説明

空調装置の温湿度制御装置と温湿度制御方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整した空調空気を供給する空調装置に関し、特に、温湿度を一定に維持して同一条件で塗装することが望まれる塗装ブースなどに空調空気を供給する場合に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】図3は、外気を所定の温湿度に調温・調湿する一般的な空調装置を示すもので、両端に外気取入口52と空調空気送給口53が夫々形成された空調装置51内に、ワッシャなどの断熱加湿装置54, 冷却装置55, レヒータと称する加熱装置56,前記各装置54〜56で調温/調湿された空調空気を送給する送風ファン57が配設されている(特開平7−174360号公報参照)。また、外気取入口52,冷却装置55の出口側,空調空気送給口53に配設された温湿度計TH0 ,TH1 ,TH2 が制御装置58に接続されており、温湿度計TH0 により外気の状態点,温湿度計TH1 により冷却装置55を通過した空気の状態点,温湿度計TH2 により空調空気の状態点を検出するようになされている。
【0003】 そして、断熱加湿装置54の加湿容量は温湿度計TH1 又はTH2 のデータに基づいて定められ、冷却装置55の冷却容量は温湿度計TH1 のデータに基づいて定められ、加熱装置56の加熱容量は温湿度計TH2 のデータに基づいてフィードバック制御されるようになされている。例えば、温湿度計TH0 で検出された外気の温湿度が、予め設定した湿度より低く、予め設定した温度が高い場合、断熱加湿装置54で加湿した後、冷却装置55で冷却し、所定の温湿度の空調空気を送給するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この場合に、断熱加湿装置54及び冷却装置55を通過した空気の温湿度は、冷却装置55の出口側又は空調空気送給口53に配設された温湿度計TH1 又はTH2 で検出するようにしているが、温度と湿度は単独で変化し得ず、例えば、断熱加湿装置54で加湿した場合は湿度が上昇すると同時に温度が下がり、冷却装置55で冷却した場合は温度が低下すると同時に湿度も低下する。したがって、冷却装置55の出口側に配設された温湿度計TH1 で温湿度を検出しても、断熱加湿装置54の加湿容量及び冷却装置55の冷却容量を決定するのが極めて困難であり、安定的にフィードバック制御することは困難であった。
【0005】 また、空気を加熱,加湿した場合に、その空気を攪拌した後でなければ正確な温湿度を測定することができない。空調装置51内に配設された各温湿度計TH1 は攪拌していない空気の温湿度を検出しているため、その検出結果には誤差が大きく含まれることとなり、厳密に制御することは根点であった。また、温湿度計TH2 は、空調空気送給口53に配設されているため、送風ファン57で空気を攪拌した後にその温湿度を検出しており、その検出結果は誤差の少ない信頼性の高いものであるが、その検出結果に基づいて加湿/冷却/加熱を行う各装置54〜56の容量をフィードバック制御する場合は、タイムラグが大き過ぎて定常状態に落ちつくまでに時間がかかり、やはり、所定の温湿度に迅速にコントロールすることは困難であった。
【0006】 そこで本発明は、第一にフィードバック制御することなく正確に且つ応答よく温湿度制御を行い、第二にフィードバック制御を行う場合でも安定的に且つ応答よく温湿度制御を行い、さらに省エネルギーを図り、ランニングコストを低減できるようにすることを技術的課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明は、取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整するために、少なくとも、加熱容量可変の主加熱装置と、加湿容量可変の断熱加湿装置と、冷却容量可変の冷却装置と、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置とを備えた空調空気の温湿度制御装置において、外気の温湿度を検出する温湿度計と、空気線図を予め記憶した空気線図テーブルとを備え、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点を結んだ目標温湿度線を空気線図テーブルに設定する目標温湿度線設定器と、温湿度計で検出された外気の温湿度に基づく外気状態点を空気線図テーブルに設定する外気状態点設定器と、前記外気状態点から前記目標温湿度線上の任意の状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線と、空気線図上を上限状態点の露点温度以下に設定された冷却温度に向かって推移する冷却線と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線を設定する予想線設定器と、当該状態変化予想線の主加熱線の長さに応じて主加熱装置の加熱容量を設定する主加熱容量設定器と、断熱加湿線の長さに応じて断熱加湿装置の加湿容量を設定する加湿容量設定器と、冷却線の長さに応じて冷却装置の冷却容量を設定する冷却容量設定器と、補助加熱線の長さに応じて補助加熱装置の加熱容量を設定する補助加熱容量設定器とを備えたことを特徴とする。
【0008】 本発明によれば、まず、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点を結んだ目標温湿度線が設定された空気線図上に、外気の温湿度によって定まる外気状態点が設定される。次いで、外気状態点から前記目標温湿度線上の任意の状態点(例えば最も近い状態点)に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線と、空気線図上を上限状態点の露点温度以下に設定された冷却温度に向かって推移する冷却線と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線が設定される。このとき、主加熱線の長さは主加熱装置の加熱容量を、断熱加湿線の長さは断熱加湿装置の加湿容量を、冷却線の長さは冷却装置の冷却容量を、また、補助加熱線は補助加熱装置の加熱容量を表す。したがって、状態変化予想線の各線の長さに応じて加熱容量,加湿容量,冷却容量,補助加熱容量を設定して、空調装置を運転すれば、外気状態点から前記目標温湿度線上の最も近い状態点に至るまで正確に状態点が推移し、所定の温湿度に調整された空調空気が得られる。
