説明

空気調和装置

【課題】暖房運転及び逆サイクル除霜運転を行う空気調和装置において、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑える。
【解決手段】空気調和装置(1)には、圧縮機構(21)において圧縮された冷媒の一部によって室外熱交換器(23)の下部側を加熱することが可能な凍結防止用熱交換器(25)が設けられており、除霜運転後の暖房運転の再開初期に、圧縮機構(21)において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器(25)に流す暖房再開時凍結防止制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置、特に、暖房運転及び逆サイクル除霜運転を行う空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、暖房運転及び逆サイクル除霜運転を行う空気調和装置がある。このような空気調和装置では、外気温度が低い条件で暖房運転が行われる際に、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器で着霜が発生する。この暖房運転において室外熱交換器に発生した霜は、逆サイクル除霜運転を行うことによって融解し、室外熱交換器の下方に配置されている室外ユニットの底板を通じて、ドレン水として排出される。ここで、逆サイクル除霜運転は、圧縮機、室外熱交換器、及び、室内熱交換器の順に冷媒を循環させることによって、圧縮機において圧縮された冷媒によって室外熱交換器を加熱する除霜運転である。また、室外ユニットの底板は、ドレンパンとして機能している。
【0003】
しかし、外気温度が低い条件では、逆サイクル除霜運転時に発生したドレン水が室外熱交換器の下部側で凍結するおそれがある。このようなドレン水の凍結は、室外熱交換器の下部側における氷の過度な成長(アイスアップ現象)を発生させるおそれがある。
【0004】
これに対して、特許文献1(特開2009−127939号公報)に示すように、室外熱交換器の下部側に補助熱交換器を設け、逆サイクル除霜運転時に、圧縮機において圧縮された冷媒の一部によって補助熱交換器を加熱するように構成した空気調和装置がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の空気調和装置では、除霜運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができる。
【0006】
しかし、除霜運転が終了してからしばらくの間は、除霜運転を行うことによって融解したドレン水が室外熱交換器の下部側に存在しており、ドレン水の排出が続いている。その後、暖房運転を再開すると、外気温度が低い条件では、ドレン水が排出される前に凍結するおそれがある。このため、上記従来の空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができず、アイスアップ現象が発生するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、暖房運転及び逆サイクル除霜運転を行う空気調和装置において、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点にかかる空気調和装置は、圧縮機構、室内熱交換器、及び、室外熱交換器の順に冷媒を循環させて暖房運転を行い、圧縮機構、室外熱交換器、及び、室内熱交換器の順に冷媒を循環させて除霜運転を行う空気調和装置である。そして、この空気調和装置において、圧縮機構において圧縮された冷媒の一部によって室外熱交換器の下部側を加熱することが可能な凍結防止用熱交換器を設け、除霜運転後の暖房運転の再開初期に、圧縮機構において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器に流す暖房再開時凍結防止制御を行う。
【0009】
この空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転時に、圧縮機構において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器に流すことによって、外気温度が低い条件において、除霜運転後に室外熱交換器の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出することができる。このため、この空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0010】
ここで、除霜運転後の暖房運転時に、圧縮機構において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器に流すことは、室内熱交換器に送られる冷媒の流量を減らすことになるため、暖房能力を低下させることになる。
【0011】
そこで、この空気調和装置では、上記のように、除霜運転後の暖房運転のうち暖房運転の再開初期だけに、圧縮機構において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器に流すようにしている。このため、この空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えることができる。
【0012】
これにより、この空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0013】
第2の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、暖房再開時凍結防止制御を、外気温度が所定の外気温度以下のときに行う。
【0014】
この空気調和装置では、除霜運転後に室外熱交換器の下部側に存在するドレン水が凍結するおそれのある外気温度が低い条件だけに、暖房再開時凍結防止制御を行い、外気温度が高い条件においては、暖房再開時凍結防止制御を行なわずに済ませることができる。
【0015】
これにより、この空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下をさらに抑えることができる。
【0016】
第3の観点にかかる空気調和装置は、第1又は第2の観点にかかる空気調和装置において、暖房再開時凍結防止制御を、除霜運転後に所定時間が経過するまで行う。
【0017】
この空気調和装置では、暖房再開時凍結防止制御を時間で管理するようにしているため、除霜運転後に室外熱交換器の下部側に存在するドレン水を排出するために必要な時間を考慮することができる。
【0018】
これにより、この空気調和装置では、ドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0019】
第4の観点にかかる空気調和装置は、第3の観点にかかる空気調和装置において、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、所定時間を長くする。
【0020】
除霜運転後に室外熱交換器の下部側に存在するドレン水の量は、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化する。具体的には、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、ドレン水の量が多くなる。このため、暖房再開時凍結防止制御の所定時間についても、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変更することが好ましい。
【0021】
そこで、この空気調和装置では、上記のように、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、所定時間を長くするようにしている。このため、この空気調和装置では、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化するドレン水の量を考慮することができる。
【0022】
これにより、この空気調和装置では、外気温度等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0023】
第5の観点にかかる空気調和装置は、第1〜第3の観点のいずれかにかかる空気調和装置において、凍結防止用熱交換器を流れる冷媒の流量を可変するための流量調節弁をさらに設け、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、流量調節弁の開度を大きくする。
【0024】
除霜運転後に室外熱交換器の下部側に存在するドレン水の量は、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化する。具体的には、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、ドレン水の量が多くなる。このため、暖房再開時凍結防止制御において凍結防止用熱交換器に流す冷媒の流量についても、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変更することが好ましい。
【0025】
そこで、この空気調和装置では、上記のように、外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、流量調節弁の開度を大きくして、冷媒の流量を大きくするようにしている。このため、この空気調和装置では、外気温度、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化するドレン水の量を考慮することができる。
【0026】
これにより、この空気調和装置では、外気温度等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0028】
第1の観点にかかる空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0029】
第2の観点にかかる空気調和装置では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下をさらに抑えることができる。
【0030】
第3の観点にかかる空気調和装置では、ドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0031】
第4の観点にかかる空気調和装置では、外気温度等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0032】
第5の観点にかかる空気調和装置では、外気温度等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置の概略構成図である。
【図2】凍結防止用熱交換器及び室外ユニットの底板を含む室外熱交換器の下部側を示す模式図である。
【図3】第1実施形態にかかる空気調和装置の制御ブロック図である。
【図4】第1実施形態にかかる空気調和装置の冷房運転時及び除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図5】第1実施形態にかかる空気調和装置の暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図6】第1実施形態にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。
【図7】第1実施形態にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図8】第1実施形態の変形例1にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例2にかかる空気調和装置の概略構成図である。
【図10】第1実施形態の変形例2にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置の概略構成図である。
【図12】第2実施形態にかかる空気調和装置の制御ブロック図である。
【図13】第2実施形態にかかる空気調和装置の冷房運転時及び単段除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図14】第2実施形態にかかる空気調和装置の単段暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図15】第2実施形態にかかる空気調和装置の二段暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図16】第2実施形態にかかる空気調和装置の二段除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【図17】第2実施形態にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。
【図18】第2実施形態にかかる空気調和装置の暖房再開時凍結防止制御時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0035】
−第1実施形態−
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の室外ユニット2と、複数台(ここでは、2台)の室内ユニット5、6と、室外ユニット2と室内ユニット5、6とを接続する液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8とを有している。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット5、6と、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8とが接続されることによって構成されている。尚、室内ユニット5、6の台数は、2台に限られるものではなく、1台だけでもよいし、また、3台以上であってもよい。
【0036】
<室内ユニット>
室内ユニット5、6は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット5、6は、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0037】
