説明

空気調和機

【課題】複数の空調ユニット間の通信プロトコルと、空調ユニットと操作機器との間の通信プロトコルが異なる空気調和機において、グループ設定のための物理的配線を不要にした上で、グループ設定を可能とすることができる空気調和機を得る。
【解決手段】室内機4及びリモコンAに設定されたアドレスに基づき、各室内機4毎に、グループを形成するリモコンAを特定するグループ設定情報と、グループを形成するリモコンAが伝送路1により接続されている室内機4を特定する接続室内機4情報とを生成し、各室内機4に送信し、室内機4は、グループ設定情報及び接続室内機4情報を取得し、当該室内機4と同一グループを形成するリモコンAである使用リモコンAが、他の室内機4と接続されている場合、使用リモコンAに送信する情報を、当該使用リモコンAが接続されている他の室内機4に送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の空調ユニットを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、通信システムにおいて、「伝送線もしくは従局やリモコン局の接続形態を変更するだけでグループ分けが自動的に設定可能な通信システムを構築する。」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、空気調和装置において、「それぞれの伝送アドレスを有する伝送端末装置を備え、それぞれの通信端末機器が空気調和装置のコントローラーとなり、ユニット間の制御を行う空気調和装置の伝送システムにおいて、前記伝送アドレスはそれぞれのコントローラーにおいてアドレス設定値とコントローラー別の演算結果により求める」ものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、空調機器間の通信システムにおいて、「異なるネットワークに接続されている空調機相互間でIP通信可能となるようにアドレス設定を行う」ものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−316568号公報(要約)
【特許文献2】特開平7−91719号公報(請求項3、段落[0060]〜[0065])
【特許文献3】特開2009−14281号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、複数の空調ユニット(室外機及び室内機)及びリモコン(操作機器)等を備えた空気調和機において、物理的に操作上のグループ分けができるように接続している機器に対してリレイアダプタを装備し、その開閉によりグループ分けを可能にしている。しかし、この方法では、接続変更したい各機器にリレイアダプタ等、物理的な切り替え装置の装備が必要となる、という問題点があった。また、この方法では、リレイにより従属室内機全てが切り離されてしまう。リモコンにより操作可能なグループ内の機器の増減は可能だが、切り離された残りの室内機は、同室外機では操作不可能となってしまう、という問題点があった。
【0007】
上記特許文献2に記載の技術では、複数の空調ユニット(室外機及び室内機)及びリモコン(操作機器)等を備えた空気調和機において、物理的なアドレス設定用ロータリースイッチによりアドレスを設定し、室外機/室内機/リモコン等の属性により予めアドレス番号のとり得る範囲を決定しておき、各機器のコントローラー別の演算結果により室外機、または集中コントローラーによって操作する室内機のうち最小の伝送アドレスを算出することでグループ分けを可能にしている。しかし、この方法では、全機器が同一の通信プロトコルである必要があり、別の通信プロトコルを用いた安価なリモコンを使用することができない、という問題点があった。
【0008】
また、室外機/室内機/リモコンは全て同一通信プロトコル、同一通信回線上にあり、設定されたアドレスから各機器のコントローラー別の演算結果により算出された伝送用アドレスを相互に通信することでグループ分けを決定している。室外機と室内機との間の制御は複雑であるため、情報量も多く、通信プロトコルも複雑である。そのため、該通信回路は高価となる。リモコンと室内機との間も室外機と室内機との間の通信と同一通信プロトコルであるシステムでは、リモコンが高価なものとなる、という問題点があった。
【0009】
また、情報量の少ないリモコンと室内機との間の通信を、室外機と室内機との間の通信とは別の簡易なプロトコルを使用し、リモコンは、通信回路を安価なものを使用することが考えられる。しかし、通信回路が安価なリモコンは、グループ設定には、物理的配線が必要となり、設置工事の手間がかかる、という問題点があった。例えば部屋のリレイアウトの際、グループ変更には再配線する手間がかかる、という問題点があった。また、グループ設定のための物理的配線が必要であることから、オフィスなどでリモコンを集中配置したい場合には、遠方に配置された室内機とリモコンとの配線距離が長くなり、配線長の増加に伴いノイズが増加する等の問題点があった。
【0010】
上記特許文献3に記載の技術では、異なるネットワークに接続されている空調機相互間でIP通信が可能となるようにアドレス設定を行う方法として、ルータが複数の空調機器それぞれにIPアドレスを付与し、機器固有IDとの対応づけを、ルータを介して、サーバーがひとまとめにした情報テーブルを作成することにより、グループ分けを可能にしている。しかし、この方法では、ルータや、サーバーが必要になり、空気調和機が高額となってしまう、という問題点があった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、複数の空調ユニット間の通信プロトコルと、空調ユニットと操作機器との間の通信プロトコルが異なる空気調和機において、グループ設定のための物理的配線を不要にした上で、グループ設定を可能とすることができる空気調和機を得るものである。
