説明

穿刺針カートリッジ及び穿刺装置

【課題】ユーザが使用済みランセットの再使用及び穿刺針の露出を防止することができる穿刺針カートリッジ及び穿刺装置を提供すること。
【解決手段】穿刺針カートリッジ105を構成するランセット204は軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な第1アーム209と第2アーム210とを有し、穿刺針カートリッジ105は、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の移動を規制する<第1の状態>と、第1アーム209の先端部と、第2アーム210の先端部とが穿刺針ホルダ201内に納まって、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向に移動可能な<第2の状態>と、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部がそれぞれ、穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の移動を規制する<第3の状態>とを取り得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値測定などの血液測定において、採血をするための穿刺器具に用いる穿刺針カートリッジ及び穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から血液を採取するためのさまざまな穿刺器具や、それとともに用いられる使い捨て式のランセットが開発されている。このような穿刺器具においては、ランセットを穿刺器具に取り付けたり取り外したりする際に、ランセットの一端から露出した穿刺針に誤って手などに刺してしまう危険性があった。上述の問題を受け、穿刺針を囲むキャップを有し、穿刺針に直接触れる危険性がなく穿刺器具に対してランセットの着脱が可能な穿刺針カートリッジや再装着しても再利用を防止することができる穿刺針カートリッジが開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−245717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の穿刺針カートリッジにあっては、使用済みのランセット単体の状態では穿刺針がカートリッジに固定されておらず、穿刺針が露出するおそれがあり針刺し事故や感染などの危険性があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ユーザが使用済みランセットの再使用及び穿刺針の露出を防止することができる穿刺針カートリッジ及び穿刺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の穿刺針カートリッジは、皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、前記ランセットは、軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な、少なくとも第1アームと、第2アームとを備える構成を採る。
【0007】
本発明の穿刺針カートリッジは、皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、前記ランセットは、軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な、少なくとも第1アームと、第2アームとを有し、前記穿刺針ホルダは、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の所定の位置にあるときに、穿刺針ホルダの外方に前記第1アーム、及び/又は前記第2アームが突出する開口部を有し、前記穿刺針カートリッジは、前記第1アームのみが前記開口部から突出して、前記ランセットの移動を規制する第1の状態と、前記第1アームと、第2アームとが穿刺針カートリッジ内に納まって、前記穿刺針が穿刺針ホルダから突出可能な第2の状態と、前記第1アームと第2アームが共に、開口部から突出して、前記ランセットの移動を規制する第3の状態とを取り得る構成を採る。
【0008】
本発明の穿刺装置は、皮膚を穿刺するカートリッジ方式の穿刺針カートリッジが装着される穿刺装置であって、前記穿刺針カートリッジは、請求項1に記載の穿刺針カートリッジであり、前記穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダを保持するケーシングと、前記ランセットを保持して穿刺針の軸方向に駆動するプランジャとを備える構成を採る。
【0009】
本発明の穿刺装置は、皮膚を穿刺するカートリッジ方式の穿刺針カートリッジが装着される穿刺装置であって、前記穿刺針カートリッジは、上記に記載の穿刺針カートリッジであり、前記穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダを保持するケーシングと、前記ランセットを保持して穿刺針の軸方向に駆動するプランジャとを備え、前記第1の状態にある前記穿刺針カートリッジが装着されたときには、前記第1アームを弾性変形させて、前記プランジャに保持された前記ランセットを穿刺針の軸方向に駆動可能にし、前記穿刺針カートリッジが穿刺装置から取り外されるときには、前記ランセットと前記プランジャとの保持が開放されることに応じて、前記穿刺針カートリッジを第3の状態に変化させる構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、穿刺針カートリッジを構成するランセットは軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な第1アームと第2アームとを有することにより、患者が使用済み穿刺針カートリッジを再装着しても再度の穿刺動作を防止することができる。
