説明

空気調和装置の室外機

【課題】水と空気とが供給されることによって前記水を噴霧する噴霧ノズルを備えた室外機であって消費電力をより抑えることができる空気調和装置の室外機を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、空気調和装置1の室外機10であって、熱交換器12と、水と所定の圧力の空気とが供給されることにより前記水を噴霧して熱交換器12を冷却する噴霧ノズル22と、空気を昇圧させて噴霧ノズル22に供給する空気昇圧装置50と、を備える。そして、空気昇圧装置50は、噴霧ノズル22に供給される水の流れによるエネルギーを駆動源にして前記空気を昇圧させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器に水を噴霧することにより冷却効率を向上させた、空気調和装置の室外機として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
具体的に、室外機は、図5に示されるように、熱交換器102と、水と所定の圧力の空気とが供給されることにより前記水を噴霧する噴霧ノズル104と、前記所定の圧力の空気を噴霧ノズル104に供給する噴霧用コンプレッサー等の空気昇圧装置(図示省略)と、を備える。この室外機100では、噴霧ノズル104が噴霧する水の蒸発潜熱を利用して熱交換器102を冷却することにより、熱交換器102における冷媒の冷却効率を向上させ、これにより、冷凍サイクルを行うための消費電力の削減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3707737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、室外機100においては、上記のように噴霧される水の蒸発潜熱を利用して熱交換器102での冷媒の冷却効率を向上させることによって、冷凍サイクルを行うための消費電力は抑えられている。
【0006】
しかし、この室外機10では、噴霧ノズル104に所定の圧力の空気を供給するために空気昇圧装置を駆動させなければならず、冷凍サイクルを行うために消費される電力以外に前記空気昇圧装置を駆動させるための電力が必要であったため、運転条件によって室外機10全体での消費電力の削減効果が十分に得られない場合があった。
【0007】
そこで、水と空気とが供給されることによって前記水を噴霧する噴霧ノズルを備えた室外機であって消費電力をより抑えることができる空気調和装置の室外機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解消すべく、本発明は、空気調和装置(1)の室外機(10)であって、熱交換器(12)と、水と所定の圧力の空気とが供給されることにより前記水を噴霧して前記熱交換器(12)を冷却する噴霧ノズル(22)と、空気を昇圧させて前記噴霧ノズル(22)に供給する空気昇圧装置(50)と、を備え、前記空気昇圧装置(50)は、前記噴霧ノズル(22)に供給される水の流れによるエネルギーを駆動源にして前記空気を昇圧させる。
【0009】
かかる構成によれば、空気昇圧装置(50)が噴霧ノズル(22)に供給される水の流れを駆動源にしているため、噴霧ノズル(22)に所定の圧力の空気を供給する際の当該空気昇圧装置(50)における消費電力を無くす若しくは抑制することができる。これにより、噴霧した水の蒸発潜熱を利用して熱交換器(12)における冷媒の高い冷却効率を維持しつつ室外機(10)における消費電力を抑えることができる。
【0010】
本発明に係る空気調和装置(1)の室外機(10)は内部に所定の容積の収容空間(s)を有し、且つ、前記空気昇圧装置(50)から排出される空気を前記収容空間(s)内に収容すると共にこの収容した空気を前記噴霧ノズル(22)に向けて排出する容器(60)をさらに備えることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、空気昇圧装置(50)から排出される空気が一旦容器(62)内に収容された後、噴霧ノズル(22)に供給されることにより、噴霧ノズル(22)に供給される空気の圧力脈動を抑制することができる。また、容器(60)は、所定の容積の収容空間(s)内に収容された空気を噴霧ノズル(22)に向けて排出するため、空気昇圧装置(50)から昇圧された空気が直接噴霧ノズル(22)に供給される場合に比べ、空気の圧力低下が生じ難い。
