説明

空気調和装置用の室外機

【課題】簡単かつコンパクトな構成で、噴霧装置から噴霧された冷却水を熱交換器に到達する前に気化させることにより、該熱交換器における熱交換を効果的に促進できる空気調和装置用の室外機を提供する。
【解決手段】冷媒が流通する冷媒流通管(8)を有する熱交換器(1)と、該熱交換器(1)に冷却水を噴霧する噴霧装置(11)と、該噴霧装置(11)から噴霧される冷却水を帯電させる冷却水帯電部(12)と、上記噴霧装置(11)から熱交換器(1)に向けて噴霧される冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部(13)とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が流通する冷媒流通管を有する熱交換器と、該熱交換器に冷却水を噴霧する噴霧装置とを備えた空気調和装置用の室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、冷却管を含む熱交換器と、該熱交換器に向かって水道水等の液体を噴霧するための噴霧手段と、該噴霧手段と上記熱交換器との間に形成された誘電電極と、上記熱交換器から離れて配置された補助電極と、上記噴霧手段と上記誘電電極との間、および上記補助電極と上記熱交換器との間に、それぞれ電位差を発生させるための電位差供給手段とを備え、上記電位差に応じた静電吸引力に応じ、上記噴霧手段から噴霧された液滴を熱交換器に引き寄せて熱交換器に付着させることにより、微量の冷却水で、効率よく流体を冷却することができるように構成した空気調和装置用の室外機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−214578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているように噴霧手段から噴霧された水道水等の液体を熱交換器に付着させるように構成した場合には、噴霧液体中に含まれるカルシウムやシリカ等のスケール成分が熱交換器に付着して腐食が促進されることが避けられなかった。上記噴霧液体が室外機の熱交換器に付着することに起因した弊害の発生を防止するために、噴霧手段と熱交換器との距離を充分に確保して噴霧液体が熱交換器に到達する前に気化させ、その気化熱を利用して熱交換器における熱交換を促進できるように構成することが考えられる。しかし、このように構成した場合には、噴霧手段と熱交換器とを充分に離して設置する必要があるために室外機が大型化することが避けられない等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単かつコンパクトな構成で、噴霧装置から噴霧された冷却水を熱交換器に到達する前に気化させることにより、該熱交換器における熱交換を効果的に促進できる空気調和装置用の室外機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気調和装置用の室外機は、冷媒が流通する冷媒流通管(8)を有する熱交換器(1)と、該熱交換器(1)に冷却水を噴霧する噴霧装置(11)と、該噴霧装置(11)から噴霧される冷却水を帯電させる冷却水帯電部(12)と、上記噴霧装置(11)から熱交換器(1)に向けて噴霧される冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部(13)とを備えたものである。
【0007】
本発明では、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水と、該冷却水と同極性に帯電された噴霧領域にとの間に静電反発力が作用することにより、上記冷却水の流動速度が低下するため、室外機が大型化するのを防止しつつ、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水の滞空時間を充分に確保してその蒸発を促進することができる。したがって、上記構成によれば、従来技術のように噴霧装置と熱交換器との距離を充分に確保して噴霧装置から噴霧された冷却水が熱交換器に付着するのを防止する等の手段を講じることなく、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が熱交換器(1)に到達する前にこれを確実に気化させて該冷却水が熱交換器(1)に付着するのを防止できるとともに、その気化熱を利用して室外機の熱交換器(1)における熱交換を効果的に促進できるという利点がある。
【0008】
本発明に係る空気調和装置用の室外機においては、噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)の外面側部に設置された導電性部材(26)と、該導電性部材(26)に電圧を印加する電源(27)とを備えたものであることが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、上記導電性部材(26)の設置スペースが限定される等の問題を生じることなく、該導電性部材(26)を所定範囲に容易に設置することができるとともに、上記導電性部材(26)の帯電電圧をそれ程高い値に設定することなく、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が上記熱交換器(1)に付着するのを効果的に防止してその腐食を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る空気調和装置用の室外機においては、噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)の内面側部に設置された導電性部材(36)と、該導電性部材(36)に電圧を印加する電源(27)とを備えたものであってもよい。
