説明

穿刺器具および穿刺針カートリッジ

【課題】 保護キャップを有するランセットを装着された穿刺器具から保護キャップを分離するときに、穿刺器具によるランセットの適切な把持を維持したまま、確実に保護キャップを分離することができるようにする。
【解決手段】 ランセットの保護キャップに第1の凸部または凹部を形成し、かつ前記穿刺器具に第2の凸部または凹部を形成する。そして、保護キャップが、ランセットの軸心周りに所定の角度回転していない場合は、第1の凸部または凹部と、第2の凸部または凹部とが係合して、ランセットの軸心方向の保護キャップの移動を規制する。さらに、保護キャップが、ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合は、第1の凸部または凹部と、第2の凸部または凹部との係合が解除されて、ランセット本体の軸心方向の保護キャップの移動を自由にする。また、ランセットの軸心周りに所定の角度回転した保護キャップは、ランセットと分離するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺器具や穿刺針カートリッジ、特に採血のための穿刺器具および穿刺針カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液を採取するためのさまざまな穿刺器具や、それに用いられる使い捨て方式のランセットが開発されている。このような穿刺器具にランセットを取り付けたり、それから取り外したりする場合に、ランセットの一端から露出した穿刺針を手などに誤って刺してしまう危険があった。そのような問題を受けて、ランセットの穿刺針を覆うキャップを有する穿刺針カートリッジが開発されている。穿刺針カートリッジの穿刺針に直接、手が触れる危険がないので、穿刺器具にランセットを安全に取り付けることが可能となる(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2005−312763号公報
【特許文献2】国際公開第2003/005907号パンフレット
【特許文献3】特開平7−16218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の穿刺針カートリッジは、一端に穿刺針を有し、他端に穿刺器具に把持される被把持部を有するランセット本体と、ランセット本体と分離可能に設けられた保護キャップを有する。穿刺を行なう毎に、穿刺針カートリッジを穿刺器具に装着して使用している。穿刺器具に装着された穿刺針カートリッジの保護キャップをねじ切ることによって、ランセット本体から破断する。
【0004】
従来の穿刺針カートリッジでは、ランセット本体から保護キャップが破断されていない状態にもかかわらず、保護キャップをランセット本体から分離しようとする場合があった。ランセット本体から保護キャップが破断されていない状態で分離をしようとすると、ランセット本体の被把持部と、被把持部を把持する穿刺器具のプランジャとの正常な把持が外れることがある。被把持部とプランジャとの正常な把持が外れると、穿刺をする際の穿刺深さが不適切になったり、ランセットの穿刺針先が穿刺器具から露出したりする。露出した穿刺針によって、針刺し事故に繋がる危険もあった。
【0005】
本発明は、穿刺器具に装着された穿刺針カートリッジのランセット本体から、保護キャップを分離するときに、穿刺器具(プランジャ)によるランセット本体の適切な把持を維持したまま、確実に分離することができるようにする。
さらに誤操作により、ランセット本体の把持が外れた場合には、保護キャップをランセット本体から分離できないようにする。
【0006】
これにより、穿刺針の針先が穿刺器具からはみ出して針刺し事故が発生するのを防止し、安全性の高い穿刺針カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一は、以下に示す穿刺針カートリッジに関する。
[1] 一端に穿刺針を有し、かつ他端に穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部とを有するランセット、ならびに前記ランセットを移動可能に保持し、かつ前記穿刺器具本体に装着される穿刺針ホルダを含む穿刺針カートリッジであって、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺針ホルダには第2の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、穿刺針カートリッジ。
【0008】
本発明の第二は、以下に示す穿刺器具に関する。
[2] 穿刺器具本体、ならびに
一端に穿刺針を有し、かつ他端に前記穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部を有するランセット、を含む穿刺器具であって、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺器具本体には第4の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、穿刺器具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の穿刺器具または穿刺針カートリッジによれば、保護キャップを回転させないか、または回転が不十分であって、ランセット本体から保護キャップが破断されていない場合には、保護キャップをランセット本体から分離しようとしても分離できないので、ランセットごと穿刺器具本体から外れる。したがって、穿刺器具本体によるランセット本体の把持が不完全な状態で、ランセット本体から保護キャップが分離することがなくなる。よって、穿刺針が露出する危険がなく、針刺し事故が発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】穿刺器具の斜視図である。
【図2】第1の穿刺器具における、穿刺針カートリッジの装着部分の透視図である。
【図3】穿刺針カートリッジ102aの斜視図である。
【図4】図4Aはランセット204aの斜視図である。図4Bはランセットの保護キャップに形成されたツメ303a付近の拡大図である。図4Cはランセット本体上側から見たランセットの平面図である。
