説明

空気調和装置の室外機

【課題】熱交換器の腐食を抑制しつつ、空気調和装置全体としての動力を低減することができる室外機を提供する。
【解決手段】室外機11の噴霧ノズル21は、空気が流れるエア案内部30と、水が流れるとともに、エア案内部30を流れる空気が水の中に流入して多数の気泡を含む水が形成される水案内部40と、水案内部40よりも水の流れ方向の下流側に位置し、水案内部40において形成された多数の気泡を含む水を外部に噴霧する噴霧部51と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噴霧ノズルから水を熱交換器に噴霧して熱交換器を補助的に冷却する噴霧装置を備えた空気調和装置の室外機が知られている。この室外機では、噴霧された水により熱交換器が冷却されるので、空気調和装置に必要とされる動力(消費電力)を削減する効果が得られる。ところが、熱交換器の表面に液滴が付着すると熱交換器が腐食する場合がある。
【0003】
特許文献1には、熱交換器の上流側で且つ熱交換器から離れた位置に、空気と水を同時に噴射することによって粒径10μm以下の微細ミストを発生させる微細ミスト発生ノズルが設けられた室外機が開示されている。この特許文献1には、微細ミスト発生ノズルから噴射された微細ミストは、熱交換器に到達する前に蒸発するので、熱交換器に液滴が付着することを防止できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、噴霧ノズルの噴霧孔において空気と水を同時に噴射する従来の二流体ノズルでは、空気の圧力で水に剪断力を加えて液滴を微細化しているので、高速の空気を噴射させるための大きな動力が必要になる。したがって、空気調和装置全体としての動力低減効果が十分に得られない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱交換器の腐食を抑制しつつ、空気調和装置全体としての動力を低減することができる室外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気調和装置の室外機(11)は、熱交換器(13)と、前記熱交換器(13)に向かう空気に水を噴霧する噴霧ノズル(21)と、を備え、前記噴霧ノズル(21)は、空気が流れるエア案内部(30)と、水が流れるとともに、前記エア案内部(30)を流れる空気が水の中に流入して多数の気泡を含む水が形成される水案内部(40)と、前記水案内部(40)よりも水の流れ方向の下流側に位置し、前記水案内部(40)において形成された多数の気泡を含む水を外部に噴霧する噴霧部(51)と、を備えている。
【0008】
この構成では、熱交換器の腐食を抑制しつつ、空気調和装置全体としての動力を低減することができる。具体的には次の通りである。
【0009】
すなわち、この構成では、水案内部(40)において多数の気泡を含む水が形成され、この多数の気泡を含む水が噴霧部(51)から噴霧されるとき又は噴霧部(51)から噴霧された後、気泡がはじけて液滴が微細化される。このように微細化された液滴は、熱交換器(13)に到達する前に気化(蒸発)しやすくなるので、熱交換器(13)に液滴が付着するのが抑制される。これにより、熱交換器(13)の腐食が抑制される。
【0010】
また、熱交換器(13)に到達する前に液滴が気化すると、その潜熱(気化熱)によって熱交換器(13)に向かう空気が冷却される。したがって、水が噴霧されていない場合に比べて、熱交換器(13)を通過する空気の温度が低くなるので、空気調和装置の冷房運転時において圧縮機、送風機などを駆動させるのに必要な動力を低減することができる。しかも、本構成では、従来の二流体ノズルのように噴霧ノズルの噴射孔において空気を高速で水に噴射するための大きな動力は必要とされない。すなわち、本構成では、水案内部(40)を流れる水の中に多数の気泡を形成する動力が必要とされるだけであるので、従来に比べて少ない空気量でよく、従来に比べて空気を送るのに必要な動力を低減することができる。これにより、空気調和装置全体としての動力を効果的に低減することができる。
【0011】
前記室外機において、前記水案内部(40)は、管形状を有し、厚み方向に貫通する1つ又は複数のエア導入孔(43a)を有しており、前記エア案内部(30)は、前記水案内部(40)の外周を囲む管形状を有している形態が例示できる。
【0012】
この構成のように、1つ又は複数のエア導入孔(43a)が設けられた水案内部(40)の外周を囲むようにエア案内部(30)を配置するという二重管構造を採用することによって噴霧ノズル(21)を安価に製作することができる。
【0013】
前記室外機において、前記水案内部(40)は、前記複数のエア導入孔(43a)を有しており、前記複数のエア導入孔(43a)は、前記水案内部(40)の周方向及び前記水案内部(40)の延びる方向に互いに間隔をあけて設けられているのが好ましい。
【0014】
この構成では、複数のエア導入孔(43a)が水案内部(40)の周方向及び水案内部(40)の延びる方向に互いに間隔をあけて設けられているので、エア導入孔(43a)が1つである場合に比べて、周方向及び水案内部(40)の延びる方向に互いに間隔があけられた複数の部位から空気を水案内部(40)の水の中に流入させることができる。したがって、水案内部(40)を流れる水の中に気泡を効率よく分散させることができる。また、エア導入孔(43a)が1つである場合に比べて水の中に空気を流入させる抵抗が小さくなり、空気を水の中に流入させるのに必要な圧力を低く設定することができる。これにより、動力をさらに低減することができる。
【0015】
前記室外機において、前記水案内部(40)は、管形状を有し、少なくとも一部に多孔質部(42)を有しており、前記エア案内部(30)は、前記水案内部(40)の外周を囲む管形状を有していてもよい。
【0016】
この構成では、水案内部(40)が多孔質部(42)を有しているので、気泡の径が揃いやすくなり、噴霧部(51)において噴霧される液滴の径のばらつきを低減できる。
【0017】
前記室外機において、前記多孔質部(42)は、発泡金属により形成されている形態が例示できる。
【0018】
この構成では、多孔質部(42)が発泡金属により形成されている。多孔質部(42)は、気孔率が大きいので、多孔質部(42)を通じて空気が水案内管(41)の水の中に導入される際の抵抗を小さくすることができる。これにより、空気を水に流入させるために必要な圧力を小さくすることができる。
【0019】
前記室外機において、前記水案内部(40)は、管形状を有しており、前記エア案内部(30)は、管形状を有し、その先端部が前記水案内部(40)に接続されている形態であってもよい。
【0020】
この構成では、エア案内部(30)を水案内部(40)に接続するという簡単な構造で噴霧ノズル21を形成できる。
【0021】
前記室外機において、前記エア案内部(30)は、その先端部に多孔質部(42)を有しているのが好ましい。
【0022】
この構成では、エア案内部(30)が多孔質部(42)を有しているので、気泡の径が揃いやすくなり、噴霧部(51)において噴霧される液滴の径のばらつきを低減できる。
【0023】
前記室外機において、前記噴霧ノズル(21)から噴霧される水を帯電させる帯電部(80)をさらに備えているのが好ましい。
【0024】
この構成では、噴霧部(51)から噴霧される各液滴が帯電した状態で空気中を移動する。したがって、液滴同士が静電反発力によって反発するので、液滴同士の再凝集が抑制される。これにより、再凝集により液滴の径が大きくなるのを抑制できる。また、液滴同士が静電反発力によって反発するので、液滴を広い範囲に拡散させることができる。
【0025】
また、前記空気調和装置の室外機(11)において、前記水案内部(40)は、気泡を含む水を垂直方向に案内する形態が好ましい。
【0026】
