空調用レジスタ
【課題】 風向調整の自由度が高い回転フィンタイプの空調用レジスタを提供することを課題とする。
【解決手段】 空調用レジスタ1は、内部に通風路20を区画する筒状のリテーナ2と、通風路20に回転可能に配置される回転フィン3と、回転フィン3を支持し回転フィン3と共に回転可能な回転軸4と、回転フィン3を回転軸4の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材5と、を備えてなることを特徴とする。空調用レジスタ1によると、回転軸4の回転のみならず、揺動力伝達部材5により、回転フィン3の風向を変えることができる。このため、風向調整の自由度が高い。
【解決手段】 空調用レジスタ1は、内部に通風路20を区画する筒状のリテーナ2と、通風路20に回転可能に配置される回転フィン3と、回転フィン3を支持し回転フィン3と共に回転可能な回転軸4と、回転フィン3を回転軸4の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材5と、を備えてなることを特徴とする。空調用レジスタ1によると、回転軸4の回転のみならず、揺動力伝達部材5により、回転フィン3の風向を変えることができる。このため、風向調整の自由度が高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に空調用空気を供給する空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、縦フィンと横フィンとを備える空調用レジスタが紹介されている。同文献記載の空調用レジスタによると、縦フィンを不定角速度で自動的に揺動させることができる。このため、より自然風に近い感じで、空調用空気を車室内に供給することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1の空調用レジスタにおいて、自動的に揺動可能なのは縦フィンのみである。すなわち、空調用空気の風向は、横方向に自動的にスイングできるのみである。言い換えると、縦方向の風向調整は、別途、操作者が横フィンを操作することにより、行う必要がある。
【0004】
これに対し、特許文献2には、回転フィンを備える空調用レジスタが紹介されている。同文献記載の空調用レジスタによると、特許文献1の空調用レジスタと比較して、二種類のフィン(縦フィン、横フィン)を配置しなくて済む。
【0005】
特許文献2の空調用レジスタの回転フィンは、円板状を呈している。回転フィンは、回転軸に止着されている。回転軸には、操作ダイヤルを介して、操作者から駆動力が伝達される。この駆動力により、回転フィンは、回転軸と共に回転する。
【0006】
ここで、回転フィンは、回転軸に対して、所定角度だけ傾斜した状態で配置されている。このため、回転フィン上流側の空調用空気は、回転フィンに当たることにより風向を変え、回転フィン下流側つまり車室内に吹き出される。回転フィンを回転させることにより、車室内への空調用空気の吹き出し方向を変えることができる。
【特許文献1】実開平3−67948号公報
【特許文献2】特開平8−324234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の空調用レジスタによると、回転フィンは、回転軸に止着されている。このため、回転軸に対する回転フィンの傾斜角度を変えることはできない。すなわち、空調用空気の風向は、回転フィンの回転のみにより、調整可能である。逆に言うと、回転フィンの回転に伴う空調用空気の風向は、ある一定の決まった軌跡を辿ることになる。このように、特許文献2の空調用レジスタは、風向調整の自由度が低い。したがって、特許文献2の空調用レジスタの回転フィンを仮に自動的に動かしても、自然風に近い感じで空調用空気を吹き出すことは困難である。
【0008】
本発明の空調用レジスタは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、風向調整の自由度が高い回転フィンタイプの空調用レジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の空調用レジスタは、内部に通風路を区画する筒状のリテーナと、該通風路に回転可能に配置される回転フィンと、該回転フィンを支持し該回転フィンと共に回転可能な回転軸と、該回転フィンを該回転軸の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材と、を備えてなることを特徴とする。本発明の空調用レジスタによると、回転軸の回転のみならず、揺動力伝達部材により、回転フィンの風向を変えることができる。このため、風向調整の自由度が高い。
【0010】
(2)好ましくは、前記回転フィンおよび前記回転軸のうち、一方には第一凸部が配置されており、他方には該第一凸部と揺動可能に係合する第一凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、比較的簡単に回転フィンを揺動させることができる。
【0011】
(3)好ましくは、前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転し、該回転軸に対して略平行に往復動可能な第一往復動部材である構成とする方がよい。本構成によると、回転フィンが回転中であっても、回転フィンと第一往復動部材との相対的な位置関係が変化しない。このため、第一往復動部材と回転フィンとの間に配置され両部材を連結している部材(第一往復動部材および回転フィンを含む)が、回転フィンの回転に伴い、摩耗、損傷等するおそれが小さい。
【0012】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記回転フィンおよび前記第一往復動部材のうち、一方には第二凸部が配置されており、他方には該第二凸部と揺動可能に係合する第二凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、第一往復動部材から回転フィンに、比較的簡単に動力伝達を行うことができる。
【0013】
(5)好ましくは、上記(3)の構成において、さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が往復動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する第二往復動部材を備える構成とする方がよい。本構成によると、第二往復動部材の動く方向と、第一往復動部材の動く方向とが、一致している。このため、第一往復動部材と第二往復動部材との連結機構が単純である。
【0014】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記第二往復動部材は、前記回転軸に対して略平行に往復動可能に環装され、外周面の軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部を持つ筒状往復動ギア部材であり、さらに、該回転軸と共に回転せず、該往復動用歯部に摺接しながら噛合する往復動用駆動歯部を持つ往復動用駆動ギア部材を備える構成とする方がよい。
【0015】
本構成によると、筒状往復動ギア部材の回転角度によらず、筒状往復動ギア部材の往復動用歯部と往復動用駆動ギア部材の往復動用駆動歯部とが、噛み合っている。このため、回転しない往復動用駆動ギア部材から、回転する筒状往復動ギア部材に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0016】
(7)好ましくは、上記(3)の構成において、さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が揺動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する揺動部材を備える構成とする方がよい。
【0017】
第一往復動部材に対する揺動部材の駆動ストロークは、弧状(円弧を含む)を呈している。つまり、揺動部材の揺動軌跡は、弧状を描いている。このため、駆動ストロークの、回転軸に対して略平行方向の成分は、比較的小さい。したがって、本構成によると、空調用レジスタ全体の回転軸略平行方向長さを、小さくすることができる。つまり、空調用レジスタの設置スペースが小さくて済む。
【0018】
(8)好ましくは、上記(7)の構成において、前記揺動部材は、前記回転軸に揺動可能に支持され、外周面の軸方向に凹凸が連なる揺動用歯部を持つ筒状揺動ギア部材であり、さらに、該回転軸と共に回転せず、該揺動用歯部に摺接しながら噛合する揺動用駆動歯部を持つ揺動用駆動ギア部材を備える構成とする方がよい。
【0019】
本構成によると、筒状揺動ギア部材の回転角度によらず、筒状揺動ギア部材の揺動用歯部と揺動用駆動ギア部材の揺動用駆動歯部とが、噛み合っている。このため、回転しない揺動用駆動ギア部材から、回転する筒状揺動ギア部材に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0020】
(9)好ましくは、前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転せず、該回転軸に対して略平行に往復動可能であり、前記回転フィンの外縁に摺接しながら該外縁を押し引き可能な第三往復動部材である構成とする方がよい。本構成によると、第三往復動部材を回転させる必要がない。このため、空調用レジスタの構造が単純になる。
【0021】
(10)好ましくは、上記(9)の構成において、前記回転フィンの外縁および前記第三往復動部材のうち、一方には第三凸部が配置されており、他方には該第三凸部と摺動可能に係合する第三凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、比較的簡単に、回転する回転フィンを揺動させることができる。
【0022】
(11)好ましくは、前記回転フィンの外縁は、略真円状を呈している構成とする方がよい。回転フィンの面積がより大きい程、空調用空気の風向を変えやすい。一方、回転フィンの回転軌跡は、回転フィンの形状に依らず、回転フィンにおいて回転軸から最も遠い部位が描く略真円状を呈している。
【0023】
この点、本構成によると、回転フィンの回転軌跡いっぱいに、回転フィンを配置することができる。このため、回転フィンの面積を比較的大きくすることができる。また、回転フィンの外縁が略真円状を呈しているため、回転軸に対して回転フィンが偏心しにくい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、風向調整の自由度が高い空調用レジスタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の空調用レジスタを、車両のエアコン用として具現化した実施の形態について説明する。
【0026】
<第一実施形態>
まず、本実施形態の空調用レジスタの構成について説明する。図1に、本実施形態の空調用レジスタの正面図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。これらの図に示すように、空調用レジスタ1は、車室内のインストルメントパネルのセンタークラスタ9に埋設されている。具体的には、空調用レジスタ1は、ナビゲーションシステム用スペース90を挟んで、センタークラスタ9左右(以下、車両の進行方向に沿って方位を定義する)両部に、合計二つ埋設されている。二つの空調用レジスタ1の構成、作用効果は同じである。したがって、以下、右側の空調用レジスタ1についてのみ説明し、当該説明をもって、左側の空調用レジスタ1の説明を兼ねるものとする。
【0027】
図3に、図2の右側の空調用レジスタの拡大図を示す。図4に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。図5に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。
【0028】
これらの図に示すように、空調用レジスタ1は、リテーナ2と三枚の回転フィン3と回転軸4と第一往復動ロッド5と往復動ドラム部材6と往復動用駆動ギア部材60と回転用ステッピングモータM1と揺動用ステッピングモータM2とを備えている。このうち、第一往復動ロッド5は、本発明の第一往復動部材に含まれる。往復動ドラム部材6は、本発明の筒状往復動ギア部材に含まれる。
【0029】
リテーナ2は、前出図2のセンタークラスタ9と一体に形成されている。リテーナ2は、樹脂製であって角筒状を呈している。リテーナ2の内部には、通風路20が区画されている。リテーナ2の前端には、空調用ダクト(図略)が接続されている。リテーナ2の後端には、通風路20と連なる吹出口21が形成されている。吹出口21には、横フィン22が横架されている。横フィン22は、樹脂製であって細板状を呈している。横フィン22は、吹出口21に止着されている。横フィン22は、上下方向に並んで、合計八枚配置されている。空調用空気は、空調用ダクト、通風路20、吹出口21を介して、車室内に供給される。
