ4aの取り外し、取り付けなどのアフターサービスを行うことができる。そして、ファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等が完了したときは、取り外したファンガード31,32,33を室内吹出口20に取り付けて、開きドア式に開放されていた前板11を閉じ、レバー11Aの操作により施錠する。このようにしてファン4及び駆動用モータ4aのアフターサービスを行うことができる。
【0048】
また、各ファンガード31,32,33の取り付けは、次のようにして行われる。
先ず下ファンガード33を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部33dを最下部の区画板19の上表面に沿わせるとともに、上方の折曲網部33dをファン室5bとファン室5cとを区画する区画板19の上表面に沿わせるようにして取付位置に保持する(図12参照)次いで、4隅のねじ挿通部33cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0049】
次に、中ファンガード32を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部32dを下ファンガード33の上方の折曲網部33dの上面に沿わせるとともに(図12参照)、上方の折曲網部32dをファン室5bとファン室5cとを区画する区画板19の下表面に沿わせるようにして取付位置に保持する。次いで、4隅のねじ挿通部32cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0050】
次に、上ファンガード31を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部31dをスイッチボックス21の上表面に沿わせるとともに(図12参照)、上方の折曲網部31dを最上部の区画板19の下表面に沿わせるようにして取付位置に保持する。次いで、4隅のねじ挿通部31cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0051】
なお、上ファンガード31の取り付けは、前述の下ファンガード33及び中ファンガード32の取り付けとは関係なく行うことができるので、下ファンガード33及び中ファンガード32の取り付け前に行ってもよい。
【0052】
上中下の各ファンガード31,32,33は、上記のように取り付けられるので、区画板19、スイッチボックス21、及び下ファンガード33の上方の折曲網部33dが、ファンガード31,32,33の取付位置案内部材として機能する。
【0053】
また、上ファンガード31の上方の折曲網部31dが区画板19に接触又は近接して取り付けられるとともに、上ファンガード31の下方の折曲網部31dがスイッチボックス21に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19及びスイッチボックス21が折曲網部31dの変形防止部材として機能する。同様に、中ファンガード32の上方の折曲網部32dが、区画板19に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19が折曲網部32dの変形防止部材として機能する。また、中ファンガード32の下方の折曲網部32dが下ファンガード33の折曲網部33dに接触又は近接して取り付けられているので、これら折曲網部32d、33dが相互に変形防止部材として機能する。また、下ファンガード33の上方の折曲網部33dは、中ファンガード32の下方の折曲網部32dと区画板19との挟まれた状態で取り付けられるので、折曲網部32dと区画板19の双方により変形が防止される。また、下ファンガード33の下方の折曲網部33dは、最下部の区画板19に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19が折曲網部33dの変形防止部材として機能する。
【0054】
本実施の形態に係る空気調和機は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)ファン室5は、ファン4がファン吸込口4bを熱交換器室3に向けて開口するように構成されている。したがって、機内循環用のファン4の吸込側に熱交換器2が配置されていることになるので、熱交換器2を大きくすることができるとともに、熱交換器2における風速分布を均一にすることができる。
【0055】
(2)ファン室5は、ファン4及び駆動用モータ4aが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室5a,5b,5cの室内吹出口20には、個別に形成されたファンガード31,32,33が着脱自在に取り付けられた簡易な構造とされている。したがって、このファンガード31,32,33を取り外すことにより、室内吹出口20をファンサービス口としてファン4毎にファン交換等の保守サービスを迅速に行うことができる。
【0056】
(3)ファン4は、複数台搭載されているので、一部のファン4が故障した場合において残余のファン4により暫定的に空気調和機を運転することができる。
(4)外装ケース1が前面視縦長の直方体に形成されるとともに、このように構成された外装ケース1前面の室内吹出口20に対し、複数の縦柵31a,32a,33a及び横柵31b,32b,33bがそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成されたファンガード31,32,33が前面吹出口に配置されている。したがって、このファンガード31,32,33を嵩張らない前面装飾部材として取り扱うことができる。
【0057】
(5)各ファンガード31,32,33が左右の縦柵31a,32a,33aのみにより外装ケース1に固定されているので着脱が容易である。
(6)各ファンガード31,32,33の上下端部は、左右方向の最も外側の縦柵31a,32a,33aの上下端部を除いてはどこにも固定されない。しかし、各ファンガード31,32,33の上下端部には、縦柵31a,32a,33aの上下端それぞれが室内吹出口20の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵(31b)が交差するように連結されて折曲網部31d,32d,33dが形成されている。したがって、各ファンガード31,32,33の上下端部は、この折曲網部31d,32d,33dが形成されていることにより、強度が向上し変形され難くなっている。
【0058】
(7)ファンガード31,32,33を取り付ける際に、ファンガード31,32,33における折曲網部31d,32d,33dのうちの少なくとも一部がファン室5a,5b,5cの水平方向を区画する区画板19に沿うように取り付けられているので、この区画板19をファンガード31,32,33の取付案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガード31,32,33の組み付けが容易になる。また、区画板19は、この区画板19に接触又は近接するファンガード31,32,33の折曲網部31d,32d,33dの変形を予防する部材としても機能することができる。