このように水案内部(40)が気泡を含む水を垂直方向に案内することによって水案内部(40)内の気泡を含む水の流れにおける水と空気(気泡)との偏流が抑えられるため、噴霧部(51)から十分に微細化された液滴が安定して噴霧される安定条件(噴霧ノズル(21)に供給される水及び空気の流量等を変更しても十分に微細化された液滴が安定して噴霧される範囲)が広くなる。即ち、気泡を含む水を垂直方向に案内することによって、気泡を含む水を他の方向、例えば、水平方向に案内したときのように、水案内部(40)内の気泡を含む水の流れにおいて上部側に空気(気泡)が集まって空気と水とが偏って流れる(偏流する)ことが防がれる。これにより、噴霧ノズル(21)に供給される水及び空気の流量等の供給条件を変化させても広い範囲で前記偏流に起因する噴霧状態の乱れ(液滴が十分に微細化されない場合や、液滴の大きさにむらが生じる等)が抑えられ、噴霧部(51)から十分に微細化された液滴が安定して噴霧される。
【0027】
このように水案内部(40)が気泡を含む水を垂直方向に案内する場合、前記噴霧ノズル(21)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)よりも外側に配置され、前記水案内部(40)は、気泡を含む水を下方に向けて案内し、前記噴霧部(51)は、前記水案内部(40)の下側に配置され且つ前記水案内部(40)によって案内された前記多数の気泡を含む水を下方に向けて噴霧する形態がより好ましい。
【0028】
このように水案内部(40)が気泡を含む水を下方に向けて案内し、これを噴霧部(51)が下方に向けて噴霧することによって、他の方向(例えば、上方や水平方向)に水案内部(40)が気泡を含む水を案内して噴霧部(51)がこの水を同方向に噴霧する場合に比べ、安定条件(噴霧部(51)から十分に微細化された液滴が安定して噴霧されるような水や空気等の供給条件)が最も広くなる。
【0029】
しかも、大きな液滴が噴霧部(51)から噴霧された場合でも、この液滴は、下方に向けて噴霧されているため、噴霧された勢いと当該液滴に加わる重力によって、熱交換器(13)に向かう略水平方向の空気の流れを横切って落下する。その結果、大きな液滴が噴霧されたとしても、液滴が熱交換器(13)に付着して当該熱交換器(13)を濡らすことを防止することができる。
【0030】
水案内部(40)が気泡を含み水を垂直方向に案内する場合、室外機(11)が前記熱交換器(13)に向かう空気の流れを形成する送風機(14)を備え、前記送風機(14)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)より内側で且つ上側に配置され、前記室外機(11)の内部に入って前記熱交換器(13)と熱交換した後の空気を上方に向けて当該室外機(11)の外部に排出し、前記噴霧ノズル(21)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)よりも外側に配置され、前記水案内部(40)は、気泡を含む水を上方に向けて案内し、前記噴霧部(51)は、前記水案内部(40)の上側に配置され、前記水案内部(40)によって案内された前記多数の気泡を含む水を上方に向けて噴霧する形態であってもよい。
【0031】
このように水案内部(40)が気泡を含む水を上方に向けて案内し、これを噴霧部(51)が上方に向けて噴霧することによっても、案内部(40)内の気泡を含む水の流れにおける空気と水との偏流が抑えられ、噴霧部(51)から十分に微細化された液滴が安定して噴霧される。
【0032】
しかも、上側ほど流れが速い風速分布(熱交換器(13)と送風機(14)との位置関係に起因する風速分布:図11参照)を有する前記熱交換器(13)に向かう空気の流れに対し、噴霧ノズル(21)が上方に向けて液滴を噴霧することによって、熱交換器(13)の高さ方向の各部位に向かう液滴が当該熱交換器(13)の部位に到達する前に気化するのに十分な滞空時間がそれぞれ確保され、これにより、熱交換器(13)が前記液滴によって濡れることが防がれる。詳しくは、以下の通りである。
【0033】
熱交換器(13)上部に向かう空気の流れは速いが熱交換器(13)の下方側に配置された噴霧ノズル(21)から熱交換器(13)上部までの距離が大きいため、噴霧ノズル(21)から噴霧されて熱交換器(13)上部に向かう液滴は、当該液滴の気化に必要な滞空時間が十分に確保され、これにより、熱交換器(13)上部に到達する前に気化する。一方、熱交換器(13)の下方側に配置された噴霧ノズル(21)から熱交換器(13)下部までの距離は近いが、当該部位に向かう空気の流れが遅いため、噴霧ノズル(21)から噴霧されて熱交換器(13)下部に向かう液滴は、当該液滴の気化に必要な滞空時間が十分に確保され、これにより、熱交換器(13)下部に到達する前に気化する。このように、当該室外機(11)では、熱交換器(13)と送風機(14)との位置関係に起因して、熱交換器(13)に向かう空気の流れにおいて上側ほど流れが速い風速分布が形成されるが、上方に向かって液滴が噴霧されることにより、風速の大きな高さ位置の熱交換器(13)の部位に向かう液滴ほど噴霧ノズル(21)から熱交換器(13)の当該部位までの距離が大きく(換言すると、風速の小さな高さ位置の熱交換器(13)の部位に向かう液滴ほど噴霧ノズル(21)から熱交換器(13)の当該部位までの距離が小さく)なるため、各液滴において気化に必要な滞空時間が十分に確保される。これにより、噴霧ノズル(21)から噴霧された各液滴は、熱交換器(13)に到達する前に気化し、その結果、熱交換器(13)が噴霧ノズル(21)から噴霧された液滴によって濡れるのが防がれる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、熱交換器の腐食を抑制しつつ、空気調和装置全体としての動力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る室外機を示す概略図である。
【図2】前記室外機における熱交換器及び噴霧ノズルの配置状態を示す斜視図である。
【図3】前記噴霧ノズルを示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る室外機における噴霧ノズルを示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る室外機における噴霧ノズルを示す断面図である。
【図6】(A)は、第3実施形態における噴霧ノズルのエア案内管を示す斜視図であり、(B)は、エア案内管の変形例1を示す斜視図であり、(C)は、エア案内管の変形例2を示す斜視図である。
【図7】他実施形態に係る室外機を示す概略図である。
【図8】前記室外機における熱交換器及び噴霧ノズルの配置状態を示す斜視図である。
【図9】前記熱交換器に対する噴霧ノズルの配置例を説明するための概略図である。
【図10】他実施形態に係る室外機を示す概略図である。
【図11】前記室外機において熱交換器に向かう空気の流れの風速分布と、噴霧ノズルから熱交換器の各部位までの距離との関係を説明するための図である。
【図12】(A)は、帯電機構の変形例1を説明するための概略図であり、(B)は、噴霧ノズル及び誘導電極を説明するための拡大斜視図である。
【図13】帯電機構の変形例2を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る室外機11について図面を参照して説明する。第1実施形態に係る室外機11は、空気調和装置に用いられる。この空気調和装置は、図1に示す室外機11と、図略の室内機と、これらを接続する図略の冷媒配管とを備えている。図1に示すように、室外機11は、ケース12内に配置された熱交換器13、送風機14、圧縮機15、噴霧装置20、外気温度センサ18、制御部16などを備えている。送風機14、圧縮機15及び噴霧装置20は、制御部16により制御される。圧縮機15及び熱交換器13は、空気調和装置の冷媒回路に設けられている。
【0037】
熱交換器13としては、例えばクロスフィンコイル式の熱交換器が挙げられるが、これに限定されない。クロスフィンコイル式の熱交換器は、伝熱管と、伝熱管が貫通する多数のプレートフィンとを備えており、伝熱管の内部を冷媒が流れ、プレートフィン同士の間を外気が流れる。
【0038】
