空調装置における室内機の転倒防止構造
【課題】たとえ地震等が発生しても、室内に載置された室内機の転倒を確実に防止する。
【解決手段】壁面Kに沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造で、室内機の上部に、アリ溝12aが設けられ、そのアリ溝12aに沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具25,26が設けられ、壁面Kに固定可能な転倒防止金具27がネジ具25,26に連結されている。
【解決手段】壁面Kに沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造で、室内機の上部に、アリ溝12aが設けられ、そのアリ溝12aに沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具25,26が設けられ、壁面Kに固定可能な転倒防止金具27がネジ具25,26に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置における室内機としては、従来、室内機の下部に室内載置用のプレート状のベース部材を取り付け、そのベース部材を室内の床面などに載置して、室内機を室内の壁面に沿って自立状態で維持する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3170417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記公報に記載の室内機では、室内機下部のベース部材により室内機を自立させているだけで、室内機専用の転倒防止構造が設けられていないため、地震等が発生した場合、室内に載置された室内機が転倒して、室内機の近く居る人を傷つけたり、室内機の近くにある家具などを傷つける可能性がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な転倒防止構造を採用することで上記の如き問題を確実に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造であって、室内機の上部に、アリ溝が設けられ、そのアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、前記壁面に固定可能な転倒防止金具が前記ネジ具に連結されている点にある。
【0007】
この構成によれば、室内機を室内の壁面に沿って載置した状態で、その室内機の背面に位置する壁面に対し、転倒防止金具を介して室内機を確実に固定することができる。
【0008】
即ち、室内機を室内の壁面に沿う所望位置に載置した際、その室内機の背面に位置する壁面は必ずしも平坦な面とは限らず、例えば、壁面に凹凸や障害物などが存在する場合がある。その場合、転倒防止金具が室内機に固定された状態であると、転倒防止金具が壁面の凹部と凸部とに跨って位置したり、障害物と干渉することがあり、その場合には、転倒防止金具を壁面側へ強固に固定することができなくなる。
【0009】
また、壁面がベニヤ板や石膏ボード等の脆弱な材料の場合、壁面裏側には所定間隔で支持材が配置されて補強されているため、たとえ壁面が平坦であっても、転倒防止金具が室内機に固定された状態であると、転倒防止金具が壁面裏側の支持材に対応する位置に配置できないこともある。その場合、例えば、転倒防止金具をビス等のネジ具により壁面に固定しようとすると、比較的薄い壁板にネジ具を螺合して固定せざるを得ず、ネジ具によって転倒防止金具を壁面側へ強固に固定することができなくなる。
【0010】
本発明によれば、室内機上部のアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、壁面に固定可能な転倒防止金具がネジ具に連結されているので、例えば、転倒防止金具を壁面の凹部又は凸部に対応する位置までスライドさせたり、障害物を回避する位置までスライドさせることによって、転倒防止金具を壁面に対して強固に固定することができ、室内機の転倒を確実に防止することができる。
また、壁面がベニヤ板や石膏ボード等の脆弱な材料の場合、転倒防止金具を壁面裏側の支持材に対応する位置までスライドさせ、ネジ具を支持材に螺合させて壁面側へ固定することが可能となって、転倒防止金具の壁面に対する固定は強固なものとなり、室内機の転倒を確実に防止することができる。
その結果、室内機の背面に位置する壁面の状況の如何にかかわらず、室内機の背面に位置する壁面に対し、転倒防止金具を介して室内機を確実に固定して、たとえ地震等による強い揺れに対しても室内機の転倒を防止することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記ネジ具が挿通するネジ孔が、前記転倒防止金具に設けられ、前記アリ溝に挿入した状態でアリ溝に沿ってスライド自在な舌片が、前記ネジ孔から離れた位置で前記転倒防止金具に突設されている点にある。
【0012】
この構成によれば、転倒防止金具をアリ溝に沿ってスライドさせる際、舌片がアリ溝に対する案内部材として機能し、転倒防止金具の姿勢維持に寄与するばかりか、転倒防止金具のネジ孔に挿通したネジ具を締め付ける際、舌片がアリ溝の縁部に当接することで、ネジ具の軸芯周りでの転倒防止金具の回転が阻止され、ネジ具の締め付け操作を容易、確実に行うことができる。
そして、室内機が転倒しようとすると、その舌片がアリ溝の縁部に当接し、場合によっては、舌片とネジ具の両方がアリ溝の縁部に当接して、室内機の壁面から遠ざかる方向への転倒を阻止するので、室内機の転倒をより確実に防止することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記舌片が、前記ネジ孔を中心として前記壁面に沿って左右に一対突設されている点にある。
【0014】
この構成によれば、ネジ孔に挿通したネジ具を締め付ける際のネジ具の回転操作方向の如何にかかわらず、左右一対の舌片のいずれか一方が、直ちにアリ溝の縁部に当接することになり、ネジ具の回転操作に伴う転倒防止金具の回転移動を阻止するため、ネジ具の締め付け作業を迅速に行うことができる。さらに、室内機が転倒しようとすると、その一対の舌片がアリ溝の縁部に当接し、場合によっては、一対の舌片とネジ具がアリ溝の縁部に当接して室内機の壁面から遠ざかる方向への転倒を阻止するので、室内機の転倒をより一層確実に防止することができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記転倒防止金具が、前記壁面に沿う縦片部、その縦片部から前記アリ溝側へ延出して前記ネジ孔を有する横片部、及び、前記横片部の左右に位置して前記アリ溝側へ延出する前記一対の舌片を一体的に備えている点にある。
【0016】
この構成によれば、縦片部、横片部、及び、その横片部の左右に位置する一対の舌片を折曲する前の形状が、矩形に近い形状となるので、転倒防止金具を鉄板などの金属製の板材から形成する際に歩留よく、つまり、原材料となる板材の面積に対して無駄となる面積量を極力少なくして形成することができ、製作コストの低減を図ることができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記アリ溝を有する上部フレームが、そのアリ溝の開口部を上方にして前記室内機の上部に配設され、その上部フレームと同じ下部フレームが、そのアリ溝の開口部を下方にして前記室内機の下部に配設され、その下部フレームのアリ溝に係合するネジ具によって前記室内機のベースが締め付け固定されている点にある。
【0018】
