説明

空調機

【課題】少量の水を使って漏水量が少なく、筐体内の洗浄対象に対してより積極的に、より確実に、より容易に、より均一な安定した洗浄を行えるようにし、清潔性の持続や機能(空気の清浄化、昇温、減温、換気、熱交換等)を容易に維持できる
【解決手段】この発明に係る空調機は、筐体5a内を筐体5a外の空気が通過するとともに、筐体5a内の洗浄対象である室内フィン熱交8を洗浄する空調機であって、水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部21と、このスチーム生成部21で生成したスチームを室内フィン熱交8に向けて開口され、スチーム生成部21で生成したスチームを吐出するスチーム吐出口20aを有すスチーム吐出体20と、を備え、スチームを空気と混合して100℃未満で室内フィン熱交8にあてるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筐体内を筐体外の空気が通過するとともに、筐体内の洗浄対象を洗浄する空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内に筐体外から空気を通過させて各種の機能(例えば空気の清浄化、昇温、降温、換気等)をなす空調機として、空気清浄機、エアコンの室内外機、冷蔵庫(庫内冷風循環)、オイルヒーター、温水ヒーター、換気扇(熱交換型、給排気型を含む)、温風ヒーター等が一般的に知られている。
このような空調機では、いずれも筐体外から空気とともに持ち込まれた空気中に含まれる汚れ成分等は、一部筐体内の各部(特に広大な表面積を有する熱交換器は顕著)に付着するため、清掃が困難で、経年使用で汚れ成分が堆積し、さらにはその汚れ成分が基となって菌類、微生物等が増殖したりする。
【0003】
例えば、もっとも代表的な空調機である家庭用、業務用及び車両用等のエアコンにおける室内外機内には、冷媒と空気との熱交換器としてプレートフィンチューブ熱交換器が一般的に組み込まれている。
このプレートフィンチューブ熱交換器は、冷媒配管内での冷媒と冷媒配管との熱伝達、冷媒配管、フィン及びそれらの間の熱伝導、フィン間の間隙をフィン面に沿って流れる空気とフィンとの熱伝達等の熱移動により、冷媒と空気との間で熱交換するものある。このプレートフィンチューブ熱交換器では、フィンを多層に積層して空気との接触面積を簡単に増大させることができ、効率よくコンパクトに熱交換できる利点がある。
【0004】
しかしながら、このプレートフィンチューブ熱交換器では、広大なフィンの面積を有するので、特に汚れの付着の点で下記の幾つかの問題点がある。
イ.例えば、空気によって運ばれる埃、油分、花粉、菌類及び微生物等が広大なフィン面に付着し易く、熱交換器として利用され冷媒の温度が低い場合(例えば冷房運転時の室内機側)、フィン面に空気中の水分が凝縮して付着し、形成された水膜によってさらに埃、油分、花粉、菌類及び微生物等が付着し易くなる。これらの付着物を除去しようとしてもフィン間の間隙が極端に狭く、あるいは手が届きにくいため、フィン面を直接的に清掃することは困難であり、経年使用に伴い付着物が増大する。
ロ.下流への液飛び等の防止のために、フィン表面に親水性や疎水性の機能を得るべく有機系の材料による表面コーティング材が施されている場合には、このコーティング材がフィン面に付着した菌類、微生物の栄養素となり、菌類、微生物が増殖する。その結果、フィン面に付着した様々な付着物と相俟って、フィン面と空気との間の熱伝達効率が低下する。
ハ.付着した埃、油分、花粉、及び増殖した菌類、微生物の一部が空気の流れでフィン面から脱離してエアコンの室内機等の筐体外へまき散らされて室内が非衛生となり、また付着し、増殖した菌類、微生物が吐き出す臭気成分、付着した埃、油分、花粉からの臭気成分が空気の流れで筐体外へ排出されて室内全体が臭くなる。
【0005】
これらの問題点は、筐体内で空気が通過する部位毎に原因や、掃除の困難さの等で多少の差異があるものの、フィン面に限らず、筐体内の空気が通過する他の部位でもほぼ共通する問題点である。
このため、従来からエアコンの室内機を主な対象として、下記に示す様々な解決策が提案されている。
従来技術1.
通常最も簡単で一般的な従来技術は、エアコンの室内機内へ流入する空気をプレフィルタで濾過する方法で、現状エアコンの室内機ではほぼ100%この方策が採られている。このようにすることで、空気に含まれる埃等の多くを除去してフィン面等に付着する量を減らすことができる利点がある。
また、プレフィルタに付着した埃等を自動的に吸引除去したりブラシ等を使って擦ってはぎ取る方策を常設したりして、プレフィルタのメンテナンスを軽減できるものもある。
【0006】
従来技術2.
また、より積極的にエアコン内のプレートフィンチューブ熱交換器を洗浄する方法として、スチームを使った方法が知られている(例えば、特許文献1)。
この特許文献1に記載された家庭用エアコンの室内機の洗浄装置は、スチーム吐出口と吸引口とを併設配置した部位をプレートフィンチューブ熱交換器の外部から被洗浄部位に当接しながら洗浄するもので、熱交換器を取り外すことなく洗浄できるという利点がある。
【0007】
従来技術3.
また、水等の洗浄液または空気を使って熱交換器を洗浄する方法も知られている(例えば、特許文献2)。
この特許文献2に記載された装置は、洗浄液や空気を吐出する吐出口と吸引する吸引口とを熱交換器を挟んで対向するように当接して配置し、吐出口と吸引口を同時に熱交換器の長さ方向へ移動させて洗浄するもので、洗浄液や汚れの飛散を防止しつつ洗浄でき、能率良く洗浄作業ができ、下部等に漏水養生等することなく洗浄できる利点がある。
【0008】
従来技術4.
また、発泡する洗浄剤を使って熱交換器を洗浄する方法も知られている(例えば、特許文献3)。
この特許文献3に記載された装置は、発泡させた洗浄剤を熱交換器に当接した吐出口から熱交換器に吐出し、その後吸引口を熱交換器に当接して吸引して、熱交換器内を除泡あるいは乾燥することで、熱交換器内部を洗浄するもので、洗浄作業が簡単且つ手軽に実施可能であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3315973号公報
【特許文献2】特開平4−306496号公報
【特許文献3】特開平9−61092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来技術1のものは、プレフィルタで空気の汚れの一部を濾過しているだけであり、特により微細な汚れ等はプレフィルタを通過し、フィン積層体におけるフィン面等空気が通過する各部位への汚れ等の付着防止の抜本的対策にはなってなく、フィン面等への汚れの堆積を抑制するだけで、積極的な防止、清掃とはならず、清潔性を持続することは困難であるという問題点があった。
また、プレフィルタの自動清掃をするものについても、フィン面等の汚れ防止ということでは何の対策にもなっていない。
また、プレフィルタの濾過能力をより上げるため、編み目をより細かくすることも対策として考えられるが、空気の通過時の圧力損失が増大し、また汚れ防止の点では編み目より細かい汚れは通過してしまい、やはり抜本的な対策ではなかった。
【0011】
また、前記従来技術2〜4のものは、いずれもプレートフィンチューブ熱交換器のフィン面を積極的に洗浄するものではあるが、下記のような幾つかの問題点がある。
イ.基本的に汚れが溜まってから洗浄することを前提としており、常時容易に洗浄できるものではない。そのため、期間を開けた洗浄とならざるを得ず、期間が経ってこびり付いた汚れは落ち難く、洗浄効果が期待できないか、より強い洗浄能力やより長い洗浄時間を要する。
ロ.結局人手に頼った洗浄であるので、プレートフィンチューブ熱交換器を均一に洗浄できる確実性は低く、洗浄したい場所を確実に洗浄できるとは限らず、安定した洗浄効果を得ることは困難である。
ハ.上記従来技術3のものでは、熱交換器をエアコンから取り外して実施することとしており手間がかかる他、洗浄液を液体のまま使うので大量に要し、その分漏液の可能性が高くなる。
【0012】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、少量の水を使って漏水量が少なく、筐体内の洗浄対象に対してより積極的に、より確実に、より容易に、より均一な安定した洗浄を行えるようにし、清潔性の持続や機能(空気の清浄化、昇温、減温、換気、熱交換等)を容易に維持できる空調機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る空調機は、筐体内を筐体外の空気が通過するとともに、筐体内の洗浄対象を洗浄する空調機であって、
水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部と、
このスチーム生成部で生成したスチームを前記洗浄対象に指向して吐出するスチーム吐出体と、を備え、
前記スチームを前記空気と混合して100℃未満で前記洗浄対象にあてるようになっている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の空調機によれば、スチーム生成部で生成したスチームを用いて筐体内の洗浄対象を洗浄するので、少ない水量で、筐体外への漏水量が少なく、労力少なく、確実性高く、頻繁に、洗浄対象を洗浄でき、筐体内の清潔性(防汚、防臭、防かび)の持続が容易となり、筐体内を通過する空気への臭気移りや汚れ移りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1によるエアコンの室内機の側断面図である。
【図2】図1のエアコンの室外機の側断面図である。
【図3】図1の室内機の正断面図である。
【図4】図1の室内機の部分平断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるエアコンの室内機を示す要部断面図である。
【図6】この発明の実施の形態3によるエアコンの室内機を示す要部断面図である。
【図7】この発明の実施の形態4によるエアコンの室内機を示す要部断面図である。
【図8】この発明の実施の形態5によるエアコンの室内機を示す要部拡大断面図である。
【図9】この発明の実施の形態6によるエアコンのラインフローファンを示す要部側断面図である。
【図10】図9のラインフローファンのA−A線矢視断面図である。
【図11】この発明の実施の形態7によるエアコンの室内機を示す平断面図である。
【図12】図11のB−B線に沿った矢視断面図である。
【図13】この発明の実施の形態8によるエアコンのスチーム吐出体を示す要部断面図である。
【図14】図13のスチーム吐出体を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による空調機であるエアコン1の室内機5の側断面図、図2は図1のエアコン1の室外機6の側断面図、図3は図1の室内機5の正断面図、図4は図1の室内機5の要部断面図である。
このエアコン1では、建物の側壁2の室内3側に配置された室内機5と室外4側に配置された室外機6とが側壁2で隔てられている。室内機5と室外機6との間は、内部を流体である熱媒体が流通する往復2本の銅製(他の材質でもよい)の熱媒体管7と1本の排水管19とで接続されている。側壁2には、熱媒体管7及び排水管19が貫通する側壁開口部2aが形成されている。
【0017】
室内機5の筐体5a内には室内フィン熱交8が収容され、室外機6の筐体6a内には室外フィン熱交9が収容されている。