また、第2の目的は、リレイアウト時、簡易な手続きにより再グループ設定をすることができる空気調和機を得るものである。
また、第3の目的は、集中配線を可能にすることで、遠方に配置された空調ユニットと操作機器用の個別配線を短くリレイアウトしたとき、簡易な手続きにより再グループ設定をすることができる空調システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る空気調和機は、第1伝送路により相互に接続され第1通信プロトコルを用いた通信を行う複数の空調ユニットと、前記複数の空調ユニットのうちの一部と第2伝送路により接続され第2通信プロトコルを用いた通信を行う複数の操作機器と、前記第1伝送路により前記空調ユニットと接続され前記第1通信プロトコルを用いた通信を行うグループ設定手段とを備え、前記操作機器は、前記複数の空調ユニットのうち、当該操作機器とグループを形成する空調ユニットのアドレスに対応したアドレスが設定され、前記各空調ユニットは、当該空調ユニットに設定されたアドレス情報と、当該空調ユニットと前記第2伝送路により接続された前記操作機器に設定されたアドレス情報とを、前記グループ設定手段に送信し、前記グループ設定手段は、前記空調ユニット及び前記操作機器に設定された前記アドレスに基づき、前記各空調ユニット毎に、グループを形成する前記操作機器を特定するグループ設定情報と、グループを形成する前記操作機器が前記第2伝送路により接続されている前記空調ユニットを特定する接続空調ユニット情報とを生成し、前記各空調ユニットに送信し、前記空調ユニットは、前記グループ設定情報及び前記接続空調ユニット情報を取得し、当該空調ユニットと同一グループを形成する前記操作機器である使用操作機器が、他の空調ユニットと接続されている場合、前記使用操作機器に送信する情報を、当該使用操作機器が接続されている前記他の空調ユニットに送信させるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、各空調ユニット間の伝送路と、空調ユニットと操作機器との間の伝送路とが、別の通信プロトコルである場合においても、グループ設定のための物理的配線を不要にした上で、グループ設定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における空気調和機の構成を示す図である。
【図2】図1のアドレス設定例におけるグループ設定結果を示す図である。
【図3】実施の形態1におけるグループ設定動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1におけるグループ決定処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における室外機内の情報収集状態を示す図である。
【図6】実施の形態1における接続情報を示す図である。
【図7】実施の形態1におけるグループ設定情報を示す図である。
【図8】実施の形態1におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
【図9】実施の形態1におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
【図10】実施の形態1におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
【図11】実施の形態1におけるリモコンからの操作を通知する動作を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2におけるリモコンからの操作を通知する動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1、2における空気調和機の他の構成例を示す図である。
【図14】従来の技術例1における空気調和機の構成を示す図である。
【図15】図14に示す空気調和機のグループ設定を変更した場合の配線接続を示す図である。
【図16】従来の技術例2における空気調和機の構成を示す図である。
【図17】図16に示す空気調和機のグループ設定を変更した場合のアドレスを示す図である。
【図18】従来の技術例2における室外機内の情報収集状態を示す図である。
【図19】従来の技術例2におけるグループ設定情報を示す図である。
【図20】従来の技術例2におけるグループ設定動作を示すフローチャートである。
【図21】従来の技術例2におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における空気調和機の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態における空気調和機は、室外機3と、複数の室内機4と、複数のリモコンAとを備えている。
リモコンAは、複数の室内機4のうちの一部と、伝送路1により接続されている。また、室外機3と、各室内機4とは、伝送路2により相互に接続されている。
なお、室外機3、室内機4は、本発明における「空調ユニット」に相当する。
また、リモコンAは、本発明における「操作機器」に相当する。
【0016】
なお、図1において、各構成の[ ]内の数値は、アドレス(後述)示している。なお、以降の構成図においても同様である。
【0017】
伝送路1は、リモコンAと室内機4とを接続し、任意の通信プロトコルを用いた通信が行われる伝送路である。以下、伝送路1で用いられる通信プロトコルを、プロトコルAと称する。
伝送路2は、室外機3と各室内機4とを接続し、上記伝送路1で用いられる通信プロトコルとは異なる通信プロトコルを用いた通信が行われる伝送路である。以下、伝送路2で用いられる通信プロトコルを、プロトコルBと称する。
