説明

空気調和機

【課題】 制御回路ユニットの組立て時の部品点数を減らし、組立てを容易にできる空気調和機を提供する。
【解決手段】 本発明の空気調和機は、加熱ヒータと、加熱ヒータを制御する回路基板と回路基板を保持する基板ホルダと、回路基板の放熱を行うヒートシンクと、ヒートシンクまたは基板ホルダを保持する回路ユニット固定部を備え、基板ホルダとヒートシンクと回路ユニット固定部とを熱伝導樹脂により一体に成形したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱ヒータと加熱ヒータの制御素子とを有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は室内に配される室内部が前部に設置され、室外に配される室外部が後部に設置された一体型に構成される。室外部内には冷凍サイクルを運転する圧縮機が配される。室外部の背面には圧縮機に接続される室外熱交換器が配され、室外熱交換器に対峙して室外熱交換器を冷却する室外ファンが設けられる。
【0003】
室内部の前面には吸込口が開口し、吸込口の上方には吹出口が開口する。室内部には吸込口と吹出口とを連結する送風ダクトによって送風通路が形成され、送風通路内に室内ファンが設けられる。室内ファンと吸込口との間には冷媒管を介して圧縮機に接続される室内熱交換器が配される。室内ファンと室内熱交換器との間にはPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが配される。
【0004】
暖房運転を開始すると圧縮機の駆動によって冷凍サイクルが運転される。これにより、室内熱交換器が冷凍サイクルの高温側の凝縮器となり、室外熱交換器が冷凍サイクルの低温側の蒸発器となる。室外熱交換器は室外ファンの駆動により外気と熱交換して吸熱する。室内ファンの駆動によって室内の空気が吸込口から送風通路内に流入し、室内熱交換器と熱交換して昇温される。また、PTCヒータの駆動によって送風通路内の空気が更に昇温される。昇温された空気は吹出口から室内に送出され、室内の暖房が行われる。
【0005】
PTCヒータはPTC特性を有する発熱素子を電極で挟んで形成され、電極間に電圧を印加して駆動される。発熱素子はキュリー点を超えると抵抗値が急激に増加して電流値及び発熱量が減少する。これにより、PTCヒータの発熱量が安定して所定の温度の温風を容易に発生させることができるとともに、過加熱を防止することができる。
【0006】
この時、PTCヒータは始動時に低温であるため発熱素子の抵抗値が低く、過電流が流れて電源容量を超える可能性がある。このため、特許文献1には始動時にPTCヒータに流れる電流を監視して電源容量を超えないようにPTCヒータの駆動を制御する制御方法が開示されている。即ち、PTCヒータはトライアック素子を用いた制御回路によってDUTY制御され、始動時にDUTY比を徐々に増加して駆動される。これにより、PTCヒータの始動時の過電流が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−59623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、制御回路ユニットは、樹脂製の基板ホルダ、アルミニウム材のヒートシンク及び樹脂製の回路ユニット固定部とが、それぞれ別部品であった。ヒートシンクに、材料の異なる回路ユニット固定部と基板ホルダを組み立てて固定しているので、組立てが容易でなく、組立てに時間を要した。 そこで、本発明は、係る課題を解決する為になされたものであり、制御回路ユニットの組立ての部品点数を減らし、組立てを容易にし、またコストを抑制できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係わる空気調和機は、加熱ヒータと、加熱ヒータを制御する回路基板と回路基板を保持する基板ホルダと、回路基板の放熱を行うヒートシンクと、ヒートシンクまたは基板ホルダを保持する回路ユニット固定部とを備え、基板ホルダとヒートシンクと回路ユニット固定部とを熱伝導樹脂により一体に成形したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御回路ユニットの部品点数を減らすことができ、組立てが簡略化でき、組立て時間の短縮をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の空気調和機を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態の空気調和機を示す側面断面図。
