説明

空気調和機

【課題】より簡易な構造で信頼性が高い清掃装置を備えた空気調和機を提供する。
【解決手段】本発明の空気調和機は、空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、前記筐体内に配置された熱交換器と、前記熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、室内空気を前記空気吸込口より吸い込み、前記フィルター及び前記熱交換器を通してから前記空気吹出口より吹き出す送風ファンと、前記フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置と、を備え、前記清掃装置は前記フィルター上を左方向及び右方向に移動する掃除用刷毛を有し、前記掃除用刷毛は前記左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルターを清掃する清掃機構を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、室内空気を熱交換器に循環させて、加熱,冷却,除湿等により調和された空気を室内に吹き出すことにより、室内を空気調和する。この空気調和機内を循環する空気中の塵埃は、空気調和機の室内空気吸込口に配置されたフィルターにより除去される。しかし、フィルターで除去した塵埃がフィルターに蓄積すると、通風抵抗が大きくなり、熱交換性能が低下する。
【0003】
これに対して、特許文献1は、フィルターを清掃する清掃機構を備えた空気調和機を開示している。特許文献1の空気調和機は、フィルターに捕集された塵埃を掃き取る掃除用刷毛を有する清掃装置を備え、掃除用刷毛はフィルターに摺接しながら移動することで、フィルターに蓄積した塵埃を除去することができる。ここで、清掃機構は、掃除用刷毛の毛束をフィルターに摺接することで曲げ、その反力によってフィルターに蓄積した塵埃を除去している。
【0004】
しかしながら、特許文献1の掃除用刷毛の毛束が長いと、掃除用刷毛の毛束の毛先ではなく、掃除用刷毛の毛束の中間部分でフィルターに蓄積した塵埃を掃くことになる。そして、掃除用刷毛の毛束の中間部分は掃除用刷毛の毛束の毛先よりも反力が弱い。つまり、掃除用刷毛の毛束が長いとフィルターに蓄積した塵埃を十分に除去することができない。一方、特許文献1の掃除用刷毛の毛束が短いと、掃除用刷毛の毛束の反りや組み付けのばらつきによっては、掃除用刷毛の毛束がフィルターに届かない可能性もある。
【0005】
そこで、清掃装置の進行方向に対して掃除用刷毛の毛束の長さを変えることで、安定的にフィルターに蓄積した塵埃を掃くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−057846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、清掃装置の進行方向に対して掃除用刷毛の毛束の長さを変えた場合、清掃装置が掃除用刷毛の毛束の長さが長い方向に進むときに、掃除用刷毛の毛束の長さが長い毛が、掃除用刷毛の毛束の長さが短い毛の下側に潜り込み、掃除用刷毛の毛束がフィルターを摺接する抵抗が大きくなる。
【0008】
本発明の目的は、より簡易な構造で信頼性が高い清掃機構を備えた空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の空気調和機は、空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、前記筐体内に配置された熱交換器と、前記熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、室内空気を前記空気吸込口より吸い込み、前記フィルター及び前記熱交換器を通してから前記空気吹出口より吹き出す送風ファンと、前記フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置と、を備え、前記清掃装置は前記フィルター上を左方向及び右方向に移動する掃除用刷毛を有し、前記掃除用刷毛は前記左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より簡易な構造で信頼性が高い清掃機構を備えた空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】空気調和機の全体構成図。
