説明

空調機器用フロンの回収・再生・充填装置及び空調機器潤滑用オイルの補充方法

空調機器のフロン充填口の高圧側に対して着脱自由に接続される高圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ配管に、システムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及びシステムオイルセパレータの熱交換部を少なくとも介装すると共に、所定部位に配管開閉装置を介装したフロン回収系統を構成する。そして、フロン回収系統により空調機器からフロンを回収するときに、空調機器のフロン充填口の低圧側に対して着脱自由に接続される低圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ配管に所定圧力が作用すると開弁する逆止弁を介して接続されたオイル補充口から、フロン回収圧力を利用して、フロン充填口の低圧側を経てオイルを補充する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、カーエアコンディショナ(以下「エアコンディショナ」という)などの空調機器に対して、その潤滑用オイルを容易かつ迅速に補給可能とする技術に関する。
【背景技術】
一般に、空調機器としてのエアコンディショナの冷却システム内には、冷媒(フロンガス)の他に、コンプレッサ潤滑用のオイルが約50〜300g程度混入されている。オイルの一部は、コンプレッサや配管などに付着すると共に、残りのオイルは、フロンガスに同伴して冷却システム内を循環している。
ところで、エアコンディショナのフロンガスは、長年の使用に伴い水分などが混入し、冷媒機能が徐々に低下することは公知である。このため、特開平4−165273号公報に示すように、エアコンディショナから回収したフロンガスをドライヤ及びオイルセパレータで水分やオイルなどを除去して再生し、その冷媒機能を回復させるリフレッシュ技術が提案されている。
しかしながら、エアコンディショナからフロンガスを回収するときに、1回の作業で約0〜30gのオイルもフロンガスに同伴して回収されてしまう。また、エアコンディショナでは、主にエンジン振動や走行時の揺れにより、冷却システムの配管やパッキンなどから20〜100g/年程度のガス漏れが発生してしまう。このため、エアコンディショナでは、フロンガスに伴ってオイルが回収又は放出され、冷却システム内のオイル量も徐々に減少してしまうことから、定期的にオイルを補充する必要がある。
オイルの補充方法としては、(1)フロンガスを回収した後に、真空ポンプなどで冷却システム内を真空状態まで真空引きし、負圧を利用してオイルを補充する方法、(2)フロンガスを充填したまま、エアコンディショナのコンプレッサを利用してその低圧側から補充する方法が公知であるが、ともに作業が煩雑で手間を要すため、熟練作業者でなければ行えないものであった。
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、空調機器からフロンを回収するときに、その回収圧力を利用してオイルを自動的に補充することで、熟練作業者でなくともオイル補充を容易かつ迅速に行えるようにした空調機器用フロンの回収・再生・充填装置及び空調機器潤滑用オイルの補充方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
このため、本発明に係る空調機器用フロンの回収・再生・充填装置では、空調機器からフロンをフロンタンクに回収するフロン回収系統と、フロンタンク内のフロンを再生するフロン再生系統と、フロンタンク内のフロンを空調機器に充填するフロン充填系統と、フロンタンクにフロンを補充するフロン補充系統と、が備えられる。即ち、フロン回収系統では、空調機器のフロン充填口の高圧側に対して着脱自由に接続される高圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ第1の配管に、システムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及びシステムオイルセパレータの熱交換部が少なくとも介装されると共に、所定部位に配管開閉装置が介装される。フロン再生系統では、フロンタンクから出てフロンタンクに戻る第2の配管に、フロン回収系統と共通のシステムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及びシステムオイルセパレータの熱交換部が少なくとも介装されると共に、所定部位に配管開閉装置が介装される。フロン充填系統では、フロンタンクと高圧側コネクタとを繋ぐ第3の配管の所定部位に少なくとも配管開閉装置が介装される。フロン補充系統では、空調機器のフロン充填口の低圧側に対して着脱自由に接続される低圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ第4の配管の所定部位に少なくとも配管開閉装置が介装される。そして、第4の配管には、所定圧力が作用すると開弁する逆止弁を介してオイル補充口が接続される。
かかる構成によれば、高圧側コネクタを空調機器のフロン充填口の高圧側に接続し、例えば、操作パネルを操作すると、フロンを大気中に放出させずに、空調機器のフロンを自動的に回収,再生及び充填することができる。そして、空調機器からフロンを回収するときに、低圧側コネクタを空調機器のフロン充填口の低圧側に接続し、オイル補充口にオイル缶を接続するようにすれば、フロン回収圧力を利用して、オイル缶から空調機器にオイルを自動的に補充することができる。このため、熟練作業者でなくともオイル補充を容易かつ迅速に行うことができる。また、オイル補充系統には、オイル補充方向に所定圧力が作用したときのみ開弁する逆止弁が介装されているため、オイル缶が接続されていないときに、配管内に大気が導入されるを防止できる。
また、フロンタンクのパージポートに接続された第5の配管に、第5の配管を定期的に開閉する第1の開閉装置、及び、フロンタンク内圧力と基準圧力との圧力差が所定値以上になったときに開弁する第2の開閉装置を直列介装することが望ましい。