【図3】本発明の実施形態の空気調和機を示す正面図。
【図4】本発明の実施形態の空気調和機の制御回路ユニットを示す分解斜視図。
【図5】本発明の実施形態のヒートシンク、基板ホルダと回路ユニット固定部の取付け状態を示す上面断面図。
【図6】本発明の実施形態のヒートシンク、基板ホルダと回路ユニット固定部の取付け状態を示す正面図。
【図7】本発明の実施形態の空気調和機の制御回路ユニットを示す斜視図。
【図8】本発明の第1の実施形態のヒートシンクの取付け状態を示す側面断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態のヒートシンクの取付け状態を示す側面断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態のヒートシンクの取付け状態を示す側面断面図。
【図11】本発明と比較例のモールド材の注入方法の詳細図である。(a)本発明の注入方法の詳細図。(b)比較例の注入方法の詳細図。
【図12】本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合の回路図。
【図13】本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合の概略構造図である。(a)平面図。(b)側面図。
【図14】本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1、図2、図3は一実施形態の空気調和機を示す斜視図、側面断面図及び正面図である。図1、図3は外装カバー30(図2参照)を取り外した状態を示している。空気調和機1は室内に配される室内部2と、室内部2に隣接して室外に配される室外部4とを有した一体型に構成される。
【0013】
室内部2の正面には吸込口21が設けられ、室外部4の正面には室外熱交換器42が設けられる。以下の説明において、吸込口21側を前側、室外熱交換器42側を後側(背面側)と称する。また、吸込口21に正面対峙した際の右側及び左側を空気調和機1の右側、左側と称する。
【0014】
室内部2と室外部4とは底板3上に設置され、仕切壁5で前後に分離される。室内部2は底板3、仕切壁5及び外装カバー30によって外側を囲まれた筐体20を形成する。筐体20内の右端部には電装部品が配される電装ボックス31が設けられる。室外部4も同様に底板3、仕切壁5及び外装カバー(不図示)によって外側を囲まれた筐体40を形成する。
【0015】
室外部4には冷凍サイクルを運転する圧縮機41が右側の端部に配される。室外部4の背面には冷媒管47を介して圧縮機41に接続される室外熱交換器42が配される。プロペラファンから成る室外ファン43は室外熱交換器42に対峙して左右方向の中央部に配され、室外熱交換器42を冷却する。室外ファン43及び室外熱交換器42はブラケット45を介して仕切壁5に支持されるハウジング44内に配される。ハウジング44によって室外ファン43から気流を室外熱交換器42に導くダクトが形成される。
【0016】
室内部2を覆う外装カバー30の前面には吸込口21が開口し、吸込口21の上方には吹出口22が開口する。室内部2内には吸込口21と吹出口22とを連結する送風通路23が設けられる。送風通路23の背面及び側面は底板3上に取り付けられる中壁24により形成される。送風通路23の吹出口22近傍の下壁は外装カバー30を取り外した際に着脱自在のダクト部材29により形成される。ダクト部材29には吹出口22の風向を可変するルーバ26が取り付けられる。室内の空気は、室内ファンの駆動によって、吸込み方向Aで、吸込口21から吸込まれ、室内熱交換器27で熱交換された後、送風通路23を通過し、吹出口22から吹出し方向Bで、室内に送出される。
【0017】
送風通路23内には左右方向に延びたクロスフローファンから成る室内ファン25が設けられる。室内ファン25と吸込口21との間には冷媒管47を介して圧縮機41に接続される室内熱交換器27が吸込口21に対向して配される。室内熱交換器27は室内ファン25の長手方向に室内ファン25と略同じ幅で設けられる。室内熱交換器27の下方には室内熱交換器27の結露水を回収して外部に排水するドレンパン32が配される。ドレンパン32は後述する制御回路ユニット50の下方まで延び、制御回路ユニット50から発生する結露水を回収する。