【0030】
回転軸4は、樹脂製であって、左右方向に延びる丸棒状を呈している。回転軸4の左端には、回転用ステッピングモータM1が連結されている。回転軸4の右端は、リテーナ2の右壁に、回転可能に挿通されている。回転軸4の中間部は、リテーナ2の左壁に、回転可能に挿通されている。回転軸4においてリテーナ2の内部に配置されている部分には、第一ピン40が配置されている。第一ピン40は、本発明の第一凸部に含まれる。第一ピン40は、樹脂製であって短軸丸棒状を呈している。第一ピン40は、回転軸4を上下方向に貫通している。第一ピン40は、回転軸4の軸方向に所定間隔ごとに合計三本配置されている。
【0031】
第一往復動ロッド5は、樹脂製であって、左右方向に延びる角材状を呈している。第一往復動ロッド5は、回転軸4の前方に配置されている。第一往復動ロッド5は、回転軸4に対して略平行に配置されている。第一往復動ロッド5には、第二ピン50が配置されている。第二ピン50は、本発明の第二凸部に含まれる。第二ピン50は、樹脂製であって短軸丸棒状を呈している。第二ピン50は、第一往復動ロッド5を上下方向に貫通している。第二ピン50は、第一往復動ロッド5の軸方向に所定間隔ごとに合計三本配置されている。また、第二ピン50の位置は、第一ピン40の位置と、前後方向に対向している。
【0032】
回転フィン3は、樹脂製であって外縁が真円の円板状を呈している。回転フィン3は、第一ピン40、第二ピン50を介して、回転軸4および第一往復動ロッド5に取り付けられている。回転フィン3の取り付け構造については、後で詳しく述べる。
【0033】
往復動ドラム部材6は、樹脂製であって円筒状を呈している。往復動ドラム部材6は、回転軸4に環装されている。往復動ドラム部材6は、回転軸4に対して、回転軸4の軸方向に、往復動可能である。往復動ドラム部材6は、回転用ステッピングモータM1とリテーナ2左壁との間に配置されている。往復動ドラム部材6の外周面には、軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部61が形成されている。往復動用歯部61は、往復動ドラム部材6の外周面において、全周に亘り配置されている。往復動ドラム部材6の右面には、凹部(図略)が形成されている。この凹部内には、第一往復動ロッド5の左端が枢支されている。
【0034】
往復動用駆動ギア部材60は、樹脂製であって円板状を呈している。往復動用駆動ギア部材60の所定角度区間には、往復動用駆動歯部600が形成されている。往復動用駆動歯部600は、往復動ドラム部材6の往復動用歯部61と、噛み合っている。また、往復動用駆動ギア部材60は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0035】
次に、回転フィン3の取り付け構造について、詳しく説明する。図6に、回転フィンの分解斜視図を示す。図に示すように、回転フィン3は、共に樹脂製のフィン本体30と蓋部材31とからなる。
【0036】
フィン本体30は、円板状を呈している。フィン本体30の左面の径方向中央部には、フィン凹部300が形成されている。フィン凹部300底面には、前後方向に延びる長円形のフィン側回転軸用孔301が穿設されている。フィン側回転軸用孔301の外周側には、一対のフィン側第一ピン収容部302a、302bが凹設されている。フィン側第一ピン収容部302a、302bは、半円柱状を呈している。フィン側第一ピン収容部302a、302bは、上下方向に、180°対向して形成されている。
【0037】
フィン凹部300底面におけるフィン側回転軸用孔301前方には、矩形のフィン側ロッド用孔303が穿設されている。フィン側ロッド用孔303の外側には、一対のフィン側第二ピン収容部304a、304bが凹設されている。フィン側第二ピン収容部304a、304bは、半円柱状を呈している。フィン側第二ピン収容部304a、304bは、上下方向に、180°対向して形成されている。
【0038】
蓋部材31は、円板状を呈している。蓋部材31は、フィン凹部300に収容された状態で固定されている。蓋部材31の右面には、前後方向に延びる長円形の蓋側回転軸用孔311が穿設されている。蓋側回転軸用孔311は、フィン側回転軸用孔301と左右方向に対向している。蓋側回転軸用孔311の外周側には、一対の蓋側第一ピン収容部312a、312bが凹設されている。蓋側第一ピン収容部312a、312bは、半円柱状を呈している。蓋側第一ピン収容部312a、312bは、上下方向に、180°対向して形成されている。蓋側第一ピン収容部312aはフィン側第一ピン収容部302aと、蓋側第一ピン収容部312bはフィン側第一ピン収容部302bと、それぞれ左右方向に対向している。これら蓋側第一ピン収容部312a、312b、フィン側第一ピン収容部302a、302bにより、本発明の第一凹部が形成されている。
【0039】
蓋側回転軸用孔311前方には、矩形の蓋側ロッド用孔313が穿設されている。蓋側ロッド用孔313は、フィン側ロッド用孔303と、左右方向に対向している。蓋側ロッド用孔313の外側には、一対の蓋側第二ピン収容部314a、314bが凹設されている。蓋側第二ピン収容部314a、314bは、半円柱状を呈している。蓋側第二ピン収容部314a、314bは、上下方向に、180°対向して形成されている。蓋側第二ピン収容部314aはフィン側第二ピン収容部304aと、蓋側第二ピン収容部314bはフィン側第二ピン収容部304bと、それぞれ左右方向に対向している。これら蓋側第二ピン収容部314a、314b、フィン側第二ピン収容部304a、304bにより、本発明の第二凹部が形成されている。
【0040】
図7に、回転フィンの取り付け工程を示す。まず、図7(a)に示すように、回転軸4を、蓋部材31の蓋側回転軸用孔311と、フィン本体30のフィン側回転軸用孔301とに、挿通する。並びに、第一往復動ロッド5を、蓋部材31の蓋側ロッド用孔313と、フィン本体30のフィン側ロッド用孔303とに、挿通する。この際、蓋部材31とフィン本体30との間に、回転軸4の第一ピン用孔41と、第一往復動ロッド5の第二ピン用孔51とが、介在するように、蓋部材31とフィン本体30とを配置する。次いで、第一ピン40を第一ピン用孔41に挿通する。並びに、第二ピン50を第二ピン用孔51に挿通する。
【0041】
次いで、図7(b)に示すように、蓋部材31とフィン本体30とにより、左右両側から第一ピン40および第二ピン50を挟み込む。この挟み込みにより、第一ピン40上部は、前出図6の蓋側第一ピン収容部312aとフィン側第一ピン収容部302aとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第一ピン40下部は、前出図6の蓋側第一ピン収容部312bとフィン側第一ピン収容部302bとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第二ピン50上部は、前出図6の蓋側第二ピン収容部314aとフィン側第二ピン収容部304aとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第二ピン50下部は、前出図6の蓋側第二ピン収容部314bとフィン側第二ピン収容部304bとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。 そして、図7(c)に示すように、蓋部材31が完全にフィン凹部300に収容され、回転フィン3の取り付けが完了する。なお、上記取り付け工程は、三枚の回転フィン3各々に対して行われる。
【0042】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図8に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。また、回転フィン3と第一往復動ロッド5とは、第二ピン50を介して連結されている。また、第一往復動ロッド5の左端は、往復動ドラム部材6の凹部内に枢支されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、往復動ドラム部材6の各部材が回転する。
【0043】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において上記各部材(回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、往復動ドラム部材6)は回転しているが、説明の便宜上、回転軸4の前方に第一往復動ロッド5が位置する瞬間についてのみ説明する。
【0044】
まず、前出図8の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図9に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている往復動用駆動ギア部材60も、紙面反時計回り方向に回転する。ここで、往復動用駆動ギア部材60の往復動用駆動歯部600と、回転中の往復動ドラム部材6の往復動用歯部61とは、摺接しながら噛み合っている。並びに、往復動ドラム部材6と回転軸4とは共に回転しているものの、往復動ドラム部材6は、回転軸4の軸方向に、往復動可能である。このため、往復動ドラム部材6は、回転軸4に沿って、右方向にスライドする。したがって、第一往復動ロッド5も、往復動ドラム部材6と共に、右方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。右リミットセンサRは、往復動ドラム部材6のスライド位置をセンシングしている。したがって、右リミットセンサRからの信号により、ECU(電子制御ユニット)は回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことを認識することができる。この信号を受け、ECUは、揺動用ステッピングモータM2を逆方向(つまり紙面時計回り方向)に駆動する。揺動用ステッピングモータM2の駆動により、回転フィン3は右方向に揺動する。そして、前出図8の基準位置に戻る。なお、基準位置は、原点センサOにより検出される。
【0045】
次いで、前出図8の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図10に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている往復動用駆動ギア部材60も、紙面時計回り方向に回転する。したがって、往復動ドラム部材6は、回転軸4に沿って、左方向にスライドする。また、第一往復動ロッド5も、往復動ドラム部材6と共に、左方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。左リミットセンサLは、往復動ドラム部材6のスライド位置をセンシングしている。したがって、左リミットセンサLからの信号により、ECUは回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことを認識することができる。この信号を受け、ECUは、揺動用ステッピングモータM2を逆方向(つまり紙面反時計回り方向)に駆動する。揺動用ステッピングモータM2の駆動により、回転フィン3は左方向に揺動する。そして、前出図8の基準位置に戻る。
【0046】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1によると、回転軸4の回転のみならず、第一往復動ロッド5のスライドにより、回転フィン3の風向を変えることができる。このため、本実施形態の空調用レジスタ1は、風向調整の自由度が高い。
【0047】
また、第一往復動ロッド5のスライドは、回転フィン3の回転の有無を問わず、行うことができる。つまり、回転用ステッピングモータM1が停止中であっても、駆動中であっても回転フィン3を揺動させることができる。この点においても、本実施形態の空調用レジスタ1は、風向調整の自由度が高い。
【0048】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、風向調整がECUにより自動制御されている。また、空調用空気の風向は、上記回転フィン3の回転および揺動により、上下左右自在に変えることができる。このため、より自然風に近い感じで、空調用空気を車室内に供給することができる。
【0049】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第一ピン40と、フィン側第一ピン収容部302a、302b、蓋側第一ピン収容部312a、312bとの、係合により、比較的簡単に回転フィン3を揺動させることができる。