【図5】図5Aおよび図5Bは穿刺針ホルダ201aの斜視図であって、異なる角度からみた図である。
【図6】図6Aはランセット204aを穿刺針ホルダ201aにはめ込む状態を示す図である。図6Bは穿刺針ホルダ201aにランセット204aがはめ込まれた状態で穿刺針カートリッジ102aを形成している図であって、図中右側は断面を示す。
【図7】図7は穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダから保護キャップが分離する様子を示す。図7Aは、穿刺針ホルダにランセットを装着した初期状態を示す。図7Bは、保護キャップを所定の角度回転させた状態を示す。図7Cは、スロープに導かれてツメが移動して、保護キャップが分離していく状態を示す。
【図8】図8Aは保護キャップのツメが穿刺針ホルダのスロープに当接している状態を示し、当接面が傾斜している。図8Bは保護キャップのツメが穿刺針ホルダのスロープに当接している状態を示し、当接面が半円状である。図8Cは保護キャップのツメが穿刺針ホルダのスロープに当接している状態を示し、当接面が階段状である。
【図9】図9は穿刺針カートリッジ102aにおいて、保護キャップ202aを逆回転させた場合の様子を示す展開図である。図9Aは、穿刺針ホルダの逆回転防止用リブ403aに保護キャップのツメ303aが係止している状態を示す。図9Bは、保護キャップが逆回転防止用リブを超えて回転した状態を示す。図9Cは、切欠部を通ってツメが移動して、保護キャップが分離していく状態を示す。
【図10】図10Aはランセット204bの斜視図である。図10Bはランセットの保護キャップに形成されたツメ303b付近の拡大図である。図10Cはランセット本体上側から見たランセットの平面図である。
【図11】図11Aおよび図11Bは穿刺針ホルダ201bの斜視図であって、異なる角度からみた図である。
【図12】保護キャップのツメ303bと、穿刺針ホルダのツバ401bとガイド402bとの関係を示す図である。保護キャップのツメと穿刺針ホルダのガイドとは面接触する。
【図13】保護キャップのツメと、穿刺針ホルダのツバとガイドとの関係を示す図である。保護キャップのツメと穿刺針ホルダのガイドとは線接触する。
【図14】保護キャップのツメと、穿刺針ホルダのツバとガイドとの関係を示す図である。保護キャップのツメと穿刺針ホルダのガイドとは線接触する。
【図15A】第2の穿刺器具101cの一例における、ランセット204cの装着部分の透視斜視図である。
【図15B】図15Aに示される穿刺器具のランセット204cの斜視図である。
【図15C】図15Aに示される穿刺器具の穿刺器具本体101cの斜視図である。
【図16A】第2の穿刺器具101dの別の例における、ランセット204dの装着部分の透視斜視図である。
【図16B】図16Aに示される穿刺器具のランセット204dの斜視図である。
【図16C】図16Aに示される穿刺器具のプランジャ103dの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の穿刺針カートリッジおよび穿刺器具はいずれも、保護キャップとランセット本体を含むランセットを有する。つまり穿刺針カートリッジは、前記ランセットとそのランセットを移動可能に保持する穿刺針ホルダを有し、穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダは穿刺器具(第1の穿刺器具)に装着される。一方、穿刺器具(第2の穿刺器具)は、穿刺針ホルダによって保持されないランセットと、前記ランセットを移動可能に保持する保持部を具備する。
【0012】
穿刺器具について
前述の通り、穿刺器具はランセットと穿刺器具本体を含み、かつ穿刺針ホルダを有する場合(第1の穿刺器具)と有さない場合(第2の穿刺器具)とがある。
【0013】
第1の穿刺器具
図1は、第1の穿刺器具の例の斜視図である。穿刺器具本体101aに、穿刺針カートリッジ102aが装着されている。
図2は、第1の穿刺器具(穿刺針ホルダを有する穿刺器具)の例における、穿刺器具本体101aへの穿刺針カートリッジ102aの装着部分を透視した図である。穿刺針カートリッジ102aは、保護キャップ202aとランセット本体203aからなるランセット204a(図4参照)、および穿刺針ホルダ201aを有する。穿刺針カートリッジ102aのランセット本体203aの一端が、穿刺器具本体101aのプランジャ103aに把持されている。
【0014】
図2に示されるように、第1の穿刺器具に含まれるランセットは、穿刺針ホルダ201aと一体化されて穿刺針カートリッジの一部とされている。穿刺針ホルダが穿刺器具本体に装着されるので、ランセットは穿刺針ホルダを介して穿刺器具本体に装着される。
【0015】
第2の穿刺器具
一方、図15Aおよび図16Aは、第2の穿刺器具(穿刺針ホルダを有さない穿刺器具)の例における、穿刺器具本体(101cおよび101d)へのランセット(204cおよび204d)の装着部分を透視した図である。ランセットを構成するランセット本体(203cおよび203d)の一端が、穿刺器具本体のプランジャ(103cおよび103d)に把持される。
【0016】
さらに、詳細は後述するが、保護キャップ(202cおよび202d)のツメ303cまたはガイドアングル306が、穿刺器具本体101cと係合している。
【0017】
穿刺針カートリッジについて
穿刺針カートリッジは、ランセットと、それを移動可能に保持する穿刺針ホルダを有する。ランセットは、穿刺針が設けられたランセット本体と、その穿刺針を覆って保護する保護キャップを有し、ランセット本体と保護キャップは接続部で分離可能に接続されている。ランセット本体の軸心周りに保護キャップを回転させると、接続部で破断して、ランセット本体から保護キャップを分離することができる。
【0018】
保護キャップには、第1の凸部または凹部が形成されている(図4における303aを参照)。一方、穿刺針ホルダには第2の凸部または凹部が形成されている(図5における401aを参照)。穿刺針ホルダにランセットを装着すると、第1の凸部または凹部と、第2の凸部または凹部とが係合する。この係合により、保護キャップがランセット本体の軸心方向に移動できなくなり、穿刺針ホルダから分離できない。
【0019】
