説明

空気調和装置

【課題】圧縮機が有する圧縮性能の幅を拡大させて圧縮機の使用用途を拡げることで、圧縮機及び空気調和装置の製造コストを低減する。
【解決手段】利用側制御部205及びインバータ制御回路207と、圧縮機21から吐出された冷媒を熱源側熱交換器32をバイパスさせるバイパス回路11と、熱源側熱交換器32をバイパスさせるバイパス冷媒量を調節する電子膨張弁112と、調和対象となる空気を目標空気温度とするために必要な圧縮機21の所要能力を算出する所要能力算出部206と、当該所要能力に応じた圧縮機21の駆動周波数を算出する駆動周波数算出部2052と、当該駆動周波数が最低駆動周波数であるときに、上記所要能力に応じてバイパス冷媒量を可変させて算出するバイパス冷媒量算出部2053とを備え、利用側制御部205は、上記算出されたバイパス冷媒量に基づいて電子膨張弁112の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関し、特に、圧縮機の能力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置では、冷房動作時、圧縮機により冷媒を圧縮して高温高圧として、凝縮器で液冷媒とし、さらに、当該液冷媒を電子膨張弁で減圧、気化した後、蒸発器で当該冷媒を冷却するという行程を繰り返す(例えば、下記特許文献1参照)。このため、空気調和装置には、当該冷媒圧縮を行うために圧縮機が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−57852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和装置には、求められる適切な空調能力を実現するために、当該空調能力に見合った圧縮能力を有する圧縮機が用いられる。しかしながら、空気調和装置は様々な用途に応じて多様な空調能力が要求されるため、各空調能力に応じたそれぞれの圧縮機を製造して空気調和装置に搭載することは、圧縮機及び空気調和装置の製造コストを増大させることになる。
【0005】
本発明は、上記問題解決のためになされたものであり、圧縮機が有する圧縮性能の幅を拡大させて圧縮機の使用用途を拡げることで、圧縮機及び空気調和装置の製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、容量制御が自在なインバータ方式の圧縮機(21)と、熱源側熱交換器(32)と、膨張機構(24)と、利用側熱交換器(23)とを有してなる冷媒回路(10)と、
前記圧縮機(23)を含む当該空気調和装置(1)の各動作機構を駆動制御する制御部(205,207)と、
前記冷媒回路(10)において、前記圧縮機(21)の吐出側と前記熱源側熱交換器(32)との間から、当該熱源側熱交換器(32)と前記利用側熱交換器(23)との間に、前記圧縮機(21)から吐出された冷媒をバイパスさせるバイパス回路(11)と、
前記バイパス回路(11)に設けられ、前記熱源側熱交換器(32)をバイパスさせるバイパス冷媒量を調節する冷媒量調節機構(112)と、
前記制御部(205,207)が前記圧縮機(21)の容量制御に用いる駆動周波数を、予め定められた最低駆動周波数までの周波数で算出する駆動周波数算出部(2052)と、
前記駆動周波数算出部(2052)によって算出された前記駆動周波数が前記最低駆動周波数であるときに、前記バイパス冷媒量を可変させて算出するバイパス冷媒量算出部(2053)とを備え、
前記制御部(205,207)は、前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出されたバイパス冷媒量に基づいて、前記冷媒量調節機構(112)の動作を制御する空気調和装置である。
【0007】
この発明では、バイパス回路が、圧縮機の吐出側と熱源側熱交換器との間から、当該熱源側熱交換器と利用側熱交換器との間に、圧縮機から吐出された冷媒をバイパスさせると共に、圧縮機の駆動周波数が最低駆動周波数であるときのバイパス回路による上記バイパス冷媒量がバイパス冷媒量算出部によって算出され、制御部が当該バイパス冷媒量に基づいて冷媒量調節機構の動作を制御する。これにより、圧縮機の圧縮能力を最低能力よりも下げることを可能にする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和装置であって、負荷に応じて前記圧縮機(21)の所要能力を算出する所要能力算出部(206)を更に備え、
前記駆動周波数算出部(2052)は、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に応じて、前記制御部(205,207)が前記圧縮機(21)の動作制御に用いる駆動周波数を、予め定められた最低駆動周波数までの周波数で算出し、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記駆動周波数算出部(2052)によって算出された前記駆動周波数が前記最低駆動周波数であるときに、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に応じて前記バイパス冷媒量を可変させて算出するものである。
【0009】