かかる構成によれば、フロンタンク上部に溜まった不凝縮ガスが適切なタミングで放出される。即ち、定期的に第5の配管を開閉するだけでは、フロンタンク上部に溜まった不凝縮ガスが少なければ、不凝縮ガスが放出された後でもその内部が大気開放されているため、若干のフロンが大気中に放出されてしまうおそれがある。一方、フロンタンク内圧力と基準圧力との圧力差が所定値以上になったときに開弁するだけでは、不凝縮ガスの有無にかかわらず温度差を原因として開弁することがあるので、同様に若干のフロンが大気中に放出されてしまうおそれがある。しかし、これらの構成を共に備えることで、フロンタンク上部に溜まった不凝縮ガスをパージする条件が適正化され、大気中へのフロン排出を極力抑制することができる。このとき、基準圧力は、フロンタンクに回収されるフロンの温度に応じて温度補償されることが望ましい。このようにすれば、雰囲気温度が変化しても、第2の開閉装置が誤動作して開弁することを防止できる。
ここで、高圧側コネクタ近傍に、配管内圧力が所定範囲にあるか否かを検出する圧力検知装置を接続し、圧力検知装置により配管内圧力が所定範囲にあることが検出されたときに、フロン回収系統によるフロン回収を実行する制御装置を備えることが望ましい。
かかる構成によれば、高圧側コネクタ近傍の配管内圧力が所定範囲にあるときのみフロン回収が実行されるので、空調機器にフロンがなかったりホースに弛みや亀裂があるときにはフロン回収が行われず、空調機器から不凝縮ガスとしてのエアーが混入されることを防止することができる。
また、高圧側コネクタ近傍に、配管内圧力を検出する第1の圧力検出装置を接続すると共に、低圧側コネクタ近傍に、配管内圧力を検出する第2の圧力検出装置を接続することが望ましい。
かかる構成によれば、高圧側コネクタ及び低圧側コネクタを接続したまま空調機器を作動させると、その高圧側及び低圧側のフロン圧力が計測される。このため、各種作業の前後に、高圧側コネクタ及び低圧側コネクタを繋ぎ直さなくとも、空調機器の診断が可能となり、作業時間の短縮及び作業労力の軽減を図ることができる。
さらに、空調機器の種類に対応したフロン充填重量を設定するフロン充填重量設定装置と、フロンタンクの重量を測定するスケールからの出力に基づいて実際のフロン充填重量を検出するフロン充填重量検出装置と、実際のフロン充填重量が設定されたフロン充填重量になったときに、フロン充填系統によるフロン充填を停止する停止装置と、を備えることが望ましい。このようにすれば、空調機器の種類を見極めてフロン充填重量を設定するようにすれば、自動的に最適重量のフロンを充填することができる。
このとき、スケールは、下面が略水平面上に延びる上部部材及びフロンタンクが載置固定される下部部材を有する架台を、上部部材の下面に配設した弾性体を介して、ロードセルの上面に連結して吊り下げ、フロンタンクの重量を測定することが望ましい。
かかる構成によれば、架台の上部部材の下面に弾性体が配設されているため、架台が傾いても、その傾きが弾性体により吸収され、重量を計測するロードセルの上面に対して荷重が略垂直に作用する。このため、架台の傾きにかからわず、フロンタンクの重量を高精度に測定することができる。また、架台に振動などの衝撃が発生しても、上部部材の下面に配設された弾性体により衝撃が緩和されるので、ロードセルに直接伝達される衝撃が大幅に軽減する。このため、衝撃によるロードセルの重量計測精度の低下が抑制され、保守点検に要する労力を軽減することができる。
一方、本発明に係る空調機器潤滑用オイルの補充方法では、空調機器のフロン充填口の高圧側に対して着脱自由に接続される高圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ配管に、システムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及びシステムオイルセパレータの熱交換部を少なくとも介装すると共に、所定部位に配管開閉装置を介装したフロン回収系統により空調機器からフロンを回収するときに、空調機器のフロン充填口の低圧側に対して着脱自由に接続される低圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ配管に所定圧力が作用すると開弁する逆止弁を介して接続されたオイル補充口から、フロン回収圧力を利用して、フロン充填口の低圧側を経て空調機器にオイルを補充する。
かかる構成によれば、フロン回収系統により空調機器からフロンを回収するときに、低圧側コネクタを空調機器のフロン充填口の低圧側に接続し、オイル補充口にオイル缶を接続するようにすれば、フロン回収圧力を利用して、オイル缶から空調機器にオイルを自動的に補充することができる。このため、熟練作業者でなくともオイル補充を容易かつ迅速に行うことができる。また、オイル補充系統には、オイル補充方向に所定圧力が作用したときのみ開弁する逆止弁が介装されているため、オイル缶が接続されていないときに、配管内に大気が導入されることを防止できる。
この発明の他の目的と諸相とは、添付図面に関連する実施態様についての次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る空調機器用フロンの回収・再生・充填装置の構成図である。
図2は、フロンタンクの重量を測定するスケールの詳細図である。
図3は、リサイクルフロン回収シーケンス制御を示すフローチャートである。
図4は、フロン回収系統の説明図である。
図5は、リサイクルフロン再生シーケンス制御を示すフローチャートである。
図6は、フロン再生系統の説明図である。
図7は、リサイクルフロン充填シーケンス制御を示すフローチャートである。
図8は、フロン充填系統の説明図である。
図9は、リサイクル残ガス回収シーケンス制御を示すフローチャートである。
図10は、残ガス回収系統の説明図である。
図11は、リサイクルオイル排出シーケンス制御を示すフローチャートである。
図12は、オイル排出系統の説明図である。
図13は、オイル補充シーケンス制御を示すフローチャートである。
図14は、オイル補充系統の説明図である。
図15は、フロン補給シーケンス制御を示すフローチャートである。
図16は、フロン補給系統の説明図である。
図17は、フロン補充シーケンス制御を示すフローチャートである。
図18は、フロン補充系統の説明図である。
図19は、再生クリーニングシーケンス制御を示すフローチャートである。
図20は、フロン再生系統の説明図である。
図21は、再生残ガス回収シーケンス制御を示すフローチャートである。
図22は、修理工場モードにおける真空引き系統の説明図である。
図23は、修理工場モードにおけるフロン再生系統の説明図である。
図24は、修理工場モードにおけるフロン充填系統の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