【0011】
また、使用後の穿刺針カートリッジにおいて、第1アームあるいは第2アームが穿刺針ホルダと当接することで使用後の針先の露出を防止することができる。また、使用後のランセットの軸方向の動きを規制する第1アーム及び第2アームを設けているため、第1アームあるいは第2アームいずれか一方が破損することがあっても、破損しなかった他方のアームにより穿刺針の露出を防止でき、より一層安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る穿刺装置及び穿刺針カートリッジの全体構成を示す斜視図
【図2】上記実施の形態1に係る穿刺装置及び穿刺針カートリッジの先端部分内部の状態を透視して示す要部及び周辺部の透視斜視図
【図3】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジの斜視図
【図4】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図
【図5】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図6】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図7】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図8】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図9A.B】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図10】上記実施の形態1に係る穿刺針カートリッジと穿刺装置本体の各動作状態における要部断面図
【図11】本発明の実施の形態2に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図
【図12】本発明の実施の形態3に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図
【図13】本発明の実施の形態4に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図
【図14】本発明の実施の形態5に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図
【図15】本発明の実施の形態6に係る穿刺針カートリッジの断面図
【図16】本発明の実施の形態6に係る穿刺針カートリッジの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る穿刺装置及び穿刺針カートリッジの全体構成を示す斜視図、図2は、図1の先端部分内部の状態を透視して示す要部及び周辺部の透視斜視図である。図3は、穿刺針カートリッジの斜視図、図4は、保護キャップとランセット本体の斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、穿刺装置100は、穿刺装置本体101と、穿刺針カートリッジ105とから構成される。
【0016】
穿刺装置本体101は、ベースメカ102、プランジャ103、スタブ104、廃棄用部材106、挿入口107、穿刺ボタン108、及び穿刺針カートリッジ105を廃棄するための廃棄用ボタン109を備える。
【0017】
ベースメカ102は、穿刺針カートリッジ105の穿刺針ホルダ201(図3参照)を保持する。
【0018】
プランジャ103の先端部分は、穿刺針カートリッジ105のチャッキング部206(図2参照)を把持する。
【0019】
スタブ104は、深度調節のレベル及び穿刺針カートリッジ105が挿入される挿入口107が形成される。
【0020】
廃棄用部材106は、穿刺装置本体101に装着された穿刺針カートリッジ105を素手で触ることなく押し出し、廃棄する。
【0021】
穿刺ボタン108は、ユーザが穿刺時に押下する。
【0022】
図3及び図4に示すように、穿刺針カートリッジ105は、ランセット204と、筒状の穿刺針ホルダ201とからなる。
【0023】
ランセット204は、穿刺針207と、穿刺針207を保持するランセット本体203と、穿刺針207のランセット本体203から露出した部分の一部又は全部を覆うように保護し、かつランセット本体203とは分離可能に形成された保護キャップ202とを有する。穿刺針カートリッジ105は、穿刺針207がランセット本体203の軸方向に移動可能なように、ランセット204の外周面に配置されている。
【0024】
穿刺針207は、体液などを採取するために皮膚を穿刺する。
【0025】
さらに、ランセット本体203は、チャッキング部206、保護キャップ202とランセット本体203を分離可能な破断部208、第1アーム209、第2アーム210、及びガイド215を備える。
【0026】
第1アーム209と第2アーム210とは、弾性変形可能であり、ランセット本体203の軸方向の互いに異なる位置に配置されている。
【0027】
第1アーム209及び第2アーム210は共に先端部を有し、それら先端部と穿刺針ホルダ201との位置関係が変化することによって、穿刺針カートリッジ105の再使用防止する機能と、保護キャップ202が分離された状態での穿刺針207の露出防止する機能とをもつ。さらにまた、第1アーム209の先端部における穿刺針ホルダ201との係合部を第1の要素とし、第2アーム210の先端部における穿刺針ホルダ201との係合部を第2の要素とする。
【0028】
第1アーム209は、第2アーム210が破損した場合の露出防止機能としての予備アームとなり得る。さらに、第1アーム209は、第2アーム210が破損した場合、再使用防止機能がある。
【0029】
第1アーム209は、その先端部がランセット本体203の外周面から外方に突出した、一対のアームである。第2のアーム210は、第1のアーム209に対してランセット本体203の軸方向又は周方向に異なる位置において、その先端部が前記外周面から外方に突出したアームである。