【0050】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、フィン本体30と蓋部材31とで、第一ピン40および第二ピン50を挟み込むことにより、回転フィン3を回転軸4および第一往復動ロッド5に取り付けている。ここで、外周縁が略真円状のフィン本体30の重心は、フィン側回転軸用孔301と略一致している。言い換えると、フィン本体30の重心は、回転軸4の軸心と略一致している。並びに、外周縁が略真円状の蓋部材31の重心は、蓋側回転軸用孔311と略一致している。言い換えると、蓋部材31の重心は、回転軸4の軸心と略一致している。このように、フィン本体30および蓋部材31は、元々、回転軸4に対して偏心していない。また、これら両部材は、フィン側回転軸用孔301と蓋側回転軸用孔311とが一列に並ぶように、配置される。したがって、本実施形態の空調用レジスタ1の回転フィン3は、二部品構造を採るにもかかわらず、回転軸4に対して偏心しにくい。
【0051】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第一往復動ロッド5が回転フィン3と共に回転する。このため、回転フィン3が回転中であっても、回転フィン3と第一往復動ロッド5との相対的な位置関係が変化しない。したがって、第二ピン50およびフィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bが、回転フィン3の回転により摩耗するおそれがない。
【0052】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第二ピン50と、フィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bとの、係合により、第一往復動ロッド5から回転フィン3に、比較的簡単に、動力伝達を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、往復動ドラム部材6の動く方向と、第一往復動ロッド5の動く方向とが、一致している。このため、往復動ドラム部材6と第一往復動ロッド5との連結機構が単純である。
【0054】
また、往復動ドラム部材6の回転角度によらず、往復動用歯部61と往復動用駆動ギア部材60の往復動用駆動歯部600とは、常時噛み合っている。このため、回転しない往復動用駆動ギア部材60から、回転する往復動ドラム部材6に、途絶えることなくスムーズに動力伝達を行うことができる。
【0055】
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、往復動ドラム部材の代わりに、揺動ドラム部材が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図11に、本実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図12に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。また、回転用ステッピングモータは省略して示す。また、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図13に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。また、揺動ドラム部材は透過して示す。また、図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0056】
これらの図に示すように、空調用レジスタ1の回転軸4および第一往復動ロッド5の左端には、揺動ドラム部材7が配置されている。揺動ドラム部材7は、本発明の筒状揺動ギア部材に含まれる。揺動ドラム部材7は、樹脂製であって円筒状を呈している。揺動ドラム部材7の内周面軸方向中央には、半円板状の揺動支持壁72a、72bが形成されている(図13参照)。揺動支持壁72a、72bは、上下方向に対向して配置されている。揺動支持壁72a、72bは、上下方向から、回転軸4および第一往復動ロッド5を挟み込んでいる。
【0057】
一方、回転軸4の左端には、樹脂製であって丸棒状の回転軸用ピン73が挿通されている。並びに、第一往復動ロッド5の左端には、樹脂製であって丸棒状のロッド用ピン74が挿通されている。これら回転軸用ピン73およびロッド用ピン74は、前記揺動支持壁72a、72bの間において、揺動可能に枢支されている。したがって、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、左右方向に揺動可能である。また、この揺動により、ロッド用ピン74は左右方向に弧状に移動可能である。
【0058】
揺動ドラム部材7の外周面は、軸方向中央から軸方向両端に向かって徐々に径が小さくなる弧状を呈している。外周面の弧形状の中心は、回転軸用ピン73の軸心と一致している。揺動ドラム部材7の外周面には、揺動用歯部71が形成されている。揺動用歯部71は、揺動ドラム部材7の外周面の全周に亘り形成されている。
【0059】
揺動用駆動ギア部材70は、樹脂製であって円板状を呈している。揺動用駆動ギア部材70の所定角度区間には、揺動用駆動歯部700が形成されている。揺動用駆動歯部700は、揺動ドラム部材7の揺動用歯部71と、噛み合っている。また、揺動用駆動ギア部材70は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0060】
回転軸4におけるリテーナ2左壁左側には、小ギアG2が環装されている。小ギアG2は、樹脂製であって円板状を呈している。小ギアG2は、回転軸4に止着されている。小ギアG2には、矩形状の窓Wが開設されている。窓Wには、第一往復動ロッド5が往復動可能に挿通されている。小ギアG2は、大ギアG1と噛合している。大ギアG1は、樹脂製であって、小ギアG2よりも大径の円板状を呈している。大ギアG1は、回転用ステッピングモータM1のモータ回転軸S’に、止着されている。
【0061】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図14に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは、互いに噛合する大ギアG1と小ギアG2とを介して、連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。また、回転フィン3と第一往復動ロッド5とは、第二ピン50を介して連結されている。また、第一往復動ロッド5の左端は、ロッド用ピン74により、揺動ドラム部材7に枢支されている。また、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73により、回転軸4に枢支されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、揺動ドラム部材7の各部材が回転する。
【0062】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において上記各部材(回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、揺動ドラム部材7)は回転しているが、説明の便宜上、回転軸4の前方に第一往復動ロッド5が位置する瞬間についてのみ説明する。
【0063】
まず、前出図14の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図15に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている揺動用駆動ギア部材70も、紙面反時計回り方向に回転する。ここで、揺動用駆動ギア部材70の揺動用駆動歯部700と、回転中の揺動ドラム部材7の揺動用歯部71とは、摺接しながら噛み合っている。このため、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、紙面時計回り方向に揺動する。したがって、第一往復動ロッド5は、右方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。なお、回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、左リミットセンサLが揺動ドラム部材7の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0064】
次いで、前出図14の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図16に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。モータ回転軸Sに止着されている揺動用駆動ギア部材70は、紙面時計回り方向に回転する。このため、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、紙面反時計回り方向に揺動する。揺動ドラム部材7が紙面反時計回り方向に揺動すると、第一往復動ロッド5は左方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。なお、回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、右リミットセンサRが揺動ドラム部材7の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0065】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1は、第一実施形態の空調用レジスタと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の空調用レジスタ1の揺動ドラム部材7は、弧状の軌跡を描いて揺動する。このため、軌跡の左右方向成分が小さい。したがって、空調用レジスタ1の左右方向の張り出しを抑制することができる。
【0066】
また、回転用ステッピングモータM1は、回転軸4と直列に配置されていない。回転用ステッピングモータM1は、回転軸4に並置されている。この点においても、空調用レジスタ1の左右方向の張り出しを抑制することができる。また、回転用ステッピングモータM1は、大ギアG1および小ギアG2を介して、回転軸4に連結されている。このため、ギア比により、回転速度を自在に調整することができる。
【0067】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、揺動ドラム部材7の回転角度によらず、揺動ドラム部材7の揺動用歯部71と揺動用駆動ギア部材70の揺動用駆動歯部700とが、噛み合っている。このため、回転しない揺動用駆動ギア部材70から、回転する揺動ドラム部材7に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0068】
<第三実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、第一往復動ロッドの代わりに、摺動ロッドが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図17に、本実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図18に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。また、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図19に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。また、図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0069】
これらの図に示すように、回転フィン3のフィン本体30の外周縁には、円周リブ32が形成されている。円周リブ32は、本発明の第三凸部に含まれる。円周リブ32は、フィン本体30の外周縁の全長に亘って配置されている。
【0070】
摺動ロッド81は、樹脂製であって、左右方向に延びる細板状を呈している。摺動ロッド81は、本発明の第三往復動部材に含まれる。摺動ロッド81は、リテーナ2の左右壁を貫通して配置されている。摺動ロッド81は、回転フィン3の前方に配置されている。摺動ロッド81の左部分には、従動歯部811が形成されている。一方、摺動ロッド81においてリテーナ2内部に配置されている部分には、係合凹部810が形成されている。係合凹部810は、本発明の第三凹部に含まれる。係合凹部810は、上方から見てC字状を呈している。係合凹部810は、摺動ロッド81の長手方向に所定間隔毎に、合計三つ配置されている。係合凹部810には、回転フィン3の円周リブ32の一部が収容されている。