この発明では、負荷に応じた圧縮機の所要能力に応じて、圧縮機の駆動周波数が最低駆動周波数であるときの上記バイパス冷媒量がバイパス冷媒量算出部によって算出され、制御部が当該バイパス冷媒量に基づいて冷媒量調節機構の動作を制御する。このため、圧縮機の圧縮能力を最低能力よりも下げることを可能にすると共に、当該下げ幅を圧縮機の上記所要能力に応じて変動させることが可能になる。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空気調和装置であって、前記駆動周波数算出部(2052)は、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に対応するそれぞれの前記冷媒量調節機構(112)による冷媒バイパス率を記憶するバイパス率記憶部(2052)を備え、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記所要能力に関連付けられた冷媒バイパス率を前記バイパス率記憶部(2052)から読み出し、当該読み出した冷媒バイパス率と、前記冷媒回路(10)を循環する冷媒の総循環冷媒量とを用いて前記バイパス冷媒量を算出するものである。
【0011】
この発明によれば、バイパス冷媒量算出部は、圧縮機の上記所要能力に関連付けられた冷媒バイパス率をバイパス率記憶部から読み出し、当該読み出した冷媒バイパス率と、冷媒回路の総循環冷媒量とを用いてバイパス冷媒量を算出するので、上記所要能力に応じて求められる当該バイパス量を正確に算出することができる。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の空気調和装置であって、前記圧縮機(21)の低圧側及び高圧側の高低差圧を検出する高低差圧検出部(2055)と、
前記圧縮機(21)から吐出される吐出冷媒密度を検出する冷媒密度検出部(2056)とを更に備え、
前記冷媒量調節機構は電子膨張弁(112)であり、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記算出したバイパス冷媒量、前記高低差圧検出部(2055)によって検出された高低差圧、及び前記冷媒密度検出部(2056)によって検出された吐出冷媒密度に基づいて、前記電子膨張弁(112)の開度を算出し、
前記制御部(205,207)は、前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出された開度で、前記電子膨張弁(112)を動作させるものである。
【0013】
この発明によれば、バイパス冷媒量算出部が、上記バイパス冷媒量、上記高低差圧、及び上記吐出冷媒密度に基づいて電子膨張弁の開度を算出し、制御部が、当該算出された開度で電子膨張弁を動作させるので、圧縮機の高低圧変動等に柔軟に対応して上記算出された冷媒バイパス量を保ち、圧縮機の圧縮能力を一定に保つことが可能になる。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和装置であって、前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出された前記電子膨張弁(112)の開度が、現状開度から予め定められた変更量を超えるものである場合、現状開度からの変更量を当該予め定められた変更量にとどめた開度を算出し、前記制御部(205,207)は、当該算出された開度で、前記電子膨張弁(112)を動作させるものである。
【0015】
この発明によれば、バイパス冷媒量算出部によって算出された電子膨張弁の開度が、現状開度から予め定められた変更量を超えるとき、制御部が、現状開度からの変更量を当該予め定められた変更量にとどめた開度で電子膨張弁を動作させるので、過度の圧縮機高圧上昇による電子膨張弁の開き過ぎや閉め過ぎを防止可能である。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の空気調和装置であって、前記所要能力算出部(206)は、前記利用側熱交換器(23)の吸込空気温度を検出する吸込空気温度検出部(208)と、前記利用側熱交換器(23)からの吹出空気温度を検出する吹出空気温度検出部(209)と、当該吸込空気温度と当該吹出空気温度との温度差に基づいて前記圧縮機(21)の所要能力を算出する能力算出部(2051)とを備えるものである。
【0017】
この発明によれば、所要能力算出部の能力算出部が、上記吸込空気温度と上記吹出空気温度との温度差に基づいて圧縮機の上記所要能力を算出するので、負荷に応じた圧縮機の所要能力をより的確に算出することができる。
【0018】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の空気調和装置であって、前記圧縮機(21)及び前記バイパス回路(11)が室内ユニット(2)側に設けられているものである。
【0019】
この発明によれば、上記圧縮機から吐出された冷媒のバイパスを室内ユニット側で完結させることができ、上記バイパスに必要な構成のダウンサイジング化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、圧縮機が有する圧縮性能の幅を拡大させて圧縮機の使用用途を拡大可能となり、圧縮機及び空気調和装置の製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【図2】空気調和装置の制御系及び主要機構の概略構成を示すブロック図である。
【図3】圧縮機を駆動させるための駆動周波数及び冷媒バイパス率の組合せからなる複数の段階を示す図である。