室内フィン熱交8は、プレートフィンチューブ熱交換器であり、複数枚の薄い平板状の室内フィン8aが所定間隔で積層配置されたフィン積層体と、両端部が熱媒体管7に接続され、途中複数回折曲して室内フィン8aの面の垂直方向すなわち積層方向から貫通した室内熱交換媒体管8bとを備えている。例えば銅製の室内熱交換媒体管8bは、多層の室内フィン8aを貫通し、かつ例えば拡管(内圧をかけて管を拡大する)により室内フィン8aに密着している。なお、室内フィン8aは、厚み0.1mm程度のアルミニウム製で、ピッチは1mm程度が一般的である。
室外フィン熱交9は、室内フィン熱交8と同様の構成であり、複数枚の薄い平板状の室外フィン9aが所定間隔で積層配置されたフィン積層体と、両端部が熱媒体管7に接続され、途中複数回折曲して室外フィン9aの面の垂直方向すなわち積層方向から貫通した室外熱交換媒体管9bとを備えている。例えば銅製の室外熱交換媒体管9bは、多層の室外フィン9aを貫通し、かつ例えば拡管により室外フィン9aに密着している。なお、室外フィン9aも、室内フィン8aと同様に、厚み0.1mm程度のアルミニウム製で、ピッチは1mm程度が一般的である。
【0018】
室内機5の前面には、上部、下部、及び側部に通気可能な給気開口部12が形成された前面パネル11が設けられている。この給気開口部12を通じて、室内機5内に室内3の空気が流入し、また室内機5内の空気が室内3に排出される。
室内フィン熱交8への空気の流入側である、上面及び前面には、プレフィルタ13が着脱可能に覆われている。プレフィルタ13は、いわゆる網であり、全面にわたって通気性があり、大きな汚れの室内フィン熱交8内への進入を防止するためのものであり、取り外して清掃できるようになっている。プレフィルタ13は一般的に樹脂製が多いが金属製であってもよい。
【0019】
筐体5aの背面側の下部、即ち室内フィン熱交8を通過する空気の下流側には、円筒状の送風機であるラインフローファン14が設けられている。ラインフローファン14は、円筒面に対して所定の角度を有した翼である複数枚の送風翼14aが周方向に沿って所定間隔で多数枚配置されている。ラインフローファン14の軸の一端(図3において右側)には、ファンモーター14bが取り付けられている。このファンモーター14bの駆動により、送風翼14aは回転し、前面パネル11の給気開口部12を通じて筐体5a内に吸引された室内3の空気は、室内フィン熱交8を通過した後、送出風路18を通って送出口53から室内3に戻る。
送出口53にはモーター(図示せず)の駆動により角度が変更される風向フラップ15が設けられており、この風向フラップ15の角度を変更することで、空気は所望の角度で室内3内に送出される。
【0020】
室内フィン熱交8からラインフローファン14までの風路の背面側の背面風路壁17の下部には、排水部である溝形状の排水パン16が形成されている。この排水パン16は、筐体5aの奥壁、左右の側壁及び室内フィン熱交8の下側を通って囲っており、背面風路壁17の表面で凝縮し滴下した凝縮水、及び室内フィン熱交8の内部で凝縮し滴下した凝縮水を受け止める。排水パン16の最下部には途上に排水パン排水弁16bが取り付けられた排水パン排水管16aが接続されている。排水パン排水管16aは凝縮水を室内機5の外へと導く排水管19に接続されている。排水管19は、熱媒体管7と同様な経路で側壁開口部2aを通って室外機6に接続されている。
【0021】
室内機5の筐体5a内には、室内フィン熱交8の空気の下流側に、室内フィン8aの積層方向から見て逆L字形をした中空のスチーム吐出体20が設けられている。この水平方向に移動可能なスチーム吐出体20には、室内フィン熱交8及び排水パン16に向けてスチームが吐出する多数のスチーム吐出口20aが一定の間隔をあけて形成されている。スチーム吐出口20aと室内フィン熱交8の端面とは一定の距離(例えば10mm)離間している。
【0022】
スチーム吐出体20と室内フィン熱交8とを一定の距離離間させることで、スチーム吐出口20aから吐出する前のスチームの温度が例えば120℃であっても、室内フィン熱交8にあたる際には途上の空気と混合して100℃未満に温度降下する。
また、スチーム吐出口20aから吐出するスチームは、空気中を拡散するので、室内フィン熱交8に衝突する際には拡がって衝突し易くなる。即ち、洗浄斑が少なくなり、また1つのスチーム吐出口20aがカバーできる室内フィン熱交8の面積が増え、スチーム吐出体20にスチーム吐出口20aを設けるピッチを大きくすることができ、スチーム吐出体20の製造が容易となる。
【0023】
室内機5の筐体5a内の片側下部には、ニクロム線等のヒーター(図示せず)により水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部21が設けられている。このスチーム生成部21は、逆止弁26が取り付けられた給水管23を介して水タンク22と接続されている。この逆止弁26は、スチームがスチーム生成部21で生成中には内圧や重力で給水管23を閉じて、スチームが水タンク22へ逆流するのを防いでいる。筐体5a内のスチーム生成部21の近傍には、空気ポンプ24が設けられている。
この空気ポンプ24は、空気管25を介して水タンク22と接続されている。空気ポンプ24の駆動により、空気が空気管25を通じて水タンク22に送られ、水タンク22内では、この空気の圧力及び体積が増加し、水タンク22内の水がスチーム生成部21に給水管23を通じて移動する。
【0024】
水タンク22には、螺着された蓋(図示せず)が設けられている。水タンク22内への水の補給は、この蓋を開けて、別の容器から水タンク22内に給水すればよい。この場合、給水管23及び空気管25が予め蓋に取り付けられているので、蓋の取り外しと同時に給水管23及び空気管25が水タンク22から切り離され、水タンク22内への水の補給作業性は向上する。
【0025】
スチーム生成部21には、可撓性の第1のスチーム管21aの一端部が接続されている。第1のスチーム管21aの他端部は、スチーム管ロール34が接続されている。このスチーム管ロール34には、一端部がスチーム吐出体20と接続された可撓性の第2のスチーム管21bの他端部が接続されている。
スチーム管ロール34は有底円筒形状であり、この周側面には、第2のスチーム管21bの一端部が貫通している。スチーム管ロール34の内部には、弾性バネ(図示せず)が組み込まれており、この弾性バネの弾性力により、第2のスチーム管21bは、スチーム管ロール34に巻き取られるように付勢されている。第2のスチーム管21bの全長は、スチーム吐出体20の水平方向への走査に伴い、スチーム管ロール34とスチーム吐出体20との間で生じる距離の変化に追随できる長さである。
また、スチーム管ロール34の回転軸の端部には、第1のスチーム管21aの先端部が接続されている。この第1のスチーム管21aの全長は、スチーム管ロール34が回転することによる捻れを吸収できる余裕のある長さである。
なお、第1のスチーム管21aの全長も、第2のスチーム管21bと同様にスチーム管ロール34に巻き取られるように余裕のある長さにしてもよい。また、第1のスチーム管21aの他端部を、スチーム管ロール34の回転軸の端部にスチームが洩れない程度に回転自在に接続するようにしてもよい。
【0026】
スチーム吐出体20の反室内フィン熱交8側には、断面コの字状の誘導体20dが設けられている。誘導体20dは、主に、滴下し、または跳ね返された凝縮水を背面風路壁17の下部、または室内フィン熱交8の下側に設けた排水パン16に誘導する。この誘導体20dは、図4に示すように、対向した側壁面のそれぞれの先端部が室内フィン熱交8の室内フィン8aの端面近傍まで延びており、室内フィン熱交8に衝突して跳ね返されるスチームや凝縮水が周囲へ飛散することを抑制している。
【0027】
室内フィン熱交8の空気の上流側では、室内フィン熱交8を挟んでスチーム吐出体20に対向して、室内フィン8aの積層方向から見て逆L字形の中空の吸引体27が設けられている。吸引体27の途上には、スチームと空気、及び固形汚れや凝縮水を吸引するように室内フィン熱交8に向けて開口された多数の吸引口27aが形成されている。
なお、この実施の形態では吸引口27aは個別の開口穴であるが、吸引体27の長手方向に沿ったスリット状の開口部でもよい。
【0028】
スチーム吐出体20及び吸引体27は何れも、図3に示すように、室内フィン熱交8の正面から視て一部分のみにスチームを吐出しあるいは吸引するように構成されている。
スチーム吐出体20及び吸引体27は、室内フィン熱交8を挟んで走査機構により水平方向に走査し、室内フィン熱交8に沿った全面にスチームを吐出しあるいは吸引できるようになっている。
スチーム吐出体20の走査機構は、室内フィン熱交8を通過する空気の下流側で水平に延びて設けられた丸棒状の第1の駆動レール28と、この第1の駆動レール28が螺合して貫通しているとともにスチーム吐出体20と一体の第1の支持体20bとを備えている。
【0029】
第1の駆動レール28は、筐体5aに固定された第1の駆動レール支持部28bによって、両端部(端部にはネジ構造は無い)が回転可能に支持されている。なお、第1の駆動レール28の両端部と第1の駆動レール支持部28bとの間にはベアリング等を内蔵して第1の駆動レール28の回転をより円滑にするようにしてもよい。
背面風路壁17には、第1の駆動レール28と並行に延びた溝状の第1の案内レール29が形成されている。この第1の案内レール29には、スチーム吐出体20と一体の突起体20cが遊挿されている。
なお、背面風路壁17にスチーム吐出体20側に突出した突起状の第1の案内レールを形成し、この案内レールをスチーム吐出体20に形成した溝に遊挿するようにしてもよい。また、背面風路壁17にスチーム吐出体20側に並行に突出した一対の突起を形成し、この突起間の溝にスチーム吐出体20と一体の突起体を遊挿させてもよい。
【0030】
第1の駆動レール28と第1の支持体20bとは螺合しており、第1の駆動レール28を回転させることで、スチーム吐出体20が水平方向へ移動可能であり、また第1の駆動レール28の回転方向を変えることでスチーム吐出体20の水平方向の移動方向の変更が可能である。
スチーム吐出体20の水平移動の際には、突起体20cが第1の案内レール29に沿って摺動し、突起体20cが第1の案内レール29に係合しており、第1の駆動レール28の回転方向へスチーム吐出体20が同期して回転することはない。
従って、断面逆L字形状のスチーム吐出体20が室内フィン熱交8の室内フィン8aの端面に接触して、薄くて強度の低い室内フィン8aを変形する事態が防止され、またスチーム吐出口20aと室内フィン熱交8の室内フィン8aの端面との離間距離を所定の範囲内に確保される。
【0031】
スチーム吐出体20の走査機構と同様に、吸引体27の走査機構は、室内フィン熱交8を通過する空気の上流側で水平に延びて設けられた丸棒状の第2の駆動レール30と、この第2の駆動レール30が螺合して貫通しているとともに吸引体27と一体の第2の支持体27bとを備えている。
第2の駆動レール30の一端部は、筐体5aに固定された第2の駆動レール支持部30bに回転可能に支持されている。第2の駆動レール30の他端部は、走査駆動モーター28aに接続されている。
なお、第2の駆動レール30の一端部と第2の駆動レール支持部30bとの間にはベアリング等を内蔵して第2の駆動レール30の回転をより円滑にしてもよい。
【0032】
第2の駆動レール30と第2の支持体27bとは螺合しており、第2の駆動レール30を回転させることで、吸引体27が水平方向へ移動可能であり、また第2の駆動レール30の回転方向を変えることで吸引体27の水平方向の移動方向の変更が可能である。