空調機器としてのエアコンディショナ用フロンの回収・再生・充填装置は、フロン回収系統,フロン再生系統,フロン充填系統,フロン補給系統及びフロン補充系統を備えている。これらの各系統の構成を、図1を参照して順に説明する。なお、フロンとは、CFC(chlorofluorocarbon)などの特定フロン又はHFC(hydrofluorocarbon)などの代替フロンを意味する。
フロン回収系統は、エアコンディショナのフロン充填口(高圧側)に対して着脱自由に接続される高圧フィッティング1(高圧側コネクタ)とフロンタンク2とを繋ぐ第1の配管に、システムオイルセパレータ3のオイル分離部3A,フィルタドライヤ4,コンプレッサ5,システムオイルセパレータ3の熱交換部3Bなどを介装すると共に、所定部位に電磁弁などの配管開閉装置を介装して構成される。
この構成を詳述すると、高圧フィッティング1に接続された配管6には、上流から下流にかけて、高圧ゲージ7(第1の圧力検出装置),配管内圧力が所定範囲にあるときにONとなるエアー保護スイッチC−SW(圧力検知装置),逆止弁CV−6,回収用電磁弁SV−6及び配管内が規定圧力以下の負圧のときにONとなるバキュームスイッチV−SWが夫々介装される。そして、配管6の先端は、システムオイルセパレータ3のオイル分離部3Aに接続される。システムオイルセパレータ3の底部には、そのオイル分離部3Aで分離されたオイルを外部に排出すべく、オイルドレン用電磁弁SV−7を介して、オイルドレンボトルOTが接続される。
システムオイルセパレータ3のオイル分離部3A下流の配管8には、フィルタドライヤ4,バルブ9及びコンプレッサ5が夫々介装される。コンプレッサ5としては、オイル交換のメンテナンスを不要にして保守に要する労力を軽減すべく、オイルレスコンプレッサを使用することが望ましい。コンプレッサ5下流の配管10には、配管内圧力が所定圧力以上になるとON及び開弁する高圧スイッチH−SW及び安全弁11が夫々接続され、その先端がシステムオイルセパレータ3の熱交換部3Bに接続される。
システムオイルセパレータ3の熱交換部3B下流の配管12には、上流から下流にかけて、入力電磁弁SV−1,逆止弁CV−1,モイスチャーインジケータMI及びオートエアパージAAP(第2の開閉装置)が夫々介装され、その先端がフロンタンク2の気体ポート2Aに接続される。オートエアパージAAPは、エアパージ用電磁弁SV−3(第1の開閉装置)が介装された配管13(第5の配管)を介して、フロンタンク2のパージポート2Bに接続される。そして、オートエアパージAAPは、内蔵した新品のフロン圧力(基準圧力)とフロンタンク2内のフロン圧力との圧力差が所定値以上になったときに、フロンタンク2内を大気開放すべく開弁される。なお、オートエアパージAAPに内蔵されたフロンは、配管12を介して供給されたフロンとの間で熱交換が行われ、温度補償される。
また、フロンタンク2には、タンク重量の変化からフロン充填重量などを間接的に検出すべく、その重量を測定するスケールが設けられる。このスケールは、本実施形態においてロードセル14であり、図2に示すように、下面が略水平面上に延びる上部部材15A及びフロンタンク2が載置固定される下部部材15Bを有する架台15を、上部部材15Aの下面に配設したスプリング,ゴムなどの弾性体16を介して、床面や各種装置の筐体などのフレームに固定されたロードセル14の上面に連結して吊り下げた構成となっている。
フロン再生系統は、フロンタンク2の液体ポート2Cから出たフロンが気体ポート2Aに戻る第2の配管に、フロン回収系統と共通のシステムオイルセパレータ3のオイル分離部3A,フィルタドライヤ4,コンプレッサ5,システムオイルセパレータ3の熱交換部3Bなどを介装すると共に、所定部位に電磁弁などの配管開閉装置を介装して構成される。
この構成を詳述すると、フロンタンク2の液体ポート2Cに接続された配管17は、フロン回収系統における回収用電磁弁SV−6の直下流のバキュームスイッチV−SW接続箇所に接続される。配管17には、フロン流通方向に沿って、フィルタ18及び再生用電磁弁SV−4が夫々介装される。
フロン充填系統は、高圧フィッティング1とフロンタンク2とを繋ぐ第3の配管の所定部位に、電磁弁などの配管開閉装置を少なくとも介装して構成される。
この構成を詳述すると、フロンタンク2の液体ポート2Cに接続された配管17は、フロン再生系統における再生用電磁弁SV−4上流にて分岐して配管19となり、その先端がフロン回収系統におけるエアー保護スイッチC−SW下流の配管6に接続される。そして、配管19には、上流から下流にかけて、充填用電磁弁SV−5及び逆止弁CV−5が夫々介装される。
なお、図1に示す装置においては、フロン回収系統の第1の配管及びフロン再生系統の第2の配管に、システムオイルセパレータ3のオイル分離部3A,フィルタドライヤ4,コンプレッサ5,システムオイルセパレータ3の熱交換部3Bをこの順序で介装したが、両系統の機能が発揮できる限度で適宜配置を変更してもよい。
フロン補給系統は、フロン缶などのフロン補給源に対して着脱自由に接続されるサービス缶受口20を上流端に設けた配管21を、フロン再生系統における配管開閉装置下流に接続して構成される。
この構成を詳述すると、サービス缶受口20に接続された配管21には、逆止弁CV−Sが介装され、その下流端がフロン再生系統における再生用電磁弁SV−4下流に接続される。なお、フロン補給系統を構成するときには、再生用電磁弁SV−4はOFF(閉弁)される。
フロン補充系統は、エアコンディショナのフロン充填口(低圧側)に対して着脱自由に接続される低圧フィッティング22(低圧側コネクタ)とフロンタンク2とを繋ぐ第4の配管の所定部位に、電磁弁などの配管開閉装置を少なくとも介装して構成される。
この構成を詳述すると、フロン充填系統における配管19は、充填用電磁弁SV−5上流にて分岐して配管23となり、その先端が低圧フィッティング22に接続される。そして、配管23には、上流から下流にかけて、補充用電磁弁SV−8,所定圧力が作用すると開弁する逆止弁CV−Oilを介してオイル補充口24及び低圧ゲージ25(第2の圧力検出装置)が夫々介装される。
また、配管中のフロンを回収するときに、その圧力とフロンタンク2内のフロン圧力とを略等圧にすると共に、システムオイルセパレータ3により分離されたオイルをフロン圧力で押し出すようにすべく、エアパージ用電磁弁SV−3上流に、均圧用電磁弁SV−2及び逆止弁CV−2が夫々介装された配管26の一端が接続される。配管26の他端は、フロン回収系統におけるバキュームスイッチV−SW下流の配管6に接続される。