【図4】利用側制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】空気調和装置の利用側ユニットにおける圧縮機の駆動制御及び冷媒量調節機構の各弁開閉制御時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】電子膨張弁の開度算出処理及びその動作制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る空気調和装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【0023】
本実施形態に係る空気調和装置1は、例えばサーバコンピュータが設置されたいわゆるサーバ室を冷房する装置である。
【0024】
空気調和装置1は、利用側ユニット(室内機)2と熱源側ユニット(室外機)3とを備える。利用側ユニット2と熱源側ユニット3とは連絡配管6,7によって接続されている。すなわち、空気調和装置1の冷媒回路10は、利用側ユニット2と熱源側ユニット3とが連絡配管6、7を介して接続されることで構成される。冷媒回路10内には、例えばフロンガスR410Aが冷媒として封入されている。空気調和装置1では、冷媒としてのフロンガスR410Aを臨界圧力以上になるまで圧縮して冷却運転が行われる。
【0025】
利用側ユニット2について説明する。利用側ユニット2は、冷媒回路10の一部を構成する利用側冷媒回路101を有している。利用側冷媒回路101は、圧縮機21と、利用側熱交換器23と、冷媒回路10を流れる冷媒を減圧する膨張機構24と、閉鎖弁25,26とを有している。
【0026】
さらに、冷媒回路10には、冷媒回路10において圧縮機21から吐出された冷媒を、後述する熱源側熱交換器32からバイパスさせるバイパス回路11が設けられている。バイパス回路11は、圧縮機21から吐出された冷媒を、利用側冷媒回路101において利用側熱交換器23の上流となる位置に移動させる。バイパス回路11は、冷媒回路10において、圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器32との間から、当該熱源側熱交換器32と利用側熱交換器23との間に、圧縮機21から吐出された冷媒をバイパスさせる。このバイパス回路11には、熱源側熱交換器32をバイパスさせるバイパス冷媒量を調節する冷媒量調節機構としての電子膨張弁112が設けられている。電子膨張弁112は、弁の開度に応じてバイパス回路11を流れる冷媒流量を調節可能である。
【0027】
利用側熱交換器23は、冷却対象物(本実施形態ではサーバコンピュータ又はサーバ室内空気)を冷却するための蒸発器として機能する。利用側熱交換器23は、その一端が膨張機構24に接続され、その他端が圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0028】
膨張機構24は、その一端が分流器28を介して利用側熱交換器23に接続され、その他端がフィルタ203を介して閉鎖弁26に接続されている。膨張機構24は、電子膨張弁241と、電磁弁242と、バイパス弁243とを有している。
【0029】
電子膨張弁241は、開度が変更されることで、冷媒を膨張させると共に、当該冷媒が冷媒回路10を通って利用側熱交換器23及び圧縮機21に至る量を変化させる。
【0030】
電磁弁242は、開状態及び閉状態が切り換えられることで電子膨張弁241に冷媒を通過させるか否かを制御する弁である。バイパス弁243は、電子膨張弁241及び電磁弁242をバイパスする第2バイパス回路111aに設けられ、電子膨張弁241及び電磁弁242をバイパスさせて利用側熱交換器23及び圧縮機21に至らせる冷媒の量を調節するものである。
【0031】
利用側ユニット2は、本実施形態において、ユニット内に外気を吸入して、熱交換した後でユニット外に排出するためのファン270を備えており、ユニット周辺空気と利用側熱交換器23を流れる冷媒とを熱交換させる。ファン270は、ファンモータ27aによって回転駆動される。
【0032】
閉鎖弁25,26は、外部の機器・配管(具体的には、連絡配管6,7)との接続口に設けられた弁である。閉鎖弁26は、膨張機構24に接続されている。閉鎖弁25は、圧縮機21の吐出側に接続されている。
【0033】
圧縮機21は、低圧のガス冷媒を臨界圧力以上になるまで圧縮する。圧縮機21は、例えば、要求される空調能力に応じて駆動周波数の変更により容量を調整可能として駆動されるインバータ制御方式の圧縮機である(当該容量可変制御については後述)。圧縮機21には、上記利用側熱交換器23を通過した冷媒が吸入される。
【0034】
圧縮機21の吐出側には、圧力開閉器27及びフィルタ203が設けられている。当該フィルタ30を通過した冷媒の一部は圧縮機21に戻されるように戻り回路103が接続されている。
【0035】
また、圧縮機21の吸入側の回路部分には、圧縮機21による圧縮前の低圧状態の冷媒圧力を検出する低圧センサ201が設けられている。圧縮機21の吐出側の回路部分には、圧縮機21による圧縮後の高圧状態の冷媒圧力を検出する高圧センサ202が設けられている。
【0036】
さらに、圧縮機21の吸入側の吸入管部分には、当該吸入管の温度を検出する吸入管温度センサ210が設けられている。圧縮機21の吐出側の吐出管部分には、当該吐出管の温度を検出する吐出管温度センサ211が設けられている。
