説明

空気調和装置の室外機

【課題】室外機保管時に使用される緩衝部材を簡素化して、保管コストを低減させることができる空気調和装置の室外機を提供する。
【解決手段】天板31、側板及び底板からなるケーシング内に圧縮機、熱交換器及び送風機が収容されてなる、空気調和装置の室外機であって、前記天板31は矩形状であり、当該天板31の各隅部には、平坦な載置面70が形成されている。前記天板31の各辺について、隅部を除く中間部分は装置側にセットバックした退避部とされており、且つ前記退避部の端部と前記載置面70とが立上り面により接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置の室外機に関する。さらに詳しくは、室外機のケーシングの天板の構造に改良が施された空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室外機は、通常、直方体形状を呈しており、鋼板で作製されたケーシング内に圧縮機や室外熱交換器などが収容されている。前記ケーシングは、天板、側板及び底板を有しており、比較的大型の業務用空気調和装置の室外機では、支柱及び横架材からなる骨組み(骨格)に前記天板などがビスやボルトなどの固着手段で取り付けられている。
【0003】
ところで、このような室外機を複数台輸送したり保管したりする場合、スペースを有効活用するために、室外機同士を互いに近接させることがある。この場合、ケーシング外面から外方に突出するグリルなどが損傷するのを防ぐとともに、前記ボルトの頭部などが隣接する室外機のケーシングなどを傷付けるのを防ぐために、隣接する室外機と室外機の間には、発泡スチロールの成形体などからなる緩衝部材が配設される。
【0004】
しかし、従来の室外機では、ボルトの頭部などがケーシング外面から外方に突出しているので、これを吸収(収容)するための部位を緩衝部材に形成する必要がある。このため、緩衝部材の形状が複雑になり、コストアップの要因となっている。
【0005】
そこで、前記ビスやボルトの頭部が隣に配設される室外機のケーシングと干渉するのを防止するために、当該ケーシングの天板の縁部に傾斜面を形成し、この傾斜面に前記ビスやボルトの挿通孔を穿設することが考えられ、また、目的は異なるものの、天板の傾斜面にネジによる固定部を設けた室外機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−220816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、室外機を多数保管する場合、水平方向に近接させるだけでなく、室外機の上に室外機を積み重ねて段積みとすることがある。この場合、下方の室外機の天板には大きな荷重が作用するので、当該天板の損傷や変形を防ぐために、上下の室外機間に厚肉の緩衝部材を配設する必要があり、保管コストの増加要因となっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、室外機保管時に使用される緩衝部材を簡素化して、保管コストを低減させることができる空気調和装置の室外機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の空気調和装置の室外機(以下、単に「室外機」ともいう)は、天板、側板及び底板からなるケーシング内に圧縮機、熱交換器及び送風機が収容されてなる、空気調和装置の室外機であって、
前記天板は矩形状であり、当該天板の各隅部には、平坦な載置面が形成されており、
前記天板の各辺について、隅部を除く中間部分は装置側にセットバックした退避部とされており、且つ
前記退避部の端部と前記載置面とが立上り面により接続されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の室外機では、天板の各辺の中間部分に装置側にセットバックした退避部が設けられている。したがって、かかる退避部にビスやボルトの挿通孔を形成し、この挿通孔を使って天板の固定を行うことで、輸送時や保管時に複数の室外機同士が近接して配置される場合でも、隣接する室外機間において、前記ビスやボルトの頭部が隣の室外機と干渉し合うことがない。また、天板の各隅部には、平坦な載置面が形成されているとともに、前記退避部の端部と載置面とが立上り面により接続されている。このため、複数の室外機を段積みして保管する場合でも、平坦な載置面により上方の室外機からの荷重を受けることができ、また、リブとして機能する立上り面により載置面の耐荷重を大きくすることができるので、緩衝部材を簡素化して単純な形状とすることができる。その結果、緩衝部材のコストダウンを図ることができ、室外機の保管又は輸送コストを低減させることができる。
【0011】
(2)前記(1)の室外機において、前記退避部を、傾斜面とすることができる。この場合、傾斜面にビスやボルトの挿通孔を形成し、この挿通孔を使って天板の固定を行うことで、輸送時や保管時に前記ビスやボルトの頭部が隣接する室外機のケーシングなどと干渉し合うのを防ぐことができる。
【0012】