図2に示すように、熱交換器13は、ケース12の底板から上方に延びており(即ち、熱交換器13は、室外機11の設置面(水平面)に対して立設され)、平面視で略U字形状を有している。ケース12の4つの側板のうち、熱交換器13に対向する3つの側板には、外気をケース12内に吸い込むために図略の吸込口が設けられている。また、ケース12の天板にはケース12内の空気を外部に吹き出すための吹出口17が設けられている。
【0039】
送風機(ファン)14としては、遠心送風機、軸流送風機、斜流送風機などを用いることができる。送風機14は、羽根車14aと、この羽根車14aを回転させる図略のモータとを備えている。送風機14は、室外機11において熱交換器13より水平方向内側で且つ上側に配置されている。具体的には、送風機14は、図1に示すようにケース12内の上部に設けられており、図2に示す吹出口17の直下に配置されている。そして、送風機14は、室外機11(ケース12)の内部に入って熱交換器13と熱交換した後の空気を上方に向けて室外機11(ケース12)から外部に排出する。即ち、送風機14は、熱交換器13よりも空気の流れ方向の下流側に位置している。
【0040】
空気調和装置の運転時には、圧縮機15に動力が与えられることにより冷媒が室外機11と前記室内機との間を循環するとともに、送風機14の前記モータに動力が与えられることにより羽根車14aが回転し、前記吸込口からケース12の内部に外気が吸い込まれる。ケース12内に吸い込まれた外気は、上記のように、熱交換器13において冷媒と熱交換した後、吹出口17を通じてケース12の外部に吹き出される。具体的には、例えば冷房運転時には、ケース12内に吸い込まれた外気は、凝縮器として機能する熱交換器13における前記伝熱管を介して、この伝熱管内を流れる高温高圧の冷媒と熱交換する。すなわち、外気は、熱交換器13の伝熱管及び冷媒を冷却する。これにより、前記伝熱管を流れる冷媒は、冷却されて凝縮する。
【0041】
次に、噴霧装置20について説明する。噴霧装置20は、冷房運転時において熱交換器13に向かう外気を冷却することができる。すなわち、噴霧装置20は、熱交換器13に向かう外気の温度を低下させることにより、熱交換器13の伝熱管及び冷媒を冷却する効果を高めることができる。このように噴霧装置20は、熱交換器13及び冷媒を補助的に冷却して空気調和装置の冷房能力を高めることができる。
【0042】
図1〜図3に示すように、噴霧装置20は、複数の噴霧ノズル21と、水供給機構60と、エア供給機構70と、帯電部としての帯電機構80とを備えている。
【0043】
複数の噴霧ノズル21は、ケース12の側板又はケース12に別途設けられた図略の支持部材によって支持されている。各噴霧ノズル21は、送風機14の羽根車14aが回転することにより形成される気流の方向において、熱交換器13よりも上流側に位置している。本実施形態では、各噴霧ノズル21は、室外機11において、熱交換器13より外側で且つ上側に配置され、液滴(本実施形態では水滴)が下方に向かって噴霧されるように配置されている。即ち、各噴霧ノズル21は、その軸方向が熱交換器13に向かう略水平方向の外気(空気)の流れと略直交する方向に向けられた状態となるように配置されている。各噴霧ノズル21から噴霧された水滴は、下方に向かって放射状に拡散しつつ前記空気の流れによって熱交換器13に向かって移動する。水滴の全部又はその大半は、熱交換器13に到達する前に気化する。
【0044】
尚、各噴霧ノズル21が水滴を下方に向けて噴霧するため、気化し難い大きな水滴が噴霧された場合であっても、この水滴は、噴霧された勢いと当該水滴に加わる重力とによって前記外気の流れを横切って下方(室外機11の設置面等)に落下する。これにより、この大きな水滴が付着して熱交換器13が濡れることが防がれる。
【0045】
図2に示すように、複数の噴霧ノズル21は、噴霧装置20による冷却効果が熱交換器13のほぼ全体にわたって及ぼされるように、熱交換器13に対向する3つの側板12a、12b、12cにおいて互いに水平方向に間隔を空けて配置されている。詳しくは、各噴霧ノズル21から噴霧される水滴が拡散する範囲、即ち、熱交換器13に向かう外気が各噴霧ノズル21によって冷却される範囲に基づいて、複数の噴霧ノズル21は、互いに水平方向に例えば数十センチ程度の間隔を空けて配置される。
【0046】
本実施形態では、各噴霧ノズル21から水滴が拡散する範囲(水平方向の範囲)が例えば、50cm程度であり、側板12aの幅が例えば100cm程度であり、側板12b、12cの幅が30cm程度である場合を例示している。そして、側板12aには2つの噴霧ノズル21が水平方向に間隔を空けて配置され、側板12b及び側板12cには、1つの噴霧ノズル21がそれぞれ配置されている。また、各噴霧ノズル21の高さ位置は、同じである。
【0047】
水供給機構60は、液送配管61と、液送ポンプ62とを含む。液送配管61は、例えば水道などの図略の水供給源と各噴霧ノズル21とを接続している。液送配管61は、水の流れの上流側に位置する導電性配管61a(本実施形態では金属配管61a)と、下流側に位置する絶縁性配管61b(本実施形態では樹脂配管61b)とを含む。液送ポンプ62は、液送配管61を通じて水を各噴霧ノズル21に送液する。
【0048】
エア供給機構70は、例えばコンプレッサーなどの気送ポンプ72と、気送配管71とを含む。気送配管71は、気送ポンプ72と各噴霧ノズル21とを接続している。
【0049】
帯電機構80は、帯電用電源(高圧電源)81と、配線82,83と、出力調整部84とを含む。配線82は、帯電用電源81のプラスの電極と各噴霧ノズル21の先端部とを接続している。配線83は、帯電用電源81のマイナスの電極と液送配管61の導電性配管61aとを接続している。これにより、噴霧ノズル21から噴霧される水(各水滴)は、プラスに帯電する。また、帯電用電源81のプラスの電極は、噴霧ノズル21が接地電位となるように接地されている。樹脂配管61bは、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、配線83と液送配管61との接続部位よりも下流側に位置している。出力調整部84は、帯電用電源81の出力を調整する。
【0050】
図1では、一つの噴霧ノズル21に対して水供給機構60、エア供給機構70及び帯電機構80が接続されている状態を示しており、他の噴霧ノズル21の図示を省略しているが、水供給機構60、エア供給機構70及び帯電機構80は、他の噴霧ノズル21に対しても図1に示す接続状態と同様にして接続される。具体的には、例えば、水供給機構60の液送配管61は、途中で分岐して複数の噴霧ノズル21に接続され、エア供給機構70の気送配管71は、途中で分岐して複数の噴霧ノズル21に接続される。また、複数の噴霧ノズル21は、帯電機構80の帯電用電源81に対して、例えば互いに並列に接続される。
【0051】
外気温度センサ18は、外気温度を検知することができる。例えば、制御部16は、外気温度センサ18によって外気温度が所定の温度以上に達したことを検知すると、冷房運転の負荷が所定のレベルを超えたと判断して、液送ポンプ62及び気送ポンプ72を制御して複数の噴霧ノズル21から水の噴霧を開始する。例えば、制御部16は、所定時間の間、各噴霧ノズル21から連続的に又は間欠的に水が噴霧されるように液送ポンプ62及び気送ポンプ72を制御する。また、制御部16は、各噴霧ノズル21から噴霧される水滴を帯電させるために、帯電機構80の出力調整部84を制御して帯電用電源81により各噴霧ノズル21に電圧を印加する。
【0052】
次に、複数の噴霧ノズル21の構造について詳細に説明する。本実施形態では、複数の噴霧ノズル21は、互いに同様の構造を有している。図3は、複数の噴霧ノズル21のうちの一つを示す断面図である。図3に示すように、噴霧ノズル21は、胴部10と、胴部10よりも下流側(水の流れ方向の下流側)に位置するオリフィス部50とを有している。
【0053】
胴部10は、図略の水供給源から供給される水をオリフィス部50に案内する機能と、胴部10に供給された水に微細な気泡を混入させる機能とを有している。本実施形態の胴部10は、垂直方向(上下方向)に延び、その下側にオリフィス部50が配置されている。即ち、本実施形態の胴部10は、図略の水供給源から供給される水を下方に向けて案内する。オリフィス部50は、胴部10において気泡が混入されるとともにオリフィス部50まで案内された水を受け入れて水と混合した気泡を安定的に噴霧ノズル21の外部に送るとともに、オリフィス前後に圧力差を設けることでオリフィスから出た気泡が膨張し、水滴を微細化して噴霧する機能を有している。