【0037】
なお、利用側ユニット2の利用側冷媒回路101の要所には、フィルタ203及び逆止弁204が配設されている。
【0038】
次に、熱源側ユニット3について説明する。熱源側ユニット3は、冷媒回路10の一部を構成する熱源側冷媒回路102を備えている。熱源側冷媒回路102は、冷媒を減圧する冷媒量調節機構31と、熱源側熱交換器32とを有している。
【0039】
冷媒量調節機構としての電子膨張弁31は、弁の開閉量が調節されることで、熱源側熱交換器32を経て熱源側冷媒回路102内を流れる冷媒の流量の調節等を行うものである。バイパス弁313は、熱源側熱交換器32をバイパスする第3バイパス回路112aに設けられ、熱源側熱交換器32をバイパスさせる冷媒の量を調節するものである。
【0040】
熱源側熱交換器32は、その一端が連絡配管6を介して利用側ユニット2に接続され、他端がフィルタ39を介して電子膨張弁31に接続されている。熱源側ユニット3は、ユニット内に外気を吸入して、熱交換した後でユニット外に排出するためのファン370を備えており、ユニット周辺空気と熱源側熱交換器32を流れる冷媒とを熱交換させる。ファン370は、ファンモータ37aによって回転駆動される。
【0041】
さらに、熱源側ユニット3には閉鎖弁34,35が設けられている。閉鎖弁34,35は、熱源側冷媒回路102の端部を閉じる弁である。当該閉鎖弁34,35は、熱源側ユニット3の現地配設時に開状態とされ、当該閉鎖弁34,35に連絡配管6、7が接続される。当該連絡配管6、7により、熱源側ユニット3の閉鎖弁34,35と、利用側ユニット2の閉鎖弁25,26とが接続されることで、圧縮機21を有する利用側ユニット2側の利用側冷媒回路101と熱源側冷媒回路102とが接続されて、冷媒回路10を形成する。
【0042】
連絡配管6、7は、空気調和装置1を設置場所に設置する際に、現地にて利用側ユニット2と熱源側ユニット3との間の距離に合わせて、その長さが調節されて配設される冷媒配管である。
【0043】
この他、熱源側冷媒回路102には、冷媒回路10を循環する冷媒量を調整する冷媒調整器36、更に、逆止弁37、圧力調整弁38、及びフィルタ39が適所に設けられている。なお、圧力調整弁38は、冷媒回路10(熱源側冷媒回路102)を流れる冷媒の圧力を可変させる弁である。
【0044】
空気調和装置1の制御系及び主要機構の概略構成を説明する。図2は、空気調和装置1の制御系及び主要機構の概略構成を示すブロック図である。図3は、圧縮機を駆動させるための駆動周波数及び冷媒バイパス率の組合せからなる複数の段階を示す図である。
【0045】
利用側ユニット2は、利用側制御部205と、インバータ制御回路207と、吸込空気温度検出部208と、吹出空気温度検出部209と、上述した高圧センサ202、低圧センサ201、ファンモータ27a、及び膨張機構24とを備えている。なお、吸込空気温度検出部208及び吹出空気温度検出部209は上記図1では図示を省略している。
【0046】
利用側制御部205は、マイクロコンピュータやメモリ等を有しており、利用側ユニット2を構成する各部の動作制御及び当該動作制御に必要な処理を行う。利用側制御部205は、例えば、熱源側ユニット3の熱源側制御部301との間で伝送線8を介して制御信号等を送受信する。
【0047】
インバータ制御回路207は、インバータ制御方式の圧縮機21を駆動制御する制御回路であり、圧縮機21の駆動周波数(Hz)を適宜変更して、圧縮機21をその運転容量を可変させて駆動する。
【0048】
ここで、利用側制御部205は、要求される空調能力に応じて圧縮機21の容量を可変させるため、例えば図3に示すような複数段階(本実施形態では、商用電力50Hzの場合における20Step(段階)を予め定められた記憶している)からなる圧縮機21の各駆動周波数の数値を記憶している。要求される空調能力に応じて利用側制御部205が当該複数段階から選択した1つのStep(段階)が示す値に従って、インバータ制御回路207は圧縮機21の駆動周波数を変更して圧縮機21の容量を可変させる制御を行う。
【0049】
高圧センサ202は、圧縮機21による圧縮後の冷媒圧力を検出し、検出した高圧値(圧縮機21による圧縮後の冷媒圧力の値)を利用側制御部205に出力する。
【0050】
低圧センサ201は、圧縮機21による圧縮前の冷媒圧力を検出するセンサであり、検出した低圧値(圧縮機21による圧縮前の冷媒圧力の値)を利用側制御部205に出力する。
【0051】
膨張機構24は、上述したように、電子膨張弁241と、電磁弁242と、バイパス弁243とを有し、これら各弁は、その開閉又は開度が利用側制御部205によって制御される。
【0052】
利用側熱交換器23に空気を送り込むファン270(図1)の駆動源であるファンモータ27aは、利用側制御部205によりその動作が制御される。
【0053】
吸込空気温度検出部208は、利用側熱交換器23の吸込空気温度を検出するセンサである。吹出空気温度検出部209は、利用側熱交換器23からの吹出空気温度を検出するセンサである。吸込空気温度検出部208によって検出された吸込空気温度と、吹出空気温度検出部209によって検出された吹出空気温度は利用側制御部205に送られる。利用側制御部205は、当該吸込空気温度と当該吹出空気温度との温度差に基づいて圧縮機21の所要能力を算出する。
【0054】