【0018】
室内ファン25と室内熱交換器27との間にはヒータユニット28が配される。ヒータユニット28は中壁24の側面部(不図示)にネジ止めされたアングル80により保持される。室内熱交換器27及びヒータユニット28の上方はダクト部材29により覆われる。アングル80を取り付けるネジを外してダクト部材29を取り外すことにより、上方からヒータユニット28を着脱することができる。
【0019】
ヒータユニット28は電極により半導体素子を挟むPTCヒータ28aとハニカム状のハニカムフィン28bとを積層して形成される。加熱ヒータとしてのPTCヒータ28aは室内ファン25よりも長手方向に短く、送風通路23内にはPTCヒータ28aの右側に空間部33が形成される。空間部33にはヒータユニット28の端子部28cが配される。
【0020】
端子部28cの後方にはPTCヒータ28aを制御するトライアック素子52を有した制御回路ユニット50が配される。回路ユニット固定部78は中壁24の開口部(不図示)に嵌合する。そして、回路ユニット固定部78の上下端に設けた貫通孔78aにネジを挿通し、アングル80のネジ部80aにネジ止めされる。これにより、制御回路ユニット50が中壁24に取り付けられ、固定される。
【0021】
この時、トライアック素子52を含む基板ホルダ60は送風通路23の外側に隣接して配置される。トライアック素子52に密着するヒートシンク70は送風通路23内に突出し、PTCヒータ28aに対して長手方向の外側の室内ファン25と室内熱交換器27との間に配される。PTCヒータ28aはトライアック素子52によりDUTY制御され、始動時にDUTY比を徐々に増加して駆動される。これにより、PTCヒータ28aの始動時の過電流を防止することができる。
【0022】
図4は制御回路ユニット50の分解斜視図を示している。制御回路ユニット50の構成は回路基板51、蓋部68とヒートシンク組品81とから構成される。ヒートシンク組品81は、ヒートシンク70、回路ユニット固定部78及び基板ホルダ60から構成される。射出成形で、溶けた熱伝導樹脂を金型の中に入れることにより一体で成形される。トライアック素子52は回路基板51に実装され、樹脂成形品から成るカップ状の基板ホルダ60内に配される。基板ホルダ60の開口面は樹脂成形品から成る蓋部68により閉じられる。
【0023】
そして、矢印C1に示すように、トライアック素子52の上部に設けた貫通孔52aにネジ57を挿通してネジ孔74(図5参照)に螺合する。これにより、トライアック素子52がヒートシンク70に密着して固定される。次に、矢印C2に示すように、蓋部68により基板ホルダ60の開口面が閉じられる。蓋部68の内面には基板ホルダ60の開口部65に対向して上下に延びる収納部68aが凹設される。熱伝導樹脂の一例として、SABIC Innovative Plastics Holding BV社製の型番LNP*Konduit*Compound PX08321がある。ASTM E1461試験法での試験で、熱伝導率は、2.6〜10W/m−Kである。
【0024】
図5、図6は基板ホルダ60、ヒートシンク70及び回路ユニット固定部78を取り付けた状態を示すヒートシンク組品81の上面断面図と正面図である。回路ユニット固定部78を判別しやすくするために、斜線で示している。ヒートシンク70は、一面に複数のフィン71が突設される。
【0025】
基板ホルダ60とヒートシンク70との対向面60aと70aで、基板ホルダ60とヒートシンク70は、一体に成型されている。対向面60aの底面には上下に延びる断面コ字型の溝部72が凹設される。溝部72の底面の上部にはネジ孔74が設けられる。
【0026】
基板ホルダ60はヒートシンク70との対向面60aの上部に窓部64が開口する。基板ホルダ60の内周面にはL字型の複数のリブ62が設けられる。
【0027】
次に、回路基板51が基板ホルダ60内のリブ62上に載置される。トライアック素子52の端子52bは屈曲し、回路基板51に対して平行にトライアック素子52が配される。トライアック素子52は窓部64を介してヒートシンク70の溝部72に嵌合する。