【0059】
(8)上ファンガード31を取り付ける際に、上ファンガード31の折曲網部31dがスイッチボックス21の上方の外表面に沿うように取り付けられているので、このスイッチボックス21を上ファンガード31の取付案内部品として機能させることができる。したがって、上ファンガード31の組み付けが容易になる。また、スイッチボックス21は、上ファンガード31の折曲網部31dの変形を予防する部材としても機能することができる。
【0060】
(9)中ファンガード32を取り付ける際に、中ファンガード32の下方の折曲網部32dが下ファンガード33の上方の折曲網部33dに沿うように取り付けられているので、この折曲網部33dを中ファンガード32の取付案内部品として機能させることができる。したがって、中ファンガード32の組み付けが容易になる。また、これら隣接する中ファンガード32と下ファンカード33双方の折曲網部32d,33dは、相互にファンガード32,33の端部の変形を予防する部材としても機能することができる。
【0061】
(10)本実施の形態に係る空気調和機は、熱交換器2に対し冷水で冷却された冷媒が循環されるように構成されているので、冷水を電算機室に持ち込むことがなく、電算機室電算機室用の空気調和機として好適である。
【0062】
(11)また、本実施の形態に係る空気調和機は、複数の室内吹出口20が全体として外装ケース1の前面に略全体に亘るように形成されるとともに、室内空気吸込口18が外装ケース1の背面に形成されている。したがって、大風量、前面吹出、背面吸い込み形の空気調和機として形成することができ、近年普及している前面吸い込み背面吹出の電算機ラックと並べて設置するのに好適である。また、このように配置できるので、電算機室用の空気調和機として電算機室への組み込みレイアウトを容易に行うことができる。
【0063】
(変形例)
上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・本実施の形態に係る空気調和機は、電算機室用の空気調和機として記載されているが、電算機室以外の場所の空気調和機としても利用することができる。
【0064】
・本実施の形態に係る空気調和機は、冷水で冷却された冷媒により室内空気を冷却する空気調和機として記載されているが、熱交換器2として通常のセパレート形空気調和機におけるように冷媒を蒸発又は凝縮させる室内側熱交換器を用いた一般居住空間用の空気調和機としてもよい。
【0065】
・ファン4としてターボファンを用いているが、シロッコファン、軸流ファン等の他のファンを用いてもよい。
・また、ファン4の台数は、3台に限定されるものではなく、2台以上の任意の複数台としてもよい。
【0066】
・ファンガード31,32,33において、ねじ挿通部31c,32c,33cはリング状に折り曲げられているが、ねじ34の挿通孔として利用できる環状の形状であればどのような形状でもよい。たとえば、楕円形や三角形としてもよい。
【0067】
・ファンガード31,32,33は、他の構造のものとしてもよい。また、金属製線状体を縦横に配置した網状のファンガードとする場合においても、線径及び本数を前記実施の形態の場合と縦横対称的に変更した網状のものとしてもよい。
【0068】
・上記実施の形態においては、上ファンガード31と中ファンガード32との間にスイッチボックス21が設けられていたが、このようなスイッチボックス21が設けられない場合には、上ファンガード31の下方の折曲網部31dを区画板19の上面に沿うように取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…外装ケース、2…熱交換器、3…熱交換器室、4…ファン、4a…駆動用モータ、4b…ファン吸込口、5,5a.5b,5c…ファン室、18…室内空気吸込口、19…区画板、20…室内吹出口、21…スイッチボックス、30,31,32,33…ファンガード、31a,32a,33a…縦柵、31b,32b,33b…横柵、31c,32c,33c…ねじ挿通部、31d,32d,33d…折曲網部。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、空気調和機に係り、特に、前面に室内吹出口を開口した空気調和機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
室内空気を外装ケースの後方部から吸い込み、熱交換した後の空気を前面から吹き出すようにした空気調和機として、従来特許文献1のものが知られている。この空気調和機によれば、ファン吸込口が後方に向くようにターボファンが外装ケース内に配置されるとともに、室内吸込口が外装ケースの延出ケーシング部の両側面に設けられている。そして、ターボファンの外周部から吹き出された空気が、ターボファンの左右側方に設けられた熱交換器を通過して熱交換され、外装ケースの前面における左右側部に設けられた室内吹出口から吹き出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−336910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の空気調和機は、小容量の薄型の空気調和機として好適な構造を提供するものであるが、大容量の空気調和機とする場合には大きな室内吹出口を開口することが困難であるとともに、大きな容量の熱交換器を配置することも困難であった。また、ターボファンを交換する等のアフターサービスの場合に、前面、側面及び吹出グリルを備えたケーシングを取り外す必要があり、手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術におけるこのような課題に鑑み成されたものであって、複数のファンを備えた大容量形の空気調和機において、室内吹出口をファンサービス口としてファン毎にアフターサービスを可能にした、簡易な構造の空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内部に機器を収納する外装ケースと、外装ケース内の背面側部分に形成された、室内空気と熱交換する熱交換器が収納された熱交換器室と、外装ケース内の前面側部分に形成された、ファン及び駆動用モータが各1台ずつ収納された複数のファン室とを備え、前記熱交換器室には室内空気吸込口が形成され、前記ファン室には、ファンが熱交換器室に向けてファン吸込口を開口するように配置され、各ファン室の前面には、各ファン室を介して各ファンから吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口が形成され、さらに、これら室内吹出口には、それぞれファンガードが着脱自在に取り付けられていることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、ファン室には、ファンが熱交換器室に向けてファン吸込口を開口するように配置されているので、機内循環用のファンの吸込側に熱交換器が配置されることになり、熱交換器を大きくすることができるとともに、熱交換器における風速分布を均一にすることができる。