穿刺針ホルダには第2の凸部または凹部が形成されているが、第2の凸部または凹部が形成されない切欠部(図5Aにおける405aを参照)も有する。さらに切欠部の付近にはスロープまたはガイド部(図5Aにおける402aを参照)が形成される。
穿刺針ホルダに装着されたランセットの保護キャップを所定の角度回転させると、前記第1の凸部または凹部が切欠部に移動することによって、第2の凸部または凹部との係合が解除する。つまり保護キャップを所定の角度回転させると、第1の凸部と凹部は、ガイド部に当接して;さらに保護キャップを回転させようとすると、ガイド部に導かれて第1の凸部と凹部が切欠部を通過して、それにより保護キャップが穿刺針ホルダから分離する(図7参照)。
【0020】
穿刺針ホルダに装着されたランセットの保護キャップは、ランセット本体の軸心周りのうち、両方の方向に回転可能であってもよいが、片方だけの方向に回転可能であってもよい。片方だけの方向に回転可能にするには、穿刺針ホルダの第2の凸部または凹部に、回転を規制する規制部(図5Bにおける403aを参照)を設ければよい。さらに、前記規制に反して逆方向に回転した保護キャップの第1の凸部または凹部と係合する、第3の凸部または凹部(図9における401aを参照)を穿刺針ホルダに設けておいてもよい。
【0021】
図3は、図2に示される第1の穿刺器具に含まれる穿刺針カートリッジ102aの斜視図である。穿刺針カートリッジ102aは、ランセット204aと、穿刺針ホルダ201aを有する。ランセット204a(図4参照)は、ランセット本体203aと、保護キャップ202aを有する。ランセット本体203aには、その一端に被把持部207aが形成され、他端に穿刺針(不図示)が設けられている。保護キャップ202aは、前記穿刺針を覆って保護する。また保護キャップ202aには、保護キャップ202aをランセット本体203aから破断するために、保護キャップ202aを回転させるべき回転方向を示す標示である矢印206aが付されていてもよい。
穿刺針カートリッジ102aを穿刺器具本体101aに装着すると、被把持部207aは穿刺器具本体101aのプランジャ103a(図2参照、後述)の先端部分に把持される。
【0022】
図4Aには、ランセット204aの斜視図が示される。
図4Aに示されるランセット204aは、穿刺針301aを有するランセット本体203aと、穿刺針301aを覆う保護キャップ202aとを有する。ランセット本体203aと保護キャップ202aは、樹脂などの弾性材、例えばポリエチレン樹脂などによって一体成形されており、接続部302aで互いに分離可能に接続される。
【0023】
保護キャップ202aは、ランセット本体203aの軸心周りに回転することができ、かつ一定の角度回転すると、接続部302aでのランセット本体203aとの接続が破断することが好ましい。つまり「分離可能」とは、保護キャップをランセット本体の軸心周りに所定の角度回転させると、破断したり互いの係合が解除されたりして、分離できることなどを意味する。
【0024】
ランセット本体203aには、十字のリブ305aが形成されている。また、図4B(ツメ303aの付近の拡大図)および図4C(ランセットを、ランセット本体の被把持部207aの側からみた平面図)に示されたように、保護キャップ202aの内部は空洞であり、保護キャップ202aの内周壁にツメ303aが設けられている。さらに図4Bに示されるように、ツメ303aの側面は傾斜304aを有する。図4Bに示されるランセット204aのツメ303aは、一つの側面が傾斜されていればよく、一方、図10Bに示されるランセット204bのツメ303bは、二つの側面が傾斜されている。ランセット204bの詳細は後述する。ツメ303aの傾斜304aは、後述するスロープ402a(図5A参照)に当接する。
【0025】
図5Aおよび図5Bは、穿刺針ホルダ201aの斜視図であり、互いに異なる方向からみた図である。穿刺針ホルダ201aの内部には十字溝404aがあり、十字溝404aに、ランセット本体203aに設けられた十字リブ305a(図4A参照)をはめ込むことによって、ランセット本体203aと穿刺針ホルダ201aが一体化する(図6参照)。前記はめ込みによって、穿刺針ホルダ201aと保護キャップ202aとの、ランセット本体203aの軸心周りに関する初期状態における相対位置が規定される。
【0026】
穿刺針ホルダ201aの外面(円筒の外側面)にはツバ401aが形成され、ツバ401aに保護キャップ202aのツメ303a(図4参照)が係合する。
保護キャップ202aがランセット本体203aの軸心周りに所定の角度回転した場合には、保護キャップ202aのツメ303aとツバ401aとの係合が解除されるように、切欠部405aが設けられている。また、穿刺針ホルダ201aの外面にはスロープ402aが形成され、保護キャップ202aがランセット本体203aの軸心周りに所定の角度回転した場合には、スロープ402aにツメ303aの傾斜304aが当接する。
【0027】
さらに穿刺針ホルダ201aの外面(円筒の外側面)には、保護キャップ202aの回転を規制する規制部403aが形成されている。規制部403aの詳細については後述する。
【0028】
図6Aに示すように、穿刺針カートリッジ102aは、ランセット204aを、穿刺針ホルダ201aの内部にはめ込むことによって組み立てられる。つまり、ランセット204aの十字リブ305aを、穿刺針ホルダ201aの十字溝404aに嵌合する所定の位置に差込んで組立てられている。前記組立ては、十字溝404aと十字リブ305aとの関係(十字溝404aに十字リブ305aが嵌合するようにする)、および組立て直後の初期位置におけるツメ303aと切欠部405aとの関係(ツメ303aが切欠部405aの位置に配置されないようする)を基準にして行なわれる。
【0029】
図6Bは、穿刺針カートリッジ102aの初期位置における部分断面図(右側だけが断面を示している)である。前記組立てにより、保護キャップ202aのツメ303aと、穿刺針ホルダ201aのツバ401aが係合する。ツメ303aとツバ401aとの係合により、保護キャップ202aをランセット本体203aから軸心方向(図6Bにおける上下方向)に引き抜くことができなくなる。よって穿刺器具本体101aに装着された穿刺針カートリッジ102aの保護キャップ202aを、ランセット本体203aの軸心周りに回転させることなく、ランセット本体203aから分離させようと引っ張ると、穿刺針カートリッジ102aごと穿刺器具101aから外さなければならない。よって、無理に保護キャップ202aを引き抜こうとした場合であっても、穿刺器具(プランジャ)によるランセット本体203aの正常な把持が解除されたり、穿刺深さが変わったり、もしくはランセットの針先が穿刺器具よりはみ出してしまったりすることがなくなり、はみ出した針による針刺し事故も防止できる。