次に、室内ユニット5、6の構成について説明する。尚、室内ユニット5と室内ユニット6とは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット5の構成のみ説明し、室内ユニット6の構成については、それぞれ、室内ユニット5の各部を示す50番台の符号の代わりに60番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
【0038】
室内ユニット5は、主として、室内膨張弁51と、室内熱交換器52とを有している。
【0039】
室内膨張弁51は、室内ユニット5を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う機器である。室内膨張弁51は、一端側が室内熱交換器52の液側に接続されており、他端側が液冷媒連絡管7に接続されている。ここでは、室内膨張弁51として、電動膨張弁が使用されている。
【0040】
室内熱交換器52は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器52は、液側が室内膨張弁51に接続されており、ガス側がガス冷媒連絡管8に接続されている。室内熱交換器52は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。尚、室内熱交換器52の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0041】
また、室内ユニット5は、室内ユニット5内に室内空気を吸入して、室内熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン53を有している。ここでは、室内ファン53として、室内ファンモータ53aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
【0042】
また、室内ユニット5は、室内ユニット5を構成する各部の動作を制御する室内側制御部54を有している。そして、室内側制御部54は、室内ユニット5の制御を行うためのマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5を個別に操作するためのリモートコントローラ(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線9aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0043】
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8を介して室内ユニット5、6に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0044】
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、圧縮機構としての圧縮機21と、切換機構22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、凍結防止用熱交換器25とを有している。
【0045】
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機21は、吸入側に第1ガス冷媒管26aが接続されており、吐出側に第2ガス冷媒管26bが接続されている。第1ガス冷媒管26aは、圧縮機21の吸入側と切換機構22の第1ポート22aとを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管26bは、圧縮機21の吐出側と切換機構22の第2ポート22bとを接続する冷媒管である。尚、ここでは、1台の圧縮機21が圧縮機構を構成しているが、複数台の圧縮機21を並列に接続することによって圧縮機構を構成してもよい。
【0046】
切換機構22は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。切換機構22は、冷房運転時及び除霜運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる切り換えを行う。すなわち、切換機構22は、冷房運転時及び除霜運転時には、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行う。これにより、圧縮機21の吐出側(ここでは、第2ガス冷媒管26b)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第3ガス冷媒管26c)とが接続される(図1の切換機構22の実線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、第1ガス冷媒管26a)とガス冷媒連絡管8側(ここでは、第4ガス冷媒管26d)とが接続される(図1の切換機構22の実線を参照)。また、切換機構22は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させる切り換えを行う。すなわち、切換機構22は、暖房運転時には、第2ポート22bと第4ポート22dとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第3ポート22cとを連通させる切り換えを行う。これにより、圧縮機21の吐出側(ここでは、第2ガス冷媒管26b)とガス冷媒連絡管8側(ここでは、第4ガス冷媒管26d)とが接続される(図1の切換機構22の破線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、第1ガス冷媒管26a)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第3ガス冷媒管26c)とが接続される(図1の切換機構22の破線を参照)。第3ガス冷媒管26cは、切換機構22の第3ポート22cと室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第4ガス冷媒管26dは、切換機構22の第4ポート22dとガス冷媒連絡管8側とを接続する冷媒管である。切換機構22は、ここでは、四路切換弁である。尚、ここでは、切換機構22の構成は、四路切換弁に限られるものではなく、例えば、複数の電磁弁等を上記の切り換え機能を果たすように接続した構成であってもよい。
【0047】
室外熱交換器23は、冷房運転時及び除霜運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が液冷媒管26eに接続されており、ガス側が第3ガス冷媒管26cに接続されている。液冷媒管26eは、室外熱交換器23の液側と液冷媒連絡管7側とを接続する冷媒管である。室外熱交換器23は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。尚、室外熱交換器23の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0048】
室外膨張弁24は、室外ユニット2を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う機器である。室外膨張弁24は、液冷媒管26eに設けられている。ここでは、室外膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
【0049】
凍結防止用熱交換器25は、圧縮機構としての圧縮機21において圧縮された冷媒の一部によって室外熱交換器23の下部側を加熱する熱交換器である。凍結防止用熱交換器25は、ホットガスバイパス管27に設けられている。凍結防止用熱交換器25は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、図2に示すように、室外熱交換器23の下部と一体化している。具体的には、室外熱交換器23及び凍結防止用熱交換器25は、一体のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成されており、上部側の伝熱管及びフィンが室外熱交換器23を構成しており、下部側の伝熱管及びフィンが凍結防止用熱交換器25を構成している。凍結防止用熱交換器25の下端部は、室外熱交換器23及び凍結防止用熱交換器25において発生したドレン水を受けるドレンパンとして機能する室外ユニット2の底板2a上に配置されている。底板2aには、排出口2bが形成されており、底板2a上で受けたドレン水を室外ユニット2外に排出することができるようになっている。ここで、図2は、凍結防止用熱交換器25及び室外ユニット2の底板2aを含む室外熱交換器23の下部側を示す模式図である。尚、凍結防止用熱交換器25の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0050】
ホットガスバイパス管27は、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐する冷媒管である。ホットガスバイパス管27は、一端側が第2ガス冷媒管26cの途中部分から分岐するように接続されており、他端側が液冷媒管26eの室外熱交換器23の液側と室外膨張弁24との間の部分に合流するように接続されている。ホットガスバイパス管27の凍結防止用熱交換器25の出口側の部分には、ホットガス減圧機構27aと、ホットガス開閉機構27bと、ホットガス逆止機構27cとが設けられている。ホットガス減圧機構27aは、冷媒を減圧する機器である。ここでは、ホットガス減圧機構27aとして、キャピラリチューブが使用されている。ホットガス開閉機構27bは、ホットガスバイパス管27に圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐する場合に開け、ホットガスバイパス管27に圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐しない場合に閉めることが可能な機器である。ここでは、ホットガス開閉機構27bとして、電磁弁が使用されている。ホットガス逆止機構27cは、凍結防止用熱交換器25の出口側から液冷媒管26e側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、ホットガス逆止機構27cとして、逆止弁が使用されている。
【0051】
また、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外ユニット2外に排出するための室外ファン28を有している。ここでは、室外ファン28として、室外ファンモータ28aによって駆動される軸流ファン等が使用されている。また、凍結防止用熱交換器25は、図2に示すように、室外熱交換器23の下部と一体化しているため、室外ファン28は、室外熱交換器23だけでなく、凍結防止用熱交換器25にも室外空気を供給するようになっている。
【0052】
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、主として、吸入圧力センサ29aと、吐出圧力センサ29bと、室外熱交温度センサ29cと、外気温度センサ29dとが設けられている。吸入圧力センサ29aは、冷凍サイクルにおける低圧に相当する圧縮機21の吸入圧力Psを検出する圧力センサである。吐出圧力センサ29bは、冷凍サイクルにおける高圧に相当する圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する圧力センサである。室外熱交温度センサ29cは、室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbを検出する温度センサである。外気温度センサ29dは、室外ユニット2における外気温度Taを検出する温度センサである。
【0053】
また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部30を有している。そして、室外側制御部30は、室外ユニット2の制御を行うためのマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5、6の室内側制御部54、64との間で伝送線9aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部54、64と室外側制御部30と制御部30、54、64間を接続する伝送線9aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部9が構成されている。
【0054】
制御部9は、図3に示すように、各種運転設定や各種センサ29a〜29dの検出値等に基づいて、各種機器及び弁21a、22、24、27b、28a、51、53a、61、63aの動作を制御することができるようになっている。ここで、図3は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
【0055】
<冷媒連絡管>
冷媒連絡配管7、8は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
【0056】
以上のように、室外ユニット2と、室内ユニット5、6と、冷媒連絡管7、8とが接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、空気調和装置1は、室内側制御部54、64と室外側制御部30とから構成される制御部9によって、以下に説明する冷房運転、暖房運転、及び、除霜運転等の各種運転を行うことができるようになっている。
【0057】
(2)空気調和装置の動作
空気調和装置1は、主として、冷房運転、暖房運転、及び、除霜運転を行うことができる。冷房運転は、室内空気を冷却するために、主として、圧縮機構としての圧縮機21、室外熱交換器23、及び、室内熱交換器52、62の順に冷媒を循環させる運転である。暖房運転は、室内空気を加熱するために、主として、圧縮機構としての圧縮機21、室内熱交換器52、62、及び、室外熱交換器23の順に冷媒を循環させる運転である。除霜運転は、暖房運転によって室外熱交換器23に発生した霜を融解させるために、主として、圧縮機構としての圧縮機21、室外熱交換器23、及び、室内熱交換器52、62の順に循環させる運転である。すなわち、除霜運転は、暖房運転とは冷媒の流れ方向を逆にする、いわゆる逆サイクル除霜運転である。以下、空気調和装置1の各種運転時の動作について説明する。
【0058】
<冷房運転>
まず、冷房運転について、図4を用いて説明する。ここで、図4は、空気調和装置1の冷房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0059】