【0030】
図4に示すように、本実施の形態では、第1アーム209は、ランセット本体203を対称軸として2個配置され対称的な形状をしており、第1アーム209と90度位相がずれた位置にガイド215が配置されている。第2アーム210も第1アーム209と同様に2個配置され対称的な形状をしている。
【0031】
また、第1アーム209と第2アーム210の先端部には、チャッキング部206側に、傾斜部209a,210aを有している。傾斜部209a,210aは、傾斜面によって、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部が、ランセット本体203の軸心方向へ移動することを容易にしている。
【0032】
また、第2アーム210の先端部には、突起部212が設けられ、穿刺針ホルダ201の開口端部214(図5参照)と係合しやすくなっている。
【0033】
一対の第1アーム209の先端部は、保護キャップ202から等距離(距離Aとする)に配置されており、一対の第2アーム210の先端部も保護キャップ202から等距離(距離Bとする)にそれぞれ配置されている。但し、距離Aと距離Bの距離は異なるものとし、距離Aの方が距離Bよりも長い。
【0034】
ここで、穿刺針カートリッジ105は、第1アーム209の先端部のみが開口部211から露出して、ランセット本体203の前方(穿刺針207が突出する方向)への移動を規制する<第1の状態>と、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部とが穿刺針ホルダ201内に納まって、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向に移動可能な<第2の状態>と、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部がそれぞれ、開口部211から露出して、ランセット本体203の前方(穿刺針207が突出する方向)への移動を規制する<第3の状態>とを取り得る。
【0035】
穿刺針ホルダ201は、ランセット本体203がガイド215に案内されて穿刺針207の軸方向に移動可能なように、ランセット本体203を保持する。
【0036】
穿刺針ホルダ201は、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向の所定の位置にあるときに、穿刺針ホルダ201の外方に第1及び/又は第2アームの一部が露出するための開口部211を有する。開口部211は、穿刺針ホルダ201の外周面又は外側面に等間隔に複数個設けられている。本実施の形態では、開口部211は、90度間隔で4個設けられており、このうち、対向する2組の開口部211から、第1及び/又は第2アームの一部とガイド215の一部または全部がそれぞれ露出する構造となっている。
【0037】
さらに、穿刺針ホルダ201は、第1アーム209又は第2アーム210の先端部と係合する開口端部214を、開口部211の保護キャップ202側の端面に有する。
【0038】
すなわち、穿刺針ホルダ201は、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向の第1の位置にあるときに第2アーム210の先端部を収納し、また、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向の第2の位置にあるときに第1アーム209及び第2アーム210の先端部を収納し、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向の第3の位置にあるときに第1アーム209および第2アーム210の先端部をそれぞれ外部に露出させる開口部211を備える。
【0039】
穿刺針ホルダ201とランセット204は、穿刺針カートリッジ105を構成した状態で穿刺装置本体101の先端部に取り付けられる。この時、ランセット204は、そのランセット本体203に設けられたチャッキング部206において、プランジャ103の先端部分に把持される。
【0040】
ランセット本体203と保護キャップ202は、樹脂などの弾性材、例えばポリエチレン樹脂にて一体成形されており、破断部208を有する。
【0041】
以上のように構成される穿刺針カートリッジ105と穿刺装置本体101の再使用防止及び露出防止の動作について説明する。
【0042】
まず、穿刺針カートリッジ105と穿刺装置本体101の各動作状態について説明する。
【0043】
図5乃至図10は、穿刺針カートリッジ105と穿刺装置本体101の各動作状態における要部断面図である。図5は、穿刺針カートリッジ105装着前を、図6は、穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101に装着した状態を、図7は、保護キャップ202を分離した状態を、図8は、穿刺後の状態を、図9は、廃棄後の状態を、図10は、廃棄後、再装着した状態を、それぞれ示す。
【0044】
[穿刺針カートリッジ105装着前(図5)]
図5は、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201(図3参照)の開口部211から露出して、ランセット本体203の前方への移動を規制する<第1の状態>を示している。
【0045】
[穿刺針カートリッジ105装着時(図6)]
穿刺針カートリッジ105が穿刺装置本体101に装着されると、穿刺針カートリッジ105を構成するランセット本体203のチャッキング部206がプランジャ103に把持される。穿刺針カートリッジ105の装着と同時に、穿刺装置本体101は、穿刺針カートリッジ105の装着に伴うプランジャ103に設けられた穿刺バネ(図示せず)の付勢により、穿刺のためのチャージ動作が行われて、穿刺の準備状態となる。