【0071】
ロッド駆動ギア部材80は、樹脂製であって円板状を呈している。ロッド駆動ギア部材80の所定角度区間には、駆動歯部800が形成されている。駆動歯部800は、摺動ロッド81の従動歯部811と、噛み合っている。また、ロッド駆動ギア部材80は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0072】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図20に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4および回転フィン3が回転する。
【0073】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において回転軸4、回転フィン3は回転している。まず、前出図20の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図21に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されているロッド駆動ギア部材80も、紙面時計回り方向に回転する。ここで、ロッド駆動ギア部材80の駆動歯部800と、摺動ロッド81の従動歯部811とは、噛合している。このため、摺動ロッド81は、右方向にスライドする。摺動ロッド81の係合凹部810には、回転中の回転フィン3の円周リブ32が挿入されている。このため、摺動ロッド81が右方向にスライドすると、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。なお、回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、右リミットセンサ(図略)がロッド駆動ギア部材80の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0074】
次いで、前出図20の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図22に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、ロッド駆動ギア部材80も紙面反時計回り方向に回転する。したがって、摺動ロッド81は、左方向にスライドする。摺動ロッド81が左方向にスライドすると、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。このため、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。なお、回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、左リミットセンサ(図略)がロッド駆動ギア部材80の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0075】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1は、第一実施形態の空調用レジスタと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、摺動ロッド81は回転しない。このため、空調用レジスタ1の構造が単純になる。また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、摺動ロッド81の係合凹部810が円周リブ32を案内することにより、回転フィン3を揺動させることができる。すなわち、比較的簡単な機構で、回転する回転フィン3を揺動させることができる。
【0076】
<その他>
以上、本発明の空調用レジスタの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態においては、回転軸4を左右方向に延設したが、上下方向に延設してもよい。また、上記実施形態においては、回転フィン3を回転用ステッピングモータM1、揺動用ステッピングモータM2により自動的に操作したが、勿論、回転フィン3を手動で操作してもよい。また、回転軸4および第一ピン40は、一体に形成してもよい。並びに、第一往復動ロッド5および第二ピン50は、一体に形成してもよい。
【0078】
また、第一凹部(上記実施形態においてはフィン側第一ピン収容部302a、302b、蓋側第一ピン収容部312a、312bにより形成される空間)と、第一凸部(上記実施形態においては第一ピン40)との配置は、逆であってもよい。つまり、第一凹部を回転軸4に、第一凸部を回転フィン3に、それぞれ配置してもよい。
【0079】
同様に、第二凹部(上記実施形態においてはフィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bにより形成される空間)と、第二凸部(上記実施形態においては第二ピン50)との配置は、逆であってもよい。つまり、第二凹部を第一往復動ロッド5に、第二凸部を回転フィン3に、それぞれ配置してもよい。
【0080】
同様に、第三凹部(上記実施形態においては係合凹部810)と第三凸部(上記実施形態においては円周リブ32)との配置は、逆であってもよい。つまり、第三凹部を回転フィン3外周縁に、第三凸部を摺動ロッド81に、それぞれ配置してもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、車両のエアコン用として本発明の空調用レジスタを具現化したが、例えば家屋用、船舶用、航空機用など他のエアコン用として本発明の空調用レジスタを具現化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第一実施形態の空調用レジスタの正面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図2の右側の空調用レジスタの拡大図である。
【図4】同空調用レジスタの斜視図である。
【図5】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図6】同空調用レジスタの回転フィンの分解斜視図である。
【図7】同空調用レジスタの回転フィンの取り付け工程図である。
【図8】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図9】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図10】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【図11】第二実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図である。
【図12】同空調用レジスタの斜視図である。
【図13】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図14】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図15】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図16】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【図17】第三実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図である。
【図18】同空調用レジスタの斜視図である。
【図19】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図20】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図21】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図22】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1:空調用レジスタ、2:リテーナ、20:通風路、21:吹出口、22:横フィン、3:回転フィン、30:フィン本体、300:フィン凹部、301:フィン側回転軸用孔、302a:フィン側第一ピン収容部(第一凹部)、302b:フィン側第一ピン収容部(第一凹部)、303:フィン側ロッド用孔、304a:フィン側第二ピン収容部(第二凹部)、304b:フィン側第二ピン収容部(第二凹部)、31:蓋部材、311:蓋側回転軸用孔、312a:蓋側第一ピン収容部(第一凹部)、312b:蓋側第一ピン収容部(第一凹部)、313:蓋側ロッド用孔、314a:蓋側第二ピン収容部(第二凹部)、314b:蓋側第二ピン収容部(第二凹部)、32:円周リブ(第三凸部)、4:回転軸、40:第一ピン(第一凸部)、41:第一ピン用孔、5:第一往復動ロッド(第一往復動部材)、50:第二ピン(第二凸部)、51:第二ピン用孔、6:往復動ドラム部材(筒状往復動ギア部材)、60:往復動用駆動ギア部材、600:往復動用駆動歯部、61:往復動用歯部、7:揺動ドラム部材(筒状揺動ギア部材)、70:揺動用駆動ギア部材、700:揺動用駆動歯部、71:揺動用歯部、72a:揺動支持壁、72b:揺動支持壁、73:回転軸用ピン、74:ロッド用ピン、80:ロッド駆動ギア部材、800:駆動歯部、81:摺動ロッド(第三往復動部材)、810:係合凹部(第三凹部)、811:従動歯部、9:センタークラスタ、90:ナビゲーションシステム用スペース。
G1:大ギア、G2:小ギア、L:左リミットセンサ、M1:回転用ステッピングモータ、M2:揺動用ステッピングモータ、O:原点センサ、R:右リミットセンサ、S:モータ回転軸、S’:モータ回転軸、W:窓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に空調用空気を供給する空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、縦フィンと横フィンとを備える空調用レジスタが紹介されている。同文献記載の空調用レジスタによると、縦フィンを不定角速度で自動的に揺動させることができる。このため、より自然風に近い感じで、空調用空気を車室内に供給することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1の空調用レジスタにおいて、自動的に揺動可能なのは縦フィンのみである。すなわち、空調用空気の風向は、横方向に自動的にスイングできるのみである。言い換えると、縦方向の風向調整は、別途、操作者が横フィンを操作することにより、行う必要がある。
【0004】
これに対し、特許文献2には、回転フィンを備える空調用レジスタが紹介されている。同文献記載の空調用レジスタによると、特許文献1の空調用レジスタと比較して、二種類のフィン(縦フィン、横フィン)を配置しなくて済む。
【0005】
特許文献2の空調用レジスタの回転フィンは、円板状を呈している。回転フィンは、回転軸に止着されている。回転軸には、操作ダイヤルを介して、操作者から駆動力が伝達される。この駆動力により、回転フィンは、回転軸と共に回転する。
【0006】
ここで、回転フィンは、回転軸に対して、所定角度だけ傾斜した状態で配置されている。このため、回転フィン上流側の空調用空気は、回転フィンに当たることにより風向を変え、回転フィン下流側つまり車室内に吹き出される。回転フィンを回転させることにより、車室内への空調用空気の吹き出し方向を変えることができる。
【特許文献1】実開平3−67948号公報
【特許文献2】特開平8−324234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の空調用レジスタによると、回転フィンは、回転軸に止着されている。このため、回転軸に対する回転フィンの傾斜角度を変えることはできない。すなわち、空調用空気の風向は、回転フィンの回転のみにより、調整可能である。逆に言うと、回転フィンの回転に伴う空調用空気の風向は、ある一定の決まった軌跡を辿ることになる。このように、特許文献2の空調用レジスタは、風向調整の自由度が低い。したがって、特許文献2の空調用レジスタの回転フィンを仮に自動的に動かしても、自然風に近い感じで空調用空気を吹き出すことは困難である。
【0008】