また、熱源側ユニット3は、熱源側ユニット3を構成する各部の動作を制御する熱源側制御部301を備えている。熱源側制御部301は、熱源側ユニット3の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、利用側ユニット2の利用側制御部205との間で必要な制御信号の送受信等を行う。熱源側制御部301は、利用側ユニット2の利用側制御部205から送られてくる開度情報等に基づいて、冷媒量調節機構として電子膨張弁31の開度を制御する。
【0055】
以上のように、空気調和装置1は、伝送線8で接続された利用側制御部205と熱源側制御部301とによって、利用側ユニット2及び熱源側ユニット3の各機器の制御を行って、冷却運転を行い、利用側熱交換器23を蒸発器として機能させ、冷却対象物を冷却する。
【0056】
続いて、利用側制御部205の構成を更に説明する。図4は利用側制御部205の構成を示すブロック図である。
【0057】
利用側制御部205は、制御部2050と、能力算出部2051と、駆動周波数算出部2052と、バイパス冷媒量算出部2053と、高低差圧検出部2054と、冷媒密度検出部2056とを備える。
【0058】
制御部2050は、利用側ユニット2を構成する各部の動作制御を担当する。
【0059】
能力算出部2051は、吸込空気温度検出部208及び吹出空気温度検出部209と共に、所要能力算出部206を構成する。所要能力算出部206は、空気調和装置1による空気調和の対象とされる空気を目標空気温度とするために必要な圧縮機21の所要能力を算出する処理を行う。能力算出部2051は、吸込空気温度検出部208によって検出された吸込空気温度と、吹出空気温度検出部209によって検出された吹出空気温度との温度差に基づいて圧縮機21の所要能力を算出する。
【0060】
駆動周波数算出部2052は、所要能力算出部206によって算出された圧縮機21の所要能力に応じて、制御部2050が圧縮機21の動作制御に用いる駆動周波数を算出する。例えば、駆動周波数算出部2052は、内蔵する記憶部に上述の複数段階からなるStep表(図3)を記憶しており、上記算出された圧縮機21の所要能力(容量、空調能力)に応じて上述の複数段階(図3)から1つのStepを選択し、当該選択したStepに対応付けられている駆動周波数を、上記所要能力に応じた駆動周波数とする。上述の複数段階(図3)には、圧縮機21の駆動周波数として最低駆動周波数値及び最高駆動周波数値が予め定められており、駆動周波数算出部2052は、当該最低駆動周波数値から最高駆動周波数値までの間で圧縮機21の周波数を算出することになる。
【0061】
バイパス冷媒量算出部2053は、駆動周波数算出部2052によって算出された駆動周波数が上記最低駆動周波数であるときに、バイパス回路11が熱源側熱交換器32をバイパスさせる冷媒の量(バイパス冷媒量)を、所要能力算出部206によって算出された圧縮機21の所要能力に応じて可変させて算出する。
【0062】
高低差圧検出部2054は、高圧センサ202によって検出された高圧値と、低圧センサ201によって検出された低圧値とに基づいて、圧縮機21の低圧側及び高圧側の高低差圧を算出する。
【0063】
冷媒密度検出部2056は、圧縮機21から吐出される吐出冷媒の密度(吐出冷媒密度)を検出する。冷媒密度検出部2056は、後述する所定の算出式を用いて吐出冷媒密度を算出する。
【0064】
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作概略について説明する。
【0065】
操作者により、空気調和装置1の現地配設時に、閉鎖弁25,26,34,35は全開状態とされる。操作者による図略の操作パネルの操作で運転開始指令が入力されると、利用側制御部205(制御部2050)は、インバータ制御回路207を介して圧縮機21、ファン270のファンモータ27aを起動させる。これにより、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、臨界圧力以上になるまで圧縮されて高圧のガス冷媒となる。
【0066】
その後、各圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、連絡配管6を介して熱源側ユニット3に送られ、熱源側熱交換器32において熱交換が行われて冷却される。このとき、バイパス回路11の電子膨張弁112により、熱源側熱交換器32をバイパスさせる冷媒の量が適宜調節される。また、熱源側熱交換器32を通過して冷却された高圧の液冷媒は、電子膨張弁31により流量が調節された後、連絡配管7を介して、利用側ユニット2に送られる。
【0067】
利用側ユニット2に戻った高圧の液冷媒は、電磁弁242及びバイパス弁243により流量が調節され、電子膨張弁241によって圧縮機21の吸入圧力(低圧のガス冷媒の圧力)近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となった後、分流器28を経て利用側熱交換器23に送られる。利用側熱交換器23は蒸発器として機能し、利用側熱交換器23において周辺空気との間での熱交換により熱を吸収して周辺空気を冷却し、これにより冷却対象物であるサーバコンピュータ及びサーバ室を冷却する。利用側熱交換器23を通過した当該低圧のガス冷媒は、再び各圧縮機21に吸入されて冷媒回路10を循環する。
【0068】