また、ファン室は、ファン及び駆動用モータが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室の前面には、各ファン室を介して各ファンから吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口が形成されている。そして、この各室内吹出口には、それぞれファンガードが着脱自在に取り付けられた簡易な構造とされている。したがって、このファンガードを取り外すことにより、室内吹出口をファンサービス口としてファン毎にファン交換等の保守サービスを迅速に行うことができる。また、複数のファンが使用されているので、高静圧、かつ大風量の送風を行う空気調和機とすることができる。また、一部のファンが故障した場合において、残余のファンにより暫定的に空気調和機を運転することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の空気調和機において、前記外装ケースは、前面視縦長の直方体に形成され、前記複数のファン室は、鉛直方向に配列され、前記各ファンガードは、金属製線状体を縦横に配置して、複数の縦柵及び横柵がそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成され、前記複数の縦柵のうちの左右方向の最側部の縦柵は、上下端部が折り曲げられてねじ挿通部として形成され、前記複数の縦柵のうちの左右方向の中間に位置する縦柵は、上下端部が前記室内吹出口の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵が交差するように連結され、これによりファンガードの上下端部に折曲網部が形成されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、前面視縦長の直方体に形成された外装ケースにおけるファン室前面の室内吹出口に対し、複数の縦柵及び横柵がそれぞれ一定間隔に配置された網状のファンガードとして前面吹出口に配置されているので、このファンガードを嵩張らない前面装飾部材として取り扱うことができる。また、各ファンガードは、左右の縦柵のみにより外装ケースに固定されているので、着脱が容易である。また、このファンガードの上下端部は、どこにも固定されないが、縦柵の上下端部が室内吹出口の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵が交差するように連結され、これによりファンガードの上下端部に折曲網部が形成されている。したがって、この折曲網部が形成されていることにより、各ファンガードの上下端部の強度が向上している。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の空気調和機において、ファンガードにおける折曲網部のうちの少なくとも一部がファン室の水平方向を区画する区画板に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、ファンガードを取り付ける際に、このファンガードにおける折曲網部のうちの少なくとも一部がファン室の水平方向を区画する区画板に沿うように取り付けられているので、区画板をファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、区画板は、この区画板に接触又は近接するファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3記載の空気調和機において、鉛直方向に隣接するファンガードの間に、鉛直方向に比し左右方向の寸法が大きい略直方体のスイッチボックスが配置されるとともに、一部のファンガードの折曲網部がこのスイッチボックスの水平方向の外表面に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、一部のファンガードを取り付ける際に、このファンガードの折曲網部がスイッチボックスの水平方向の外表面に沿うように取り付けられているので、スイッチボックス面をファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、スイッチボックスは、このスイッチボックスに接触又は近接するファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載の空気調和機において、一部のファンガードの折曲網部が、区画板に沿うように取り付けられた、隣接するファンガードの折曲網部に沿うように取り付けられていることを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、一部のファンガードを取り付ける際に、このファンガードの折曲網部が隣接するファンガードの折曲網部に沿うように取り付けられているので、この隣接するファンガードの折曲網部を前記一部のファンガードの取付位置案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガードの組み付けが容易になる。また、これら隣接するファンガード双方の折曲網部は、相互にファンガードの端部の変形を予防する部材としても機能する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機が、電算機室に設置される空気調和機であって、前記熱交換器には冷却された冷媒が循環されるように構成されていることを要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、大風量化が容易であるとともにファンのアフターサービスが容易である。熱交換器として冷媒を強制循環させる方式のものが使用されているので、電算機室に設置されている電算機に水が浸入する恐れがなく安全である。ファンとして複数台のファンが使用されているので、一部のファンが故障した場合等においても故障していない残余のファンにより暫定的に冷却運転を行うことができる。このような特性を備えた空気調和機は、電算機室用の空気調和機として好適である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の空気調和機において、前記複数の室内吹出口は、全体として外装ケースの前面に略全体に亘るように形成され、前記室内空気吸込口は外装ケースの背面に形成されていることを要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、大風量、前面吹出、背面吸い込み形の空気調和機として形成されるので、近年普及している前面吸い込み背面吹出の電算機ラックと並べて設置することができる。したがって、電算機室用の空気調和機として電算機室へのレイアウトが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の模式構成図。