本発明の空調用レジスタは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、風向調整の自由度が高い回転フィンタイプの空調用レジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の空調用レジスタは、内部に通風路を区画する筒状のリテーナと、該通風路に回転可能に配置される回転フィンと、該回転フィンを支持し該回転フィンと共に回転可能な回転軸と、該回転フィンを該回転軸の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材と、を備えてなることを特徴とする。本発明の空調用レジスタによると、回転軸の回転のみならず、揺動力伝達部材により、回転フィンの風向を変えることができる。このため、風向調整の自由度が高い。
【0010】
(2)好ましくは、前記回転フィンおよび前記回転軸のうち、一方には第一凸部が配置されており、他方には該第一凸部と揺動可能に係合する第一凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、比較的簡単に回転フィンを揺動させることができる。
【0011】
(3)好ましくは、前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転し、該回転軸に対して略平行に往復動可能な第一往復動部材である構成とする方がよい。本構成によると、回転フィンが回転中であっても、回転フィンと第一往復動部材との相対的な位置関係が変化しない。このため、第一往復動部材と回転フィンとの間に配置され両部材を連結している部材(第一往復動部材および回転フィンを含む)が、回転フィンの回転に伴い、摩耗、損傷等するおそれが小さい。
【0012】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記回転フィンおよび前記第一往復動部材のうち、一方には第二凸部が配置されており、他方には該第二凸部と揺動可能に係合する第二凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、第一往復動部材から回転フィンに、比較的簡単に動力伝達を行うことができる。
【0013】
(5)好ましくは、上記(3)の構成において、さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が往復動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する第二往復動部材を備える構成とする方がよい。本構成によると、第二往復動部材の動く方向と、第一往復動部材の動く方向とが、一致している。このため、第一往復動部材と第二往復動部材との連結機構が単純である。
【0014】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記第二往復動部材は、前記回転軸に対して略平行に往復動可能に環装され、外周面の軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部を持つ筒状往復動ギア部材であり、さらに、該回転軸と共に回転せず、該往復動用歯部に摺接しながら噛合する往復動用駆動歯部を持つ往復動用駆動ギア部材を備える構成とする方がよい。
【0015】
本構成によると、筒状往復動ギア部材の回転角度によらず、筒状往復動ギア部材の往復動用歯部と往復動用駆動ギア部材の往復動用駆動歯部とが、噛み合っている。このため、回転しない往復動用駆動ギア部材から、回転する筒状往復動ギア部材に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0016】
(7)好ましくは、上記(3)の構成において、さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が揺動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する揺動部材を備える構成とする方がよい。
【0017】
第一往復動部材に対する揺動部材の駆動ストロークは、弧状(円弧を含む)を呈している。つまり、揺動部材の揺動軌跡は、弧状を描いている。このため、駆動ストロークの、回転軸に対して略平行方向の成分は、比較的小さい。したがって、本構成によると、空調用レジスタ全体の回転軸略平行方向長さを、小さくすることができる。つまり、空調用レジスタの設置スペースが小さくて済む。
【0018】
(8)好ましくは、上記(7)の構成において、前記揺動部材は、前記回転軸に揺動可能に支持され、外周面の軸方向に凹凸が連なる揺動用歯部を持つ筒状揺動ギア部材であり、さらに、該回転軸と共に回転せず、該揺動用歯部に摺接しながら噛合する揺動用駆動歯部を持つ揺動用駆動ギア部材を備える構成とする方がよい。
【0019】
本構成によると、筒状揺動ギア部材の回転角度によらず、筒状揺動ギア部材の揺動用歯部と揺動用駆動ギア部材の揺動用駆動歯部とが、噛み合っている。このため、回転しない揺動用駆動ギア部材から、回転する筒状揺動ギア部材に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0020】
(9)好ましくは、前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転せず、該回転軸に対して略平行に往復動可能であり、前記回転フィンの外縁に摺接しながら該外縁を押し引き可能な第三往復動部材である構成とする方がよい。本構成によると、第三往復動部材を回転させる必要がない。このため、空調用レジスタの構造が単純になる。
【0021】
(10)好ましくは、上記(9)の構成において、前記回転フィンの外縁および前記第三往復動部材のうち、一方には第三凸部が配置されており、他方には該第三凸部と摺動可能に係合する第三凹部が配置されている構成とする方がよい。本構成によると、比較的簡単に、回転する回転フィンを揺動させることができる。
【0022】
(11)好ましくは、前記回転フィンの外縁は、略真円状を呈している構成とする方がよい。回転フィンの面積がより大きい程、空調用空気の風向を変えやすい。一方、回転フィンの回転軌跡は、回転フィンの形状に依らず、回転フィンにおいて回転軸から最も遠い部位が描く略真円状を呈している。
【0023】
この点、本構成によると、回転フィンの回転軌跡いっぱいに、回転フィンを配置することができる。このため、回転フィンの面積を比較的大きくすることができる。また、回転フィンの外縁が略真円状を呈しているため、回転軸に対して回転フィンが偏心しにくい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、風向調整の自由度が高い空調用レジスタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の空調用レジスタを、車両のエアコン用として具現化した実施の形態について説明する。
【0026】
<第一実施形態>
まず、本実施形態の空調用レジスタの構成について説明する。図1に、本実施形態の空調用レジスタの正面図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。これらの図に示すように、空調用レジスタ1は、車室内のインストルメントパネルのセンタークラスタ9に埋設されている。具体的には、空調用レジスタ1は、ナビゲーションシステム用スペース90を挟んで、センタークラスタ9左右(以下、車両の進行方向に沿って方位を定義する)両部に、合計二つ埋設されている。二つの空調用レジスタ1の構成、作用効果は同じである。したがって、以下、右側の空調用レジスタ1についてのみ説明し、当該説明をもって、左側の空調用レジスタ1の説明を兼ねるものとする。
【0027】
図3に、図2の右側の空調用レジスタの拡大図を示す。図4に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。図5に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。
【0028】
これらの図に示すように、空調用レジスタ1は、リテーナ2と三枚の回転フィン3と回転軸4と第一往復動ロッド5と往復動ドラム部材6と往復動用駆動ギア部材60と回転用ステッピングモータM1と揺動用ステッピングモータM2とを備えている。このうち、第一往復動ロッド5は、本発明の第一往復動部材に含まれる。往復動ドラム部材6は、本発明の筒状往復動ギア部材に含まれる。
【0029】
リテーナ2は、前出図2のセンタークラスタ9と一体に形成されている。リテーナ2は、樹脂製であって角筒状を呈している。リテーナ2の内部には、通風路20が区画されている。リテーナ2の前端には、空調用ダクト(図略)が接続されている。リテーナ2の後端には、通風路20と連なる吹出口21が形成されている。吹出口21には、横フィン22が横架されている。横フィン22は、樹脂製であって細板状を呈している。横フィン22は、吹出口21に止着されている。横フィン22は、上下方向に並んで、合計八枚配置されている。空調用空気は、空調用ダクト、通風路20、吹出口21を介して、車室内に供給される。
【0030】
回転軸4は、樹脂製であって、左右方向に延びる丸棒状を呈している。回転軸4の左端には、回転用ステッピングモータM1が連結されている。回転軸4の右端は、リテーナ2の右壁に、回転可能に挿通されている。回転軸4の中間部は、リテーナ2の左壁に、回転可能に挿通されている。回転軸4においてリテーナ2の内部に配置されている部分には、第一ピン40が配置されている。第一ピン40は、本発明の第一凸部に含まれる。第一ピン40は、樹脂製であって短軸丸棒状を呈している。第一ピン40は、回転軸4を上下方向に貫通している。第一ピン40は、回転軸4の軸方向に所定間隔ごとに合計三本配置されている。
【0031】
第一往復動ロッド5は、樹脂製であって、左右方向に延びる角材状を呈している。第一往復動ロッド5は、回転軸4の前方に配置されている。第一往復動ロッド5は、回転軸4に対して略平行に配置されている。第一往復動ロッド5には、第二ピン50が配置されている。第二ピン50は、本発明の第二凸部に含まれる。第二ピン50は、樹脂製であって短軸丸棒状を呈している。第二ピン50は、第一往復動ロッド5を上下方向に貫通している。第二ピン50は、第一往復動ロッド5の軸方向に所定間隔ごとに合計三本配置されている。また、第二ピン50の位置は、第一ピン40の位置と、前後方向に対向している。
【0032】
回転フィン3は、樹脂製であって外縁が真円の円板状を呈している。回転フィン3は、第一ピン40、第二ピン50を介して、回転軸4および第一往復動ロッド5に取り付けられている。回転フィン3の取り付け構造については、後で詳しく述べる。
【0033】
往復動ドラム部材6は、樹脂製であって円筒状を呈している。往復動ドラム部材6は、回転軸4に環装されている。往復動ドラム部材6は、回転軸4に対して、回転軸4の軸方向に、往復動可能である。往復動ドラム部材6は、回転用ステッピングモータM1とリテーナ2左壁との間に配置されている。往復動ドラム部材6の外周面には、軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部61が形成されている。往復動用歯部61は、往復動ドラム部材6の外周面において、全周に亘り配置されている。往復動ドラム部材6の右面には、凹部(図略)が形成されている。この凹部内には、第一往復動ロッド5の左端が枢支されている。
【0034】
往復動用駆動ギア部材60は、樹脂製であって円板状を呈している。往復動用駆動ギア部材60の所定角度区間には、往復動用駆動歯部600が形成されている。往復動用駆動歯部600は、往復動ドラム部材6の往復動用歯部61と、噛み合っている。また、往復動用駆動ギア部材60は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0035】
次に、回転フィン3の取り付け構造について、詳しく説明する。図6に、回転フィンの分解斜視図を示す。図に示すように、回転フィン3は、共に樹脂製のフィン本体30と蓋部材31とからなる。
【0036】
フィン本体30は、円板状を呈している。フィン本体30の左面の径方向中央部には、フィン凹部300が形成されている。フィン凹部300底面には、前後方向に延びる長円形のフィン側回転軸用孔301が穿設されている。フィン側回転軸用孔301の外周側には、一対のフィン側第一ピン収容部302a、302bが凹設されている。フィン側第一ピン収容部302a、302bは、半円柱状を呈している。フィン側第一ピン収容部302a、302bは、上下方向に、180°対向して形成されている。
【0037】
フィン凹部300底面におけるフィン側回転軸用孔301前方には、矩形のフィン側ロッド用孔303が穿設されている。フィン側ロッド用孔303の外側には、一対のフィン側第二ピン収容部304a、304bが凹設されている。フィン側第二ピン収容部304a、304bは、半円柱状を呈している。フィン側第二ピン収容部304a、304bは、上下方向に、180°対向して形成されている。