【0028】
この時、トライアック素子52がヒートシンク70の溝部72に嵌合するため、ネジ57の締め付けによるトライアック素子52の回動が防止される。また、回路基板51の上端には貫通孔52aに対向する部分を切欠いて貫通孔52aが露出する凹部51aが形成される。トライアック素子52は凹部51aを通してネジ57により固定される。このため、トライアック素子52の回路基板51からの平面的な突出量を小さくすることができる。従って、基板ホルダ60とヒートシンク70が一体であるのでトライアック素子52をヒートシンク70に確実に、固定できる。なお、図5の紙面に対し、下側にある一点鎖線は、モールド材58が注入される高さを示す。
【0029】
トライアック素子52がヒートシンク70に取り付けられると、基板ホルダ60内にはウレタン等の樹脂から成るモールド材58が充填される。モールド材58の硬化によって回路基板51及びトライアック素子52がモールドされ、回路基板51が固定される。モールド材58の注入方法については、図11で説明する。モールドにより、冷房運転時に低温の空気がヒートシンク70に接触して基板ホルダ60内に結露が発生した際に、モールド材58によって回路基板51及びトライアック素子52への結露水の付着を防止することができる。
【0030】
図7は制御回路ユニット50の斜視図を示している。制御回路ユニット50はヒートシンク組品81と蓋部68を備えている。トライアック素子52は回路基板51に実装され、樹脂成形品から成るカップ状の基板ホルダ60内に配される。
【0031】
次に、蓋部68により基板ホルダ60の開口面が閉じられる。蓋部68の内面には基板ホルダ60の開口部(不図示)に対向して上下に延びる収納部68aが凹設される。収納部68a内にリード線(不図示)を配置することにより、リード線を曲げた際の曲率半径を大きくすることができる。これにより、リード線の破損を防止することができる。また、リード線の左右方向へのずれを防止することもできる。
【0032】
本発明では、制御回路ユニット50の部品点数を減らすことができ、組立てが簡略化され、組立て時間の短縮をはかることができる。
【0033】
図8、図9、図10は本発明の第1、第2、第3の実施形態のヒートシンクの取付け状態を示す側面断面図である。なお、制御回路ユニット50における断面は、ヒートシンク70のフィン71での断面の形状を示している。
【0034】
図8は、ヒートシンク70のフィン71は、室内熱交換器27(紙面に対し、上下方向)に平行に複数設けられている。吸込み方向Aで吸込口21から吸われた室内の空気は、方向Eのように、室内ファン25の回転軸25aに向かって流れ、送風通路23を通過し、吹出口22から吹出し方向Bで、室内に送出される。
【0035】
図9については、図8との違いが、フィン71が、室内ファン25の回転軸25aに向かって平行に複数設けられている。発生する風の流れは、方向Fのように、室内ファン25に向かって流れる。したがって、吸込み方向Aの空気の流れに傾斜して沿ったフィン71の形状であるので、複数のフィン71間を通過する風量が多くなり、図8のフィン71形状より効率良く、冷やすことができる。
【0036】
図10については、図9との違いが、吸込み方向Aの空気の流れに沿ったフィン71が、円形上に平行に複数設けられている。発生する風の流れは、方向Gのように、室内ファン25の回転軸25aに向かって流れる。したがって、図9のフィン71形状より、送風通路23の流れに沿い、かつフィン71の長さが長いので、熱交換の長さが長くなることから、さらに効率良く、冷やすことができる。なお、図10のフィン71の並びは、真円形状であるが、楕円形状でもよい。
【0037】
上記のように、室内ファン25によって発生する風の流れに沿うように、ヒートシンク70のフィン71とフィン71の隙間を複数設けることにより、効率的に、ヒートシンク70を冷やすことができる。
【0038】
図11は、本発明と比較例のモールド材58の注入方法の詳細図である。図11(a)は、本発明の注入方法である。図11(b)は、従来の注入方法を比較例として示したものである。
【0039】