【0009】 このとき、フィードバック制御を行う必要がないので、温湿度計の測定結果に含まれる誤差やタイムラグに起因する制御不安定要素がなく、安定した制御を行うことができる。しかも、主加熱装置,断熱加湿装置,冷却装置,補助加熱装置の夫々の加熱容量,加湿容量,冷却容量は,外気の状態点に応じて設定された状態変化予想線に従って定まるので、補助加熱装置の使用を最小限に抑えるように状態変化予想線を設定することにより、エネルギーロスを最小限に抑え、したがって、ランニングコストも低減できる。
【0010】 また、フィードバッグ制御を行う場合は、主加熱装置,断熱加湿装置,冷却装置,補助加熱装置の夫々の出口で検出された出口温度を、予め設定された状態変化予想線の主加熱線,断熱加湿線,冷却線,補助加熱線の終点温度に一致させるように、各装置の加熱/加湿/冷却容量を独立にフィードバックするようにしているので、容量の設定が簡便で、応答も速い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る空調装置の温湿度制御装置を示す説明図、図2はその制御方法を説明する空気線図である。
【0012】 図1において、空調装置1は、外気取入口2と所定の温湿度に調整された空調空気を送給する空調空気送給口3が両端に形成され、その内部には、外気取入口2側から空調空気送給口3に向かって、プレヒータと称するバーナなどの加熱容量可変の主加熱装置4と、ロールフィルタFと、ワッシャなどの加湿容量可変の断熱加湿装置5と、冷却容量可変の冷却装置6と、レヒータと称する加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置7と、ダイレクトスチームなどにより等温加湿を行う補助加湿装置8と、調温/調湿された空調空気を送給口3から送り出す送風ファン9が配設されている。
【0013】 10は、その入力側に、外気の温湿度を検出する温湿度計TH0が接続され、その出力側に、空調装置1の前記主加熱装置4,断熱加湿装置5,冷却装置6,補助加熱装置7,補助加湿装置8が接続された温湿度制御装置であって、前記温湿度計TH0 で検出された外気の温湿度に基づいて、加熱/加湿/冷却を行う各装置4〜8の加熱容量,加湿容量,冷却容量を制御するようになされている。この温湿度制御装置10は、空気線図を予め記憶した空気線図テーブル11と、空調空気の上限状態点Psと下限状態点Pwを結んだ目標温湿度線Lを空気線図テーブル11に設定する目標温湿度線設定器12と、目標温湿度線設定器12で設定された目標温湿度線Lに基づき空気線図を複数の制御エリアC1 〜C4 に仕切る制御エリア設定器13と、温湿度計TH0 で検出された外気の温湿度に基づく外気状態点A1 〜A5 を空気線図テーブル11に設定する外気状態点設定器14と、前記外気状態点設定器14で設定された外気状態点A0 が属する一の制御エリアC1 〜C4 を選定する制御エリア選定器15と、外気状態点A1 〜A5から前記目標温湿度線L上の最も近い状態点に至るまでの状態変化予想線J1 〜J5 を空気線図テーブル11上に設定する予想線設定器16と、状態変化予想線J1 〜J5 に基づいて、加熱/加湿/冷却を行う各装置4〜7の加熱容量/加湿容量/冷却容量を決定する容量設定器17を備えている。
【0014】 目標温湿度線設定器12で設定される空調空気の上限状態点Ps及び下限状態点Pwは、夫々夏場及び冬場の塗装ブース内の雰囲気に等しく、例えば、上限状態点Psは上限温度28℃及び上限湿度75%(相対湿度)に定められ、下限状態点Pwは上限温度25℃及び上限湿度75%(相対湿度)に定められている。
【0015】 制御エリア設定器13では、目標温湿度線Lに基づいて、上限状態点Psとエンタルピが等しく上限状態点Psから高温側に延びる上限エンタルピ線Esと、上限状態点Psと絶対湿度が等しく上限状態点Psから低温側に延びる上限絶対湿度線Hsと、下限状態点Pwとエンタルピが等しく下限状態点Pwから高温側に延びる下限エンタルピ線Ewと、下限状態点Pwと絶対湿度が等しく下限状態点Pwから低温側に延びる下限絶対湿度線Hwの各境界線を空気線図テーブル11上に設定する。そして、これに基づき、空気線図を、下限エンタルピ線Ew及び下限絶対湿度線Hwで仕切られる低温期制御エリアC1 と、上限エンタルピ線Es,下限エンタルピ線Ew及び目標温湿度線Lで仕切られる中間期低相対湿度制御エリアC2と、上限絶対湿度線Hs,下限絶対湿度線Hw及び目標温湿度線Lで仕切られる中間期高相対湿度制御エリアC3 と、上限エンタルピ線Es及び上限絶対湿度線Hsで仕切られる高温期制御エリアC4 の4つの制御エリアC1 〜C4 に分けて、夫々を空気線図テーブル11に設定している。
【0016】 予想線設定器16は、外気状態点A1 〜A5 から目標温湿度線L上の最も近い状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線JT と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線JH と、空気線図上を上限状態点Psの露点温度以下に設定された冷却温度Tcに向かって推移する冷却線JC と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線Jt のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線J1 〜J5 を設定する。本例の場合は、外気状態点A1 〜A5 が属する制御エリアC1 〜C4 に応じた制御手順を予め記憶した低温期制御手順設定器S1 ,中間期低相対湿度制御手順設定器S2 ,中間期高相対湿度制御手順設定器S3 ,高温期制御手順設定器S4とを備え、制御エリアC1 〜C4 ごとに制御手順を決定するように成されている。
【0017】 低温期制御エリアC1 では、外気状態点A1 は下限状態点Pwよりエンタルピが低く、且つ、絶対湿度が低いので、加熱操作によりエンタルピを上昇させると共に、断熱加湿操作により絶対湿度を高くする必要がある。したがって、低温期制御手順設定器S1 には、外気状態点A1 から下限状態点Pwに至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って下限エンタルピ線Ewまで加熱方向に推移する主加熱線JT と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って下限状態点まで加湿方向に推移する断熱加湿線JH をこの順で結んだ状態変化予想線J1 が設定されている。