つまり、室内機4は、伝送路1により接続されたリモコンAとのみ、プロトコルAを用いた通信を行う。また、室内機4は、室外機3および他の室内機4と、それぞれ、伝送路2によりプロトコルBを用いた通信を行う。
【0018】
なお、伝送路1は本発明における「第2伝送路」に相当し、プロトコルAは本発明における「第2通信プロトコル」に相当する。
また、伝送路2は本発明における「第1伝送路」に相当し、プロトコルBは本発明における「第1通信プロトコル」に相当する。
【0019】
室外機3、各室内機4、各リモコンAには、それぞれアドレスが設定され、当該アドレスに応じてグループが設定される。ここで、グループとは、複数の室内機4を1つ又は複数の室内機4に区分し、この区分毎に1つ又は複数のリモコンAを割り当てたものである。つまり、リモコンAは、同一グループに設定された室内機4を操作・モニタ対象とする。なお、グループ設定動作の詳細は後述する。
また、室外機3、各室内機4、各リモコンAは、各機器が制御及びモニターデータを通信するために、通信対象となる機器のアドレスを取得する。室外機3においては、冷媒を供給する室内機4のアドレス、室内機4においては、室外機3と指令を受けるリモコンAのアドレス、リモコンAにおいては管理する室内機4のアドレスを有している。なお、各機器でのアドレス情報の授受の動作は後述する。
【0020】
室外機3は、図示しない室外機側熱交換器、室外機側ファン、室外機側膨張弁、四方切替弁などを備える。また、空気調和機を構成する全ての室内機4、全てのリモコンAのアドレス情報をまとめ、グループを決定するグループ設定手段と、各種の情報を格納する記憶装置を備えている。
【0021】
室内機4は、図示しない室内機側熱交換器、室内機側ファン、室内機側膨張弁などを備える。また、プロトコルAとプロトコルBを流れる通信プロトコルを相互に変換する制御を内部に有する。
【0022】
リモコンAは、伝送路1を介しプロトコルAを用いた通信により、室内機4との間で通信情報を通信及び受信する。例えば、使用者からの操作入力に応じて、室内の設定温度、設定湿度などの情報を、伝送路1(プロトコルA)を介して送信する。
また、リモコンAは、後述するグループ設定により、1台のリモコンAで伝送上接続される室内機4の運転状態を複数台同じ操作状態に運転させることが可能である。
また、後述する設定により同一グループ内の室内機4を、複数のリモコンAにて操作することも可能である。
リモコンAには、使用者からの操作入力によりアドレスが設定可能に構成されている。例えば、リモコンAに表示画面と入力スイッチを備え、画面上に当該リモコンAのアドレスを設定する画面を表示し、アドレス情報を入力可能とする。なお、アドレスの設定はこれに限らず、ロータリースイッチ等のハードウェアによるアドレス設定装置などでもよい。
【0023】
尚、空気調和機を構成する室外機3、室内機4、及びリモコンBの個数は任意の数とすることができる。
【0024】
以上、本実施の形態における空気調和機の構成について説明した。
ここで、本発明の実施の形態に係る空気調和機の動作説明の前に、従来の技術における、グループの設定方法、各機器でのグループの認識方法の例について、図14〜図21を用いて説明する。
【0025】
(従来の技術例1)
まず、室外機3と各室内機4との間の伝送路2と、室内機4とリモコンAとの間の伝送路1とが、別の通信プロトコルである場合における、従来のグループ設定方法について説明する。
図14は従来の技術例1における空気調和機の構成を示す図である。
図14に示すように、各リモコンAは、アドレスを保有しない。また、1つのグループにつき、少なくとも1つのリモコンAを備える構成とする。
そして、伝送路1を使ったグループ設定には、プロトコルAとしての通信回路を接続するための物理的な配線を、該リモコンAにより操作される全室内機を渡り配線する。
リモコンAは、室内機機能を有効とするグループ内の代表となる室内機4に対して、伝送路1により物理的に接続する。
なお、室内機4を操作するために同一グループに対して2台以上のリモコンAを接続し、操作を後優先で実施する主/従リモコンを使用する場合は、主リモコンと同様、従リモコンも、グループ内の代表となる室内機4に対して物理的に接続する。主従の区別は、例えばリモコンA上のスイッチにて設定する。
【0026】
ここで、グループの代表となる室内機4とは、グループ内の最小のアドレス値を持った、室内機4である。そのため、グループ変更時には、室内機4間の渡り配線の繋ぎ直しと、主リモコン/従リモコンの配線の繋ぎ直しが必要となる。
【0027】
図14の例においては、第1グループ内が室内機[1]、第2グループが室内機[2]〜[3]、第3グループが室内機[4]〜[5]の場合の配線接続を示している。
機器でのグループ認識としては、グループは物理的に配線により分けられているため、別グループにはコマンドは送受信不可とすることでグループ分けを実現する。
制御方法としては、リモコンAから、接続室内機に対して操作指示を送信する際には、同通信回線上にある室内機4すべてが同じ通信を同時に確認し、制御を変化させることで、同じ操作結果となる。室内機4からリモコンAに対して、図示しない集中コントローラーからの指令を伝送する場合や、室内機4の運転状態を応答する場合は、室内機4からリモコンAに対して応答する際に、当該室内機4のアドレスの数値分の遅延時間を付加して応答する。結果、グループ内の一番番号の小さいアドレスの状態がグループ内の状態としてリモコンAに通知され、室内機4とリモコンAとの間での状態認識が一致する。
【0028】
図15は、図14に示す空気調和機のグループ設定を変更した場合の配線接続を示す図である。
図15に示すように、第1グループが室内機[1]〜[2]、第2グループが室内機[3]、第3グループが室内機[4]〜[5]として室内をリレイアウトした場合、伝送路1の配線接続を繋ぎ直す必要がある。