【0012】
この場合、前記室外機(10)は、前記容器(60)から前記噴霧ノズル(22)に供給される空気の流路を開閉可能な弁(62)を備えることがより好ましい。かかる構成によれば、噴霧ノズル(22)への空気の供給と停止との切り換えが容易になる。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明によれば、水と空気とが供給されることによって前記水を噴霧する噴霧ノズルを備えた室外機であって消費電力をより抑えることができる空気調和装置の室外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【図2】前記空気調和装置の室外機の概略構成図である。
【図3】前記室外機の斜視図である。
【図4】前記室外機の噴霧装置における噴霧ノズルの拡大断面図である。
【図5】熱交換器に水を噴霧する方式の従来の室外機を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係る室外機は、例えば、図1に示される空気調和装置1に用いられる。この空気調和装置1は、室外機10と、室内機2と、これらを接続する冷媒配管3,3とを備える。
【0017】
室外機10は、図2及び図3にも示されるように、熱交換器12と、膨張機構13と、吸込み空気用ファン14と、四方切換弁15と、圧縮機16と、温度センサ(吸込み空気温度検出部)18と、噴霧装置20と、室外機制御部30と、を備える。尚、図2では、説明の便宜のため、噴霧装置20の一部が省略され、また、図3では、噴霧装置20の噴霧ノズル22に接続される水用流路部240等が省略されている。
【0018】
熱交換器12は、内部を冷媒が流れる伝熱管(図示省略)と、前記伝熱管が貫通する多数のプレートフィン(図示省略)と、を備える。この熱交換器12では、伝熱管の管壁とプレートフィンとを介して伝熱管内を流れる冷媒とプレートフィン同士の間を流れる外気(空気)との間で熱交換が行われる。本実施形態の熱交換器12は、例えば、クロスフィンコイル式の熱交換器であるが、これに限定されない。
【0019】
この熱交換器12は、ケーシング11の底板11aから上方に向かって立設され、例えば、ケーシング11を構成する側面板11b及び背面板11cに沿うように平面視においてL字状、U字状、又はコ字状に配置される。尚、ケーシング11の側面板11b及び背面板11cにおける熱交換器12と対向する領域には、外気がケーシング11内部に流入できるように開口(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0020】
吸込み空気用ファン14は、熱交換器12に外気(吸込み空気)を導くものであり、羽根車14aと、この羽根車14aを回転させるモータ(図示省略)とを備える。本実施形態の吸込み空気用ファン14は、ケーシング11の天板11dに配置される。この吸込み空気用ファン14は、側面板11b及び背面板11cの熱交換器12と対向する領域に設けられた前記開口からケーシング11内に外気を引き込み、この引き込んだ外気を天板11d側から外部に排出する(図2の矢印参照)。尚、天板11dにおける吸込み空気用ファン14(羽根車14a)が配置された位置には、ケーシング11の内部と外部とを連通する開口(図示省略)が設けられている。
【0021】
圧縮機16は、当該圧縮機16の駆動によって室外機10と室内機2との間において冷媒を循環させる。
【0022】
温度センサ18は、室外機制御部30に接続され、ケーシング11内に吸気される吸込み空気の温度を測定し、測定結果に応じた空気温度信号を出力する。
【0023】
噴霧装置20は、空気調和装置1の冷房運転時において水を噴霧することにより、熱交換器12に向かう外気(吸込み空気)を冷却する。この吸込み空気の流れは、上記の吸込み空気用ファン14の駆動によって形成される。このように、噴霧装置20は、水を霧状に噴霧し、その蒸発潜熱を利用して熱交換器12を補助的(間接的)に冷却することによって、熱交換器12における冷媒の冷却効率の向上を図る(即ち、空気調和装置1の冷房能力の向上を図る)。
【0024】