さらにオプションとして、高圧フィッティング1に接続されたエアコンディショナの配管内を真空引きし、その内部に残存する水分を除去すべく、真空発生装置としての真空ポンプVPが設けられる。即ち、真空ポンプVPに接続された配管27は、フロン回収系統における高圧ゲージ7下流の配管6に接続される。配管27には、2つの真空ポンプ用電磁弁SV−VP及び真空ポンプ保護スイッチP−SWが夫々介装される。また、真空ポンプVPと真空ポンプ用電磁弁SV−VPとの間の配管27は途中で分岐され、その分岐配管に真空開放用電磁弁SV−Pが介装される。
かかる構成において、エアコンディショナの種類に対応したフロン充填重量を設定するフロン充填重量設定装置と、ロードセルによる計測重量に基づいて実際のフロン充填重量を検出するフロン充填重量検出装置と、実際のフロン充填重量が設定されたフロン充填重量になったときにフロン充填系統によるフロン充填を停止する停止装置と、が図示しないコントロールユニットによりソフトウエア的に実現される。
また、コントロールユニットは、各スイッチからの信号に基づいて、各系統に介装された電磁弁をON又はOFFし、以下に示すように、各系統の動作を逐次制御するシーケンス制御(1)〜(13)、並びに、制御モード(14)及び(15)を実行する。なお、コントロールユニットにより、制御装置が実現される。
(1)リサイクルフロン回収シーケンス制御(図3)
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様)では、エアー保護スイッチC−SWからの信号がONであるか否か、即ち、高圧フィッティング1に接続された配管6内の圧力が所定範囲内にあるか否かが判定される。そして、信号がONであればステップ2へと進み(ON)、信号がOFFであればステップ13へと進む(OFF)。ステップ13では、配管6内の圧力が所定範囲内にないので、車両側のエアコンディショナにフロンがなかったり、ホースに弛みや亀裂があると判断して、例えば、操作画面を赤色点滅させると共にブザーを作動させる(以下「エラー表示」という)。ステップ14では、フロン回収作業を継続するか否かが判定される。即ち、作業者により強制的に作業を継続する指示がなされたか否かが判定され、作業を継続するのであればステップ2へと進み(Yes)、作業を中止するのであればステップ12へと進む(No)。
ステップ2では、ロードセル14からの重量信号に基づいて、フロンタンク2内のフロン残量が1kg以上であるか否かが判定される。そして、フロン残量が1kg以上であればステップ3へと進み(Yes)、フロン残量が1kg未満であればステップ15へと進む(No)。ステップ15では、フロン残量が少ないことを報知すべく、エラー表示が実行され、その後ステップ12へと進む。
ステップ3では、「運転開始」ボタン又は「キャンセル」ボタンのどちらが押されたか否かが判定される。そして、「運転開始」ボタンが押されたのであればステップ4へと進み(開始)、「キャンセル」ボタンが押されたのであればステップ12へと進む(キャンセル)。
ステップ4では、入力電磁弁SV−1及び回収用電磁弁SV−6が夫々ON(作動)される。
ステップ5では、所定時間(例えば、10秒間)その状態が保持される。
ステップ6では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ7では、所定時間(例えば、60秒間)その状態が保持される。
ステップ8では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ9では、バキュームスイッチV−SWからの信号がOFFであるか否か、即ち、フロン回収系統における配管内が回収したフロンにより規定圧力に到達したか否かが判定される。そして、信号がOFFであればステップ10へと進み(OFF)、信号がONであればステップ16へと進む(ON)。ステップ16では、「運転開始」ボタンが押されてからの経過時間が規定時間内であるか否かが判定される。そして、経過時間が規定時間内であればステップ9へと戻り(Yes)、経過時間が規定時間に達したならばステップ17へと進む(No)。ステップ17では、エラー表示が実行され、その後ステップ12へと進む。
ステップ10では、エアパージ用電磁弁SV−3がOFF(停止)される。
ステップ11では、所定時間(例えば、180秒間)その状態が保持される。
ステップ12では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、エアコンディショナからフロンを回収する前に、高圧フィッティング1に接続された配管6内の圧力が所定範囲内であるか否かが判定される。即ち、高圧フィッティング1をエアコンディショナに接続したにもかかわらず、配管6内の圧力が所定範囲内になければ、エアコンディショナにフロンがないか、又は、接続ホースが弛んでいたり亀裂が発生していると判断することができる。このため、かかる現象が発生したときには、回収作業を停止させると共にその旨を表示することで、不凝縮ガスであるエアーを吸引することを防止することができる。
また、入力電磁弁SV−1,回収用電磁弁SV−6及びコンプレッサ5を夫々ONすることで、図4に示すようなフロン回収系統が構成され、エアコンディショナのフロンがフロンタンク2へと回収される。このとき、フロンは、システムオイルセパレータ3によりオイルが分離されると共に、フィルタドライヤ4により水分及び不純物が除去されるので、不純物などが極力除去された状態で回収される。
さらに、フロンをある程度回収した段階でエアパージ用電磁弁SV−3がONされるが、フロンタンク2のパージポート2Bに接続された配管13には、オートエアパージAAPが介装されているので、最適な制御によるエアパージが可能となる。即ち、エアパージ用電磁弁SV−3をフロン回収途中でONする構成では、不凝縮ガスの混入が少なければ若干のフロンが大気中に放出されてしまうおそれがある。一方、圧力開閉式のオートエアパージAAPだけでは、不凝縮ガスの有無にかかわらず温度差を原因として開弁することがあるので、同様に若干のフロンが大気中に放出されてしまうおそれがある。このため、フロンタンク2とオートエアパージAAPとを接続する配管13にエアパージ用電磁弁SV−3を介装することで、最適な制御によるエアパージが可能となり、大気中へのフロン放出を極力抑制することができる。
(2)リサイクルフロン再生シーケンス制御(図5)