この構成によれば、転倒防止金具を室内機側に固定するための上部フレームと室内機のベースを室内機側に固定するための下部フレームを同じフレームで兼用することができ、その結果、フレーム材の必要種数を少なくして製作コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】転倒防止構造の斜視図
【図11】転倒防止金具の形成前及び形成後を示す斜視図
【図12】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【図13】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【図14】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1は、室内の壁面Kに沿って床面などに載置されるもので、機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0021】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0022】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0023】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0024】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0025】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0026】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0027】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0028】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差による比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0029】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0030】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0031】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0032】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0033】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0034】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0035】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0036】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の壁面Kが冷却されて、その背面側壁面Kの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0037】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0038】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0039】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0040】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0041】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの低温化又は高温化を面方向において一層均一なものにする。
【0042】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0043】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0044】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0045】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0046】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0047】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0048】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0049】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0050】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0051】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0052】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0053】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0054】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0055】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0056】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に載置する。
【0057】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0058】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、左右方向に延びる浅器状の樹脂製ドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、ドレン受具22の下面に形成した一対の脚部22aを介して中空状に載置してある。
【0059】
ドレン受具22には、その長手方向(左右方向)の全長にわたらせて底部の前後中央箇所から下方に突出するスリット状の排水筒部22bを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22bは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0060】
吸放熱エレメント3は、その下端をドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状排水筒部22bに上方から挿通した状態にする。
【0061】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17a及びドレン受具22の底部(脚部22a形成部分の底部)に貫通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部にねじ込むことで、前後のエレメント下部支持フレーム17に連結してある。