【0011】
上記のように熱交換器(1)の内面側部に導電性部材(36)を設置した場合には、該導電性部材(36)を高電圧に帯電させることによる安全対策を容易に行うことができるとともに、上記熱交換器(1)の外面側に導電性部材を配設した場合に比べて室外機をコンパクトに形成することができる等の利点がある。
【0012】
さらに、本発明に係る空気調和装置用の室外機において、噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)に設けられた導電性部材に電圧を印加する電源(27)を備えたものとすることができる。
【0013】
かかる構成によれば、上記熱交換器(1)とは別体の導電性部材を設けることなく、上記冷却水の噴霧領域に設けられた熱交換器(1)の冷媒流通管(8)およびフィン(9)等からなる導電性部材を帯電させることにより、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水の流動速度を低下させてその滞空時間を充分に確保し、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が熱交換器(1)に到達する前にこれを確実に気化させることができるため、室外機をよりコンパクトに構成できるという利点がある。
【0014】
また、本発明に係る空気調和装置用の室外機は、噴霧領域帯電部(13)の電源(27)から導電性部材(26)に印加される電圧を制御する電圧制御部(28)を備えたものとすることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、例えば室外機の設置部に吹き付ける横風の強さを検出する検出手段の出力信号等に応じ、上記電源(27)から導電性部材(26)に印加される電圧を調節する等の制御を上記電圧制御部(28)において実行する等により、噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が上記横風の影響を受けるのを抑制し、熱交換器(1)に付着することを抑制しつつ、該熱交換器(1)に冷却水が到達する前にこれを確実に気化させて熱交換器(1)における熱交換を効果的に促進できるという利点がある。
【0016】
なお、本発明に係る空気調和装置用の室外機は、室外機用の送風ファン(3)と、該送風ファン(3)の回転を制御することにより上記噴霧装置(11)から熱交換器(1)に向けて噴霧された冷却水の流動速度を制御する送風ファン制御部(41)とを備えたものとしてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、例えば室外機の設置部に吹き付ける横風の強さに応じて室外機用の送風ファン(3)の回転速度を変化させることにより、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が横風の影響を受けるのを抑制することができる。また、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水を間欠的に噴霧するように構成された空気調和装置用の室外機において、上記冷却水の噴霧時に、送風ファン(3)の回転を一時的に停止させたり、あるいは上記冷却水の噴霧停止時に比べて回転速度を低下させたりする等の制御を実行することにより、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が、上記送風ファン(3)の送風作用に応じて熱交換器(1)の設置部に迅速に供給されるのを抑制して、上記冷却水の滞空時間を充分に確保できるとともに、上記冷却水の噴霧停止時には、冷却水の噴霧時に比べて上記送風ファン(3)の回転速度を上昇させることにより、上記熱交換器(1)の設置部に供給される空気流を充分に確保して該熱交換器(1)における熱交換を促進できる等の利点がある。
【0018】
また、上記本発明に係る空気調和装置用の室外機において、噴霧装置(11)から噴霧された冷却水を間欠的に噴霧するとともに、上記冷却水の噴霧時に送風ファン(3)の回転を一時的に停止させ、あるいは上記冷却水の噴霧停止時に比べて送風ファンの回転速度(3)を低下させるように構成してもよい。
【0019】