【0018】 中間期低相対湿度制御エリアC2 では、外気状態点A2 は目標温湿度線L上のいずれかの状態点にエンタルピが等しく、相対湿度が低いだけなので、断熱加湿操作により、等エンタルピ的に加湿する必要がある。したがって、中間期低相対湿度制御手順設定器S2 には、外気状態点A2 から目標温湿度線Lに至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線JH が状態変化予想線J2 として設定されている。
【0019】 中間期高相対湿度制御エリアC3 では、外気状態点A3 は目標温湿度線L上のいずれかの状態点に絶対湿度が等しく、温度が低いだけなので、加熱操作を行う必要がある。このエリアC3 は、目標温湿度線L上の状態点との温度差が僅かであるので、加熱容量の大きな主加熱装置4で温度制御することは困難であり、したがって、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置7を用いる。そして、中間期高相対湿度制御手順設定器S3 には、外気状態点A3 から目標温湿度線Lに至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線Jt が状態変化予想線J3 として設定されている。
【0020】 高温期制御エリアC4 では、外気状態点A4 ,A5 は上限状態点Psよりエンタルピが高く、又は、絶対湿度が高い。したがって、冷却操作を行う必要があっても、加熱操作によりエンタルピを増大させる必要はない。そして、外気状態点A4 が上限状態点Psよりエンタルピが高く絶対湿度が低い場合は、冷却操作により除湿される分を見越して予め加湿する必要がある。また、外気状態点A5 の湿度が十分に高い場合は、冷却操作により除湿し、過冷却した分を加熱操作により加熱する必要がある。そこで、高温期制御エリアC4 を、冷却装置6の冷却温度Tcにおける相対湿度100%の冷却状態点Pcと上限状態点Psを通る加湿境界線Hcで、当該境界線Hcより低湿度側の低湿度エリアd1 と、高湿度側の高湿度エリアd2 に分けておき、外気状態点A4 が低湿度エリアd1 にあるときは、断熱加湿操作により絶対湿度を高くした後、冷却操作により除湿冷却し、外気状態点A5 が高湿度エリアd2 にあるときは、冷却操作により除湿冷却した後、加熱操作により加熱すればよい。
【0021】 したがって、高温期制御手順設定器S4 には、外気状態点A4 が低湿度エリアd1 にあるときの制御手順と、外気状態点A5 が高湿度エリアd2にあるときの制御手順が夫々設定されている。そして、外気状態点A4 が低湿度エリアd1 にあるときは、外気状態点から上限状態点Psに至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿境界線Hcまで加湿方向に推移する断熱加湿線JH と、加湿境界線Hc上を冷却方向に向かって上限状態点Psまで推移する冷却線JC をこの順で結んだ状態変化予想線J4 に沿って制御される。また、外気状態点A5 が高湿度エリアd2 にあるときは、外気状態点から上限状態点Psに至るまで、空気線図上を冷却装置6の冷却温度Tcにおける相対湿度100%の冷却状態点Pcに向かって上限絶対湿度線Hsまで推移する冷却線JC と、上限絶対湿度線Hsに沿って上限状態点Psまで加熱方向に推移する補助加熱線Jt をこの順で結んだ状態変化予想線J5 に沿って制御される。
【0022】 さらに、前記容量設定器17は、前記各状態変化予想線J1 〜J5 の主加熱線JT の長さに応じて主加熱装置4の加熱容量を設定する主加熱容量設定器18と、断熱加湿線JH の長さに応じて断熱加湿装置5の加湿容量を設定する加湿容量設定器19と、冷却線JC の長さに応じて冷却装置6の冷却容量を設定する冷却容量設定器20と、補助加熱線Jt の長さに応じて補助加熱装置7の加熱容量を設定する補助加熱容量設定器21とを備えている。
【0023】 なお、TH2 は空調空気の温湿度を空調空気送給口3でモニタする温湿度計,22はその検出結果に基づき補助加熱装置7及び補助加湿装置8にフィードバックをかけて、温湿度の微調整を補助的に行う微調整装置である。
【0024】 以上が本発明の一例構成であって、次にこれを用いた温湿度制御方法について説明する。まず、空気線図テーブル11に記録された空気線図上に、夏場の塗装ブース雰囲気となる気温28℃,相対湿度75%の上限状態点Psと、冬場の塗装ブース雰囲気となる気温20℃,相対湿度75%の下限状態点Pwを設定すると、目標温湿度線設定器12により、前記上限状態点Psと下限状態点Pwを結んだ目標温湿度線Lが設定される。
【0025】 次いで、目標温湿度線Lが設定されると、制御エリア設定器13で、主として冬期に制御を行う低温期制御エリアC1 と、主として春期/秋期の湿度の低い日に制御を行う中間期低相対湿度制御エリアとC2 、主として春期/秋期の湿度の高い日に制御を行う中間期高相対湿度制御エリアとC3 、主として夏期に制御を行う高温期制御エリアC4 の4つの領域が設定される。各制御エリアC1 〜C4 は、上限状態点Psとエンタルピが等しく上限状態点Psから高温側に延びる上限エンタルピ線Esと、上限状態点Psと絶対湿度が等しく上限状態点Psから低温側に延びる上限絶対湿度線Hsと、下限状態点Pwとエンタルピが等しく下限状態点Pwから高温側に延びる下限エンタルピ線Ewと、下限状態点Pwと絶対湿度が等しく下限状態点Pwから低温側に延びる下限絶対湿度線Hwで仕切らている。また、高温期制御エリアC4 は、冷却装置6の冷却温度Tcにおける相対湿度100%の冷却状態点Pcと上限状態点Psを通る加湿境界線Hcを境に、加湿境界線Hcより低湿度側の低湿度エリアd1 と、高湿度側の高湿度エリアd2 に分けられている。