【0054】
胴部10は、径方向よりも軸方向の方が長い円柱状の外形を有している。即ち、胴部10は、垂直方向に延びる円柱状の外形を有している。胴部10は、エア案内管(外側円筒部)31と、エア案内管31の内側に配置された水案内管(内側円筒部)41とを有している。すなわち、エア案内管31の内部に水案内管41が挿入されている。
【0055】
水案内管41には、厚み方向に貫通する複数のエア導入孔43aが設けられている。エア案内管31には、エア流路F1に空気を供給するためのエア供給部32が設けられている。エア供給部32は、エア流路F1に連通する空気の供給孔32aが内部に形成された円筒形状を有している。このエア供給部32には、図1に示す気送配管71が接続される。
【0056】
エア案内管31の軸方向と水案内管41の軸方向とは一致している。また、これらの軸は、ほぼ同一直線状に位置している。即ち、エア案内管31及び水案内管41は、それぞれ垂直方向に延びる管形状を有し、互いの中心軸が一致若しくは略一致するように配置されている。水案内管41は、内径D1、外径D2の円筒形状を有している。エア案内管31は、内径D3、外径D4、長さL1の円筒形状を有している。エア案内管31の内径D3は、水案内管41の外径D2よりも大きい。エア案内管31の内周面と水案内管41の外周面とは径方向に互いに離隔している。
【0057】
エア案内管31の一端(下流側の端:本実施形態においては下端)と水案内管41の一端(下流側の端:本実施形態においては下端)とは、軸方向においてほぼ同じ位置にあり、水案内管41の他端(上流側の端:本実施形態においては上端)は、エア案内管31の他端(上流側の端:本実施形態においては上端)よりも上流側に位置している。すなわち、水案内管41の他端側の部位は、エア案内管31から上流側に突出している。エア流路F1の一端(本実施形態においては下端)は、オリフィス部50によって塞がれており、エア流路F1の他端(本実施形態においては上端)は、閉塞部材33によって塞がれている。
【0058】
胴部10は、エア案内部30と、水案内部40と、気泡形成部43とを有している。本実施形態において、水案内部40は、水案内管41の内周面により区画される水流路F2である。また、エア案内部30は、水案内管41の外周面とエア案内管31の内周面とにより区画されるエア流路F1である。気泡形成部43は、複数のエア導入孔43aを有する。複数のエア導入孔43aは、水案内管(内側円筒部)41の周方向及び軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。各エア導入孔43aの孔径は、エア供給部32における供給孔32aの孔径よりも小さい。気泡形成部43は、水案内管41のうち、最上流に位置するエア導入孔43aから最下流に位置するエア導入孔43aまでの筒状の部位をいう。本実施形態では、水案内部40が、水、及びエア案内部30から気泡形成部43の各
エア導入孔43aを通じて水案内部40内に供給される空気を、胴部10の下側に配置されているオリフィス部50に向けて(即ち、気泡を含む水を垂直下方に向けて)案内する。これにより、水案内部40内の気泡を含む水の流れにおける水と空気(気泡)との偏流が抑えられるため、噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧される安定条件(噴霧ノズル21に供給される水及び空気の流量等を変更しても十分に微細化された水滴が安定して噴霧される範囲)が広くなる。
【0059】
オリフィス部50は、その前後で圧力差を生じさせて気泡の膨張により水滴を微細化して噴霧するための噴霧部51と、エア流路F1の一端を塞ぐ閉塞部52とを有している。本実施形態の噴霧部51は、微細化された水滴を下方に向けて噴霧する。
【0060】
閉塞部52は、半径方向外側の環状の領域であり、噴霧部51は、閉塞部52よりも半径方向内側の領域である。閉塞部52は、エア案内管31の一端と水案内管41の一端とに当接してエア流路F1の一端を塞ぐ内面(上流側の表面)52aを有している。
【0061】
噴霧部51は、水流路F2と噴霧ノズル21の外部とを連通する連通孔を有している。連通孔は、下流側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー面を有するテーパー孔51aと、テーパー孔51aの下流側に位置して水が噴霧される噴霧孔51bとを含む。噴霧孔51bと熱交換器13との距離、及び噴霧孔51bの孔径は、噴霧孔51bから噴霧された水滴の全部又は大半が熱交換器13に向かって移動する間に蒸発(気化)するように設定される。噴霧孔51bの孔径は、後述するエア導入孔43aの孔径よりも小さい。
【0062】
テーパー孔51aにおける上流側端部の内径は、水案内管41の一端の内径D1と同程度であるか若干小さくなるように設計されている。水案内管41の一端とテーパー孔51aの上流側端部とは、段差なく接続されているのが好ましい。テーパー孔51aの軸方向の長さは、噴霧孔51bの軸方向の長さL4よりも大きい。テーパー面に沿ってテーパー孔51aを下流側に流れる水は、次第に流速が高められて噴霧孔51bに到達する。噴霧孔51bに到達した水は、多数の微細な気泡を含んでおり、これらの気泡とともに噴霧ノズル21の外部に噴霧される。多数の気泡を含む水が噴霧孔51bから噴霧されるとき又は噴霧孔51bから噴霧された後、気泡が膨張し、はじけて水滴が微細化される。
【0063】
本実施形態の噴霧ノズル21は、空気の供給孔32aが設けられた供給領域A1と、複数のエア導入孔43aが設けられた気泡形成領域A2と、気泡形成領域A2において形成された多数の気泡を含む水を噴霧部51まで案内する案内領域A3とを含む。本実施形態の案内領域A3は、前記多数の気泡を含む水を下方(詳しくは、胴部10下側に設けられた噴霧部51)に向けて案内する。案内領域A3は、水に混入した多数の気泡を水中においてある程度分散させるための分散領域(ミキシング領域)としても機能する。この案内領域A3は、気泡形成領域A2と噴霧部51との間に位置している。気泡形成領域A2は、供給領域A1よりも下流側に位置している。すなわち、軸方向において、供給領域A1、気泡形成領域A2、案内領域A3及び噴霧部51の順に下流側に向かって並んでいる。
【0064】
本実施形態では、水案内管41の軸方向において、気泡形成領域A2の長さL2は、水案内管41の内径D1よりも大きい。これにより、軸方向における広範囲の部位から空気が水案内管41を流れる水の中に混入されるので、多数の気泡をより分散させた状態で効率よく水の中に混入させることができる。また、水案内管41の軸方向において、案内領域A3の長さL3は、水案内管41の内径D1よりも大きい。これにより、気泡形成領域A2において水に混入した多数の気泡を案内領域A3において水中に効果的に分散させることができる。
【0065】
水供給源としては、例えば上水道などの水道が例示できる。この場合、水案内管41の上流側端部には、液送配管61が接続される。液送配管61は、図略の給水栓に接続される。液送ポンプ62及び気送ポンプ72が駆動すると、噴霧ノズル21から水が噴霧される。なお、液送ポンプ62を省略して水道の水圧を利用して噴霧ノズル21から水を噴霧することもできる。この場合には、液送ポンプ62を設けるのに必要なコスト及び液送ポンプ62を駆動するランニングコストを削減できる。また、水供給源としては、水が貯留されたタンクなどであってもよい。この場合には、液送配管61は、タンクに設けられた給水口に接続される。
【0066】
水滴の平均粒径は、例えば25μm以下(蒸発所要時間は約0.3秒以下)であるのが好ましい。水滴の平均粒径は、噴霧孔51bの孔径、エア導入孔43aの孔径、水流路F2にかかる圧力、エア流路F1にかかる圧力などを調節することにより調整できる。
【0067】