即ち、アドレス[2]の室内機4を第1グループに変更するためには、アドレス[1]の室内機4とアドレス[2]の室内機4との間を伝送路1により接続してプロトコルAの通信を行う必要がある。また、アドレス[2]とアドレス[3]の室内機4を接続する伝送路1を取り外し、アドレス[3]の室内機4とリモコンAとを伝送路1で接続する必要がある。
【0029】
(従来の技術例2)
次に、室外機3、複数の室内機4、及び複数のリモコンBが伝送路2により接続され同一の通信プロトコル(プロトコルB)による通信を行う場合における、従来のグループ設定方法について説明する。
【0030】
図16は従来の技術例2における空気調和機の構成を示す図である。
図16に示すように、室外機3、複数の室内機4、複数のリモコンBは、それぞれアドレスを保有する。各リモコンBは、伝送路2によりプロトコルBを用いて、室外機3、各室内機4、及び他のリモコンBとそれぞれ相互に通信可能である。
【0031】
機器でのグループ認識としては、各機器に、例えばロータリースイッチ等により、設定するアドレスに応じた数値を設定した後、電源立ち上げ時に、室外機3が、伝送路2に接続された全機器について、アドレス番号をモニタし、このアドレス番号を基に、機器の属性(室内機/リモコン)を判断するとともに、グループを設定する。
このようなアドレス番号を基にグループを設定する動作について、図18〜図21を用いて説明する。
【0032】
図18は、従来の技術例2における室外機内の情報収集状態を示す図である。
図19は、従来の技術例2におけるグループ設定情報を示す図である。
図20は、従来の技術例2におけるグループ設定動作を示すフローチャートである。
図21は、従来の技術例2におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
以下、図20の各ステップに基づき、図18、図19、図21を参照しつつ説明する。
【0033】
(S501)
使用者は、室外機3、室内機4、及びリモコンBのそれぞれの機器について、アドレスを設定する。この例では、各機器の種別(属性)により、設定されるアドレス値の範囲が定められている。
例えば、室外機3、複数の室内機4、複数のリモコンBに、それぞれ、1〜50まで数値が入力可能なロータリースイッチを設け、室内機4のアドレスはロータリースイッチの設定値をそのままアドレスとする。また、室外機3のアドレスはロータリースイッチの設定値に50を加算した値を当該室外機3のアドレスとする。また、リモコンBのアドレスは、主リモコンの場合には、ロータリースイッチの設定値に100を加算した値、従リモコンの場合には、ロータリースイッチの設定値に150を加算した値を、当該リモコンBのアドレスとする。
使用者は、各機器のアドレスを設定した後、空気調和機の電源をONにする。
【0034】
(S502)
室外機3は、アドレスアサイン可能領域分のアドレスに対してモニタ要求を送信し、モニタ応答を受信することで存在検索する。例えばアドレスアサイン可能領域は、0〜255である。また、同時に応答があったアドレスの属性も確認する。
これにより図21に示すように、室外機3から各室内機4および各リモコンBに対して、属性、アドレスモニタ要求が送信され、これに対する応答が返信される。
なお、図21において、51⇒01の表記は、アドレス[51]の機器からアドレス[01]の機器に対する送信およびその応答を示している。また、各アドレス番号は、図16に示すアドレス設定例の場合における値である。
【0035】
このような、属性、アドレスモニタにより、室外機3は各機器からの情報を収集し、図18に示すように、室内機属性であるアドレス番号を、室内機情報格納エリアに順に格納し、リモコン属性であるアドレス番号を、リモコン情報格納エリアに順に格納する。
なお、図18における各アドレス番号は、図16に示すアドレス設定例での値である。
【0036】
(S503)
次に、室外機3は、各機器から収集したアドレス番号を基に、グループを判断し、各室内機4に、当該室内機4と同一グループを構成する室外機3およびリモコンB(使用リモコン)のアドレス情報からなる接続情報(グループ設定情報)を送信する。
例えば室外機3は、アドレス番号を基に、(室外機のアドレス)=(最小の室内機のアドレス+50)、((主)リモコンの伝送アドレス)=(操作する室内機のアドレス+100)、((従)リモコンの伝送アドレス)=(操作する室内機中最小のアドレス+150)として、室内機4にグループ設定をする。図16に示すアドレス設定例では、図19に示すような接続情報を送信する。
これにより、各室内機4は、操作上の接続情報(どの室外機3に制御され、どのリモコンBに操作されるのかの情報)を受信する。これにより図21に示すように、室外機3から各室内機4に対して、接続情報(グループ設定情報)が送信され、これに対する応答が返信される。
【0037】
(S504)
各室内機4は、室外機3から受信した接続情報(グループ設定情報)を、使用リモコンに対して送信する。図16に示すアドレス設定例では、図19に示すような接続情報を送信する。これにより図21に示すように、室内機4からリモコンBに対して接続情報(グループ設定情報)が送信され、これに対する応答が返信される。
【0038】
以上のような動作により、各機器のアドレスを基にグループ設定が行われる。そして、グループ単位の制御方法としては、リモコンBから、伝送路2に接続された室内機4に対して操作指示を送信する際には、グループ情報を参照し、操作対象の全室内機4のアドレスに対して操作指示のコマンドを送信する。室内機4からリモコンBに対して、図示しない集中コントローラーからの指令を伝送する場合や、室内機4の運転状態を応答する場合は、状態が変更した各室内機4からそれぞれリモコンB(使用リモコン)に対して通信を送信/応答する。結果、グループ内の各室内機4とリモコンBとの間での状態認識が一致する。