【0026】 空調装置1を運転するときは、まず、温湿度計TH0 で外気の温湿度を検出し、この検出結果に基づいて、外気状態点設定器14で空気線図上に外気状態点A1 〜A5 を設定する。冬期は、外気状態点A1 が低温期制御エリアC1 に含まれることが多く、この場合は、低温期制御手順設定器S1 により、外気状態点A1 から下限状態点Pwに至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線JT と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線JHをこの順で結んだ状態変化予想線J1 が設定される。このとき、主加熱線JT の長さが主加熱装置4の加熱容量を表し、断熱加湿線JH の長さが断熱加湿装置5の加湿容量を表すので、主加熱容量設定器18では主加熱線JT の長さに応じて主加熱装置4の加熱容量が設定され、加湿容量設定器19では断熱加湿線JH の長さに応じて断熱加湿装置5の加湿容量が設定される。このように設定された加熱容量,加湿容量で主加熱装置4及び断熱加湿装置5を運転すると、空調装置1内に取り入れられた外気は、外気状態点A1 から下限状態点Pwまで状態変化予想線J1 に従ってその状態が変化する。すなわち、外気状態点A1 は、状態変化予想線J1 に沿って、主加熱線JT 上を下限エンタルピ線Ewまで下限エンタルピ線Ewまで加熱方向に推移し、次いで、断熱加湿線JH 上を下限状態点Pwまで加湿方向に推移する。なお、この場合に、冷却装置6は停止させておき、補助加熱装置7及び補助加湿装置8は、温湿度計TH4 の検出結果に応じて温湿度を微調整するために備え、最低加熱容量及び最低加湿容量のアイドリング状態で運転させておく。
【0027】 また、春期/秋期の相対湿度の低い日は、外気状態点A2 が中間期低相対湿度制御エリアC2 に含まれることが多く、この場合は、中間期低相対湿度制御手順設定器S2 により、外気状態点A2 から目標温湿度線Lに至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線JH がそのまま状態変化予想線J2 として設定される。このとき、加湿容量設定器19では断熱加湿線JH の長さに応じて断熱加湿装置5の加湿容量が設定される。そして、このように設定された加湿容量で断熱加湿装置5を運転すると、空調装置1内に取り入れられた外気は、外気状態点A2 から目標温湿度線Lまで状態変化予想線J2 に従ってその状態が変化し、この場合、外気状態点A2 が、目標温湿度線L上の状態点まで等エンタルピ線に沿って断熱加湿線JH 上を加湿方向に推移する。なお、この場合に、主加熱装置4及び冷却装置6は停止させておき、補助加熱装置7及び補助加湿装置8は、温湿度計TH4 の検出結果に応じて温湿度を微調整するために備え、最低加熱容量及び最低加湿容量のアイドリング状態で運転させておく。
【0028】 さらに、春期/秋期の相対湿度の高い日は、外気状態点A3 が中間期高相対湿度制御エリアC3 にあることが多く、この場合は、中間期高相対湿度制御手順設定器S2 により、外気状態点A3 から目標温湿度線Lに至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線Jt が状態変化予想線J3 として設定される。ここで、主加熱装置4で外気状態点A3 を推移させようとすると、主加熱装置4ではその加熱容量が大き過ぎて微調整を行うことができないので、この制御エリアC3 では微調整が可能な補助加熱装置7を用いている。そして、このとき、補助加熱線Jt の長さが補助加熱装置7の加熱容量を表すので、補助加熱容量設定器21では補助加熱線Jt の長さに応じて補助加熱装置7の加熱容量が設定される。このように設定された加熱容量で補助加熱装置7を運転すると、空調装置1内に取り入れられた外気は、外気状態点A3 から目標温湿度線Lまで状態変化予想線J3 に従ってその状態が変化し、この場合、外気状態点A3 が、目標温湿度線L上の状態点まで等絶対湿度線に沿って補助加熱線Jt 上を加熱方向に推移する。なお、この場合に、主加熱装置4及び冷却装置6は停止させておき、断熱加湿装置5は外気に含まれる塵,ゴミを除去するために最低加湿容量のアイドリング状態で運転され、補助加湿装置8は、温湿度計TH4 の検出結果に応じて湿度を微調整するために備え、最低加湿容量のアイドリング状態で運転させておく。
【0029】 さらにまた、夏期は、外気状態点A4 ,A5 が高温期制御エリアC4 に含まれることが多い。そして、外気状態点A4 が制御エリアC4 内の低湿度エリアd1 に含まれている場合は、高温期制御手順設定器S4 により、外気状態点A4 から上限状態点Psに至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿境界線Hcまで加湿方向に推移する断熱加湿線JH と、加湿境界線Hc上を冷却方向に向かって上限状態点Psまで推移する冷却線JC をこの順で結んだ状態変化予想線J4 が設定される。ここで、断熱加湿線JH の長さが断熱加湿装置5の加湿容量を表し、冷却線JC の長さが冷却装置6の冷却容量を表すので、加湿容量設定器19で断熱加湿線JH の長さに応じて断熱加湿装置5の加湿容量が設定され、冷却容量設定器20では冷却線JC の長さに応じて冷却装置6の冷却容量が設定される。このように設定された加湿容量及び冷却容量で断熱加湿装置5及び冷却装置6を運転すると、空調装置1内に取り入れられた外気は、外気状態点A4 から上限状態点Psまで状態変化予想線Jに従ってその状態が変化する。すなわち、外気状態点A4 は、加湿境界線Hcまで等エンタルピ線に沿って断熱加湿線JH 上を加湿方向に推移し、次いで、上限状態点Psまで加湿境界線Hcに沿って冷却線JC 上を冷却方向に推移する。なお、この場合に、主加熱装置4は停止させておき、補助加熱装置7及び補助加湿装置8は、温湿度計TH4 の検出結果に応じて温湿度を微調整するために備え、最低加熱容量及び最低加湿容量のアイドリング状態で運転させておく。
【0030】 また、外気状態点A5 が制御エリアC4 の高湿度エリアd2 に含まれている場合は、高温期制御手順設定器S4 により、外気状態点A5 から上限状態点Psに至るまで、空気線図上を冷却装置6の冷却温度Tcにおける相対湿度100%の冷却状態点Pcに向かって上限絶対湿度線Hsまで推移する冷却線JC と、上限絶対湿度線Hsに沿って上限状態点Psまで加熱方向に推移する補助加熱線Jt をこの順で結んだ状態変化予想線J5 が設定される。ここで、冷却線JC の長さが冷却装置6の冷却容量を表し、補助加熱線Jt の長さが補助加熱装置7の加熱容量を表すので、冷却容量設定器20で冷却線JCの長さに応じて冷却装置6の冷却容量が設定され、補助加熱容量設定器21では補助加熱線Jt の長さに応じて補助加熱装置7の加熱容量が設定される。このように設定された冷却容量及び加熱容量で冷却装置6及び補助加熱装置7を運転すると、空調装置1内に取り入れられた外気は、外気状態点A5 から上限状態点Psまで状態変化予想線J5 に従ってその状態が変化する。すなわち、外気状態点A5 は、上限絶対湿度線Hsまで冷却状態点Pcに向かって冷却線JC 上を冷却方向に推移し、次いで、上限状態点Psまで等絶対湿度線に沿って補助加熱線Jt 上を加熱方向に推移する。なお、この場合に、主加熱装置4は停止させておき、断熱加湿装置5は外気に含まれる塵,ゴミを除去するために最低加湿容量のアイドリング状態で運転され、補助加湿装置8は、温湿度計TH4 の検出結果に応じてその加熱容量及び加湿容量をフィードバッグ制御するために備え、最低加湿容量のアイドリング状態で運転させておく。