冷房運転時には、切換機構22が図4の実線で示される状態、すなわち、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行う。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクルが行われる。
【0060】
この冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室外膨張弁24及び液冷媒連絡管7を通じて、室内膨張弁51、61に送られて、減圧されて低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、室内熱交換器52、62に送られて、室内ファン53、63によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管8及び切換機構22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0061】
この冷房運転時には、ホットガス開閉機構27bが開けられる。このため、圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、室外熱交換器23と同様に、冷媒の凝縮器として機能する。これにより、圧縮機21において圧縮された高圧のガス冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27を通じて凍結防止用熱交換器25に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、ホットガス減圧機構27a、ホットガス開閉機構27b及びホットガス逆止機構27cを通じて液冷媒管26eに送られて、室外熱交換器23からの高圧の液冷媒と合流する。このように、空気調和装置1では、冷房運転時に、室外熱交換器23だけでなく、凍結防止用熱交換器25も冷媒の凝縮器として機能するようになっている。これにより、空気調和装置1では、冷房運転時において、室外熱交換器23だけを冷媒の凝縮器として機能させる場合に比べて、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の冷却が促進され、冷房能力が向上している。
【0062】
<暖房運転>
次に、暖房運転について、図5を用いて説明する。ここで、図5は、空気調和装置1の暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0063】
暖房運転時には、切換機構22が図5の破線で示される状態、すなわち、第2ポート22bと第4ポート22dとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第3ポート22cとを連通させる切り換えを行う。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させる冷凍サイクルが行われる。
【0064】
この冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、切換機構22及びガス冷媒連絡管8を通じて室内熱交換器52、62に送られて、室内ファン53、63によって供給される室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室内膨張弁51、61及び液冷媒連絡管7を通じて、室外膨張弁24に送られて、減圧されて低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、切換機構22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0065】
この暖房運転時には、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、ホットガス開閉機構27bが閉止される。このため、圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒は、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、ホットガスバイパス管27に分岐されることはない。すなわち、暖房運転時においては、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、凍結防止用熱交換器25には、冷媒が流れることはない。このように、空気調和装置1では、暖房運転時において、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、圧縮機21において圧縮された高圧のガス冷媒が、すべて室内熱交換器52、62に送られるようになっている。このように、空気調和装置1では、暖房運転時において、凍結防止用熱交換器25に冷媒を流す場合に比べて、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量が多くなり、暖房能力の低下が抑えられている。
【0066】
<除霜運転>
次に、除霜運転について、図4を用いて説明する。ここで、図4は、空気調和装置1の除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0067】
除霜運転は、上記のように、暖房運転とは冷媒の流れ方向を逆にする逆サイクル除霜運転である。このため、除霜運転時には、切換機構22が図4の実線で示される状態、すなわち、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行う。これにより、冷媒回路10では、上記の冷房運転時と同様に、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクルが行われる。
【0068】
ここで、除霜運転は、制御部9が暖房運転時に室外熱交換器23に着霜が発生したと判定した場合に行われる。この判定は、室外熱交温度センサ29cによって検出される室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbや暖房運転の積算時間に基づいて行われる。例えば、室外熱交温度センサ29cによって検出される冷媒の温度Tbが、室外熱交換器23に着霜が発生したとみなすことができる所定温度以下まで低下したことが検知された場合、又は、暖房運転の積算時間が室外熱交換器23に着霜が発生したとみなすことができる所定時間を経過した場合には、室外熱交換器23に着霜が発生しているものと判定し、このような温度条件や時間条件に達していない場合には、室外熱交換器23に着霜が発生していないものと判定するものである。
【0069】
この冷媒回路10において、冷媒は、上記の冷房運転時と同様の流れ方向に循環することになる。そして、圧縮機21に圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られて、室外熱交換器23を加熱する。これにより、暖房運転において室外熱交換器23に発生した霜は、融解してドレン水となり、室外熱交換器23と一体化した凍結防止用熱交換器25を通じて、室外熱交換器23の下方に配置されたドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まる。この底板2a上に溜まったドレン水は、底板2a上に形成された排出口2bを通じて、室外ユニット2外に排出される。
【0070】
そして、除霜運転は、制御部9が室外熱交換器23の除霜が完了したと判定した場合に終了する。この判定は、室外熱交温度センサ29cによって検出される室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbや除霜運転の運転時間に基づいて行われる。例えば、室外熱交温度センサ29cによって検出される冷媒の温度Tbが、霜が融解したものとみなすことができる温度以上であることが検知された場合、又は、除霜運転の運転時間が所定時間以上経過した場合には、室外熱交換器23の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件や時間条件に達していない場合には、室外熱交換器23の除霜が完了していないものと判定するものである。
【0071】
この除霜運転時には、上記の冷房運転時と同様に、ホットガス開閉機構27bが開けられる。このため、圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、除霜運転を行うことによって融解したドレン水の加熱器として機能する。これにより、除霜運転時において、室外熱交換器23からのドレン水は、室外熱交換器23の下部側において加熱された後に、ドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まり、室外ユニット2外に排出される。このように、空気調和装置1では、除霜運転時に、凍結防止用熱交換器25が、室外熱交換器23において発生したドレン水を室外熱交換器23の下部側において加熱するようになっている。これにより、空気調和装置1では、除霜運転時において、室外熱交換器23からのドレン水が室外熱交換器23の下部側において凍結することを防ぐことができ、ドレン水が室外ユニット2外に速やかに排出されるようになるため、除霜運転時におけるアイスアップ現象の発生が抑えられている。
【0072】
<暖房再開時凍結防止制御>
上記のように、空気調和装置1では、除霜運転時において、圧縮機21において圧縮された高圧の冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことによって、除霜運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができる。
【0073】
しかし、除霜運転が終了してからしばらくの間は、除霜運転を行うことによって融解したドレン水が室外熱交換器23の下部側に存在しており、室外ユニット2外へのドレン水の排出が続いている。その後、暖房運転を再開すると、外気温度Taが低い条件では、ドレン水が排出される前に凍結するおそれがある。このため、除霜運転後の暖房運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができず、アイスアップ現象が発生するおそれがある。
【0074】
そこで、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転の再開初期に、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流す暖房再開時凍結防止制御を行うようにしている。
【0075】
次に、この暖房再開時凍結防止制御について、図6及び図7を用いて説明する。ここで、図6は、空気調和装置1の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。図7は、空気調和装置1の暖房再開時凍結防止制御時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0076】
まず、制御部9は、ステップS1において、除霜運転後の暖房運転であるかどうかを判定する。このステップS1において、除霜運転後の暖房運転であると判定された場合には、暖房再開時凍結防止制御が必要な外気温度条件を満たすかどうかを判定するステップS2の処理に移行する。
【0077】
そして、制御部9は、ステップS2において、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の外気温度Tas以下であるかどうかを判定する。このステップS2において、外気温度Taが所定の外気温度Tas以下である場合、すなわち、外気温度条件を満たす場合には、暖房再開時凍結防止制御を実行するステップS3〜S5の処理に移行する。他方、外気温度Taが所定の外気温度Tasより高い場合、すなわち、外気温度条件を満たさない場合には、ステップS3〜S5の暖房再開時凍結防止制御を行うことなく、暖房運転を再開する。ここでは、所定の外気温度Tasは、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水が凍結するおそれがあるかどうかという観点で設定されており、例えば、水の融点である0℃に設定されている。また、この所定の外気温度Tasは、制御部9のメモリ等に予め記憶されており、制御部9に設けられたスイッチ(図示せず)やリモコン(図示せず)等によって変更することができるようになっている。
【0078】
そして、制御部9は、ステップS3において、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流す暖房再開時凍結防止制御を開始する。すなわち、冷媒回路10において、上記の暖房運転と同じ冷凍サイクルを行うとともに、ホットガス開閉機構27bを開ける。このため、圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水の加熱器として機能する。ここで、ホットガスバイパス管27の出口は、液冷媒管26eのうち室外膨張弁24の下流側の低圧の冷媒が流れる部分に接続されているため、ホットガスバイパス管27を流れる冷媒の流量が確保されやすくなっている。そして、この凍結防止用熱交換器25においてドレン水を加熱した冷媒は、凍結防止用熱交換器25において凝縮するが、その後、液冷媒管26eを流れる冷媒に合流し、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器23において蒸発することになるため、凍結防止用熱交換器25において凝縮した冷媒が液状態のままで圧縮機21に吸入されないようになっている。これにより、除霜運転後の暖房運転時において、室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水は、凍結防止用熱交換器25において加熱された後に、ドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まり、室外ユニット2外に排出される。このように、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転時に、凍結防止用熱交換器25が、室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を加熱するようになっている。これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転時において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出することができるため、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生が抑えられている。