かかる構成によれば、上記噴霧装置(11)から噴霧された冷却水が、上記送風ファン(3)の送風作用に応じて熱交換器1の設置部まで過度に早く到達するのを抑制して、上記冷却水の滞空時間を充分に確保できるとともに、上記冷却水の噴霧停止時には、冷却水の噴霧時に比べて上記送風ファン(3)の回転速度を上昇させることにより、上記熱交換器(1)の設置部に供給される空気流を充分に確保して該熱交換器1における熱交換を効果的に促進できるという利点がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡単かつコンパクトな構成で、噴霧装置から噴霧された冷却水を熱交換器に到達する前に気化させることにより、熱交換器の冷媒流通管内を流通する冷媒を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る空気調和装置用の室外機の第1実施形態を示す説明図である。
【図2】上記室外機の具体的構成を示す斜視図である。
【図3】噴霧ノズルの具体的構成を示す断面図である。
【図4】噴霧装置および冷却水帯電部の変形例を示す説明図である。
【図5】噴霧装置および冷却水帯電部の他の変形例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る空気調和装置用の室外機の別の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る空気調和装置用の室外機のさらに別の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2は、本発明に係る空気調和装置用の室外機の第1実施形態を示している。該室外機は、その内部に熱交換器1が配設された筺体2を有し、該筺体2の上部には送風ファン3を有する排気室4が設置されている。上記熱交換器1は、平面視でコ字状に配設された第1〜第3壁面部5〜7を備えている。
【0023】
上記熱交換器1には、複数枚のフィン8および該フィン8を貫通して平行に延びる伝熱管からなる冷媒流通管9が設けられている。また、上記室外機には、熱交換器1に向けて冷却水を噴霧する噴霧装置11と、該噴霧装置11から噴霧された冷却水を帯電させる冷却水帯電部12と、上記冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部13とが配設されている。
【0024】
上記噴霧装置11は、冷却水を微粒化した状態で円錐状または角錐状に拡散しつつ噴霧する複数個の噴霧ノズル14と、該噴霧ノズル14に冷却水を供給する冷却水供給機構15と、冷却水中にエアを供給するエア供給機構16とを有している。上記噴霧ノズル14は、それぞれ熱交換器1を構成する第1〜第3壁面部5〜7と所定間隔を置いて対向するように設置されている。
【0025】
上記噴霧ノズル14は、導電性部材からなり、図3に示すように、上記冷却水供給機構15から供給された冷却水をオリフィス部17に向けて案内する冷却水案内配管18と、上記エア供給機構16から供給される空気により冷却水中に多数の気泡を形成するためのエア供給配管19とを備えている。そして、上記冷却水案内配管18により案内される冷却水中に、上記エア供給配管19からエアを供給することにより、多数の気泡を含ませた冷却水を、上記冷却水案内配管18の先端側(冷却水の流れ方向における下流側)に設けられたオリフィス部17まで案内するように構成されている。
【0026】
このような構成により、上記冷却水案内配管18内において多数の気泡を含有した冷却水がオリフィス部17まで案内され、多数の気泡と冷却水とが充分に混合された状態で、各気泡がオリフィス部17から外部に噴出される際の圧力差に応じて破裂することにより、噴霧ノズル14から噴出される冷却水が微細な霧状となる。すなわち、当該噴霧ノズル14によれば、冷却水中に多数の気泡を形成し、この気泡を圧力差で破裂させて冷却水を霧状に噴霧するように構成したため、従来のいわゆる2流体ノズルのように高圧の空気の流れによるせん断力を利用して冷却水を霧状に噴霧するものに比べ、使用空気量を少なくすることができるとともに、冷却水の液滴を効果的に微粒化することが可能となる。
【0027】
上記冷却水案内配管18は、冷却水供給機構15から供給された冷却水をオリフィス部17まで案内する冷却水流路を形成するものであり、所定の内径を有する導電性部材からなるパイプ材により形成されている。この冷却水案内配管18の上流端部には、水道管等からなる冷却水流路部が接続されるとともに、冷却水案内配管18の下流端には、オリフィス部17が当接されている。また、上記冷却水案内配管18の先端部側には、上流側の気泡形成領域18aと、下流側の混和領域18bとが設けられている。
【0028】
上記気泡形成領域18aは、エア供給機構16から供給された空気を冷却水案内配管18内の冷却水中に導入(供給)して、多数の気泡を冷却水の中に形成する領域である。この気泡形成領域18aの管壁面には、冷却水案内配管18の内側と外側とを連通させる複数の連通孔18cが形成され、この連通孔18cを通じて冷却水案内配管18内を流れる冷却水の中に空気が供給されるようになっている。本実施形態では、複数個の連通孔18cが冷却水案内配管18の周方向に等間隔で配置された3列の連通孔18c群が、冷却水案内配管18の軸方向に等間隔で配列されている。
【0029】
