説明

穿刺装置とこれを用いた血液検査装置

【課題】穿刺ボタンの押下により穿刺位置が動き、一回の穿刺では予定量の血液を採取することは難しく、患者にかける負担は大きかった。
【解決手段】穿刺ボタン12と、この穿刺ボタン12が接続されたカウント手段13と、このカウント手段13の一方の出力に接続された穿刺手段15と、カウント手段13の他方の出力に接続された警報手段18とを備え、カウント手段13は、穿刺ボタン12が押下された時点から時間の計測を開始し、漸次進行する時間経過情報を警報手段18に対して複数回出力するとともにこれを警報手段18で都度警報し、前記複数回の出力の内最後の出力で穿刺手段15により穿刺するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値等の検査に用いる穿刺装置とこれを用いた血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の穿刺装置について説明する。図15は、従来の穿刺装置1使用中の斜視図である。穿刺装置1を例えば右手に持ち、穿刺装置1の穿刺部2を左手の人差し指5aの皮膚5に当接させる。そして、右手の中指で穿刺ボタン3aを押下する。穿刺ボタン3aが押下されると直ちにレーザ穿刺ユニット3(図示せず)からはレーザ光3b(図示せず)が放射される。このレーザ光3bにより、皮膚5が穿刺される。穿刺された皮膚5からは血液6が滲出する。なお、穿刺ボタン3aを押下する穿刺タイミングは、患者夫々が自らのタイミングを見計らって穿刺していた。何れにしても、穿刺ボタン3aの押下後、直ちにレーザ光3bが放射されるものであった。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特表2003―524496号公報
【特許文献2】特表平10―501992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのような従来の穿刺装置1では、穿刺ボタン3aが押下されると直ちに穿刺が行なわれため、どうしても穿刺ボタン3aの押下動作が残っているうちに穿刺が行われることになる。この穿刺ボタン3aの押下動作により、穿刺装置1を握っている右手がぶれてしまうことがある。右手がぶれてしまうと、丁度、写真撮影において、手ぶれを起こすように穿刺装置1においても手ぶれが生じ、押下力により穿刺部2が皮膚5からずれることになる。
【0005】
穿刺部2が皮膚5からずれると、予定した十分な穿刺径や穿刺深さを得ることができなくなり、その結果として予定量の血液6が採取できなくなる。予定量の血液6が得られないと、検査に必要な十分な量の血液6が採取できるまで、何回も穿刺を繰り返さなければならず、患者にかける負担は大きなものになる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決したもので、患者にかける負担を少なくした穿刺装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の穿刺装置は、穿刺ボタンと、この穿刺ボタンが接続されたカウント手段と、このカウント手段の一方の出力に接続された穿刺手段と、前記カウント手段の他方の出力に接続された警報手段とを備え、前記カウント手段は、前記穿刺ボタンが押下された時点から時間の計測を開始し、漸次進行する時間経過情報を前記警報手段に対して複数回出力するとともにこれを前記警報手段で都度警報し、前記複数回の出力の内最後の出力で前記穿刺手段により穿刺するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明の穿刺装置は、穿刺ボタンと、この穿刺ボタンが接続されたカウント手段と、このカウント手段の一方の出力に接続された穿刺手段と、前記カウント手段の他方の出力に接続された警報手段とを備え、前記カウント手段は、前記穿刺ボタンが押下された時点から時間の計測を開始し、漸次進行する時間経過情報を前記警報手段に対して複数回出力するとともにこれを前記警報手段で都度警報し、前記複数回の出力の内最後の出力で前記穿刺手段により穿刺するものであり、穿刺ボタンを押下した後、直ちに穿刺するものではなく、漸次進行する時間経過情報を告知した後に穿刺するものである。即ち、穿刺ボタンの押圧力の影響がなくなった後に穿刺される。従って、穿刺ボタンの押圧力により穿刺装置がぶれることはなく、予定した場所に予定した角度で穿刺することができる。このことにより一回の穿刺で予定した量の血液を得ることができ、患者にかける負担は少なくなる。
【0009】
また、漸次減少する時間経過情報を確認しながら穿刺を待つものであり、穿刺に対する十分な覚悟ができ、安定した穿刺が可能となる。更に、この穿刺装置を血液検査装置に用いた場合には、採血位置がぶれることはないので、滲出した血液を外部へ流出させることなく、血液センサに流入させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、穿刺装置11のブロック図である。図1において、12は穿刺ボタンであり、この穿刺ボタン12はカウント手段13に接続されている。カウント手段13はカウンタ回路13aと、このカウンタ回路13aの出力をデコードするデコード回路13bとで構成されている。カウンタ回路13aは、穿刺ボタン12の押下を検知した時点からカウントをスタートするものであり、デコード回路13bでデコードすることにより、等間隔の時間経過情報を得る。この時間経過情報は、出力端子14a〜14eから出力される。即ち、穿刺ボタン12の押下により、等間隔の時間経過情報が出力端子14a〜14eから順次出力される。
【0011】
この出力端子14a〜14eの内、最後に時間経過情報が出力される出力端子14eは穿刺信号として穿刺手段15のトリガ入力端子33a(図3参照)にも接続されている。15は、カウント手段13の出力端子14eに接続された穿刺手段であり、この穿刺手段15は高電圧発生回路16とレーザ穿刺ユニット17とから構成されている。