【0030】
図6A及び図6Bに示される穿刺針カートリッジ102aは、保護キャップ202aにツメ303aを設け、穿刺針ホルダ201aにツバ401aを設けて互いに係合させているが、保護キャップ202aが穿刺針ホルダ201aから引き抜かれないようにすればよいので、その係合の方法は任意である。例えば、穿刺針ホルダ201aに溝形状などの凹部を形成してもよい。
【0031】
図7A〜図7Cには、穿刺針カートリッジ102aの穿刺針ホルダ201aにより、ランセット204aから保護キャップ202aが分離する様子が示されている。図7A〜図7Cは、穿刺針ホルダ201aのツバ401a、切欠部405aおよびスロープ402aと、保護キャップ202aのツメ303aとの関係を、ホルダ側面の円筒形状を平面的に展開して簡易的に説明する。
【0032】
図7Aは、穿刺針カートリッジ102aの初期状態(ランセット204aを穿刺針ホルダ201aに装着した状態;図6B参照)を示す。図7Aの状態から、保護キャップ202aを所定の方向(矢印501の方向)へ回転させると、ツメ303aが図中右側に移動して、ツメ303aの側面の傾斜304a(図4B参照)が穿刺針ホルダ201aのスロープ402aに当接する(図7B)。前述の通り保護キャップ202aが回転する方向(矢印501の方向)を保護キャップに標示しておいてもよく(図3参照)、それにより保護キャップを誤って所定の方向と異なる方向へ回転させることを防止する。
【0033】
図7Bに示されるようにツメ303aの端面の傾斜304aが穿刺針ホルダ201aのスロープ402aに当接するまで保護キャップ202aを回転させると、保護キャップ202aと、ランセット本体203aとが、接続部302a(図4参照)で破断することが好ましい。図7Aの初期状態から図7Bの状態になるまでの保護キャップ202aの回転角度は90度〜270度であることが好ましく、150度〜180度であることがより好ましい。
【0034】
また図7Bに示される状態において、穿刺針ホルダ201aのツバ401aに係合していたツメ303aが、ツバ401aのない切欠部405aに対応する部位に移動する。
【0035】
図7Bの状態から、さらに保護キャップ202aを矢印501の方向に回転させようとすると、穿刺針ホルダ201aのスロープ402aに沿ってツメ303aが移動するので、ランセット204aのうち保護キャップ202aだけが、ランセット204aから矢印502の方向へ分離される(図7C)。
【0036】
図7Bの状態において、保護キャップ202aのツメ303aの傾斜304aと、穿刺針ホルダ201aのスロープ402aとが適切に当接しないと、ツメ303aがスロープ402aによるガイドに従わずに、保護キャップ202aを矢印502の方向に適切に導けないことがある。つまり、傾斜304aとスロープ402aとの係合が外れて、ツメ303aが矢印501の方向にスロープ402aを乗り越えてしまうことがある。そのためスロープ402aが、ツメ303aを図7Cに示される矢印502の方向へガイドしようとしても適切にガイドできない。そこで、ツメ303aとスロープ402aの形状を適切に制御して、両者の係合が外れることを防止することが好ましい。
【0037】
図8A〜図8Cは、図7BのI−I’の断面図であり、保護キャップ202aのツメ303aと、穿刺針ホルダ201aのスロープ402aとの係合を外れにくくするための構造の例を示す。例えば、図8Aに示されるように、ツメ303aの傾斜304aがスロープ402aと当接したときに、回転外周側よりも回転内周側のツメ303aが、スロープ402aにより深くにかみ合うようにすればよい。あるいは、図8Bに示されるように傾斜304aとスロープ402aとの当接面を半円形状にしたり、図8Cに示されるように傾斜304aとスロープ402aとの当接面を階段状にしたりしてもよい。
【0038】
図8A〜図8Cに示される構造にすれば、保護キャップ202aを回転させる力が過剰になっても、スロープ402aはツメ303aを適切に規制して、図8A〜図8Cにおける上方に押し付けることができる。
【0039】
図9A〜図9Cは、図7と同様に、穿刺針カートリッジ102aにおける、穿刺針ホルダ201aのツバ401aと、保護キャップ202aのツメ303aとの関係を、側面形状(円筒形)から平面的に展開して簡易的に説明する図である。ただし図9は、保護キャップ202aを所定の方向(図7の矢印501)ではなく、その逆の回転方向(矢印503の方向)に回転させた場合を説明する。
【0040】
図9Aに示されるように、穿刺針ホルダ201aには逆回転防止用リブ403aが設けられる(図5B参照)。保護キャップ202aを、所定の方向(図7の矢印501)ではなく矢印503の方向に回転させようとすると、逆回転防止用リブ403aが保護キャップ202aのツメ303aを係止するので、その回転は抑制される(図9A)。
【0041】
しかしながら保護キャップ202aを、過剰な力で矢印503の方向にさらに回転させようとすると、ツメ303aが逆回転防止用リブ403aを乗り越えて、保護キャップ202aが回転する可能性がある。特に、保護キャップ202aが変形しやすい弾性体で形成されていると、保護キャップ202aのツメ303aが逆回転防止用リブ403aを乗り越えやすい。
【0042】
ツメ303aが逆回転防止用リブ403aを乗り越えて、図9Bの状態にまで保護キャップ202aが回転しても、保護キャップ202aとランセット本体203aとの接続部302aは破断しない。この状態で保護キャップ202aを軸心方向に引っ張ると、前述の通り保護キャップ202aとともにランセット本体203aが引っ張られるので、ランセット本体203aと穿刺器具との正常な係合が解除される恐れがある。そのため、針刺し事故に繋がることがある。
【0043】