なお、第2の駆動レール30と並行に第2の案内レール31が第2の支持体27bを貫通して設けられているので、第2の駆動レール30の回転方向へ吸引体27が同期して回転することがなく、断面逆L字形状の吸引体27がプレフィルタ13を介して室内フィン熱交8の室内フィン8aの端面に接触して、薄くて強度の低い室内フィン8aを変形したり、プレフィルタ13を破損する事態は防止される。
なお、第2の案内レール31の代わりに、スチーム吐出体20の走査機構に用いた、第1の案内レール29及び突起体20cを用いて、第2の駆動レール30の回転方向へ吸引体27が同期して回転するのを防止するようにしてもよい。
また、この逆に第2の案内レール31をスチーム吐出体20の走査機構に用いてもよい。
【0033】
第1の駆動レール28及び第2の駆動レール30のそれぞれの端部には伝達輪32が取り付けられている。両伝達輪32には、伝達ベルト33が巻き掛けられ、第1の駆動レール28及び第2の駆動レール30とは同期して回転するようになっている。
従って、スチーム吐出体20と吸引体27とは、第2の駆動レール30に直結された一つの走査駆動モーター28aで、室内フィン熱交8を挟んで常に対向して水平方向に走査駆動する。
走査駆動モーター28aには、減速機が内蔵してあり、スチーム吐出体20と吸引体27とが水平方向へ走査速度が例えば20(cm/分)程度)の低速で走行が可能である。この走査速度は、室内フィン熱交8の水平方向の長さを60cmとすると、6分で1往復する走査速度である。
なお、連続的に走査するのではなく、走査駆動モーター28aの稼動を短時間でON/OFFして一定水平距離毎に断続的に走査するようにしてもよい。
【0034】
吸引体27には、可撓性で、スチーム、空気が流通可能な第1の吸引管35aの一端部が接続されている。第1の吸引管35aの他端部は、有底円筒形状の吸引管ロール36の周側面を貫通している。この吸引管ロール36の内部には弾性バネ(図示せず)が組み込まれており、この弾性バネの弾性力により、第1の吸引管35aは、吸引管ロール36に巻き取られるように付勢されている。第1の吸引管35aの全長は、吸引体27の水平方向への走査に伴い、吸引管ロール36と吸引体27との間で生じる距離の変化に追随できる長さである。
また、吸引管ロール36の回転軸の端部には、可撓性の第2の吸引管35bの先端部が接続されている。この接続部では、空気が外部から侵入しない程度に互いに密接している。第2の吸引管35bの全長は吸引管ロール36が回転した際の捻れを吸収できる長さである。
なお、第2の吸引管35bは、第1の吸引管35aと同様に、吸引管ロール36に巻き取られるようにしてもよい。
【0035】
室外機6の筐体6a内あるいは室内機5の筐体5a内では、熱媒体管7の途上に、圧縮機(図示せず)、膨張機(図示せず)等が取り付けられた、所謂ヒートポンプ機構が収納されている。
また、筐体6a内には、プロペラ型の室外送風機10が設けられており、室外4の空気を筐体6a内に取り入れ、室外フィン熱交9を通過した空気を室外4へ送出するようになっている。
室内機5と室外機6とを接続した排水管19は、第2の吸引管35bを兼用している。
排水管19の先端部は、室外機6内で気体と液体とに分離する気水分離槽37に接続されている。
この気水分離槽37は、内部に、流入、吸引した凝縮水、空気が衝突する邪魔板(図示せず)が設けられている。気水分離槽37の下部には、途上に排水弁38が取り付けられた排水管39が接続されており、気水分離槽37に溜まる水及び水中に含まれた汚れは、この排水管39を通じて室外機6の外へ排出される。気水分離槽37の上部には、途上に吸引機41が取り付けられた排気管40が接続されている。
【0036】
吸引機41の駆動により、吸引体27の吸引口27aから、スチーム、凝縮水及び室内フィン8a面から除去された汚れ等が気水分離槽37まで吸引され、主に空気は排気管40を通って室外機6外へ排出され、水分は主に気水分離槽37内に一旦溜まる。この水は、吸引機41の非駆動時に排水弁38を開けることで、気水分離槽37から排水管39を通じて室外機6の外へ排出される。
【0037】
吸引機41を駆動する吸引時には、吸引口27aからの吸引力を確保するため、排水弁38、排水パン排水弁16bは閉じておく。
一方、吸引機41を駆動しないときには、排水弁38及び排水パン排水弁16bを開けておき、冷房運転時に室内機5の内部で凝縮する凝縮水を常時垂れ流しで排水できるようにしておく。
なお、吸引機41の吸引力が充分大きな場合は、排水パン排水弁16bは設けず、吸引機41による吸引時には吸引口27aからだけでなく排水パン排水管16aからも空気及び排水パン16に向けて吐出されたスチーム、除去された汚れを常時吸引できるようにしてもよい。
【0038】
筐体6a,5a内に収納された、上記ヒートポンプ機構では、例えば、エアコン1が冷房運転時には、膨張機で膨張後の低温となった熱媒体が熱媒体管7を通じて室内熱交熱媒体管8bへ供給され、室内フィン熱交8を通過する空気を冷却する。この結果、加温された熱媒体は、圧縮機で圧縮され、高温となる。この熱媒体は、熱媒体管7を通じて室外熱交熱媒体管9bへ供給され、室外フィン熱交9を通過する際に熱を放出して冷却され、低温となる。熱媒体は、引き続き膨張機で膨張後低温となり、再び室内熱交熱媒体管8bに送られる。
この一連の動作サイクルにより、室内フィン熱交8を通過する空気の熱が室外フィン熱交9を通過する空気へと移動して、室内3の空気を冷やすことができる。
【0039】
次に、上記構成のエアコン1の洗浄動作について説明する。
なお、各図において、実線矢印はスチーム吐出体20のスチーム吐出口20aから吐出するスチームの移動方向を示し、波線矢印は吸引体27の吸引口27aで吸引される空気、水分の移動方向、排水方向を示している。
また、一点鎖線矢印(図4参照)は室内フィン熱交8から滴下し、また跳ね返される凝縮水の移動方向を示し、また二点鎖線矢印は空気の流れ方向を示す。
【0040】
エアコン1が送風、暖房または冷房として運転される間は、ラインフローファン14の駆動による送風翼14aの回転で、筐体5a内には給気開口部12を通って空気が流入し、送出風路18、送出口53を通じて外部に排出される。
これらの運転後に、室内機5の内部を洗浄するに当たり、まず空気ポンプ24を駆動させて水タンク22からスチーム生成部21へ水を供給する。次に、スチーム生成部21のヒーターに通電する。同時に、室外機6の筐体6a内の吸引機41を駆動する。
【0041】
スチーム生成部21内が充分に加熱され、スチームが所定量、スチーム吐出口20aから吐出することを、第1のスチーム管21a、第2のスチーム管21bまたはスチーム生成部21内に配置した圧力検知器(図示せず)で検知し、またはスチーム生成部21へのヒーターへの通電開始後の経過時間で検知した後、走査駆動モーター28aを駆動する。
走査駆動モーター28aの駆動により、第2の駆動レール30が回転し、同時に伝達輪32、伝達ベルト33、伝達輪32を介して第1の駆動レール28も回転する。
この結果、第1の駆動レール28に螺合したスチーム吐出体20、及び第2の駆動レール30に螺合した吸引体27は、室内フィン交8を挟んで常に対向して水平方向へ移動する。
なお、スチーム吐出体20及び吸引体27は、その初期位置及び走査終了時の位置は、図3において室内フィン熱交8の左端もしくは右端にあり、通常のエアコン1としての運転時の邪魔になることが少なく、またスチーム吐出体20、吸引体27自体に埃が溜まったりすることは抑制される。
【0042】
スチーム吐出体20、吸引体27は、室内フィン熱交8の一端部(初期位置)から水平方向の他端部まで移動すると、接点スイッチ(図示せず)に接触し、走査駆動モーター28aの回転方向が反転し、それまでとは逆方向へ移動し、一端部まで移動して接点スイッチ(図示せず)に接触して走査駆動モーター28aの駆動が停止する。同時に、スチーム生成部21への通電は停止する。
なお、走査駆動モーター28aの反転駆動と停止とを接点スイッチではなく単に経過時間で検知してもよい。また、スチーム吐出体20と吸引体27との走査は、水平方向に1往復ではなく数往復するようにしてもよい。
【0043】
スチーム生成部21への通電を停止しても残留圧があるために、即座にはスチーム吐出口20aからのスチームの吐出は止まらず、また排水管19内に水分、汚れが残留しないように一定時間吸引機41の駆動による吸引口27aからの吸引は続行する。
一定時間後に、排水パン排水弁16bを開けて排水パン16に溜まった凝縮水を吸引機41の駆動により気水分離槽37へ移動させ、その後一定時間後に吸引機41を停止させる。この後、排水弁38を開けて、気水分離槽37に溜まっている水分や汚れを排水管39から室外機6外へ排出する。
【0044】
スチーム吐出口20aから吐出するスチームは、走査速度に依って決まる一定の時間、室内フィン熱交8内の室内フィン8a、室内熱交熱媒体管8b及び排水パン16の外面に衝突し、付着している汚れを除去し拭き飛ばして、室内フィン熱交8内及び排水パン16を洗浄する。
一方、スチーム吐出口20aの対向面では、常にスチーム吐出口20aから吐出するスチームより多くの量を吸引口27aから吸引しており、スチームやスチームによって除去された汚れに加え、スチーム吐出体20や吸引体27の周囲の空気も同時に吸引される。
周囲の空気が吸引口27aに吸引されていることで、スチーム吐出口20aから吐出するスチームの周囲に空気の流れが生じており、空気とスチームとは混合され易くなり、室内フィン8a、室内熱交熱媒体管8bの外面に到達する際の温度は、スチーム吐出口20aから吐出された直後のスチームの温度より降下している。
【0045】
吸引口27aから吸引された、空気、スチーム、汚れ、凝縮水等の混合物が、気水分離槽37まで達すると、主に液体層と気体層(100%気液分離はできないので、特に気体層側には水滴が含まれる他、液体層中には水に溶けた汚れた固形物を含有している)に分離され、主に空気は排気管40から室外機6外へ排出され、水は吸引機41停止後に排水弁38を開けて排水管39から室外機6外へ排出される。このとき排水管39は建物の廻りの雨水溝や下水へ接続しておくことが好ましい。
【0046】
スチーム吐出体20及び吸引体27を走査しながら室内フィン熱交8に向けてスチーム吐出口20aからスチームを吐出して、室内フィン8a及び室内熱交熱媒体管8bの外面を洗浄した後、エアコン1としての運転を室内3を暖房する運転に切り替えて一定の時間、室内熱交熱媒体管8bに温度の高い熱媒体を流通させ、室内フィン熱交8内に付着して残っている残水滴を蒸発させる。
【0047】
なお、水タンク22に充分な水が無かった場合は、例えば空気ポンプ24は一定時間運転してもスチーム生成部21には充分な水が供給されず、スチーム吐出は途中で止まってしまう。
このような不都合が生じないようにするため、熱電対やサーモスタット等の温度検知器(図示せず)でスチーム生成部21の過熱を検知して、スチーム生成部21への通電を停止し、水タンク22への給水を促すよう表示やブザーで使用者に通知するようになっている。
但し、スチーム吐出体20のスチーム吐出口20aからのスチームの吐出は止めても、吸引体27の吸引口27aからの吸引と、スチーム吐出体20及び吸引体27の走査だけを続行させてもよい。少なくとも空気の吸引だけによる清掃効果は期待できる。
【0048】
このように、このエアコン1は、複数のスチーム吐出口20aが形成されたスチーム吐出体20を室内機5の筐体5a内に設置して、空調運転終了後にスチームを室内フィン熱交8及び排水パン16に向けて吐出する。