【図2】同空気調和機の模式平面配置図。
【図3】同空気調和機の前方から見た外観斜視図。
【図4】図3において前板を取り外した状態の斜視図。
【図5】図4において側板及び後板を取り外し、内部構成を図示した状態の斜視図。
【図6】図5において前面のファンガード取り外した状態の分解斜視図。
【図7】同空気調和機における上ファンガードの斜視図。
【図8】同空気調和機における中ファンガード及び下ファンガードの斜視図。
【図9】同空気調和機における上ファンガードの上方取付部の拡大図。
【図10】同空気調和機における上ファンガードの下方取付部及び中ファンガードの上方取付部の拡大図であって、上ファンガードを取り外した状態図。
【図11】同空気調和機における上ファンガードの下方の折曲網部及び中ファンガードの上方の折曲網部周辺の断面図。
【図12】同空気調和機における中ファンガードの下方の折曲網部及び下ファンガードの上方の折曲網部周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1及び図2に基づきこの空気調和機の概略構成を説明する。なお、以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向(又は鉛直方向)というときは、図1〜図3に示した方向をいうものとする。
【0022】
本実施の形態に係る空気調和機は、電算機室用の空気調和機であって、図1及び図2に示すように、内部に機器を収納する外装ケース1内の背面側部分に室内空気と熱交換する熱交換器2を収納する熱交換器室3が形成され、外装ケース1の前面側部分にモ−タ駆動のファン4が収納されたファン室5が形成されている。ファン4はターボファンであって3台搭載されており、ファン室5は1台のファン4とその駆動用モータ4aとを収納するように3室に分割されている。また、分割されたファン室5a,5b,5cは、鉛直方向に3室並ぶように配置されている。なお、この明細書において、分割されたファン室について個々に区別して述べるときは、上から順に上ファン室5a、中ファン室5b、下ファン室5cと称するものとする。
【0023】
また、この空気調和機は、図1に示すように、冷却ユニット6により冷却された冷媒を熱交換器2に流通させて室内空気を冷却するファンコイルユニットとして形成されている。冷却ユニット6は、水配管7により別の冷却源から搬送される冷水により冷媒を冷却するものであって、この冷却ユニット6内の熱交換器8と、空気調和機内の熱交換器2とが冷媒配管9により接続されている。なお、水配管7及び冷媒配管9には、それぞれ循環用のポンプ7a,9aが接続されている。
【0024】
次に、各部の構成について図3乃至図11を用いてさらに詳しく説明する。
外装ケース1は、図3に示すように、外装ケース1の前面を形成する前板11、側面を形成する左右の側板12、天面を形成する天板14、空気調和機の骨組みを成すフレーム部材16を有する。なお、この図3においては、この空気調和機の下方にベデスタルという台15が配置されて図示されている。また、前板11、側板12、後板13及び天板14は、フレーム部材16に対し取り付けられている。
【0025】
前板11は、フレーム部材16に対し開きドア式に取り付けられるとともに、背面側においてフレーム部材16の正面4隅に取り付けられた耐震ピン11aに係合され、地震時に外れないように規制されている。また、前板11は、フレーム部材16の左側前部に設けられたキー機構(具体的機構の説明は省略)により普段は施錠されている。なお、このキー機構は、前板11の中段左側に位置するレバー11Aを引くと開錠され、レバー11Aを押すことにより施錠されるように構成されている。さらに、前板11は、中央部が開口部11bとして形成されており、この開口部11bを通じファン室5a,5b,5cが外部に連通されるように構成されている。
【0026】
側板12は、図3乃至図5から分かるように、左右の側板12が対称的に形成されたものであって、フレーム部材16に対しねじ止めされている。
後板13は、前板11と同様に中央に開口部が設けられ、この開口部を通じ熱交換器室3が外部に連通されるように構成されたものであって、その外観は前板に類似する。なお、その具体的な形状及び構造についての図示はここでは省略する。
【0027】
天板14は、図3に示すように、後方に冷却ユニット6とを連絡する冷媒配管9を貫通させるための開口部14aが設けられるとともに、4隅に搬送用のフック部材14bが取り付けられている。
【0028】
フレーム部材16は、外板を構成する前板11、側板12、後板13、天板14が取り付けられるとともに、内部にファン4や熱交換器2を取り付けるための直方体の骨組み構造部を形成するものであって、各部の目的に応じ各種構造の部材が使用されている。例えば、前面には、前板11を取り付けるのに都合のよいように額縁状に形成された枠部材16aが形成されている。
【0029】
フレーム部材16の前後方向の中間部には、外装ケース1内の空間部を前後に仕切るための仕切り板17が設けられている。そして、背面側の空間部は、熱交換器2を収納する熱交換器室3として形成され、前面側の空間部は1台のファン4及び駆動用モータ4aを収納するファン室5として形成されている。
【0030】
熱交換器室3に収納されている熱交換器2は、平面視V字形のクロスフィンコイル式熱交換器であって、後方に開くV字型に形成されている。また、熱交換器室3の後面は室内空気吸込口18として開放されるとともに(図5参照)、この室内空気吸込口18には図示していないがエアフィルタが取り付けられる。
【0031】
また、ファン室5は、区画板19により鉛直方向に区画され、上ファン室5a、中ファン室5b、下ファン室5cが鉛直方向に並ぶように形成されている。各ファン室5a,5b,5cに収納されるファン4は、モータ駆動のターボファンであって、回転軸を前後方向とし、回転中心部の前方から内部に向かって駆動用モータ4aが組み込まれるとともに、ファン吸込口(ベルマウス)4bが後方の熱交換器室3に開放するように取り付けられている(図2も参照)。また、このファン吸込口4bから吸い込まれた空気は、ファン4の全外周から各ファン室5a,5b,5c内に吹き出される。そして、ファン4から吹き出された空気は、各ファン室5a,5b,5c内を経由して各ファン室5a,5b,5c前方の開口部を室内吹出口20として、この室内吹出口20から吹き出されるように形成されている。
【0032】
各ファン室5a,5b,5c前方の室内吹出口20は、前述のフレーム部材16の前部に形成された枠部材16aと区画板19により形成されるファン室5a,5b,5cの前面開口部の略全体を占めるように形成されている。但し、上ファン室5aの下方部には、鉛直方向の寸法が小さく左右方向の寸法が大きい、略室内吹出口20の全幅にわたるように形成された略直方体のスイッチボックス21が配置されている。