具体的に、噴霧装置20は、複数の噴霧ノズル22と、水供給機構24と、エア供給機構26と、を備える。本実施形態の室外機10では、各噴霧ノズル22に対して水供給機構24と、エア供給機構26とがそれぞれ接続されている。図2においては、一つの噴霧ノズル22と、この噴霧ノズル22に接続された水供給機構24及びエア供給機構26とを示しており、他の噴霧ノズル22及びこれに接続される水供給機構24及びエア供給機構26の図示を省略している。これら他の噴霧ノズル22と、これに接続される水供給機構24及びエア供給機構26との構成は、図2に示されるものと同様であるため説明を省略する。尚、噴霧ノズル22の配置される数は、複数に限定されず、1つでもよい。
【0025】
各噴霧ノズル22は、熱交換器12を冷却するための水を噴霧するノズルであり、ケーシング11に設けられた誘導板110によって支持される。尚、図2における誘導板110は、噴霧装置20の説明の便宜のために模式的に記載されているため、ケーシング11に対する寸法の比率が実際のものと異なっている。
【0026】
誘導板110は、ケーシング11の側面板11b及び背面板11cの外面側において、前記開口が設けられた領域(熱交換器12と対向する領域)を囲うように設けられる(図3参照)。この誘導板110は、噴霧ノズル22から噴霧された水(液滴)が熱交換器12以外に散逸するのを防いで前記水を噴霧された吸込み空気が熱交換器12に到達するように空気の流れを誘導するためのものである。この誘導板110における、側面板11b及び背面板11cとは反対側の端部には、誘導板110に囲まれた領域を覆うように金網111が配置されている。そして、誘導板110の対向する部位間に架橋された固定部材(本実施形態では、水平方向に架橋された部材)112に各噴霧ノズル22が固定されている。
【0027】
複数の噴霧ノズル22は、噴霧装置20による冷却効果が熱交換器12のほぼ全体に及ぼされるように、互いに間隔をあけて配置される。
【0028】
噴霧ノズル22は、図4にも示されるように、胴部220と、この胴部220の先端(水の流れ方向における下流側)に設けられるオリフィス部221と、を有する。また、胴部220は、水供給機構24から供給された水に気体(本実施形態では空気)を供給し、この水の中に多数の気泡を形成する気泡形成部220Bと、多数の気泡を含んだ状態の水をオリフィス部221まで案内する案内部220Aと、を有する。このように構成されることによって、気泡形成部220Bにおいて水の中に多数の気泡が形成され、この状態の水が案内部220Aによってオリフィス部221まで案内されることにより多数の気泡と水とが十分に混ざり、これら各気泡がオリフィス部221から外部に噴出されるときの圧力差によってそれぞれはじけ、噴霧ノズル22(オリフィス部221)から噴出される水が微細な霧状となる。即ち、当該噴霧ノズル22によれば、水中に多数の気泡を形成してこの気泡を圧力差によってはじけさせて水を霧状にすることにより、従来のいわゆる2流体ノズルのように高圧の空気の流れによるせん断力を利用して水を霧状にする場合に比べ、使用空気量を少なくすることができると共に液滴の大きさも小さくすることができる。
【0029】
胴部220は、水供給機構24から供給される水をオリフィス部221まで案内すると共に、エア供給機構26から供給される空気によって水の中に多数の気泡を形成する。この胴部220は、水案内配管222と、空気案内配管224と、を有する。
【0030】
水案内配管222は、水供給機構24から供給された水をオリフィス部221まで案内する水流路を形成する管である。この水案内配管222は、所定の内径を有する管であり、その基端(水の流れ方向における上流端)222bが後述の水用流路部240の下流端に接続されると共にその先端(水の流れ方向における下流端)222aがオリフィス部221に接続される。水案内配管222は、先端部に設けられた混和領域222Aと、その上流側に設けられた気泡形成領域222Bとを有する。
【0031】
気泡形成領域222Bは、エア供給機構26から供給された空気を水案内配管222内を流れる水の中に導入(供給)して多数の気泡を水中に形成する領域である。この気泡形成領域222Bの管壁には、水案内配管222の内側と外側とを連通する複数の孔223が形成され、この孔223を通じて水案内配管222内を流れる水の中に空気が供給される。
【0032】
混和領域222Aは、多数の気泡が内部に形成された状態の水を所定の距離流すことにより、水の中に形成された多数の気泡を水と十分に混ぜあわせるための領域である。即ち、気泡形成領域222Bでは、管壁に形成された孔223を通じて水の中に空気が供給されるために管壁近傍に気泡が形成され易いが、この状態の水が混和領域222Aにおいて所定の距離流れることによって気泡と水とが十分に混ざる。これにより、オリフィス部221から噴出される霧状の水(液滴)の大きさのむらを抑えることができる。この混和領域222Aは、気泡を含む水を流したときに、気泡と水とが十分に混ざる長さ(水案内配管222の軸方向の長さ)寸法に設定されている。