【図2】室内機の内部上面図。
【図3】室内機の側断面図。
【図4】清掃機構の斜視図。
【図5】毛束の長さを徐変させた掃除用刷毛の説明図。
【図6】毛束の長さを2段階にした掃除用刷毛の説明図。
【図7】毛束の長さをn段階にした掃除用刷毛の説明図。
【図8】集塵機構の上面図。
【図9】集塵機構の斜視図。
【図10】集塵機構の断面図。
【図11】清掃動作説明図。
【図12】刷毛動作説明図。
【図13】刷毛動作説明図。
【図14】本発明の刷毛動作説明図。
【図15】本発明の刷毛動作説明図。
【図16】本発明の刷毛動作説明図。
【図17】本発明の刷毛動作説明図。
【図18】本発明の刷毛動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の空気調和機の実施例について図面を用いて説明する。まず、空気調和機の全体構成について図1及び図3を用いて説明する。
【0013】
図1は空気調和機の全体構成図である。空気調和機1は、室内機2、室外機6及び室内機2に操作信号を送信するリモコン5を備える。室内機2及び室外機6は接続配管8で接続される。室内機2は、筐体21内に、後述する熱交換器33等の内部構造体を備える。空気調和機1は、室内空気を空気吸込口27から吸い込み、熱交換器33で加熱,冷却,除湿等された室内空気を、空気吹出口29から室内に吹き出すことにより、室内を空気調和する。
【0014】
図3は室内機の側断面図である。室内機2は、室内空気を吸い込む空気吸込口27を室内機2上部に備える。空気吸込口27の下流側には、室内空気中の塵埃を除去するフィルター231が空気吸込口27を覆うように配置される。フィルター231の下流であって、筐体21の中央部には、略逆V字状に形成され熱交換器33が配置される。熱交換器33の下流には、熱交換器33の幅と略等しい長さの貫流ファン方式の送風ファン311が配置される。熱交換器の下端部には露受皿35が配置される。露受皿35は、冷房運転時や除湿運転時に熱交換器33に発生する凝縮水を受ける。露受皿35に集められた凝縮水はドレン配管37を通して室外に排出される。熱交換器33の下流であって、室内機2の下部には、熱交換器33で加熱,冷却,除湿等された室内空気を室内に吹き出す空気吹出口29を備える。空気吹出口29には、吹き出される空気を左右方向に偏向する左右風向板295、及び、上下方向に偏向する上下風向板291を備える。
【0015】
空気調和機1において、まず、送風ファン311を運転することで、室内空気を空気吸込口27から室内機2内に吸い込む。その際、フィルター231により空気中の塵埃が除去される。その後、室内機2内に吸い込まれた室内空気は、熱交換器33で加熱,冷却,除湿等されて、送風ファン311を介して、空気吹出口29から室内に吹き出される。空気吹出口29から室内に吹き出される調和された空気は、左右風向板295及び上下風向板291により、左右方向及び上下方向が偏向される。このようにして、室内空気を空気吸込口27から吸い込み、熱交換器33で加熱,冷却,除湿等された室内空気を空気吹出口29から室内に吹き出すことにより、室内を空気調和する。
【0016】
次に、フィルター231の清掃機構230について図2及び図4を用いて説明する。図2は室内機の内部上面図である。図4は清掃機構の斜視図である。
【0017】
清掃機構230は、掃除用刷毛267と、図2及び図4の左右方向(室内機2の長手方向)に掃除用刷毛267を移動させる移動機構233と、掃除用刷毛267により掃き取られた塵埃を収集する集塵機構270とを備え、フィルター231に捕集された塵埃を掃き取る。
移動機構233は、掃除用刷毛267を保持する刷毛保持部262と、刷毛保持部262を案内する案内枠234と、刷毛保持部262を移動させる移動用モータ242とを備える。案内枠234は、フィルター231の室内機2背面側にレール235を、フィルター231の室内機2前面側に推進軸を備える。
【0018】
案内枠234は、刷毛保持部262に保持された掃除用刷毛267がフィルター231及び集塵機構270上を図2及び図4の左右方向に移動するように、フィルター231及び集塵機構270を囲うように配置される。尚、フィルター231を案内枠234に固定して、フィルター231と案内枠234を一体に構成するようにしてもよい。