【0033】
また、これら室内吹出口20には、ファンガード30が取り付けられている。ファンガード30は、この空気調和機の使用者や取扱者が指をファン室5の内部に突っ込むことのないように予防するものであるが、この実施の形態においては装飾用のグリルを兼ねている。また、ファンガード30は、上ファン室5aの前面に取り付けられる上ファンガード31、中ファン室5bの前面に取り付けられる中ファンガード32及び下ファン室5cの前面に取り付けられる下ファンガード33からなり、図6の分解斜視図に示すように、それぞれが4隅においてねじ34により着脱自在に取り付けられている。
【0034】
上ファンガード31は、図6及び図7に示すように、金属製線状体を一定間隔で縦横に配置して複数(この実施の形態においては6本)の縦柵31a及び多数の横柵31bにより網状に形成されている。
【0035】
上記上ファンガード31において、縦柵31aは、主たる強度部材として機能するように大径の断面円形の金属製線状体から形成されている。これに対し、横柵31bは、この空気調和機の使用者や取扱者が指をファン室5の内部に突っ込むことのないように予防するものであって、縦柵31aに比し径の小さい断面円形の金属製線状体から形成されるとともに、人の指が入らないような間隔で取り付けられている。
【0036】
また、6本の縦柵31aにおける左右方向の最側部の縦柵31aは、上下端部がリング状に曲げられてねじ挿通部31cとして形成されている。また、残りの室内吹出口20の中間部に位置する縦柵31aは、端部が室内吹出口20の内方に折り曲げられるとともに、この折り曲げられた部分に複数の横柵31bが交差するように連結されている。これにより、上ファンガード31の上下端部に折曲網部31dが形成されている。
【0037】
中ファンガード32及び下ファンガード33は、全く同一形状に形成されている。したがって、ここでは中ファンガード32を代表例として図8に基づき説明する。なお、下ファンガード33の符号を括弧内に示す。
【0038】
中ファンガード32(下ファンガード33)は、上ファンガード31と同様に金属製線状体を縦横に配置して複数(この実施の形態においては6本)の縦柵32a(33a)及び多数の横柵32b(33b)により網状に形成されている。また、この中ファンガード32(下ファンガード33)における縦柵32a(33a)及び横柵32b(33b)は、上ファンガード31における縦柵31aと同一の金属製線状体が使用されている。
【0039】
また、中ファンガード32(下ファンガード33)における縦柵32a(33a)は、上ファンガード31における縦柵31aの延長線上に配置されている。また、横柵32b(33b)も上ファンガード31の横柵31bと同一の間隔で、かつ左右の長さも同一となるように形成されている。
【0040】
また、6本の縦柵32a(33a)における左右方向の最側部の縦柵32a(33a)は、上ファンガード31の場合と同様に、上下端部がリング状に曲げられてねじ挿通部32c(33c)として形成されている。そして、残りの縦柵32a(33a)の端部が室内吹出口20の内方に折り曲げられるとともに、この折り曲げられた部分に複数の横柵32bが交差するように連結されている。これにより、中ファンガード32(下ファンガード33)の上下端部に折曲網部32d(33d)が形成されている。
【0041】
また、上記構成のファンガード31,32,33は、図6に示すように、枠部材16aの左右の内側面に取り付けられた取付板に対し固定されている。すなわち、上ファンガード31の上方部をねじ止めするための取付板35が枠部材16aにおける内側面の上方部に取り付けられている。同様に、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び、中ファンガード32の下方部をねじ止めするための取付板36が、枠部材16aにおける内側面の中間よりやや高い位置に取り付けられている。また、中ファンガード32の下方部及び下ファンガード33の上方部をねじ止めするための取付板37が、枠部材16aにおける内側面の中間よりやや低い位置に取り付けられている。また、下ファンガード33の下方部をねじ止めするための取付板38が、枠部材16aにおける内側面の下方部に取り付けられている。
【0042】
これら取付板35,36,37,38のうち、上ファンガード31の上方部をねじ止めするための取付板35の周辺部の詳細を図9に示し、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び中ファンガード32の下方部をねじ止めするための取付板36の周辺部の詳細を図10に示す。これら図からも分かるように、取付板35,36,37,38は、平断面L字型に形成されている。また、上ファンガード31の下方部、スイッチボックス21、及び中ファンガード32の上方部をねじ止めするための取付板36においては、中央部の2個のねじ孔がスイッチボックス21の取り付け用とされている。そして、各ファンガード31,32,33は、それぞれのねじ挿通部31c,32c,33cにねじ34が挿通されて、取付板35,36,37,38に対してねじ止めされて取り付けられている。
【0043】
また、上ファンガード31は、図6から推測されるように、上方の折曲網部31dが最上部の区画板19の下表面に沿うように取り付けられるとともに、図11に示すように、下方の折曲網部31dがスイッチボックス21の上外表面に沿うように取り付けられている。また、中ファンガード32は、図11に示すように、上方の折曲網部32dがスイッチボックス21の下の区画板19に沿うように取り付けられるとともに、図12に示すように、下方の折曲網部32dが下ファンガード33の上方の折曲網部33dに沿うように取り付けられている。また、下ファンガード33は、図12に示すように、上方の折曲網部31dが区画板19の上表面に沿うように取り付けられるとともに、図6から推測されるように、下方の折曲網部31dが最下部の区画板19の上表面に沿うように取り付けられている。
【0044】
次にこのように構成された空気調和機におけるファンガード30の機能について説明する。
ファンガード30は、この空気調和機の使用者や、アフターサービスなどを行う取扱者の指が回転するファン4の翼に触れないように保護する機能を有する。この点に関し、各ファンガード31,32,33は、左右の端部は縦柵31a,32a,33aが端部近辺に取り付けられているので、この縦柵31a,32a,33aを構成する金属製線状体の径を太くして強度を向上させることにより、ファンガード31,32,33の左右端部の強度を強くしている。また、このような縦柵31a,32a,33aに比べて横柵31b,32b,33bを形成する金属製線状体の径を細くして、その数を増やすことにより、指を入らないようにしている。さらに、縦柵31a,32a,33aの上下端部が折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し横柵31b,32b,33bが交差するように結合されている。これにより、ファンガード31,32,33の上下端部に折曲網部31d,32d,33dが形成されている。このようにして、ファンガード31,32,33の上下端部に折曲網部31d,32d,33dが形成されることにより、ファンガード31,32,33の上下端部の強度が向上されるとともに、指が入り難くなるように構成されている。