本発明では、図11(a)のように、ヒートシンク組品81を、一体成型時に、ヒートシンク70から基板ホルダ60に貫通する貫通孔82を設ける。一例として、ヒートシンク70での孔は、フィン71とフィン71の隙間に設けて、該隙間より狭い孔とし、矢印Jから、軟らかいモールド材58をヒートシンク70の孔に流し込むようにして注入する。なお、該ヒートシンク70の孔と回路基板51の上側、回路基板51と基板ホルダ60の隙間の両方または一方からモールド材58を流し込むようにして注入してもよい。なお、モールド材58の引出線が示している一点鎖線は、モールド材58が注入される高さを示している。モールド材58としては、シリコン系樹脂やウレタン等の樹脂がある。
【0040】
なお、フィン71とフィン71の隙間より広い孔とし、孔の周囲にフィン71を設けなくてもよい。図11(b)は、比較例で、従来の注入方法である。矢印Kのように、回路基板51の上側、回路基板51と基板ホルダ60の隙間の両方または一方からモールド材58を流し込むようにして注入する。
【0041】
トライアック素子52がヒートシンク70に取り付けられると、基板ホルダ60内にはモールド材58が充填される。モールド材58の硬化によって回路基板51及びトライアック素子52がモールドされ、回路基板51が固定される。この時、硬化前に窓部64の周囲とヒートシンク70との隙間を伝うモールド材58は表面張力によって基板ホルダ60の周囲への流出が防止される。モールド材58の流出を防止するシールド材を基板ホルダ60の周囲に設けてもよい。
【0042】
冷房運転時に送風通路23を流通する低温の空気がヒートシンク70に接触すると、基板ホルダ60内に結露が発生する場合がある。この時、モールド材58によって回路基板51及びトライアック素子52への結露水の付着を防止することができる。
【0043】
また、トライアック素子52は基板ホルダ60内の上部に配置される。モールド材58に空孔が生じた場合に、モールド材58表面の結露水がトライアック素子52に到達する場合がある。この時、トライアック素子52を基板ホルダ60内の上部に配置するので、下部に配置するよりも結露水がトライアック素子52に到達する可能性を低減することができる。
【0044】
従来の注入方法では、エアーが入ることがあり、絶縁が悪くなる場合があったが、基板ホルダ60の底の設けた孔から注入することにより、基板ホルダ60の底からモールド材58が流し込まれるので、エアー抜きになり、空気がはいりにくいという効果があり、絶縁が悪くなりにくい。
【0045】
上記構成の空気調和機1において、冷房運転を開始すると圧縮機41の駆動によって冷凍サイクルが運転される。これにより、室内熱交換器27が冷凍サイクルの低温側の蒸発器となり、室外熱交換器42が冷凍サイクルの高温側の凝縮器となる。室外熱交換器42は室外ファン43の駆動により外気と熱交換して放熱する。室内ファン25の駆動によって室内の空気が吸込口21から送風通路23内に流入し、室内熱交換器27と熱交換して降温された空気が吹出口22から室内に送出される。これにより、室内の冷房が行われる。
【0046】
暖房運転を開始すると圧縮機41の駆動によって冷凍サイクルが運転される。これにより、室内熱交換器27が冷凍サイクルの高温側の凝縮器となり、室外熱交換器42が冷凍サイクルの低温側の蒸発器となる。室外熱交換器42は室外ファン43の駆動により外気と熱交換して吸熱する。室内ファン25の駆動によって室内の空気が吸込口21から送風通路23内に流入し、室内熱交換器27と熱交換して昇温される。
【0047】
また、PTCヒータ28aを駆動すると、送風通路23を流通する空気が更に昇温される。この時、室内ファン25及び室内熱交換器27はPTCヒータ28aよりも側方に延びて形成される。これにより、室内熱交換器27の熱交換面積を大きくすることができる。また、PTCヒータ28aの側方の空間部33を流通する空気によってヒートシンク70を介してトライアック素子52が冷却される。この時、空間部33を流通する空気はヒートシンク70と熱交換して昇温される。
【0048】
室内熱交換器27及びPTCヒータ28aにより昇温された空気は吹出口22から室内に送出され、室内の暖房が行われる。
【0049】