【0019】
推進軸243は多角形断面を有し、案内枠234に設けられた図示しない軸受に軸支される。推進軸243の一端は、図示しない歯車を介して、案内枠234に固定された移動用モータ242に連結される。推進軸243にはスクリュウ,キャリッジ261が緩挿され、スクリュウは案内枠234に設けられた、推進軸243と平行なラックに噛合している。刷毛保持部262は、推進軸243が保持するキャリッジ261とレール235とにより保持され、フィルター231を跨ぐように配置される。
【0020】
このような移動機構233において、移動用モータ242を回転させることで、推進軸243が回転し、図2及び図4の左右方向にスクリュウが移動する。スクリュウの移動に伴って、キャリッジ261に保持された刷毛保持部262が図2及び図4の左右方向に移動する。これにより、刷毛保持部262に保持された掃除用刷毛267が、フィルター231に捕集された塵埃を掃き取るようにフィルター231上を移動する。尚、移動用モータ242の回転方向を逆回転にすることにより、キャリッジ261の移動方向を変更することができる。
【0021】
掃除用刷毛267は、図5の如く、掃除用刷毛267の進行方向に、毛束押さえ268を備え、毛束押さえ268により、毛束269の変形を抑制する。また、掃除用刷毛267の毛束269は進行方向に対して毛の長さを変更する。すなわち、最短部ではフィルター231の略表面までの長さとし、最長部では毛の先端がフィルター231の表面で折り曲がる長さとする。これは、フィルター231の表面に付着した様々な形状の塵埃に対応するものである。例えば、フィルター231の表面に塵埃が多く付着している場合、毛束269の毛の長さが一様に長くフィルター231の表面で折り曲がる形状の場合、毛束に押しつけられた塵埃が塊となり、毛束がその上を撫でてしまい、毛束に塵埃が付着せずフィルター231の表面に塵埃が残ってしまう。
【0022】
一方で、毛束269の毛の長さが一様に短くフィルター231の略表面までの長さである場合には、フィルター231や掃除用刷毛267の反りや組み付けのバラツキにより、毛束269とフィルター231の間に隙間が生じる場合があり、この部分で塵埃の取り残しが生じてしまう。
【0023】
これらを解消するために、掃除用刷毛267の毛束269は進行方向に対して毛の長さを変更するものである。毛束の形状については、毛の長さが長くなるものであれば、図5のように徐々に毛の長さを長くするものや、図6のように毛の長さを短いものと長いものの2段階に、更に図7のようにn段階に長さを変化させてもよい。
【0024】
ここで、図6のように毛の長さを短いものと長いものの2段階にした場合、毛の長さが短いものと長いものの段差に大きさが大きい塵埃が挟まり、塵埃の取り残しを減らすことができる場合がある。
【0025】
次に、集塵機構270について、図8及び図9を用いて説明する。図8は集塵機構の上面図、図9は集塵機構の斜視図、図10は集塵機構の断面図である。
【0026】
集塵機構270は、フィルター231の方向に歯先が向かう第1櫛歯271と、フィルター231と第1櫛歯271との間に位置し第1櫛歯271の方向に歯先が向かう第2櫛歯273と、第1櫛歯271と第2櫛歯273の下方に位置し掃除用刷毛により掃き取られた塵埃を貯留する集塵容器284とを有する。つまり、集塵機構270は、収容開口270bを挟んで対向するように第1櫛歯271及び第2櫛歯273を備える。
【0027】
次に、清掃機構の構成及び動作について図11を用いて説明する。図11は清掃動作説明図である。
【0028】
フィルター231の側方には、清掃動作が行われていないときに掃除用刷毛267が待機する待機位置(図11A)が位置する。
【0029】
清掃動作が開始されると、移動機構233により、待機位置に待機していた掃除用刷毛267をフィルター231に向かって移動させる。このとき、掃除用刷毛267の毛先は、凹部となる待機位置の開放状態から傾斜部を通って、待機位置より少し高めに位置するフィルター231面に徐々に毛先を曲げながら乗り上げ、フィルター231と摺接する。
【0030】
フィルター231に摺接した掃除用刷毛267は、さらに集塵機構270の方向にフィルター231を移動してフィルター231を掃引し(図11C)、塵埃236を掃き取る。
【0031】