【0062】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0063】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22bを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0064】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0065】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0066】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0067】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0068】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0069】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0070】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0071】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部、つまり、アリ溝12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、アリ溝12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置し、上面視においてほぼ長方形の室内機1を壁面Kに沿って配置することで、上部フレーム12のアリ溝12aが壁面Kに沿うようにしてある。
【0072】
そして、図1,図5,図10に示すように、後側の上部フレーム12のアリ溝12a内には、1本のボルト25のボルト頭が、アリ溝12aの上下方向及び幅方向において、スライドできる程度のわずかな融通のある状態で挿入され、それによって、ボルト25のアリ溝12aに対する外れ止めと回転止めが確保され、そのボルト25には、ナット26の螺着によりL字状横断面形状の転倒防止金具27における横片部27aを連結してある。つまり、ボルト25とナット26からなるネジ具が、上部フレーム12に対して締め付け可能に構成され、そのネジ具25、26に転倒防止金具27が連結されている。
【0073】
図11の(b)に示すように、転倒防止金具27は、横片部27aと、その横片部27aに対して直角に折曲された縦片部27bと、その横片部27aの左右において、横片部27aに対して縦片部27bとは反対側に直角に折曲された一対の舌片27cを備えており、それらが鉄板などの金属製の板材から一体的に形成されている。この転倒防止金具27は、折曲形成する前の形状が、図11の(a)に示すように、矩形に近い形状となるため、金属製の板材から形成する際に歩留よく形成できる。
そして、横片部27aには、ボルト25を挿通するための前後方向に長い長孔状のネジ孔27d、つまり、アリ溝12aから壁面Kまでの距離を微調整できるように長孔状に形成されたネジ孔27dが1つ設けられ、縦片部27bには、壁面Kへ固定するためのビス27fを挿通するビス孔27eが3つ設けられている。
【0074】
ボルト25とナット26により転倒防止金具27を上部フレーム12に固定する際、転倒防止金具27の横片部27aから下方へ突出する一対の舌片27cが、上部フレーム12のアリ溝12aの開口部において、その後方側の開口縁部に摺接するように設定されている。そのため、転倒防止金具27を取り付け姿勢に維持したままで、図10に仮想線で示すように、転倒防止金具27をボルト25とともにアリ溝12aに沿わせて横移動させることができる。また、ナット26を締め付ける際には、転倒防止金具27がボルト25の縦軸芯周りで回転するのを阻止した状態で締め付けることができるので、ナット26の締め付け操作を容易に行うことができる。
そして、ナット26を締め付けた状態では、横片部27aの先端部(ネジ孔27dの周囲部位)とアリ溝12aの開口縁部とが、ボルト25の頭とナット26との間に挟み込まれて締め付けられるので、その結果、転倒防止金具27がフレーム12に強固に連結される。
【0075】
したがって、背面側の壁面Kに対する転倒防止金具27の連結固定に際しては、転倒防止金具27の適当な連結位置を壁面Kの状況に応じて選択し、例えば、壁面Kに凹凸がある場合、その凹凸を避けた平坦な壁面Kにおいて、転倒防止金具27の縦片部27bを壁面Kに対して3本のビス27fで連結固定することで、転倒防止金具27を壁面Kに確実に固定することができる。また、転倒防止金具27の上部フレーム12への連結固定に際しては、上述したように、ナット26の締め付けにより転倒防止金具27の横片部27aの先端部とアリ溝12aの開口縁部とをボルト25の頭とナット26との間に挟み込んで上部フレーム12へ確実に連結固定することができる。その結果、転倒防止金具27を介して、室内機1を壁面Kへ強固に連結固定して、地震等による室内機1の転倒を防止することができる。なお、場合によっては、壁面Kに凹凸を避けた状態で、平坦な壁面Kに対して縦片部27bを接着剤により接着固定することもできる。
【0076】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するアリ溝16aを下部に備えるフレーム材で形成されている。これら下部フレーム16は、アリ溝16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21に連結されていて、ボルト28とナット29からなるネジ具の締め付けにより、ベース21と下部フレーム16とを連結固定可能にしてある。
【0077】
なお、転倒防止金具27の連結及びベース21の連結において、各ボルト25,28に対しナット26,29を締め込む際の各ボルト25,28の供回りは、各ボルト25,28のボルト頭とアリ溝12a,16aとの係合により阻止されるようにしてある。
【0078】
横断面形状がC字状のアリ溝12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通する同じフレーム材、例えば、アルミの押し出し成型品により形成してあり、アリ溝12a,16aを備える共通フレーム材を、そのアリ溝12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0079】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通する同じフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0080】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0081】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0082】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0083】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0084】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してある。これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0085】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0086】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0087】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0088】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0089】