【0012】
また、カウント手段13の出力端子14a〜14eは全て警報手段18に接続されている。警報手段18は、パターン選択回路18aとパターンジェネレータ18bとで構成されている。パターン選択回路18aは、出力端子14a〜14eからの信号に応じて、パターンジェネレータ18bのパターンを選択している。出力端子14a〜14eから時間経過情報が出力される都度、パターンジェネレータ18bから警報が出力され患者の五感で感知される。そして、出力端子14eの時間経過情報出力とともに、穿刺手段15による穿刺が行われる。
【0013】
本実施の形態における穿刺装置11は、穿刺ボタン12を押下した後、直ちに穿刺するものではなく、漸次進行する時間経過情報で状況を把握した後に穿刺するものである。即ち、穿刺ボタン12の押圧力の影響がなくなった後に穿刺される。従って、穿刺ボタン12の押圧力により穿刺装置11がぶれることはなく、予定した場所に予定した角度で穿刺することができる。このことにより一回の穿刺で予定した量の血液6を得ることができるので、患者にかける負担は少なくなる。
【0014】
また、漸次減少する時間経過情報を確認しながら穿刺を待つものであり、穿刺に対する覚悟ができ、安定した穿刺が可能となる。更に、血液検査装置51(図7〜14参照)に用いた場合には、採血位置がぶれることはないので、滲出した血液6を外部へ流出させることなく、血液センサ58(図12参照)へ流入させることができる。
【0015】
次に、警報手段18による警報の一例について説明する。図2は、警報手段18として視覚表示を行った場合の表示部56(図7,13参照)への表示例である。警報手段18を視覚で表示することにより、人混みの中でも、周りに気遣いすることなく、穿刺動作を行うことができる。
【0016】
図2(a)は、矢印20を画面上で移動させることにより時間経過情報を患者に知らせるものである。即ち、穿刺ボタン12を押下した後、矢印20が矢印20a、20b、20c、20d、20eと順次下方向或いは右方向へ進行する。患者は矢印20aから20dまでの間に穿刺を覚悟して静かに穿刺の時を待つ。そして、矢印20eの段階で穿刺手段15により穿刺される。矢印20eの段階では、穿刺ボタン12の押下によるぶれは消滅しており、安定した状態において穿刺されるので、予定した位置に予定方向の穿刺を行うことができる。従って、一回の穿刺で予定した量の血液6を得ることができる。
【0017】
図2(b)は、数字21を画面上で減少させることにより時間経過情報を患者に知らせるものである。即ち、穿刺ボタン12を押下した後、数字21が21a、21b、21c、21d、21eと順次減少する。そして、この数字21が零(数字21e)の段階で穿刺手段15により穿刺する。数字21eの段階では、穿刺ボタン12の押下によるぶれによる影響はなく、矢印20を用いた場合と同様、一回の穿刺で予定した量の血液6を得ることができる。
【0018】
図2(c)は、棒グラフ22を画面上で減少させることにより時間経過情報を患者に知らせるものである。この場合も矢印20を用いた場合と同様、穿刺ボタン12を押下した後、棒グラフ22が22a、22b、22c、22d、22eと順次減少する。そして、この棒グラフ22が零(棒グラフ22e)の段階で穿刺手段15により穿刺する。棒グラフ22eの段階では、穿刺ボタン12の押下によるぶれの影響はなく、矢印20を用いた場合と同様、一回の穿刺で予定した量の血液6を得ることができる。
【0019】
図2(d)は、発光ダイオードの点灯時間を順次減少させることにより時間経過情報を患者に知らせるものである。この場合も矢印20を用いた場合と同様、穿刺ボタン12を押下した後、発光ダイオードの点灯時間23が23a、23b、23c、23d、23eと順次減少する。そして、この点灯時間が零(点灯時間23e)の段階で穿刺手段15により穿刺する。点灯時間23eの段階では、穿刺ボタン12の押下によるぶれの影響はなく、矢印20を用いた場合と同様、一回の穿刺で予定した量の血液6を得ることができる。
【0020】
この他にも、図示してはいないが聴覚による警報、触覚による警報で患者に穿刺タイミングを知らせることができる。聴覚による警報においては、例えば、「ピ、ピ、ピ」等のビープ音や、音声による警報であっても良い。この場合も視覚による警報のように、時間経過情報を示す持続時間を順次短くする。この方法は視覚が不自由な患者にとって有用な方法である。
【0021】
また、触覚による警報においては、携帯電話のバイブ機能のように筐体を振動させることで警報することもできる。振動は、ソレノイドコイルを使用するものであっても良いし、偏心モータ等を用いても良い。この場合、視覚は使わないので、穿刺装置11をポケットの中へ忍ばせて、人目に付かないように使用することもできる。なお、振動させる部材として、例えば、穿刺ボタン12を振動させると良い。穿刺ボタン12を振動させれば、患者はそもそも穿刺ボタン12を押下したのであるから、振動を見逃すことはない。
【0022】
図3は、穿刺手段15とその近傍のブロック図である。穿刺手段15は、高電圧発生回路16と、レーザ穿刺ユニット17とで構成されている。高電圧発生回路16の入力は、電池19に接続されており、高電圧発生回路16の出力はレーザ穿刺ユニット17に接続されている。電池19は、起電力が4.5Vの二次電池を用いている。
【0023】
次に、レーザ穿刺ユニット17について説明する。レーザ穿刺ユニット17は、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶17aと、フラッシュ光源17b(光源の一例として用いた)と、レーザ結晶17aの前方に設けられたレンズ17cとで構成されている。フラッシュ光源17bは、電極17dとトリガ電極17eを有している。また、レーザ結晶17aの一方の端には透過率約1%の部分透過鏡17fが装着されており、他方の端には全反射鏡17gが装着されている。部分透過鏡17fの前方には、凸レンズ17cが装着されており、レーザ光17hはこの凸レンズ17cを通過して放射される。放射されたレーザ光17hは患者の皮膚5で焦点を結ぶように設定されている。皮膚5が穿刺されると、皮膚5からは血液6が滲出する。