(3)前記(1)又は(2)の室外機において、前記立上り面が、前記載置面に対して実質的に垂直な面であることが好ましい。この場合、載置面に対して実質的に垂直な立上り面によって、当該載置面の耐荷重を効果的に大きくすることができる。
【0013】
(4)前記(1)〜(3)の室外機において、前記天板には、通風口用の凹所が形成されており、この凹所の底部の通風口に配設されるグリルの上端面が当該天板表面と面一であるか、又は当該天板表面よりも下方に位置することが好ましい。この場合、グリルの上面が天板表面から突出しないので、室外機を段積みする場合に使用される緩衝部材の形状を単純化することができる。
【0014】
(5)前記(2)〜(4)の室外機において、前記傾斜面にビス又はボルト挿通用の孔が穿設されていてもよい。この場合、ビス又はボルトの頭部が隣接する室外機のケーシングなどと干渉し合うのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気調和装置の室外機によれば、室外機保管時に使用される緩衝部材を簡素化して、保管コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る室外機を有する空気調和装置の冷媒回路を示す模式図である。
【図2】本発明の室外機の一実施の形態の斜視図である。
【図3】図2に示される室外機の天板及び側板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示される室外機内部の上部側を示す平面説明図である。
【図5】図2に示される室外機内部の下部側を示す平面説明図である。
【図6】図2に示される室外機における天板の斜視図である。
【図7】図6においてAで示される部分(隅部)の拡大図である。
【図8】天板の他の例の斜視図である。
【図9】天板のさらに他の例の斜視図である。
【図10】本発明の室外機における立上り面の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の室外機の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る室外機2を有する空気調和装置1の冷媒回路を示す模式図である。空気調和装置1は、例えばビル用のマルチタイプの空気調和装置であり、1つ又は複数の室外機2に対して複数の室内機3が並列に接続され、冷媒が流通できるように、冷媒回路10が形成されている。
【0018】
室外機2には、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外膨張弁14、及び送風機23等が設けられている。また、室内機3には、室内膨張弁15および室内熱交換器16等が設けられている。四路切換弁12と室内熱交換器16とはガス側冷媒連絡配管17aにより接続され、室外膨張弁14と室内膨張弁15とは液側冷媒連絡配管17bにより接続されている。室外機2の内部冷媒回路の端末部には、ガス側閉鎖弁18と液側閉鎖弁19とが設けられている。ガス側閉鎖弁18は四路切換弁12側に配置されており、液側閉鎖弁19は室外膨張弁14側に配置されている。ガス側閉鎖弁18にはガス側冷媒連絡配管17aが接続され、液側閉鎖弁19には液側冷媒連絡配管17bが接続される。
【0019】
本実施の形態の室外機2には、2台の圧縮機11が並列に設けられている。この2台の圧縮機11は、インバータにより回転数制御が行われる容量可変のインバータ圧縮機と、オンオフ制御がなされる定容量の定容量圧縮機との組合せとしてもよいし、同一容量又は異なる容量の2台のインバータ圧縮機の組合せ、又は2台の定容量圧縮機の組合せとしてもよい。
【0020】
前記構成の空気調和装置1において、冷房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁12を介して室外熱交換器13に流入し、送風機23の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、全開状態の室外膨張弁14を通過し、液側冷媒連絡配管17bを通って各室内機3に流入する。室内機3において、冷媒は、室内膨張弁15で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器16で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、図示しない室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。また、室内熱交換器16で蒸発して気化した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管17aを通って室外機2に戻り、圧縮機11に吸い込まれる。
【0021】
一方、暖房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁12を介して各室内機3の室内熱交換器16に流入し、室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器16において液化した冷媒は、全開状態の室内膨張弁15から液側冷媒連絡配管17bを通って室外機2に戻る。室外機2に戻った冷媒は、室外膨張弁14で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器13で室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器13で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁12を介して圧縮機11に吸い込まれる。