また、図4に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン内水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bを深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0090】
この排水制御について具体的には、第1及び第2フロートスイッチ35a,35bはいずれも、ドレンパン18内の水位が各々のオンオフ水位より高くなるとオン動作し、水位が各々のオンオフ水位より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位を第1フロートスイッチ35aのオンオフ水位より高くしてある。
【0091】
制御器33の具体的制御動作としては、水位上昇により第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0092】
そして、この排水開始による水位低下で第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0093】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より低位に保つ。
【0094】
一方、ドレンパン18への結露水の流入に対し、第1フロートスイッチ35aの故障などによる排水不良で、ドレンパン18内の水位が第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、圧縮機を停止して冷媒Rの循環を停止するとともに、ドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0095】
また、制御器33は第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止する。
【0096】
即ち、排水不良の発生に対し、圧縮機を停止して以降の結露水の発生を無くした状態で、ドレンポンプ20を設定保全時間T2にわたって運転することにより、水位上昇したドレンパン18内の貯留水を迅速に排出し、これにより、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを防止する。
【0097】
なお、設定保全時間T2としては、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量をドレンポンプ20の運転により排出するのに足りる時間を設定してある。
【0098】
ドレンパン18の容量は、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを回避できるようにしてある。
【0099】
また、本例では、設定排水時間T1として、第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位がドレンポンプ20の運転による排水で排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0100】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また、ドレンポンプ20は、ドレンパン18から下方に延出させたる排水管19のポケット配管部(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してあり、これにより、設定排水時間T1の上記の如き設定とも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、送水すべき水がポンプに存在しない状態でのポンプ運転)を防止する。
【0101】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0102】
上述の実施形態では、転倒防止金具27において、横片部27aの先端部分(ネジ孔27dの周囲部位)を挟んでその左右に、壁面Kに沿う方向に平坦な一対の舌片27cを設けた例を示したが、転倒防止金具27の具体的な構成については、種々の改変が可能である。
例えば、図12に示すように、横片部27aをほぼ矩形にして、その横片部27aの左右に、壁面Kに直交する方向に平坦な一対の舌片27cを一体的に突設することも、また、図13に示すように、横片部27aの先端部分を二股状にして、その二股状の先端部分の夫々にネジ孔27dを設け、壁面Kに沿う方向に平坦な舌片27cを両先端部分の間に位置するように設けることもできる。
さらに、図14に示すように、横片部27aの中央部分にネジ孔27dを設け、そのネジ孔27dの左右に位置する状態で、前後一対の舌片27cを夫々設けて実施することもできる。
なお、これら別実施形態を示す図12〜図14において、その他の符号は、先の実施形態で説明したものと同じ構成を示す。
要するに、舌片27cやネジ孔27dの個数は、任意に選択可能であり、場合によっては、舌片27cを設けることなく実施することもできる。さらに、転倒防止金具27についても、必ずしも金属製の板材から折曲形成する必要はなく、例えば、合成樹脂などにより形成することもできる。
【0103】
上述の実施形態では、上部フレーム12と下部フレーム16を夫々室内機1の前後方向に一対ずつ設けた例を示したが、これらフレーム12,16の本数は任意であり、例えば、上部フレーム12と下部フレーム16を1本ずつ設けることも、また、3本以上設けることもできる。
また、上部フレーム12及び下部フレーム16のアリ溝として、横断面形状がC字状のアリ溝12a,16aを例示したが、本発明におけるアリ溝とは、横断面形状において、その開口部が狭く、奥が広い係合溝の総称であり、したがって、必ずしもC字状に限るものではない。
【符号の説明】
【0104】
1 室内機
12 上部フレーム
12a 上部フレームのアリ溝
16 下部フレーム
16a 下部フレームのアリ溝
25,26 ネジ具
27 転倒防止金具
27a 横片部
27b 縦片部
27c 舌片
27d ネジ孔
28,29 ネジ具
K 壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置における室内機としては、従来、室内機の下部に室内載置用のプレート状のベース部材を取り付け、そのベース部材を室内の床面などに載置して、室内機を室内の壁面に沿って自立状態で維持する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3170417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記公報に記載の室内機では、室内機下部のベース部材により室内機を自立させているだけで、室内機専用の転倒防止構造が設けられていないため、地震等が発生した場合、室内に載置された室内機が転倒して、室内機の近く居る人を傷つけたり、室内機の近くにある家具などを傷つける可能性がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な転倒防止構造を採用することで上記の如き問題を確実に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造であって、室内機の上部に、アリ溝が設けられ、そのアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、前記壁面に固定可能な転倒防止金具が前記ネジ具に連結されている点にある。
【0007】
この構成によれば、室内機を室内の壁面に沿って載置した状態で、その室内機の背面に位置する壁面に対し、転倒防止金具を介して室内機を確実に固定することができる。