【0024】
次に高電圧発生回路16について説明する。電池19のプラス側19bは電子スイッチ25の一方に接続されており、この電子スイッチ25の他方は昇圧回路26の入力26aに接続されている。この昇圧回路26は電流制御可能なDC/DCコンバータで構成されており、制御端子26bからの制御で昇圧と、流れる電流の制御が行われるものである。なお、図示していないが、昇圧回路26の出力26cには逆流防止用のダイオードが内蔵されている。
【0025】
昇圧回路26の出力26cにはコンデンサ27のプラス側端子が接続され、マイナス側端子には切り替えスイッチ28の共通端子28aが接続されている。切り替えスイッチ28の一方の端子28bは電池19のマイナス側19cに接続されており、他方の端子28cは切り替えスイッチ29の他方の端子29cに接続されている。
【0026】
また、昇圧回路26の出力26cには、切り替えスイッチ29の一方の端子29bに接続されており、この切り替えスイッチ29の共通端子29aはコンデンサ30のプラス側端子に接続されている。コンデンサ30のマイナス側端子は電池19のマイナス側19cに接続されている。これらのコンデンサ27,30は、昇圧回路26から出力される電気(電荷)を充電するものである。ここで、コンデンサ27,30は共に静電容量150μFの同容量のものを用いている。
【0027】
昇圧回路26の出力26cはフラッシュ光源17bの一方の電極17dに接続されるとともにフラッシュ光源17bの他方の電極17dは、電池19のマイナス側19cに接続されている。昇圧回路26の出力26cと電池19のマイナス側19cの間には、電圧測定回路31が接続されている。この電圧測定回路31は、A/D(アナログ/デジタル)コンバータで構成されている。この電圧測定回路31の出力は、昇圧回路を制御するチャージ制御部32に接続されており、このチャージ制御部32の出力は昇圧回路26の制御端子26bに接続されている。
【0028】
昇圧回路26の出力26cは、トリガスイッチ33の一方に接続されており、他方はトリガ回路34の入力に接続されている。このトリガ回路34の出力はフラッシュ光源17bのトリガ電極17eに接続されている。トリガスイッチ33のトリガ入力端子33aは、カウント手段13の出力端子14eに接続されている。
【0029】
スイッチ25,28,29,33は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成されている。従って、大容量の電流を高速でスイッチングすることが可能である。
【0030】
以上のように構成された高電圧発生回路16の動作に付いて以下説明する。図4において、切り替えスイッチ28,29は共に一方の端子28b、29b側に切り替えて、コンデンサ27,30を並列接続する。この状態において、スイッチ25をオンにする。そうすると、電池19から電流が点線36のように流れてコンデンサ27,30をチャージする。電圧測定回路31でコンデンサ27,30の電圧を測定し、コンデンサ27,30の両端の電圧が200Vになった時点で、昇圧回路26からコンデンサ27,30への供給をオフにする。
【0031】
この場合、コンデンサ27,30の両端の電圧は、最低発振電圧(300V)以下であり、レーザ穿刺ユニット17が誤ってレーザ光17hを発射することはなく安全である。また、コンデンサ27、30の両端の電圧は200Vまでチャージするのみであり安全である。
【0032】
次に、カウント手段13から穿刺信号(出力端子14eからの信号)が入力されると、この穿刺信号はトリガ入力端子33aを介してトリガスイッチ33をオンするとともに図5に示すように、このトリガスイッチ33のオンに連動して、切り替えスイッチ28,29は共に他方の端子28c、29c側に切り替えられる。即ち、コンデンサ27,30は直列接続され、点線37に示すような閉回路を形成する。そうすると、コンデンサ27,30の両端の電圧が夫々加算されて、400Vの電圧(発振電圧)となり、この電圧がフラッシュ光源17bの両電極17dに印加される。
【0033】
この状態において、トリガ回路34が動作し、トリガ電極17eがトリガされて、フラッシュ光源17bが発光し、光エネルギ17jが放出される。この光エネルギ17jは、Er:YAGレーザ結晶17a内に入りレーザ光17hを放射する。
【0034】
レーザ穿刺ユニット17による穿刺の完了、或いは予め定められた時間(3秒)の経過により、再び切り替えスイッチ28,29は共に一方の端子28b、29b側に切り替えられて、コンデンサ27,30を並列接続する。従って、何らかの原因でレーザ穿刺ユニット17が動作しなかったとしても、再びコンデンサ27,30両端の電圧は200Vになり、最低発振電圧以下となるので安全である。
【0035】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2における穿刺装置41(実施の形態1における穿刺装置11に該当する)のブロック図である。この穿刺装置41は、穿刺ボタン12からカウント手段13への接続・非接続の切り替えが可能な点と、複数の警報手段18の切り替えが可能な点において、実施の形態1で示した穿刺装置11と相違する。従って、本実施の形態では、この相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同じものに付いては、同符号を付して説明を簡略化している。これは、以降の実施の形態についても同様とする。
【0036】