【0079】
そして、制御部9は、ステップS4において、除霜運転後に所定時間tsを経過したかどうかを判定し、所定時間tsが経過した場合には、ステップS5の処理に移行する。ここで、所定時間tsは、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、数分程度に設定されている。また、この所定時間tsは、制御部9のメモリ等に予め記憶されており、制御部9に設けられたスイッチ(図示せず)やリモコン(図示せず)等によって変更することができるようになっている。そして、制御部9は、ステップS5において、暖房再開時凍結防止制御を終了して、通常の暖房運転に移行する。すなわち、冷媒回路10において、上記の暖房運転と同じ冷凍サイクルを行うとともに、ホットガス開閉機構27bを閉止する。このため、除霜運転後の暖房運転時において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出するための所定時間ts、すなわち、除霜運転後の暖房運転の再開初期だけ、暖房再開時凍結防止制御が行われることになる。ここで、除霜運転後の暖房運転時に、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことは、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量を減らすことになるため、暖房能力を低下させることになる。しかし、空気調和装置1では、上記のように、除霜運転後の暖房運転のうち暖房運転の再開初期だけに、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すようにしている。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下が抑えられている。
【0080】
以上のように、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができるようになっている。
【0081】
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
【0082】
<A>
空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転時に、圧縮機構としての圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことによって、外気温度Taが低い条件において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出することができる。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0083】
ここで、除霜運転後の暖房運転時に、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことは、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量を減らすことになるため、暖房能力を低下させることになる。
【0084】
そこで、空気調和装置1では、上記のように、除霜運転後の暖房運転のうち暖房運転の再開初期だけに、圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すようにしている(すなわち、暖房再開時凍結防止制御)。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えることができる。
【0085】
これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0086】
<B>
空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を、外気温度Taが所定の外気温度Tas以下のときに行うようにしている。このため、空気調和装置1では、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水が凍結するおそれのある外気温度Taが低い条件(ここでは、0℃以下の場合)だけに、暖房再開時凍結防止制御を行い、外気温度Taが高い条件(ここでは、0℃より高い場合)においては、暖房再開時凍結防止制御を行なわずに済ませることができる。
【0087】
これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下をさらに抑えることができる。
【0088】
<C>
空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を、除霜運転後に所定時間tsが経過するまで行うようにしている。すなわち、空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を時間で管理するようにしているため、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を排出するために必要な時間を考慮することができる。
【0089】
これにより、空気調和装置1では、ドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0090】
(4)変形例1
上記実施形態の空気調和装置1において、暖房再開時凍結防止制御の所定時間tsは、スイッチ(図示せず)やリモコン(図示せず)等によって変更することができるものの、運転条件に応じて自動的に変更されるものにはなっていない。
【0091】
しかし、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水の量は、外気温度Ta、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化する。具体的には、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるドレン水の量が多くなる。このため、暖房再開時凍結防止制御の所定時間tsについても、外気温度Ta、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変更することが好ましい。
【0092】
そこで、本変形例の空気調和装置1では、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、所定時間tsを長くするように設定している(図8のステップS3参照)。このため、本変形例の空気調和装置1では、外気温度Taによって変化するドレン水の量を考慮することができる。尚、外気湿度によって暖房再開時凍結防止制御の所定時間tsを変更できるようにする場合には、ここでは図示しないが、湿度センサを室外ユニット2に設ける必要がある。
【0093】
これにより、本変形例の空気調和装置1では、外気温度Ta等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0094】
(5)変形例2
上記実施形態及びその変形例1の空気調和装置1では、ホットガスバイパス管27に設けられているホットガス開閉機構27bが電磁弁であるため、暖房再開時凍結防止制御において、凍結防止用熱交換器25を流れる冷媒の流量を可変することはできない。
【0095】
しかし、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水の量は、外気温度Ta、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化する。具体的には、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、ドレン水の量が多くなる。このため、暖房再開時凍結防止制御において凍結防止用熱交換器25に流す冷媒の流量についても、外気温度Ta、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変更することが好ましい。
【0096】
そこで、本変形例の空気調和装置1では、ホットガスバイパス管27に凍結防止用熱交換器25を流れる冷媒の流量を可変するためのホットガス流量調節弁27dを設けて(図9参照)、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、暖房再開時凍結防止制御におけるホットガス流量調節弁27dの開度を大きくするように設定している(図10のステップS3参照)。このため、本変形例の空気調和装置1では、外気温度Ta、外気湿度、又は、除霜運転の運転時間によって変化するドレン水の量を考慮することができる。尚、外気湿度によって暖房再開時凍結防止制御のホットガス流量調節弁27dの開度を変更できるようにする場合には、ここでは図示しないが、湿度センサを室外ユニット2に設ける必要がある。
【0097】
これにより、本変形例の空気調和装置1では、外気温度Ta等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0098】
−第2実施形態−
(1)空気調和装置の構成
図11は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の室外ユニット2と、1台の中間ユニット4と、複数台(ここでは、2台)の室内ユニット5、6と、室外ユニット2と機能ユニット4と室内ユニット5、6とを接続する液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8とを有している。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、機能ユニット4と、室内ユニット5、6と、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8とが接続されることによって構成されている。尚、室内ユニット5、6の台数は、2台に限られるものではなく、1台だけでもよいし、また、3台以上であってもよい。
【0099】
<室内ユニット>
室内ユニット5、6は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット5、6は、液冷媒連絡管7の一部である第1液冷媒連絡管7a及びガス冷媒連絡管8の一部である第2ガス冷媒連絡管8aを介して機能ユニット4に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0100】
次に、室内ユニット5、6の構成について説明する。尚、室内ユニット5と室内ユニット6とは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット5の構成のみ説明し、室内ユニット6の構成については、それぞれ、室内ユニット5の各部を示す50番台の符号の代わりに60番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
【0101】
室内ユニット5は、主として、室内膨張弁51と、室内熱交換器52とを有している。
【0102】
室内膨張弁51は、室内ユニット5を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う機器である。室内膨張弁51は、一端側が室内熱交換器52の液側に接続されており、他端側が第1液冷媒連絡管7aに接続されている。ここでは、室内膨張弁51として、電動膨張弁が使用されている。
【0103】
室内熱交換器52は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器52は、液側が室内膨張弁51に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒連絡管8aに接続されている。室内熱交換器52は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。尚、室内熱交換器52の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0104】
また、室内ユニット5は、室内ユニット5内に室内空気を吸入して、室内熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン53を有している。ここでは、室内ファン53として、室内ファンモータ53aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
【0105】
また、室内ユニット5は、室内ユニット5を構成する各部の動作を制御する室内側制御部54を有している。そして、室内側制御部54は、室内ユニット5の制御を行うためのマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5を個別に操作するためのリモートコントローラ(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2や機能ユニット4との間で伝送線9aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0106】
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、液冷媒連絡管7の一部である第2液冷媒連絡管7b及びガス冷媒連絡管8の一部である第2ガス冷媒連絡管8bを介して機能ユニット4に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0107】
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、機能ユニット4の高段側圧縮機32(後述)とともに圧縮機構20を構成する低段側圧縮機21と、切換機構22、31と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、凍結防止用熱交換器25とを有している。
【0108】