上記混和領域18bは、冷却水を多数の気泡とともに所定距離に亘って流動させることにより、冷却水中に多数の気泡を混入させるための領域である。すなわち、上記気泡形成領域18aでは、冷却水案内配管18の管壁面に形成された連通孔18cを介して冷却水中に空気が供給されるために、上記管壁面の近傍に気泡が集中し易いが、この状態の冷却水が混和領域18bを流通する際に気泡と冷却水とが均等に混合されることになる。このため、上記オリフィス部17から噴出される霧状の冷却水(液滴)の大きさにムラが生じるのを抑えることができる。
【0030】
上記エア供給配管19は、冷却水案内配管18の外側に配置されるパイプ材からなっている。具体的には、エア供給配管19が、冷却水案内配管18の外径よりも大きな内径を有し、冷却水案内配管18の中心軸と当該エア供給配管19の中心軸とが一致するように配置される。そして、エア供給配管19は、その先端部がオリフィス部17に当接し、基端部が閉塞板19aで閉塞されている。
【0031】
上記エア供給配管19の閉塞板19aと、上記冷却水案内配管18の外周面および内周面と、オリフィス部17とで囲まれた空間により、エア供給機構16から供給された空気を、冷却水案内配管18の気泡形成領域18aに設けられた連通孔18cまで案内する空気流路が構成されている。また、上記エア供給配管19には、エア供給機構16が接続される接続部19bが設けられている。
【0032】
上記オリフィス部17は、冷却水案内配管18により案内された気泡を含む冷却水を外部に噴霧する噴霧口17aを有する導電性部材からなる円板状体により形成されている。この噴霧口17aは、オリフィス部の裏面から先端面(冷却水の流れ方向の下流側の面)に向かって径が漸減するテーパ面と、該テーパ面の先端から延びる円筒面とにより構成されている。
【0033】
上記冷却水供給機構15には、図1に示すように、例えば水道やタンク等の水供給源(図示省略)から噴霧ノズル14まで冷却水を案内する冷却水通路20と、該冷却水通路20を流れる冷却水を加圧して噴霧ノズル14に供給する加圧ポンプ21とが設けられている。なお、上記水供給源から充分な圧力で冷却水が供給されるように構成することにより、上記加圧ポンプ21を省略した構造とすることも可能である。
【0034】
上記冷却水通路20は、噴霧ノズル14側に配設された絶縁性部材からなる絶縁通路部20aと、その上流側に配設された導電性部材からなる導電通路部20bとを有している。このように上記絶縁通路部20aが噴霧ノズル14と導電通路部20bとの間に配設されることにより、導電性部材からなる噴霧ノズル14と、上記冷却水通路20の導電通路部20bとが電気的に絶縁された状態で接続されている。
【0035】
また、上記エア供給機構16は、外気(空気)を噴霧ノズル14まで案内する流路を形成するエア通路22と、外気をエア通路22内に引き込んで噴霧ノズル14まで圧送するエア用ポンプ23とを有し、上記エア通路22の先端部が噴霧ノズル14のエア供給配管19に設けられた接続部19bに接続されている。
【0036】
上記冷却水帯電部12は、プラスの電極が噴霧ノズル14に接続されるとともにマイナスの電極が上記冷却水通路20の導電通路部20bに接続される電源24と、該電源24を制御する帯電制御部25とを有している。該帯電制御部25は、外部電源から供給された電力の電圧を例えば5000〜10000Vの高電圧に昇圧した状態で、上記噴霧ノズル14と導電通路部20bとの間に印加するとともに、該印加電圧を室外機の負荷状態等に応じて制御するように構成されている。
【0037】
これにより、上記噴霧装置11の噴霧ノズル14から冷却水が噴霧される際に、各液滴がプラスの電荷を有する状態に帯電され、各液滴間に作用する静電気力(クーロン力)に応じて冷却水が広範囲に拡散されることになる。また、上記電源24から噴霧ノズル14に印加される電圧を上記帯電制御部25により制御されて上記各液滴間に作用する静電気力が調節されることにより、上記冷却水の拡散範囲が調節されるようになっている。
【0038】
上記噴霧領域帯電部13は、熱交換器1の外面側部(噴霧ノズル14に対向する面側に位置する部分)に設置された導電性部材26と、該導電性部材26に電圧を印加する電源27と、該電源27の電圧を制御する電圧制御部28とを有している。上記導電性部材26は、図2に示すように、熱交換器1の外面側部を覆うように設置される金網材29と、該金網材29の外周部を支持する金属フレーム30とからなり、上記熱交換器1の外面側部に絶縁体からなる取付部材31を介して取り付けられている(図1参照)。
【0039】
そして、上記電源27のプラス電極が導電性部材26に接続されることにより、該導電性部材26が上記噴霧ノズル14から噴霧された冷却水と同極性(プラス)に帯電されるように構成されている。また、上記電源27から導電性部材26に印加される電圧が、室外機の設置部に吹き付ける横風の強さを検出する検出手段(図示せず)の出力信号等に応じ、上記電圧制御部28により例えば5000〜10000Vの範囲内で調節されるようになっている。
【0040】
なお、上記導電性部材26は、金網材29と金属フレーム30とにより構成されたメッシュ状体に限られず、噴霧装置11の噴霧ノズル14から噴霧された冷却水が通過するのを許容する開口部と、上記冷却水と同極性に帯電される導電体を有するものであればよい。例えば、金属プレート等を格子状に組み合わせた格子状体、または熱交換器1の外面側部に沿って配設された金属製棒状体または金属製筒状体等により上記導電性部材を構成することも可能である。