【0045】
このファンガード31,32,33は、室内吹出口20の装飾部材を兼用しており、このファンガード31,32,33が外部に晒される構造に形成されている。このような構成は、外装ケース1の簡略化に貢献するとともに、このファンガード31,32,33を取り外すことにより、室内吹出口20をサービス口として容易にファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等のアフターサービスを可能としている。
【0046】
ファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等のアフターサービスは次のようにして行われる。
何れかのモータ駆動のファン4が故障した場合には、先ず前板11のレバー11Aを引いて前板11を開く。
【0047】
次いで、故障したファン4が収納されているファン室5a,5b,5cのファンガード31,32,33を取り外す。ファンガード31,32,33の取り外しは、4隅のねじ34を取り外すことにより行える。また、ファンガード31,32,33が取り外されると、室内吹出口20をサービス口として前方からファン4及び駆動用モータ4aに接することができ、ファン4及び駆動用モータ4aの取り外し、取り付けなどのアフターサービスを行うことができる。そして、ファン4及び駆動用モータ4aの交換、修理等が完了したときは、取り外したファンガード31,32,33を室内吹出口20に取り付けて、開きドア式に開放されていた前板11を閉じ、レバー11Aの操作により施錠する。このようにしてファン4及び駆動用モータ4aのアフターサービスを行うことができる。
【0048】
また、各ファンガード31,32,33の取り付けは、次のようにして行われる。
先ず下ファンガード33を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部33dを最下部の区画板19の上表面に沿わせるとともに、上方の折曲網部33dをファン室5bとファン室5cとを区画する区画板19の上表面に沿わせるようにして取付位置に保持する(図12参照)次いで、4隅のねじ挿通部33cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0049】
次に、中ファンガード32を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部32dを下ファンガード33の上方の折曲網部33dの上面に沿わせるとともに(図12参照)、上方の折曲網部32dをファン室5bとファン室5cとを区画する区画板19の下表面に沿わせるようにして取付位置に保持する。次いで、4隅のねじ挿通部32cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0050】
次に、上ファンガード31を取り付ける。この取り付けは、下方の折曲網部31dをスイッチボックス21の上表面に沿わせるとともに(図12参照)、上方の折曲網部31dを最上部の区画板19の下表面に沿わせるようにして取付位置に保持する。次いで、4隅のねじ挿通部31cにねじ34を挿入して、フレーム部材16前面の枠部材16aに固定する。
【0051】
なお、上ファンガード31の取り付けは、前述の下ファンガード33及び中ファンガード32の取り付けとは関係なく行うことができるので、下ファンガード33及び中ファンガード32の取り付け前に行ってもよい。
【0052】
上中下の各ファンガード31,32,33は、上記のように取り付けられるので、区画板19、スイッチボックス21、及び下ファンガード33の上方の折曲網部33dが、ファンガード31,32,33の取付位置案内部材として機能する。
【0053】
また、上ファンガード31の上方の折曲網部31dが区画板19に接触又は近接して取り付けられるとともに、上ファンガード31の下方の折曲網部31dがスイッチボックス21に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19及びスイッチボックス21が折曲網部31dの変形防止部材として機能する。同様に、中ファンガード32の上方の折曲網部32dが、区画板19に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19が折曲網部32dの変形防止部材として機能する。また、中ファンガード32の下方の折曲網部32dが下ファンガード33の折曲網部33dに接触又は近接して取り付けられているので、これら折曲網部32d、33dが相互に変形防止部材として機能する。また、下ファンガード33の上方の折曲網部33dは、中ファンガード32の下方の折曲網部32dと区画板19との挟まれた状態で取り付けられるので、折曲網部32dと区画板19の双方により変形が防止される。また、下ファンガード33の下方の折曲網部33dは、最下部の区画板19に接触又は近接して取り付けられているので、区画板19が折曲網部33dの変形防止部材として機能する。
【0054】
本実施の形態に係る空気調和機は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)ファン室5は、ファン4がファン吸込口4bを熱交換器室3に向けて開口するように構成されている。したがって、機内循環用のファン4の吸込側に熱交換器2が配置されていることになるので、熱交換器2を大きくすることができるとともに、熱交換器2における風速分布を均一にすることができる。
【0055】
(2)ファン室5は、ファン4及び駆動用モータ4aが各1台ずつ収納される室として複数形成されるとともに、各ファン室5a,5b,5cの室内吹出口20には、個別に形成されたファンガード31,32,33が着脱自在に取り付けられた簡易な構造とされている。したがって、このファンガード31,32,33を取り外すことにより、室内吹出口20をファンサービス口としてファン4毎にファン交換等の保守サービスを迅速に行うことができる。
【0056】
(3)ファン4は、複数台搭載されているので、一部のファン4が故障した場合において残余のファン4により暫定的に空気調和機を運転することができる。