【0038】
蓋部材31は、円板状を呈している。蓋部材31は、フィン凹部300に収容された状態で固定されている。蓋部材31の右面には、前後方向に延びる長円形の蓋側回転軸用孔311が穿設されている。蓋側回転軸用孔311は、フィン側回転軸用孔301と左右方向に対向している。蓋側回転軸用孔311の外周側には、一対の蓋側第一ピン収容部312a、312bが凹設されている。蓋側第一ピン収容部312a、312bは、半円柱状を呈している。蓋側第一ピン収容部312a、312bは、上下方向に、180°対向して形成されている。蓋側第一ピン収容部312aはフィン側第一ピン収容部302aと、蓋側第一ピン収容部312bはフィン側第一ピン収容部302bと、それぞれ左右方向に対向している。これら蓋側第一ピン収容部312a、312b、フィン側第一ピン収容部302a、302bにより、本発明の第一凹部が形成されている。
【0039】
蓋側回転軸用孔311前方には、矩形の蓋側ロッド用孔313が穿設されている。蓋側ロッド用孔313は、フィン側ロッド用孔303と、左右方向に対向している。蓋側ロッド用孔313の外側には、一対の蓋側第二ピン収容部314a、314bが凹設されている。蓋側第二ピン収容部314a、314bは、半円柱状を呈している。蓋側第二ピン収容部314a、314bは、上下方向に、180°対向して形成されている。蓋側第二ピン収容部314aはフィン側第二ピン収容部304aと、蓋側第二ピン収容部314bはフィン側第二ピン収容部304bと、それぞれ左右方向に対向している。これら蓋側第二ピン収容部314a、314b、フィン側第二ピン収容部304a、304bにより、本発明の第二凹部が形成されている。
【0040】
図7に、回転フィンの取り付け工程を示す。まず、図7(a)に示すように、回転軸4を、蓋部材31の蓋側回転軸用孔311と、フィン本体30のフィン側回転軸用孔301とに、挿通する。並びに、第一往復動ロッド5を、蓋部材31の蓋側ロッド用孔313と、フィン本体30のフィン側ロッド用孔303とに、挿通する。この際、蓋部材31とフィン本体30との間に、回転軸4の第一ピン用孔41と、第一往復動ロッド5の第二ピン用孔51とが、介在するように、蓋部材31とフィン本体30とを配置する。次いで、第一ピン40を第一ピン用孔41に挿通する。並びに、第二ピン50を第二ピン用孔51に挿通する。
【0041】
次いで、図7(b)に示すように、蓋部材31とフィン本体30とにより、左右両側から第一ピン40および第二ピン50を挟み込む。この挟み込みにより、第一ピン40上部は、前出図6の蓋側第一ピン収容部312aとフィン側第一ピン収容部302aとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第一ピン40下部は、前出図6の蓋側第一ピン収容部312bとフィン側第一ピン収容部302bとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第二ピン50上部は、前出図6の蓋側第二ピン収容部314aとフィン側第二ピン収容部304aとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。また、第二ピン50下部は、前出図6の蓋側第二ピン収容部314bとフィン側第二ピン収容部304bとが合体して形成される円柱状スペースに、収容される。 そして、図7(c)に示すように、蓋部材31が完全にフィン凹部300に収容され、回転フィン3の取り付けが完了する。なお、上記取り付け工程は、三枚の回転フィン3各々に対して行われる。
【0042】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図8に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。また、回転フィン3と第一往復動ロッド5とは、第二ピン50を介して連結されている。また、第一往復動ロッド5の左端は、往復動ドラム部材6の凹部内に枢支されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、往復動ドラム部材6の各部材が回転する。
【0043】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において上記各部材(回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、往復動ドラム部材6)は回転しているが、説明の便宜上、回転軸4の前方に第一往復動ロッド5が位置する瞬間についてのみ説明する。
【0044】
まず、前出図8の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図9に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている往復動用駆動ギア部材60も、紙面反時計回り方向に回転する。ここで、往復動用駆動ギア部材60の往復動用駆動歯部600と、回転中の往復動ドラム部材6の往復動用歯部61とは、摺接しながら噛み合っている。並びに、往復動ドラム部材6と回転軸4とは共に回転しているものの、往復動ドラム部材6は、回転軸4の軸方向に、往復動可能である。このため、往復動ドラム部材6は、回転軸4に沿って、右方向にスライドする。したがって、第一往復動ロッド5も、往復動ドラム部材6と共に、右方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。右リミットセンサRは、往復動ドラム部材6のスライド位置をセンシングしている。したがって、右リミットセンサRからの信号により、ECU(電子制御ユニット)は回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことを認識することができる。この信号を受け、ECUは、揺動用ステッピングモータM2を逆方向(つまり紙面時計回り方向)に駆動する。揺動用ステッピングモータM2の駆動により、回転フィン3は右方向に揺動する。そして、前出図8の基準位置に戻る。なお、基準位置は、原点センサOにより検出される。
【0045】
次いで、前出図8の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図10に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている往復動用駆動ギア部材60も、紙面時計回り方向に回転する。したがって、往復動ドラム部材6は、回転軸4に沿って、左方向にスライドする。また、第一往復動ロッド5も、往復動ドラム部材6と共に、左方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。左リミットセンサLは、往復動ドラム部材6のスライド位置をセンシングしている。したがって、左リミットセンサLからの信号により、ECUは回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことを認識することができる。この信号を受け、ECUは、揺動用ステッピングモータM2を逆方向(つまり紙面反時計回り方向)に駆動する。揺動用ステッピングモータM2の駆動により、回転フィン3は左方向に揺動する。そして、前出図8の基準位置に戻る。
【0046】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1によると、回転軸4の回転のみならず、第一往復動ロッド5のスライドにより、回転フィン3の風向を変えることができる。このため、本実施形態の空調用レジスタ1は、風向調整の自由度が高い。
【0047】
また、第一往復動ロッド5のスライドは、回転フィン3の回転の有無を問わず、行うことができる。つまり、回転用ステッピングモータM1が停止中であっても、駆動中であっても回転フィン3を揺動させることができる。この点においても、本実施形態の空調用レジスタ1は、風向調整の自由度が高い。
【0048】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、風向調整がECUにより自動制御されている。また、空調用空気の風向は、上記回転フィン3の回転および揺動により、上下左右自在に変えることができる。このため、より自然風に近い感じで、空調用空気を車室内に供給することができる。
【0049】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第一ピン40と、フィン側第一ピン収容部302a、302b、蓋側第一ピン収容部312a、312bとの、係合により、比較的簡単に回転フィン3を揺動させることができる。
【0050】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、フィン本体30と蓋部材31とで、第一ピン40および第二ピン50を挟み込むことにより、回転フィン3を回転軸4および第一往復動ロッド5に取り付けている。ここで、外周縁が略真円状のフィン本体30の重心は、フィン側回転軸用孔301と略一致している。言い換えると、フィン本体30の重心は、回転軸4の軸心と略一致している。並びに、外周縁が略真円状の蓋部材31の重心は、蓋側回転軸用孔311と略一致している。言い換えると、蓋部材31の重心は、回転軸4の軸心と略一致している。このように、フィン本体30および蓋部材31は、元々、回転軸4に対して偏心していない。また、これら両部材は、フィン側回転軸用孔301と蓋側回転軸用孔311とが一列に並ぶように、配置される。したがって、本実施形態の空調用レジスタ1の回転フィン3は、二部品構造を採るにもかかわらず、回転軸4に対して偏心しにくい。
【0051】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第一往復動ロッド5が回転フィン3と共に回転する。このため、回転フィン3が回転中であっても、回転フィン3と第一往復動ロッド5との相対的な位置関係が変化しない。したがって、第二ピン50およびフィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bが、回転フィン3の回転により摩耗するおそれがない。
【0052】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、第二ピン50と、フィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bとの、係合により、第一往復動ロッド5から回転フィン3に、比較的簡単に、動力伝達を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、往復動ドラム部材6の動く方向と、第一往復動ロッド5の動く方向とが、一致している。このため、往復動ドラム部材6と第一往復動ロッド5との連結機構が単純である。
【0054】
また、往復動ドラム部材6の回転角度によらず、往復動用歯部61と往復動用駆動ギア部材60の往復動用駆動歯部600とは、常時噛み合っている。このため、回転しない往復動用駆動ギア部材60から、回転する往復動ドラム部材6に、途絶えることなくスムーズに動力伝達を行うことができる。
【0055】
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、往復動ドラム部材の代わりに、揺動ドラム部材が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図11に、本実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図12に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。また、回転用ステッピングモータは省略して示す。また、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図13に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。また、揺動ドラム部材は透過して示す。また、図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0056】
これらの図に示すように、空調用レジスタ1の回転軸4および第一往復動ロッド5の左端には、揺動ドラム部材7が配置されている。揺動ドラム部材7は、本発明の筒状揺動ギア部材に含まれる。揺動ドラム部材7は、樹脂製であって円筒状を呈している。揺動ドラム部材7の内周面軸方向中央には、半円板状の揺動支持壁72a、72bが形成されている(図13参照)。揺動支持壁72a、72bは、上下方向に対向して配置されている。揺動支持壁72a、72bは、上下方向から、回転軸4および第一往復動ロッド5を挟み込んでいる。
