説明

空調システム

【課題】 大規模な建物であっても、電力消費を抑え、かつ効率よく熱交換された外気を供給可能な空調システムを提供する。
【解決手段】 空調システムは、外気を建物B内に導入する外気導入部10と、その外気導入部10から垂直下方に地下に至るまで延設された外気導入管20と、その外気導入管20と連設され、その建物Bの地下ピット内に配設される地下流通管30と、その地下流通管30に対し垂直上方に延設されるとともにその建物B内の各階に外気を流通させる流通管40と、その流通管40を流通する外気をその建物B内の各階の各空間に供給する熱交換外気供給部50と、前述の外気導入管20、地下流通管30及び流通管40内に配設され、各管内の外気の流路を調整する流路調整部60とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関し、特に、地下で熱交換された空気を建物内に循環させる空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な空調システムの1つにエアコンがある。エアコンは、効果的に建物内の温度を調整できることから、一般家庭やオフィス等様々な場所で利用されている。
しかしながら、エアコンを稼動する際には大量の電力を消費するという問題がある。特に、夏季には日中に多数集中して利用されることから、供給電力の不足という事態を引き起こすことが多く、電力会社が省エネを呼びかけるのが毎年の恒例行事となっている。
また、エアコンを利用する際に室外機から多量の熱が発散されることから、エアコンを利用する建物の周囲の外気温を上昇させてしまうという問題もある。このことは、地球温暖化やヒートアイランド現象を引き起こす原因となっており、近年特に深刻な問題となっている。
【0003】
このようなエアコンによる空調に係る問題を解決するものの1つに、特許文献1に開示される空調設備がある。
この空調設備は、外気を導入する導入部と、その導入部により導入された外気を地下ピット内を通過させ冷却する流路部と、その冷却した外気を建物内に供給する供給部とを有して構成されるものである。
このように、特許文献1に開示される空調設備は、エアコンによる冷却作用を利用することなく、外気を低温である地下を通過させて建物内に取り入れることにより、低温の空気を住空間等に提供することができ、消費電力量の軽減等に貢献している。
【特許文献1】特開2003−90565
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1に開示される空調設備を高層マンションや高層ビル等の大型の建物に導入する場合には、以下に述べるように、その外気による冷却効果が半減してしまうという問題が生じてしまう。
すなわち、建物が小規模である場合には、取り入れ供給する冷却外気の量は小量でよいため、配管の径もさほど太く構成する必要がない。しかしながら、建物が大規模である場合には、大量の外気が必要となることから、その外気が流通する配管の径も所定以上の太さに構成する必要があり、その結果、冷却外気は配管の内壁に接触する割合が減り、その配管の中央部分を通過する割合が増える。つまり、冷却外気の大部分は、低温に保たれている配管の内壁に接触せずに、高温である中央部分を通過するので、外気を効率よく冷却することが困難となり、冷却効果が半減してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、大規模な建物であっても、電力消費を抑え、かつ効率よく熱交換された外気を供給可能な空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明は、建物内に外気を導入して建物内の空気の熱交換を行う空調システムであって、外気を導入する外気導入部と、建物の地下ピットに配設され導入された外気を冷却する地下流通管と、地下流通管により熱交換された外気が流通する流通管と、流通管を流通した熱交換後の外気を建物内に供給する熱交換外気供給部とを有し、地下流通管及び流通管内には、外気の流路を管の内壁に沿った流路へと調整する流路調整部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明によれば、その流路調整部は、地下流通管及び流通管よりも小さな断面を有する部材であって、流路調整部の表面と地下流通管又は流通管の内壁との間に外気が流通する間隙が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明によれば、その流路調整部は、先端が先細の弾丸形状をなしており、先端は外気の流通方向と反対方向に配向されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明によれば、その流路調整部は、円筒形状をなしており、少なくとも地下流通管及び流通管における外気導入側の円筒底面が閉蓋されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、流路調整部は、地下流通管及び流通管の内壁に沿って設けられる螺旋状のリブであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明によれば、地下流通管により形成された外気の流路の途中に内部に密閉された空間を有する管連結部を挿入し、管連結部は、少なくとも2つの垂直方向の位置が互いに異なる開口部が設けられ、開口部に地下流通管が密閉連結されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明によれば、その熱交換外気供給部は、流通管を流通する熱交換後の外気を建物内に供給するファンを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明によれば、その熱交換外気供給部は、防火ダンパ及び逆流防止ダンパのうちの少なくとも1つをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明における空調システムは、外気導入部から取り込まれた外気を地下ピット内に配設された地下流通管を通過させて、建物内の各空間に供給しているので、使用されていない地下ピットのスペースを有効利用できるとともに、エアコンによる冷却と比べて、極めて少量の電力消費で効果的な冷却効果を得ることが可能となる。
また、各管には、外気の流路を、低温に保たれている各管の内壁に接触する方向に案内する流路調整部が設けられているので、外気を効果的に冷却することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<構成及び作用>
図1は、本発明の実施の形態における空調システムの構成を示す側面断面図である。
図に示すように、本実施の形態における空調システムは、外気を建物B内に導入する外気導入部10と、その外気導入部10から垂直下方に地下に至るまで延設された外気導入管20と、その外気導入管20と連設され、その建物Bの地下ピット内に配設される地下流通管30と、その地下流通管30に対し垂直上方に延設されるとともにその建物B内の各階に外気を流通させる流通管40と、その流通管40を流通する外気をその建物B内の各階の各空間に供給する熱交換外気供給部50と、前述の外気導入管20、地下流通管30及び流通管40内に配設され、各管内の外気の流路を調整する流路調整部60と、前述の地下流通管30同士を連結する箱型の部材であって、内側に密閉された空間を形成する管連結部70とを有して構成される。
【0016】
外気導入部10は、建物Bの外に開口し外気を取り込むものであって、例えば、ガラリ、ベントキャップ又はパイプフード等が用いられる。
【0017】
外気導入管20は、前述の外気導入部10から取り込まれた外気を建物Bの地下ピットP部分まで導入する例えば鋼製のダクトであって、その一端が前述の外気導入部10と連設され、他端が後述の地下流通管30と連設されている。
【0018】
地下流通管30は、建物Bの地下ピットP内に配設された例えば鋼製のダクトであって、その一端が前述の外気導入管20に連設され、他端が後述の流通管40に連設されるものである。
この地下流通管30は、屋外よりも低温である建物Bの地下ピットP内に配設されているため、その地下流通管30自体も低温に保たれている。前述の外気導入管20を流通してきた外気がこの地下流通管30に導入されると、その低温に保たれた地下流通管30の内壁に接触しながら流通することにより、その外気が冷却される。
【0019】
流通管40は、前述の地下流通管30により冷却された外気を建物Bの各階に流通させる例えば鋼製のダクトである。
この流通管40は、建物B内の各空間(住空間、ロビー等)の気温に比べて低温に保たれている。従って、この流通管40を介して前述の冷却外気を建物B内の各空間に流通させることにより、冷却外気が短時間で暖められることを防止することを可能にしている。
【0020】
熱交換外気供給部50は、前述の流通管40を流通する冷却外気を建物B内の各空間に供給するものであって、流通管40の上記各空間に接する開口近傍に設置され、流通管40内の冷却外気を直接吸気して建物B内の各空間へ供給する給気ファン51と、建物B内の各空間の空気が流通管40へ逆流するのを防止する逆流防止ダンパ52と、火災発生の際に流通管40との間を閉鎖して煙炎の拡大を防止する防火ダンパ53と、冷却外気の供給先の空間内の空気を吸気して排気する排気ファン54とを有して構成される。
なお、この排気ファン54は、冷却外気供給のための専用ファンであってもよいし、キッチンやバス等に備え付けられた換気扇であってもよい。
【0021】
冷却外気を流通管40から建物B内の各空間への給気は、以下のようにして行われる。
上記の排気ファン54が作動すると、居住空間やエントランス等の各空間内の空気が吸気され、建物Bの屋外へ排気される。このとき、この屋外への排気による負圧により、流通管40内から各空間へ冷却外気を導入する空気の流れが間接的に起生し、この流れが、流通管40から地下流通管30、外気導入管20へと伝達し、外気導入部10による外気の導入につながる。
【0022】
また、上記のように間接的に冷却外気を空間内へ導入する方法の他、以下のような方法により、冷却外気が直接的に空間内に導入されるようにしてもよい。
すなわち、上記の給気ファン51が作動して、流通管40内の冷却外気を直接的に吸気する流れが発生すると、この流れによる負圧が、流通管40から地下流通管30、外気導入管20へと伝達し、外気導入部10による外気の導入につながる。このようにして発生した流れにより、外気は、外気導入部10から外気導入管20、地下流通管30及び流通管40を経て冷却された後、熱交換外気供給部50から建物B内の各空間へ供給されることとなる。