ステップ21では、真空ポンプ保護スイッチP−SWからの信号がOFFであるか否か、即ち、真空ポンプVPに接続された配管27内が正圧になっているか否かが判定される。そして、信号がOFFであればステップ22へと進み(OFF)、信号がONであればステップ31へと進む(ON)。ステップ31では、エラー表示が実行され、その後ステップ30へと進む。
ステップ22では、真空ポンプ用電磁弁SV−VP,真空開放用電磁弁SV−P及び真空ポンプVPが夫々ONされる。
ステップ23では、所定時間(例えば、5秒間)その状態が保持される。
ステップ24では、入力電磁弁SV−1及び再生用電磁弁SV−4が夫々ONされる。
ステップ25では、所定時間(例えば、10秒間)その状態が保持される。
ステップ26では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ27では、所定時間(例えば、180〜240秒間)その状態が保持される。
ステップ28では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ29では、真空ポンプ保護スイッチP−SWがOFFになってから所定時間経過したか否かが判定される。そして、所定時間経過したならばステップ30へと進み(Yes)、所定時間経過していなければ待機する(No)。
ステップ30では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、真空ポンプ用電磁弁SV−VP,真空開放用電磁弁SV−P及び真空ポンプVPを夫々ONすることにより、図6に示すようなフロン再生系統の一部に相当する真空引き系統が構成される。即ち、高圧フィッティング1に接続されたエアコンディショナの配管内を真空引きすることで、フロン回収後のエアコンディショナの配管内に残存する水分が除去され、ここにフロンを充填したときにその純度が低下することを抑制することができる。
また、入力電磁弁SV−1,再生用電磁弁SV−4及びコンプレッサ5を夫々ONすることにより、同図に示すように、フロンタンク2内のフロンは、システムオイルセパレータ3及びフィルタドライヤ4が介装された回路を循環するので、オイル、水分及び不純物が除去され、徐々にその純度が高くなり再生される。
さらに、フロン再生がある程度進んだ段階で、エアパージ用電磁弁SV−3がONされるので、必要に応じて、フロンタンク2の上部に存在する不凝縮ガスとしてのエアーが大気中に放出される。
(3)リサイクルフロン充填シーケンス制御(図7)
ステップ41では、充填用電磁弁SV−5がONされる。
ステップ42では、充填用電磁弁SV−5をONしてから規定充填時間経過したか否かが判定される。ここで、規定充填時間としては、エアコンディショナの種類にかかわらず、通常であればフロン充填が完了するであろうと考えられる時間に設定することが望ましい。そして、規定充填時間が経過したならば、何らかの原因によりフロンが充填できなかったと判断し、エラー処理をすべくステップ45へと進み(Yes)、充填用電磁弁SV−5がOFFされ、ステップ46でエラー表示が実行される。一方、規定充填時間が経過していなければステップ43へと進む(No)。
ステップ43では、ロードセル14からの重量信号に基づいて、エアコンディショナの種類に応じて予め設定した設定重量(フロン充填重量)だけフロンが充填されたか否かが判定される。そして、設定重量だけフロンが充填されたならばステップ44へと進み(Yes)、フロン充填が未完了であればステップ42へと戻る(No)。
ステップ44では、充填用電磁弁SV−5がOFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、充填用電磁弁SV−5をONすることで、図8に示すようなフロン充填系統が構成される。そして、フロンタンク2内のフロンは、その圧力を利用して、高圧フィッティング1に接続されたエアコンディショナのフロン充填口から充填される。このとき、フロン充填重量は、ロードセル14により計測したタンク重量の変化に基づいて制御される。
(4)リサイクル残ガス回収シーケンス制御(図9)
ステップ51では、入力電磁弁SV−1及び均圧用電磁弁SV−2が夫々ONされる。
ステップ52では、所定時間(例えば、5秒間)その状態が保持される。これにより、フロンタンク2と所定の配管の内部圧力が略等圧になる。
ステップ53では、均圧用電磁弁SV−2がOFFされる。
ステップ54では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ55では、所定時間(例えば、55秒間)その状態が保持される。
ステップ56では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ57では、バキュームスイッチV−SWからの信号がOFFになったか否か、即ち、配管内圧力が規定圧力に到達したか否かが判定される。そして、信号がOFFであればステップ58へと進み(OFF)、信号がONであれば待機する(ON)。
ステップ58では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、入力電磁弁SV−1及びコンプレッサ5を夫々ONすることで、図10に示すような残ガス回収系統が構成される。そして、配管中に残存しているフロンは、コンプレッサ5により圧縮され、システムオイルセパレータ3及びフィルタドライヤ4を介してフロンタンク2へと回収される。また、フロン回収がある程度進んだ段階で、エアパージ用電磁弁SV−3をONすることで、不凝縮ガスとしてのエアーがフロンタンク2へと回収されても、これが大気中に放出される。
(5)リサイクルオイル排出シーケンス制御(図11)
ステップ61では、フロンタンク2内圧力をシステムオイルセパレータ3に供給すべく、均圧用電磁弁SV−2がONされる。
ステップ62では、所定時間(例えば、5秒間)その状態が保持される。
ステップ63では、均圧用電磁弁SV−2がOFFされると共に、オイルドレン用電磁弁SV−7がONされる。
ステップ64では、所定時間(例えば、10秒間)その状態が保持される。
ステップ65では、作動中のオイルドレン用電磁弁SV−7がOFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、均圧用電磁弁SV−2がONされることで、図12に示すように、フロンタンク2とシステムオイルセパレータ3とが連通され、フロンタンク2内圧力がシステムオイルセパレータ3に供給される。そして、オイルドレン用電磁弁SV−7がONされることで、システムオイルセパレータ3に供給された圧力により、ここで分離されたオイルがオイルドレンボルトOTに排出される。