【0033】
空気案内配管224は、水案内配管222の外側に配置される管である。具体的に、空気案内配管224は、水案内配管222の外径よりも大きな内径を有し、水案内配管222の軸と当該空気案内配管224の軸とが一致するように配置される。この空気案内配管224は、水案内配管222よりも軸方向の長さ寸法が小さい。空気案内配管224の先端224aは、水案内配管222の先端222a同様にオリフィス部221(オリフィス部221の裏面221b)に接続され、水案内配管222の基端222bは、空気案内配管224の基端224bから軸方向に突出している。空気案内配管224の基端部224bでは、その内周面と水案内配管222の外周面との間が閉塞部材225によって塞がれている。
【0034】
胴部220において、閉塞部材225、水案内配管222の外周面、空気案内配管224の内周面、及びオリフィス部221によって囲まれた空間が、エア供給機構26から供給された空気を水案内配管222の気泡形成領域222Bに設けられた孔223まで案内する空気流路となる。
【0035】
また、空気案内配管224には、エア供給機構26(詳しくは第3流路部264)が接続される接続部226が設けられ、この接続部226に接続されたエア供給機構26から供給された空気が当該接続部226を介して空気流路に導入される。
【0036】
以上のように構成される本実施形態の胴部220では、軸方向において、混和領域222Aに対応する部位が案内部220Aであり、気泡形成領域222Bに対応する部位が気泡形成部220Bである。
【0037】
オリフィス部221は、胴部220によって案内された気泡を含む水を外部(噴霧ノズル22の外部)に噴出させる。本実施形態のオリフィス部221は、胴部220の軸方向と直交する方向に拡がる円板形状を有する。このオリフィス部221は、水案内配管222と空気案内配管224との先端222a、224aに接続されている。オリフィス部221は、軸方向に水流路と噴霧ノズル22の外部とを連通する噴霧孔229を有する。この噴霧孔229は、オリフィス部221の裏面221bから先端面(水の流れ方向の下流側の面)221aに向かって径が漸減するテーパ面229Aと、テーパ面229Aの先端から延びる円筒面229Bと、によって規定される。
【0038】
尚、噴霧ノズル22は、以上の構成に限定されず、水と空気とが供給されることにより前記水を噴霧可能なノズルであればよい。例えば、噴霧ノズルは、水と高圧の空気とが供給され、前記空気の流れによる剪断力を利用して水を噴霧する所謂2流体ノズルであってもよい。
【0039】
図2に戻り、水供給機構24は、例えば水道やタンク等の水供給源(図示省略)から噴霧ノズル22まで水を案内する流路を形成する水用流路部240と、流路内を流れる水を噴霧ノズル22に向けて加圧する水用ポンプ242と、を有する。この水用ポンプ242は、室外機制御部30に接続され、室外機制御部30からの制御信号に基づいて駆動する。具体的に、室外機制御部30は、温度センサ18によって測定された吸込み空気の温度が所定の温度以上に達すると、冷房運転の負荷が所定のレベルを超えた状態となるため、水用ポンプ242を駆動させ、噴霧装置20から水を噴霧させる。
【0040】
尚、水供給源から噴霧装置20に十分な圧力で水が供給される場合には、水供給機構24においてポンプ242が省略されてもよい。
【0041】
エア供給機構26は、外気(空気)を吸気すると共に噴霧ノズル22に向けて送り出す空気昇圧装置50と、バッファータンク(容器)60と、外気を空気昇圧装置50まで案内する第1流路部260と、空気昇圧装置50が排出する空気をバッファータンク60まで案内する第2流路部262と、バッファータンク60が排出する空気を噴霧ノズル22(詳しくは、胴部220の接続部226)まで案内する第3流路部264と、第3流路部264において空気の流れ方向における中間位置に取り付けられる電磁弁(弁)62と、を有する。
【0042】
空気昇圧装置50は、噴霧ノズル22に供給される水の流れを駆動源にして空気を昇圧させる。具体的に、空気昇圧装置50は、変換部52と、この変換部52に回転駆動軸54を介して接続される昇圧機構部56と、を備え、吸気した空気を昇圧させて噴霧ノズル22に供給する。