【0008】
即ち、室内機を室内の壁面に沿う所望位置に載置した際、その室内機の背面に位置する壁面は必ずしも平坦な面とは限らず、例えば、壁面に凹凸や障害物などが存在する場合がある。その場合、転倒防止金具が室内機に固定された状態であると、転倒防止金具が壁面の凹部と凸部とに跨って位置したり、障害物と干渉することがあり、その場合には、転倒防止金具を壁面側へ強固に固定することができなくなる。
【0009】
また、壁面がベニヤ板や石膏ボード等の脆弱な材料の場合、壁面裏側には所定間隔で支持材が配置されて補強されているため、たとえ壁面が平坦であっても、転倒防止金具が室内機に固定された状態であると、転倒防止金具が壁面裏側の支持材に対応する位置に配置できないこともある。その場合、例えば、転倒防止金具をビス等のネジ具により壁面に固定しようとすると、比較的薄い壁板にネジ具を螺合して固定せざるを得ず、ネジ具によって転倒防止金具を壁面側へ強固に固定することができなくなる。
【0010】
本発明によれば、室内機上部のアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、壁面に固定可能な転倒防止金具がネジ具に連結されているので、例えば、転倒防止金具を壁面の凹部又は凸部に対応する位置までスライドさせたり、障害物を回避する位置までスライドさせることによって、転倒防止金具を壁面に対して強固に固定することができ、室内機の転倒を確実に防止することができる。
また、壁面がベニヤ板や石膏ボード等の脆弱な材料の場合、転倒防止金具を壁面裏側の支持材に対応する位置までスライドさせ、ネジ具を支持材に螺合させて壁面側へ固定することが可能となって、転倒防止金具の壁面に対する固定は強固なものとなり、室内機の転倒を確実に防止することができる。
その結果、室内機の背面に位置する壁面の状況の如何にかかわらず、室内機の背面に位置する壁面に対し、転倒防止金具を介して室内機を確実に固定して、たとえ地震等による強い揺れに対しても室内機の転倒を防止することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記ネジ具が挿通するネジ孔が、前記転倒防止金具に設けられ、前記アリ溝に挿入した状態でアリ溝に沿ってスライド自在な舌片が、前記ネジ孔から離れた位置で前記転倒防止金具に突設されている点にある。
【0012】
この構成によれば、転倒防止金具をアリ溝に沿ってスライドさせる際、舌片がアリ溝に対する案内部材として機能し、転倒防止金具の姿勢維持に寄与するばかりか、転倒防止金具のネジ孔に挿通したネジ具を締め付ける際、舌片がアリ溝の縁部に当接することで、ネジ具の軸芯周りでの転倒防止金具の回転が阻止され、ネジ具の締め付け操作を容易、確実に行うことができる。
そして、室内機が転倒しようとすると、その舌片がアリ溝の縁部に当接し、場合によっては、舌片とネジ具の両方がアリ溝の縁部に当接して、室内機の壁面から遠ざかる方向への転倒を阻止するので、室内機の転倒をより確実に防止することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記舌片が、前記ネジ孔を中心として前記壁面に沿って左右に一対突設されている点にある。
【0014】
この構成によれば、ネジ孔に挿通したネジ具を締め付ける際のネジ具の回転操作方向の如何にかかわらず、左右一対の舌片のいずれか一方が、直ちにアリ溝の縁部に当接することになり、ネジ具の回転操作に伴う転倒防止金具の回転移動を阻止するため、ネジ具の締め付け作業を迅速に行うことができる。さらに、室内機が転倒しようとすると、その一対の舌片がアリ溝の縁部に当接し、場合によっては、一対の舌片とネジ具がアリ溝の縁部に当接して室内機の壁面から遠ざかる方向への転倒を阻止するので、室内機の転倒をより一層確実に防止することができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記転倒防止金具が、前記壁面に沿う縦片部、その縦片部から前記アリ溝側へ延出して前記ネジ孔を有する横片部、及び、前記横片部の左右に位置して前記アリ溝側へ延出する前記一対の舌片を一体的に備えている点にある。
【0016】
この構成によれば、縦片部、横片部、及び、その横片部の左右に位置する一対の舌片を折曲する前の形状が、矩形に近い形状となるので、転倒防止金具を鉄板などの金属製の板材から形成する際に歩留よく、つまり、原材料となる板材の面積に対して無駄となる面積量を極力少なくして形成することができ、製作コストの低減を図ることができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記アリ溝を有する上部フレームが、そのアリ溝の開口部を上方にして前記室内機の上部に配設され、その上部フレームと同じ下部フレームが、そのアリ溝の開口部を下方にして前記室内機の下部に配設され、その下部フレームのアリ溝に係合するネジ具によって前記室内機のベースが締め付け固定されている点にある。
【0018】
この構成によれば、転倒防止金具を室内機側に固定するための上部フレームと室内機のベースを室内機側に固定するための下部フレームを同じフレームで兼用することができ、その結果、フレーム材の必要種数を少なくして製作コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】転倒防止構造の斜視図
【図11】転倒防止金具の形成前及び形成後を示す斜視図
【図12】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【図13】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【図14】転倒防止金具の別実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1は、室内の壁面Kに沿って床面などに載置されるもので、機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0021】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0022】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0023】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0024】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0025】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0026】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0027】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0028】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差による比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0029】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0030】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0031】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0032】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0033】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