フィルター231を掃引した掃除用刷毛267は、掃き取った塵埃236と共に集塵機構270に向かう(図11D)。塵埃236を掃き取った掃除用刷毛267は、掃除用刷毛267が折返位置270a(図11J)で折り返して集塵機構270を往復する際に、第1櫛歯271及び第2櫛歯273により梳かれて、塵埃236を分離し集塵容器284内に移動させる。具体的には、掃除用刷毛267をフィルター231から第1櫛歯271に向かって移動させることにより、掃除用刷毛267によりフィルター231から掃き取られた塵埃を第1櫛歯271で梳いて集塵容器284に移送させ、その後、折返位置270a(図11J)反転して、掃除用刷毛267を第1櫛歯271から第2櫛歯273に向かって移動させることにより、掃除用刷毛267によりフィルター231から掃き取られた塵埃を第2櫛歯273で梳いて集塵容器284に移送させる。
【0032】
その後、掃除用刷毛267は再びフィルター231の表面を掃きながら待機位置まで移動させる。掃除用刷毛267が待機位置まで移動する際に掃き取った塵埃は、掃除用刷毛267が待機位置で待機している間は掃除用刷毛267が保持する。そして、掃除用刷毛267が再び集塵機構270を往復する際に、第1櫛歯271及び第2櫛歯273により梳かれて、塵埃236を分離し集塵容器284内に移動させる。以上のように、掃除用刷毛267はフィルター231の上を、両方向に進行することになる。
【0033】
なお、集塵機構270を折返位置270a及び待機位置の2箇所に設けることで、掃除用刷毛267が待機位置で待機する前に塵埃236を分離し集塵容器284内に移動させてもよい。
【0034】
ここで、待機位置に戻る際には、掃除用刷毛267をフィルター231に接触しないようにすることも可能ではあるが、フィルター231の表面を掃くのが、集塵機構270の方向に移動する1回だけのため、掃除用刷毛267がフィルター231の表面の塵埃を取り切れないこともあり、フィルター231の表面に塵埃が残った状態となるため、次に清掃動作を実施するまでの時間を短くせざるを得ない。
【0035】
一方、待機位置に戻る際にも、掃除用刷毛267でフィルター231を掃いていく場合には、フィルター231の表面を2回掃くため、フィルター231の表面に除去できなかった塵埃が残ることはほとんどない。しかし、掃除用刷毛267の毛束269は進行方向に対して毛の長さを変更しているため、図12のように毛の短い方向に進行する場合に対し、図13のように毛の長い方向に進行する際には、長い毛が短い毛の下側に潜り込むため、毛束269とフィルター231の抵抗が大きくなってしまう。
【0036】
清掃機構は、掃除用刷毛をフィルターに摺接することで曲げ、その反力によってフィルターに蓄積した塵埃を除去している。ここで、掃除用刷毛のうち、掃除用刷毛の根元に近い毛よりも毛先に近い毛の方が、反力が強い。図12のように清掃機構が毛の短い方向に進行する場合、短い毛の毛先の下側に長い毛が潜り込むことはない。一方、図13のように清掃機構が毛の長い方向に進行する場合、長い毛の毛先の下側に短い毛が潜り込むことになる。つまり、反力が強い毛先の下側に毛が潜り込むため、抵抗が大きくなってしまう。従って、図12のように清掃機構が毛の短い方向に進行する場合と、図13のように清掃機構が毛の長い方向に進行する場合とでは、掃除用刷毛をフィルターに摺接することによる抵抗の大きさが異なることになる。
【0037】
そこで、毛の短い方向に進行する際には、掃除用刷毛267を傾斜することでフィルター231の表面を掃きつつ、毛束269とフィルター231の抵抗を抑制することが可能である。図14及び図15に掃除用刷毛267を傾斜させる機構の1例を示す。掃除用刷毛267は掃除用刷毛押さえ276にて固定しているが、この掃除用刷毛押さえ276の掃除用刷毛267の上面を押さえる面は、毛束269の短い毛の側に隙間が大きくなるよう傾斜している。
【0038】
掃除用刷毛267が毛束269の短い毛の方向に進行する際には図14の如く掃除用刷毛267は水平状態になるが、毛束269の毛の長い方向に進行する際には図15の如く掃除用刷毛267を傾斜させることで、毛束269の短い毛とフィルター231の表面との隙間ができ、そこに毛束269の長い毛が潜り込むため、毛束269とフィルター231の抵抗を抑制することができる。そして、毛の長い方向に進行する際に、掃除用刷毛267を傾斜させる傾きを調節することで、毛の長い方向に進行する際における毛束269とフィルター231の抵抗と、毛の短い方向に進行する際における毛束269とフィルター231の抵抗とを均一化することができる。