次に、本実施形態における圧縮機21の駆動制御及び冷媒量調節機構31の各弁開閉制御について説明する。図5は、空気調和装置1の利用側ユニット2における圧縮機21の駆動制御及び冷媒量調節機構31の各弁開閉制御時の処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下の説明では、吸込空気温度と吹出空気温度との温度差に応じて圧縮機の所要能力を算出する例を示しているが、本発明を、当該温度差を用いて圧縮機の所要能力を算出するものに限定する趣旨ではなく、圧縮機21の所要能力算出には他の要素(高低差圧等)を用いても構わない。
【0069】
操作者による図略の操作パネルの操作で運転開始指令が入力されると、利用側制御部205(制御部2050)は、インバータ制御回路207を介して、予め定められた初期動作用のStep(例えば、図3のStep11)を上記複数段階(図3)の中から選択し、当該選択したStepが示す駆動周波数で圧縮機21を駆動させると共に、ファン270のファンモータ27aを起動させる。なお、圧縮機21の起動終了時点における室内負荷に応じて、圧縮機21の起動終了時のStepは異なる。
【0070】
ここで、所要能力算出部206の能力算出部2051は、吸込空気温度検出部208によって検出された吸込空気温度と、吹出空気温度検出部209によって検出された吹出空気温度の温度情報を得て、これらの温度差に基づいて、この時点において圧縮機21に求められる所要能力を算出する(S1)。すなわち、圧縮機21は、空気調和の対象となる空気を短時間で目標温度にするために、当該温度差に応じて駆動周波数を変更し、その回転速度を変更することで、発揮する性能(容量)を変更することが求められるが、上記所要能力とは、この場合の当該温度差(負荷の一例)に応じて求められる圧縮機21の性能である。
【0071】
続いて、駆動周波数算出部2052は、上記算出された圧縮機21の所要能力に応じたStepを上記複数段階の中から1つ選択し、当該選択したStepに対応付けられている駆動周波数を、上記所要能力に応じた駆動周波数として算出する(S2)。
【0072】
さらに、バイパス冷媒量算出部2053は、上記当該選択したStepに対応付けられているバイパス率を、バイパス回路11が圧縮機21の吐出側と前記熱源側熱交換器32との間から、当該熱源側熱交換器32と利用側熱交換器23との間に、圧縮機21から吐出された冷媒をバイパスさせることで、当該冷媒を熱源側熱交換器32をバイパスさせるバイパス率として設定する(S3)。すなわち、図3のStep表には、上記所要能力に応じた圧縮機21の駆動周波数と、当該所要能力に応じてバイパス回路11が冷媒を熱源側熱交換器32をバイパスさせるバイパス率が記憶されており、バイパス冷媒量算出部2053は、当該選択したStepに対応付けられているバイパス率が示す冷媒量を、バイパス回路11及び電子膨張弁112が熱源側熱交換器32をバイパスさせる冷媒量(バイパス冷媒量)とする。
【0073】
図3のStep表には、上記算出した駆動周波数が予め定められた最低駆動周波数(図3に示す例では20.5Hz)でないときは、バイパス回路11のバイパス率は0とされており、上記算出した駆動周波数が予め定められた最低駆動周波数であるときは、上記所要能力に応じた各Step毎に、バイパス率は0〜44.7%(全開を100%とする)の複数通りが用意されている。すなわち、圧縮機21が最低駆動周波数で駆動される場合に、バイパス回路11及び電子膨張弁112による冷媒の上記バイパスが行われる。これにより、圧縮機21が発揮する実質的な最低能力を可変させることができる。
【0074】
利用側制御部205の制御部2050は、上記S2において算出された圧縮機21の駆動周波数で圧縮機21を駆動させ(S4)、バイパス回路11によって熱源側熱交換器32をバイパスされる冷媒量(バイパス冷媒量)が上記バイパス率の示す量となるように、電子膨張弁112の弁開閉具合を動作制御する(S5)。なお、上記算出した駆動周波数が上記最低駆動周波数でないときは、バイパス回路11のバイパス率は0であるため、制御部2050による当該電子膨張弁112の弁開閉制御は行わない。
【0075】
次に、上記バイパス率でバイパス回路11により冷媒をバイパスさせるために必要な電子膨張弁112の開度算出処理及びその動作制御について説明する。図6は、電子膨張弁112の開度算出処理及びその動作制御を示すフローチャートである。
【0076】
上記のようにして算出されたバイパス率での圧縮機21の駆動開始後、バイパス回路11が当該バイパス率の示すバイパス冷媒量で冷媒をバイパスさせるように、電子膨張弁112の開度を調節するため、以下の処理を行う。
【0077】
バイパス冷媒量算出部2053は、この時点における、高圧センサ202からの高圧値、低圧センサ201からの低圧値、吸入管温度センサ210からの吸入管温度、吐出管温度センサ211からの吐出管温度、及び圧縮機21の周波数(圧縮機21の回転数)に基づいて、冷媒回路10を流れる冷媒の総循環冷媒量Grを算出する(S11)。例えば、バイパス冷媒量算出部2053は、当該時点における蒸発温度、凝縮温度、及圧縮機21の回転数に用いた近似式に基づく算出等により当該時点における冷凍能力を算出し、当該算出された冷凍能力から総循環冷媒量Grを算出する。この冷凍能力から総循環冷媒量Grの算出には、公知の計算式が用いられる。
【0078】