【0031】 なお、上述の説明では、空気線図内のエリアを予め複数の制御エリアC1 〜C4 のエリアに分割して、夫々で使用する加熱用/加湿用の各装置4〜7を予め設定する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、制御エリアC1 〜C4 に分けることなく、外気状態点A1 〜A5 から目標温湿度線L上の任意の状態点に至るまでの状態変化予想線Jを描くことにより、使用すべき加熱用/加湿用の各装置4〜7を選択すると共に、その加熱容量/加湿容量を決定する場合であってもよい。また、空気線図を4つの制御エリアC1 〜C4 に分割した場合について説明したが、加熱/加湿/冷却を行う各装置4〜8の設置台数,構成及び容量などに応じてより細かく分割するようにしてもよい。例えば、高温期制御エリアC4 は、冷却装置4の冷却温度Tcに基づき加湿境界線Hcを境に、さらに二つの制御エリアd1 ,d2 に分けているが、他の制御エリアC1 〜C3 も高温期制御エリアC4 と同様にさらに細分化してあってもよい。
【0032】 図3は本発明に係る他の空調装置の温湿度制御装置を示す。なお,図1と共通する部分については同一符号を付して詳細説明は省略する。本例では、主加熱装置4,断熱加湿装置5,冷却装置6,補助加熱装置7の夫々の出口温度を検出する温度計T1 〜T4 と、空調空気送給口3で空調空気の温湿度を測定する温湿度計TH2 が配設されている。また、容量設定器17には、主加熱装置4の加熱容量をフィードバック制御する主加熱容量制御装置25と、断熱加湿装置5の加湿容量をフィードバック制御する加湿容量制御装置26と、冷却装置6の冷却容量をフィードバック制御する冷却容量制御装置27と、補助加熱装置7の加熱容量をフィードバック制御する補助加熱容量制御装置28と、補助加湿装置8の加湿容量をフィードバック制御する補助加湿容量制御装置29を備えている。そして、前記各容量制御装置25〜29は、その入力側に前記温度計T1 〜T4 及び温湿度計TH2 が夫々接続され、出力側に主加熱装置4,断熱加湿装置5,冷却装置6,補助加熱装置7及び補助加湿装置8が接続されている。
【0033】 前記主加熱容量制御装置25は予想線設定器16で設定された主加熱線JT の終点温度に主加熱装置4の出口温度を一致させるように加熱容量を制御し、加湿容量制御装置26は予想線設定器16で設定された断熱加湿線JHの終点温度に断熱加湿加湿装置5の出口温度を一致させるように制御し、冷却容量制御装置27冷却線JC の終点温度に冷却装置6の出口温度を一致させるように制御し、補助加熱容量制御装置28は補助加熱線Jt の終点温度に補助加熱装置7の出口温度を一致させるように制御し、補助加湿容量制御装置29は温湿度計TH2 の検出信号に基づいて空調空気の湿度を微調整するように成されている。
【0034】 例えば、冬期に、外気状態点A1 が低温期制御エリアC1 に属するときは、状態変化予想線J1 に基づいて容量制御を行い、まず、主加熱容量制御装置25により主加熱装置4の出口温度が主加熱線JT の終点温度(主加熱線JT が下限エンタルピ線Ewと交わる点B1 の温度)に一致するように加熱容量をフィードバック制御し、次いで、加湿容量制御装置26により断熱加湿装置5の出口温度が断熱加湿線JH の終点温度(下限状態点Pwの温度)に一致するように加熱容量をフィードバック制御する。春期/秋期に、外気状態点A2 が中間期低相対湿度制御エリアC2 に属するときは、状態変化予想線J2 に基づいて容量制御を行い、加湿容量制御装置26により断熱加湿装置5の出口温度が断熱加湿線JH の終点温度(目標温湿度線L上の任意の状態点の温度)に一致するように加熱容量をフィードバック制御する。春期/秋期に、外気状態点A3 が中間期高相対湿度制御エリアC3 に属するときは、状態変化予想線J3 に基づいて容量制御を行い、補助加熱容量制御装置27により補助加熱装置7の出口温度が補助加熱線Jt の終点温度(目標温湿度線L上の任意の状態点の温度)に一致するように加熱容量をフィードバック制御する。夏期に、外気状態点A4 が中間期高相対湿度制御エリアC4 の低湿度エリアd1 に属するときは、状態変化予想線J4 に基づいて容量制御を行い、まず、加湿容量制御装置26により断熱加湿装置5の出口温度が断熱加湿線JH の終点温度(断熱加湿線JH が加湿境界線Hcと交わる点B4 の温度)に一致するように加湿容量をフィードバック制御し、次いで、冷却容量制御装置27により冷却装置6の出口温度が冷却線Jcの終点温度(上限状態点Psの温度)に一致するように冷却容量をフィードバック制御する。さらに、夏期に、外気状態点A5 が中間期高相対湿度制御エリアC4 の低湿度エリアd2 に属するときは、状態変化予想線J5 に基づいて容量制御を行い、まず、冷却容量制御装置27により冷却装置6の出口温度が冷却線Jcの終点温度(冷却線JC が上限絶対湿度線Hsと交わる点B5 の温度)に一致するように冷却容量をフィードバック制御し、次いで、補助加熱容量制御装置27により補助加熱装置7の出口温度が補助加熱線Jt の終点温度(上限状態点Psの温度)に一致するように加熱容量をフィードバック制御する。
【0035】 このように本例によれば、主加熱装置4,断熱加湿装置5,冷却装置6,補助加熱装置7を夫々の出口温度で独立にフィードバック制御しているので、夫々の制御量を他の制御量に関係なく簡単且つ正確に設定することができるだけでなく、各装置4〜7の夫々の出口に配設された温度計T1 〜T4 で検出された出口温度に基づいてフィードバック制御しているのでその応答速度も速く、目標温湿度線L上の任意の状態点に正確に温湿度制御することができる。しかも、予め設定された状態変化予想線J1 〜J5 に従って制御されるので、無駄な制御操作を行うことがなく、省エネルギー,低ランニングコストに資することとなる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、外気の温湿度で決定される外気状態点と予め設定された目標温湿度線に基づいて、状態変化予想線が設定され、これに基づき、主加熱装置,断熱加湿装置,冷却装置,補助加熱装置のうち、温湿度制御に使用すべき加熱用/加湿用の最適な装置と、夫々の最適な加熱容量/加湿容量/冷却容量が設定されて運転され、空調装置内に取り込んだ外気をフィードバッグ制御することなく目標とすべき温湿度に調整することができるという効果がある。また、フィードバック制御を行う必要がないので、温湿度計の測定結果に含まれる誤差やタイムラグに起因する制御不安定要素がなく、安定した制御を行うことができるという効果がある。