【0039】
なお、毛束269の毛先とは、毛束269のうちフィルター231に接する毛の先端をいう。また、毛束269の根元とは、毛束269を束ねる部分とする。また、掃除用刷毛267の上方を掃除用刷毛267の下方よりも右方向に傾けることとは、毛束269の根元を右方向に傾けることを意味し、毛束269とフィルター231が接触する部分である毛束269の毛先が毛束269の根元よりも毛束269の進行方向に対して後になることをいう。
【0040】
また、室内機2の長手方向のうち、掃除用刷毛267の待機位置から集塵容器284へ向かって掃除用刷毛267が移動する方向を左方向とし、集塵容器284から掃除用刷毛267の待機位置へ向かって掃除用刷毛267が移動する方向を右方向とする。
【0041】
また、掃除用刷毛267を固定する構造としては図16の様にしても良い。すなわち、毛束269を刷毛保持部262の隙間に入れることで保持し、毛束269を結束保持部262に固定していない。そして毛束269の短い毛側の上方に位置する刷毛押さえ276に傾斜部276aを設けている。そのため、毛束269の上面が傾斜部176aに入り込むことで、掃除用刷毛267を傾斜させることが可能である。
【0042】
掃除用刷毛267を固定する構造としては図17及び図18の様にしても良い。すなわち、掃除用刷毛267の中央から毛束269の長い毛側に、掃除用刷毛267が、そこを中心として回転するように設けられた固定ピン277を構成する。
【0043】
なお、図18の様に掃除用刷毛押さえ276によって、毛の長い方向に進行する際における掃除用刷毛267を傾斜させる傾きを制限することで、毛の長い方向に進行する際における毛束269とフィルター231の抵抗を調節することができる。
【0044】
掃除用刷毛267が毛束269の短い毛の方向に進行する際には図17の如く掃除用刷毛267は水平状態になるが、毛束269の毛の長い方向に進行する際には、図18の如く掃除用刷毛267が固定ピン277を中心として傾斜し毛束269の短い毛とフィルター231の表面との隙間ができ、そこに毛束269の長い毛が潜り込むため、毛束269とフィルター231の抵抗を抑制することができる。
【0045】
このように、本実施例の空気調和機は、空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、前記筐体内に配置された熱交換器と、前記熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、室内空気を前記空気吸込口より吸い込み、前記フィルター及び前記熱交換器を通してから前記空気吹出口より吹き出す送風ファンと、前記フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置と、を備え、前記清掃装置は前記フィルター上を左方向及び右方向に移動する掃除用刷毛を有し、前記掃除用刷毛は前記左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置することにより、簡易な構造で掃除用刷毛がフィルターを摺接するときの抵抗をより均一化することができる。
【0046】
さらに、前記清掃装置は、前記フィルター上を移動する掃除用刷毛、及び、前記掃除用刷毛で掃き取られた塵埃を収納する集塵容器を有し、前記掃除用刷毛は、前記掃除用刷毛が前記集塵容器に近づく左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、前記掃除用刷毛が前記集塵容器から離れる右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置する。掃除用刷毛が左方向に移動する場合は、短い毛の毛先と長い毛の毛先の両方をフィルターに摺動させることができ、フィルター231の表面に付着した様々な形状の塵埃をより掃き取りやすい。そのため、掃除用刷毛が左方向に移動する場合は掃除用刷毛が右方向に移動する場合に比べてより多くの塵埃を掃き取ることができる。ここで、掃除用刷毛の毛束に付着した塵埃は、掃除用刷毛が移動することで、掃除用刷毛から落下する場合がある。そのため、掃除用刷毛が右方向に移動して塵埃を掃き取った後に、塵埃が付着した状態の掃除用刷毛が左方向に移動したとすると、掃除用刷毛に付着した塵埃が落下する可能性がある。そこで、掃除用刷毛が右方向に移動する場合に比べてより多くの塵埃を掃き取ることができる掃除用刷毛が左方向に移動した後に、掃除用刷毛に付着した塵埃を集塵容器に移動させることで、掃除用刷毛が移動する際に掃除用刷毛に付着した塵埃が落下する可能性を下げることができる。