【0041】
上記構成において空気調和装置の室外機が作動状態となり、上記筺体2の上部に位置する排気室4に設けられた送風ファン3が回転駆動されると、図1の矢印に示すように、筺体2外の空気が熱交換器1の設置部に吸引されるとともに、筺体2の上部を通して外方に排出される空気流Aが形成される。該空気流Aと上記熱交換器1の冷媒流通管9を通る冷媒との間で熱交換が行われて冷媒が冷却される。
【0042】
上記室外機の作動時に、例えば図略の外気温度センサによって検出された外気温度と、空気調和装置の設定温度とに基づき、冷却運転の負荷が所定のレベルを超えていることが検出された場合には、上記噴霧ノズル14から熱交換器1に向けて冷却水が噴霧される。また、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水を冷却水帯電部12により帯電させるとともに、上記冷却水の噴霧領域に配設された噴霧領域帯電部13の導電性部材26を上記冷却水と同極性に帯電させる制御が実行される。
【0043】
これにより、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水の各液滴同士を反発させる静電気力(クーロン力)が作用して各液滴の凝集を防止しつつ、冷却水を広範囲に拡散させることができる。また、上記冷却水の液滴と、これと同極性に帯電された上記導電性部材26との間に静電反発力を作用させることにより、上記冷却水の流動速度を低下させることができるため、室外機を大型化することなく、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水の滞空時間を充分に確保してその蒸発を促進することができる。したがって、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が熱交換器1に付着することに起因して熱交換器1が腐食することを効果的に抑制しつつ、上記熱交換器1の近傍で冷却水を気化させて上記冷媒流通管9を通る冷媒の冷却を促進することができる。
【0044】
上記のように空気調和装置用の室外機に、冷媒が流通する冷媒流通管9を有する熱交換器1と、該熱交換器1に冷却水を噴霧する噴霧装置11と、該噴霧装置11から噴霧される冷却水を帯電させる冷却水帯電部12と、上記噴霧装置11から熱交換器1に向けて噴霧される冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部13とを設けたため、室外機が大型化するのを防止しつつ、噴霧装置11から噴霧された冷却水の滞空時間を充分に確保して、その蒸発を促進することができる。したがって、従来技術のように、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が熱交換器1に付着することに起因した腐食の発生を防止するために、上記噴霧装置11を熱交換器1から大きく離間させる等の手段を講じることなく、該熱交換器1に冷却水が到達する前にこれを確実に気化させることができ、その気化熱を利用して熱交換器1における熱交換を効果的に促進できるという利点がある。
【0045】
なお、上記噴霧装置11の噴霧ノズル14および噴霧領域帯電部13の導電性部材26にそれぞれプラスの電荷を印加するように構成してなる上記実施形態に代え、噴霧ノズル14導電性部材26にそれぞれマイナスの電荷を印加することにより、上記噴霧装置11の噴霧ノズル14から噴霧される冷却水と、冷却水の噴霧領域を該冷却水とをそれぞれ同極性(マイナス)に帯電させることもできる。しかし、上記噴霧ノズル14等をマイナスに帯電させるように構成した場合には、噴霧ノズル14からの放電現象が発生する虞があるため、上記実施形態に示すように、噴霧装置11の噴霧ノズル14および噴霧領域帯電部13の導電性部材26にそれぞれプラスの電荷を印加するように構成することが好ましい。
【0046】
また、上記実施形態では、噴霧装置11から噴霧される冷却水を帯電させる冷却水帯電部12用の電源24と、上記冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部13用の電源27とを別体に設けた例について説明したが、両電源の一方を省略し、他方の電源を冷却水帯電部12用と噴霧領域帯電部13用とに共用化するように構成してもよい。
【0047】
上記実施形態では、冷却水供給機構15から供給される冷却水に通電することにより噴霧装置11から噴霧される冷却水を帯電させるように構成しているが、当該構成に代え、例えば図4に示すように、上記噴霧ノズル14との間に所定の間隔をおいて配置された環状の誘導電極32に、例えば電源27のマイナス電極を接続するとともに、上記噴霧ノズル14に冷却水を案内する導電性部材からなる冷却水通路20に電源27のプラス電極を接続し、該噴霧ノズル14を通過する冷却水に静電誘導を生じさせることにより、該冷却水の各液滴をプラスに帯電させるように構成してもよい。
【0048】