【0046】
[保護キャップ202取外し時(図7)](保護キャップ202なし状態)
図7は、穿刺針カートリッジ105装着時(図6)において、ランセット本体203と保護キャップ202が分離された状態を示している。
【0047】
[穿刺後(図8)](保護キャップ202なし状態)
穿刺装置本体101に備えられている穿刺ボタン108の押下により、ランセット本体203が前方へ移動し、穿刺針207の先端が穿刺針ホルダ201から突出することで皮膚を穿刺する。図8は、その穿刺後に穿刺針207が戻った状態を示している。このとき、第1アーム209の先端部及び第2アーム210の先端部は穿刺針ホルダ201の内側に存在する。
【0048】
上述のように、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部とが穿刺針ホルダ201内に納まって、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向に移動可能な穿刺後の状態が<第2の状態>である。
【0049】
[廃棄後(図9)](保護キャップ202なし状態)
図9A.Bに示すように、穿刺装置本体101から使用後の穿刺針カートリッジ105を抜き、使用後の穿刺針カートリッジ105を廃棄する。図9Bは、第1アーム209の先端部及び第2アーム210の先端部がそれぞれ、穿刺針ホルダ201の開口部211(図3参照)から露出して、ランセット本体203の前方への移動を規制する<第3の状態>を示している。廃棄された穿刺針カートリッジ105は、ユーザの誤操作によって、ランセット本体203の後端部(チャッキング部206側)が前方に押された場合に、まず、第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201に係合し、穿刺針207の露出を防止する。さらに、第2アーム210が破損した場合にでも、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201と係合し露出を防止する。このように廃棄後には、常に2種類のアームが針の露出防止にはたらくことにより、より安全な製品とすることができる。
【0050】
[廃棄後再装着(図10)]
図10は、廃棄後にリキャップ(保護キャップ202の再装着)された穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101に再装着した状態を示している。廃棄後の穿刺針カートリッジ105の穿刺装置本体101への再装着それ自体は可能であるものの、第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201から露出し、第2アーム210の先端部と穿刺針ホルダ201が係合することによって、ランセット本体203が前方へ移動して穿刺を行うことを防止する。つまり、廃棄(使用)済みの穿刺針カートリッジ105は、間違って再使用することはできないため、安全である。
【0051】
上述したように、穿刺針カートリッジ105は、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の前方への移動を規制する<第1の状態>と(図5参照)、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部とが穿刺針ホルダ201内に納まって、ランセット本体203が穿刺針ホルダ201内を移動可能な<第2の状態>と(図8参照)、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部が、それぞれ穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の前方への移動を規制する<第3の状態>と(図9B参照)を取り得る。
【0052】
第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201から露出することによって、使用後の穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101にセットし、穿刺動作をさせようとしても、第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201に係合し、(図10参照)、ランセット本体203の前方への移動を規制する。また、第2アーム210は、第1アーム209以上の強度を持っているため、ユーザの強引な操作を防止することができる。
【0053】
このように、使用済み穿刺針カートリッジ105の再使用及び穿刺針207の穿刺針ホルダ201からの露出を確実に防止することができる。
【0054】
次に、第1アーム209と第2アーム210の動作についてさらに詳細に説明する。
【0055】
上記<第1の状態>、<第2の状態>、<第3の状態>及び「廃棄後の穿刺針207の露出防止状態」にある時の第1アーム209及び第2アーム210の動作について述べる。
【0056】
〔第1の状態〕
<第1の状態>は、穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101(図1参照)に装着前の状態である。
【0057】
第1アーム209は、ランセット本体203が前方へ移動するのを防止する。第1アーム209の先端部は、穿刺針ホルダ201から、その先端部が露出する。第1アーム209の先端部は、ランセット本体203が前方に移動しようとした時に、穿刺針ホルダ201の開口端部214(図5参照)部分に係合し、前方への移動を規制する。この構成により、特に通常手順と異なり、穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101に装着する前に、保護キャップ202が外されてしまった場合でも、穿刺針207の露出を規制し安全である。
【0058】
第2アーム210の先端部は、穿刺針ホルダ201内にとどまる。