さらに、バイパス冷媒量算出部2053は、上記総循環冷媒量Grに、この時点で設定されているバイパス率を乗算して、バイパス回路11によってバイパスさせる具体的なバイパス冷媒量Gr1を算出する(S12)。すなわち、バイパス量Gr1=総循環冷媒量Gr*バイパス率である。
【0079】
続いて、バイパス冷媒量算出部2053は、上記バイパス冷媒量Gr1、高圧センサ202が示す高圧値と低圧センサ201が示す低圧値とに基づいて高低差圧検出部2055によって検出された高低差圧ΔP、及び冷媒密度検出部2056によって検出された吐出冷媒密度ρを用いて、下記式1乃至式12に基づき、電子膨張弁112のCV値(室内バイパス用CV値)を算出する(S13)。
【0080】
高低差圧ΔP=HP-LP-2(蒸発器圧損) …式1
吐出冷媒密度ρは、圧力温度換算式に基づいて算出(例えば、上記高圧値及び吐出管温度を用いて算出)した吐出過熱度DSHが、
DSH=10の場合 ρ10= 0.020318*HP^2 + 3.365708*HP + 1.242580 …式2
DSH=20の場合 ρ20= 0.009759*HP^2 + 3.265674*HP + 1.666791 …式3
DSH=30の場合 ρ30 = 0.005717*HP^2 + 3.077472*HP + 2.482395 …式4
DSH=40の場合 ρ40 = 0.003485 *HP^2 + 2.905430 *HP + 3.066476… 式5
DSH<10の場合 ρ =ρ10 …式6
10≦DSH<20の場合 ρ= (ρ10−ρ20 )/10*(20−DSH)+ ρ20 …式7
20≦DSH<30の場合 ρ= ( ρ20− ρ30 )/10*(30−DSH)+ ρ30…式8
30≦DSH<40の場合 ρ = ( ρ30−ρ40 )/10*(40−DSH)+ ρ40 式9
DSH≧40の場合 ρ=ρ40 …式10
とする。
【0081】
電子膨張弁112のCV値は、
高低差圧ΔP≧3 に変化したとき
CV値=Gr1/27.09((1/ρ)/ΔP)^0.5 …式11
高低差圧ΔP<1 に変化したとき
CV値=0 …式12
とする。
【0082】
そして、バイパス冷媒量算出部2053は、上記算出されたCV値に基づいて、例えば下記式13を用いて、電子膨張弁112の目標開度(pls)を算出する(S14)。
【0083】
目標開度(pls)= 38015.925531*CV値^3 - 3845.044585*CV値^2 + 1580.481830*CV値 + 27.656778 …式13
そして、バイパス冷媒量算出部2053は、現状の開度から上記目標開度(pls)への変更量が所定の値(本実施形態では5%)を超えるか否かを判断し(S15)、当該変更量が当該所定の値を超える場合は(S15でYES)、予め定められた変更量にとどめた開度を、制御部2050による動作制御に用いられる電子膨張弁112の開度として算出する(S16)。一方、バイパス冷媒量算出部2053は、現状の開度から上記目標開度(pls)への変更量が当該所定の値以下である場合は(S15でNO)、S16の処理をスキップして、上記S14で算出された開度を、制御部2050による動作制御に用いられる電子膨張弁112の開度とする。但し、現状の電子膨張弁112の開度が0である場合は、上記所定の値を0以外の適切な値(例えば34pls)として、電子膨張弁112の開度を算出する。
【0084】
制御部2050は、当該S16で算出された開度で電子膨張弁112を動作制御する(S17)。
【0085】
これにより、バイパス回路11及び電子膨張弁112による冷媒のバイパスで、圧縮機21の実質的な圧縮能力を調整すると共に、圧縮機21の高低圧変動等に柔軟に対応して、この調整時に圧縮機21が発揮する圧縮能力を一定に保つことが可能になる。
【0086】
また、当該調整時に、電子膨張弁112の現状開度からの変更量を上記所定の値までにとどめた開度で電子膨張弁112を動作させるので、圧縮機21の過度の高圧上昇による電子膨張弁112の開き過ぎや閉め過ぎを防止可能である。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、利用側ユニット2に圧縮機21及びバイパス回路11が設けられている例を示したが、本発明は当該構成に限定されるものではない。例えば、予め定められた21及びバイパス回路11が熱源側ユニット3に設けられていてもよい。
【0088】
また、図1乃至図6に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は当該構成及び処理に限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 空気調和装置
2 利用側ユニット
3 熱源側ユニット
10 冷媒回路
11 バイパス回路
112 電子膨張弁
21 圧縮機
23 利用側熱交換器
24 膨張機構
32 熱源側熱交換器
201 低圧センサ
202 高圧センサ
205 利用側制御部
2050 制御部
2051 能力算出部
2052 駆動周波数算出部
2053 バイパス冷媒量算出部
2054 高低差圧検出部
2055 高低差圧検出部
2056 冷媒密度検出部
206 所要能力算出部
207 インバータ制御回路
208 吸込空気温度検出部
209 吹出空気温度検出部
210 吸入管温度センサ