【0039】
この従来の技術例2においては、アドレスの数値によりグループを決定するため、グループ変更時には、配線の繋ぎ直しは不要となり、アドレス番号の変更のみでよい。
例えば、図16に示すグループ設定を、図17に示すように、第1グループの室内機4を1〜2に変更する場合、図16においてアドレス[102]を設定したリモコンBにアドレス[103]を設定することで、このリモコンBが、アドレス[3]の室内機4との関係で、((主)リモコンの伝送アドレス)=(操作する室内機のアドレス+100)を満たし、第2グループの使用リモコンに設定される。
このように、従来の技術例2においては、室内をリレイアウト等して各機器のグループを再設定する場合においても、物理的配線の状態を変更することなく、リモコンアドレス設定のみでグループ設定を変更できる。
【0040】
しかし、従来の技術例2においては、全機器が同一の通信プロトコルである必要がある。室外機3と室内機4との間の制御は複雑であるため、情報量も多く、プロトコルBも複雑となり、プロトコルBを用いた通信回路は高価となる。このため、比較的情報量が少ないリモコンについても、室外機3と室内機4との間の通信と同一の通信プロトコルを使用する必要があり、別の通信プロトコル(例えばプロトコルA)を用いた安価なリモコンを使用することができず、リモコンBが高価なものとなる。
【0041】
(本実施の形態におけるグループ設定動作)
次に、室外機3と各室内機4との間の伝送路2と、室内機4とリモコンAとの間の伝送路1とが、別の通信プロトコルである場合において、再配線なしでグループ設定を変更することが可能となる、本実施の形態における空気調和機のグループ設定動作について説明する。
【0042】
図2は、図1のアドレス設定例におけるグループ設定結果を示す図である。
図3は、実施の形態1におけるグループ設定動作を示すフローチャートである。
図5は、実施の形態1における室外機内の情報収集状態を示す図である。
図6は、実施の形態1における接続情報を示す図である。
図7は、実施の形態1におけるグループ設定情報を示す図である。
図8〜図10は、実施の形態1におけるグループ設定動作を示すシーケンス図である。
以下、本実施の形態におけるグループ設定動作を、図3の各ステップに基づき、図5〜図10を参照しつつ説明する。
【0043】
(S101)
使用者は、室外機3、室内機4、及びリモコンAのそれぞれの機器について、アドレスを設定する。この例では、各機器の種別(属性)により、設定されるアドレス値の範囲が定められている。例えば、室内機4のアドレス値の範囲として1〜50、室外機3のアドレス値の範囲として51〜100、リモコンAのアドレス値として、主リモコンの場合には101〜150、従リモコンの場合には151〜200の範囲が予め定められている。
例えば、室外機3、複数の室内機4、複数のリモコンAに、それぞれ、1〜50まで数値が入力可能なロータリースイッチを設け、室内機4のアドレスはロータリースイッチの設定値をそのままアドレスとする。また、室外機3のアドレスはロータリースイッチの設定値に50を加算した値を当該室外機3のアドレスとする。また、リモコンAのアドレスは、主リモコンの場合には、ロータリースイッチの設定値に100を加算した値、従リモコンの場合には、ロータリースイッチの設定値に150を加算した値を、当該リモコンAのアドレスとする。なお、アドレスの設定はこれに限らず、各機器に表示画面と入力スイッチを備え、画面上に当該機器のアドレスを設定する画面を表示し、アドレス値の情報を入力可能とするようにしても良い。
使用者は、各機器のアドレスを設定した後、空気調和機の電源をONにする。
【0044】
(S102)
室外機3は、アドレスアサイン可能領域分のアドレスに対してモニタ要求を送信し、モニタ応答を受信することで存在検索する。例えばアドレスアサイン可能領域は、0〜255である。また、同時に応答があったアドレスの属性も確認する。なお、このアドレスアサイン可能領域は、これに限るものではなく、各機器の仕様等に応じて適宜設定するようにしても良い。
【0045】
これにより図8に示すように、室外機3から各室内機4および各リモコンAに対して、属性、アドレスモニタ要求が送信され、これに対する応答が返信される。
なお、図8において、51⇒01の表記は、アドレス[51]の機器からアドレス[01]の機器に対する送信およびその応答を示している。また、各アドレス番号は、図1に示すアドレス設定例の場合における値である。
【0046】
このような、属性、アドレスモニタにより、室外機3は各機器からの情報を収集し、図5に示すように、室内機属性であるアドレス番号を、室内機情報格納エリアに順に格納し、リモコン属性であるアドレス番号を、リモコン情報格納エリアに順に格納する。
なお、図5における各アドレス番号は、図1に示すアドレス設定例での値である。
図1に示す設定では、室外機3と各室内機4(アドレス[1]〜[5])との間の通信は、伝送路2を介してプロトコルBにより通信可能であるため、図5に示すように、室内機情報格納エリアの1番〜5番に各室内機4のアドレス[1]〜[5]の情報が格納される。一方、伝送路2にはリモコンAが接続されておらず、リモコンAはプロトコルBによる通信ができないため、図5に示すように、リモコン情報格納エリアにはアドレス情報が格納されない。
【0047】
(S103)
室外機3は、上記アドレスモニタ要求の応答に基づき、プロトコルBを用いた通信を行うリモコンBが、1台も存在しないか否かを判断する。図5に示すように、リモコン情報格納エリアにアドレス情報が存在しない場合、プロトコルBを用いた通信を行うリモコンBが1台も存在しないと判断することができる。
リモコンBが1台も存在しない場合、ステップS104に移行し、リモコンBが存在する場合、ステップS111、S112に移行する。
【0048】