【0059】
〔第1の状態から第2の状態への遷移状態〕
上述した<第1の状態>と<第2の状態>との間には、(1)穿刺針カートリッジ105装着時(図6参照)、(2)保護キャップ202分離(図7参照)が存在する。
【0060】
先に第1の状態から第2の状態へと移行する過程として(1)、(2)について説明する。
【0061】
(1)穿刺針カートリッジ105装着時(図6参照)
第1アーム209の先端部は、穿刺針カートリッジ105を穿刺装置本体101に装着する動作に応じて、ベースメカ102(図6参照)の端面に案内されてランセット本体203の軸心方向へ移動する。第1アーム209の先端の最終位置は、ベースメカ102の内側である。
【0062】
第2アーム210の先端部は、穿刺針ホルダ201内にとどまる。
【0063】
(2)保護キャップ202分離(図7参照)
第1アーム209の先端部及び第2アーム210の先端部の動作変化はない。
【0064】
〔第2の状態〕
次に、<第2の状態>について図8を用いて説明する。
【0065】
穿刺ボタン108を押すことによって、穿刺針207の先端が穿刺針ホルダ201から突出して皮膚を穿刺する。それに伴い、第1アーム209の先端部も前進し、穿刺針ホルダ201の内部に入る。第1アーム209の先端部は、その後、プランジャ103が穿刺バネの自由長の位置まで後退した際に止まる。止まった時の穿刺針ホルダ201内部における第1アーム209の先端部の位置は、穿刺針カートリッジ105装着時の位置よりも前方でかつ穿刺針ホルダ201の内部である。
【0066】
この時、第1アーム209の先端部および第2アーム210の先端部は、穿刺針ホルダ201内にとどまる。この穿刺後の状態を第2の状態とする。
【0067】
〔第2の状態から第3の状態への遷移状態〕
以下、<第2の状態>の後に後述の<第3の状態>へと続く廃棄時(図9参照)の一連動作について、便宜上その1からその4に分割して説明する。
【0068】
廃棄時その1
廃棄用部材106が穿刺針ホルダ201のみを押す動作に伴って、穿刺針ホルダ201のみが穿刺針207先端方向に動くが、ランセット本体203は移動しない。この時に、穿刺針ホルダ201が、開口端部214内側の傾斜にそって第1アーム209の先端部をランセット本体203の軸心方向に弾性変形させながら動く。そして第1アーム209の先端部が、開口端部214(図5参照)を通過すると、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201から露出する。
【0069】
この間、第2アーム210の先端部は、穿刺針ホルダ201内にとどまっている。
【0070】
廃棄時その2
廃棄用部材106は、前述の廃棄時その1での押す動作を継続し、穿刺針ホルダ201がさらに前方へ移動するが、第1アーム209の先端部位置はそのままとどまる。
【0071】
このさらなる前方への移動によって、今度は、穿刺針ホルダ201が、開口端部214内側の傾斜にそって第2アーム210の先端部をランセット本体203の軸心方向に弾性変形させながら動く。
【0072】
〔第3の状態〕
廃棄時その3
そして第2アーム210の先端部が、開口部211の前端である開口端部214を通過すると、弾性変形が元に戻りながら第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201から露出する。この状態を<第3の状態>とする。
【0073】
廃棄時その4
第1アーム209のつけね後端部とガイド215後端部の少なくとも一方が穿刺針ホルダ201開口部211の後端に係合して、廃棄用部材106の力がランセット本体203に加わり、チャッキング部206がプランジャ103から解放され、穿刺針カートリッジ105が穿刺装置本体101から廃棄される。
【0074】
この間は、第1アーム209の先端部及び第2アーム210の先端部の動作変化はない。
【0075】
以上、<第1の状態>、<第2の状態>、<第3の状態>における第1アーム209及び第2アーム210の動作について述べた。続いて、「廃棄後の穿刺針207の露出防止又は再使用防止」状態にある時の第1アーム209及び第2アーム210の動作について述べる。
【0076】
廃棄後の穿刺針207の露出防止は、穿刺装置本体101への穿刺針カートリッジ105の再装着がない場合について説明し、廃棄後の穿刺針207の再使用防止は、穿刺装置本体101への穿刺針カートリッジ105の再装着がある場合について説明する。
【0077】
〔廃棄後の穿刺針207の露出防止〕
穿刺装置本体101への穿刺針カートリッジ105の再装着がない場合
穿刺針207を露出する方向へランセット本体203が動いた時、第2アーム210の先端部が穿刺針ホルダ201に係合する。これにより、ランセット本体203が前方へ移動することを規制し、穿刺針207が穿刺針ホルダ201から露出することを防止できる。さらに、第2アーム210が破損した場合であっても、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201に係合する。このように廃棄後には、常に第1アーム209および第2アーム210の2種類のアームが穿刺針207の露出防止のために機能することにより、より安全な製品とすることができる。
【0078】
〔廃棄後の穿刺針207の再使用防止〕
穿刺装置本体101への穿刺針カートリッジ105の再装着がある場合(リキャップなし)
使用済みランセットの再使用は、禁止されている。それにもかかわらず、ユーザが穿刺装置本体101への穿刺針カートリッジ105の再装着をした場合には、図9Bに示すように、第2アーム210の先端部と穿刺針ホルダ201が係合することによって、ランセット本体203が前方へ移動することを規制し、再使用できない。