【0037】 さらに、夫々の加熱容量/加湿容量/冷却容量は,外気の状態点に応じて設定された状態変化予想線に従って定まるので、補助加熱装置の使用を最小限に抑えるように状態変化予想線を設定することにより、エネルギーロスを最小限に抑え、したがって、ランニングコストも低減できるという効果がある。
【0038】 さらにまた、フィードバック制御を行う場合においては、主加熱装置,断熱加湿装置,冷却装置,補助加熱装置の夫々の出口で検出された出口温度を、予め設定された状態変化予想線の主加熱線,断熱加湿線,冷却線,補助加熱線の終点温度に一致させるように、各装置の加熱/加湿/冷却容量を独立に制御しているので、夫々の制御量を他の制御量に関係なく簡単且つ正確に設定することができるだけでなく応答速度も速く、目標温湿度線上の任意の状態点に正確に温湿度制御することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空調装置の温湿度制御装置を示す説明図。
【図2】本発明に係る空調装置の温湿度制御方法を示す空気線図。
【図3】本発明に係る他の空調装置の温湿度制御装置を示す説明図。
【図4】従来装置を示す説明図。
【符号の説明】
1・・・・空調装置 2・・・・外気取入口
3・・・・空調空気送給口 4・・・・主加熱装置
5・・・・断熱加湿装置 6・・・・冷却装置
7・・・・補助加熱装置 10・・・・温湿度制御装置
11・・・・空気線図テーブル 12・・・・目標温湿度線設定器
13・・・・制御エリア設定器 14・・・・外気状態点設定器
15・・・・制御エリア選定器 16・・・・予想線設定器
1 ・・・低温期制御手順設定器
2 ・・・中間期低相対湿度制御手順設定器
3 ・・・中間期高相対湿度制御手順設定器
4 ・・・高温期制御手順設定器
17・・・・容量設定器 18・・・・主加熱容量設定器
19・・・・加湿容量設定器 20・・・・冷却容量設定器
21・・・・補助加熱容量設定器 TH0 ・・温湿度計
Ps・・・上限状態点 Pw・・・下限状態点
L・・・・目標温湿度線 Es・・・上限エンタルピ線
Hs・・・上限絶対湿度線 Ew・・・下限エンタルピ線
Hw・・・下限絶対湿度線 Hc・・・加湿境界線
1 ・・・低温期制御エリア
2 ・・・中間期低相対湿度制御エリア
3 ・・・中間期高相対湿度制御エリア
4 ・・・高温期制御エリア
1 ・・・低湿度エリア d2 ・・・高湿度エリア
1 〜A5 ・・・外気状態点 J1 〜J5 ・・・・状態変化予想線
T ・・・主加熱線 JH ・・・断熱加湿線
C ・・・冷却線 Jt ・・・補助加熱線
Tc・・・冷却温度 Pc・・・冷却状態点
1 〜T4 ・・・温度計
25・・・・主加熱容量制御装置 26・・・・加湿容量制御装置
27・・・・冷却容量制御装置 28・・・・補助加熱容量制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整するために、少なくとも、加熱容量可変の主加熱装置(4)と、加湿容量可変の断熱加湿装置(5)と、冷却容量可変の冷却装置(6)と、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置(7)とを備えた空調空気の温湿度制御装置において、外気の温湿度を検出する温湿度計(TH0)と、空気線図を予め記憶した空気線図テーブル(11)とを備え、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点(Ps) と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点 (Pw) を結んだ目標温湿度線(L)を空気線図テーブル(11)に設定する目標温湿度線設定器(12)と、温湿度計(TH0)で検出された外気の温湿度に基づく外気状態点(A1〜A5) を空気線図テーブル (11) に設定する外気状態点設定器 (14) と、前記外気状態点(A0) から前記目標温湿度線(L)上の任意の状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH)と、空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度(Tc) に向かって推移する冷却線(JC )と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線 (Jt )のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J1〜J5)を設定する予想線設定器(16)と、当該状態変化予想線(J1〜J5)の主加熱線 (JT )の長さに応じて主加熱装置(4)の加熱容量を設定する主加熱容量設定器(18)と、断熱加湿線 (JH )の長さに応じて断熱加湿装置(5)の加湿容量を設定する加湿容量設定器(19)と、冷却線(JC )の長さに応じて冷却装置(6)の冷却容量を設定する冷却容量設定器(20)と、補助加熱線 (Jt )の長さに応じて補助加熱装置(7)の加熱容量を設定する補助加熱容量設定器(21)とを備えたことを特徴とする空調装置の温湿度制御装置。