【0022】
図2は、本発明の室外機の一実施の形態の斜視図、図3は、図2に示される室外機の天板及び側板を取り外した状態を示す斜視図、図4は、図2に示される室外機の内部の上部側を示す平面説明図である。
【0023】
室外機2は、ケーシング22と、このケーシング22の側面に沿うように配置された室外熱交換器13とを有している。ケーシング22は、鋼板などにより略直方体形状に形成されており、底板30、天板31、支柱32、横架材33a〜33d、側板44,54,55等からなっている。
【0024】
図2及び図3に示されるように、底板30は、平面視で四角形状、特に左右方向に長い長方形状に形成されている。底板30の四隅には、それぞれ支柱32の下部がボルト等の連結具によって連結されている。各支柱32は、例えば底板30の隅部の形状に適合する略L字形状のアングル材からなる。
【0025】
図2に示されるように、天板31は、底板30と略同一の平面視で四角形状に形成され、底板30の上方に間隔をあけて配置されている。天板31の四隅には、各支柱32の上端部がボルト等の連結具によって連結されている。天板31には、2つの四角形状の通風口35が左右に並べて形成されており、この通風口35には異物の侵入を防止するためのグリル36が設けられている。
【0026】
図3に示されるように、横架材33a〜33dは、支柱32の上部側であって、天板31から下方に所定の間隔をあけた位置に配置され、前後左右に隣接する支柱32の間に架設されている。そして、ケーシング22は、支柱32及び横架材33a〜33dからなる構造部材によって骨格が形成されており、この骨格に前記底板30、天板31、及び側板44、54、55がビスやボルトで取り付けられている。また、後述するカバー部材21(図3参照)もケーシング22の骨格を形成する構造部材(強度部材)とされている。
【0027】
図4に示されるように、ケーシング22の左右両側に配置された横架材33a、33b、及びケーシング22の後部側に配置された横架材33dは、断面形状が矩形状やL字状等の細長い長尺部材により構成されている。これに対してケーシング22の前部側に配置された横架材(前横架材)33cは、前後方向の幅wがやや広く形成された板材から構成されている。そして、この前横架材33cの上には、電装品ユニット24が配置されている。すなわち、前横架材33cは、電装品ユニット24の支持台として用いられている。電装品ユニット24は、箱形状のケーシングの内部に室外機2全体を制御するための制御基板や圧縮機を制御するためのインバータ基板、その他の電気部品を収容してなる。そして、電装品ユニット24は、室外機2の左右方向の幅の全体又は大部分を占める広い範囲に設けられている。
【0028】
前横架材33cと後横架材33dとの間には、2つの支持台41が左右に並べて架設されている。各支持台41には、送風機23のモータ23aが支持されている。また、図3に示されるように、横架材33a〜33dには、送風機23の外周を囲って通風路を形成するベルマウス42が取り付けられている。電装品ユニット24は、その左右方向の中央部に、左右2つの送風機23の間(ベルマウス42の間)のデッドスペースに突出する突出部24aを有しており、この突出部24aによって電装品ユニット24の内部容量の増大が図られている。
【0029】
図2に示されるように、横梁材33a〜33dと天板31との間に位置するケーシング22の4つの側面には上部側板44が設けられている。送風機23、ベルマウス42、及び電装品ユニット24(図3参照)は、上部側板44や天板31によって覆われることで、外部に露出しないように構成されている。前面の上部側板44は、電装品ユニット24の前面部を開閉自在に閉鎖する蓋部材を構成していてもよい。
【0030】
図5は、図2に示される室外機の内部の下部側を示す平面説明図である。ケーシング22の底板30の上面には、室外熱交換器13、圧縮機11、アキュムレータ45、オイルセパレータ46等の機器が搭載されている。室外熱交換器13は、いわゆるクロスフィン型のフィンアンドチューブ式熱交換器であり、アルミニウム製の多数のフィン47と銅製の伝熱管48とを備えている。伝熱管48は、冷媒が空気と熱交換しながら流通するための冷媒流路を形成しており、複数本が上下方向に並設されている。各伝熱管48は、複数のフィン47を直交状に貫通する共に、室外熱交換器13の両側の側端部でU字状に180度湾曲することによって蛇行している。また、室外熱交換器13の一方の側端部13aには、U字状に湾曲する伝熱管48(U字型配管48a)のみが突出し、他方の側端部13bには、U字状に湾曲する伝熱管48の他、キャピラリーチューブやヘッダー管等を含む配管群49に接続される伝熱管48の端部が突出している。
【0031】