(6)オイル補充シーケンス制御(図13)
ステップ71では、オイル充填口24にオイル缶が接続されているか否かが確認される。そして、オイル缶が接続されていればステップ72へと進み(Yes)、オイル缶が接続されていなければ待機する(No)。
ステップ72では、低圧フィッティング22がエアコンディショナのフロン充填口(低圧側)に接続され、かつ、エアコンディショナが作動しているか否かが確認される。そして、両条件が共に成立していればステップ73へと進み(Yes)、両条件が共に成立していなければ待機する(No)。
ステップ73では、低圧ゲージ25からの出力が安定しているか否かが確認される。そして、出力が安定していればステップ74へと進み(Yes)、出力が安定していなければ待機する(No)。
ステップ74では、所定時間(例えば、30秒間)その状態が保持される。
ステップ75では、作動中のエアコンディショナを停止すると共に、低圧フィッティング22及びオイル缶を取り外す。
かかるシーケンス制御によれば、低圧フィッティング22をエアコンディショナのフロン充填口(低圧側)に接続すると共に、オイル補充口にオイル缶を接続した後、エアコンディショナを作動させると、そのコンプレッサ作動に伴い低圧側が負圧となり図14に示すように、オイル缶からコンプレッサにオイルが補充される。なお、エアコンディショナのコンプレッサに対するオイル補充は、リサイクルフロン回収シーケンス制御と同時に実行するようにしてもよい。この場合には、エアコンディショナを作動させなくとも、車両側からフロンを回収する回収圧力を利用して、オイル補充が実行される。このため、フロン回収とオイル補充とを並行かつ自動で実行することができ、作業時間の短縮及び作業労力の軽減を図ることができる。
(7)フロン補給シーケンス制御(図15)
ステップ81では、入力電磁弁SV−1がONされる。
ステップ82では、所定時間(例えば、10秒間)その状態が保持される。
ステップ83では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ84では、所定時間(例えば、60秒間)その状態が保持される。
ステップ85では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ86では、バキュームスイッチV−SWからの信号がOFFであるか否かが判定される。そして、信号がOFFであればステップ87へと進み(OFF)、信号がONであれば待機する(ON)。
ステップ87では、フロン補給、即ち、サービス缶からフロンタンク2へのフロン補給を継続する指示があるか否かが判定される。そして、フロン補給を継続する指示があればステップ81へと戻り(Yes)、フロン補給を継続する指示がなければステップ88へと進む(No)。
ステップ88では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、図16に示すように、サービス缶受口20にサービス缶を接続した後、入力電磁弁SV−1及びコンプレッサ5を夫々ONすると、サービス缶からフロンタンク2にフロンが補給される。そして、フロン補給がある程度進んだ段階で、エアパージ用電磁弁SV−3がONされ、必要に応じて、フロンタンク2の上部に溜まった不凝縮ガスとしてのエアーが大気中に放出される。
(8)フロン補充シーケンス制御(図17)
ステップ91では、補充用電磁弁SV−8がONされる。
ステップ92では、補充用電磁弁SV−8をONしてから規定補充時間経過したか否かが判定される。ここで、規定補充時間としては、通常であれば設定重量(例えば、50g)のフロン補充が完了するであろうと考えられる時間に設定することが望ましい。そして、規定補充時間が経過したならば、何らかの原因によりフロンが補充できなかったと判断し、エラー処理をすべくステップ95へと進み(Yes)、補充用電磁弁SV−8がOFFされ、ステップ96でエラー表示が実行される。一方、規定補充時間が経過していなければステップ93へと進む(No)。
ステップ93では、ロードセル14からの重量信号に基づいて、設定重量だけフロンが補充されたか否かが判定される。そして、設定重量だけフロンが補充されたならばステップ94へと進み(Yes)、フロン補充が未完了であればステップ92へと戻る(No)。
ステップ94では、補充用電磁弁SV−8がOFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、補充用電磁弁SV−8をONすることで、図18に示すようなフロン補充系統が構成される。そして、車両のエンジンを始動させると、車両側のコンプレッサの負圧を利用し、低圧フィッティング22に接続されたエアコンディショナのフロン充填口(低圧側)からフロンが設定重量補充される。このとき、フロン補充重量は、ロードセル14により計測したタンク重量の変化に基づいて制御される。
(9)再生クリーニングシーケンス制御(図19)
ステップ101では、入力電磁弁SV−1及び再生用電磁弁SV−4が夫々ONされる。
ステップ102では、所定時間(例えば、10秒間)その状態が保持される。
ステップ103では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ104では、所定時間(例えば、180〜240秒間)その状態が保持される。
ステップ105では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ106では、所定時間(例えば、20分間)その状態が保持される。
ステップ107では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、入力電磁弁SV−1,再生用電磁弁SV−4及びコンプレッサ5を夫々ONすることで、図20に示すようなフロン再生系統が構成される。そして、リサイクルフロン再生シーケンス制御と同様な過程を経て、フロンタンク2内のフロンからオイル,水分及び不純物が除去され、その再生が実行される。フロン再生がある程度進んだ段階で、エアパージ用電磁弁SV−3がONされ、必要に応じて、フロンタンク2から不凝縮ガスとしてのエアーが大気中に放出される。
(10)再生残ガス回収シーケンス制御(図21)
ステップ111では、入力電磁弁SV−1がONされる。
ステップ112では、所定時間(例えば、5秒間)その状態が保持される。
ステップ113では、コンプレッサ5がONされる。