そこで図9Bに示されるように、逆回転防止用リブ403aを保護キャップ202aのツメ303aが乗り越えた場合でも、保護キャップ202aと穿刺針ホルダ201aとが分離できないように、逆回転防止用リブ403aから矢印503側にもツバ401a(第3の凸部または凹部に対応)を設けることが好ましい。これにより、図9Bの位置において、保護キャップ202aを軸心方向に引っ張ることによるランセット本体203aと穿刺器具との正常な係合が解除される恐れがなくなり、安全である。
【0044】
図9Bに示された状態から、さらに矢印503の方向に保護キャップ202aを回転させて、ランセット204aの接続部302aが破断される角度にまで回転させた場合には、図9Cに示されるように穿刺針ホルダ201aのツバ401aの切欠部405aをツメ303aが通ることによって、穿刺針ホルダ201aにより保護キャップ202aがランセット204aから分離する。図9Aの状態から図9Cの状態になるまでの保護キャップ202aの回転角度は90度〜270度であることが好ましく、150度〜180度であることがより好ましい。
【0045】
穿刺針ホルダ201aの逆回転防止用リブ403aと、保護キャップ202aのツメ303aとの接合面も、ツメ303aの傾斜304aとスロープ402aとの接合面と同様に(図8A〜図8C参照)、接合面を調整して逆回転防止用リブ403aを保護キャップ202aのツメ303aが乗り越えにくくすることが好ましい。
【0046】
図9A〜図9Cに示されるように、穿刺針ホルダ201aに逆回転防止用リブ403aを設けて保護キャップ202aの回転方向を所定の方向に規制してもよいが、必ずしも規制する必要はなく、両方向に保護キャップ202aを回転させてもよい。
図10A〜図10Cおよび図11A〜図11Bには、保護キャップ202bを両方向に回転させるための、ランセット204bおよび穿刺針ホルダ201bが示される。
【0047】
図10A〜図10Cに示されるランセット204bは、図4A〜図4Cに示されるランセット204aと、ツメ303bの形状が異なる以外は同様である。つまりランセット204bは、ランセット本体203bと保護キャップ202bを有し、互いに接続部302bで分離可能に接続されている。保護キャップ202bを、ランセット本体203bの軸心周りに所定の角度回転させると、保護キャップ202bとランセット本体203bとが接続部302bで破断して、保護キャップ202bがランセット本体203bから分離されうる。
【0048】
ランセット本体203bの一端には被把持部207bが形成され、被把持部207bは穿刺器具本体のプランジャ103a(図2参照)の先端部分に把持され;他端には穿刺針301bが設けられ、穿刺針301b(不図示)は保護キャップ202bに覆われて保護されている。さらに、ランセット本体203bには十字リブ305bが形成されている。
【0049】
図10Bおよび図10Cに示されるように、保護キャップ202bの内部は空洞であり、保護キャップ202bの内周壁にツメ303bが設けられている。さらに図10A及び図10Bに示される保護キャップ202bのツメ303bの二つの側面に、傾斜304bおよび304b’が形成されている。
【0050】
また、図11A〜図11Bに示される穿刺針ホルダ201bは、スロープ402aの代わりにガイド402bが形成され、かつ逆回転防止リブ403aに対応する部材を有さないこと以外は、図5A及び図5Bに示される穿刺針ホルダ201aと同様である。
【0051】
つまり穿刺針ホルダ201bには、ツバ401bが形成され、ツバ401bにランセット204bのツメ303bが係合する。この係合により、ランセット本体203bの軸心方向への保護キャップ202bの移動が規制される。さらに穿刺針ホルダ201bには切欠部405bが設けられているので、保護キャップ202bをランセット本体203bの軸心周りに回転させると、ガイド402bで導かれたツメ303bが切欠部405bを通過して、穿刺針ホルダ201bにより保護キャップ202bがランセット本体203bから分離する。
【0052】
穿刺針ホルダ201bのガイド402bは、特に限定されないが、V字状などのように対象の形状であることが好ましい。ガイド402bを対象の形状とすることにより、穿刺針ホルダ201bに装着されたランセット204bの保護キャップ202bを、ランセット本体203bの軸心周りのいずれの方向に所定の角度回転させても、ツメ303bの傾斜304bおよび304b’のいずれかがガイド402bに当接する。そしてツメ303bはガイド402bに導かれて切欠部405bを通過するので、穿刺針ホルダ201bのガイド402bによって保護キャップ202bがランセット本体203bから分離される。このように保護キャップ202bを、ランセット本体203bの軸心周りのいずれの方向に回転させても分離可能にするため、穿刺針ホルダ201bには逆回転防止用リブ403aに対応する部材を設けていない(図11B参照)。
【0053】
穿刺針ホルダ201bの内部には十字溝404bが形成され、十字溝404bにランセット204bの十字リブ305bが嵌合して、保護キャップ202bと穿刺針ホルダ201bの初期状態における相対位置が規定される(図6Bと同様)。前記初期状態において、穿刺針ホルダ201bのツバ401bと、保護キャップ202bのツメ303bとが係合し;初期状態から、保護キャップ202bをランセット本体203bの軸心周りに所定の角度回転させた場合には、保護キャップ202bのツメ303bとの係合が解除され、切欠部405bから保護キャップ202bが外れる。
【0054】
図12〜図14は、ランセット204b(図10A〜図10C参照)と穿刺針ホルダ201b(図11A及び図11B参照)からなる穿刺針カートリッジにおいて、保護キャップ202bのツメ303bが、穿刺針ホルダ201bのツバ401bと係合したり、切欠部405bから係合が外れたりする様子を説明する図である。図12〜図14はいずれも、穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダ201bの側面の円筒形状を平面的に展開して簡易的に表している。
【0055】