【0057】
一方、回転軸4の左端には、樹脂製であって丸棒状の回転軸用ピン73が挿通されている。並びに、第一往復動ロッド5の左端には、樹脂製であって丸棒状のロッド用ピン74が挿通されている。これら回転軸用ピン73およびロッド用ピン74は、前記揺動支持壁72a、72bの間において、揺動可能に枢支されている。したがって、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、左右方向に揺動可能である。また、この揺動により、ロッド用ピン74は左右方向に弧状に移動可能である。
【0058】
揺動ドラム部材7の外周面は、軸方向中央から軸方向両端に向かって徐々に径が小さくなる弧状を呈している。外周面の弧形状の中心は、回転軸用ピン73の軸心と一致している。揺動ドラム部材7の外周面には、揺動用歯部71が形成されている。揺動用歯部71は、揺動ドラム部材7の外周面の全周に亘り形成されている。
【0059】
揺動用駆動ギア部材70は、樹脂製であって円板状を呈している。揺動用駆動ギア部材70の所定角度区間には、揺動用駆動歯部700が形成されている。揺動用駆動歯部700は、揺動ドラム部材7の揺動用歯部71と、噛み合っている。また、揺動用駆動ギア部材70は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0060】
回転軸4におけるリテーナ2左壁左側には、小ギアG2が環装されている。小ギアG2は、樹脂製であって円板状を呈している。小ギアG2は、回転軸4に止着されている。小ギアG2には、矩形状の窓Wが開設されている。窓Wには、第一往復動ロッド5が往復動可能に挿通されている。小ギアG2は、大ギアG1と噛合している。大ギアG1は、樹脂製であって、小ギアG2よりも大径の円板状を呈している。大ギアG1は、回転用ステッピングモータM1のモータ回転軸S’に、止着されている。
【0061】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図14に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは、互いに噛合する大ギアG1と小ギアG2とを介して、連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。また、回転フィン3と第一往復動ロッド5とは、第二ピン50を介して連結されている。また、第一往復動ロッド5の左端は、ロッド用ピン74により、揺動ドラム部材7に枢支されている。また、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73により、回転軸4に枢支されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、揺動ドラム部材7の各部材が回転する。
【0062】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において上記各部材(回転軸4、回転フィン3、第一往復動ロッド5、揺動ドラム部材7)は回転しているが、説明の便宜上、回転軸4の前方に第一往復動ロッド5が位置する瞬間についてのみ説明する。
【0063】
まず、前出図14の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図15に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されている揺動用駆動ギア部材70も、紙面反時計回り方向に回転する。ここで、揺動用駆動ギア部材70の揺動用駆動歯部700と、回転中の揺動ドラム部材7の揺動用歯部71とは、摺接しながら噛み合っている。このため、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、紙面時計回り方向に揺動する。したがって、第一往復動ロッド5は、右方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。なお、回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、左リミットセンサLが揺動ドラム部材7の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0064】
次いで、前出図14の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図16に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。モータ回転軸Sに止着されている揺動用駆動ギア部材70は、紙面時計回り方向に回転する。このため、揺動ドラム部材7は、回転軸用ピン73を中心に、紙面反時計回り方向に揺動する。揺動ドラム部材7が紙面反時計回り方向に揺動すると、第一往復動ロッド5は左方向にスライドする。第一往復動ロッド5の動力は、第二ピン50を介して、回転フィン3に伝達される。このため、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。なお、回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、右リミットセンサRが揺動ドラム部材7の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0065】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1は、第一実施形態の空調用レジスタと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の空調用レジスタ1の揺動ドラム部材7は、弧状の軌跡を描いて揺動する。このため、軌跡の左右方向成分が小さい。したがって、空調用レジスタ1の左右方向の張り出しを抑制することができる。
【0066】
また、回転用ステッピングモータM1は、回転軸4と直列に配置されていない。回転用ステッピングモータM1は、回転軸4に並置されている。この点においても、空調用レジスタ1の左右方向の張り出しを抑制することができる。また、回転用ステッピングモータM1は、大ギアG1および小ギアG2を介して、回転軸4に連結されている。このため、ギア比により、回転速度を自在に調整することができる。
【0067】
また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、揺動ドラム部材7の回転角度によらず、揺動ドラム部材7の揺動用歯部71と揺動用駆動ギア部材70の揺動用駆動歯部700とが、噛み合っている。このため、回転しない揺動用駆動ギア部材70から、回転する揺動ドラム部材7に、スムーズに動力伝達を行うことができる。
【0068】
<第三実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、第一往復動ロッドの代わりに、摺動ロッドが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図17に、本実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図18に、同空調用レジスタの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは透過して示す。また、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図19に、同空調用レジスタの分解斜視図を示す。なお、説明の便宜上、リテーナは省略して示す。また、図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0069】
これらの図に示すように、回転フィン3のフィン本体30の外周縁には、円周リブ32が形成されている。円周リブ32は、本発明の第三凸部に含まれる。円周リブ32は、フィン本体30の外周縁の全長に亘って配置されている。
【0070】
摺動ロッド81は、樹脂製であって、左右方向に延びる細板状を呈している。摺動ロッド81は、本発明の第三往復動部材に含まれる。摺動ロッド81は、リテーナ2の左右壁を貫通して配置されている。摺動ロッド81は、回転フィン3の前方に配置されている。摺動ロッド81の左部分には、従動歯部811が形成されている。一方、摺動ロッド81においてリテーナ2内部に配置されている部分には、係合凹部810が形成されている。係合凹部810は、本発明の第三凹部に含まれる。係合凹部810は、上方から見てC字状を呈している。係合凹部810は、摺動ロッド81の長手方向に所定間隔毎に、合計三つ配置されている。係合凹部810には、回転フィン3の円周リブ32の一部が収容されている。
【0071】
ロッド駆動ギア部材80は、樹脂製であって円板状を呈している。ロッド駆動ギア部材80の所定角度区間には、駆動歯部800が形成されている。駆動歯部800は、摺動ロッド81の従動歯部811と、噛み合っている。また、ロッド駆動ギア部材80は、揺動用ステッピングモータM2のモータ回転軸Sに止着されている。
【0072】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの回転動作について説明する。図20に回転フィンの基準位置における状態を模式的に示す。回転用ステッピングモータM1と回転軸4とは連結されている。また、回転軸4と回転フィン3とは、第一ピン40を介して連結されている。このため、回転用ステッピングモータM1が駆動すると、回転軸4および回転フィン3が回転する。
【0073】
次に、本実施形態の空調用レジスタの回転フィンの揺動動作について説明する。なお、揺動操作時において回転軸4、回転フィン3は回転している。まず、前出図20の基準位置から回転フィンを左方向に揺動させる場合について説明する。図21に回転フィンの左揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面時計回り方向に回転する。このため、モータ回転軸Sに止着されているロッド駆動ギア部材80も、紙面時計回り方向に回転する。ここで、ロッド駆動ギア部材80の駆動歯部800と、摺動ロッド81の従動歯部811とは、噛合している。このため、摺動ロッド81は、右方向にスライドする。摺動ロッド81の係合凹部810には、回転中の回転フィン3の円周リブ32が挿入されている。このため、摺動ロッド81が右方向にスライドすると、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面時計回り方向に揺動する。したがって、回転フィン3の後端は、車室内から見て左側を向く。なお、回転フィン3の左方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、右リミットセンサ(図略)がロッド駆動ギア部材80の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0074】
次いで、前出図20の基準位置から回転フィンを右方向に揺動させる場合について説明する。図22に回転フィンの右揺動位置における状態を模式的に示す。揺動用ステッピングモータM2が駆動すると、モータ回転軸Sが紙面反時計回り方向に回転する。このため、ロッド駆動ギア部材80も紙面反時計回り方向に回転する。したがって、摺動ロッド81は、左方向にスライドする。摺動ロッド81が左方向にスライドすると、回転フィン3は、第一ピン40を中心に紙面反時計回り方向に揺動する。このため、回転フィン3の後端は、車室内から見て右側を向く。なお、回転フィン3の右方向への揺動が限界位置に差し掛かったことは、左リミットセンサ(図略)がロッド駆動ギア部材80の揺動方向端を検知することにより認識される。
【0075】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用効果について説明する。本実施形態の空調用レジスタ1は、第一実施形態の空調用レジスタと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、摺動ロッド81は回転しない。このため、空調用レジスタ1の構造が単純になる。また、本実施形態の空調用レジスタ1によると、摺動ロッド81の係合凹部810が円周リブ32を案内することにより、回転フィン3を揺動させることができる。すなわち、比較的簡単な機構で、回転する回転フィン3を揺動させることができる。
【0076】
<その他>