水の供給量と空気の供給量の割合は、例えば重量比(空気の重量/水の重量)で0.1以下であるのが好ましい。重量比がこの範囲に調節されることにより、空気を供給するのに必要な動力を小さく抑えることができる。なお、噴霧ノズルの噴霧孔において空気と水を同時に噴射する従来の二流体ノズルでは、空気の圧力で水に剪断力を加えて水滴を微細化しているので、高速の空気を噴射させる必要があり、重量比(空気の重量/水の重量)が0.4以上となる。このため、従来の二流体ノズルでは、空気を供給するのに必要な動力が大きくなる。
【0068】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る室外機11における噴霧ノズル21を示す断面図である。第2実施形態に係る室外機11は、噴霧ノズル21の構造が第1実施形態に係る室外機11と異なっている。第1実施形態と同様の構成については図3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図4に示すように、第2実施形態における噴霧ノズル21は、第1実施形態と同様に、空気の供給孔32aが設けられた供給領域A1と、気泡形成領域A2と、気泡形成領域A2において形成された多数の気泡を含む水を噴霧部51まで案内する案内領域A3とを含む。
【0070】
また、図4に示すように、水案内管41には、気泡形成部43が設けられている。気泡形成部43は、多孔質材料からなる多孔質部42を含む。多孔質部42は、例えば発泡金属により形成されている。多孔質部42は、多数のエア導入孔43aを有している。気泡形成部43は、水案内管41のうち、多孔質部42の最上流端から最下流端までの領域をいう。
【0071】
本実施形態における多孔質部42は、水案内管41の他の部位とほぼ同径の円筒形状を有しているが、これに限定されない。例えば、水案内管41には、周方向及び/又は水案内管41の延びる方向に点在するように互いに独立して配置された複数の多孔質部42が設けられていてもよい。
【0072】
多孔質部42は、気孔同士がつながった多数の連続気孔(多数のエア導入孔43a)を有している。したがって、エア流路F1を流れる空気は、多数のエア導入孔43aを通じて水流路F2に流入する。第2実施形態では、このような多孔質部42が設けられているので、第1実施形態に比べて、気泡形成領域A2における気孔率(空隙率)を高めることができる。
【0073】
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係る室外機11における噴霧ノズル21を示す断面図である。第3実施形態にかかる室外機11は、噴霧ノズル21の構造が第1実施形態にかかる室外機11と異なっている。
【0074】
図5に示すように、第3実施形態における噴霧ノズル21は、エア案内部30と、水案内部40と、気泡形成部43と、噴霧部51とを備えている。水案内部40は、円筒形状の水案内管44を含む。エア案内部30は、水案内管44の側部に接続された円筒形状のエア案内管34を含む。噴霧部51は、水案内管44の先端部(下流側端部)に設けられている。
【0075】
噴霧ノズル21は、エア流路F1と水流路F2とを有している。水流路F2は、水案内管44の内周面に区画された空間である。エア流路F1は、エア案内管34の内周面に区画された空間である。エア案内管34の外径は、水案内管44の外径よりも小さい。
【0076】
噴霧部51は、水流路F2と噴霧ノズル21の外部とを連通する連通孔を有している。連通孔は、下流側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー面を有するテーパー孔51aと、テーパー孔51aの下流側に位置して水が外部に噴霧される噴霧孔51bとを含む。
【0077】
エア案内管34の上流側端部には、図1に示す気送配管71が接続され、水案内管44の上流側端部には、図1に示す液送配管61が接続される。エア供給源から供給される空気は、エア案内管34を流れ、複数のエア導入孔43aを通じて水案内管44を流れる水の中に導入される。
【0078】
図6(A)は、第3実施形態における噴霧ノズル21のエア案内管34を示す斜視図である。図6(A)に示すように、このエア案内管34は、軸方向において外径及び内径がほぼ均一な円筒形状を有している。
【0079】
気泡形成部43は、エア案内管34の先端部に位置している。気泡形成部43は、エア案内管34の先端部の開口を覆うように配置された円形の板状体であり、この板状体のほぼ全域にわたって点在するように複数のエア導入孔43aが形成されている。この気泡形成部43は、水案内管44の水流路F2内に配置される。
【0080】
この噴霧ノズル21では、水流路F2において水の流れる方向に対して交わる方向(本実施形態では水の流れる方向に対して直交する方向)に気泡形成部43の複数のエア導入孔43aから空気が吹き出される。このような配置にすることにより、複数のエア導入孔43aから吹き出される空気が水流の剪断力によって微細化されやすくなる。したがって、水流路F2において水の流れる方向に対して平行な方向に複数のエア導入孔43aから空気が下流側に吹き出される場合に比べて、気泡をより微細化することができる。
【0081】
図6(B)は、エア案内管34の変形例1を示す斜視図である。この変形例1では、エア案内管34の上流側の部位は、軸方向において外径及び内径がほぼ均一な円筒形状を有しており、エア案内管34の下流側の部位は、下流側に向かうにつれて外径及び内径が大きくなる拡径形状を有している。エア案内管34の先端部には、複数のエア導入孔43aを有する気泡形成部43が設けられている。
【0082】
図6(B)に示す変形例1では、図6(A)に示す形態に比べて、板状体の気泡形成部43の面積を大きくすることができる。したがって、図6(A)と図6(B)において、エア導入孔43aの個数が同じである場合には、変形例1では、図6(A)に示す形態に比べてエア導入孔43a同士の間隔を大きくすることができるので、気泡同士の再凝集を抑制することができる。
【0083】
図6(C)は、エア案内管34の変形例2を示す斜視図である。この変形例2では、エア案内管34は、軸方向において外径及び内径がほぼ均一な円筒形状を有している。エア案内管34の先端部には、気泡形成部43が設けられている。この気泡形成部43は、多孔質材料からなる多孔質体(多孔質部)である。多孔質部は、多数のエア導入孔43aを有する。多孔質体は、例えば発泡金属により形成されている。多孔質体は、気孔同士がつながった多数の連続気孔(多数のエア導入孔43a)を有している。変形例2では、このような多孔質部が設けられているので、図6(A)、図6(B)に示す形態に比べて、気泡形成部43における気孔率(空隙率)を高めることができる。
【0084】
以上説明したように、各実施形態では、噴霧ノズル21は、空気が流れるエア案内部30と、水が流れる水案内部40と、エア案内部30の空気を水案内部40の水の中に流入させて水の中に多数の気泡を形成する気泡形成部43と、水案内部40よりも水の流れ方向の下流側に位置し、水案内部40における多数の気泡を含む水が外部に噴霧される噴霧部51と、を備えているので、熱交換器の腐食を抑制しつつ、空気調和装置全体としての動力を低減することができる。
【0085】
第1実施形態及び第2実施形態では、1つ又は複数のエア導入孔43aが設けられた水案内管41の外周を囲むようにエア案内管31を配置するという二重管構造を採用することによって、水案内部40、エア案内部30及び気泡形成部43を備えた噴霧ノズル21を安価に製作することができる。
【0086】
第1実施形態及び第2実施形態では、複数のエア導入孔43aが水案内管41の周方向及び水案内管41の延びる方向に互いに間隔をあけて設けられているので、エア導入孔43aが1つである場合に比べて、周方向及び水案内管41の延びる方向に互いに間隔があけられた複数の部位から空気を水案内管41の水の中に流入させることができる。したがって、水案内管41を流れる水の中に気泡を効率よく分散させることができる。また、エア導入孔43aが1つである場合に比べて水の中に空気を流入させる抵抗が小さくなり、空気を水の中に流入させるのに必要な圧力を低く設定することができる。これにより、動力をさらに低減することができる。