ステップ114では、所定時間(例えば、60秒間)その状態が保持される。
ステップ115では、エアパージ用電磁弁SV−3がONされる。
ステップ116では、バキュームスイッチV−SWからの信号がOFFであるか否かが判定される。そして、信号がOFFであればステップ117へと進み(OFF)、信号がONであれば待機する(ON)。
ステップ117では、作動中の全ての電磁弁及びコンプレッサ5が夫々OFFされる。
かかるシーケンス制御によれば、図9及び図10に示すリサイクル残ガス回収シーケンス制御と同様に、配管内に残存するフロンがフロンタンク2へと回収される。
(11)真空引きシーケンス制御(修理工場モード)
修理工場では、エアコンディショナを修理,取り付け又は交換したとき、その配管内の水分を除去することが望ましい。即ち、エアコンディショナを修理したときなどには、その配管内に大気が入り込むので、空気中の水分も同時に入り込んでしまう。そして、この状態のままフロンを充填すると、配管内の水分によりフロンの純度が低下し、エアコンディショナの能力が低下してしまうおそれがある。そこで、図22に示すように、真空ポンプ用電磁弁SV−VP,真空開放用電磁弁SV−P及び真空ポンプVPを夫々ONし、高圧フィッティング1に接続されたエアコンディショナのフロン充填口(高圧側)からその内部のエアーを吸引する。
(12)フロン再生シーケンス制御(修理工場モード)
エアコンディショナの配管から水分を除去すべく、前述の真空引きシーケンス制御を行うと共に、フロン再生シーケンス制御を並行して連続実行するようにする。即ち、修理工場では、フロンタンク2内のフロンをエアコンディショナに充填する前に、これを再生する必要がある。このため、図5に示すリサイクルフロン再生シーケンス制御と同様な処理により、図23に示すようなフロン再生系統を構成し、フロンタンク2内のフロンを再生できるようにする。
(13)フロン充填シーケンス制御(修理工場モード)
前記(12)のフロン再生シーケンス制御に続いて、図7に示すリサイクルフロン充填シーケンス制御と同様な処理により、図24に示すようなフロン充填系統を構成し、フロンタンク2からエアコンディショナにフロンを充填する。
(14)フロンリフレッシュ制御モード
エアコンディショナのフロンは、長年の使用に伴い水分及び不純物などが混入するため、その純度が徐々に低下し、空調能力が徐々に低下する。このため、適切な時期にフロンから水分などを除去し、空調能力を回復させることが望ましい。そこで、エアコンディショナのフロン回収,再生及び充填を自動で行うべく、前述したリサイクルフロン回収シーケンス制御,リサイクルフロン再生シーケンス制御,リサイクル充填シーケンス制御,リサイクル残ガス回収シーケンス制御及びオイル排出シーケンス制御を、順次実行する制御モードを備えるようにする。なお、必要に応じて、リサイクル充填シーケンス制御の後に、フロン補充シーケンス制御を追加実行するようにしてもよい。
(15)フロン充填制御モード(修理工場モード)
修理工場では、エアコンディショナの修理などをした後に、その配管内から水分を除去すると共に、再生したフロンを充填する作業を自動で実行できるようにすることが望ましい。このため、フロン再生シーケンス制御,フロン充填シーケンス制御及びオイル排出シーケンス制御を、順次実行する制御モードを備えるようにする。
以上説明したエアコンディショナ用のフロン回収・再生・充填装置によると、高圧フィッティング1及び低圧フィッティング22をエアコンディショナのフロン充填口に接続し操作パネルを操作すると、フロンを大気中に放出させずに、エアコンディショナのフロンを自動的に回収,再生及び充填することができる。このため、作業時間の短縮、作業者労力の軽減などを図ることができる。
そして、エアコンディショナの高圧側からフロンを回収するとき、その低圧側に接続される低圧フィッティング22直下のオイル補充口24にオイル缶を接続するようにすれば、エアコンディショナのコンプレッサにオイルを自動的に補充することができる。即ち、高圧フィッティング1からフロンを回収すると、エアコンディショナの低圧側が負圧となることから、その回収圧力を利用してオイル缶からコンプレッサにオイルが補充される。このとき、オイル補充系統には、オイル補充方向に所定圧力が作用したときのみ開弁する逆止弁CV−Oilが介装されているため、オイル補充口24にオイル缶が接続されていないときには、低圧フィッティング22に接続された配管23内が大気開放されることが防止される。
また、フロンタンク2上部に溜まったエアーは、エアパージ用電磁弁SV−3が定期的に開閉されることで、定期的に大気中に放出される。このとき、フロンタンク2のパージポート2Bに接続された配管13には、フロンタンク内圧力と基準圧力との圧力差が所定値以上になったときに開弁するオートエアパージAAPが介装されているので、最適な制御によりエアパージが可能となる。そして、基準圧力を定めるべくオートエアパージAAPに内蔵されるフロンは、配管12を介してコンプレッサ5から供給されるフロンとの間で熱交換が行われるため、雰囲気温度に応じた温度補償がなされる。このため、雰囲気温度が変化しても、オートエアパージAAPが誤動作して開弁することを防止できる。
さらに、高圧フィッティング1直下にエアー保護スイッチC−SWを接続し、これがONになったときのみエアコンディショナからフロンを回収するようにしたので、車両側のエアコンディショナにフロンがなかったり、ホースに弛みや亀裂があるときには、フロン回収が行われないようにすることができる。このため、車両側から不凝縮ガスとしてのエアーの混入が防止され、例えば、フロンタンク2内圧力が不必要に上昇することを防止できる。
その他、高圧フィッティング1直下に高圧ゲージ7が、低圧フィッティング22直下に低圧ゲージ25が夫々接続されているため、各作業を行う前後にホースを接続したままの状態でエアコンディショナを作動させると、その高圧側及び低圧側のフロン圧力を計測することができる。このため、ホースを繋ぎ直さなくとも、エアコンディショナの診断が可能となり、作業時間の短縮及び作業労力の軽減を図ることができる。
また、エアコンディショナの種類に対応したフロン充填重量が自動的に充填されるので、規定通り充填されたか否かを目視により確認する必要がなく、面倒で手間がかかる作業が不要となり、熟練者でなくとも容易に作業を行うことができる。そして、フロン充填重量を計測するためにロードセルを採用したことで、高精度のフロン充填が可能となり、フロン充填不足は勿論のこと、フロン充填過度も防止でき、フロン缶からの充填と比較しても経済的である。