211 吐出管温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量制御が自在なインバータ方式の圧縮機(21)と、熱源側熱交換器(32)と、膨張機構(24)と、利用側熱交換器(23)とを有してなる冷媒回路(10)と、
前記圧縮機(23)を含む当該空気調和装置(1)の各動作機構を駆動制御する制御部(205,207)と、
前記冷媒回路(10)において、前記圧縮機(21)の吐出側と前記熱源側熱交換器(32)との間から、当該熱源側熱交換器(32)と前記利用側熱交換器(23)との間に、前記圧縮機(21)から吐出された冷媒をバイパスさせるバイパス回路(11)と、
前記バイパス回路(11)に設けられ、前記熱源側熱交換器(32)をバイパスさせるバイパス冷媒量を調節する冷媒量調節機構(112)と、
前記制御部(205,207)が前記圧縮機(21)の容量制御に用いる駆動周波数を、予め定められた最低駆動周波数までの周波数で算出する駆動周波数算出部(2052)と、
前記駆動周波数算出部(2052)によって算出された前記駆動周波数が前記最低駆動周波数であるときに、前記バイパス冷媒量を可変させて算出するバイパス冷媒量算出部(2053)とを備え、
前記制御部(205,207)は、前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出されたバイパス冷媒量に基づいて、前記冷媒量調節機構(112)の動作を制御する空気調和装置。
【請求項2】
負荷に応じて前記圧縮機(21)の所要能力を算出する所要能力算出部(206)を更に備え、
前記駆動周波数算出部(2052)は、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に応じて、前記制御部(205,207)が前記圧縮機(21)の動作制御に用いる駆動周波数を、予め定められた最低駆動周波数までの周波数で算出し、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記駆動周波数算出部(2052)によって算出された前記駆動周波数が前記最低駆動周波数であるときに、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に応じて前記バイパス冷媒量を可変させて算出する請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記駆動周波数算出部(2052)は、前記所要能力算出部(206)によって算出された前記所要能力に対応するそれぞれの前記冷媒量調節機構(112)による冷媒バイパス率を記憶するバイパス率記憶部(2052)を備え、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記所要能力に関連付けられた冷媒バイパス率を前記バイパス率記憶部(2052)から読み出し、当該読み出した冷媒バイパス率と、前記冷媒回路(10)を循環する冷媒の総循環冷媒量とを用いて前記バイパス冷媒量を算出する請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記圧縮機(21)の低圧側及び高圧側の高低差圧を検出する高低差圧検出部(2055)と、
前記圧縮機(21)から吐出される吐出冷媒密度を検出する冷媒密度検出部(2056)とを更に備え、
前記冷媒量調節機構は電子膨張弁(112)であり、
前記バイパス冷媒量算出部(2053)は、前記算出したバイパス冷媒量、前記高低差圧検出部(2055)によって検出された高低差圧、及び前記冷媒密度検出部(2056)によって検出された吐出冷媒密度に基づいて、前記電子膨張弁(112)の開度を算出し、
前記制御部(205,207)は、前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出された開度で、前記電子膨張弁(112)を動作させる請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記バイパス冷媒量算出部(2053)によって算出された前記電子膨張弁(112)の開度が、現状開度から予め定められた変更量を超えるものである場合、現状開度からの変更量を当該予め定められた変更量にとどめた開度を算出し、前記制御部(205,207)は、当該算出された開度で、前記電子膨張弁(112)を動作させる請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記所要能力算出部(206)は、前記利用側熱交換器(23)の吸込空気温度を検出する吸込空気温度検出部(208)と、前記利用側熱交換器(23)からの吹出空気温度を検出する吹出空気温度検出部(209)と、当該吸込空気温度と当該吹出空気温度との温度差に基づいて前記圧縮機(21)の所要能力を算出する能力算出部(2051)とを備える請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記圧縮機(21)及び前記バイパス回路(11)が室内ユニット(2)側に設けられている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−261623(P2010−261623A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111477(P2009−111477)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)