0034】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0035】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0036】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の壁面Kが冷却されて、その背面側壁面Kの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0037】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0038】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0039】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0040】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0041】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの低温化又は高温化を面方向において一層均一なものにする。
【0042】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0043】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0044】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0045】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0046】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0047】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0048】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0049】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0050】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0051】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0052】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0053】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0054】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0055】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0056】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に載置する。
【0057】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0058】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、左右方向に延びる浅器状の樹脂製ドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、ドレン受具22の下面に形成した一対の脚部22aを介して中空状に載置してある。
【0059】
ドレン受具22には、その長手方向(左右方向)の全長にわたらせて底部の前後中央箇所から下方に突出するスリット状の排水筒部22bを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22bは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0060】
吸放熱エレメント3は、その下端をドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状排水筒部22bに上方から挿通した状態にする。
【0061】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17a及びドレン受具22の底部(脚部22a形成部分の底部)に貫通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部にねじ込むことで、前後のエレメント下部支持フレーム17に連結してある。
【0062】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0063】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22bを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0064】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0065】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0066】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0067】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0068】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0069】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0070】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0071】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部、つまり、アリ溝12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、アリ溝12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置し、上面視においてほぼ長方形の室内機1を壁面Kに沿って配置することで、上部フレーム12のアリ溝12aが壁面Kに沿うようにしてある。
【0072】
そして、図1,図5,図10に示すように、後側の上部フレーム12のアリ溝12a内には、1本のボルト25のボルト頭が、アリ溝12aの上下方向及び幅方向において、スライドできる程度のわずかな融通のある状態で挿入され、それによって、ボルト25のアリ溝12aに対する外れ止めと回転止めが確保され、そのボルト25には、ナット26の螺着によりL字状横断面形状の転倒防止金具27における横片部27aを連結してある。つまり、ボルト25とナット26からなるネジ具が、上部フレーム12に対して締め付け可能に構成され、そのネジ具25、26に転倒防止金具27が連結されている。
【0073】
図11の(b)に示すように、転倒防止金具27は、横片部27aと、その横片部27aに対して直角に折曲された縦片部27bと、その横片部27aの左右において、横片部27aに対して縦片部27bとは反対側に直角に折曲された一対の舌片27cを備えており、それらが鉄板などの金属製の板材から一体的に形成されている。この転倒防止金具27は、折曲形成する前の形状が、図11の(a)に示すように、矩形に近い形状となるため、金属製の板材から形成する際に歩留よく形成できる。