【0047】
また、前記清掃装置による清掃が行われていない状態では、前記掃除用刷毛は前記フィルターを挿んで前記集塵容器の反対側にある待機位置に位置し、前記清掃装置による清掃が開始されると、前記清掃用刷毛は前記待機位置から前記左方向に前記集塵容器まで移動して前記フィルターに捕集された塵埃を掃き、且つ、前記清掃用刷毛は前記集塵容器から前記右方向に前記待機位置まで移動して前記フィルターに捕集された塵埃を掃くことにより、短い毛の毛先と長い毛の毛先の両方をフィルターに摺動させることができる方向を掃除用刷毛が集塵容器に向かう方向とすることができる。清掃装置は、掃除用刷毛を左方向に移動させてフィルターに付着した塵埃を掃き取った後に、掃除用刷毛を右方向に移動させて取り残した塵埃を掃き取らせる。そのため、掃除用刷毛が左方向に移動して掃き取る塵埃の量に比べ、掃除用刷毛が右方向に移動して掃き取る塵埃の量は少ない。つまり、掃除用刷毛を待機位置から左方向に移動させた後に、掃除用刷毛に付着した塵埃を集塵容器に移動させることで、掃除用刷毛が移動する際における塵埃の付着量を抑えることができ、掃除用刷毛に付着した塵埃が集塵容器以外に落下する可能性を減らすことができる。
【0048】
また、前記清掃装置は前記掃除用刷毛を挿んで前記フィルターの反対側に掃除用刷毛押さえを有し、前記毛束の長さが長い側の前記掃除用刷毛と前記掃除用刷毛押さえとの隙間が、前記毛束の長さが短い側の前記掃除用刷毛と前記掃除用刷毛押さえとの隙間よりも大きいことにより、清掃機構が毛の長い方向に進行する場合、傾斜部276aに毛束269が入り込む分、毛束269の位置が上方に移動する。そのため、掃除用刷毛をフィルターに摺接することによる抵抗が低減し、掃除用刷毛がフィルターを摺接するときの抵抗をより均一化することができる。
【0049】
また、前記清掃装置は、前記毛束の長さが長い側の前記掃除用刷毛に位置する固定ピン、及び、前記掃除用刷毛の前記左方向に位置する掃除用刷毛押さえを有し、前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛は前記固定ピンを中心として回転し、且つ、前記掃除用刷毛は前記掃除用刷毛押さえによって回転を制限されることにより、簡易な構造で掃除用刷毛がフィルターを摺接するときの抵抗をより均一化することができる。
【0050】
また、空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、筐体内に配置された熱交換器と、熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、室内空気を空気吸込口より吸い込みフィルター及び熱交換器を通してから空気吹出口より吹き出す送風ファンと、フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置とを備え、清掃装置は、フィルターに捕集された塵埃を掃き取る毛束を進行方向と垂直に長さを徐変させ、毛束の短い側に進行する場合に対し、毛束の長い側に進行する際には、刷毛を傾斜させる掃除用刷毛と、フィルターの方向に歯先が向かう第1櫛歯と、フィルターと第1櫛歯との間に位置し第1櫛歯の方向に歯先が向かう第2櫛歯と、第1櫛歯と第2櫛歯との下方に位置し掃除用刷毛により掃き取られた塵埃を貯留する集塵容器とを有する。このような本実施例の空気調和機によれば、フィルター表面に付着した塵埃を確実に除去しつつ、掃除用刷毛の往復動作で安定した清掃機構を備えた空気調和機を提供することができる。
【0051】
尚、上記各実施例においては、室内空気を吸い込む空気吸込口を室内機2の上面に備える場合について説明したが、室内空気を吸い込む空気吸込口を室内機2の前面等に備える場合は、その空気吸込口の下流側にフィルター及び本実施例の清掃機構を配置してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 空気調和機