従って、洗浄に少ない水量で済み、室内機5外への漏水が少なく、労力が少なく、頻繁に、室内フィン熱交8及び排水パン16を高い確実性で洗浄できる。
この結果、室内フィン熱交8内、排水パン16の清潔性(防汚、防臭、防かび)の持続が容易となり、室内機5内を通過する空気への臭気移りや汚れ移りを抑制でき、空気への臭い移りがないことでエアコン1を長期にわたって使用することができ、廃棄時期を延長できる。
また、洗浄する際に水のみを使用し洗剤等は使用しないので環境負荷を軽減できる。
また、室内フィン8aの表面を洗浄するので、室内フィン8aの表面に汚れが堆積し難く、室内フィン熱交8を通過する空気との熱交換能力を維持できる。
また、室内フィン8aの表面は、空気中に含まれる異物(例えば臭い成分)の付着面として活用でき、室内フィン熱交8に空気清浄の機能を持たせるとともに、空気を清浄する能力を持続できる。
【0049】
また、スチーム吐出体20には、空調運転時に室内フィン熱交8を通過する空気の流れの上流方向に向けてスチームを吐出するようにスチーム吐出口20aを形成したので、スチームの吐出方向が空調運転時の空気の流れとは逆行し、スチームが室内フィン熱交8内の室内フィン8aへの汚れの付着方向とは異なり、汚れが落ち易い。
また、吸引体27の吸引口27aは、室内フィン熱交8を挟んでスチーム吐出口20aに対向して形成し、吸引機41の駆動により、吸引口27aを通じて、空気、スチーム、汚れ、凝縮水等の混合物が吸引されるので、洗浄対象である室内フィン8a、室内熱交熱媒体管8bの表面から除去した汚れが周囲へ飛散することが抑制され、洗浄対象以外への汚れの再付着や室内機5外への漏水が抑制される。
【0050】
また、吐出するスチームより多くの量の気体を吸引口27aから吸引するので、スチームの周囲に空気の流れが形成され、特に室内フィン8aへ接触する際の温度を抑制でき、室内フィン8a及び室内熱交熱媒体管8bの表面に親水や疎水のコーティング材が施されてあっても、コーティング材が高温で融けたり、変形したりまた剥がれたりする等の事態が抑制される。
また、吸引機41は、室内機5外である室外機6内に設置されているので、室内機5を小型化、軽量化でき、また吸引時における室内3の騒音を抑制できる。また、1台の室外機6に対して複数の室内機5を有する、所謂マルチ型のエアコンであるときに、1台の吸引機41で複数の室内機5内から空気、スチーム、汚れ、凝縮水等の混合物を吸引することを共用できる。
【0051】
また、室内機5と室外機6とを接続する排水管19は、吸引口27aから吸引機41の駆動により吸引する第2の吸引管35bを兼用したので、室内機5の筐体5a内、室外機6の筐体6a内における第2の吸引管35b用のスペースを省略でき、また側壁開口部2aも小さくてよい。
また、排水管19内の水滴、汚れ等が吸引時に吸引されることで、排水管19内に水滴、汚れ等が残り難く、排水管19内が汚れ、微生物繁殖等で閉塞することが抑制される。
また、誘導体20dは、スチーム吐出体20の反スチーム吐出方向側に設けられ、排水パン16へ凝縮水を誘導したので、スチーム吐出口20aからスチームを吐出した際にスチーム吐出口20a近傍で凝縮した水が周囲へ飛散し、また下方へ垂れたりすることが抑制される。
【0052】
また、スチーム吐出体20は、室内フィン熱交8の水平方向へ走査して、室内フィン熱交8全体が洗浄されるので、小さなスチーム吐出体20で広範囲を洗浄でき、スチーム吐出口20aから吐出するスチームの、時間当たりの吐出量、即ちスチームを生成するための時間当たりのエネルギーを抑制しながら、室内フィン熱交8、排水パン16を洗浄でき、またスチーム生成部21が小型化される。
また、スチーム吐出体20を固定している場合に比べ、スチーム吐出口20aから吐出するスチームが衝突し難い死角が低減され、より安定した洗浄斑の少ない洗浄効果を得ることができる。
【0053】
また、水タンク22からスチーム生成部21に水を移動する場合、給水管23の途上に給水ポンプを設けるのがもっとも一般的に考えられる方法である。
しかしながら、この方法では、給水管23に空気が入り込んだ場合、給水能力が悪くなり、給水できなくなるか、給水の時間が長くなる問題があった。
これに対して、密閉した水タンク22内に空気ポンプ24で空気を供給して水タンク22内の水をスチーム生成部21へ移動したので、水タンク22への給水時等に給水管23に空気が入っても給水の時間が長くなったり、給水できなくなったりすることはない。
また、水タンク22の設置位置(スチーム生成部21との上下位置関係)に依らず、水を確実にスチーム生成部21へ供給できる。
【0054】
また、エアコン1は、室内フィン熱交8に向けてスチームを吐出して洗浄した後に、室内を暖房する運転とし、室内熱交熱媒体管8b内に温度の高い熱媒体を流通させるようにしたので、室内フィン熱交8内は短時間に確実に乾燥され、室内フィン熱交8内での微生物の繁殖が抑制される。
【0055】
なお、この実施の形態では、室外フィン9aの積層方向から見た形状は、長方側を垂直に配置した矩形形状であり、室内フィン8aの積層方向から見た形状は、前部側(図1において右側)が垂直で上部側が水平な逆L字形状であるが、それぞれこの形状に限定されるものではなく、傾斜した配置であってもよい。特に、室内フィン8aの積層方向から見た形状をラインフローファン14を囲うように配置した逆V字型や逆コの字型などとし、背面側の端部がラインフローファン14寄りに近接させて背面風路壁17がほとんど無いようにしておくと、無駄な空間が減って室内機5を小さくできる。
また、この実施の形態では、開口部に経年使用で埃等が堆積するのを避け、外観の見栄えを良くするために、開口部が無く通気性のない前面パネル11を用いたが、前面パネル自体に通気性のあるスリット等の開口部が設けてあってもよいのは勿論である。
また、風向フラップ15は水平に伸びた1枚のみとしているが、複数枚備えたり、板を垂直に配置した複数のフラップを別途備え、左右方向への風向を調節できるようにしたりすることも一般的にエアコンの室内機では実施されている。
また、排水パン16には複数ヶ所で排水パン排水管16aを接続されていてもよい。
また、スチーム生成部21内の水の加熱方法は、ニクロム線ではなく、スチーム生成部21内に電磁誘導加熱可能な金属部材を備えて、スチーム生成部21の周囲に配置した誘導コイルに通電することにより電磁誘導加熱するようにしてスチームを生成してもよい。
【0056】
また、吸引体27からの第1の吸引管35a及びスチーム吐出体20への第2のスチーム管21bは、曲折自在な可撓性の材質で構成し、吸引体27、スチーム吐出体20が水平方向へ走査した時に吸引管ロール36、スチーム管ロール34に巻き取ることで長さを調整したが、第1の吸引管及び第2のスチーム管は、例えば掃除機の吸引管のように、それぞれ蛇腹構造で伸縮性を有するようにすることで、吸引管ロール36、スチーム管ロール34を削除することができ、室内機5がよりコンパクト化される。
【0057】
また、エアコン1としての運転停止時に一定の時間スチーム吐出口20aからスチームを吐出して室内フィン熱交8、排水パン16を自動で洗浄するようにしているが、エアコン1としての運転が既に停止中の任意の時間に、使用者がリモコン等の釦操作によりエアコン1の洗浄を開始指示するようにしてもよい。
また、エアコン1としての毎運転後ではなく、室内機5内を空気が通過した一定積算経過時間後のエアコン1の運転後に、上記の洗浄をするようにしてもよい。
【0058】
また、スチーム生成部21は、室内機5内に固定されているが、スチーム吐出体20と一体で走査するようにしてもよい。
また、スチーム吐出体は、ヒーターを具備してスチーム生成部を兼用することで、室内機5がよりコンパクト化される。
また、水タンク22は、室内機5外に配置したが、室内機5の内部に配置してもよい。 また、給水が必要なときにワイヤ(給水管23や空気管25がこのワイヤを兼用していてもよい)等で吊られた水タンク22が室内機5内から排出されるようにしてもよい。
【0059】
また、この実施の形態では、スチーム吐出口20aは、室内フィン熱交8、排水パン16に向けて開口しているが、スチーム吐出体20を背面風路壁17に沿ってコの字状に延伸してスチーム吐出口20aを背面風路壁17にも向けて開口して、背面風路壁17も洗浄するようにしてもよい。より一層、室内機5内を通過する空気への臭気移り、汚れ移りが抑制される。
スチーム吐出体20をさらにラインフローファン17の送風翼14a側に向けて延伸し、送風翼14aの円周方向の一部に向けてスチームを吐出するスチーム吐出口20aを形成し、ラインフローファン14を回転しながら、送風翼14aを洗浄するようにしてもよい。送風翼14aに汚れが堆積し難くなり、より室内機5内を通過する空気への臭気移り、汚れ移りが抑制される他、ラインフローファン17の送風効率が維持され、また汚れ付着による回転時のアンバランスによる騒音増加が軽減される。
【0060】
また、室内フィン熱交8を通過する空気の下流側にスチーム吐出体20を、上流側に吸引体27を配置したが、スチーム吐出体20を上流側に、吸引体27を下流側に配置していてもよい。スチーム吐出方向が空気の通過方向と異なることにより汚れが取れ易い効果は無くなるものの、他の効果については同様な効果を奏する。
【0061】
また、プレフィルタ13は、吸引体27と室内フィン熱交8との間に配置されているが、吸引体27と前面パネル11との間に配置し、また給気開口部12に設けるようにしてもよい。但し、これらの場合には、スチーム吐出口20aから吐出するスチームがプレフィルタ13には衝突せずスチームによる洗浄ができないので、プレフィルタ13は別途取り外して清掃することが必要となる。
また、プレフィルタ13を削除し、または従来の空調機に比べて粗い編み目のプレフィルタであってもよい。室内フィン熱交8は頻繁にスチームで洗浄するので、プレフィルタ13が無い場合、または編み目が粗いプレフィルタを用いた場合でも大きな弊害は少ない。逆に、空気がプレフィルタ13を通過する際の圧力損失が低減され、ラインフローファン14を回転するための動力が低減される。
【0062】
また、この実施の形態では、室内フィン熱交8が主にスチームにより洗浄されるが、同様の構成により、室外フィン熱交9が洗浄されるようにしてもよい。
室外フィン熱交9の熱交換能力を持続できる等、室内フィン熱交8を洗浄する場合と同様な効果を奏する。特に、臨海部等では室外フィン9aが塩害で腐食することが知られているが、室外フィン熱交9を頻繁にスチームにより洗浄することで、室外フィン9aに付着した塩分は除去され、腐食の進行が抑制される。
また、室外フィン熱交9は、室内フィン熱交8より環境的に腐食性向がある(前述の塩分だけでなく、酸性雨等の影響もある)ので、室外フィン9aは室内フィン8aより分厚くする必要性があるが、室外フィン熱交9を頻繁に洗浄することで腐食を抑制できるので、室外フィン9aをより薄くすることができ、室外機6の小型化、軽量化が容易となる。 また、室外フィン熱交9はプレフィルタを備えず、汚れ等が通過するように室外フィン9aの積層ピッチは大きくすることがあるが、室外フィン熱交9を頻繁に洗浄するので、上記積層ピッチをより狭くしてもよくなり、その点でも室外機6の小型化が容易となる。
【0063】
また、この実施の形態では、排水管19は、吸引機41の駆動で吸引する第2の吸引管35bを兼用したが、第2の吸引管35bと排水管19とは別々に設けてもよい。側壁開口部2aが大きくなり、また排水管19の詰まりを抑制する効果は無いが、他の効果は同様に得られる。