室外熱交換器13は、ケーシング22の4つの側面に沿うように略四角形状に屈曲されている。具体的には、室外熱交換器13は、ケーシング22の前側の側面(前面)に沿う前熱交換部50と、右側の側面に沿う右熱交換部51と、後側の側面(後面)に沿う後熱交換部52と、左側の側面に沿う左熱交換部53とを有している。そして、前熱交換部50と右熱交換部51との間、右熱交換部51と後熱交換部52との間、及び後熱交換部52と左熱交換部53との間が、90度又はそれに近い角度で屈曲されている。そして、本実施の形態では、前熱交換部50の左端部と左熱交換部53の前端部とが、それぞれ室外熱交換器13の一方の側端部13aと他方の側端部13bとを構成している。
【0032】
前熱交換部50は、ケーシング22の前面のうち、概ね右側半分の範囲に沿うように設けられている。そして、左熱交換部53は、ケーシング22の左側面のうち、概ね後側半分の範囲に沿うように設けられている。したがって、室外熱交換器13の一方の側端部13aと、他方の側端部13bとの間、すなわちケーシング22の前面の左側半分と、左側面の前側半分とには、室外熱交換器13が存在しない開口部20が形成されている。
【0033】
図2及び図3に示されるように、開口部20は、支柱32によって2つに分割されている。また、ケーシング22の前面の開口部20aは前側板54a、54bによって閉塞され、ケーシング22の左側面の開口部20bは左側板55によって閉鎖されている。そして、前側板54a、54b及び左側板55を取り外すことによって開口部20a、20bを開放し、室外機本体22の内部と外部とを連通させることができる。なお、図2においては、上部側板44、前側板54a、54b、及び左側板55以外の室外機本体22の側面部分には、側板が設けられておらず、室外熱交換器13がそのまま露出しているが、空気の流通を許容する通風口が形成された側板や、複数本の線材を格子状に組んだ格子状部材を室外熱交換器13と対向する室外機本体22の側面部分に設けてもよい。
【0034】
図5に示されるように、閉鎖弁18、19は、ケーシング22の前面の開口部20aに向くようにブラケット57を介して支持されている。また、配管群49は、左側面の開口部20bの近傍に配置されている。2台の圧縮機11のうち左側に配置された圧縮機11aは、前面の開口部20aを介して前方から略全体を視認できる位置に配置され、右側に配置された圧縮機11bは、開口部20aよりもやや右側に入り込んだ位置に配置されている。また、アキュムレータ45やオイルセパレータ46はケーシング22内の後部側に配置されている。
【0035】
ケーシング22の内部に配置された圧縮機11や弁等の機器は、定期的な点検やメンテナンスの対象となり、これらの作業は開口部20を介して行うことができる。また、ケーシング22に配置された機器の交換作業も開口部20を介して行うことができる。そして、これらの作業を行う際に、メンテナンス等に使用する工具や交換する機器等が室外熱交換器13の側端部13aから突出するU字型配管48aに接触すると、当該U字型配管48aを損傷させてしまうおそれがあるため、本実施の形態の室外機2には、U字型配管48aを覆うカバー部材21が設けられており、このカバー部材21によってU字型配管48aが保護されている。
【0036】
本発明の室外機2は、前述したケーシング22を構成する天板31の構造に特徴がある。図6は、図2に示される室外機2における天板31の斜視図であり、図7は、図6に示される天板31の隅部(図6においてAで示される隅部)を拡大した斜視図である。
【0037】
図6に示されるように、本実施の形態の天板31は左右に細長い矩形状であり、当該天板31には、2つの四角形状の通風口35が左右に並べて形成されている。この通風口35は、前記天板31の表面31aよりも若干低い底部37aを有する凹所37の当該底部37aに形成されている。底部37aの四隅には、ナット38が固着されており、このナット38及び図示しないボルトを用いて、グリル36が凹所37内に配設されている。
【0038】
天板31の四隅には、平坦な載置面70が形成されており、当該天板31の各辺について、天板31の隅部を除く中間部分、換言すれば各辺の両端の載置面70間は退避部である傾斜面71とされている。この「退避部」は、図6に示されるように、その表面が天板31の隅部の縁31bよりも装置内部側にセットバックした部分であり、このセットバックにより形成されたスペースは、近接する他の室外機と干渉し合うことがない。
【0039】
傾斜面71には、所定の間隔でビスの挿通孔72が穿設されており、天板31は、前記挿通孔72を利用してビス(図示せず)で前記上部側板44の上端縁に取り付けられる。なお、上部側板44の上端縁は、前記傾斜面71の傾斜に対応して、内方に折り曲げ加工されている。ビスの頭部は、前記セットバックされたスペースに位置するので、複数の室外機を近接させて輸送、保管する場合でも、当該ビスの頭部が隣接する室外機のケーシングと干渉し合うことがない。このため、従来のようにビスの頭部を吸収する部位を有する緩衝部材を用いる必要がなく、緩衝部材を簡素化して単純な形状とすることができる。
【0040】