(S111、S112)
ステップS111、S112の動作は、上述した従来の技術例2のステップS503、504と同様であり、伝送路2を介したプロトコルBによる通信によりグループ設定情報が室内機4とリモコンBに送信される。
【0049】
(S104)
室外機3は、伝送路2により接続されている全室内機4に対し、室内機4と伝送路1により物理的に接続されているリモコンA(以下「接続リモコンA」という。)のアドレスのモニタ要求を送信する。
(S105)
各室内機4は、それぞれ、当該室内機4の接続リモコンAとプロトコルAを用いて通信してアドレス情報を取得し、自己室内機のアドレス情報と、接続リモコンAのアドレス情報とを室外機3に応答する。なお、複数のリモコンAが1つの室内機4に接続されている場合には、当該複数の接続リモコンAのアドレスを取得して応答する。
ここでは、1台の室内機4につなげられるリモコンAの最大台数が2台の場合を説明する。なお、接続可能な台数は給電容量などの関係により適宜設定することができる。
【0050】
これにより図8に示すように、室外機3から各室内機4に対して、リモコンAアドレスモニタが送信され、これに対するモニタ応答が返信される。なお、図8では、1つの室内機4に接続された1台目のリモコンAをA1、2台目のリモコンAをA2として示している。また、接続リモコンAがない場合にはアドレス「0」を応答する。
【0051】
このような、リモコンAのアドレスモニタにより、室外機3は各室内機4からの接続情報を収集し、図6に示すように、各室内機4毎に、室内機4のアドレス情報および接続リモコンAのアドレス情報を得る。なお、図6における各アドレス番号は、図1に示すアドレス設定例での値である。
また、室外機3は収集したリモコンAのアドレス情報をリモコン情報格納エリアに格納する。
【0052】
(S106)
次に、室外機3は、各機器から収集したアドレス番号を基に、グループを決定し、当該室内機4と同一グループを形成するリモコンA(以下「使用リモコン」という)のアドレス情報(グループ設定情報)と、当該室内機4の使用リモコンが伝送路1により物理的に接続されている室内機4(以下「リモコンA接続室内機」という)のアドレス情報(接続室内機情報)とからなる接続情報を、各室内機4に送信する。
これにより図9に示すように、室外機3から各室内機4に対して、接続情報(グループ設定情報及び接続室内機情報)が送信され、これに対する応答が返信される。
【0053】
ここで、グループ決定処理の一例について説明する。
図4は、実施の形態1におけるグループ決定処理を示すフローチャートである。
以下、図4の各ステップに基づき、室内機4のアドレス範囲が1〜50、室外機3のアドレス範囲が51〜100、リモコンAのアドレス値として、主リモコンの場合には101〜150、従リモコンの場合には151〜200の範囲である場合の例に説明する。
【0054】
(S201)
確認するリモコン情報格納エリア(以降「RCエリア」とする。)、室内機情報格納エリア(以降「ICエリア」とする)の検索位置の番号を、それぞれ1に初期化する。
(S202)
ICエリア番号にアドレスが格納されているか確認する。なお、図中の( )はエリア番号で指示された格納エリアの内容を示している。
ICエリア番号にアドレスが存在する場合は、ステップS203に移行する。一方、ICエリア番号にアドレスが存在しない場合は、グループ判定処理を終了する。
(S203)
RCエリア番号にアドレスが格納されているか確認する。
RCエリア番号にアドレスが存在する場合は、ステップS204に移行する。一方、RCエリア番号にアドレスが存在しない場合は、グループ決定処理を終了する。
【0055】
(S204)
次に、(RCエリア番号+1)にアドレスが格納されているか確認する。
(RCエリア番号+1)にアドレスが存在する場合、即ちリモコンAが複数の場合は、ステップS205に移行する。
一方、(RCエリア番号+1)にアドレスが存在しない場合、即ちリモコンAが1つの場合は、ステップS210に移行する。
【0056】
(S205)
RCエリアの該当番号のアドレスが、101以上150以下の範囲(主リモコン用のアドレスの範囲)であるか否かを判断する。
(S206)
RCエリアの該当番号のアドレスが101以上150以下である場合、即ち主リモコン用のアドレスの範囲であれば、補正数字を100とする。
(S207)
一方、RCエリアの該当番号のアドレスが101以上150以下でない場合、即ち主リモコン用のアドレスの範囲外であれば、従リモコンであるとして、補正数字を150とする。
【0057】
(S208)
(ICエリア番号)に格納された設定対象の室内機4のアドレスと、(RCエリア番号+1)のアドレス値からステップS206、ステップS207にて決定した補正数字を引いた値とを比較する。
【0058】
(S209)
設定対象の室内機4のアドレスが、(RCエリア番号+1)−「補正数字」よりも小さくない場合、RCエリア番号に1を加算し、比較対象のリモコンAを次に大きいアドレス値のリモコンAにする。以降、同様に、ステップS203〜ステップS207を実施する。
【0059】
(S210)
一方、設定対象の室内機4のアドレスが、(RCエリア番号+1)−「補正数字」よりも小さい場合、設定対象の室内機4の使用リモコンとして、(RCエリア番号)に格納されたリモコンAのアドレスをセットする。
(S211)
ICエリア番号に1を加算し、次のICエリア番号に格納されたアドレスの室内機4を設定対象の室内機4とする。ICエリア内の全アドレスを比較するまで、ステップS202〜ステップS211を繰り返す。
【0060】