また、水タンク22からスチーム生成部21へ給水するようにしているが、さらに室外フィン熱交9の下部に凝縮水を受ける排水パンとその排水パンから気水分離槽37に凝縮水を導く排水管を設けておき、気水分離槽37からスチーム生成部21へ給水するようにしてもよい。
室内3の冷房運転時は室内フィン熱交8から凝縮水が得られ、また室内3を暖房運転時の霜取り運転時に室外フィン熱交9に凝結した氷を溶かした際の凝縮水が得られ、スチーム源である水の確保が容易となり、洗浄対象をより頻繁に労力少なく洗浄でき、洗浄対象の清潔性の持続がより容易となる。
なお、室外フィン熱交9からの凝縮水を用いることなく、少なくとも室内フィン熱交8で生じる凝縮水をスチーム源の水として利用してもよいのは勿論である。
【0064】
また、スチーム源の水を凝縮水や水タンク22から給水するのではなく、水道からの配管を設けて給水するようにしてもよい。このようにすると常時確実に洗浄に必要な水を確保することができ、確実に頻繁に洗浄することができる。
また、この実施の形態では、室外機6の筐体6a内に気水分離槽37や吸引機41を設けるようにしたが、室外機6とは分離して配置するようにしてもよい。
また、吸引時の騒音等が許容されるのであれば室内機5の筐体5a内に気水分離槽37や吸引機41を配置するようにしていてもよい。ただしこの場合でも、排気管40や排水管39は室外4へ導かれ排気および排水できるようにしておくことが望ましい。
【0065】
また、この実施の形態では、第1の駆動レール28と第1の支持体20bとを螺合させて第1の駆動レール28を回転させることでスチーム吐出体20が水平方向へ移動する構成としたが、走査機構としてこの構成に限ったものではなく、他の構成であってもよい。 例えば、スチーム吐出体20にそれぞれ1本ないし並行して複数本のワイヤを接続しておき、このワイヤを(複数本の場合は同時に)移動方向の両端に配置した、例えば棒状のものに巻き取る(巻き取られる側の反対側では巻き戻される)ことでスチーム吐出体20を水平方向へ移動できる。このとき、第2の案内レール31様のものを第1の支持体20bを貫通して設けたり、突起体20cと第1の案内レール29様のものを設けて、スチーム吐出体20が水平方向へ摺動するようにして、水平方向以外への動きを拘束してスチーム吐出体20が水平方向以外へは動かないようにしておくことが望ましい。
【0066】
なお、吸引体27の走査機構についても同様の構成にして、スチーム吐出体20と吸引体27にそれぞれ接続されたワイヤを同一の棒状のものに巻き取るようにすると、室内フィン熱交8を挟んで常に対向した位置に配置しながらスチーム吐出体20と吸引体27とを水平方向へ移動することが容易にできる。また、ワイヤを移動方向の両端に配置した棒状のものに巻き取るようにするのではなく、スチーム吐出体20(または吸引体27)の移動したい方向(水平方向)の両端に接続したワイヤを1つの輪状に形成し、かつワイヤの表面に凹凸を設けたり、摩擦の大きい材質で形成して、ワイヤの途上に接触する回転体を設けて、この回転体を回転し、また回転方向を変えることで、スチーム吐出体20(または吸引体27)を水平方向に左右自在に移動できるようにしてもよい。
【0067】
また、この実施の形態では、室内フィン熱交8を挟んでスチーム吐出体20の常に対向した位置に吸引体27を配置しながら走査して吸引する構成としたが、走査する吸引体27は設けずに、給気開口部12や送出口53などに蓋(送出口53の場合、風向フラップ15が兼用してもよい)を設けるなどして室内機5の筐体5aの室内3に対する密閉性を高くして、筐体5a内の水平方向の左右側面側などに固定した吸引体27の吸引口27aから吸引するようにしてもよい。
このようにした場合、常にスチーム吐出体20の対向位置に配置する場合よりはスチームや汚れなどの筐体5a内への飛散は増えるが、筐体5a外へ飛散され難い効果は同様に得られる。また、巻き取るための吸引管ロール36は不要で、かつ巻き取られるための第1の吸引管35aの余剰な長さは不要となる。
【0068】
また、この実施の形態では、垂直方向に伸びたスチーム吐出体20を第1の案内レール29に沿って水平方向へ走査する構成で示したが、第1の案内レール29や第2の案内レール31のようにスチーム吐出体20が摺動できる案内レールを垂直方向に配置して、水平方向に伸びたスチーム吐出体20を垂直方向に走査するように構成してもよい。ただしこの場合、垂直方向への移動が曲線状に移動するのであれば、上述したようなワイヤを使って駆動するように構成した方が機構は簡単である。
また、スチーム吐出体20をより小型に形成し、垂直方向および水平方向に2次元に走査するように構成していてもよい。例えば、水平方向へはこの実施の形態のように第1の駆動レール28が螺合するようにして走査するとともに、垂直方向へは上記の変形形態で示したようにワイヤを使って走査駆動することと組み合わせることで容易に構成できる。 このようにした場合、走査機構は複雑になり、また一度に洗浄できる範囲が減少するので洗浄時間は長くなるが、一方でスチームが飛散したり、凝縮した水が漏水する危険性はより一層低減され、スチーム生成部21においてスチームを生成するための単位時間当たりのエネルギー、即ちヒータ容量をより低減できる。
【0069】
また、この実施の形態では、スチーム吐出体20を走査する構成で示したが、走査機構を備えずに、スチーム吐出体20を筐体5a内に固定した位置に配置するように構成してもよい。このようにすると第2のスチーム管21bを巻き取るためのスチーム管ロール34は不要で、かつ巻き取られるための第2のスチーム管21bの余剰な長さは不要となる。このとき、なるべくスチーム吐出体20は空気の流通を妨げない位置に固定することが望ましい。
またさらに、スチーム吐出体20を複数分割して設け、スチーム生成部21から分割してスチーム吐出体20へスチームを導くスチーム管の途上に切換バルブを設けて、スチームを吐出するスチーム吐出体20を順次切換ながらスチームを吐出するようにすると、スチーム吐出体20を走査する場合と同様にスチーム生成部21で生成するスチームの量を抑制することができる。
なお、この実施の形態における上記の各変形形態は、適宜下記の別の実施の形態でも適用してもよいことは勿論である。
【0070】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2によるエアコン1の室内機5を示す要部断面図である。
この実施の形態では、吸引体27とスチーム吐出体20とが室内フィン熱交8を通過する空気の上流側に一体に設けられている。
また、吸引体27は、プレフィルタ13と室内フィン熱交8との間の配置されている。
吸引体27の吸引口27aは、スチーム吐出口20aを挟むようにスチーム吐出口20aと同じ方向に向けて開口している。室内フィン熱交8を挟んで、吸引口27a及びスチーム吐出口20aと対向して断面が皿形状の遮蔽体42が設けられている。
【0071】
この遮蔽体42は、スチーム吐出口20aから吐出されて、室内フィン8aの積層間隙を通過してきたスチーム、スチームによって除去された汚れ及びスチームの凝縮水を跳ね返す。遮蔽体42により跳ね返されたスチーム、汚れ及び凝縮水は、スチーム吐出口20aの両側に形成された吸引口27aによって吸引される。
従って、スチーム吐出口20aから吐出されたスチームは、室内フィン8aの積層間隙を通過するも、この間隙に隣接した積層間隙では周囲の空気を吸い込みながらスチーム吐出方向とは逆方向へ吸引される。
また、遮蔽体42と、スチーム吐出体20と一体化した吸引体27とは、実施の形態1の吸引体27、スチーム吐出体20と同様な機構により、室内フィン8aの積層方向へ常に同時に走査移動されるようになっている。
また、遮蔽体42は、実施の形態1における排水パン16に凝縮水を誘導する誘導体20dを兼ねており、凝縮水を排水パン16へ誘導する。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
この実施の形態2のエアコン1では、実施の形態1のエアコン1と同様な効果を奏する他、遮蔽体42を設けたので、スチーム吐出口20aから吐出するスチームが洗浄対象である室内フィン8a、室内熱交熱媒体管8b以外の部位へ衝突することが抑制され、スチーム、凝縮水及び汚れが周囲へ飛散することが抑制される。
従って、洗浄対象以外への汚れの再付着、筐体5a外への漏水の抑制が容易となり、より節水かつ省エネで効率よく洗浄対象が洗浄される。
【0073】
なお、この実施の形態では、室内フィン熱交8を通過する空気の上流側にスチーム吐出体20及び吸引体27を配置し、下流側に遮蔽体42を配置したが、スチーム吐出体20及び吸引体27を空気の下流側に配置し、遮蔽体42を上流側に配置してもよい。スチーム吐出方向が空気の流れ方向と逆になるので、スチーム、空気に乱流が生じ、汚れがより取れ易くなる。
また、室内フィン熱交8内を洗浄したが、スチーム吐出体20と一体となった吸引体27を、背面風路壁17等のスチームが通過しない洗浄対象に近接しながら走査移動して背面風路壁17等も洗浄するようにしてもよい。背面風路壁17だけを洗浄対象とする場合、遮蔽体42は不要で、走査駆動するための機構がより簡単である。
また、実施の形態1と同様に、プレフィルタ13を吸引体27と室内フィン熱交8との間に配置してもよい。
【0074】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3によるエアコン1の室内機5を示す要部断面図である。
この実施の形態では、スチーム吐出体20と空気吐出体43とが一体に設けられ、空気吐出体43にはスチーム吐出口20aと同一方向に向けて空気を吐出する空気吐出口43aが形成されている。この空気吐出口43aは、スチーム吐出口20aを挟むようにして両側に形成されている。空気吐出体43と吸引体27とは室内フィン熱交8を介して対向している。
【0075】
室内機5の筐体5a内には、気水分離槽37が収納されている。吸引体27の吸引口27aから吸引された空気、スチーム、汚れ及び凝縮水は、吸引機41Aで吸引されて、第1の吸引管35aを通じて気水分離槽37に入る。気水分離槽37では気体層と液体層とに分離されるが、主に空気からなる気体は、引き続き吸引機41Aで吸引されて空気吐出管44を通じて空気吐出口43aから吐出される。
気水分離槽37と吸引機41Aとを接続する吸引管には、空気フィルタである吸引フィルタ45が着脱可能に取り付けられている。この吸引フィルタ45により、気水分離槽37から吸引される気体中に残留している固形汚れは分離される。吸引フィルタ45は、定期的に取り外して清掃される。
スチーム吐出体20と一体の空気吐出体43は、実施の形態1におけるスチーム吐出体20と同様の機構により室内フィン熱交8に沿って水平方向へ走査される。
可撓性の空気吐出管44は、実施の形態1における、第1の吸引管35a及び第2のスチーム管21bと同様に、吸引管ロール36、スチーム管ロール34に巻き取られ、空気吐出体43の操作時における空気吐出体43と吸引機41Aとの距離の変動に対応可能になっている。
また、空気吐出管44は、蛇腹構造で伸縮自在にすることで、空気吐出体43と吸引機41Aとの距離の変動に対応するようにしてもよい。
【0076】
気水分離槽37の下部には、側壁開口部2aを通って室外4へ導出される排水管19が接続されている。この排水管19の途上には、排水弁38が取り付けられている。この排水弁38は、エアコン1の洗浄時で吸引口27aからの吸引かつ空気吐出口43aからの吐出の動作時には、効率よく吸引、かつ吐出できるように、閉じている。