また、図5に示すように、上記噴霧装置11の噴霧ノズル14から噴霧された水が通過する領域を挟むように配置された一対の放電電極34を設け、当該一対の放電電極34間に電源27から所定の電圧を印加することにより放電現象を生じさせて、当該放電電極34間を通過する冷却水の各液滴を、例えばプラスに帯電させるように構成してもよい。
【0049】
上記実施形態では、熱交換器1の外面側部に設置された金属製のメッシュ状体等からなる導電性部材26と、該導電性部材26に電圧を印加する電源27とを有する噴霧領域帯電部13により、上記冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させるように構成した例について説明したが、この構成に代え、あるいは当該構成とともに、図6に示すように、筺体2内において熱交換器1の内面側部に設置された金属製のメッシュ状体等からなる導電性部材36設け、該導電性部材36に電源27の電圧を印加することにより、上記冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させるように構成してもよい。
【0050】
図6に示すように熱交換器1の内面側部に導電性部材36を設置した場合には、高電圧に帯電される導電性部材36を筺体2の内部に配設することにより、熱交換器1の外面側部に導電性部材26を設置した場合に比べて、安全性を効果的に向上させることができるとともに、室外機を容易にコンパクト化することができる等の利点がある。
【0051】
これに対して図1に示すように、上記熱交換器1の外面側部に導電性部材26を設置した場合には、その設置スペースが限定される等の問題を生じることなく、該導電性部材26を所定範囲に容易に設置することができる。しかも、上記熱交換器1の内面側部に導電性部材26を設置した場合に比べて、導電性部材26に印加される電圧をそれ程高い値に設定することなく、噴霧装置11から噴霧された冷却水が上記熱交換器1に付着するのを効果的に防止してその腐食を抑制できるという利点がある。
【0052】
さらに、図7に示すように、熱交換器1に設けられた導電性部材、つまりアルミニウム材等からなるフィン8および銅管等からなる冷媒流通管9に電源27の電圧を印加するように構成された噴霧領域帯電部13を設けた構造としてもよい。当該構成とした場合には、上記熱交換器1とは別体の導電性部材26,36等を設けることなく、上記冷却水の噴霧領域に設けられた熱交換器1を帯電させることにより、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水の流動速度を低下させてその対空時間を充分に確保することができるため、室外機をよりコンパクトに構成しつつ、上記冷却水が熱交換器1に到達する前にこれを確実に気化させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、平面視でコ字状に配設された第1〜第3壁面部5〜7を備えた一層の熱交換器1を筺体2内に設けた例について説明したが、筺体2内に内外二層の熱交換器、または3層以上の熱交換器を設けた構造としてもよい。この場合には、熱交換器の各層に上記電源27の電圧を印加するように構成してもよく、あるいは熱交換器の何れか一層に上記電源27の電圧を印加するように構成してもよい。
【0054】
また、上記各実施形態では、例えば図1に示すように、噴霧領域帯電部13の電源27から上記導電性部材26に印加される電圧を制御する電圧制御部28を設け、室外機の設置部に吹き付ける横風の強さを検出する検出手段等の出力信号に応じ、上記電源27から導電性部材26に印加される電圧を調節する制御を上記電圧制御部28において実行するように構成したため、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が熱交換器1に付着することを抑制しつつ、該熱交換器1に冷却水が到達する前にこれを確実に気化させて熱交換器1における熱交換を効果的に促進できるという利点がある。
【0055】
すなわち、上記室外機の設置部に吹き付ける横風が予め設定された基準値よりも強い場合には、当該横風が基準値よりも弱い場合に比べて上記電源27から導電性部材26に印加される電圧を低い値に設定することにより、上記横風の影響と、冷却水と同極性に帯電された上記導電性部材26の静電反発力との相乗作用で、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水を熱交換器1の近傍に到達させることができなくなるという事態の発生を容易かつ効果的に防止することができ、熱交換器1の近傍で冷却水を確実に気化させて該熱交換器1における熱交換を効果的に促進することができる。逆に、上記室外機の設置部に吹き付ける横風が予め設定された基準値よりも弱い場合には、上記電源27から導電性部材26に所定の高電圧を印加して該導電性部材26の静電反発力を充分に作用させることにより、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が熱交換器1に付着するのを確実に抑制できるという利点がある。
【0056】