本実施の形態における穿刺装置41は、図6に示すように、穿刺ボタン12が切り替えスイッチ42の共通端子42aに接続されており、この切り替えスイッチ42の一方の選択端子42bはカウント手段13の入力に接続されている。また、切り替えスイッチ42の他方の選択端子42cは、直接穿刺手段15の入力(トリガ入力端子33a)に接続されている。従って、切り替えスイッチ42を一方の選択端子42b側に切り替えて使用すれば、実施の形態1で説明したように、穿刺ボタン12が押下された時点から計測を開始し、漸次進行する時間経過情報を警報手段18で確認しながら穿刺をすることになる。
【0037】
これに対して、切り替えスイッチ42を他方の選択端子42c側に切り替えて使用すれば、穿刺ボタン12が押下された後、直ちに穿刺することになる。患者の中には、このモードを好む患者も多く、これらの患者のためにこのように切り替えを可能にしている。
【0038】
また、カウンタ手段13の出力端子14a〜14eは、夫々切り替えスイッチ43の共通端子43aに接続されており、切り替えスイッチ43の一方の選択端子43bは視覚表示手段44の入力に接続されている。また、切り替えスイッチ43の他方の選択端子43cは、聴覚表示手段45の入力に接続されている。従って、切り替えスイッチ43を一方の選択端子43b側に切り替えて使用すれば、時間経過情報が順次減少するようすを視覚により確認することができる。これに対して、切り替えスイッチ43を他方の選択端子43c側に切り替えて使用すれば、時間経過情報が順次減少するようすを聴覚により確認することができる。
【0039】
44aは視覚表示手段44に接続された明るさ検知センサ(周囲状況検知センサの一例として用いた)であり、周囲の明るさに応じて、視覚表示手段44の明るさを調整するものである。従って、周囲の明るさに応じて最適な明度を自動的に設定することができる。また、45aは聴覚表示手段45に接続された騒音検知センサ(周囲状況検知センサの一例として用いた)であり、周囲の騒音に応じて、聴覚表示手段45で発する音の強さを調整するものである。従って、周囲の騒音の強さに応じて最適な音量を自動的に設定することができる。例えば、静かなところでは、小さい音を出力することにより、回りに気付かれないようにすることができる。
【0040】
本実施の形態においては、警報手段18として、視覚表示手段44と聴覚表示手段45を用いたが、これは、視覚表示手段44と聴覚表示手段45に限ることはなく、触覚表示手段46(図示せず)も含めて、これら3種類の表示手段の内、一種類の表示手段を選択可能にしても良い。また、視覚表示手段44と触覚表示手段46を組み合わせて、何れか一方を選択するとか、或いは、聴覚表示手段45と触覚表示手段46を組み合わせて、何れか一方を選択することもできる。また、これら複数の警報手段を同時に動作させることもできる。
【0041】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3における血液検査装置51の正面図である。この血液検査装置51には実施の形態1で説明した穿刺装置11(穿刺装置41でも良い)を用いたものであり、穿刺装置11の特徴をそのまま有している。図7において、52は略直方体形状をした筐体であり樹脂で形成されている。この筐体52の下辺の角には穿刺部53が設けられている。また、この筐体52の側面には穿刺ボタン12が装着されている。
【0042】
54は、穿刺部53を保護する穿刺部保護カバーであり、筐体52を上下方向(矢印57a、57b方向)に摺動自在に設けられている。54aは、この穿刺部保護カバー54の上方を貫通して設けられた穿刺窓であり、この穿刺窓54aは、穿刺部保護カバー54を下方(矢印57a方向)へ摺動したとき、丁度穿刺部53に対応する位置へ来る。
【0043】
54bは、廃棄センサ収納カセット55を挿入するカセット挿入部である。また、56は筐体52の上方に設けられた表示部である。この表示部56は実施の形態1における警報手段18を構成する視覚表示による表示部の役割も兼ねている。
【0044】
図8は、血液検査装置51の断面図である。この血液検査装置51は、図8(a)に示すように、穿刺部保護カバー54を下方(矢印57a方向)へ摺動して、穿刺部53に対応した位置に穿刺窓54aを合わせた状態と、図8(b)に示すように、穿刺部保護カバー54を上方(矢印57b方向)へ摺動して、穿刺部53を穿刺部保護カバー54で覆った状態とを有する。
【0045】
図8において、筐体52の下辺の角には、穿刺部53が設けられている。そして、この穿刺部53は固定ホルダ53aと可動ホルダ53bとで構成されおり、この固定ホルダ53aと可動ホルダ53bの間に血液センサ(以下センサという)58を挟んで固定する。
【0046】
穿刺部53に対向してレーザ穿刺ユニット17(図3参照)が装着されている。このレーザ穿刺ユニット17と並列にセンサ58が積層収納されたセンサカートリッジ62が挿抜自在に挿入されている。このセンサカートリッジ62は、センサ58が積層収納されるセンサ室62aと、乾燥剤62bが収納される乾燥剤室62cとで構成されている。乾燥剤62bが収納されている理由は、センサ58は湿気により性能が劣化するので、この湿気による性能劣化を防止するためである。センサカートリッジ62の下辺の角には、センサ58の出口62dが設けられている。この出口62dは、穿刺部53と連通している。
【0047】
また、この出口62dの面には、スライドプレート63が摺動自在に設けられている。このスライドプレート63を用いて積層収納されたセンサ58の内、一番下に収納されたセンサ58を穿刺部53へ搬送して装填する。
このスライドプレート63は、スライドプレート63を構成する突起63aを囲うように、断面「コ」の字形状をした凹部63bが設けられており、この凹部63bから装填動作伝達部材63cで、穿刺部保護カバー54へ摺動自在に導出されている。そして、この装填動作伝達部材63cは、固定部材63dで穿刺部保護カバー54に固定されている。装填動作伝達部材63cは屈曲自在な弾性部材で形成されており、本実施の形態では鋼を用いている。63eは、装填動作伝達部材63cの動作伝達方向を変えるガイドである。
【0048】