【請求項2】 取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整するために、少なくとも、加熱容量可変の主加熱装置(4)と、加湿容量可変の断熱加湿装置(5)と、冷却容量可変の冷却装置(6)と、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置(7)とを備えた空調空気の温湿度制御装置において、外気の温湿度を検出する温湿度計(TH0)と、空気線図を予め記憶した空気線図テーブル(11)とを備え、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点(Ps) と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点 (Pw) を結んだ目標温湿度線(L)を空気線図テーブル(11)に設定する目標温湿度線設定器(12)と、温湿度計(TH0)で検出された外気の温湿度に基づく外気状態点(A1〜A5) を空気線図テーブル (11) に設定する外気状態点設定器 (14) と、前記外気状態点(A0) から前記目標温湿度線(L)上の任意の状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH)と、空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度(Tc) に向かって推移する冷却線(JC )と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線 (Jt )のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J1〜J5)を設定する予想線設定器(16)と、前記主加熱装置(4),断熱加湿装置(5),冷却装置(6),補助加熱装置(7)の夫々の出口温度を検出する温度計(T1〜T4)と、当該状態変化予想線(J1〜J5)の主加熱線 (JT )の終点温度に主加熱装置(4)の出口温度を一致させるように当該主加熱装置(4)の加熱容量をフィードバック制御する主加熱容量制御装置(25)と、断熱加湿線 (JH )の終点温度に断熱加湿加湿装置(5)の出口温度を一致させるように当該断熱加湿装置(5)の加湿容量をフィードバック制御する加湿容量制御装置 (26) と、冷却線(JC )の終点温度に冷却装置(6)の出口温度を一致させるように当該冷却装置(6)の冷却容量をフィードバック制御する冷却容量制御装置(27)と、補助加熱線 (Jt )の終点温度に補助加熱装置(7)の出口温度を一致させるように当該補助加熱装置(7)の加熱容量をフィードバック制御する補助加熱容量制御装置(28) とを備えたことを特徴とする空調装置の温湿度制御装置。
【請求項3】 前記目標温湿度線設定器(12)で設定された目標温湿度線(L)に基づき、空気線図上に、上限状態点(Ps) とエンタルピが等しく上限状態点(Ps) から高温側に延びる上限エンタルピ線 (Es) と、上限状態点(Ps) と絶対湿度が等しく上限状態点(Ps) から低温側に延びる上限絶対湿度線(Hs) と、下限状態点(Pw) とエンタルピが等しく下限状態点(Pw) から高温側に延びる下限エンタルピ線 (Ew) と、下限状態点(Pw) と絶対湿度が等しく下限状態点(Pw) から低温側に延びる下限絶対湿度線(Hw) とを設定して、空気線図を、下限エンタルピ線 (Ew) 及び下限絶対湿度線(Hw) で仕切られる低温期制御エリア (C1) と、上限エンタルピ線 (Es) ,下限エンタルピ線 (Ew) 及び目標温湿度線(L)で仕切られる中間期低相対湿度制御エリア (C2) と、上限絶対湿度線(Hs) ,下限絶対湿度線(Hw) 及び目標温湿度線(L)で仕切られる中間期高相対湿度制御エリア (C3) と、上限エンタルピ線 (Es) 及び上限絶対湿度線(Hs) で仕切られる高温期制御エリア (C4) の少なくとも4つの領域に分けて各領域を空気線図テーブル(11)に設定する制御エリア設定器(13)と、前記外気状態点設定器(14)で設定された外気状態点(A1〜A5) が属する一の制御エリア(C1〜C4) を選定する制御エリア選定器(15)とを備えると共に、前記予想線設定器(16)は、外気状態点(A1〜A5) が属する制御エリア(C1〜C4) に応じた制御手順を予め記憶した低温期制御手順設定器(S1) ,中間期低相対湿度制御手順設定器(S2) ,中間期高相対湿度制御手順設定器(S3) ,高温期制御手順設定器(S4) とを備え、前記低温期制御手順設定器(S1) には、外気状態点(A1) から下限状態点 (Pw) に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )をこの順で結んだ状態変化予想線(J1)が設定され、前記中間期低相対湿度制御手順設定器(S2) には、外気状態点(A2) から目標温湿度線(L)に至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )が状態変化予想線(J2)として設定され、前記中間期高相対湿度制御手順設定器(S3) には、外気状態点(A3) から目標温湿度線(L)に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線 (Jt )が状態変化予想線(J3)として設定され、前記高温期制御手順設定器(S4) には、外気状態点(A4, A5) から上限状態点(Ps) に至るまで、前記断熱加湿線 (JH )と,空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度 (Tc) に向かって推移する冷却線(JC)と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線(Jt)のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J4, J5) が設定されるようになされた請求項1又は2記載の空調装置の温湿度制御装置。
【請求項4】 取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整するために、少なくとも、加熱容量可変の主加熱装置(4)と、加湿容量可変の断熱加湿装置(5)と、冷却容量可変の冷却装置(6)と、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置(7)とを備えた空調空気の温湿度制御方法において、空気線図上に、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点(Ps) と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点 (Pw) を結んだ目標温湿度線 (L)を設定し、外気の温湿度を検出する温湿度計(TH0)の検出結果に基づいて空気線図上に外気状態点(A1〜A5) を設定し、当該外気状態点(A1〜A5) から前記目標温湿度線 (L)上の任意の状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )と、空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度(Tc) に向かって推移する冷却線(JC )と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線(Jt )のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J1〜J5) を設定し、当該状態変化予想線(J1〜J5) の主加熱線 (JT )の長さに応じて主加熱装置(4)の加熱容量を設定し、断熱加湿線 (JH )の長さに応じて断熱加湿装置(5)の加湿容量を設定し、冷却線(JC )の長さに応じて冷却装置(6)の冷却容量を設定し、補助加熱線(Jt )の長さに応じて補助加熱装置(7)の加熱容量を設定して、主加熱装置(4),断熱加湿装置(5),冷却装置(6),補助加熱装置(7)を運転することを特徴とする空調装置の温湿度制御方法。