【0043】
変換部52は、水用流路部240に取り付けられ、水用流路部240内の水の流れを回転動力に変換する。具体的に、変換部52は、例えば水車のように、水流を羽根車(図示省略)の羽根にあててこの羽根車を回転させ、これにより、水の流れを回転動力に変換する。羽根車の軸(回転駆動軸)24は昇圧機構部56まで延び、羽根車の回転によって得られた回転動力は、回転駆動軸54によって昇圧機構部56に伝達される。
【0044】
昇圧機構部56は、回転駆動軸54により伝達された回転動力を用いて空気(外気)を吸気し、この吸気した空気(大気圧の空気)を所定の圧力まで昇圧させて排出する。この昇圧機構部56には、第1流路部260と第2流路部262とが接続され、昇圧機構部56は、第1流路部260を通じて外気(空気)を吸気し、所定の圧力まで昇圧させた空気を第2流路部262を通じてバッファータンク60に供給する。本実施形態の昇圧機構部56では、複数の歯車等が組み合わされ、これら複数の歯車によって変換部52から伝達された回転動力が増幅されている。
【0045】
バッファータンク60は、噴霧ノズル22に供給される空気の圧力を安定させる。具体的に、バッファータンク60は、内部に所定の容積の収容空間sを有し、空気昇圧装置50から排出される空気を一旦収容空間sに収容した後、噴霧ノズル22に向けて排出する。このように空気昇圧装置50からの空気が一旦バッファータンク60内に蓄えられた(収容された)後、排出されることにより、排出される空気において圧力脈動が抑えられる。また、バッファータンク60は、空気昇圧装置50から噴霧ノズル22に供給される空気の流路の途中(中間位置)に当該タンク60が設けられることによってその内部(所定の容積の収容空間s内)に十分な量の空気が収容され、これにより、水を噴霧する際に十分な圧力及び流量の空気を噴霧ノズル22に確実に供給することができる。尚、バッファータンク60には、収容空間s内の圧力(空気圧)を測定する圧力計等が設けられ、この圧力計等による測定結果は、室外機制御部30に出力される。
【0046】
電磁弁62は、第3流路部264内を流れる空気の流量を調整する。この電磁弁62は、室外機制御部30に接続され、この室外機制御部30からの指示信号に従ってその開度を調整する。尚、電磁弁は、流量調整弁に限定されず、例えば、弁の開度を調整できず、流路の開閉のみを行う開閉弁であってもよい。
【0047】
このように構成される空気昇圧装置50及びバッファータンク60等では、以下のようにして水の流れを駆動源にして空気を昇圧している。
【0048】
噴霧ノズル22から水が噴霧されることにより、水用流路部240内の水の流れを空気昇圧装置50の変換部52が回転動力に変換し、この回転動力を用いて昇圧機構部56が空気(外気)を吸引してこれを昇圧する。所定の圧力まで昇圧された空気は、空気昇圧装置50(詳しくは、昇圧機構部56)からバッファータンク60に供給される。このとき、室外機制御部30が電磁弁62を閉じることにより、バッファータンク60内に空気昇圧装置50からの空気が蓄えられる(収容される)。室外機制御部30は、バッファータンク60の収容空間s内に空気が十分収容された(即ち、バッファータンク60内が所定の圧力になった)のを前記圧力計等によって検知すると、電磁弁62を開いてバッファータンク60から噴霧ノズル22に空気の供給を開始する。これにより、水を噴霧するのに十分な圧力の空気が噴霧ノズル22に供給され、熱交換器12に向けて水が噴霧される。このようにして、室外機10では、噴霧ノズル22に供給される水の流れを駆動源にして所定の圧力の空気が噴霧ノズル22に供給される。即ち、当該室外機10では、噴霧ノズル22から水を噴霧させるために必要な所定の圧力の空気を電力を使用することなく噴霧ノズル22に供給することが可能である。
【0049】
室外機制御部30は、上記のような水用ポンプ242の駆動制御の他に、室外機10の各構成要素の制御も行う。例えば、空気調和装置1の運転時に、室外機制御部30は、圧縮機16を駆動させる制御を行うと共に、吸込み空気用ファン14を駆動する制御を行う。これにより、空気調和装置1において、室外機10と室内機2との間を冷媒が循環すると共に、外気がケーシング11内に引き込まれて熱交換器12が冷却される。
【0050】