【0023】
このように、冷却外気の導入には、給気ファン51により直接的に導入する場合と、排気ファン54により間接的に導入する場合との2通りの方法がある。
流通管40からの冷却外気により積極的に空間内を冷却する場合には、前述のうち、給気ファン51により直接的に冷却外気を導入する方が好ましい。
一方、それほど急速に空間内を冷却する必要がない場合には、キッチンやバス等を換気する目的で排気ファン54を作動させることにより、緩やかに空間内を冷却しつつ、空間内の換気を行うことができる。
【0024】
また、各階の各空間へ外気を供給する複数の熱交換外気供給部50が、前述の吸気動作を開始すると、この吸気動作により発生した負圧が、各熱交換外気供給部50と連結する流通管40内の外気に伝達し、さらには、これら複数の流通管40が合流する1本の流通管40内の外気に伝達する。
従って、流通管40は、上階に行くにつれて複数の流路に分岐するように構成されていることから、前述の伝達する負圧の関係で、垂直方向に設けられる流通管40の径を上階に行くほど細く形成することが好ましい。
【0025】
流路調整部60は、前述のように、外気導入管20、地下流通管30及び流通管40の各管内に設けられる例えば鋼製の部材であり、本実施の形態では、底面が円形で先端が先細の弾丸形状をなすものである。この流路調整部60は、中空に構成されるものであってもよい。
この流路調整部60は、各管の径方向の略中央部に設置され、その流路調整部60表面と管の内壁との間に間隙が形成されるように構成されている。
このように構成されていることにより、導入された外気は、この間隙を通過する方向に流路が案内されるので、低温の管内壁に接触する外気の量が増加する。従って、外気を効果的に冷却し、又は温度上昇を抑えることが可能となっている。
また、この流路調整部60は、その先細の先端が外気の導入側を向くように設置されているので、管内を流通する外気の流れを阻害することなく、外気の円滑な流れを形成することが可能となる。
【0026】
管連結部70は、地下流通管30と同様に地下ピットP内に配設される、内部に密閉された空間を形成する箱型の部材である。この管連結部70には、地下流通管30と密閉連結される開口部が少なくとも2つ設けられている。
地下流通管30を通過することによって冷却された外気は、この管連結部70を通過することにより、さらに効果的に冷却される。この詳細な構成及び作用については、後に詳述するものとする。
【0027】
図2は、本実施の形態における空調システムの構成を示す地下ピットP部分の一例を示す断面平面図である。
図に示すように、建物Bの屋外よりも低温の地下ピットP空間には、地下流通管30が配設されており、外気導入部10から導入された外気が、この地下流通管30を通過する際に冷却され、この冷却された外気が流通管40へ供給されるようになっている。
【0028】
図3は、本実施の形態における空調システムの地下流通管30の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
また、以下においては、地下流通管30に配設される流路調整部60について説明するが、外気導入管20及び流通管40においても同様であるとし、その説明を省略するものとする。
【0029】
図に示すように、円筒形状の地下流通管30内には、底面が略円状で、全体が先端が先細の弾丸形状である流路調整部60が設けられており、その流路調整部60の表面と、地下流通管30の内壁との間には、間隙61が形成されている。この流路調整部60は、例えば、地下流通管30と同素材で構成されており、地下流通管30と同様に低温に保たれている。
外気導入管20から供給された外気は、その弾丸形状の流路調整部60の先細の先端に接触すると、その弾丸形状の側面の母線方向に沿った流れが起生され、外気はその流れに沿って前述の間隙61を通過する。
外気がこの間隙61を通過する際、低温に保たれた地下流通管30の内壁に接触する外気の量が増加するため、効率よく外気を冷却することが可能となる。
また、前述のように、流路調整部60の先端に接触した外気は、緩やかに湾曲した母線方向に沿って流通するため、外気の流速を極端に落とすことなく、滑らかな流れを形成することが可能となる。
【0030】
また、図3の(b)に示すように、流路調整部60は、その表面の一部が支持部62により地下流通管30の内壁に支持固定されている。従って、その支持部62による支持固定箇所以外には、外気が通過する間隙61が形成される。
なお、図の例では、流路調整部60が支持部62により2箇所で支持固定されているが、これはあくまでも一例であり、前述の間隙61が形成されるのであれば、その支持固定する箇所及びその数は図の例に限定されないものとする。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態における管連結部70の流路方向の断面を示す図である。
図に示すように、管連結部70は、内部に外部から密閉された空間部71を有する箱型の部材であり、少なくとも2つの開口部72を有するものである。
本図の例では、簡単のため、管連結部70の形状を直方体形状とし、設けた開口部72を2つとしたが、その形状及び開口部72の数は本例に限定されないものとする。