従って、図8(a)に示すように、穿刺部保護カバー54を下方(矢印57a方向)へスライドすることにより、スライドプレート63は矢印57c方向にスライドし、センサ室62aの一番下に収納されたセンサ58を穿刺部53へ搬送して装填する。
【0049】
63gは、廃棄動作伝達部材であり、この廃棄動作伝達部材63gの一方は穿刺部保護カバー54に設けられた固定部材63fに固定されている。廃棄動作伝達部材63gは屈曲自在な弾性部材で形成されており、本実施の形態では鋼を用いている。また、この廃棄動作伝達部材63gの他方は、筐体52内に設けられたガイド63hを介して、穿刺部53を構成する可動ホルダ53bの一方の端を押圧可能に設けられている。
【0050】
従って、図8(b)に示すように、穿刺部保護カバー54を上方(矢印57b方向)へスライドすることにより、廃棄動作伝達部材63gは矢印57d方向に摺動し、可動ホルダ53bの一方の端を押圧する。可動ホルダ53bの一方の端を押圧すると、可動ホルダ53bは支点53hを中心に回動し、可動ホルダ53bの他方端は開く。従って、固定ホルダ53aと可動ホルダ53bとの間に挟まれた使用済みのセンサ58bは廃棄センサ収納カセット55方向へ落下する。
【0051】
廃棄センサ収納カセット55方向へ落下したセンサ58bは、一旦仮置場54qに収納される。この一旦仮置場54qに収納されたセンサ58bは、収納ボタン54dを用いて、廃棄センサ収納カセット55へ押し込む。センサ58bは、弾性を有する逆流防止部材55cを乗り越えて、廃棄センサ収納カセット55の内部へ収納される。この収納されたセンサ58bは、受け板55dと逆流防止部材55cとの間に挟まれて積層収納される。廃棄センサ収納カセット55が使用済みのセンサ58bで満杯になれば、この廃棄センサ収納カセット55ごと、カセット収納部54bから取り出して廃棄する。
【0052】
以上まとめると、穿刺部保護カバー54を下方へ摺動するのみで、センサ58を穿刺部53に装填することができる。また、穿刺部保護カバー54を上方へ摺動するのみで、穿刺部53に装填された使用済みのセンサ58bを廃棄することができる。このように、使用済みセンサ58bに直接触れることはないので、衛生的である。更に、穿刺時においては、穿刺窓54aへ指5aを挿入して穿刺するので、指5aが動くことはなく安定した状態で穿刺が可能となる。更にまた、レーザ光17hの外部への洩れを防ぐことができる。また、使用状態にあるときには、穿刺部保護カバー54を引き出すので、形状が大型化され操作が容易となる。更に、不使用状態にあるときは、小型化することができるので携帯に便利なものとなる。
【0053】
また、使用済みのセンサ58bは、廃棄センサ収納カセット55ごと、カセット収納部54bから取り出して廃棄できるので、血液6で手が汚れる心配が無い。また、旅行等に行った場合でも廃棄場所を探す苦労はない。
【0054】
64は、センサカートリッジ62に隣接して設けられた測定回路部であり、センサ58とはコネクタ89(図12参照)を介して接続されている。この測定回路部64内には、実施の形態1で説明したカウント手段13と高電圧発生回路16が含まれている。
【0055】
65は、負圧手段であり、穿刺部53内に負圧を加えるものである。19は、これらの部品に電力を供給する電池である。
【0056】
図9は、センサ58の断面図である。このセンサ58は、基板71と、この基板71の上面に貼り合わされたスペーサ72と、このスペーサ72の上面に貼り合わされたカバー73とで構成されている。
【0057】
74は、血液6(図12参照)の貯留部であり、この貯留部74は、基板71の略中央に形成された基板孔71aと、この基板孔71aに対応してスペーサ72に形成されたスペーサ孔72aと、基板孔71aに対応してカバー73に形成されたカバー孔73aとが連通して形成されている。また、76は、穿刺部53へのセンサ58の装着位置を決める位置決め孔であり、センサ58を貫通して設けられている。
【0058】
75は、この貯留部74に一方の端が連結された血液6の供給路であり、貯留部74に溜められた血液6を毛細管現象で一気に検出部77へ導く路である。また、この供給路75の他方の端は空気孔78に連結している。貯留部74の容積は0.904μLであり、供給路75の容積は0.144μLとしている。このように少量の血液6で検査可能とし、患者への負担を軽減している。
【0059】
80は、検出部77上に載置された試薬である。この試薬80は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板71に形成された検出電極81,83(図10参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。この試薬80は吸湿すると性能の劣化が進行する。この劣化の進行を防止するため、センサカートリッジ62には乾燥剤62bが収納されている。
【0060】
ここで、基板71の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極81〜85(図10参照)と、この検出電極81〜85から夫々導出された接続電極81a〜85aと識別電極87aが一体的に形成されている。
【0061】
図10は、センサ58の透視平面図であり、一方の端には、接続電極81a〜85aと、識別電極87aが形成されている。接続電極83aと識別電極87aとの間に、導電体パターンで形成された識別部87が形成されている。
【0062】
74は、センサ58の略中央に設けられた血液6の貯留部であり、この貯留部74に一方の端が接続された供給路75が検出電極82に向かって設けられている。そして、この供給路75の他方の端は空気孔78に連結している。この供給路75上には、貯留部74から順次接続電極84aに接続された検出電極84と、接続電極85aに接続された検出電極85と、接続電極83aに接続された検出電極83と、接続電極81aに接続された検出電極81と、接続電極82aに接続された検出電極82が設けられている。また、検出電極81,83上には、試薬80(図9参照)が載置される。