【0087】
第2実施形態では、気泡形成部43が、複数のエア導入孔43aを有する多孔質部42を含むので、気泡形成部43における気孔率を大きくすることができる。これにより、気泡形成部43を通じて空気が水案内管41の水の中に導入される際の抵抗をさらに小さくすることができる。これにより、空気を水に流入させるために必要な圧力をさらに小さくすることができる。
【0088】
第2実施形態では、多孔質部42を発泡金属によって形成することにより、複数のエア導入孔(43a)の孔径のばらつきを小さくすることができる。これにより、気泡形成部43において形成される気泡の径をある程度揃えることができるので、噴霧部51において噴霧される水滴の径のばらつきも低減できる。
【0089】
第3実施形態では、水案内管44と、水案内管44に接続され、水案内管44側の端部に1つ又は複数のエア導入孔43aが設けられたエア案内管34と、を備え、水案内部40は、水案内管44の内周面により区画される水流路F2を含み、エア案内部30は、エア案内管34の内周面により区画されるエア流路F1を含み、気泡形成部43は、1つ又は複数のエア導入孔43aを含む。第3実施形態では、このような簡単な構造で噴霧ノズル21を形成できる。
【0090】
各実施形態では、噴霧ノズル21から噴霧される水を帯電させる帯電機構80をさらに備えている。噴霧部51から噴霧される各水滴は、帯電した状態で空気中を移動する。したがって、水滴同士が静電反発力によって反発するので、水滴同士の再凝集が抑制される。これにより、再凝集により水滴の径が大きくなるのを抑制できる。また、水滴同士が静電反発力によって反発するので、水滴を広い範囲に拡散させることができる。
【0091】
各実施形態では、水案内部40が気泡を含む水を垂直方向に案内することによって水案内部40内の気泡を含む水の流れにおける水と空気(気泡)との偏流が抑えられるため、噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧される安定条件(噴霧ノズル21に供給される水及び空気の流量等を変更しても十分に微細化された水滴が安定して噴霧される範囲)が広くなる。即ち、気泡を含む水を垂直方向に案内することによって、気泡を含む水を他の方向、例えば、水平方向に案内したときのように、水案内部40内の気泡を含む水の流れにおいて上部側に空気(気泡)が集まって空気と水とが偏って流れる(偏流する)ことが防がれ、これにより、噴霧ノズル21に供給される水及び空気の流量等の供給条件を変化させても広い範囲で前記偏流に起因する噴霧状態の乱れ(水滴が十分に微細化されない場合や、水滴の大きさにむらが生じる等)が抑えられ、噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧される。
【0092】
また、各実施形態では、水案内部40が気泡を含む水を下方に向けて案内し、これを噴霧部51が下方に向けて噴霧することによって、他の方向(例えば、上方や水平方向)に水案内部40が気泡を含む水を案内して噴霧部51がこの水を同方向に噴霧する場合に比べ、安定条件(噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧されるような水や空気等の供給条件)が最も広くなる。
【0093】
しかも、蒸発し難い大きな水滴が噴霧部51から噴霧された場合でも、この大きな水滴は、下方に向けて噴霧されているため、噴霧された勢いと当該水滴に加わる重力によって、熱交換器13に向かう略水平方向の空気の流れを横切って下方に(例えば、室外機11の設置面等)に落下する。このため、この大きな水滴によって熱交換器13が濡れることが防がれる。
【0094】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0095】
各実施形態では、図2に示すように、各噴霧ノズル21が、熱交換器13に対向する3つの側板12a,12b,12cにおいて、水滴を下方に向けて噴霧する姿勢で且つ同じ高さ位置となるよう互いに水平方向に間隔を空けて配置されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。噴霧装置20による冷却効果が熱交換器13のほぼ全体にわたってほぼ均等に及ぼされれば、例えば、図7に示す室外機11Aのように、各噴霧ノズル21が熱交換器13に向かって水滴を噴霧する(換言すると、熱交換器13に向かう外気の流れに沿って水滴を噴霧する)姿勢となるように配置されてもよい。具体例を挙げると次の通りである。
【0096】
各噴霧ノズル21は、水滴が熱交換器13に向かって噴霧されるように配置される。即ち、各噴霧ノズル21は、その軸方向が空気の流れ(気流)方向に沿う方向に向けられた状態で配置される。各噴霧ノズル21から噴霧された水滴は、放射状に拡散しながら前記気流の方向に沿って熱交換器13に向かって移動する。水滴の全部又はその大半は、熱交換器13に到達する前に気化する。
【0097】
各噴霧ノズル21が上記のように水平又は若干の傾斜した方向に水滴を噴霧する姿勢で室外機11Aに設けられる場合、複数の噴霧ノズル21は、図8に示すように、熱交換器13に対向する3つの側板12a,12b,12cに互いに間隔をあけて配置されるのが好ましい。より具体的には、各噴霧ノズル21から噴霧される水滴が拡散する範囲、すなわち各噴霧ノズル21により熱交換器13に向かう空気が冷却される範囲に基づいて、複数の噴霧ノズル21は、互いに上下方向及び水平方向に例えば数十センチ程度の間隔をあけて点在するように配置される。この配置例では、各噴霧ノズル21から水滴が拡散する範囲が例えば直径50cm程度であり、側板12aの幅が例えば100cm程度であり、側板12b,12cの幅が30cm程度であり、各側板の高さが80cm程度である場合を例示している。そして、側板12aには4つの噴霧ノズル21が上下方向及び水平方向に配列され、側板12b及び側板12cには、2つの噴霧ノズル21が上下方向にそれぞれ配列されている。
【0098】
以上のように各噴霧ノズル21が配置されることにより、噴霧装置20による冷却効果が熱交換器13のほぼ全体にわたってほぼ均等に及ぼされる。
【0099】
また、噴霧ノズル21が熱交換器13に向かって(即ち、熱交換器13に向かう外気の流れに沿って)水滴を噴霧する姿勢の場合、例えば、複数の噴霧ノズル21は、熱交換器13の一部の領域において他の領域よりも高い冷却効果が得られるように、偏った配置がなされていてもよい。具体例を挙げると次の通りである。
【0100】
図9は、熱交換器13に対する噴霧ノズル21の他の配置例を説明するための概略図である。図9では、噴霧ノズル21の図示は省略している。図9に示す熱交換器13は、3つの伝熱管P1,P2,P3を有している。3つの伝熱管P1,P2,P3は、互いに独立した冷媒経路を有している。各伝熱管は、熱交換器13の幅方向の両端部において折り返されて蛇行する冷媒経路を有している。各伝熱管の一端(図9では右端)には冷媒の入口が設けられており、他端(図9では左端)には冷媒の出口が設けられている。
【0101】
熱交換器13において冷媒を所定の過冷却度を有する過冷却液にするためには、伝熱管P1,P2,P3の冷媒出口近傍の過冷却領域(下流側端部領域)SB1,SB2,SB3が重点的に冷却されるのが好ましい。図9に示す配置例では、複数の噴霧ノズル21は、熱交換器13における過冷却領域SB1,SB2,SB3に対向する位置に重点的に設けられている。噴霧ノズル21を一部の領域に重点的に設ける具体例としては、次のような形態が挙げられる。例えば、複数の噴霧ノズル21が熱交換器13における過冷却領域SB1,SB2,SB3に対向する位置にのみ設けられている形態や、他の領域に対向する位置よりも過冷却領域SB1,SB2,SB3に対向する位置に、噴霧ノズル21が密集して設けられている形態などが挙げられる。
【0102】
また、例えば、各噴霧ノズル21が、図10に示すように、水滴を上方に向けて噴霧する姿勢となるように配置されてもよい。
【0103】