【0079】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、穿刺針カートリッジ105を構成するランセット204は軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な第1アーム209と第2アーム210とを有し、穿刺針カートリッジ105は、第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の移動を規制する<第1の状態>と、第1アーム209の先端部と、第2アーム210の先端部とが穿刺針ホルダ201内に納まって、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向に移動可能な<第2の状態>と、第1アーム209の先端部と第2アーム210の先端部がそれぞれ、穿刺針ホルダ201から露出して、ランセット本体203の移動を規制する<第3の状態>とを取り得る。この構成により、患者が使用済み穿刺針カートリッジ105を再装着しても再度の穿刺動作を防止することができる。
【0080】
また、使用後の穿刺針カートリッジ105において、第2アーム210の先端部あるいは第1アーム209の先端部が穿刺針ホルダ201と当接することで使用後の穿刺針207の露出を防止することができる。
【0081】
また、使用後のランセット本体203の軸方向の動きを規制する第1アーム209及び第2アーム210を設けているため、第2アーム210が破損することがあっても、破損しなかった他方のアームにより穿刺針の露出を防止でき、より一層安全である。
【0082】
本実施の形態では、第1アーム209あるいは第2アーム210は、アームが2種類あることで、再使用防止機能を強化することができる。また、使用後の穿刺針207の露出防止も強化することができる。
【0083】
また、アーム形状において、アームから分岐した突起部212を設けたことで、より穿刺針ホルダ201と係合したり、よりアームが開きにくくなったりするため、再使用及び露出の防止に役立つ効果がある。
【0084】
特に、本実施の形態では、保護キャップ202をリキャップされ、かつ穿刺装置本体101に装着されても、再使用できないようにすることができるという特有の効果がある。
【0085】
なお、本実施の形態では、第1アーム209と第2アーム210を2個ずつ配置し、等角度(180度)の位相に配置した例について説明したが、第1アーム209と第2アーム210が、2個であること、等角度であることは、それぞれ限定されない。
【0086】
また、第1アーム209及び第2アーム210が、傾斜部209a,210aを有すること、第2アーム210が、突起部212を有することは、それぞれ限定されない。
【0087】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図である。図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0088】
図11において、ランセット304は、ランセット本体203の軸周りの位相が異なった位置に配置される第1アーム309と第2アーム310とを有する。
【0089】
図11に示すように、実施の形態2では、第1アーム309と第2アーム310がそれぞれ90度の位相差を持った位置に2個ずつ配置されており、第1アーム309、第2アーム310ともに、実施の形態1と同じく等角度(180度)の位相に配置されている。
【0090】
また、第1アーム309と第2アーム310の先端部のチャッキング部206側に、傾斜部309a,310aを有している。
【0091】
また、第2アーム310には、突起部311が設けられている。突起部311は、第2アーム310の先端部から穿刺方向に突出した形状を有する。
【0092】
実施の形態1の第1アーム209と第2アーム210とが同位相に配置されていたのに対し、実施の形態2では、第1アーム309と第2アーム310との位相が異なる。この時、ユーザによる誤操作によって容易に全てのアームを内側に変形させることを防止する。
【0093】
実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加えてさらに以下の効果がある。すなわち、実施の形態1の第1アーム209及び第2アーム210のように、アームが同位相の場合には、廃棄後、このアームを指で掴んで、無理な操作をすると針が露出する場合が考えられる。これに対して、実施の形態2では、第1アーム309と第2アーム310の位相が90度ずらすことで、上記のような操作が非常に難しくなり、露出防止により効果がある。
【0094】
なお、本実施の形態では、第1アーム309と第2アーム310がそれぞれ90度の位相差を持った位置に2個ずつ配置し、等角度(180度)の位相に配置した例について説明したが、第1アーム309と第2アーム310が、2個であること、90度の位相差であること、等角度であることは、それぞれ限定されない。
【0095】
また、第1アーム309及び第2アーム310が、傾斜部309a,310aを有すること、第2アーム310が、突起部311を有することは、それぞれ限定されない。
【0096】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図である。図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0097】
図12において、ランセット404は、突起部411を有する第1アーム409及び第2アーム410とを備える。
【0098】
図12に示すように、実施の形態3では、実施の形態1と同じく第1アーム409と第2アーム410とは、ランセット本体203を対称軸としてそれぞれ2個配置され対称的な形状をしている。
【0099】
また、第1アーム409と第2アーム410の先端部のチャッキング部206側に、傾斜部409a,410aを有している。
【0100】
さらに、突起部411は、第2アーム410の先端部から突出した形状を有している。
【0101】