また、天板31の各隅部に形成された載置面70と、前記傾斜面71の端部71aとは、略三角形状の垂直面73からなる立上り面により接続されている。平坦な載置面70は垂直方向の荷重を受けることができ、また、前記垂直面73はリブとして機能するため、天板31の耐荷重を大きくすることができる。このため、複数の室外機を段積みして保管する場合でも、従来のような厚肉の緩衝部材を用いる必要がなく、緩衝部材を簡素化して単純な形状とすることができる。その結果、緩衝部材のコストダウンを図ることができ、室外機の保管コストを低減させることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、天板31の前側に幅広部31cが形成されており、天板31全体の強度が大きくされている。このため、室外機2を組み立てる際の天板31のハンドリング性がよくなる。
【0042】
〔その他の変形例〕
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更が可能である。例えば、前述した実施の形態では、1台の室外機内に2つの圧縮機と2つの送風機が収容されているが、圧縮機及び送風機の数は本発明において特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選定することができる。例えば、送風機の数が1台の場合の天板として、図8に示されるものを用いることができる。図8に示される天板131も各隅部に平坦な載置面170が形成されており、天板131の各辺の中間部分には傾斜面171が形成されている。そして、傾斜面171の端部と前記載置面170とが略三角形状の垂直面173で接続されている。
【0043】
また、前述した実施の形態では、退避部として傾斜面が採用されているが、ビスの頭部などによる干渉を防止することができる限り、例えば図9に示されるような肩部ないし段部271を退避部とすることもできる。この図9に示される天板231では、退避部の端部と隅部に形成された載置面270とを接続する立上り面として、略四角形状の垂直面273が採用されている。
【0044】
また、前述した実施の形態では、図10(a)の断面説明図に示されるような、載置面70と実質的に垂直な垂直面73が立上り面とされているが、これ以外に、図10(b)に示される傾斜面75や、図10(c)に示される曲面76を立上り面とすることもできる。これらの場合でも、傾斜面75及び曲面76はリブとして機能し、載置面の耐荷重を大きくするのに寄与する。
【符号の説明】
【0045】
1 空気調和装置
2 室外機
3 室内機
10 冷媒回路
11 圧縮機
13 室外熱交換器
22 ケーシング
30 底板
31 天板
32 支柱
33 横架材
35 通風口
36 グリル
44 側板
54 側板
55 側板
70 載置面
71 傾斜面
73 垂直面(立上り面)
131 天板
170 載置面
171 傾斜面
173 垂直面(立上り面)
231 天板
270 載置面
271 肩部
273 垂直面(立上り面)










【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(31)、側板(44,54,55)及び底板(30)からなるケーシング(22)内に圧縮機(11)、熱交換器(13)及び送風機(23)が収容されてなる、空気調和装置(1)の室外機(2)であって、
前記天板(31)は矩形状であり、当該天板(31)の各隅部には、平坦な載置面(70)が形成されており、
前記天板(31)の各辺について、隅部を除く中間部分は装置側にセットバックした退避部とされており、且つ
前記退避部の端部と前記載置面(70)とが立上り面により接続されていることを特徴とする空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項2】
前記退避部が、傾斜面(71)からなる請求項1に記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項3】
前記立上り面が、前記載置面(70)に対して実質的に垂直な面(73)である、請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項4】
前記天板(31)には、通風口(35)用の凹所(37)が形成されており、この凹所(37)の底部(37a)の通風口(35)に配設されるグリル(36)の上端面が当該天板表面(31a)と面一であるか、又は当該天板表面(31a)よりも下方に位置する請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項5】
前記傾斜面(71)にビス又はボルト挿通用の孔(72)が穿設されている請求項2〜4のいずれかに記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−113515(P2013−113515A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261114(P2011−261114)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】