暖房運転時に圧縮機41を停止してPTCヒータ28aのみによって空気を昇温してもよい。また、冷凍サイクルの運転によって冷房しか行うことができない冷房専用の一体型空気調和機において、PTCヒータ28aによる暖房運転を行えるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態によると、ヒートシンク組品81は、ヒートシンク70、回路ユニット固定部78及び基板ホルダ60から構成され、熱伝導樹脂により一体成型されている。 また、ヒートシンク70と基板ホルダ60とを一体成型することにより、ヒートシンク70と基板ホルダ60との接触部である外周をモールド材58によってシールする必要がない。
【0051】
また、ヒートシンク70は、アルミニウムなので、アルミニウム押出機等を用いて押出し成形し、その後カットして、部品を作成していたが、樹脂で作成することで、大幅に自由な形状を変えることができる。一例として、ヒートシンク70のフィン71とフィン71との空間を室内ファン25の送風の流れに沿ったフィン71の模様にすることができる。
【0052】
本実施形態において、ヒートシンク70に密着したトライアック素子52で制御される加熱ヒータとしてのPTCヒータ28aによって送風通路23を流通する空気を加熱しているが、これに限らない。ヒートシンク70に密着した他の制御素子により制御される加熱ヒータを用いて、加熱を行ってもよい。熱伝導樹脂は、熱伝導樹脂とアルミニウム粉末等の金属物との組み合わせた一体の成形でもよい。
【0053】
図12は、本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合の回路図である。商用電源83は、電源回路84を通して、直流12Vに変換して、制御回路85のコントロール用としての電源である。制御回路85は、インバータ回路86、室内ファン25、室外ファン43及び四方弁87を制御している。熱電変換素子90を、圧縮機41近傍の入口パイプ91と出口パイプ92との間に配置し、配管パイプ同士の温度差を利用して、熱電変換素子90に起電力を発生させる。
【0054】
一例として、暖房運転を行った場合に、熱電変換素子90に起電力が発生する。次にレギュレータ回路をDC12Vに設定している。レギュレータ回路95の出力電圧が、12Vに到達すれば、電圧検出回路98が検出し、電圧検出回路98からリレー等を用いて、電源ライン切替手段96を、T−V接続からT−W接続に切替える。12Vに到達してなければ、電源ライン切替手段96は、T−V接続を保持する。
【0055】
図13は、本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合の概略構造図である。図(a)は、平面図で、図(b)は、図(a)におけるM−M’断面図である。
【0056】
図13は、熱電変換素子90を圧縮機41近傍の入口パイプ91と出口パイプ92との間に取り付けた図である。熱電変換素子90の長方形形状の左右の面を平板94の長方形の面に接着剤等で固定し、熱電変換素子90を平板94で挟み込む。平板94は、止め具93を備えた一体形状のアルミニウム材料からなる。なお、アルミニウム材料の代わりに熱伝導の良い樹脂材料等でもよい。止め具93は、コの字状の開口部を持ち、入口パイプ91、出口パイプ92をそれぞれこの開口部に圧入して、止め具93の内側への押し圧で固定される。入口パイプ91の配管温度が伝導して、平板94に伝わり、次に熱電変換素子90に伝わる。なお、入口パイプ91、出口パイプ92それぞれに防振ゴムで防振するようにし、熱電変換素子90が振動しないようにする。熱電変換素子90と平板94との間に、防振ゴムと放熱用シール剤等を挟み込んで、振動を防止あるいは、熱伝導をよくしてもよい。
【0057】
熱電変換素子90の材料として、低温域材料のBiTe合金を用いているが、たとえばBi、Sb、Te、Siなどの単一材料あるいはFeSi合金、CrSi合金などの材料を用いてもよい。
【0058】
一例として、暖房時の室内温度20℃かつ室外温度8℃、冷房時の室内温度27℃かつ室外温度35℃での安定運転状態で、圧縮機41近傍の入口パイプ91温度と出口パイプ92温度の温度差は、それぞれ50℃以上となる。安定運転状態に到達した場合、入口パイプ91温度が熱伝導で入口パイプ91側の平板94に伝わり、出口パイプ92温度が熱伝導で出口パイプ92側の平板94に伝わり、熱電変換素子90の両面の平板94の温度差は、50℃以上となる。そこで、熱電変換素子90は、直流12Vの起電力を発生させる。
【0059】
図14は、本発明の第4の実施形態の熱電変換素子を用いた場合のフローチャートである。図14は、図12の回路図の構成で、運転を開始した場合である。