以上、本発明の空調用レジスタの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態においては、回転軸4を左右方向に延設したが、上下方向に延設してもよい。また、上記実施形態においては、回転フィン3を回転用ステッピングモータM1、揺動用ステッピングモータM2により自動的に操作したが、勿論、回転フィン3を手動で操作してもよい。また、回転軸4および第一ピン40は、一体に形成してもよい。並びに、第一往復動ロッド5および第二ピン50は、一体に形成してもよい。
【0078】
また、第一凹部(上記実施形態においてはフィン側第一ピン収容部302a、302b、蓋側第一ピン収容部312a、312bにより形成される空間)と、第一凸部(上記実施形態においては第一ピン40)との配置は、逆であってもよい。つまり、第一凹部を回転軸4に、第一凸部を回転フィン3に、それぞれ配置してもよい。
【0079】
同様に、第二凹部(上記実施形態においてはフィン側第二ピン収容部304a、304b、蓋側第二ピン収容部314a、314bにより形成される空間)と、第二凸部(上記実施形態においては第二ピン50)との配置は、逆であってもよい。つまり、第二凹部を第一往復動ロッド5に、第二凸部を回転フィン3に、それぞれ配置してもよい。
【0080】
同様に、第三凹部(上記実施形態においては係合凹部810)と第三凸部(上記実施形態においては円周リブ32)との配置は、逆であってもよい。つまり、第三凹部を回転フィン3外周縁に、第三凸部を摺動ロッド81に、それぞれ配置してもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、車両のエアコン用として本発明の空調用レジスタを具現化したが、例えば家屋用、船舶用、航空機用など他のエアコン用として本発明の空調用レジスタを具現化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第一実施形態の空調用レジスタの正面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図2の右側の空調用レジスタの拡大図である。
【図4】同空調用レジスタの斜視図である。
【図5】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図6】同空調用レジスタの回転フィンの分解斜視図である。
【図7】同空調用レジスタの回転フィンの取り付け工程図である。
【図8】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図9】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図10】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【図11】第二実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図である。
【図12】同空調用レジスタの斜視図である。
【図13】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図14】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図15】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図16】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【図17】第三実施形態の空調用レジスタの上方から見た断面図である。
【図18】同空調用レジスタの斜視図である。
【図19】同空調用レジスタの分解斜視図である。
【図20】同空調用レジスタの回転フィンの基準位置における模式図である。
【図21】同空調用レジスタの回転フィンの左揺動位置における模式図である。
【図22】同空調用レジスタの回転フィンの右揺動位置における模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1:空調用レジスタ、2:リテーナ、20:通風路、21:吹出口、22:横フィン、3:回転フィン、30:フィン本体、300:フィン凹部、301:フィン側回転軸用孔、302a:フィン側第一ピン収容部(第一凹部)、302b:フィン側第一ピン収容部(第一凹部)、303:フィン側ロッド用孔、304a:フィン側第二ピン収容部(第二凹部)、304b:フィン側第二ピン収容部(第二凹部)、31:蓋部材、311:蓋側回転軸用孔、312a:蓋側第一ピン収容部(第一凹部)、312b:蓋側第一ピン収容部(第一凹部)、313:蓋側ロッド用孔、314a:蓋側第二ピン収容部(第二凹部)、314b:蓋側第二ピン収容部(第二凹部)、32:円周リブ(第三凸部)、4:回転軸、40:第一ピン(第一凸部)、41:第一ピン用孔、5:第一往復動ロッド(第一往復動部材)、50:第二ピン(第二凸部)、51:第二ピン用孔、6:往復動ドラム部材(筒状往復動ギア部材)、60:往復動用駆動ギア部材、600:往復動用駆動歯部、61:往復動用歯部、7:揺動ドラム部材(筒状揺動ギア部材)、70:揺動用駆動ギア部材、700:揺動用駆動歯部、71:揺動用歯部、72a:揺動支持壁、72b:揺動支持壁、73:回転軸用ピン、74:ロッド用ピン、80:ロッド駆動ギア部材、800:駆動歯部、81:摺動ロッド(第三往復動部材)、810:係合凹部(第三凹部)、811:従動歯部、9:センタークラスタ、90:ナビゲーションシステム用スペース。
G1:大ギア、G2:小ギア、L:左リミットセンサ、M1:回転用ステッピングモータ、M2:揺動用ステッピングモータ、O:原点センサ、R:右リミットセンサ、S:モータ回転軸、S’:モータ回転軸、W:窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通風路を区画する筒状のリテーナと、該通風路に回転可能に配置される回転フィンと、該回転フィンを支持し該回転フィンと共に回転可能な回転軸と、該回転フィンを該回転軸の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材と、を備えてなる空調用レジスタ。
【請求項2】
前記回転フィンおよび前記回転軸のうち、一方には第一凸部が配置されており、他方には該第一凸部と揺動可能に係合する第一凹部が配置されている請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転し、該回転軸に対して略平行に往復動可能な第一往復動部材である請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項4】
前記回転フィンおよび前記第一往復動部材のうち、一方には第二凸部が配置されており、他方には該第二凸部と揺動可能に係合する第二凹部が配置されている請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項5】
さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が往復動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する第二往復動部材を備える請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項6】
前記第二往復動部材は、前記回転軸に対して略平行に往復動可能に環装され、外周面の軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部を持つ筒状往復動ギア部材であり、
さらに、該回転軸と共に回転せず、該往復動用歯部に摺接しながら噛合する往復動用駆動歯部を持つ往復動用駆動ギア部材を備える請求項5に記載の空調用レジスタ。
【請求項7】
さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が揺動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する揺動部材を備える請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項8】
前記揺動部材は、前記回転軸に揺動可能に支持され、外周面の軸方向に凹凸が連なる揺動用歯部を持つ筒状揺動ギア部材であり、
さらに、該回転軸と共に回転せず、該揺動用歯部に摺接しながら噛合する揺動用駆動歯部を持つ揺動用駆動ギア部材を備える請求項7に記載の空調用レジスタ。
【請求項9】
前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転せず、該回転軸に対して略平行に往復動可能であり、前記回転フィンの外縁に摺接しながら該外縁を押し引き可能な第三往復動部材である請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項10】
前記回転フィンの外縁および前記第三往復動部材のうち、一方には第三凸部が配置されており、他方には該第三凸部と摺動可能に係合する第三凹部が配置されている請求項9に記載の空調用レジスタ。
【請求項11】
前記回転フィンの外縁は、略真円状を呈している請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項1】
内部に通風路を区画する筒状のリテーナと、該通風路に回転可能に配置される回転フィンと、該回転フィンを支持し該回転フィンと共に回転可能な回転軸と、該回転フィンを該回転軸の回転方向に対して交わる方向に揺動させる揺動力伝達部材と、を備えてなる空調用レジスタ。
【請求項2】
前記回転フィンおよび前記回転軸のうち、一方には第一凸部が配置されており、他方には該第一凸部と揺動可能に係合する第一凹部が配置されている請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転し、該回転軸に対して略平行に往復動可能な第一往復動部材である請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項4】
前記回転フィンおよび前記第一往復動部材のうち、一方には第二凸部が配置されており、他方には該第二凸部と揺動可能に係合する第二凹部が配置されている請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項5】
さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が往復動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する第二往復動部材を備える請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項6】
前記第二往復動部材は、前記回転軸に対して略平行に往復動可能に環装され、外周面の軸方向に凹凸が連なる往復動用歯部を持つ筒状往復動ギア部材であり、
さらに、該回転軸と共に回転せず、該往復動用歯部に摺接しながら噛合する往復動用駆動歯部を持つ往復動用駆動ギア部材を備える請求項5に記載の空調用レジスタ。
【請求項7】
さらに、前記回転軸と共に回転し、前記第一往復動部材の一端を支持し、自身が揺動することにより該第一往復動部材に駆動力を伝達する揺動部材を備える請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項8】
前記揺動部材は、前記回転軸に揺動可能に支持され、外周面の軸方向に凹凸が連なる揺動用歯部を持つ筒状揺動ギア部材であり、
さらに、該回転軸と共に回転せず、該揺動用歯部に摺接しながら噛合する揺動用駆動歯部を持つ揺動用駆動ギア部材を備える請求項7に記載の空調用レジスタ。
【請求項9】
前記揺動力伝達部材は、前記回転軸と共に回転せず、該回転軸に対して略平行に往復動可能であり、前記回転フィンの外縁に摺接しながら該外縁を押し引き可能な第三往復動部材である請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項10】
前記回転フィンの外縁および前記第三往復動部材のうち、一方には第三凸部が配置されており、他方には該第三凸部と摺動可能に係合する第三凹部が配置されている請求項9に記載の空調用レジスタ。
【請求項11】
前記回転フィンの外縁は、略真円状を呈している請求項1に記載の空調用レジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−7945(P2006−7945A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187356(P2004−187356)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
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