図に示すように、管連結部70は、地下ピットP内に配設される地下流通管30による外気の流路の途中に挿入されて地下ピットP内に配設されている。すなわち、前述の開口部72は、全て地下流通管30と密閉連結されている。
また、管連結部70内では、一般的にそうであるように、暖かい空気が垂直上方に、冷たい空気が垂直下方に分布している。このような空気の温度分布の状況下において、外気の流路の上流側(外気取り入れ側)の地下流通管30と連結される開口部72は、下流側(外気の供給側)の地下流通管30と連結される開口部72よりも垂直上方に設けられる。
このように構成されることにより、流路の上流側から管連結部70内に導入された外気のうち、比較的低温である外気が下流側へ排気されるので、地下流通管30を通過することにより冷却された外気が、管連結部70を通過することにより、さらに効果的に冷却されることとなる。
【0032】
<他の実施の形態>
前述のように、本実施の形態では、流路調整部60の形状を弾丸形状としたが、他の形状であっても、同様の外気冷却効果を奏することができる。
以下、他の実施の形態における流路調整部について説明するが、特記しない限り、構成および作用効果は、前述の弾丸形状のものと同様であるものとする。
【0033】
図5は、その流路調整部100の形状が円筒形状である場合の地下流通管30の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
図に示すように、この円筒形状の流路調整部100は、地下流通管30の内壁との間に間隙101が形成されるように、支持部102によりその地下流通管30の内壁に支持固定されている。
また、この円筒形状の底面のうち、少なくとも外気導入側の面が閉蓋されており、この底面側に接触した外気が間隙101側に案内されるように構成されている。従って、このように流路調整部100を地下流通管30の内壁に支持固定される円筒形状となるように構成した場合であっても、同様の外気の冷却効果を奏する。
【0034】
また、図6は、その流路調整部110を地下流通管30の内壁に沿って形成した螺旋状のリブ形状とした場合の地下流通管30の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
図に示すように、地下流通管30の内壁に沿って螺旋状のリブ(流路調整部110)が形成されている。この螺旋状のリブ(流路調整部110)は、例えば、地下流通管30と同素材で構成されており、地下流通管30と同様に低温に保たれている。
【0035】
外気導入側から供給された外気は、その螺旋状のリブに沿った螺旋流(図中の矢印)を形成して、外気供給側(建物B内の各空間側)へ流通する。
この螺旋流は、低温に保たれた地下流通管30の内壁及び流路調整部100に接触しながら外気供給側へ進んで行くので、外気は、地下流通管30を通過の際、効果的に冷却される。
【0036】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、本実施の形態における空調システムは、外気導入部10から取り込まれた外気を地下ピットP内に配設された地下流通管30を通過させて、建物B内の各空間に供給しているので、使用されていない地下ピットのスペースを有効利用できるとともに、エアコンによる冷却と比べて、極めて少量の電力消費で効果的な冷却効果を得ることが可能となる。
また、各管20,30,40には、外気の流路を、低温に保たれている各管20,30,40の内壁に接触する方向に案内する流路調整部60,100,110が設けられているので、外気を効果的に冷却することが可能となる。
【0037】
また、流路調整部60,100,110を所定間隔で配設することにより、その配設箇所において流路を限定して各管20,30,40内壁に接触する外気の量を増加させる一方で、それ以外の箇所では流路を狭めず限定しないので、外気を効果的に冷却するとともに、各管20,30,40の径を必要以上に大きくしなくても建物B内の各空間に供給する外気の流量を確保することができる。
【0038】
また、地下ピットP内において、地下流通管30による流路の途中に管連結部70を挿入し、その管連結部70内の空間部71において、その流路の外気取り入れ側の地下流通管30を、外気供給側の地下流通管30よりも垂直上方の位置に密閉連結している。
従って、その管連結部70に導入された外気の熱交換を行って排気するので、地下流通管30を通過して冷却された外気をさらに効果的に冷却することが可能となる。
【0039】
なお、外気導入管20、地下流通管30、流通管40及び管連結部70の素材は、低温に保つことができる素材であることが好ましく、例えばステンレス等の鋼製であってもよい。
【0040】
また、前述の実施の形態では、流路調整部60を、弾丸形状、円筒形状又は螺旋状のリブ形状とした場合について説明したが、同様の効果を奏するものであれば、その他の形状であってもよい。また、1件の建物内にこれら複数の形状の流路調整部60を混在させて配設するようにしてもよい。
【0041】
また、以上説明した実施の形態では、夏季等、地下ピットP内の気温よりも屋外が高温である場合において、地下ピットP内で冷却した外気を建物Bの各空間へ供給することにより、低電力による空調を実現するものであるが、冬季等の地下ピットP内の気温よりも屋外が低温である場合にも利用することができる。