(4)外装ケース1が前面視縦長の直方体に形成されるとともに、このように構成された外装ケース1前面の室内吹出口20に対し、複数の縦柵31a,32a,33a及び横柵31b,32b,33bがそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成されたファンガード31,32,33が前面吹出口に配置されている。したがって、このファンガード31,32,33を嵩張らない前面装飾部材として取り扱うことができる。
【0057】
(5)各ファンガード31,32,33が左右の縦柵31a,32a,33aのみにより外装ケース1に固定されているので着脱が容易である。
(6)各ファンガード31,32,33の上下端部は、左右方向の最も外側の縦柵31a,32a,33aの上下端部を除いてはどこにも固定されない。しかし、各ファンガード31,32,33の上下端部には、縦柵31a,32a,33aの上下端それぞれが室内吹出口20の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵(31b)が交差するように連結されて折曲網部31d,32d,33dが形成されている。したがって、各ファンガード31,32,33の上下端部は、この折曲網部31d,32d,33dが形成されていることにより、強度が向上し変形され難くなっている。
【0058】
(7)ファンガード31,32,33を取り付ける際に、ファンガード31,32,33における折曲網部31d,32d,33dのうちの少なくとも一部がファン室5a,5b,5cの水平方向を区画する区画板19に沿うように取り付けられているので、この区画板19をファンガード31,32,33の取付案内部品として機能させることができる。したがって、ファンガード31,32,33の組み付けが容易になる。また、区画板19は、この区画板19に接触又は近接するファンガード31,32,33の折曲網部31d,32d,33dの変形を予防する部材としても機能することができる。
【0059】
(8)上ファンガード31を取り付ける際に、上ファンガード31の折曲網部31dがスイッチボックス21の上方の外表面に沿うように取り付けられているので、このスイッチボックス21を上ファンガード31の取付案内部品として機能させることができる。したがって、上ファンガード31の組み付けが容易になる。また、スイッチボックス21は、上ファンガード31の折曲網部31dの変形を予防する部材としても機能することができる。
【0060】
(9)中ファンガード32を取り付ける際に、中ファンガード32の下方の折曲網部32dが下ファンガード33の上方の折曲網部33dに沿うように取り付けられているので、この折曲網部33dを中ファンガード32の取付案内部品として機能させることができる。したがって、中ファンガード32の組み付けが容易になる。また、これら隣接する中ファンガード32と下ファンカード33双方の折曲網部32d,33dは、相互にファンガード32,33の端部の変形を予防する部材としても機能することができる。
【0061】
(10)本実施の形態に係る空気調和機は、熱交換器2に対し冷水で冷却された冷媒が循環されるように構成されているので、冷水を電算機室に持ち込むことがなく、電算機室電算機室用の空気調和機として好適である。
【0062】
(11)また、本実施の形態に係る空気調和機は、複数の室内吹出口20が全体として外装ケース1の前面に略全体に亘るように形成されるとともに、室内空気吸込口18が外装ケース1の背面に形成されている。したがって、大風量、前面吹出、背面吸い込み形の空気調和機として形成することができ、近年普及している前面吸い込み背面吹出の電算機ラックと並べて設置するのに好適である。また、このように配置できるので、電算機室用の空気調和機として電算機室への組み込みレイアウトを容易に行うことができる。
【0063】
(変形例)
上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・本実施の形態に係る空気調和機は、電算機室用の空気調和機として記載されているが、電算機室以外の場所の空気調和機としても利用することができる。
【0064】
・本実施の形態に係る空気調和機は、冷水で冷却された冷媒により室内空気を冷却する空気調和機として記載されているが、熱交換器2として通常のセパレート形空気調和機におけるように冷媒を蒸発又は凝縮させる室内側熱交換器を用いた一般居住空間用の空気調和機としてもよい。
【0065】
・ファン4としてターボファンを用いているが、シロッコファン、軸流ファン等の他のファンを用いてもよい。
・また、ファン4の台数は、3台に限定されるものではなく、2台以上の任意の複数台としてもよい。
【0066】
・ファンガード31,32,33において、ねじ挿通部31c,32c,33cはリング状に折り曲げられているが、ねじ34の挿通孔として利用できる環状の形状であればどのような形状でもよい。たとえば、楕円形や三角形としてもよい。
【0067】
・ファンガード31,32,33は、他の構造のものとしてもよい。また、金属製線状体を縦横に配置した網状のファンガードとする場合においても、線径及び本数を前記実施の形態の場合と縦横対称的に変更した網状のものとしてもよい。
【0068】
・上記実施の形態においては、上ファンガード31と中ファンガード32との間にスイッチボックス21が設けられていたが、このようなスイッチボックス21が設けられない場合には、上ファンガード31の下方の折曲網部31dを区画板19の上面に沿うように取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…外装ケース、2…熱交換器、3…熱交換器室、4…ファン、4a…駆動用モータ、4b…ファン吸込口、5,5a.5b,5c…ファン室、18…室内空気吸込口、19…区画板、20…室内吹出口、21…スイッチボックス、30,31,32,33…ファンガード、31a,32a,33a…縦柵、31b,32b,33b…横柵、31c,32c,33c…ねじ挿通部、31d,32d,33d…折曲網部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に機器を収納する外装ケース(1)と、外装ケース(1)内の背面側部分に形成された、室内空気と熱交換する熱交換器(2)が収納された熱交換器室(3)と、外装ケース(1)内の前面側部分に形成された、ファン(4)及び駆動用モータ(4a)が各1台ずつ収納された複数のファン室(5a,5b,5c)とを備え、
前記熱交換器室(3)には室内空気吸込口(18)が形成され、
前記ファン室(5)には、ファン(4)が熱交換器室(3)に向けてファン吸込口(4b)を開口するように配置され、
各ファン室(5a,5b,5c)の前面には、各ファン室(5a,5b,5c)を介して各ファン(4)から吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口(20)が形成され、
さらに、これら室内吹出口(20)には、それぞれファンガード(31,32,33)が着脱自在に取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1記載の空気調和機において、