なお、上記噴霧領域帯電部13の電源27から上記導電性部材26等に印加される電圧を制御する電圧制御部28を設けた構成に代え、あるいは当該構成とともに、図1の破線で示すように、室外機用の送風ファン3の回転を制御することにより上記噴霧装置11から熱交換器1に向けて噴霧された冷却水の流動速度を制御する送風ファン制御部41を設けた構造としてもよい。
【0057】
上記構成によれば、例えば室外機の設置部に吹き付ける横風が予め設定された基準値よりも弱い場合に、当該横風が基準値よりも弱い場合に比べて上記室外機用の送風ファン3の回転速度を上昇させることにより、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が横風により吹き飛ばされて上記横風を熱交換器1の近傍に到達させることができなくなるという事態の発生を容易かつ効果的に防止することができ、熱交換器1の近傍で冷却水を確実に気化させて該熱交換器1における熱交換を効果的に促進することができる。逆に、上記室外機の設置部に吹き付ける横風が予め設定された基準値よりも弱い場合には、当該横風が基準値よりも強い場合に比べて上記室外機用の送風ファン3の回転速度を低下させることにより、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が熱交換器1に付着するのを確実に抑制できるという利点がある。
【0058】
また、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水を間欠的に噴霧するように構成された空気調和装置用の室外機において、上記冷却水の噴霧時には、送風ファン3の回転を一時的に停止させ、あるいは上記冷却水の噴霧停止時に比べて送風ファン3の回転速度を低下させる等の制御を実行するように構成してもよい。当該構成によれば、上記噴霧装置11から噴霧された冷却水が、上記送風ファン3の送風作用に応じて熱交換器1の設置部まで過度に早く到達するのを抑制して、上記冷却水の滞空時間を充分に確保できるという利点がある。しかも、上記冷却水の噴霧停止時には、冷却水の噴霧時に比べて上記送風ファン3の回転速度を上昇させることにより、上記熱交換器1の設置部に供給される空気流Aを充分に確保して該熱交換器1における熱交換を促進することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 熱交換器
3 送風ファン
9 冷媒流通管
11 噴霧装置
12 冷却水帯電部
13 噴霧領域帯電部
26,36 導電性部材
27 電源
28 電源制御部
41 送風ファン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通する冷媒流通管(8)を有する熱交換器(1)と、該熱交換器(1)に冷却水を噴霧する噴霧装置(11)と、該噴霧装置(11)から噴霧される冷却水を帯電させる冷却水帯電部(12)と、上記噴霧装置(11)から熱交換器(1)に向けて噴霧される冷却水の噴霧領域を該冷却水と同極性に帯電させる噴霧領域帯電部(13)とを備えたことを特徴とする空気調和装置用の室外機。
【請求項2】
噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)の外面側部に設置された導電性部材(26)と、該導電性部材(26)に電圧を印加する電源(27)とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置用の室外機。
【請求項3】
噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)の内面側部に設置された導電性部材(36)と、該導電性部材(36)に電圧を印加する電源(27)とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用の室外機。
【請求項4】
噴霧領域帯電部(13)は、熱交換器(1)に設けられた導電性部材に電圧を印加する電源(27)を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気調和装置用の室外機。
【請求項5】
噴霧領域帯電部(13)の電源(27)から導電性部材(26)に印加される電圧を制御する電圧制御部(28)を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の空気調和装置用の室外機。
【請求項6】
室外機用の送風ファン(3)と、該送風ファン(3)の回転を制御することにより噴霧装置(11)から熱交換器(1)に向けて噴霧された冷却水の流動速度を制御する送風ファン制御部(41)とを備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の空気調和装置用の室外機。
【請求項7】
噴霧装置(11)から噴霧された冷却水を間欠的に噴霧するとともに、上記冷却水の噴霧時に送風ファン(3)の回転を一時的に停止させ、あるいは上記冷却水の噴霧停止時に比べて送風ファンの回転速度(3)を低下させるように構成したことを特徴とする請求項6に記載の空は調和装置用の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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