すなわち、地下ピットP内の地下流通管30及び管連結部70等において、外気の熱交換を行うことにより、屋外の空気よりも暖かい空気を建物Bの各空間へ供給することができ、低電力で効率のよい暖房効果を期待することが可能となる。
【0042】
また、外気を暖める目的で管連結部70を配設する場合には、前述の冷却目的の場合とは反対に、垂直位置が互いに異なる開口部72のうち、垂直下方の開口部72に外気取り込み側の地下流通管30を、垂直上方の開口部72に外気供給側の地下流通管30をそれぞれ密閉連結する。
このように、管連結部70に地下流通管30連結することにより、管連結部70内にて外気を低温から高温へ熱交換することが可能となる。
【0043】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における空調システムの構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における空調システムの構成を示す地下ピット部分の一例を示す断面平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における空調システムの地下流通管の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
【図4】本発明の実施の形態における管連結部の流路方向の断面を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態において、流路調整部の形状が円筒形状である場合の地下流通管の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
【図6】本発明の他の実施の形態において、流路調整部を地下流通管の内壁に沿って形成した螺旋状のリブ形状とした場合の地下流通管の拡大透過図であって、(a)は側面透過図であり、(b)は正面透過図である。
【符号の説明】
【0045】
10 外気導入部
20 外気導入管
30 地下流通管
40 流通管
50 熱交換外気供給部
51 給気ファン
52 逆流防止ダンパ
53 防火ダンパ
54 排気ファン
60,100,110 流路調整部
61,101 間隙
61,102 支持部
70 管連結部
71 空間部
72 開口部
B 建物
P 地下ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に外気を導入して建物内の空気の熱交換を行う空調システムであって、
外気を導入する外気導入部と、
前記建物の地下ピットに配設され前記導入された外気の熱交換を行う地下流通管と、
前記地下流通管により熱交換された外気が流通する流通管と、
前記流通管を流通した熱交換後の外気を建物内に供給する熱交換外気供給部とを有し、
前記地下流通管及び前記流通管内には、外気の流路を該管の内壁に沿った流路へと調整する流路調整部が設けられていることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記流路調整部は、前記地下流通管及び前記流通管よりも小さな断面を有する部材であって、
前記流路調整部の表面と前記地下流通管又は前記流通管の内壁との間に前記外気が流通する間隙が設けられていることを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項3】
前記流路調整部は、先端が先細の弾丸形状をなしており、該先端は外気の流通方向と反対方向に配向されていることを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項4】
前記流路調整部は、円筒形状をなしており、少なくとも前記地下流通管及び前記流通管における外気導入側の円筒底面が閉蓋されていることを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項5】
前記流路調整部は、前記地下流通管及び前記流通管の内壁に沿って設けられる螺旋状のリブであることを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項6】
前記地下流通管により形成された外気の流路の途中に内部に密閉された空間を有する管連結部を挿入し、
前記管連結部は、少なくとも2つの垂直方向の位置が互いに異なる開口部が設けられ、該開口部に前記地下流通管が密閉連結されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項7】
前記熱交換外気供給部は、前記流通管を流通する熱交換後の外気を建物内に供給するファンを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項8】
前記熱交換外気供給部は、防火ダンパ及び逆流防止ダンパのうちの少なくとも1つをさらに有することを特徴とする請求項7記載の空調システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−151378(P2010−151378A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330140(P2008−330140)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(509001618)株式会社グローバル・リンク・マネジメント (1)
【Fターム(参考)】