【0063】
接続電極83aと識別電極87a間の電気的な導通があるか無いかで、センサ58が穿刺部53に装着されたか否かを識別することができる。即ち、このセンサ58を穿刺部53に搬送したとき、接続電極83aと識別電極87a間の電気的な導通を検知することにより、センサ58が確実に穿刺部53に装着されたか否かを検知することができる。
【0064】
また、識別部87の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納することが可能となる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。
【0065】
図11は、センサ58の斜視図である。このセンサ58は長方形状をした板体で形成されている。この板体の略中央には貯留部74が形成されており、一方の端には接続電極81a〜85aと識別電極87aが形成されている。また、他方の端近傍には位置決め孔76が形成されている。この位置決め孔76は、貯留部74側が狭まった台形をしている。この位置決め孔76と貯留部74との間に空気孔78が形成されている。
【0066】
図12は、血液検査装置51を用いた測定動作実施時の要部断面図である。この測定動作は、図8(a)に示すように、穿刺部保護カバー54を開いて(下方へ摺動させて)穿刺窓54aから指5aを挿入して、穿刺部53に当接させた状態で行う。図12において、穿刺部53は、固定ホルダ53aと可動ホルダ53bとで構成されており、スライドプレート63で搬送されたセンサ58は、固定ホルダ53aと可動ホルダ53bとの間に挟まれて固定される。この固定は、センサ58に設けられた位置決め孔76へ固定ホルダ53aに形成された位置決め凸部53jが嵌入して固定される。
【0067】
固定ホルダ53aを貫通する孔53gと、センサ58に形成された貯留部74と、可動ホルダ53bを貫通する孔53mは一直線状に形成され、レーサ穿刺ユニット17による穿刺を可能にしている。また併せて負圧室65aをも構成している。この負圧室65aへは負圧手段65から負圧路65bを介して負圧が供給される。透明フィルム53nは、穿刺時の飛散物からレーザ穿刺ユニット17のレンズ17c(図3参照)を守るためのものであり、交換自在に設けられている。また、この透明フィルム53nで負圧室65aを密閉する役目も兼ねている。
【0068】
穿刺部53の近傍には皮膚5の当接を検知する皮膚検知センサ65cが設けられている。89(89a〜89f)は、固定ホルダ53aに設けられたコネクタであり、このコネクタ89はセンサ58に形成された接続電極81a〜85a、識別電極87a(図10参照)と対応して設けられている。そして、接続電極81a〜85a、識別電極87aの信号はコネクタ89を介して測定回路部64(図8、13参照)へ導かれる。
【0069】
以上のように構成された血液検査装置51において、スライドプレート63によりセンサ58を固定ホルダ53aと可動ホルダ53bの間へ搬送する。その後、可動ホルダ53bに皮膚5を当接させて穿刺ボタン12(図1、7、13参照)を押下する。すると、レーザ穿刺ユニット17からはレーザ光17hが発射される。このレーザ光17hは、透明フィルム53nと、孔53gと、貯留部74と、孔53mを一直線上に貫通して皮膚5を穿刺する。皮膚5が穿刺されると、この皮膚5からは血液6が滲出し、貯留部74内へ直接取り込まれる。この血液6は検出部77(図9、10参照)に取り込まれ、試薬80と反応する。試薬80と反応した信号はコネクタ89を介して測定回路部64で血液6の性質が測定される。
【0070】
図13は、測定回路部64とその近傍のブロック図である。図13において、センサ58の接続電極81a〜85a(図10参照)は、コネクタ89(89a〜89e)を介して切換回路64aに接続されている。この切換回路64aの出力は、電流/電圧変換器64bの入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)64cを介して演算部64dの入力に接続されている。この演算部64dの出力は、液晶で形成された表示部56と送信部64eに接続されている。また、切換回路64aには基準電圧源64fが接続されている。なお、この基準電圧源64fはグランド電位であっても良い。
【0071】
64gは制御部であり、この制御部64gの出力は、レーザ穿刺ユニット17に接続された高電圧発生回路16と、切換回路64aの制御端子と、演算部64dと、送信部64eと、負圧手段65に接続されている。また、制御部64gの入力には、穿刺ボタン12と、皮膚検知センサ65cと、タイマ64kと、コネクタ89f(識別電極87aに対応するコネクタ)が接続されている。
【0072】
以下、測定回路部64の動作を説明する。先ず、この穿刺ボタン12を押下して、レーザ穿刺ユニット17で皮膚5を穿刺する。そして、穿刺により滲出した血液6の性質を測定する。測定動作では、切換回路64aを切換えて、検出電極81を電流/電圧変換器64bに接続する。また、血液6の流入を検知するための検知極となる検出電極82を基準電圧源64fに接続する。そして、検出電極81及び検出電極82間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液6が流入すると、検出電極81,82間に電流が流れる。この電流により血液6が十分に供給路75の奥まで流入したことを検出することができる。なお、この時点で負圧手段65の動作をオフにする。
【0073】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、先ず、制御部64gの指令により、切換回路64aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極81を電流/電圧変換器64bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極83を基準電圧源64fに接続する。