以上の空気調和装置1の室外機10によれば、空気昇圧装置50が噴霧ノズル22に供給される水の流れを駆動源にしているため、噴霧ノズル22に所定の圧力の空気を供給する際の当該空気昇圧装置50における消費電力を無くすことができる。これにより、噴霧した水の蒸発潜熱を利用して熱交換器12における冷媒の高い冷却効率を維持しつつ室外機10における消費電力を抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態の室外機10では、所定の容積の収容空間sを有するバッファータンク60が設けられているため、空気昇圧装置50から排出される空気が一旦バッファータンク60内に収容された後、噴霧ノズル22に供給され、これにより、噴霧ノズル22に供給される空気の圧力脈動が抑制される。
【0052】
バッファータンク60は、所定の容積の収容空間s内に収容された空気を噴霧ノズル22に向けて排出するため、空気昇圧装置50から昇圧された空気が直接噴霧ノズル22に供給される場合に比べ、空気の圧力低下が生じ難い。
【0053】
また、本実施形態の室外機10では、バッファータンク60から噴霧ノズル22に供給される空気の流路(第3流路部264)を開閉可能な電磁弁62が設けられているため、噴霧ノズル22への空気の供給と停止との切り換えを容易に行うことができる。しかも、電磁弁62は、その開度を調整することができるため、噴霧ノズル22への空気の供給流量を容易に調整することができる。
【0054】
尚、本発明の空気調和装置の室外機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
上記実施形態の空気昇圧装置50では、変換部52と昇圧機構部56とが回転駆動軸54を介して互いに連結されているが、この構成に限定されない。例えば、空気昇圧装置の変換部が羽根車の回転によって発電し、この変換部によって生成された電力を用いて昇圧機構部が空気を昇圧させる構成であってもよい。この場合、変換部と昇圧機構部とは、電線等によって導通可能に接続されていればよく、変換部と昇圧機構部とが互いに臨む位置に配置されなくてもよい、即ち、配置の自由度が向上する。
【0056】
上記実施形態の空気昇圧装置50は、外部から電力を供給することなく所定の圧力まで昇圧された空気が噴霧ノズル22に供給されるように構成されているが、これに限定されない。空気昇圧装置は、空気を昇圧させるときに、変換部52において得られた回転動力と共に、外部から供給される電力を用いるように構成されてもよい。この場合でも、従来のように、コンプレッサーのみによって空気を昇圧してこの昇圧した空気を噴霧ノズル22に供給するのに比べて消費電力を削減することができる。
【0057】
上記実施形態の室外機10では、吸込み空気用ファン14は、ケーシング11内に引き込んだ空気(外気)を上方に向けて吹き出すように設けられているが、この位置に限定されず、前記空気をケーシング11から横向きに吹き出すように設けられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 空気調和装置
10 室外機
12 熱交換器
22 噴霧ノズル
50 空気昇圧装置
52 変換部
56 昇圧機構部
60 バッファータンク(容器)
62 電磁弁
s 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(1)の室外機(10)であって、
熱交換器(12)と、
水と所定の圧力の空気とが供給されることにより前記水を噴霧して前記熱交換器(12)を冷却する噴霧ノズル(22)と、
空気を昇圧させて前記噴霧ノズル(22)に供給する空気昇圧装置(50)と、を備え、
前記空気昇圧装置(50)は、前記噴霧ノズル(22)に供給される水の流れによるエネルギーを駆動源にして前記空気を昇圧させる、空気調和装置の室外機。
【請求項2】
内部に所定の容積の収容空間(s)を有し、且つ、前記空気昇圧装置(50)から排出される空気を前記収容空間(s)内に収容すると共にこの収容した空気を前記噴霧ノズル(22)に向けて排出する容器(60)を備える請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記容器(60)から前記噴霧ノズル(22)に供給される空気の流路を開閉可能な弁(62)を備える請求項2に記載の空気調和装置の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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