洗浄以外のエアコン1の運転時には、室内フィン熱交8で生じる凝縮水が排水できるように排水弁38は開けておく。
なお、他の構成は実施の形態1と同様である。
【0077】
この実施の形態3のエアコン1では、実施の形態1と同様な効果を奏する他、空気吐出口43aを有する空気吐出体43を備えたので、スチーム吐出口20aから吐出するスチームと空気吐出口43aから吐出する空気が混じり易くなり、洗浄対象である室内フィン熱交8へ接触する際の温度が抑制され、洗浄対象への悪影響(高温で融けたり変形したりコーティングが剥がれたりする等)を防止できる。
また、スチーム吐出口20aの両側の空気吐出口43aから空気が吐出しているので、空気吐出口43aから吐出する空気がスチームの両側のカーテンとしての機能を有している。従って、スチーム、スチームが洗浄対象から除去した汚れが周囲へ飛散したり、あるいはスチーム吐出口20aの近傍で凝縮水が下方へ垂れたりすることが抑制される。
また、室内機5内に着脱可能な吸引フィルタ45を設けたので、吸引した際の汚れを濃縮して簡単に捨てることができる。
【0078】
なお、この実施の形態では、吸引機41Aは、吸引口27aからの空気の吸引と、空気吐出口43aからの空気の吐出とを兼用しているが、それぞれ別に設けていてもよい。
例えば、実施の形態1のように吸引口27aから空気を吸引する吸引機41を気水分離槽37等とともに室外機6内に設け、また空気吐出口43aから空気を吐出するための吸引機を室内機5内に設け、吸引機は気水分離槽37からではなく室内3の空気を吸引して空気吐出口43aから吐出するようにしてもよい。このときには。吸引フィルタ45はなくてもよい。
【0079】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4によるエアコン1の室内機5を示す要部断面図である。
この実施の形態では、スチーム生成部21は、スチーム生成容器47と、このスチーム生成容器47の周囲を巻回したニクロム線からなるヒーター46と、スチーム生成容器47全体を覆った断熱材48とを備えている。
スチーム生成容器47では、上部から第1のスチーム管21aが延びてスチーム吐出体20(図示せず)に接続されている。スチーム生成容器47の下部(上部でも構わない)には、水タンク22からの給水管23が接続されており、この給水管23を通じてスチームを生成する前にスチーム生成容器47内に水が供給される。
【0080】
空気ポンプ24から空気管25を通じて水タンク22に空気を送ることで、水タンク22内の空気が給水管23から水を押し出すことで水がスチーム生成部21へ移動する。給水管23は、先端部が水タンク22内の下部まで差し込まれており、水タンク22の下部の水もスチーム生成容器47内へ移動し易くなっている。空気管25及び給水管23は共に水タンク22の蓋22aに固定されており、蓋22aを外すことで水タンク22の上部が開口して水タンク22内へ外部から水を補給し易くなっている。
例えば、水タンク22を水道の蛇口まで運び給水する。蓋22aは、ねじ込むようにして水タンク22を密閉できるようになっている。給水管23の途上には逆止弁26が取り付けられたおり、スチーム生成容器47内の水、スチームが水タンク22へ逆流できなくなっている。
【0081】
また、給水管23の途上には給水フィルタ49が設けられ、スチーム生成容器47内へ入る水からゴミ等を濾過する。給水フィルタ49としてイオン交換膜を用いれば、水に溶けているイオン成分の除去も可能となる。給水フィルタ49は給水管23から着脱可能になっており、所定期間毎に交換可能である。
なお、給水フィルタ49は、給水フィルタ49で除去する成分、含有する汚れ等が多くない場合には、無交換とできる容量を確保し、給水管23から着脱できなくしてもよい。
この他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0082】
この実施の形態によるエアコン1によれば、実施の形態1と同様な効果を奏する他、給水フィルタ49を備えたので、スチーム生成部21へ供給される水に含有する汚れ成分が減り、スチーム生成部21内での堆積物の蓄積によるスチーム生成量の減少や第1のスチーム管21aやスチーム吐出口20aの詰まりが抑制される。
特に、実施の形態1の変形例で記載したように、室内3の冷房運転時における、室内フィン熱交8から得られる凝縮水、室内3の暖房運転時の霜取り運転時における、室外フィン熱交9に凝結した氷を溶かして得られる凝縮水を、スチーム源である水として用いる場合において、給水フィルタ49の必要性が顕著となる。
なお、給水フィルタ49を室内機5外に配置したが、室内機5内に配置していてもよい。
【0083】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5によるエアコン1の室内機5A,5Bを示す要部拡大断面図である。
この実施の形態では、スチーム生成部21は、第1の室内機5A及び第2の室内機5B外に配置されている。スチーム生成部21と第1の室内機5Aとは、スチーム供給管50で接続されている。スチーム供給管50の端部は、第1の室内機5Aの端部に設けたスチーム供給口51に螺着される。スチーム供給口51は、第1の室内機5A内で第1のスチーム管21aを通じてスチーム吐出体20に接続されている。
第2の室内機5Bも第1の室内機5Aと同様な構成であり、スチーム供給管50は、スチーム供給口51で螺着され、第1の室内機5Aから第2の室内機5Bへ繋ぎ換えできるようになっている。
他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0084】
この実施の形態のエアコン1では、第1の室内機5A内のスチーム吐出口20aからスチームを吐出して第1の室内機5A内を洗浄する際には、スチーム供給管50を第1の室内機5Aのスチーム供給口51へ接続し、スチーム生成部21のスイッチ(図示せず)を押す等してスチームの生成を開始する。充分なスチームが生成開始されれば、スチームがスチーム吐出口20aから吐出し、洗浄対象である室内フィン熱交8等が洗浄される。
【0085】
実施の形態1に記載したスチーム吐出体20の走査タイミングは、第1のスチーム管21a内に配置した圧力センサ、または温度センサで洗浄開始、終了を検知して図られる。また、スチーム供給管50及びスチーム供給口51に通信線を併設しておきスチーム生成部21から開始あるいは終了の電気信号からスチーム吐出体20の走査開始や終了のタイミングを図ることもできる。
第1の室内機5A内の洗浄後、第2の室内機5B内を洗浄する際には、スチーム供給管50を第2の室内機5Bのスチーム供給口51へ繋ぎ換えて、後は第1の室内機5A内の洗浄と同様の手順で洗浄が行われる。
【0086】
この実施の形態のエアコン1によれば、実施の形態1と同様な効果を奏する他、スチーム生成部21を室内機5A,5B外に配置し、スチーム供給管50を通じてスチーム供給口51から室内機5A,5B内へスチームを供給したので、スチーム生成部21を室内機5A,5B外に配置した分、室内機5A,5Bを小型化、軽量化できる。
また、複数の室内機5A,5Bが1つのスチーム生成部21を共用することが容易となる。
【0087】
なお、この実施の形態では、それぞれの室内機5A,5Bにはそれぞれ実施の形態1と同様な室外機6を有しているが、複数の室内機5A,5Bが一台の室外機6を共有するようにしてもよい。
また、実施の形態1における室外機6内に配置している、吸引機41及び気水分離槽37を、スチーム供給管50と同様に室外機6に着脱可能な吸引管を介して接続して室内機5外の室内3に配置し、しかも吸引機41、気水分離槽37をスチーム生成部21と一体化して配置するようにしてもよい。
このようにすることで、室内機5A,5Bだけでなく、室外機6も小型化、軽量化できる。
また、複数の室内機5A,5B、室外機6は、スチーム生成部21、吸引機41及び気水分離槽37を共有することができる。
【0088】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6によるエアコン1のラインフローファン14を示す要部側断面図、図10は図9のラインフローファン14のA−A線矢視断面図である。
この実施の形態のエアコン1では、ラインフローファン14の送風翼14aの翼面に向けてスチームを吐出して送風翼14aを洗浄するものである。
円筒形状のラインフローファン14は、周方向に沿って等分間隔で配置された複数の送風翼14aと、室内機5の筐体5aに固定されたファンモーター14bと、ファンモーター14bと直結したファン回転軸14cと、この回転軸14cの反対側に設けられた環状の回転軸14dとを備えている。
環状回転軸14dの外周面を転動する3つの支持輪52は、筐体5aに固定された回転軸支持部52bと同軸上の支持輪回転軸52aに回転可能に支持されている。
なお、支持輪52と支持輪回転軸52aとを一体に形成し、支持輪回転軸52aを回転軸支持部52bに対して回転可能に支持するようにしてもよい。また、支持輪52は、環状回転軸14dの内周面を転動するようにしてもよい。
【0089】
筐体5aのファンモーター14bと反対側の壁面には、走査駆動モーター28aが固定されている。この走査駆動モーター28aには、先端部がファン回転軸14cの近傍まで延びた第1の駆動レール28の基端部が直結している。また、筐体5aには、第1の案内レール29の基端部が固定されている。この第1の案内レール29は、第1の駆動レール28と並行に先端部がファン回転軸14cの近傍まで延設されている。
【0090】
第1の駆動レール28及び第1の案内レール29は、スチーム吐出体20と一体の第1の支持体20bを貫通している。第1の駆動レール28と第1の支持体20bとは螺合しており、走査駆動モーター28aの駆動により駆動レール28が回転すると、スチーム吐出体20は、するようになっている。このとき、第1の案内レール29は第1の支持体20bを貫通しており、ラインフローファン14の回転軸線に沿って摺動するので、スチーム吐出体20がラインフローファン14の回転方向に同期して回転することはない。
なお、第1の駆動レール28及び第1の案内レール29は極力細く形成され、ラインフローファン14の送風効率を低減しないようにしておく。
スチーム吐出体20に先端部が接続された第2のスチーム管21bは、環状回転軸14dの内側を通って、ラインフローファン14の外側に導出されている。この第2のスチーム管21bの必要とする全長は、スチーム吐出体20の移動に伴い変動するが、この変動に対しては実施の形態1に記載したスチーム管ロール34(図示せず)を用いて調整される。
【0091】
スチーム吐出体20には、送風翼14aに指向したスチーム吐出口20aが形成されている。スチーム吐出体20の径方向の外側端部には、スチーム吐出口20aの周囲を囲い、外周縁部が送風翼14aの内周面に近接した遮蔽体42aが設けられている。この漏斗形状の遮蔽体42aにより、スチーム吐出口20aから吐出したスチームが洗浄対象である送風翼14a以外に飛散するのを防止している。
【0092】
ラインフローファン14の外側には、スチーム吐出体20と対向した吸引体27が設けられている。この吸引体27には、送風翼14aに指向した吸引口27aが形成されている。吸引体27には第2の支持体27bが固定されている。この第2の支持体27b及び吸引体27には、第1の駆動レール28、第1の案内レール29と並行に延びた、第2の駆動レール30、第2の案内レール31が貫通している。第2の駆動レール30と第2の支持体27bとは螺合しており、第2の駆動レール30が回転すると、吸引体27は、第2の駆動レール30に沿って移動するようになっている。このとき、第2の案内レール31は、吸引体27及び第2の支持体27bを貫通しており、ラインフローファン14の回転軸線に沿って摺動するので、吸引体27がラインフローファン14の回転方向に同期して回転することはない。