【0074】
検出電極81,83間に流れる電流は、電流/電圧変換器64bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器64cによってデジタル値に変換される。そして、演算部64dに向かって出力される。演算部64dではそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
【0075】
グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行なわれる。Hct値の測定のための作用極となる検出電極85を電流/電圧変換器64bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極81を基準電圧源64fに接続する。検出電極85と81間に流れる電流はデジタル値に変換される。そしてそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
【0076】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部56に表示する。この補正された結果を送信部64eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。
【0077】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、センサ58の試薬80を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
【0078】
次に、図14を用いて血液検査装置51を用いた検査方法を説明する。先ずステップ91では、血液検査装置51の穿刺部保護カバー54を開ける。穿刺部保護カバー54を開けると、ステップ92へ移行する。ステップ92では、穿刺部保護カバー54に連動してスライドプレート63により、センサカートリッジ62内のセンサ58を穿刺部53へ搬送する。この搬送の確認は、センサ58の接続電極83aと識別電極87aの導通を検知することにより行う。
【0079】
次に、ステップ93に移行する。ステップ93では、表示部56に皮膚5への当接を促す表示を行う。患者はこの表示に従って、穿刺部53を患者の皮膚5に当接させる。この皮膚5への当接は皮膚検知センサ65cの出力で行う。皮膚5への当接が確認されたらステップ94に移行し、負圧手段65を動作させる。そして、穿刺部53に設けられた負圧室65a内に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚5は盛り上がる。また、皮膚検知センサ65cの出力を検知した時点で高電圧発生回路16を動作させて、コンデンサへの高電圧チャージを開始させる。
【0080】
負圧手段65の動作に伴う電流の変化と高電圧発生回路16による高電圧チャージの完了、或いはタイマ64kにより予め定められた時間が経過すると、穿刺に充分な高電圧のチャージと貯留部74内の皮膚5が十分盛り上がったと判断し、ステップ95に移行する。ステップ95では、表示部56に「穿刺可」である旨の表示を行い、穿刺ボタン12の押下を待つ。
【0081】
穿刺ボタン12が押下されると、「穿刺可」の表示をオフする。そして、ステップ96に移行し、表示部56の表示により時間経過情報を確認しながら、「穿刺」に対する覚悟をする。時間経過情報の残り時間が零になったらステップ97へ移行する。そして、ステップ97ではレーザ穿刺ユニット17で皮膚5を穿刺してステップ98へ移行する。
【0082】
ステップ98における皮膚5の穿刺により、滲出した血液6がセンサ58の貯留部74に取り込まれる。この貯留部74に取り込まれた血液6は、供給路75による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部77に取り込まれる。そして、血液6の血糖値が測定される。
【0083】
ステップ98で血糖値の測定が終了した後、ステップ99に移行し、負圧手段65をオフするとともにメモリ(図示せず)に格納する。そして、ステップ100に移行する。ステップ100では、測定した血糖値を表示部56に表示する。なお、負圧手段65のオフは、血液6が検出電極82へ到達した時点でオフにしても良い。
【0084】
これで、血液6の測定は終了し、ステップ101へ移行する。ステップ101では、穿刺部保護カバー54を閉じる。穿刺部保護カバー54を閉じると、穿刺部保護カバー54に連動して、穿刺部保護カバー54に植設された廃棄動作伝達部材63gが可動ホルダ53bの一方の端を押す。一方の端が押されると、ステップ102に移行し、固定ホルダ53aと可動ホルダ53bに挟まれたセンサ58b(血液6が付着したセンサ58b)は穿刺部53から排出される。この排出されたセンサ58bは穿刺部保護カバー54に形成された仮置場54qに一旦収納される。そして、ステップ103へ移行する。ステップ103では、収納ボタン54dの摺動により、仮置場54qのセンサ58bを廃棄センサ収納カセット55の内部へ収納する。その後、廃棄センサ収納カセット55がセンサ58bで満杯になったら、廃棄センサ収納カセット55ごとに一括して廃棄する。
【0085】
以上のように、ステップ95において、穿刺ボタン12を押下した後、ステップ96で時間経過情報を確認しながら、残り時間が零に成った時点でステップ97へ移行して穿刺するので、穿刺時に穿刺ボタン12押下によるぶれの影響は消滅しており、安定した穿刺が可能となる。従って、予定した量の血液6を一回の穿刺で得ることができる。また、ステップ96で時間経過情報を確認しているうちに時間とともに穿刺に対する覚悟が決まり、安定した穿刺が可能となるとともに、穿刺に対する恐怖心は軽減される。
【0086】