前記外装ケース(1)は、前面視縦長の直方体に形成され、
前記複数のファン室(5a,5b,5c)は、鉛直方向に配列され、
前記各ファンガード(31,32,33)は、金属製線状体を縦横に配置して、複数の縦柵(31a,32a,33a)及び横柵(31b,32b,33b)がそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成され、
前記複数の縦柵(31a,32a,33a)のうちの左右方向の最側部の縦柵(31a,32a,33a)は、上下端部が折り曲げられてねじ挿通部(31c,32c,33c)として形成され、
前記複数の縦柵のうちの左右方向の中間に位置する縦柵(31a,32a,33a)は、上下端部が前記室内吹出口(20)の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵(31b,32b,33b)が交差するように連結され、これによりファンガード(31,32,33)の上下端部に折曲網部(31d,32d,33d)が形成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2記載の空気調和機において、
ファンガード(31,32,33)における折曲網部(31d,32d,33d)のうちの少なくとも一部がファン室(5a,5b,5c)の水平方向を区画する区画板(19)に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項2又は3記載の空気調和機において、
鉛直方向に隣り合うファンガード(31,32)の間に、鉛直方向に比し左右方向の寸法が大きい略直方体のスイッチボックス(21)が配置されるとともに、一部のファンガード(31)の折曲網部(31d)がこのスイッチボックス(21)の外表面に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の空気調和機において、
一部のファンガード(32)の折曲網部(32d)が、区画板に沿うように取り付けられた、隣接するファンガード(33)の折曲網部(33d)に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機は、電算機室に設置される空気調和機であって、前記熱交換器(2)には冷却された冷媒が循環されるように構成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項6に記載の空気調和機において、前記複数の室内吹出口(20)は、全体として外装ケース(1)の前面に略全体に亘るように形成され、前記室内空気吸込口(18)は外装ケース(1)の背面に形成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項1】
内部に機器を収納する外装ケース(1)と、外装ケース(1)内の背面側部分に形成された、室内空気と熱交換する熱交換器(2)が収納された熱交換器室(3)と、外装ケース(1)内の前面側部分に形成された、ファン(4)及び駆動用モータ(4a)が各1台ずつ収納された複数のファン室(5a,5b,5c)とを備え、
前記熱交換器室(3)には室内空気吸込口(18)が形成され、
前記ファン室(5)には、ファン(4)が熱交換器室(3)に向けてファン吸込口(4b)を開口するように配置され、
各ファン室(5a,5b,5c)の前面には、各ファン室(5a,5b,5c)を介して各ファン(4)から吹き出された空気を室内へ吹き出す室内吹出口(20)が形成され、
さらに、これら室内吹出口(20)には、それぞれファンガード(31,32,33)が着脱自在に取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1記載の空気調和機において、
前記外装ケース(1)は、前面視縦長の直方体に形成され、
前記複数のファン室(5a,5b,5c)は、鉛直方向に配列され、
前記各ファンガード(31,32,33)は、金属製線状体を縦横に配置して、複数の縦柵(31a,32a,33a)及び横柵(31b,32b,33b)がそれぞれ一定間隔に配置されて網状に形成され、
前記複数の縦柵(31a,32a,33a)のうちの左右方向の最側部の縦柵(31a,32a,33a)は、上下端部が折り曲げられてねじ挿通部(31c,32c,33c)として形成され、
前記複数の縦柵のうちの左右方向の中間に位置する縦柵(31a,32a,33a)は、上下端部が前記室内吹出口(20)の内方に折り曲げられ、この折り曲げられた部分に対し複数の横柵(31b,32b,33b)が交差するように連結され、これによりファンガード(31,32,33)の上下端部に折曲網部(31d,32d,33d)が形成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2記載の空気調和機において、
ファンガード(31,32,33)における折曲網部(31d,32d,33d)のうちの少なくとも一部がファン室(5a,5b,5c)の水平方向を区画する区画板(19)に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項2又は3記載の空気調和機において、
鉛直方向に隣り合うファンガード(31,32)の間に、鉛直方向に比し左右方向の寸法が大きい略直方体のスイッチボックス(21)が配置されるとともに、一部のファンガード(31)の折曲網部(31d)がこのスイッチボックス(21)の外表面に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の空気調和機において、
一部のファンガード(32)の折曲網部(32d)が、区画板に沿うように取り付けられた、隣接するファンガード(33)の折曲網部(33d)に沿うように取り付けられている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機は、電算機室に設置される空気調和機であって、前記熱交換器(2)には冷却された冷媒が循環されるように構成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項6に記載の空気調和機において、前記複数の室内吹出口(20)は、全体として外装ケース(1)の前面に略全体に亘るように形成され、前記室内空気吸込口(18)は外装ケース(1)の背面に形成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−154494(P2012−154494A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11217(P2011−11217)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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