2 室内機
27 空気吸込口
29 空気吹出口
230 清掃機構
231 フィルター
233 移動機構
262 刷毛保持部
267 掃除用刷毛
267d 刷毛の方向
268,276 掃除用刷毛押さえ
269 毛束
270 集塵機構
270b 収容開口
271 第1櫛歯
271a,273a 突起
271b,273b 歯先
271c,273c 歯底
271d 第1の包絡線
273 第2櫛歯
273d 第2の包絡線
274 第1除去ブラシ
275 第2除去ブラシ
276a 傾斜部
277 固定ピン
284 集塵容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、
前記筐体内に配置された熱交換器と、
前記熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、
室内空気を前記空気吸込口より吸い込み、前記フィルター及び前記熱交換器を通してから前記空気吹出口より吹き出す送風ファンと、
前記フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置と、を備え、
前記清掃装置は前記フィルター上を左方向及び右方向に移動する掃除用刷毛を有し、
前記掃除用刷毛は前記左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、
前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
空気吸込口及び空気吹出口を有する筐体と、
前記筐体内に配置された熱交換器と、
前記熱交換器の空気吸い込み側に配置されたフィルターと、
室内空気を前記空気吸込口より吸い込み、前記フィルター及び前記熱交換器を通してから前記空気吹出口より吹き出す送風ファンと、
前記フィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置と、を備え、
前記清掃装置は、前記フィルター上を移動する掃除用刷毛、及び、前記フィルターの左方向に位置し、且つ、前記掃除用刷毛で掃き取られた塵埃を収納する集塵容器を有し、
前記掃除用刷毛は、前記掃除用刷毛が前記集塵容器に近づく前記左方向に向かって長さが短くなる毛束を有し、
前記掃除用刷毛が前記集塵容器から離れる右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛の上方が前記掃除用刷毛の下方よりも前記左方向に位置することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記清掃装置による清掃が行われていない状態では、前記掃除用刷毛は前記フィルターを挿んで前記集塵容器の反対側にある待機位置に位置し、
前記清掃装置による清掃が開始されると、前記清掃用刷毛は前記待機位置から前記左方向に前記集塵容器まで移動して前記フィルターに捕集された塵埃を掃き、且つ、前記清掃用刷毛は前記集塵容器から前記右方向に前記待機位置まで移動して前記フィルターに捕集された塵埃を掃くことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記清掃装置は前記掃除用刷毛を挿んで前記フィルターの反対側に掃除用刷毛押さえを有し、
前記毛束の長さが長い側の前記掃除用刷毛と前記掃除用刷毛押さえとの隙間が、前記毛束の長さが短い側の前記掃除用刷毛と前記掃除用刷毛押さえとの隙間よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記清掃装置は、前記毛束の長さが長い側の前記掃除用刷毛に位置する固定ピン、及び、前記掃除用刷毛の前記左方向に位置する掃除用刷毛押さえを有し、
前記掃除用刷毛が前記右方向に移動する際に、前記掃除用刷毛は前記固定ピンを中心として回転し、且つ、前記掃除用刷毛は前記掃除用刷毛押さえによって回転を制限されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項6】
前記毛束は、毛の長さが短い毛と毛の長さが長い毛の2種類の毛から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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