また、ステップ91において、穿刺部保護カバー54を開にすることにより、自動的にセンサ58を穿刺部53へ装填することができるので、センサ58の装填が従来と比べて著しく容易となる。
【0087】
また、ステップ101において、穿刺部保護カバー54を閉じることにより、血液6が付着した使用済みのセンサ58bは自動的に排出され、従来と比べて著しく容易となる
また、排出されたセンサ58bも、その後収納ボタン54dを摺動することにより、血液6が付着したセンサ58bを直接手で触れることなく収納することができる。従って、血液6で手を汚すことはなく、衛生的である。
【0088】
また、廃棄センサ収納カセット55に収納されたセンサ58bは、廃棄センサ収納カセット55が満杯に成った時点で廃棄すれば良いので、1枚ずつ使用済みのセンサ58bを廃棄する従来のものと比較して、廃棄回数が著しく減少し、携帯に便利な血液検査装置51となる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明にかかる穿刺装置は、予定量の血液を一回の穿刺で得られるので、患者にかける負担は少なく、血液検査装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1における穿刺装置のブロック図
【図2】同表示画面の平面図、(a)は同第1の例による平面図、(b)は同第2の例による平面図、(c)は同第3の例による平面図、(d)は同第4の例による平面図
【図3】同穿刺手段とその近傍のブロック図
【図4】同第1の状態におけるブロック図
【図5】同第2の状態におけるブロック図
【図6】同実施の形態2における穿刺装置のブロック図
【図7】同実施の形態3における血液検査装置の正面図
【図8】同断面図、(a)は同第1の状態における断面図、(b)は同第2の状態における断面図
【図9】同カートリッジに収納されるセンサの断面図
【図10】同センサの透視平面図
【図11】同センサの斜視図
【図12】同測定動作実施時の要部断面図
【図13】同測定回路部とその近傍のブロック図
【図14】同検査方法のフローチャート
【図15】従来の穿刺装置使用中の斜視図
【符号の説明】
【0091】
11 穿刺装置
12 穿刺ボタン
13 カウント手段
15 穿刺手段
18 警報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺ボタンと、この穿刺ボタンが接続されたカウント手段と、このカウント手段の一方の出力に接続された穿刺手段と、前記カウント手段の他方の出力に接続された警報手段とを備え、前記カウント手段は、前記穿刺ボタンが押下された時点から時間の計測を開始し、漸次進行する時間経過情報を前記警報手段に対して複数回出力するとともにこれを前記警報手段で都度警報し、前記複数回の出力の内最後の出力で前記穿刺手段により穿刺する穿刺装置。
【請求項2】
警報手段には、視覚表示を用いるとともに、この視覚表示は、矢印の移動で時間の経過を表示する請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項3】
警報手段には、視覚表示を用いるとともに、この視覚表示は、順次減少する数字で時間の経過を表示する請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項4】
警報手段には、視覚表示を用いるとともに、この表示は、順次減少する棒グラフで時間の経過を表示する請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項5】
警報手段には、視覚表示を用いるとともに、この視覚表示は発光ダイオードの発光時間を順次短縮することにより時間の経過を表示する請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項6】
警報手段には、聴覚による刺激で時間の経過を知らせる請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項7】
警報手段には、触覚による刺激で時間の経過を知らせる請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項8】
触覚警報は、穿刺ボタンを振動させて警報する請求項7に記載の穿刺装置。
【請求項9】
穿刺ボタンとカウント手段との間に切り替えスイッチを設け、前記穿刺ボタンの信号を前記切り替えスイッチの共通端子に接続するとともに、前記切り替えスイッチの一方の選択端子は前記カウント手段の入力に接続し、前記切り替えスイッチの他方の選択端子は穿刺手段の入力へ直接接続した請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項10】
警報手段には、視覚表示、聴覚表示、触覚表示の中の何れかを選択可能とした請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項11】
警報手段には、周囲状況検知センサを設け、この周囲状況検知センサの出力に応じて、前記警報手段の出力を制御する請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項12】
穿刺部に対向して設けられた請求項1に記載の穿刺装置と、この穿刺装置により滲出した血液が流入する血液センサと、この血液センサに接続される測定回路部とを有する血液検査装置。
【請求項13】
穿刺部へ血液センサを供給するセンサカートリッジと、穿刺部から排出される前記血液センサを収納する廃棄センサ収納部を有する請求項12記載の血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−104491(P2010−104491A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277968(P2008−277968)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】