低段側圧縮機21は、冷媒を圧縮する機器である。低段側圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を低段側圧縮機モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。低段側圧縮機21は、吸入側に第1ガス冷媒管26aが接続されており、吐出側に第2ガス冷媒管26bが接続されている。第1ガス冷媒管26aは、低段側圧縮機21の吸入側と第1切換機構22の第1ポート22aとを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管26bは、低段側圧縮機21の吐出側と第1切換機構22の第2ポート22bとを接続する冷媒管である。尚、ここでは、1台の低段側圧縮機21が高段側圧縮機32とともに圧縮機構20を構成しているが、複数台の低段側圧縮機21を並列に接続したものと高段側圧縮機32とによって圧縮機構20を構成してもよい。
【0109】
切換機構22、31は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。切換機構22、31は、冷房運転時及び除霜運転時には、室外熱交換器23を低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる切り換えを行う。すなわち、第1切換機構22は、冷房運転時及び除霜運転時には、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行う。しかも、第2切換機構31は、冷房運転時及び除霜運転時には、第2ポート31bと第3ポート31cとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第4ポート31dとを連通させる切り換えを行う。これにより、低段側圧縮機21の吐出側(ここでは、第2ガス冷媒管26b)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第3ガス冷媒管26c)とが接続される(図11の第1切換機構22の実線を参照)。しかも、低段側圧縮機21の吸入側(ここでは、第1ガス冷媒管26a)と第2ガス冷媒連絡管8b側(ここでは、第5ガス冷媒管26f及び第6ガス冷媒管26g)とが接続される(図11の第2切換機構31の実線を参照)。また、切換機構22、31は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させる切り換えを行う。すなわち、第1切換機構22は、暖房運転時には、第2ポート22bと第4ポート22dとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第3ポート22cとを連通させる切り換えを行う。しかも、第2切換機構31は、暖房運転時には、第2ポート31bと第4ポート31dとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第3ポート31cとを連通させる切り換えを行う。これにより、低段側圧縮機21の吐出側(ここでは、第2ガス冷媒管26b)とガス冷媒連絡管8側(ここでは、第4ガス冷媒管26d及び第5ガス冷媒管26f)とが接続される(図11の第2切換機構31の破線を参照)。しかも、低段側圧縮機21の吸入側(ここでは、第1ガス冷媒管26a)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第3ガス冷媒管26c)とが接続される(図11の第1切換機構22の破線を参照)。第3ガス冷媒管26cは、第1切換機構22の第3ポート22cと室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第4ガス冷媒管26dは、第2ガス冷媒管26bの途中部分と第2切換機構31の第4ポート31dとを接続する冷媒管である。第5ガス冷媒管26fは、第2切換機構31の第2ポート31bと第2ガス冷媒連絡管8b側とを接続する冷媒管である。第1切換機構22は、ここでは、四路切換弁である。そして、第1切換機構22の第4ポート22dは、非常に流路抵抗が大きいキャピラリチューブからなる第7ガス冷媒管26hを通じて、第1ガス冷媒管26aに接続されている。このため、第7ガス冷媒管26hには、ほとんど冷媒が流れないようになっており、これにより、第1切換機構22は、第1〜第3ポート22a〜22cを有する3方弁として機能している。また、第2切換機構31の第1ポート31aは、非常に流路抵抗が大きいキャピラリチューブからなる第8ガス冷媒管26iを通じて、第6ガス冷媒管26gに接続されている。このため、第8ガス冷媒管26aには、ほとんど冷媒が流れないようになっており、これにより、第2切換機構31は、第2〜第4ポート31b〜31dを有する3方弁として機能している。尚、ここでは、切換機構22、31の構成は、2つの四路切換弁を用いたものに限られるものではなく、例えば、1つの四路切換弁によって構成してもよいし、複数の電磁弁等を上記の切り換え機能を果たすように接続した構成であってもよい。
【0110】
室外熱交換器23は、冷房運転時及び除霜運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が第1液冷媒管26eに接続されており、ガス側が第3ガス冷媒管26cに接続されている。第1液冷媒管26eは、室外熱交換器23の液側と第2液冷媒連絡管7b側とを接続する冷媒管である。室外熱交換器23は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。尚、室外熱交換器23の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0111】
室外膨張弁24は、室外ユニット2を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う機器である。室外膨張弁24は、第1液冷媒管26eに設けられている。ここでは、室外膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
【0112】
凍結防止用熱交換器25は、圧縮機構20を構成する低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部によって室外熱交換器23の下部側を加熱する熱交換器である。凍結防止用熱交換器25は、ホットガスバイパス管27に設けられている。凍結防止用熱交換器25は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、図2に示すように、室外熱交換器23の下部と一体化している。具体的には、室外熱交換器23及び凍結防止用熱交換器25は、一体のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成されており、上部側の伝熱管及びフィンが室外熱交換器23を構成しており、下部側の伝熱管及びフィンが凍結防止用熱交換器25を構成している。凍結防止用熱交換器25の下端部は、室外熱交換器23及び凍結防止用熱交換器25において発生したドレン水を受けるドレンパンとして機能する室外ユニット2の底板2a上に配置されている。底板2aには、排出口2bが形成されており、底板2a上で受けたドレン水を室外ユニット2外に排出することができるようになっている。ここで、図2は、凍結防止用熱交換器25及び室外ユニット2の底板2aを含む室外熱交換器23の下部側を示す模式図である。尚、凍結防止用熱交換器25の型式は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器に限られるものではなく、例えば、コルゲートフィンや扁平管を使用した積層型熱交換器等の他の型式の熱交換器であってもよい。
【0113】
ホットガスバイパス管27は、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐する冷媒管である。ホットガスバイパス管27は、一端側が第2ガス冷媒管26cの途中部分から分岐するように接続されており、他端側が第1液冷媒管26eの室外熱交換器23の液側と室外膨張弁24との間の部分に合流するように接続されている。ホットガスバイパス管27の凍結防止用熱交換器25の出口側の部分には、ホットガス減圧機構27aと、ホットガス開閉機構27bと、ホットガス逆止機構27cとが設けられている。ホットガス減圧機構27aは、冷媒を減圧する機器である。ここでは、ホットガス減圧機構27aとして、キャピラリチューブが使用されている。ホットガス開閉機構27bは、ホットガスバイパス管27に低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐する場合に開け、ホットガスバイパス管27に低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を分岐しない場合に閉めることが可能な機器である。ここでは、ホットガス開閉機構27bとして、電磁弁が使用されている。ホットガス逆止機構27cは、凍結防止用熱交換器25の出口側から第1液冷媒管26e側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、ホットガス逆止機構27cとして、逆止弁が使用されている。尚、ここでは、後述のように、外気温度が低い条件における暖房能力を高めるために、室外ユニット2と室内ユニット5、6との間に機能ユニットを接続することによって、二段圧縮冷凍サイクルを行うことができるようにしている。そして、着霜が発生する室外熱交換器23が室外ユニット2に設けられている。このため、凍結防止用熱交換器25を室外ユニット2に設けるとともに、凍結防止用熱交換器25の加熱源として、室外ユニット2に設けられた低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を使用するホットガスバイパス管27を設けるようにしている。これにより、ホットガスバイパス管27を、室外ユニット2内に収まる構成にして、室外ユニット2と機能ユニット4との間を跨るような構成になるのを避けるようにしている。
【0114】
また、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外ユニット2外に排出するための室外ファン28を有している。ここでは、室外ファン28として、室外ファンモータ28aによって駆動される軸流ファン等が使用されている。また、凍結防止用熱交換器25は、図2に示すように、室外熱交換器23の下部と一体化しているため、室外ファン28は、室外熱交換器23だけでなく、凍結防止用熱交換器25にも室外空気を供給するようになっている。
【0115】
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、主として、吸入圧力センサ29aと、吐出圧力センサ29bと、室外熱交温度センサ29cと、外気温度センサ29dとが設けられている。吸入圧力センサ29aは、低段側圧縮機21の吸入圧力Psを検出する圧力センサである。吐出圧力センサ29bは、低段側圧縮機21の吐出圧力Pd1を検出する圧力センサである。室外熱交温度センサ29cは、室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbを検出する温度センサである。外気温度センサ29dは、室外ユニット2における外気温度Taを検出する温度センサである。
【0116】
また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部30を有している。そして、室外側制御部30は、室外ユニット2の制御を行うためのマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5、6の室内側制御部54、64や機能ユニット4との間で伝送線9aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0117】
<機能ユニット>
機能ユニット4は、外気温度が低い条件における暖房能力を高めるために、室外ユニット2と室内ユニット5、6との間に接続されることによって、二段圧縮冷凍サイクルを行うことを可能にするユニットであり、ビル等の室外に設置されている。機能ユニット4は、第1液冷媒連絡管7a及び第1ガス冷媒連絡管8aを介して室内ユニット5、6に接続されており、かつ、第2液冷媒連絡管7b及び第2ガス冷媒連絡管8bを介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0118】
次に、機能ユニット4の構成について説明する。機能ユニット4は、主として、室外ユニット2の低段側圧縮機21とともに圧縮機構20を構成する高段側圧縮機32と、気液分離器33と、第9ガス冷媒管34aと、第2液冷媒管34bとを有している。
【0119】
第9ガス冷媒管34aは、第1ガス冷媒連絡管8aと第2ガス冷媒連絡管8bとを接続する冷媒管である。第9ガス冷媒管34aには、第1ガス冷媒開閉機構35が設けられている。ここでは、第1ガス冷媒開閉機構35として、電磁弁が使用されている。
【0120】
第2液冷媒管34bは、第1液冷媒連絡管7aと第2液冷媒連絡管7bとを接続する冷媒管である。第2液冷媒管34bは、第3液冷媒管34cと、第3液冷媒管34cに並列に接続される第4液冷媒管34dとを有している。第3液冷媒管34cは、第2液冷媒連絡管7bから第1液冷媒連絡管7aに向かって冷媒を流すための冷媒管である。第3液冷媒管34cには、第1液冷媒逆止機構36が設けられている。第1液冷媒逆止機構36は、第2液冷媒連絡管7b側から第1液冷媒連絡管7a側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、第1液冷媒逆止機構36として、逆止弁が使用されている。第4液冷媒管34dは、第1液冷媒連絡管7aから第2液冷媒連絡管7bに向かって冷媒を流すための冷媒管である。第4液冷媒管34dには、第1液冷媒開閉機構37と、第2液冷媒逆止機構38とが設けられている。ここでは、第1液冷媒開閉機構37として、電磁弁が使用されている。第2液冷媒逆止機構38は、第1液冷媒連絡管7a側から第2液冷媒連絡管7b側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、第2液冷媒逆止機構38として、逆止弁が使用されている。
【0121】