そして、横片部27aには、ボルト25を挿通するための前後方向に長い長孔状のネジ孔27d、つまり、アリ溝12aから壁面Kまでの距離を微調整できるように長孔状に形成されたネジ孔27dが1つ設けられ、縦片部27bには、壁面Kへ固定するためのビス27fを挿通するビス孔27eが3つ設けられている。
【0074】
ボルト25とナット26により転倒防止金具27を上部フレーム12に固定する際、転倒防止金具27の横片部27aから下方へ突出する一対の舌片27cが、上部フレーム12のアリ溝12aの開口部において、その後方側の開口縁部に摺接するように設定されている。そのため、転倒防止金具27を取り付け姿勢に維持したままで、図10に仮想線で示すように、転倒防止金具27をボルト25とともにアリ溝12aに沿わせて横移動させることができる。また、ナット26を締め付ける際には、転倒防止金具27がボルト25の縦軸芯周りで回転するのを阻止した状態で締め付けることができるので、ナット26の締め付け操作を容易に行うことができる。
そして、ナット26を締め付けた状態では、横片部27aの先端部(ネジ孔27dの周囲部位)とアリ溝12aの開口縁部とが、ボルト25の頭とナット26との間に挟み込まれて締め付けられるので、その結果、転倒防止金具27がフレーム12に強固に連結される。
【0075】
したがって、背面側の壁面Kに対する転倒防止金具27の連結固定に際しては、転倒防止金具27の適当な連結位置を壁面Kの状況に応じて選択し、例えば、壁面Kに凹凸がある場合、その凹凸を避けた平坦な壁面Kにおいて、転倒防止金具27の縦片部27bを壁面Kに対して3本のビス27fで連結固定することで、転倒防止金具27を壁面Kに確実に固定することができる。また、転倒防止金具27の上部フレーム12への連結固定に際しては、上述したように、ナット26の締め付けにより転倒防止金具27の横片部27aの先端部とアリ溝12aの開口縁部とをボルト25の頭とナット26との間に挟み込んで上部フレーム12へ確実に連結固定することができる。その結果、転倒防止金具27を介して、室内機1を壁面Kへ強固に連結固定して、地震等による室内機1の転倒を防止することができる。なお、場合によっては、壁面Kに凹凸を避けた状態で、平坦な壁面Kに対して縦片部27bを接着剤により接着固定することもできる。
【0076】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するアリ溝16aを下部に備えるフレーム材で形成されている。これら下部フレーム16は、アリ溝16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21に連結されていて、ボルト28とナット29からなるネジ具の締め付けにより、ベース21と下部フレーム16とを連結固定可能にしてある。
【0077】
なお、転倒防止金具27の連結及びベース21の連結において、各ボルト25,28に対しナット26,29を締め込む際の各ボルト25,28の供回りは、各ボルト25,28のボルト頭とアリ溝12a,16aとの係合により阻止されるようにしてある。
【0078】
横断面形状がC字状のアリ溝12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通する同じフレーム材、例えば、アルミの押し出し成型品により形成してあり、アリ溝12a,16aを備える共通フレーム材を、そのアリ溝12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0079】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通する同じフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0080】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0081】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0082】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0083】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0084】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してある。これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0085】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0086】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0087】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0088】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0089】
また、図4に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン内水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bを深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0090】
この排水制御について具体的には、第1及び第2フロートスイッチ35a,35bはいずれも、ドレンパン18内の水位が各々のオンオフ水位より高くなるとオン動作し、水位が各々のオンオフ水位より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位を第1フロートスイッチ35aのオンオフ水位より高くしてある。
【0091】
制御器33の具体的制御動作としては、水位上昇により第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0092】
そして、この排水開始による水位低下で第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0093】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より低位に保つ。
【0094】
一方、ドレンパン18への結露水の流入に対し、第1フロートスイッチ35aの故障などによる排水不良で、ドレンパン18内の水位が第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、圧縮機を停止して冷媒Rの循環を停止するとともに、ドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0095】
また、制御器33は第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止する。
【0096】
即ち、排水不良の発生に対し、圧縮機を停止して以降の結露水の発生を無くした状態で、ドレンポンプ20を設定保全時間T2にわたって運転することにより、水位上昇したドレンパン18内の貯留水を迅速に排出し、これにより、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを防止する。
【0097】
なお、設定保全時間T2としては、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量をドレンポンプ20の運転により排出するのに足りる時間を設定してある。