以上のような動作により、例えば図1のアドレス設定例において、(RCエリア番号)にアドレス[101]が格納され、(RCエリア番号+1)にアドレス[102]が格納されている場合、アドレス[101]のリモコンAの補正数字は100となる(S205、S206)。そして、(RCエリア番号+1)−「補正数字」の値は「2」となり、設定対象の室内機4のアドレスが[1]のときステップS208の判定はYESとなる。これにより、アドレス[1]の室内機4の使用リモコンとしてアドレス[101]のリモコンAがセットされる(S210)。
また、設定対象の室内機4のアドレスが[2]のときステップS208の判定はNOとなり、比較対象のリモコンAのアドレス値が[102]となり、同様の動作により、アドレス[2]の室内機4の使用リモコンとしてアドレス[102]のリモコンAがセットされる(S210)。このような処理を繰り返すことで、図2に示すように、伝送路1の物理的な接続状態に依存せず、各室内機4について同一グループを形成する使用リモコンを設定する。
【0061】
再び図3に基づき説明する。
(S107)
各室内機4は、それぞれ、室外機3から取得した接続情報(グループ設定情報及び接続室内機情報)に基づき、自己室内機アドレスと、リモコンA接続室内機のアドレスとが同一であるか否かを判断する。即ち、当該室内機4と同一グループを形成する使用リモコンが、当該室内機4と伝送路1により物理的に接続されているか否かを判断する。
【0062】
(S108)
自己室内機アドレスとリモコンA接続室内機のアドレスとが同一である場合、即ち、当該室内機4と同一グループを形成する使用リモコンが、当該室内機4と伝送路1により物理的に接続されている場合、接続情報(グループ設定情報のみ)を、伝送路1を介しプロトコルAを用いて使用リモコンに送信する。使用リモコンはこれに対する応答を返信する。
【0063】
(S109)
自己室内機アドレスとリモコンA接続室内機のアドレスとが同一でない場合、即ち、当該室内機4と同一グループを形成する使用リモコンが、他の室内機4と伝送路1により物理的に接続されている場合、室外機3から取得した接続室内機情報を参照し、当該使用リモコンが物理的に接続されているリモコンA接続室内機に対して、使用リモコンに対する接続情報(グループ設定情報のみ)を、伝送路2を介しプロトコルBを用いて送信する(代信依頼)。
(S110)
代信依頼を受信した室内機4(以下「代信室内機」という)は、送信元の室内機4の代わりに、当該室内機4と伝送路1で接続されたリモコンAに接続情報を送信する。リモコンA(送信元の室内機4の使用リモコン)はこれに対する応答を、代信室内機に返信する。
これにより図10に示すように、各室内機4から各リモコンAに対して、接続情報が送信され、これに対する応答が返信される。
【0064】
以降、室内機4から使用リモコンに対して運転状態等の情報を送信する際には、上記接続情報の送信と同様に、使用リモコンが当該室内機4と伝送路1により物理的に接続されている場合、伝送路1を介して当該使用リモコンに情報を送信する。また、使用リモコンが他の室内機4と伝送路1により物理的に接続されている場合、代信室内機を介して情報を送信する。
【0065】
また、使用リモコンから、同一グループを形成する室内機4に対して同一の運転操作(グループ運転操作)をする場合は、グループ内のすべての室内機4に対して操作コマンドを送信する。
このような使用リモコンから、同一グループを形成する室内機4に対して運転操作等の情報を送信する動作について図11により説明する。
【0066】
図11は、実施の形態1におけるリモコンからの操作を通知する動作を示すフローチャートである。
以下、図11の各ステップに基づき説明する。
(S301)
リモコンAは、使用者からの操作入力等に応じた設定温度や運転操作(運転/停止、モード切替等)の操作コマンドを、同一グループを形成する全ての室内機4に対して送信する。即ち、リモコンAは室内機4から取得した接続情報を基に、当該リモコンAが使用リモコンとして設定された全ての室内機4のアドレス宛に、操作コマンドを送信する。
【0067】
(S302)
室内機4は、伝送路1を介してプロトコルAを用いた通信を行い、リモコンAからの操作コマンドを受信する。そして、当該操作コマンドの宛先アドレス(送信先室内機アドレス)が、当該操作コマンドを受信した室内機4のアドレス(受信室内機アドレス)と一致するか否かを判断する。
送信先室内機アドレスが受信室内機アドレスと一致する場合、即ち同一グループを形成する室内機4と使用リモコンとが伝送路1により物理的に接続されている場合、ステップS304に進む。
【0068】
(S303)
一方、送信先室内機アドレスが受信室内機アドレスと一致しない場合、即ち他のグループを形成する使用リモコンからの操作コマンドを受信した場合、室内機4は、伝送路2を介しプロトコルBを用いた通信により、当該操作コマンドの送信先室内機アドレス宛に送信する(代信)。なお、室内機4は受信した操作コマンドの内容により室外機3に対しても操作コマンドを送信するようにしても良い。
【0069】
(S304)
使用リモコンからの操作コマンドを受信した各室内機4は、当該操作コマンドの内容に従い動作する。
【0070】
以上のような動作により、室外機3と各室内機4との間の伝送路2と、室内機4とリモコンAとの間の伝送路1とが、別の通信プロトコルである場合においてもグループ設定をすることができ、また、再配線なしでグループ設定を変更することが可能となる。つまり、リレイアウトが容易な空気調和機を実現できる。
また、異なるプロトコルを有する空気調和機において、ルータ等の特別な装置を付加することなく、またグループ設定のための物理的配線を必要とすることなく、グループ設定、及びグループ運転制御が可能となる、という効果が得られる。
また、リレイアウト時、簡易な手続きにより再グループ設定をすることができる。
また、集中配線を可能にすることで、遠方に配置された室内機4とリモコンAとの個別配線を短くリレイアウトした時、簡易な手続きにより再グループ設定をすることができる。
【0071】
実施の形態2.