ユーザの誤操作によって、ランセット本体203の後端部を押した場合、実施の形態1と比較して、両方のアームに突起物があるため、一方のアームが破損したとしても穿刺針207がより露出しにくい構造となっている。
【0102】
実施の形態3では、第1アーム409と第2アーム410の両方に突起部411を設けているが、第1アーム409にのみ設けてもよい。
【0103】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図である。図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0104】
図13において、ランセット504は、4つの第1アーム509と、突起部511を有する4つの第2アーム510とを備える。
【0105】
図13に示すように、実施の形態4では、第1アーム509は、ランセット本体203を対称軸として軸方向に90度ずつ位相をずらして等間隔で4個配置され、それぞれが同一形状をしており、第2アーム510も第1アーム509と同様に等間隔に4個配置され、それぞれが同一形状をしている。
【0106】
また、第1アーム509と第2アーム510の先端部のチャッキング部206側に、傾斜部509a,510aを有している。
【0107】
さらに、突起部511は第2アーム510の先端部から突出した形状を有している。
【0108】
さらにまた、図13では、4個の第2アーム510にそれぞれ突起部511を1個ずつ有しているが、4個の内、対称の位置の2個のみ突起部511を有してもかまわない。もちろん上述の実施の形態3(図12参照)のように、第1アーム509に突起部511を設けてもよい。
【0109】
実施の形態1の第2アーム210が2つであったのに対し、実施の形態4では第2アーム510を4本有する。
【0110】
なお、第2アーム510の数は、4本に限らない、1本あるいは2本以上の複数本有するものであればよい。
【0111】
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5に係る穿刺針カートリッジの保護キャップとランセット本体の斜視図である。図4と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0112】
図14において、ランセット604は、第1アーム609と、三角リブ形状の第2アーム610とを備える。
【0113】
実施の形態1では、第1アーム209の形状と第2アーム210の形状が同様の形状であった。実施の形態5では、第2アーム610の形状は、第1アーム609の形状と異なる三角リブ形状である。
【0114】
図14に示すように、実施の形態5では、第1アーム609は、ランセット本体203を対称軸として2個配置され同一形状をしており、第2アーム610も第1アーム609と同様の位置に2個配置され同一形状をしている。
【0115】
また、第1アーム609と第2アーム610の先端部のチャッキング部206側に、傾斜部609a,610aを有している。
【0116】
なお、第1アーム又は第2アームの形状は、三角リブ形状に限らない、湾曲、折曲、テーパ状でもよく、傾斜部を有していてもよい。但し、穿刺針の露出防止及び再使用の防止の観点から、曲がり方や傾斜部の方向性は限定される。つまり、ランセット本体203が穿刺針ホルダ201の内部において、穿刺針の露出方向とは逆の方向に移動しやすく、穿刺針の露出方向に移動が規制されるように、アームの形状を限定する必要がある。
【0117】
(実施の形態6)
上記実施の形態1から5では、ランセットが第1アーム及び第2アームの両方を具備する場合について説明した。実施の形態6では、ランセットが、第1アームを具備せず、第2アームを具備する場合について説明する。
【0118】
図15及び図16は、本実施の形態に係る穿刺針カートリッジの断面図である。図15は、穿刺装置に装着する前(未使用)の穿刺針カートリッジの状態を示し、図16は、穿刺装置に装着して穿刺を行い、該穿刺装置から引き抜いた後(使用済み)の穿刺針カートリッジの状態を示す。
【0119】
なお、図15及び図16に示す穿刺針カートリッジ705において、図3及び図4で示した穿刺針カートリッジ105と共通する構成部分には、図3、図4と同一の符号を付してその説明を省略する。図15及び図16に示す穿刺針カートリッジ705は、図3及び図4で示した穿刺針カートリッジ105に対して、第1アーム209を削除した構成を採る。
【0120】
図15に示すように、穿刺針カートリッジ705が未使用の状態では、第2アーム210は、穿刺針ホルダ201の内部に位置している。
【0121】
一方、図16に示すように、穿刺針カートリッジ705が使用済みの状態では、第2アーム210は、穿刺針ホルダ201から露出し、第2アーム210のホルダ係合部213が、穿刺針ホルダ201の開口端部214と係合する。
【0122】
これにより、ランセット本体203が穿刺針の軸方向(穿刺方向)に移動することが規制される。
【0123】
このため、ユーザが、使用済みの穿刺針カートリッジ705のランセット本体203を押しても、穿刺針207が穿刺針ホルダ201から露出しない。
【0124】
また、ユーザが、使用済みの穿刺針カートリッジ705を穿刺装置本体101に再装着し、穿刺ボタン108(図1参照)を押し下げても、ランセット本体203が穿刺針207の軸方向(穿刺方向)に移動することが規制され、再度穿刺されることがない。
【0125】
このように、本実施の形態によれば、穿刺針カートリッジ705が使用済みの状態において、ランセット本体203の移動を規制する第2アーム210を設けることにより、使用済み穿刺針カートリッジ705の再使用及び使用済み穿刺針カートリッジ705の穿刺針207の露出を防止することができる。
【0126】
さらに、図16に示すように、使用済みの状態で、ホルダ係合部213が穿刺針ホルダ201を挟むように、ホルダ係合部213を二股に分かれた形状とすることにより、穿刺針207の軸方向に垂直な方向の外側から第2アーム210を押圧しても、第2アーム210が開口部211から穿刺針ホルダ201の内側に入り込まないようにすることができる。