高段側圧縮機32は、冷媒を圧縮する機器である。高段側圧縮機32は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を高段側圧縮機モータ32aによって回転駆動する密閉式構造となっている。高段側圧縮機32は、吸入側に第10ガス冷媒管34eが接続されており、吐出側に第11ガス冷媒管34fが接続されている。第10ガス冷媒管34eは、高段側圧縮機32の吸入側と第9ガス冷媒管34aの第1ガス冷媒開閉機構35よりも第2ガス冷媒連絡管8b側の部分とを接続する冷媒管である。第10ガス冷媒管34eには、高段吸入膨張弁39が設けられている。高段吸入膨張弁39は、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒を高段側圧縮機32に吸入させてさらに圧縮する場合に開け、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒を高段側圧縮機32に吸入させない場合に閉めることが可能な機器である。ここでは、高段吸入膨張弁39として、電動膨張弁が使用されている。第11ガス冷媒管34fは、高段側圧縮機32の吐出側と第9ガス冷媒管34aの第1ガス冷媒開閉機構35よりも第1ガス冷媒連絡管8a側の部分とを接続する冷媒管である。
【0122】
気液分離器33は、第2液冷媒管34bを流れる冷媒を導入してガス冷媒と液冷媒とに分離する機器である。ここでは、気液分離器33として、縦型円筒形状の容器が使用されている。気液分離器33には、第5液冷媒管34gと、第6液冷媒管34hと、第12ガス冷媒管34iとが接続されている。第5液冷媒管34gは、第4液冷媒管34dの第1液冷媒開閉機構37及び第2液冷媒逆止機構38よりも第1液冷媒連絡管7a側の部分と気液分離器33の上下方向中央部に形成された冷媒入口との間を接続する冷媒管である。第5液冷媒管34gには、第2液冷媒開閉機構40と、第3液冷媒逆止機構41とが設けられている。ここでは、第2液冷媒開閉機構40として、電磁弁が使用されている。第3液冷媒逆止機構41は、第2液冷媒管34b側から気液分離器33の冷媒入口側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、第3液冷媒逆止機構41として、逆止弁が使用されている。第6液冷媒管34hは、第4液冷媒管34dの第1液冷媒開閉機構37及び第2液冷媒逆止機構38よりも第2液冷媒連絡管7b側の部分と気液分離器33の下部に形成された液冷媒出口との間を接続する冷媒管である。第6液冷媒管34hには、第4液冷媒逆止機構42が設けられている。第4液冷媒逆止機構42は、気液分離器33の液冷媒出口側から第2液冷媒管34b側への冷媒の流れを許容し、その逆方向の流れを遮断する機構である。ここでは、第4液冷媒逆止機構42として、逆止弁が使用されている。第12ガス冷媒管34iは、第10ガス冷媒管34eの高段吸入膨張弁39よりも高段側圧縮機32側の部分と気液分離器33の上部に形成されたガス冷媒出口との間を接続する冷媒管である。
【0123】
また、機能ユニット4には、各種のセンサが設けられている。具体的には、機能ユニット4には、主として、吐出圧力センサ43が設けられている。吐出圧力センサ43は、高段側圧縮機32の吐出圧力Pd2を検出する圧力センサである。
【0124】
また、機能ユニット4は、機能ユニット4を構成する各部の動作を制御する機能側制御部44を有している。そして、機能側制御部44は、機能ユニット4の制御を行うためのマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5、6の室内側制御部54、64や室外ユニット2の室外側制御部30との間で伝送線9aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部54、64と室外側制御部30と機能側制御部44と制御部30、44、54、64間を接続する伝送線9aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部9が構成されている。
【0125】
制御部9は、図12に示すように、各種運転設定や各種センサ29a〜29d、43の検出値等に基づいて、各種機器及び弁21a、22、24、27b、28a、32a、35、37、39、40、51、53a、61、63aの動作を制御することができるようになっている。ここで、図12は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
【0126】
<冷媒連絡管>
冷媒連絡配管7、8は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
【0127】
以上のように、室外ユニット2と、機能ユニット4と、室内ユニット5、6と、冷媒連絡管7、8とが接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、空気調和装置1は、室内側制御部54、64と機能側制御部44と室外側制御部30とから構成される制御部9によって、以下に説明する冷房運転、暖房運転、及び、除霜運転等の各種運転を行うことができるようになっている。
【0128】
(2)空気調和装置の動作
空気調和装置1は、主として、冷房運転、暖房運転、及び、除霜運転を行うことができる。冷房運転は、室内空気を冷却するために、主として、圧縮機構20、室外熱交換器23、及び、室内熱交換器52、62の順に冷媒を循環させる運転である。冷房運転は、ここでは、圧縮機構20のうち低段側圧縮機21だけを運転する単段圧縮冷凍サイクルを行う。暖房運転は、室内空気を加熱するために、主として、圧縮機構20、室内熱交換器52、62、及び、室外熱交換器23の順に冷媒を循環させる運転である。暖房運転には、外気温度が高い条件における単段暖房運転と、外気温度が低い条件における二段暖房運転とがある。単段暖房運転は、圧縮機構20のうち低段側圧縮機21だけを運転する単段圧縮冷凍サイクルを行う。二段暖房運転は、圧縮機構20のうち低段側圧縮機21及び高段側圧縮機32の両方を運転する二段圧縮冷凍サイクルを行う。除霜運転は、暖房運転によって室外熱交換器23に発生した霜を融解させるために、主として、圧縮機構20、室外熱交換器23、及び、室内熱交換器52、62の順に循環させる運転である。すなわち、除霜運転は、暖房運転とは冷媒の流れ方向を逆にする、いわゆる逆サイクル除霜運転である。除霜運転には、暖房運転と同様に、外気温度が高い条件における単段除霜運転と、外気温度が低い条件における二段除霜運転とがある。単段除霜運転は、圧縮機構20のうち低段側圧縮機21だけを運転する単段圧縮冷凍サイクルを行う。二段除霜運転は、圧縮機構20のうち低段側圧縮機21及び高段側圧縮機32の両方を運転する二段圧縮冷凍サイクルを行う。以下、空気調和装置1の各種運転時の動作について説明する。
【0129】
<冷房運転>
まず、冷房運転について、図13を用いて説明する。ここで、図13は、空気調和装置1の冷房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0130】
冷房運転時には、切換機構22、31が図13の実線で示される状態、すなわち、第1切換機構22については、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行い、第2切換機構31については、第2ポート31bと第3ポート31cとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第4ポート31dとを連通させる切り換えを行う。また、第1ガス冷媒開閉機構35が開けられ、第1液冷媒開閉機構37、高段吸入膨張弁39及び第2液冷媒開閉機構40が閉止される。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる単段圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0131】
この冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、第1切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室外膨張弁24、第2液冷媒連絡管7b、第1液冷媒逆止機構36及び第1液冷媒連絡管7aを通じて、室内膨張弁51、61に送られて、減圧されて低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、室内熱交換器52、62に送られて、室内ファン53、63によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、第1ガス冷媒連絡管8a、第1ガス冷媒開閉機構35、第2ガス冷媒連絡管8b及び第2切換機構31を通じて、再び、低段側圧縮機21に吸入される。
【0132】
この冷房運転時には、ホットガス開閉機構27bが開けられる。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、室外熱交換器23と同様に、冷媒の凝縮器として機能する。これにより、低段側圧縮機21において圧縮された高圧のガス冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27を通じて凍結防止用熱交換器25に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、ホットガス減圧機構27a、ホットガス開閉機構27b及びホットガス逆止機構27cを通じて液冷媒管26eに送られて、室外熱交換器23からの高圧の液冷媒と合流する。このように、空気調和装置1では、冷房運転時に、室外熱交換器23だけでなく、凍結防止用熱交換器25も冷媒の凝縮器として機能するようになっている。これにより、空気調和装置1では、冷房運転時において、室外熱交換器23だけを冷媒の凝縮器として機能させる場合に比べて、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の冷却が促進され、冷房能力が向上している。
【0133】
<単段暖房運転>
次に、単段暖房運転について、図14を用いて説明する。ここで、図14は、空気調和装置1の単段暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0134】
単段暖房運転は、上記のように、外気温度が高い条件、すなわち、暖房能力を確保しやすい条件に行われる暖房運転である。ここでは、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の第1外気温度Tas1(例えば、5℃)以上の場合に、単段暖房運転が行われる。
【0135】
単段暖房運転時には、切換機構22、31が図14の破線で示される状態、すなわち、第1切換機構22については、第2ポート22bと第4ポート22dとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第3ポート22cとを連通させる切り換えを行い、第2切換機構31については、第2ポート31bと第4ポート31dとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第3ポート31cとを連通させる切り換えを行う。また、第1ガス冷媒開閉機構35及び第1液冷媒開閉機構37が開けられ、高段吸入膨張弁39及び第2液冷媒開閉機構40が閉止される。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させる単段圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0136】
この冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、第1切換機構22、第2切換機構31、第2ガス冷媒連絡管8b、第1ガス冷媒開閉機構35及び第1ガス冷媒連絡管8aを通じて室内熱交換器52、62に送られて、室内ファン53、63によって供給される室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室内膨張弁51、61、第1液冷媒連絡管7a、第1液冷媒開閉機構37、第2液冷媒逆止機構38及び第2液冷媒連絡管7bを通じて、室外膨張弁24に送られて、減圧されて低圧の冷媒となる、この低圧の冷媒は、室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、第1切換機構22を通じて、再び、低段側圧縮機21に吸入される。
【0137】
この単段暖房運転時には、ホットガス開閉機構27bが閉止される。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒は、ホットガスバイパス管27に分岐されることはない。すなわち、単段暖房運転時においては、凍結防止用熱交換器25には、冷媒が流れることはない。このように、空気調和装置1では、単段暖房運転時において、低段側圧縮機21において圧縮された高圧のガス冷媒が、すべて室内熱交換器52、62に送られるようになっている。このように、空気調和装置1では、単段暖房運転時において、凍結防止用熱交換器25に冷媒を流す場合に比べて、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量が多くなり、暖房能力の低下が抑えられている。
【0138】
<二段暖房運転>
次に、二段暖房運転について、図15を用いて説明する。ここで、図15は、空気調和装置1の二段暖房運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0139】
二段暖房運転は、上記のように、外気温度が低い条件、すなわち、暖房能力を確保しにくい条件に行われる暖房運転である。ここでは、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の第1外気温度Tas1(例えば、5℃)未満の場合に、二段暖房運転が行われる。
【0140】
二段暖房運転時には、切換機構22、31が図15の破線で示される状態、すなわち、第1切換機構22については、第2ポート22bと第4ポート22dとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第3ポート22cとを連通させる切り換えを行い、第2切換機構31については、第2ポート31bと第4ポート31dとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第3ポート31cとを連通させる切り換えを行う。また、高段吸入膨張弁39及び第2液冷媒開閉機構40が開けられ、第1ガス冷媒開閉機構35及び第1液冷媒開閉機構37が閉止される。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を低段側圧縮機21及び高段側圧縮機32において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させる二段圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0141】
この冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機21に吸入されて圧縮されて中間圧のガス冷媒となる。この中間圧のガス冷媒は、第1切換機構22、第2切換機構31、第2ガス冷媒連絡管8b及び高段吸入膨張弁39を通じて、高段側圧縮機32に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、第1ガス冷媒連絡管8aを通じて室内熱交換器52、62に送られて、室内ファン53、63によって供給される室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室内膨張弁51、61、第1液冷媒連絡管7a、第2液冷媒開閉機構40及び第3液冷媒逆止機構41を通じて気液分離器33に送られて、ガス冷媒と液冷媒とに分離される。この気液分離器33において分離されたガス冷媒は、高段側圧縮機32に吸入される。また、この気液分離器33において分離された液冷媒は、第4液冷媒逆止機構42及び第2液冷媒連絡管7bを通じて、室外膨張弁24に送られて、減圧されて低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、第1切換機構22を通じて、再び、低段側圧縮機21に吸入される。
【0142】
この二段暖房運転時には、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、ホットガス開閉機構27bが閉止される。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる中間圧の冷媒は、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、ホットガスバイパス管27に分岐されることはない。すなわち、二段暖房運転時においては、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、凍結防止用熱交換器25には、冷媒が流れることはない。このように、空気調和装置1では、二段暖房運転時において、後述の暖房再開時凍結防止制御を行う場合を除き、低段側圧縮機21において圧縮された中間圧のガス冷媒が、すべて高段側圧縮機32において圧縮されて高圧のガス冷媒となり、室内熱交換器52、62に送られるようになっている。このように、空気調和装置1では、二段暖房運転時において、凍結防止用熱交換器25に冷媒を流す場合に比べて、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量が多くなり、暖房能力の低下が抑えられている。
【0143】
<単段除霜運転>
次に、単段除霜運転について、図13を用いて説明する。ここで、図13は、空気調和装置1の単段除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0144】
単段除霜運転は、暖房運転と同様に、外気温度が高い条件に行われる除霜運転である。ここでは、単段暖房運転と同様に、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の第1外気温度Tas1以上の場合に、単段除霜運転が行われる。
【0145】
単段除霜運転は、上記のように、単段暖房運転とは冷媒の流れ方向を逆にする逆サイクル除霜運転である。このため、単段除霜運転時には、切換機構22、31が図13の実線で示される状態、すなわち、第1切換機構22については、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行い、第2切換機構31については、第2ポート31bと第3ポート31cとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第4ポート31dとを連通させる切り換えを行う。また、第1ガス冷媒開閉機構35が開けられ、第1液冷媒開閉機構37、高段吸入膨張弁39及び第2液冷媒開閉機構40が閉止される。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる単段圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0146】
ここで、単段除霜運転は、制御部9が暖房運転時に室外熱交換器23に着霜が発生したと判定した場合に行われる。この判定は、室外熱交温度センサ29cによって検出される室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbや暖房運転の積算時間に基づいて行われる。例えば、室外熱交温度センサ29cによって検出される冷媒の温度Tbが、室外熱交換器23に着霜が発生したとみなすことができる所定温度以下まで低下したことが検知された場合、又は、暖房運転の積算時間が室外熱交換器23に着霜が発生したとみなすことができる所定時間を経過した場合には、室外熱交換器23に着霜が発生しているものと判定し、このような温度条件や時間条件に達していない場合には、室外熱交換器23に着霜が発生していないものと判定するものである。
【0147】
この冷媒回路10において、冷媒は、上記の冷房運転時と同様の流れ方向に循環することになる。そして、低段側圧縮機21に圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られて、室外熱交換器23を加熱する。これにより、暖房運転において室外熱交換器23に発生した霜は、融解してドレン水となり、室外熱交換器23と一体化した凍結防止用熱交換器25を通じて、室外熱交換器23の下方に配置されたドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まる。この底板2a上に溜まったドレン水は、底板2a上に形成された排出口2bを通じて、室外ユニット2外に排出される。
【0148】
そして、単段除霜運転は、制御部9が室外熱交換器23の除霜が完了したと判定した場合に終了する。この判定は、室外熱交温度センサ29cによって検出される室外熱交換器23を流れる冷媒の温度Tbや単段除霜運転の運転時間に基づいて行われる。例えば、室外熱交温度センサ29cによって検出される冷媒の温度Tbが、霜が融解したものとみなすことができる温度以上であることが検知された場合、又は、単段除霜運転の運転時間が所定時間以上経過した場合には、室外熱交換器23の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件や時間条件に達していない場合には、室外熱交換器23の除霜が完了していないものと判定するものである。
【0149】
この単段除霜運転時には、上記の冷房運転時と同様に、ホットガス開閉機構27bが開けられる。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、単段除霜運転を行うことによって融解したドレン水の加熱器として機能する。これにより、単段除霜運転時において、室外熱交換器23からのドレン水は、室外熱交換器23の下部側において加熱された後に、ドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まり、室外ユニット2外に排出される。このように、空気調和装置1では、単段除霜運転時に、凍結防止用熱交換器25が、室外熱交換器23において発生したドレン水を室外熱交換器23の下部側において加熱するようになっている。これにより、空気調和装置1では、単段除霜運転時において、室外熱交換器23からのドレン水が室外ユニット2外に速やかに排出されるようになっている。
【0150】
<二段除霜運転>
次に、二段除霜運転について、図16を用いて説明する。ここで、図16は、空気調和装置1の二段除霜運転時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0151】
二段除霜運転は、暖房運転と同様に、外気温度が低い条件に行われる除霜運転である。ここでは、二段暖房運転と同様に、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の第1外気温度Tas1未満の場合に、二段除霜運転が行われる。
【0152】
二段除霜運転は、上記のように、二段暖房運転とは冷媒の流れ方向を逆にする逆サイクル除霜運転である。このため、二段除霜運転時には、切換機構22、31が図16の実線で示される状態、すなわち、第1切換機構22については、第2ポート22bと第3ポート22cとを連通させ、かつ、第1ポート22aと第4ポート22dとを連通させる切り換えを行い、第2切換機構31については、第2ポート31bと第3ポート31cとを連通させ、かつ、第1ポート31aと第4ポート31dとを連通させる切り換えを行う。また、第1ガス冷媒開閉機構35及び第2液冷媒開閉機構40が開けられ、第1液冷媒開閉機構37及び高段吸入膨張弁39が閉止される。これにより、冷媒回路10では、室外熱交換器23を高段側圧縮機32及び低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器52、62を室外熱交換器23において凝縮した冷媒の蒸発器として機能させる二段圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0153】
ここで、二段除霜運転は、単段除霜運転と同様に、制御部9が暖房運転時に室外熱交換器23に着霜が発生したと判定した場合に行われる。この判定の内容は、単段除霜運転における判定の内容と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0154】
この冷媒回路10において、ガス冷媒は、低段側圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、第1切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られて、室外熱交換器23を加熱する。これにより、暖房運転において室外熱交換器23に発生した霜は、融解してドレン水となり、室外熱交換器23と一体化した凍結防止用熱交換器25を通じて、室外熱交換器23の下方に配置されたドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まる。この底板2a上に溜まったドレン水は、底板2a上に形成された排出口2bを通じて、室外ユニット2外に排出される。室外熱交換器24において霜を融解した高圧の冷媒は、室外膨張弁24に送られて減圧される。この減圧された冷媒は、その一部が、第2液冷媒連絡管7b、第1液冷媒逆止機構36及び第1液冷媒連絡管7aを通じて、室内膨張弁51、61に送られ、残りが、第2液冷媒連絡管7b、第1液冷媒逆止機構36、第2液冷媒開閉機構40及び第3液冷媒逆止機構41を通じて、気液分離器33に送られる。この室内膨張弁51、61に送られた低圧の冷媒は、室内膨張弁51、61、室内熱交換器52、62及び第1ガス冷媒連絡管8aを通じて、第9ガス冷媒管34aに送られる。また、この気液分離器33に送られた低圧の冷媒は、高段側圧縮機32に吸入されて圧縮されて、第9ガス冷媒管34aに送られて、室内膨張弁51、61及び室内熱交換器52、62を通じて第9ガス冷媒管34aに送られる冷媒と合流する。この第9ガス冷媒管34aで合流した冷媒は、第1ガス冷媒開閉機構35、第2ガス冷媒連絡管8b及び第2切換機構31を通じて、再び、低段側圧縮機21に吸入される。
【0155】
そして、二段除霜運転は、単段除霜運転と同様に、制御部9が室外熱交換器23の除霜が完了したと判定した場合に終了する。この判定の内容は、単段除霜運転における判定の内容と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0156】
この二段除霜運転時には、上記の単段除霜運転時と同様に、ホットガス開閉機構27bが開けられる。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、二段除霜運転を行うことによって融解したドレン水の加熱器として機能する。これにより、二段除霜運転時において、室外熱交換器23からのドレン水は、室外熱交換器23の下部側において加熱された後に、ドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まり、室外ユニット2外に排出される。このように、空気調和装置1では、二段除霜運転時に、凍結防止用熱交換器25が、室外熱交換器23において発生したドレン水を室外熱交換器23の下部側において加熱するようになっている。これにより、空気調和装置1では、二段除霜運転時において、ドレン水が室外ユニット2外に速やかに排出されるようになっている。特に、二段除霜運転は、単段除霜運転が行われる外気温度の条件よりも外気温度が低い条件(すなわち、外気温度Taが所定の第1外気温度Tas1未満の場合)において行われるため、室外熱交換器23からのドレン水が室外熱交換器23の下部側において凍結することを防ぐことができ、二段除霜運転時におけるアイスアップ現象の発生が抑えられている。
【0157】
<暖房再開時凍結防止制御>
上記のように、空気調和装置1では、除霜運転時において、低段側圧縮機21において圧縮された高圧の冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことによって、除霜運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができる。
【0158】
しかし、除霜運転が終了してからしばらくの間は、除霜運転を行うことによって融解したドレン水が室外熱交換器23の下部側に存在しており、室外ユニット2外へのドレン水の排出が続いている。その後、暖房運転を再開すると、外気温度Taが低い条件では、ドレン水が排出される前に凍結するおそれがある。このため、除霜運転後の二段暖房運転時におけるドレン水の凍結を防ぐことができず、アイスアップ現象が発生するおそれがある。
【0159】
そこで、空気調和装置1では、除霜運転後の二段暖房運転の再開初期に、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流す暖房再開時凍結防止制御を行うようにしている。
【0160】