【0093】
なお、実施の形態1に記載した第2の支持体27bと同様に、第2の支持体27bを図9に示す吸引体27の上側、下側等に固定し、この第2の支持体27bは第2の駆動レール30、第2の案内レール31が貫通するが、吸引体27は貫通しないようにしてもよい。
【0094】
第2の駆動レール30は、その両端部(端部にはその外面にネジ構造はない)がそれぞれ第2の駆動レール支持部30b,30bに回転可能に支持されている。第2の駆動レール支持部30b,30bは筐体5aの内壁に固定されている。第2の駆動レール30のファンモーター14bと反対側には、伝達輪32が固定されている。この伝達輪32は、第1の駆動レール28にも固定されている。第2の駆動レール30の伝達輪32と第1の駆動レール28の伝達輪32との間は、伝達ベルト33が巻き掛けされている。
走査駆動モーター28aの駆動により、駆動レール28が回転すると、第2の駆動レール30が同期して回転し、スチーム吐出体20と吸引体27とは、送風翼14aを挟んで互いに常に対向した状態で、ラインフローファン14の回転軸線の方向に沿って移動する。
【0095】
吸引体27に先端部が接続された第1の吸引管35aは、筐体5aの外部に導出されている。この第1の吸引管35aの必要とする全長は、吸引体27の移動に伴い変動するが、この変動に対しては実施の形態1に記載した吸引管ロール36(図示せず)が用いて調整される。
なお、この他の構成は実施の形態1と同様である。
【0096】
この実施の形態によるエアコン1では、ラインフローファン14を連続的に低速度で回転するか、あるいは断続的に回転しながら、送風翼14aに向けてスチーム吐出口20aからスチームを吐出して送風翼14aを洗浄する。
スチーム吐出口20aから吐出するスチームは、送風翼14aの一部しか衝突しないが、ラインフローファン14が回転することでスチームが送風翼14aの全面に衝突して洗浄される。
【0097】
この実施の形態によるエアコン1によれば、室内フィン熱交8を洗浄対象とする実施の形態1のエアコン1と異なり、洗浄対象がラインフローファン14であり、洗浄対象が異なるものの、洗浄する上で実施の形態1と同様な効果を奏する他、送風翼14aの外面に汚れが堆積し難くなり、ラインフローファン14の送風効率を維持できる。
また、特に、ラインフローファン14が回転して送風される際の空気の流れが、図9において上から下に流れる場合には、スチーム吐出口20aから吐出されるスチームは、空気の流れと逆方向で送風翼14aの表面に衝突するので、汚れの付着方向とは逆であり、付着した汚れが落ち易くなる。
また、スチーム吐出口20aの近傍に遮蔽体42を設けたので、吐出するスチームが洗浄対象以外の部位へ当たることが抑制され、スチーム、凝縮水及び汚れが周囲へ飛散することが抑制される。従って、洗浄対象以外への汚れの再付着や筐体5a外への漏水の抑制が容易となり、より節水かつ省エネで効率よく洗浄対象が洗浄される。
【0098】
なお、この実施の形態では、洗浄対象が送風翼14aであるが、このものを、実施の形態1で示した室内フィン熱交8、排水パン16、または実施の形態1の変形例で示した背面風路壁17を洗浄するものと組み合わせてもよい。
このものの場合には、室内機5内を通過する空気への臭気移り、汚れ移りがより一層抑制される。
また、例えば、実施の形態6の第1の駆動レール28に、伝達輪、伝達ベルトを用いて実施の形態1の第2の駆動レール30と連結することで、一つの走査駆動モーター28aの駆動により、送風翼14a、室内フィン熱交8、排水パン16及び背面風路壁17等を同時に洗浄することができる。
【0099】
また、ラインフローファン14の内周側に吸引体27を配置し、外周側にスチーム吐出体20を配置するようにしてもよい。
さらに、実施の形態1の変形例で記載したものと同様に、吸引体27とスチーム吐出体20を一体とし、このものをラインフローファン14の内周側または外周側に配置し、送風翼14aを挟んだ対向側に遮蔽体42を設けるようにしてもよい。この場合、スチーム吐出口20aから吐出したスチームは、遮蔽体42によって反射され、この反射されたスチームは、スチーム吐出口20a側の吸引口27aから吸引される。
また、スチームを吐出して送風翼14aを洗浄するとき以外には、スチーム吐出体20が第1の支持体20bに対して、ラインフローファン14の回転軸方向へ倒れるように構成していても良い。スチーム吐出体20がラインフローファン14の内部にあることによるラインフローファン14の送風効率の悪化を倒すことで抑制できる。
【0100】
実施の形態7.
図11はこの発明の実施の形態7によるエアコン1の室内機5を示す平断面図、図12は図11のB−B線に沿った矢視断面図である。
この実施の形態のエアコン1は、天井に取り付けられており、室内機5内の室内フィン熱交8に向けてスチームを吐出して室内フィン熱交8を洗浄するものである。
この円環状の室内フィン熱交8は、側面から視て板状の室内フィン8aを水平面に投影して放射状に積層されている。室内フィン8aには、室内熱交熱媒体管8bが積層方向に貫通している。円環状の室内熱交熱媒体管8bの両端部には、それぞれ熱媒体管7が接続されている。この熱媒体管7はそれぞれ室内機5から導出され、室外機6と接続されている。
なお、この実施の形態のエアコン1では、熱媒体管7、室内熱交熱媒体管8bに流れる熱媒体は温冷水であり、室内冷房時には冷水、室内暖房時には温水が流れる。この熱媒体は、室外機6におけるヒートポンプ機構、及び外部空気との熱交換器(クーリングタワーを含む)による熱交換によって温水あるいは冷水が生成される。
【0101】
室内フィン熱交8の下部の筐体5aには、正方形状の給気開口部12が形成されている。この給気開口部12の全体は、筐体5aに対して着脱可能なプレフィルタ13で覆われている。給気開口部12には、スリット状に多数開口した下方パネル11aが着脱可能に取り付けられている。プレフィルタ13及び下方パネル11aは、取り外すことで清掃される。
また、筐体5aには、給気開口部12の4辺の外側にそれぞれ空気を送出する送出口53が形成されている。
なお、下方パネル11aは、筐体5aに対して開閉可能でもよく、また実施の形態1に記載した前面パネル11のように通気性のないものとし、室内機5の筐体5aとの間に隙間を開けて配置して、その隙間を給気開口部12としてもよい。
【0102】
室内フィン熱交8の円環状の中央下部には、プロペラ型の送風翼54a及びファンモーター54bを有する送風ファン54が設けられている。この送風ファン54は、給気開口部12から室内機5外部の空気を吸引し、室内フィン熱交8を通過させて、送出口53から室内3へ空気を送出するようになっている。
実施の形態1のエアコン1と同様に、それぞれの送出口53には、所望の角度で室内3へと送出を可能にする風向フラップ15が設けられている。それぞれの風向フラップ15はフラップモーター15aの駆動により角度が変更される。
なお、風向フラップ15毎にフラップモーター15aを設けるのではなく、4つの風向フラップ15をワイヤやギア等の機構で連動し、1つのフラップモーター15aで4つの風向フラップ15の角度を同時に変更するようにしてもよい。
【0103】
円環状の室内フィン熱交8の内側では、内周面に沿って軸線方向に延びた、スチーム吐出口20aを有するスチーム吐出体20が設けられている。また、室内フィン熱交8の外側では、外周面に沿って軸線方向に延びた、吸引口27aを有する吸引体27が設けられている。この吸引体27は、室内フィン熱交8を挟んでスチーム吐出体20と対向している。
【0104】
スチーム吐出体20は、室内フィン熱交8の円環の中心から径方向に延びた第1の支持体20bの先端部に設けられて支持されている。第1の支持体20bは、中空構造であり、この第1の支持体20bの内部には、スチーム吐出体20とスチーム生成部21とを繋ぐ第2のスチーム管21bの先端部が室内フィン熱交8の円環の中心側から入って挿入されている。
同様に、吸引体27は、室内フィン熱交8の円環の中心から径方向に延びた第2の支持体27bの先端部に設けられて支持されている。同様に、第2の支持体27bは中空構造であり、この第2の支持体27bの内部には、吸引体27と吸引機41とを繋ぐ第1の吸引管35aの先端部が室内フィン熱交8の円環の中心側から入って挿入されている。
なお、第2のスチーム管21b、第1の吸引管35aの先端部を支持体20b及び支持体27bを兼用させるようにしてもよい。
【0105】
第1の支持体20b及び第2の支持体27bは、室内フィン熱交8の円環の中央部に設けられた円筒体55に連結されている。円筒体55には、送風ファン54と同軸線上に配置された走査駆動モーター28aが連結されている。この走査駆動モーター28aの駆動により、円筒体55の中心軸線を中心に、スチーム吐出体20と吸引体27とが常に室内フィン熱交8を狭持して対向しながら水平方向へ回転する。
なお、この水平方向の回転は同一方向への連続回転ではなく、円周に沿った少なくとも1周分程度の範囲での往復回転でよい。少ない回転であるので、第2のスチーム管21b及び第1の吸引管35aが過剰に捻れることがなく、また実施の形態1の第2のスチーム管21b、第1の吸引管35aに必要となる余剰な長さを抑制でき、スチーム管ロール34、吸引管ロール36は必要としない。
なお、この他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0106】
この実施の形態7によるエアコン1によれば、実施の形態1と同様の作用、効果を得ることができるとともに、スチーム吐出体20、吸引体27を室内フィン熱交8に沿って走査するための、伝達ベルト33等の走査機構は不要であり、実施の形態1のエアコン1と比較して構造が簡単化される。
【0107】
なお、スチーム吐出体20を室内フィン熱交8の外周側面に沿って配置し、吸引体27を室内フィン熱交8の内周側面に沿って配置するようにしてもよい。
この場合には、実施の形態1と同様にスチーム吐出口20aから吐出するスチームを室内フィン熱交8を通過する空気の上流に向けて吐出することになり、実施の形態1と同様にスチームの吐出方向が空調運転時の空気の流れとは逆行し、室内フィン熱交8内の室内フィン8aへの汚れの付着方向とは異なり、汚れがより落ち易くなる。
【0108】
また、室内フィン熱交8は、円環状ではなく、例えば4つの直方体状の室内フィン熱交部を正方の各辺にそれぞれ配置したものでもよい。
但し、このエアコン1のときには、スチーム吐出体20、吸引体27は、室内フィン熱交部の側面に沿って移動し、移動に伴い角環状の中心軸線からスチーム吐出体20、吸引体27までの距離が変わることになる。
従って、このエアコン1の場合には、例えば、第1の支持体20b及び第2の支持体27bは、伸縮構造、または材質とし、また第2のスチーム管21bと第1の吸引管35aはそれぞれ第1の支持体20bと第2の支持体27bの伸長に対応できるように長さに余裕を持たせておき、さらには上記室内フィン熱交部のそれぞれの配置に沿って駆動レール28,30を備え、第1の支持体20b及び第2の支持体27bが、案内レール29,31に拘束されながら伸縮して移動できるようにしてもよい。
【0109】
実施の形態8.