このとき、図2に示すように、下面が略水平面上に延びる上部部材15A及びフロンタンク2が載置固定される下部部材15Bを有する架台15を、上部部材15Aの下面に配設したスプリング,ゴムなどの弾性体16を介して、床面や各種装置の筐体などのフレームに固定されたロードセル14の上面に連結して吊り下げた構成となっているため、重量測定精度を確保しつつ、ロードセル14の耐衝撃性を向上させることもできる。即ち、架台15の上部部材15Aの下面に弾性体16が配設されているため、架台15が傾いても、その傾きが弾性体16により吸収され、重量を計測するロードセル14の上面に対して荷重が略垂直に作用する。このため、架台15の傾きにかからわず、フロンタンク2の重量が高精度に測定可能となる。また、架台15に振動などの衝撃が発生しても、上部部材15Aの下面に配設された弾性体16により衝撃が緩和されるので、ロードセル14に直接伝達される衝撃が大幅に軽減する。このため、衝撃によるロードセル14の重量計測精度の低下が抑制され、保守点検に要する労力が軽減される。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明に係る空調機器用フロンの回収・再生・充填装置及び空調機器潤滑用オイルの補充方法は、空調機器からフロンを回収するときに、その回収圧力を利用してオイルが自動的に補充されるため、熟練作業者でなくともオイル補充を容易かつ迅速に行うことができ、極めて有用なものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機器のフロン充填口の高圧側に対して着脱自由に接続される高圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ第1の配管に、システムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及び該システムオイルセパレータの熱交換部を少なくとも介装すると共に、所定部位に配管開閉装置を介装したフロン回収系統と、
前記フロンタンクから出て該フロンタンクに戻る第2の配管に、前記フロン回収系統と共通の前記システムオイルセパレータのオイル分離部,前記フィルタドライヤ,前記コンプレッサ及び該システムオイルセパレータの熱交換部を少なくとも介装すると共に、所定部位に配管開閉装置を介装したフロン再生系統と、
前記フロンタンクと前記高圧側コネクタとを繋ぐ第3の配管の所定部位に少なくとも配管開閉装置を介装したフロン充填系統と、
前記空調機器のフロン充填口の低圧側に対して着脱自由に接続される低圧側コネクタと前記フロンタンクとを繋ぐ第4の配管の所定部位に少なくとも配管開閉装置を介装したフロン補充系統と、
を備えた空調機器用フロンの回収・再生・充填装置であって、
前記第4の配管に、所定圧力が作用すると開弁する逆止弁を介してオイル補充口を接続したことを特徴とする空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項2】
前記フロンタンクのパージポートに接続された第5の配管に、該第5の配管を定期的に開閉する第1の開閉装置、及び、該フロンタンク内圧力と基準圧力との圧力差が所定値以上になったときに開弁する第2の開閉装置を直列介装したことを特徴とする請求の範囲第1項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項3】
前記基準圧力は、前記フロンタンクに回収されるフロンの温度に応じて温度補償されることを特徴とする請求の範囲第2項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項4】
前記高圧側コネクタ近傍に、配管内圧力が所定範囲にあるか否かを検出する圧力検知装置を接続し、該圧力検知装置により配管内圧力が所定範囲にあることが検出されたときに、前記フロン回収系統によるフロン回収を実行する制御装置を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項5】
前記高圧側コネクタ近傍に、配管内圧力を検出する第1の圧力検出装置を接続すると共に、前記低圧側コネクタ近傍に、配管内圧力を検出する第2の圧力検出装置を接続したことを特徴とする請求の範囲第1項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項6】
空調機器の種類に対応したフロン充填重量を設定するフロン充填重量設定装置と、前記フロンタンクの重量を測定するスケールからの出力に基づいて実際のフロン充填重量を検出するフロン充填重量検出装置と、実際のフロン充填重量が設定されたフロン充填重量になったときに、前記フロン充填系統によるフロン充填を停止する停止装置と、を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項7】
前記スケールは、下面が略水平面上に延びる上部部材及びフロンタンクが載置固定される下部部材を有する架台を、該上部部材の下面に配設した弾性体を介して、ロードセルの上面に連結して吊り下げ、前記フロンタンクの重量を測定することを特徴とする請求の範囲第6項記載の空調機器用フロンの回収・再生・充填装置。
【請求項8】
空調機器のフロン充填口の高圧側に対して着脱自由に接続される高圧側コネクタとフロンタンクとを繋ぐ配管に、システムオイルセパレータのオイル分離部,フィルタドライヤ,コンプレッサ及び該システムオイルセパレータの熱交換部を少なくとも介装すると共に、所定部位に配管開閉装置を介装したフロン回収系統により前記空調機器からフロンを回収するときに、該空調機器のフロン充填口の低圧側に対して着脱自由に接続される低圧側コネクタと前記フロンタンクとを繋ぐ配管に所定圧力が作用すると開弁する逆止弁を介して接続されたオイル補充口から、フロン回収圧力を利用して、前記フロン充填口の低圧側を経て前記空調機器にオイルを補充することを特徴とする空調機器潤滑用オイルの補充方法。

【国際公開番号】WO2004/063645
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507969(P2005−507969)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000057
【国際出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(000220745)東京貿易株式会社 (3)