この場合、各噴霧ノズル21は、室外機11Bにおいて熱交換器13より外側で且つ下側に配置される。このとき、各噴霧ノズル21において、水案内部40は気泡を含む水を上方に向けて案内し、噴霧部51は水案内部40によって案内された多数の気泡を含む水を上方に向けて噴霧する。これら複数の噴霧ノズル21は、熱交換器13に対向する3つの側板12a,12b,12cにおいて、水滴を上方に向けて噴霧する姿勢で且つ同じ高さ位置(熱交換器13よりも下側の位置)となるように互いに水平方向に間隔を空けて配置される。
【0104】
このように水案内部40が気泡を含む水を上方に向けて案内し、これを噴霧部51が上方に向けて噴霧することによっても、水案内部40内の気泡を含む水の流れにおける空気と水との偏流が抑えられ、噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧される。
【0105】
しかも、上側ほど流れが速い風速分布(熱交換器13と送風機14との位置関係に起因する風速分布)を有する熱交換器13に向かう外気の流れに対し、下側から噴霧ノズル21が上方に向けて水滴を噴霧することによって、熱交換器13の高さ方向の各部位に向かう水滴が当該熱交換器13の部位に到達する前に気化するのに十分な滞空時間がそれぞれ確保される。詳しくは、以下の通りである。
【0106】
熱交換器13が設置面(水平面)に対して立設されると共に、送風機14がケース2内において熱交換器13より水平方向内側で且つ上側に配置されている室外機11B(図10参照)では、熱交換器13に向かう空気の流れが均一ではなく、図11に示すように、上側ほど流れが速い風速分布が形成される。これは、ケース2の側板12a、12b、12cに設けられた図略の吸込口において、送風機14に近い位置(上側)ほど吸い込まれる空気の流れが速くなるからである。尚、図11において、熱交換器13に向かう水平方向の矢印は、送風機14が室外機11B(ケース2)の内部の空気を外部に排出する(図11における上向きの矢印参照)ことによって形成される熱交換器13に向かう外気(空気)の流れを示すものである。この空気の流れを示す各矢印の長さは、その高さ位置における風速の大きさを示している。
【0107】
この状態において噴霧ノズル21が熱交換器13より下側から上方に向けて水滴を噴霧した場合、熱交換器13上部に向かう外気の流れは速いが熱交換器13の下側に配置された噴霧ノズル21から熱交換器13上部までの距離が大きいため、噴霧ノズル21から噴霧されて熱交換器13上部に向かう水滴(図11の矢印α参照)は、当該液滴の気化に必要な滞空時間が十分に確保され、これにより、熱交換器13上部に到達する前に気化する。一方、熱交換器13の下側に配置された噴霧ノズル21から熱交換器13下部までの距離は近いが、当該部位に向かう空気の流れが遅いため、噴霧ノズル21から噴霧されて熱交換器13下部に向かう水滴(図11の矢印β参照)は、当該水滴の気化に必要な滞空時間が十分に確保され、これにより、熱交換器13下部に到達する前に気化する。このように、室外機11Bでは、熱交換器13と送風機14との位置関係に起因して、熱交換器13に向かう空気の流れにおいて上側ほど流れが速い風速分布が形成されるが、熱交換器13より下側から上方に向かって水滴が噴霧されることにより、風速の大きな高さ位置の熱交換器13の部位に向かう水滴ほど噴霧ノズル21から熱交換器13の当該部位までの距離が大きく(換言すると、風速の小さな高さ位置の熱交換器13の部位に向かう水滴ほど噴霧ノズル21から熱交換器13の当該部位までの距離が小さく)なるため、各水滴において気化に必要な滞空時間がそれぞれ十分に確保される。これにより、噴霧ノズル21から噴霧された各水滴は、熱交換器13に到達する前にそれぞれ気化し、その結果、熱交換器13が噴霧ノズル21から噴霧された水滴によって濡れるのが防がれる。
【0108】
各実施形態では、噴霧ノズル21において、水案内部40全体が垂直方向に水を案内する形状であるが、この形状に限定されない。即ち、水案内部40において少なくとも案内領域A3に相当する部位が水を垂直方向(上記各実施形態では下方)に案内する構成であればよい。例えば、各実施形態の水案内部40において、少なくとも気泡形成部43より下流側の部位(より具体的には、少なくとも、最も下流側のエア導入孔43aより下流側の水案内管41の部位)が、気泡を含む水を噴霧部51に向けて垂直方向に案内する構成であればよい。かかる構成によれば、水案内部40内の気泡を含む水の流れにおける空気と水との偏流が抑えられ、噴霧部51から十分に微細化された水滴が安定して噴霧されるといった効果が得られる。
【0109】
各実施形態では、図1に示すように水供給機構60から供給される水に電流を流す(水に通電する)ことによって噴霧装置20から噴霧される水を帯電させているが、この方式に限定されない。例えば、図12(A)、図12(B)に示すように静電誘導を用いて噴霧される水を帯電させてもよく、また、図13に示すように空気中での放電により噴霧される水を帯電させてもよい。具体的には、次の通りである。
【0110】
まず、静電誘導を用いる方式を、図12(A)及び図12(B)を参照しつつ説明する。図12(A)は、帯電機構80の変形例1を説明するための概略図であり、図12(B)は、噴霧ノズル21及び誘導電極85を説明するための拡大斜視図である。
【0111】
噴霧装置20における水供給機構60の液送配管61には、前記実施形態のような絶縁性配管61bを設けなくてもよい。すなわち、液送配管61全体が導電性部材によって形成される。なお、液送配管61において、少なくとも、帯電用電源81の電極が接続される部位から噴霧ノズル21までが導電性部材により形成されていればよく、例えば、前記の電極が接続される部位の上流側の部位が絶縁性部材によって形成されていてもよい。
【0112】
帯電機構80は、帯電用電源81と、誘導電極85とを備えている。帯電用電源81は、一方の電極が噴霧ノズル21に接続され、他方の電極が誘導電極85に接続される。これにより、帯電用電源81は、噴霧ノズル21と誘導電極85との間に電圧を印加できる。本実施形態では、プラスの電極が噴霧ノズル21に接続され、マイナスの電極が誘導電極85に接続される。これにより、噴霧ノズル21から噴霧される水(各水滴)は、プラスに帯電する。また、帯電用電源81のプラスの電極は、噴霧ノズル21が接地電位となるように接地されている。
【0113】
誘導電極85は、噴霧ノズル21と所定の間隔をおいて配置され、噴霧ノズル21との間に所定の電圧が印加されることによって噴霧ノズル21を通過する水に静電誘導を生じさせる。具体的に、誘導電極85は、噴霧ノズル21の外径よりも大きな内径を有する環状の電極である(図12(B)参照)。この誘導電極85は、噴霧ノズル21の軸(中心軸)と誘導電極85の中心軸とが一致し、且つ、噴霧ノズル21の軸方向において噴霧ノズル21の先端位置または僅かに基端側の位置に配置される。誘導電極85は、噴霧ノズル21の軸方向において、噴霧ノズル21の前方(熱交換器側)に配置されてもよいが、噴霧ノズル21によって噴霧された霧状の水に接して汚れ等が生じるため、上記の噴霧ノズル21の先端位置または僅かに基端側の位置に配置されることが好ましい。
【0114】
この帯電機構80によれば、帯電用電源81が噴霧ノズル21と誘導電極85との間に所定の電圧(例えば、5000V〜10000V)を印加することによって噴霧ノズル21を通過する水に静電誘導が生じ、この状態の水が噴霧ノズル21から噴霧されることによって各水滴が帯電した状態となる。
【0115】
次に、放電によって噴霧される水を帯電させる方式を図13を参照しつつ説明する。図13は、帯電機構80の変形例2を説明するための概略図である。
【0116】
静電誘導方式の流路部同様、当該方式の噴霧装置20における水供給機構60の液送配管61は、前記実施形態のような絶縁性配管を設けなくてもよい。
【0117】
帯電機構80は、帯電用電源81と、一対の放電電極(第1の放電電極86及び第2の放電電極87)とを備えている。
【0118】
帯電用電源81は、プラスの電極が第1の放電電極86に接続され、マイナスの電極が第2の放電電極87に接続される。また、マイナスの電極は、第2の放電電極87が接地電位となるように接地されている。これにより、帯電用電源81は、第1の放電電極86と第2の放電電極87との間(一対の放電電極間)に電圧を印加できる。