【請求項5】 取り入れた外気を予め設定した温湿度に調整するために、少なくとも、加熱容量可変の主加熱装置(4)と、加湿容量可変の断熱加湿装置(5)と、冷却容量可変の冷却装置(6)と、加熱容量の微調整が可能な補助加熱装置(7)とを備えた空調空気の温湿度制御方法において、空気線図上に、空調空気の上限温度及び上限湿度によって定まる上限状態点(Ps) と、下限温度及び下限湿度によって定まる下限状態点 (Pw) を結んだ目標温湿度線 (L)を設定し、外気の温湿度を検出する温湿度計(TH0)の検出結果に基づいて空気線図上に外気状態点(A1〜A5) を設定し、当該外気状態点(A1〜A5) から前記目標温湿度線 (L)上の任意の状態点に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )と、空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度(Tc) に向かって推移する冷却線(JC )と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線(Jt )のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J1〜J5) を設定し、当該状態変化予想線(J1〜J5) の主加熱線 (JT )の終点温度に主加熱装置(4)の出口温度を一致させるように当該主加熱装置(4)の加熱容量をフィードバック制御し、断熱加湿線 (JH )の終点温度に断熱加湿加湿装置(5)の出口温度を一致させるように当該断熱加湿装置(5)の加湿容量をフィードバック制御し、冷却線(JC )の終点温度に冷却装置(6)の出口温度を一致させるように当該冷却装置(6)の冷却容量をフィードバック制御し、補助加熱線 (Jt)の終点温度に補助加熱装置(7)の出口温度を一致させるように当該補助加熱装置(7)の加熱容量をフィードバック制御して、主加熱装置(4),断熱加湿装置(5),冷却装置(6),補助加熱装置(7)を運転することを特徴とする空調装置の温湿度制御方法。
【請求項6】 空気線図上に、前記目標温湿度線(L)を設定すると共に、上限状態点(Ps) とエンタルピが等しく上限状態点(Ps) から高温側に延びる上限エンタルピ線 (Es) と、上限状態点(Ps) と絶対湿度が等しく上限状態点(Ps) から低温側に延びる上限絶対湿度線(Hs) と、下限状態点(Pw) とエンタルピが等しく下限状態点(Pw) から高温側に延びる下限エンタルピ線 (Ew) と、下限状態点(Pw) と絶対湿度が等しく下限状態点(Pw) から低温側に延びる下限絶対湿度線(Hw) を設定し、これに基づき空気線図を、下限エンタルピ線 (Ew) 及び下限絶対湿度線(Hw) で仕切られる低温期制御エリア (C1) と、上限エンタルピ線 (Es) ,下限エンタルピ線 (Ew) 及び目標温湿度線(L)で仕切られる中間期低相対湿度制御エリア (C2) と、上限絶対湿度線(Hs) ,下限絶対湿度線(Hw) 及び目標温湿度線(L)で仕切られる中間期高相対湿度制御エリア (C3) と、上限エンタルピ線 (Es) 及び上限絶対湿度線(Hs) で仕切られる高温期制御エリア (C4) の少なくとも4つの領域に分け、空気線図上に設定された外気状態点(A1) が低温期制御エリア(C1) にあるときは、当該外気状態点(A1) から下限状態点 (Pw) に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する主加熱線 (JT )と、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )をこの順で結んだ状態変化予想線(J1)を設定し、外気状態点 (A2) が中間期低相対湿度制御エリア(C2) にあるときは、外気状態点 (A2) から目標温湿度線(L)に至るまで、空気線図上を等エンタルピ線に沿って加湿方向に推移する断熱加湿線 (JH )を状態変化予想線(J2)として設定し、外気状態点 (A3) が中間期高相対湿度制御エリア(C3) にあるときは、外気状態点 (A3) から目標温湿度線(L)に至るまで、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線(Jt )を状態変化予想線(J3)として設定し、外気状態点 (A4, A5) が高温期制御エリア(C4) にあるときは、外気状態点(A4, A5) から上限状態点(Ps) に至るまで、前記断熱加湿線 (JH )と,空気線図上を上限状態点(Ps) の露点温度以下に設定された冷却温度 (Tc) に向かって推移する冷却線(JC )と、空気線図上を等絶対湿度線に沿って加熱方向に推移する補助加熱線(Jt )のうち、必要な線をこの順で連結した状態変化予想線(J4, J5)を設定する請求項4又は5記載の空調装置の温湿度制御方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3474736号(P3474736)
【登録日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【発行日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−234412
【出願日】平成9年8月29日(1997.8.29)
【公開番号】特開平11−83129
【公開日】平成11年3月26日(1999.3.26)
【審査請求日】平成14年9月4日(2002.9.4)
【出願人】(000110343)トリニティ工業株式会社 (147)
【参考文献】
【文献】特開 平5−288390(JP,A)
【文献】特開 平2−37245(JP,A)
【文献】特開 昭63−294445(JP,A)
【文献】特開 平4−124546(JP,A)