図12〜図14に示される穿刺針カートリッジは互いに、保護キャップ202bのツメ303bの形状、または穿刺針ホルダ201bのガイド部402bの形状が相違する。つまり、図12の穿刺針カートリッジはツメ303bとガイド部402bとが互いに面接触するように、傾斜が設けられている。図13と図14の穿刺針カートリッジはツメ303bとガイド部402bとが線接触するようにツメ303bまたはガイド部402bが鋭角にされている。
【0056】
図12A、図13Aおよび図14Aには、穿刺針カートリッジの初期状態から保護キャップ202bを回転させて、ガイド部402bにツメ303bを接触させるまでの途中の状態が示される。保護キャップ202bを回転させる方向は、各図に示される矢印505の方向であってもよく、その反対の方向であってもよいが、矢印方向に回転させる場合を説明する。
【0057】
図12B、図13Bおよび図14Bは、さらに保護キャップ202bを矢印505の方向に回転させて、ガイド部402bにツメ303bが接触している状態を示す。図12C、図13Cおよび図14Cは、図12B、図13Bおよび図14Bの状態よりも、さらに保護キャップ202bを矢印505の方向に回転させようとした状態を示す。ガイド部402bとツメ303bが互いに干渉して、ガイド部402bまたはツメ303bの傾斜に沿ってツメ303bが移動して(各図において下方に移動して)、保護キャップ202bが分離する。
【0058】
次に、図15および図16には、第2の穿刺器具(穿刺針ホルダを有さない穿刺器具)の例が示される。穿刺針ホルダを有さないので、穿刺器具本体にランセットが直接装着される。
ランセットはランセット本体と保護キャップを有し、互いに接続部で分離可能に接続されている。ランセット本体の一端には、穿刺器具本体のプランジャに把持される被把持部が形成され、かつ他端には穿刺針が形成されている。保護キャップは、穿刺針を覆って保護する。保護キャップをランセット本体の軸心周りに回転させると、接続部で破断して、ランセット本体から保護キャップを分離することができる。
【0059】
保護キャップには、第1の凸部または凹部(図15Bにおける303c、および図16Bにおける306を参照)が形成されている。一方、穿刺器具本体には第4の凸部または凹部が形成されている(図15Cにおける401c、および図16cにおける401dを参照)。ランセットを穿刺器具本体に装着することにより、第1の凸部または凹部と、第4の凸部または凹部が係合する。この係合により、保護キャップがランセット本体の軸心方向に移動できなくなり、穿刺器具本体から分離できない。
【0060】
穿刺器具本体には第4の凸部または凹部が形成されているが、第4の凸部または凹部が形成されない切欠部(図15Cにおける405c、図16Cにおける405dを参照)も有する。さらに切欠部の付近にはガイド部(図15Cにおける402c、図16Cにおける402dを参照)が形成される。
穿刺器具本体に装着されたランセットの保護キャップを所定の角度回転させると、前記第1の凸部と凹部が切欠部に移動することによって、第4の凸部または凹部との係合が解除される。かつ保護キャップを所定の角度回転させると、第1の凸部と凹部はガイド部に当接して;さらに保護キャップを回転させようとすると、ガイド部に導かれて第1の凸部と凹部が切欠部を通過して、それにより保護キャップが穿刺器具本体から分離する。
【0061】
穿刺器具本体に装着されたランセットの保護キャップは、ランセット本体の軸心周りのうち、両方の方向に回転可能であっても、片方の方向だけに回転可能であってもよい。図15Aおよび図16Aに示された穿刺器具における保護キャップは両方の方向に回転可能であるが、片方の方向だけに回転可能にするには、第4の凸部または凹部に回転を規制する部材(図5Bにおける403aを参照)を設ければよい。さらに、規制に反して逆方向に回転した保護キャップの第1の凸部または凹部と係合する、第5の凸部または凹部(図9における401aに相当)を穿刺器具本体101cまたは101dに設けておいてもよい。
【0062】
図15Aに示される穿刺器具は、ランセット204cと穿刺器具本体101cを有するが、ランセットを保持する穿刺針ホルダを有さない点で、図2に示される穿刺器具101aと相違する。
図15Bはランセット204cの斜視図である。ランセット204cは、保護キャップ202cと、ランセット本体203cとを有する。図4に示される保護キャップ202aと同様に、保護キャップ202cの内部は空洞にされており、かつその内周壁にツメ303cが形成されている。
【0063】
図15cは、穿刺器具本体101cの斜視図である。穿刺器具本体101cの先端部にツバ401cが形成されており、またツバ401cの欠けている部位である切欠部405cも設けられる。切欠部405cに対応する位置に、ガイド402cも配置されている。
【0064】
穿刺器具本体101cにランセット204cを装着すると、穿刺器具本体101cのツバ401cにランセット204cと一体になっている保護キャップ202cのツメ303cが係合する。さらに、保護キャップ202cをランセット本体203cの軸心周りに回転させると、ツメ303cがガイド402cに接触する。ツメ303cがガイド402cに接触するまで保護キャップ202cを回転させると、接続部302cが破断する。さらに保護キャップ202cを回転させようとすると、ガイド402cに導かれてツメ303cが切欠部405cを通過するので、保護キャップ202cは穿刺器具本体101cから分離する。
【0065】
次に、図16Aには、第2の穿刺器具の第2の例が示される。図16Aに示される穿刺器具は、ランセット204dと穿刺器具本体101dを有する。
【0066】
図16Bはランセット204dの斜視図であり、ランセット204dは保護キャップ202dとランセット本体203dを有する。ランセット本体203dと、保護キャップ202dとは、接続部302dで分離可能に接続されている。ランセット本体203dは、穿刺器具本体101dのプランジャ103dに把持される被把持部207dを有する。一方、保護キャップ202dには、ガイドアングル306が形成されている。ガイドアングル306は、後述するように、穿刺器具本体のプランジャ103dに形成されたツバ401dに係合する。
【0067】
図16Cは穿刺器具本体101dのプランジャ103dの斜視図である。プランジャ103dは、ランセット本体203dの被把持部207dを把持する。また、プランジャ103dの先端部にはツバ401dが形成され、かつツバ401dが欠けている切欠部405dも有する。切欠部405dに対応する位置には、ガイド402dも配置されている。