【0119】
一対の放電電極86、87は、噴霧ノズル21から噴霧された霧状の水が通過する領域を挟むように配置される。
【0120】
この帯電機構80によれば、帯電用電源81が一対の放電電極86,87間に所定の電圧(例えば、5000V〜10000V)を印加することによって放電電極86,87間に放電(例えば、コロナ放電等)が生じ、この放電によって当該放電電極86,87間を通過する各水滴が帯電した状態となる。この場合、各水滴は、プラスに帯電する。
【0121】
また、各実施形態の帯電機構(水に通電する方式の帯電機構)80では、図1に示すように絶縁性配管61bを挟んで噴霧ノズル21と金属配管61aとの間に電圧を印加することにより絶縁性配管61bを流れる水に通電し、これにより、噴霧される水を帯電させるが、通電する位置はこの位置に限定されない。例えば、水供給機構60がタンク等の水供給源を有する場合、この水供給源に溜められた水に通電することにより帯電させ、この帯電した水を噴霧ノズルに供給するように構成されてもよい。この場合、水に通電することにより帯電させる方式であるが、水供給機構の水案内管に絶縁性配管を設けなくてもよい。
【0122】
各実施形態では、噴霧装置20が帯電部としての帯電機構80を備えている場合を例に挙げて説明したが、帯電部は、本発明において必須の構成ではなく省略することもできる。帯電部を省略する場合には、樹脂配管61bを用いる必要はなく、液送配管61全体を金属配管61aによって形成することができる。
【0123】
第1実施形態及び第2実施形態では、気泡形成領域A2と噴霧部51との間に案内領域A3を設けた場合を例に挙げて説明したが、案内領域A3を省略することもできる。この場合、水案内管41には、テーパー孔51aの近傍の位置にエア導入孔43aが形成される。ただし、図3に示すように案内領域A3が設けられている形態では、案内領域A3が設けられていない場合に比べて、水に混入した多数の気泡が水中において分散しやすくなるので、噴霧部51からより均一な水滴を噴霧することができる。
【0124】
各実施形態では、送風機14が熱交換器13よりも空気の流れ方向の下流側に位置している場合を例示したが、これに限定されない。例えば、空気の流れ方向において、送風機14、噴霧ノズル21及び熱交換器13がこの順に下流側に向かって並ぶように配置されていてもよい。
【0125】
第2実施形態及び第3実施形態では、多孔質部42が発泡金属により形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。多孔質部42は、必ずしも金属により形成されている必要はなく、例えば合成樹脂により形成されていてもよい。
【0126】
第3実施形態では、エア案内管(第2案内管)34を水案内管(第1案内管)44の側部に接続する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、エア案内管34は、水案内管44の長手方向の端部(上流側の端部)に接続されていてもよい。この場合、水案内管44の延びる方向とエア案内管34の延びる方向とがほぼ同じ方向を向く。
【符号の説明】
【0127】
11、11A、11B 室外機
13 熱交換器
20 噴霧装置
21 噴霧ノズル
30 エア案内部
31 エア案内管
34 エア案内管(第2案内管)
40 水案内部
41 水案内管
42 多孔質体
44 水案内管(第1案内管)
50 先端部
51 噴霧部
80 帯電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(13)と、
前記熱交換器(13)に向かう空気に水を噴霧する噴霧ノズル(21)と、を備え、
前記噴霧ノズル(21)は、
空気が流れるエア案内部(30)と、
水が流れるとともに、前記エア案内部(30)を流れる空気が水の中に流入して多数の気泡を含む水が形成される水案内部(40)と、
前記水案内部(40)よりも水の流れ方向の下流側に位置し、前記水案内部(40)において形成された多数の気泡を含む水を外部に噴霧する噴霧部(51)と、を備えている空気調和装置の室外機。
【請求項2】
前記水案内部(40)は、管形状を有し、厚み方向に貫通する1つ又は複数のエア導入孔(43a)を有しており、
前記エア案内部(30)は、前記水案内部(40)の外周を囲む管形状を有している、請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記水案内部(40)は、前記複数のエア導入孔(43a)を有しており、
前記複数のエア導入孔(43a)は、前記水案内部(40)の周方向及び前記水案内部(40)の延びる方向に互いに間隔をあけて設けられている、請求項2に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項4】
前記水案内部(40)は、管形状を有し、少なくとも一部に多孔質部(42)を有しており、
前記エア案内部(30)は、前記水案内部(40)の外周を囲む管形状を有している、請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項5】
前記多孔質部(42)は、発泡金属により形成されている、請求項4に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項6】
前記水案内部(40)は、管形状を有しており、
前記エア案内部(30)は、管形状を有し、その先端部が前記水案内部(40)に接続されている、請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項7】
前記エア案内部(30)は、その先端部に多孔質部(42)を有している、請求項6に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項8】
前記噴霧ノズル(21)から噴霧される水を帯電させる帯電部(80)をさらに備えている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項9】
前記水案内部(40)は、気泡を含む水を垂直方向に案内する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項10】
前記噴霧ノズル(21)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)よりも外側に配置され、
前記水案内部(40)は、気泡を含む水を下方に向けて案内し、
前記噴霧部(51)は、前記水案内部(40)の下側に配置され且つ前記水案内部(40)によって案内された前記多数の気泡を含む水を下方に向けて噴霧する、請求項9に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項11】
前記熱交換器(13)に向かう空気の流れを形成する送風機(14)を備え、
前記送風機(14)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)より内側で且つ上側に配置され、前記室外機(11)の内部に入って前記熱交換器(13)と熱交換した後の空気を上方に向けて当該室外機(11)の外部に排出し、
前記噴霧ノズル(21)は、前記室外機(11)において前記熱交換器(13)よりも外側に配置され、
前記水案内部(40)は、気泡を含む水を上方に向けて案内し、
前記噴霧部(51)は、前記水案内部(40)の上側に配置され、前記水案内部(40)によって案内された前記多数の気泡を含む水を上方に向けて噴霧する、請求項9に記載の空気調和装置の室外機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−83431(P2013−83431A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−197301(P2012−197301)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】