【0060】
最初のステップS01で、暖房運転または、冷房運転を開始する。初めに暖房運転について説明する。ステップS02で、電源ライン切換手段でT−V接続となる。ステップS03で、熱電変換素子90から電圧が発生する。ステップS04でレギュレータ回路95が動作する。
【0061】
ステップS05で、レギュレータ回路95のレギュレータ出力をDC12V一定にする。冷凍サイクル97の運転によって、ステップS06で、電圧検出回路98で、レギュレータ出力のDC12V出力を検出し、リレー等の電源ライン切替手段96により、T−Wに切替え、保持する。ステップS07で、レギュレータ回路からの12V出力がない場合、電圧検出回路98で検出できないので、ステップS07で、電源ライン切替手段96は、T−V接続を保持する。運転停止の場合は、ステップS09で終了となる。運転停止でない場合は、ステップS06に戻り、繰り返す。冷房運転の場合、暖房運転との違いは、四方弁87で切替えると同時に熱電変換素子90の電圧出力の配線のプラスマイナスを逆にするように連動させている。なお、運転を暖房運転から、冷房運転に切替えた場合は、ステップS01に戻り、繰り返す。運転を冷房運転から、暖房運転に切替えた場合も、同様である。
【0062】
本実施形態では、熱電変換素子90から得られる電気により、制御回路85の電源とすることにより、圧縮機41近傍の入口パイプ91と出口パイプ92の廃熱を有効に利用することができる。
【0063】
以上で説明した実施形態はあくまで本発明を実施するに当たっての一例であり、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した実施形態に開示された技術的手段に周知慣用技術を適宜組み合わせて得られる態様についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によると、加熱ヒータと加熱ヒータの制御素子を有する空気調和機に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 空気調和機
2 室内部
3 底板
4 室外部
5 仕切壁
20、40 筐体
21 吸込口
22 吹出口
23 送風通路
24 中壁
25 室内ファン
26 ルーバ
27 室内熱交換器
28 ヒータユニット
28a PTCヒータ
31 電装ボックス
41 圧縮機
42 室外熱交換器
43 室外ファン
50 制御回路ユニット
51 回路基板
52 トライアック素子
58 モールド材
60 基板ホルダ
70 ヒートシンク
71 フィン
78 回路ユニット固定部
78a 貫通孔
81 ヒートシンク組品
82 貫通孔
90 熱電変換素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機において、
加熱ヒータと、
前記加熱ヒータを制御する回路基板と、
前記回路基板を保持する基板ホルダと、
前記回路基板の放熱を行うヒートシンクと、
前記ヒートシンクまたは前記基板ホルダを保持する回路ユニット固定部を備え、
前記基板ホルダと前記ヒートシンクと前記回路ユニット固定部とを熱伝導樹脂により一体に成形したことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記ヒートシンクのフィン形状を室内ファンの回転軸に向かって、平行に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記ヒートシンクのフィン形状を室内ファンの回転軸に向かって、円形状に平行に複数設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記ヒートシンクに、前記基板ホルダ内に貫通する孔を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の空気調和機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−36720(P2013−36720A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175483(P2011−175483)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】