【0098】
ドレンパン18の容量は、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを回避できるようにしてある。
【0099】
また、本例では、設定排水時間T1として、第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位がドレンポンプ20の運転による排水で排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0100】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また、ドレンポンプ20は、ドレンパン18から下方に延出させたる排水管19のポケット配管部(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してあり、これにより、設定排水時間T1の上記の如き設定とも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、送水すべき水がポンプに存在しない状態でのポンプ運転)を防止する。
【0101】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0102】
上述の実施形態では、転倒防止金具27において、横片部27aの先端部分(ネジ孔27dの周囲部位)を挟んでその左右に、壁面Kに沿う方向に平坦な一対の舌片27cを設けた例を示したが、転倒防止金具27の具体的な構成については、種々の改変が可能である。
例えば、図12に示すように、横片部27aをほぼ矩形にして、その横片部27aの左右に、壁面Kに直交する方向に平坦な一対の舌片27cを一体的に突設することも、また、図13に示すように、横片部27aの先端部分を二股状にして、その二股状の先端部分の夫々にネジ孔27dを設け、壁面Kに沿う方向に平坦な舌片27cを両先端部分の間に位置するように設けることもできる。
さらに、図14に示すように、横片部27aの中央部分にネジ孔27dを設け、そのネジ孔27dの左右に位置する状態で、前後一対の舌片27cを夫々設けて実施することもできる。
なお、これら別実施形態を示す図12〜図14において、その他の符号は、先の実施形態で説明したものと同じ構成を示す。
要するに、舌片27cやネジ孔27dの個数は、任意に選択可能であり、場合によっては、舌片27cを設けることなく実施することもできる。さらに、転倒防止金具27についても、必ずしも金属製の板材から折曲形成する必要はなく、例えば、合成樹脂などにより形成することもできる。
【0103】
上述の実施形態では、上部フレーム12と下部フレーム16を夫々室内機1の前後方向に一対ずつ設けた例を示したが、これらフレーム12,16の本数は任意であり、例えば、上部フレーム12と下部フレーム16を1本ずつ設けることも、また、3本以上設けることもできる。
また、上部フレーム12及び下部フレーム16のアリ溝として、横断面形状がC字状のアリ溝12a,16aを例示したが、本発明におけるアリ溝とは、横断面形状において、その開口部が狭く、奥が広い係合溝の総称であり、したがって、必ずしもC字状に限るものではない。
【符号の説明】
【0104】
1 室内機
12 上部フレーム
12a 上部フレームのアリ溝
16 下部フレーム
16a 下部フレームのアリ溝
25,26 ネジ具
27 転倒防止金具
27a 横片部
27b 縦片部
27c 舌片
27d ネジ孔
28,29 ネジ具
K 壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造であって、
室内機の上部に、アリ溝が設けられ、そのアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、前記壁面に固定可能な転倒防止金具が前記ネジ具に連結されている空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項2】
前記ネジ具が挿通するネジ孔が、前記転倒防止金具に設けられ、前記アリ溝に挿入した状態でアリ溝に沿ってスライド自在な舌片が、前記ネジ孔から離れた位置で前記転倒防止金具に突設されている請求項1に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項3】
前記舌片が、前記ネジ孔を中心として前記壁面に沿って左右に一対突設されている請求項2に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項4】
前記転倒防止金具が、前記壁面に沿う縦片部、その縦片部から前記アリ溝側へ延出して前記ネジ孔を有する横片部、及び、前記横片部の左右に位置して前記アリ溝側へ延出する前記一対の舌片を一体的に備えている請求項3に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項5】
前記アリ溝を有する上部フレームが、そのアリ溝の開口部を上方にして前記室内機の上部に配設され、その上部フレームと同じ下部フレームが、そのアリ溝の開口部を下方にして前記室内機の下部に配設され、その下部フレームのアリ溝に係合するネジ具によって前記室内機のベースが締め付け固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項1】
壁面に沿う状態で室内に載置される空調装置における室内機の転倒防止構造であって、
室内機の上部に、アリ溝が設けられ、そのアリ溝に沿ってスライド自在で、かつ、締め付けにより位置固定自在なネジ具が設けられ、前記壁面に固定可能な転倒防止金具が前記ネジ具に連結されている空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項2】
前記ネジ具が挿通するネジ孔が、前記転倒防止金具に設けられ、前記アリ溝に挿入した状態でアリ溝に沿ってスライド自在な舌片が、前記ネジ孔から離れた位置で前記転倒防止金具に突設されている請求項1に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項3】
前記舌片が、前記ネジ孔を中心として前記壁面に沿って左右に一対突設されている請求項2に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項4】
前記転倒防止金具が、前記壁面に沿う縦片部、その縦片部から前記アリ溝側へ延出して前記ネジ孔を有する横片部、及び、前記横片部の左右に位置して前記アリ溝側へ延出する前記一対の舌片を一体的に備えている請求項3に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【請求項5】
前記アリ溝を有する上部フレームが、そのアリ溝の開口部を上方にして前記室内機の上部に配設され、その上部フレームと同じ下部フレームが、そのアリ溝の開口部を下方にして前記室内機の下部に配設され、その下部フレームのアリ溝に係合するネジ具によって前記室内機のベースが締め付け固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調装置における室内機の転倒防止構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−88057(P2013−88057A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229953(P2011−229953)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
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