【0068】
穿刺器具本体101dにランセット204dを装着すると、穿刺器具本体101dの内部に有するプランジャ103dに設けられたツバ401dにランセット204dのガイドアングル306が係合する。さらに、保護キャップ202dをランセット本体203dの軸心周りに回転させると、ガイドアングル306がガイド402dに接触する。ガイドアングル306がガイド402dに接触するまで保護キャップ202dを回転させると、接続部302dが破断する。さらに保護キャップ202dを回転させようとすると、ガイド402dに導かれてガイドアングル306が切欠部405dを通過するので、保護キャップ202dは穿刺器具本体101dから分離する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の穿刺針カートリッジや穿刺器具は、穿刺針を保護する保護キャップを使用者が適切に外すことができるので、針刺し事故などなど起こすことなく、安全に穿刺を行なうことができる。したがって本発明の穿刺針カートリッジや穿刺器具は、採血するための穿刺器具として有用である。
【0070】
本出願は、2006年5月10日出願の出願番号JP2006−131357に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本出願に援用される。
【符号の説明】
【0071】
101a、101c、101d 穿刺器具本体
102a、102b、102c、102d 穿刺針カートリッジ
103a、103d プランジャ
201a、201b、201c、201d 穿刺針ホルダ
202a、202b、202c、202d 保護キャップ
203a、203b、203c、203d ランセット本体
204a、204b、204c、204d ランセット
205 内径部
206a 標示
207a、207b、207c、207d 被把持部
301a、301b、301c、301d 穿刺針
302a、302b、302c、302d 接続部
303a、303b、303c、303d ツメ
304a、304b、304c、304d 傾斜形状
305a、305b 十字リブ
306 ガイドアングル
401a、401b、401c、401d ツバ
402a スロープ
402b、402c、402d ガイド
403a 逆回転防止リブ
404a、404b 十字溝
405a、405b、405c、405d 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に穿刺針を有し、かつ他端に穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部とを有するランセット、ならびに前記ランセットを移動可能に保持し、かつ前記穿刺器具本体に装着される穿刺針ホルダを含む穿刺針カートリッジであって、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺針ホルダには第2の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、穿刺針カートリッジ。
【請求項2】
前記保護キャップが前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転すると、前記ランセット本体と前記保護キャップとが接続部で分離する、請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項3】
前記保護キャップの第1の凸部または凹部、および前記穿刺針ホルダの第2の凸部または凹部のそれぞれにはガイド部が形成され、
前記保護キャップが前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合に、前記ガイド部同士は互いに当接して、前記保護キャップを前記穿刺針ホルダから離間する方向に導く、請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項4】
前記第1の凸部または凹部のガイド部と、前記第2の凸部または凹部のガイド部との当接面は、前記第1の凸部または凹部のガイド部が、前記第2の凸部または凹部のガイド部を乗り越えることを防止するように、傾斜を有しているか、階段形状であるか、または半円形状である、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記穿刺針ホルダの第2の凸部または凹部には規制部が形成され、
前記規制部は、前記保護キャップの前記ランセット本体の軸心周りの所定の回転方向の回転以外の回転を規制する、請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項6】
前記保護キャップの前記ランセット本体の軸心周りの所定の回転方向を示す標示が付される、請求項5に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項7】
前記穿刺針ホルダには、第3の凸部または凹部が形成され、
前記第3の凸部または凹部は、前記保護キャップが前記所定の回転方向の回転以外の回転をした場合に、前記保護キャップの第1の凸部または凹部と係合して、前記保護キャップの軸心方向の移動を規制する、請求項5に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項8】
前記保護キャップは、前記ランセット本体の軸心周りのいずれの回転方向にも、前記所
定の角度回転できる、請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項9】
前記ランセットの前記保護キャップと前記ランセット本体は一体成型されている、請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項10】
請求項1に記載の穿刺針カートリッジ、および
前記穿刺針ホルダが装着され、かつ前記ランセット本体の被把持部を把持する把持部を有する穿刺器具本体、を具備する穿刺器具。
【請求項11】
一端に穿刺針を有し、かつ他端に穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部とを有するランセットであって、