次に、この暖房再開時凍結防止制御について、図17及び図18を用いて説明する。ここで、図17は、空気調和装置1の暖房再開時凍結防止制御のフローチャートである。図18は、空気調和装置1の暖房再開時凍結防止制御時の冷媒の流れを示す概略構成図である。
【0161】
まず、制御部9は、ステップS1において、除霜運転後の二段暖房運転であるかどうかを判定する。このステップS1において、除霜運転後の二段暖房運転であると判定された場合には、暖房再開時凍結防止制御が必要な外気温度条件を満たすかどうかを判定するステップS2の処理に移行する。
【0162】
そして、制御部9は、ステップS2において、外気温度センサ29dによって検出される外気温度Taが所定の第2外気温度Tas2以下であるかどうかを判定する。このステップS2において、外気温度Taが所定の第2外気温度Tas2以下である場合、すなわち、外気温度条件を満たす場合には、暖房再開時凍結防止制御を実行するステップS3〜S5の処理に移行する。他方、外気温度Taが所定の第2外気温度Tas2より高い場合、すなわち、外気温度条件を満たさない場合には、ステップS3〜S5の暖房再開時凍結防止制御を行うことなく、二段暖房運転を再開する。ここでは、所定の第2外気温度Tas2は、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水が凍結するおそれがあるかどうかという観点で設定されており、例えば、水の融点である0℃に設定されている。この所定の第2外気温度Tas2は、単段暖房運転と二段暖房運転との切り換えを行う温度である第1の外気温度Tas1よりも低い温度である。また、この所定の第2外気温度Tas2は、制御部9のメモリ等に予め記憶されており、制御部9に設けられたスイッチ(図示せず)やリモコン(図示せず)等によって変更することができるようになっている。
【0163】
そして、制御部9は、ステップS3において、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流す暖房再開時凍結防止制御を開始する。すなわち、冷媒回路10において、上記の二段暖房運転と同じ冷凍サイクルを行うとともに、ホットガス開閉機構27bを開ける。このため、低段側圧縮機21において圧縮されて第2ガス冷媒管26bを流れる高圧の冷媒の一部は、ホットガスバイパス管27に分岐される。このホットガスバイパス管27に分岐された高圧の冷媒は、凍結防止用熱交換器25に送られて、室外熱交換器23の下部側を加熱する。すなわち、凍結防止用熱交換器25は、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水の加熱器として機能する。ここで、ホットガスバイパス管27の出口は、液冷媒管26eのうち室外膨張弁24の下流側の低圧の冷媒が流れる部分に接続されているため、ホットガスバイパス管27を流れる冷媒の流量が確保されやすくなっている。そして、この凍結防止用熱交換器25においてドレン水を加熱した冷媒は、凍結防止用熱交換器25において凝縮するが、その後、液冷媒管26eを流れる冷媒に合流し、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器23において蒸発することになるため、凍結防止用熱交換器25において凝縮した冷媒が液状態のままで低段側圧縮機21に吸入されないようになっている。これにより、除霜運転後の二段暖房運転時において、室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水は、凍結防止用熱交換器25において加熱された後に、ドレンパンとしての室外ユニット2の底板2a上に溜まり、室外ユニット2外に排出される。このように、空気調和装置1では、除霜運転後の二段暖房運転時に、凍結防止用熱交換器25が、室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を加熱するようになっている。これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の二段暖房運転時において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出することができるため、除霜運転後の二段暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生が抑えられている。
【0164】
そして、制御部9は、ステップS4において、除霜運転後に所定時間tsを経過したかどうかを判定し、所定時間tsが経過した場合には、ステップS5の処理に移行する。ここで、所定時間tsは、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、数分程度に設定されている。また、この所定時間tsは、制御部9のメモリ等に予め記憶されており、制御部9に設けられたスイッチ(図示せず)やリモコン(図示せず)等によって変更することができるようになっている。そして、制御部9は、ステップS5において、暖房再開時凍結防止制御を終了して、通常の二段暖房運転に移行する。すなわち、冷媒回路10において、上記の二段暖房運転と同じ冷凍サイクルを行うとともに、ホットガス開閉機構27bを閉止する。このため、除霜運転後の二段暖房運転時において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出するための所定時間ts、すなわち、除霜運転後の二段暖房運転の再開初期だけ、暖房再開時凍結防止制御が行われることになる。ここで、除霜運転後の二段暖房運転時に、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことは、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量を減らすことになるため、暖房能力を低下させることになる。しかし、空気調和装置1では、上記のように、除霜運転後の暖房運転のうち二段暖房運転の再開初期だけに、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すようにしている。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下が抑えられている。
【0165】
以上のように、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の二段暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができるようになっている。
【0166】
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態のような二段圧縮冷凍サイクルを行う空気調和装置1においても、第1実施形態の空気調和装置1と同様の特徴を有している。
【0167】
<A>
すなわち、空気調和装置1では、除霜運転後の二段暖房運転時に、圧縮機構20(ここでは、低段側圧縮機21)において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことによって、外気温度Taが低い条件(ここでは、外気温度Taが第2外気温度Tas2以下の条件)において、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を凍結させることなく排出することができる。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の二段暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0168】
ここで、除霜運転後の二段暖房運転時に、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すことは、室内熱交換器52、62に送られる冷媒の流量を減らすことになるため、暖房能力を低下させることになる。
【0169】
そこで、空気調和装置1では、上記のように、除霜運転後の暖房運転のうち二段暖房運転の再開初期だけに、低段側圧縮機21において圧縮された冷媒の一部を凍結防止用熱交換器25に流すようにしている(すなわち、暖房再開時凍結防止制御)。このため、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えることができる。
【0170】
これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下を抑えつつ、除霜運転後の二段暖房運転時におけるアイスアップ現象の発生を抑えることができる。
【0171】
<B>
空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を、外気温度Taが所定の第2外気温度Tas2以下のときに行うようにしている。このため、空気調和装置1では、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水が凍結するおそれのある外気温度Taが低い条件(ここでは、0℃以下の場合)だけに、暖房再開時凍結防止制御を行い、外気温度Taが高い条件(ここでは、0℃より高い場合)においては、暖房再開時凍結防止制御を行なわずに済ませることができる。
【0172】
これにより、空気調和装置1では、除霜運転後の暖房運転における暖房能力の低下をさらに抑えることができる。
【0173】
<C>
空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を、除霜運転後に所定時間tsが経過するまで行うようにしている。すなわち、空気調和装置1では、暖房再開時凍結防止制御を時間で管理するようにしているため、除霜運転後に室外熱交換器23の下部側に存在するドレン水を排出するために必要な時間を考慮することができる。
【0174】
これにより、空気調和装置1では、ドレン水を排出するために必要な時間を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0175】
(4)変形例
上記実施形態の空気調和装置1において、第1実施形態の空気調和装置1の変形例1(図8参照)と同様に、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、所定時間tsを長くするように設定してもよい。
【0176】
また、上記実施形態の空気調和装置1において、第1実施形態の空気調和装置1の変形例2(図9及び図10参照)と同様に、ホットガスバイパス管27に凍結防止用熱交換器25を流れる冷媒の流量を可変するためのホットガス流量調節弁27dを設けて、外気温度Taが低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、暖房再開時凍結防止制御におけるホットガス流量調節弁27dの開度を大きくするように設定してもよい。
【0177】
これにより、本変形例の空気調和装置1においても、第1実施形態の空気調和装置1の変形例1、2と同様に、外気温度Ta等の条件によるドレン水の量の変化を考慮して、暖房再開時凍結防止制御を適切に行うことができる。
【0178】
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0179】
上記実施形態及びその変形例では、冷房運転と暖房運転と逆サイクル除霜運転とを切り換えて行う冷暖房切換可能な空気調和装置に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、暖房運転と逆サイクル除霜運転とを切り換えて行うが、冷房運転を行わない暖房専用の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明は、暖房運転及び逆サイクル除霜運転を行う空気調和装置に関する。
【符号の説明】
【0181】
1 空気調和装置
20 圧縮機構
21 圧縮機(圧縮機構)
23 室外熱交換器
25 凍結防止用熱交換器
52、62 室内熱交換器
27d ホットガス流量調節弁(流量調節弁)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0182】
【特許文献1】特開2009−127939号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構(20、21)、室内熱交換器(52、62)、及び、室外熱交換器(23)の順に冷媒を循環させて暖房運転を行い、前記圧縮機構、前記室外熱交換器、及び、前記室内熱交換器の順に冷媒を循環させて除霜運転を行う空気調和装置において、
前記圧縮機構において圧縮された冷媒の一部によって前記室外熱交換器の下部側を加熱することが可能な凍結防止用熱交換器(25)を設け、
前記除霜運転後の前記暖房運転の再開初期に、前記圧縮機構において圧縮された冷媒の一部を前記凍結防止用熱交換器に流す暖房再開時凍結防止制御を行う、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記暖房再開時凍結防止制御を、外気温度が所定の外気温度以下のときに行う、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。
【請求項3】
前記暖房再開時凍結防止制御を、前記除霜運転後に所定時間が経過するまで行う、
請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)。
【請求項4】
外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、前記除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、前記所定時間を長くする、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。
【請求項5】
前記凍結防止用熱交換器(25)を流れる前記冷媒の流量を可変するための流量調節弁(27d)をさらに設け、
外気温度が低くなるにつれて、外気湿度が高くなるにつれて、又は、前記除霜運転の運転時間が長くなるにつれて、前記流量調節弁の開度を大きくする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−108729(P2013−108729A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256494(P2011−256494)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)