図13はこの発明の実施の形態8によるエアコン1のスチーム吐出体20を示す要部断面図、図14は図13のスチーム吐出体20を示す要部平面図である。
この実施の形態では、先端部に鍔20eが形成された、スチーム吐出体20のスチーム吐出口20aに、回転スチーム吐出体56が回転自在に設けられている。この回転スチーム吐出体56には、回転スチーム吐出体56の回転軸線56bに対して偏心した位置に回転軸線56bに対して傾斜した角度で回転スチーム吐出口56aが形成されている。
この回転スチーム吐出口56aは、スチームにより洗浄される洗浄対象(例えば、室内フィン8a、送風翼14a等)の被吐出面57に指向している。
この他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0110】
この実施の形態では、回転スチーム吐出口56aから吐出するスチームの反力で回転スチーム吐出体56が回転軸線56bを中心に回転方向56cへ回転する。
従って、回転スチーム吐出体56が回転していない時の吐出範囲57aより広範囲な吐出範囲57bにスチームが衝突するので、スチーム吐出口20aの数を減らすことができる。
また、回転スチーム吐出口56aから吐出するスチームが異なる角度で被吐出面57に衝突するので、被吐出面57に対する洗浄効果が向上する。
また、空気に接触し混合する機会が増え、被洗浄対象に衝突するスチームの温度が低下し、被洗浄対象が高温で融けたり変形し、または表面のコーティングが剥がれたりする等を防止できる。
【0111】
なお、鍔20eと回転スチーム吐出体56との接触部分にベアリング等を設け、回転スチーム吐出体56をより円滑に回転ができるようにしてもよい。
また、回転スチーム吐出体56から、先端部に変形可能の鍔が形成された円筒部を突出させ、この円筒部をスチーム吐出体20のスチーム吐出口20aに挿入するようにしてもよい。
また、図6に示した実施の形態3の空気吐出体43の空気吐出口43aに、空気吐出口43aから吐出する空気の反力で回転空気吐出体を回転可能に設け、空気吐出口43aから吐出する空気の反力で、回転空気吐出体を回転するようにしてもよい。
【0112】
なお、各実施の形態に示したエアコン1は、家庭用やビル等の建物用だけでなく、自動車や電車等の車両用に適用できることは勿論である。
また、各実施の形態では、室内機5内の室内フィン熱交8等の洗浄対象をスチームで洗浄するものであったが、空気清浄機(タバコの吸煙機等も含む)、エアコンの室外機6、冷蔵庫(庫内冷風循環する熱交、ファン等)、オイルヒーター、温水ヒーター、換気扇(熱交換型、給排気型を含む)、温風ヒーター等、筐体内部を空気が流通するものであれば、同様に適用することができることは勿論である。
空気が流通することで筐体内部に付着する汚れや臭いを洗浄できることになり、筐体内の清潔性(防汚、防臭、防かび)の持続が容易となり、筐体内を通過する空気への臭気移りや汚れ移りを抑制できる。
特に、空調機が、板状のフィンが所定間隔で多数積層され、前記フィン間の積層間隙を空気が通過可能なフィン積層体を前記筐体内に備えて、フィンの外面を空気中に含まれる異物の付着面として活用し、また各実施の形態のスチーム吐出口20aを設置して、空気清浄のみを目的としたものである場合でも、フィンの外面を洗浄することでフィンの付着能力を再生でき、空気を清浄する能力を持続可能な空気清浄機とすることができる。
【0113】
なお、各実施の形態あるいは特許請求の範囲に示したスチーム管、排水管、排気管、吸引管など、管と記載しているが、その断面は円形に限定されるものではなく、楕円や四角などどのような形状でもよいことは勿論である。
また、各実施の形態において、長時間スチームを吐出することでスチーム中に含まれる不純物成分(シリカ等)が結晶化して付着して成長し、スチーム吐出口20aが閉塞することもあるので、スチーム吐出体20は、第1の支持体20bや第2のスチーム管21bに対して容易に着脱可能に構成しておくことが望ましい。このようにすると、スチーム吐出体20の交換や清掃が容易となる。
【0114】
また、上記各実施の形態は、スチーム吐出口から吐出するスチームは、空調機の筐体内の各所を洗浄するために用いたが、適宜空調機の運転中にスチームをスチーム吐出口から吐出して、吸引体を備える場合でも洗浄時とは異なり吸引しないようにして、空気を加湿するためだけに用いる加湿機能と兼用できるようにしていてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0115】
1 エアコン(空調機)、2 側壁、2a 側壁開口部、3 室内、4 室外、5 室内機、5a 筐体、5A 第1の室内機、5B 第2の室内機、6 室外機、6a 筐体、7 熱媒体管、8 室内フィン熱交、8a 室内フィン、8b 室内熱交熱媒体管、9 室外フィン熱交、9a 室外フィン、9b 室外熱交熱媒体管、10 室外送風機、11 前面パネル、11a 下方パネル、12 給気開口部、13 プレフィルタ、14 ラインフローファン(送風機)、14a 送風翼、14b ファンモーター、14c ファン回転軸、14d 環状回転軸、15 風向フラップ、15a フラップモーター、16A,16B 排水パン(排水部)、16a 排水パン排水管、16b 排水パン排水弁、17 背面風路壁、18 送出風路、19 排水管、20 スチーム吐出体、20a スチーム吐出口、20b 第1の支持体、20c 突起体、20d 誘導板、21 スチーム生成部、21a 第1のスチーム管、21b 第2のスチーム管、22 水タンク、22a 蓋、23 給水管、24 空気ポンプ、25 空気管、26 逆止弁、27 吸引体、27a 吸引口、27b 第2の支持体、28 第1の駆動レール、28a 走査駆動モーター、28b 第1の駆動レール支持部、29 第1の案内レール、30 第2の駆動レール、30a 走査駆動モーター、30b 第2の駆動レール支持部、31 第2の案内レール、32 伝達輪、33 伝達ベルト、34 スチーム管ロール、35 吸引管、35a 第1の吸引管、35b 第2の吸引管、36 吸引管ロール、37 気水分離槽、38 排水弁、39 排水管、40 排気管、41 吸引機、41A 吸引機、42 遮蔽体、42a 遮蔽体、43 空気吐出体、43a 空気吐出口、44 空気吐出管、45 吸引フィルタ、46 ヒーター、47 スチーム生成容器、48 断熱材、49 給水フィルタ、50 スチーム供給管、51 スチーム供給口、52 支持輪、52a 支持輪回転軸、52b 回転軸支持部、53 送出口、54 送風ファン、54a 送風翼、54b ファンモーター、55 円筒体、56 回転スチーム吐出体、56a 回転スチーム吐出口、56b 回転軸線、56c 回転方向、57 被吐出面、57a 吐出範囲、57b 吐出範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内を筐体外の空気が通過するとともに、筐体内の洗浄対象を洗浄する空調機であって、
水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部と、
このスチーム生成部で生成したスチームを前記洗浄対象に指向して吐出するスチーム吐出体と、を備え、
前記スチームを前記空気と混合して100℃未満で前記洗浄対象にあてるようにした空調機。
【請求項2】
前記洗浄対象として、表面にコーティングが施された熱交換器を含む請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部と、
このスチーム生成部で生成したスチームを前記洗浄対象に指向して吐出するスチーム吐出体と、
前記洗浄対象に対向して設けられ前記スチーム吐出体から吐出された前記スチームが吸引される吸引体と、
前記吸引体からの前記スチームを吸引する吸引機と、を備え、
前記スチーム生成部、前記スチーム吐出体及び前記吸引体は、室内に配置された室内機の内部に配設され、前記吸引機は、室外に配置された室外機の内部に配設されている空調機。
【請求項4】
前記吸引機は、一端部が前記室内機に接続された吸引管の他端部に接続された気水分離槽の前記スチームの下流側に配設されている請求項3に記載の空調機。
【請求項5】
水を加熱してスチームを生成するスチーム生成部と、
このスチーム生成部で生成したスチームを前記洗浄対象に指向して吐出するスチーム吐出体と、
前記洗浄対象に指向して空気を吐出する空気吐出体と、
前記洗浄対象に対向して設けられ前記スチーム吐出体から吐出された前記スチームが吸引される吸引体と、
前記吸引体からの前記スチームを吸引する吸引機と、
この吸引機の前記スチームの上流側に配設された気水分離槽と、
を備え、
前記スチーム生成部、前記スチーム吐出体、前記空気吐出体、前記吸引機及び前記気水分離槽は、室内に配置された室内機の内部に配設されている空調機。
【請求項6】
前記スチーム吐出体及び前記空気吐出体は、一体に設けられている請求項5に記載の空調機。
【請求項7】
前記スチーム吐出体は、ヒーターを具備して前記スチーム生成部を兼用している請求項1〜6の何れか1項に記載の空調機。
【請求項8】
前記吸引機は、前記スチーム吐出体から前記スチームが吐出する際に駆動停止可能とし、スチーム吐出体からのスチームは前記室内に放出されるようになっている請求項3〜7の何れか1項に記載の空調機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−92367(P2013−92367A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−5447(P2013−5447)
【出願日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【分割の表示】特願2008−118782(P2008−118782)の分割
【原出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】