実施の形態1では、リモコンAからグループ運転操作する場合は、グループ内の全ての室内機4に対して操作コマンドを送信する方法を取っていたが、少なくともグループ内の室内機4の台数分の操作コマンドの送信が必要となる。
本実施の形態2では、グループ内の室内機4の最小アドレスにのみ送信し、これを受信した室内機4が同一グループの他の室内機4に当該情報を代信する形態について説明する。
【0072】
図12は、実施の形態2におけるリモコンからの操作を通知する動作を示すフローチャートである。
以下、図12の各ステップに基づき説明する。
【0073】
(S401)
リモコンAは、同一グループ内の室内機4のうち最小アドレスの室内機4に対してのみ操作コマンドを送信する。ここで、グループ内の最小アドレスとは、例えば、使用リモコンのアドレス番号から補正値(主リモコンなら100、従リモコンなら150)を引いた値となる(図4参照)。
室内機4は、伝送路1を介してプロトコルAを用いた通信を行い、リモコンAからの操作コマンドを受信する。なお、操作コマンドの宛先アドレスが、当該室内機4宛でない場合には、上記実施の形態1(図11)のステップS302、S303と同様の動作により、当該操作コマンドの送信先室内機アドレス宛に送信する(代信)。
【0074】
(S402)
グループ内の最小アドレスの室内機4は、リモコンAからの操作コマンドを受信する。そして、伝送路2を介しプロトコルBを用いた通信を利用して、送信先アドレスに当該操作コマンドを送信した使用リモコンのアドレス番号をセットして、当該操作コマンドを送信する。
【0075】
(S403)
各室内機4は伝送路2により相互に接続されているため、伝送路2に送信された操作コマンドを全ての室内機4が受信することが可能である。
各室内機4は、それぞれ、受信した操作コマンドにセットされた使用リモコンのアドレス番号が、各室内機自身の使用リモコンのアドレスと一致するか否かを判断する。
操作コマンドにセットされた使用リモコンのアドレス番号が、自身の使用リモコンのアドレスと一致しない場合には、当該操作コマンドを無視(破棄)し、処理を終了する。
【0076】
(S404)
一方、操作コマンドにセットされた使用リモコンのアドレス番号が、自身の使用リモコンのアドレスと一致する場合には、室内機4は当該操作コマンドの内容に従い動作する。
【0077】
以上のように本実施の形態2においては、グループ内の室内機4の台数に関わらず、リモコンAからの操作コマンド送信は1回のみでグループ内の全ての室内機4の運転操作が可能となる。また、通信トラフィックの軽減が可能となる。
【0078】
なお、上記の説明では、自身のグループ用のコマンドであることをコマンド内に使用リモコンのアドレスをセットして送信し、各自使用リモコンアドレスと一致するかどうかで見ることとしたが、それとは別にグループ番号を設けてもよいし、グループ内の室内機4のうちの最小アドレスの番号で判断してもよい。
【0079】
なお、上記実施の形態1、2で説明した空気調和機の構成に加え、例えば図13に示すように、室外機3及び各室内機4を集中監視する集中コントローラー7を設けた構成であってもよい。なお、このような構成において、集中コントローラー7と室外機3との通信プロトコルが相違している場合であっても、上述した発明思想を適用することにより、集中コントローラー7を含めたグループ設定ができることは当業者であれば実施可能に理解できることは言うまでもない。
【0080】
なお、上記実施の形態1、2で説明した空気調和機の構成に加え、換気装置などの他の機器が伝送路2に接続し、当該他の機器を通信プロトコルが異なるリモコンAにより操作する場合であっても、同様に物理的配線をすることなくグループ設定をすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1 伝送路、2 伝送路、3 室外機、4 室内機、7 集中コントローラー、A リモコン、B リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伝送路により相互に接続され第1通信プロトコルを用いた通信を行う複数の空調ユニットと、
前記複数の空調ユニットのうちの一部と第2伝送路により接続され第2通信プロトコルを用いた通信を行う複数の操作機器と、
前記第1伝送路により前記空調ユニットと接続され前記第1通信プロトコルを用いた通信を行うグループ設定手段と
を備え、
前記操作機器は、
前記複数の空調ユニットのうち、当該操作機器とグループを形成する空調ユニットのアドレスに対応したアドレスが設定され、
前記各空調ユニットは、
当該空調ユニットに設定されたアドレス情報と、当該空調ユニットと前記第2伝送路により接続された前記操作機器に設定されたアドレス情報とを、前記グループ設定手段に送信し、
前記グループ設定手段は、
前記空調ユニット及び前記操作機器に設定された前記アドレスに基づき、前記各空調ユニット毎に、グループを形成する前記操作機器を特定するグループ設定情報と、グループを形成する前記操作機器が前記第2伝送路により接続されている前記空調ユニットを特定する接続空調ユニット情報とを生成し、前記各空調ユニットに送信し、
前記空調ユニットは、
前記グループ設定情報及び前記接続空調ユニット情報を取得し、当該空調ユニットと同一グループを形成する前記操作機器である使用操作機器が、他の空調ユニットと接続されている場合、前記使用操作機器に送信する情報を、当該使用操作機器が接続されている前記他の空調ユニットに送信させる
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記空調ユニットは、
当該空調ユニットと接続された前記操作機器である接続操作機器が、当該空調ユニットと同一グループを形成する操作機器でない場合、前記接続操作機器から受信した情報を、当該接続操作機器と同一グループを形成する前記空調ユニットに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記操作機器は、
同一グループを形成する複数の前記空調ユニットに対して操作情報を送信する際、同一グループを形成する複数の前記空調ユニットのうち、任意の空調ユニット宛に前記操作情報を送信し、
前記空調ユニットは、
前記操作機器から受信した前記操作情報に、当該操作情報を送信した前記操作機器のアドレス、又は当該操作機器が属するグループの識別情報を含めて、前記第1伝送路により各空調ユニットに送信し、
他の空調ユニットから受信した前記操作情報に含まれる前記操作機器のアドレスが、前記使用操作機器のアドレスと一致する場合、または、他の空調ユニットから受信した前記操作情報に含まれる前記グループの識別情報が、当該空調ユニットのグループの識別情報と一致する場合、当該操作情報に従い動作する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−113445(P2013−113445A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256875(P2011−256875)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】