前記穿刺器具本体に装着される穿刺針ホルダに移動可能に保持されることによって、穿刺針カートリッジを構成し、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺針ホルダには第2の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、ランセット。
【請求項12】
一端に穿刺針を有し、かつ他端に穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体に、接続部を介して接続されることによりランセットを構成する保護キャップであって、
前記ランセットは、穿刺針ホルダに移動可能に保持されることにより穿刺針カートリッジを構成し、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺針ホルダには第
2の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第2の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、保護キャップ。
【請求項13】
穿刺器具本体、ならびに
一端に穿刺針を有し、かつ他端に前記穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部を有するランセット、を含む穿刺器具であって、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺器具本体には第4の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、穿刺器具。
【請求項14】
前記穿刺器具本体は、前記被把持部を把持するプランジャを有し、
前記プランジャに、前記第4の凸部または凹部が形成されている、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項15】
前記保護キャップが前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転すると、前記ランセット本体と前記保護キャップとが接続部で分離する、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項16】
前記保護キャップの第1の凸部または凹部、および前記穿刺器具本体の第4の凸部または凹部のそれぞれにはガイド部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセットの軸心周りに所定の角度回転した場合に、前記ガイド部同士は互いに当接して、前記保護キャップを前記穿刺器具本体から離間する方向に導く、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項17】
前記第1の凸部または凹部のガイド部と、前記第4の凸部または凹部のガイド部との当接面は、前記第1の凸部または凹部のガイド部が、前記第2の凸部または凹部のガイド部を乗り越えることを防止するように、傾斜を有しているか、階段形状であるか、または半円形状である、請求項16に記載の穿刺器具。
【請求項18】
前記穿刺器具本体の第4の凸部または凹部には規制部が形成され、
前記規制部は、前記保護キャップの前記ランセットの軸心周りの所定の回転方向の回転以外の回転を規制する、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項19】
前記保護キャップの前記ランセット本体の軸心周りの所定の回転方向を示す標示が付される、請求項18に記載の穿刺器具。
【請求項20】
前記穿刺器具本体には、第5の凸部または凹部が形成され、
前記第5の凸部または凹部は、前記保護キャップが前記所定の回転方向の回転以外の回転をした場合に、前記保護キャップの第1の凸部または凹部と係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動を規制する、請求項18に記載の穿刺器具。
【請求項21】
前記保護キャップは、前記ランセット本体の軸心周りのいずれの回転方向にも、前記所定の角度回転できる、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項22】
前記ランセットの前記保護キャップと前記ランセット本体は一体成型されている、請求項13に記載の穿刺器具。
【請求項23】
穿刺器具本体に装着されるランセットであって、
一端に穿刺針を有し、かつ他端に前記穿刺器具本体に把持される被把持部を有するランセット本体、前記穿刺針を保護する保護キャップ、および前記ランセット本体と前記保護キャップとを分離可能に接続する接続部とを有し、
前記保護キャップには第1の凸部または凹部が形成され、かつ前記穿刺器具本体には第4の凸部または凹部が形成され、
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転していない場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部とが係合して、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制され、かつ
前記保護キャップが、前記ランセット本体の軸心周りに所定の角度回転した場合は、前記第1の凸部または凹部と、前記第4の凸部または凹部との係合が解除されて、前記ランセット本体の軸心方向の前記保護キャップの移動が規制されない、ランセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【公開番号】特開2012−166054(P2012−166054A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108065(P2012−108065)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2008−514529(P2008−514529)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】