【0127】
なお、ホルダ係合部213の形状は図16に示した形態に限らず、他の実施の形態において開示した第2アームの形状等、第2アーム210が開口部211から穿刺針ホルダ201の内側に入り込まないようにすることができるものであれば他の形状であってもよい。
【0128】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0129】
上記各実施の形態では穿刺針カートリッジ及び穿刺装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、穿刺器具、穿刺具等であってもよいことは勿論である。
【0130】
また、上記穿刺針カートリッジを構成する各部、例えばカートリッジの種類、その数及び接続方法などはどのようなものでもよい。
【0131】
2008年10月9日出願の特願2008−262980の日本出願及び2009年8月25日出願の特願2009−194582の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明に係る穿刺針カートリッジ及び穿刺装置は、血液などの体液を使用して測定や検査を行なうために、採血などに用いる穿刺装置の交換用の穿刺針と、その内部に前記穿刺針を移動可能なように収納し、かつ、前記穿刺針と同時に交換可能な穿刺針ホルダとを有する、使い捨て穿刺針カートリッジとして有用である。
【符号の説明】
【0133】
100 穿刺装置
101 穿刺装置本体
102 ベースメカ
103 プランジャ
104 スタブ
105,705 穿刺針カートリッジ
106 廃棄用部材
107 挿入口
108 穿刺ボタン
109 廃棄用ボタン
201 穿刺針ホルダ
202 保護キャップ
203 ランセット本体
204,304,404,504,604 ランセット
206 チャッキング部
207 穿刺針
208 破断部
209,309,409,509,609 第1アーム
210,310,410,510,610 第2アーム
209a,210a,309a,310a、409a,410a,509a,510a,609a,610a 傾斜部
211 開口部
212,311、411,511 突起部
213 ホルダ係合部
214 開口端部
215 ガイド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、
前記ランセットは、軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な、少なくとも第1アームと、第2アームとを備える穿刺針カートリッジ。
【請求項2】
前記ランセットは、前記外周面から外方に突出した、一対の第1のアームと、前記第1のアームに対して前記穿刺針の軸方向又は周方向に異なる位置に、前記外周面から外方に突出した、第2のアームとを備え、
前記穿刺針ホルダは、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の第1の位置にあるときに、前記第1のアーム又は前記第2のアームを収納し、かつ、
前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の第2の位置にあるときに、前記第1のアーム又は前記第2のアームを外部に突出させる開口部を備える請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項3】
皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、
前記ランセットは、軸方向の互いに異なる位置に、弾性変形が可能な、少なくとも第1アームと、第2アームとを有し、
前記穿刺針ホルダは、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の所定の位置にあるときに、穿刺針ホルダの外方に前記第1アーム及び/又は前記第2アームが突出する開口部を有し、
前記穿刺針カートリッジは、前記第1アームのみが前記開口部から突出して、前記ランセットの移動を規制する第1の状態と、
前記第1アームと、第2アームとが穿刺針カートリッジ内に納まって、前記穿刺針が穿刺針ホルダから突出可能な第2の状態と、
前記第1アームと第2アームが共に、開口部から突出して、前記ランセットの移動を規制する第3の状態とを取り得る穿刺針カートリッジ。
【請求項4】
前記第1アーム及び/又は前記第2アームは、突起部を有する請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項5】
前記突起部は、前記第1アーム及び/又は前記第2アームから分岐する形状で突出する突起である請求項4記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項6】
前記第1アーム及び/又は第2アームは、湾曲形状、折曲形状、テーパ形状、又は傾斜部を有する形状である請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項7】
前記第1アーム及び/又は第2アームは、ランセット本体の軸周りに、等間隔に複数個配置される請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項8】
前記第1アーム及び/又は第2アームは、前記保護キャップからそれぞれ等距離の位置に複数個配置される請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項9】
前記第1アーム及び/又は第2アームの先端付近には、傾斜部を有する請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項10】
前記第2アームは前記第1アームより前記保護キャップ側に設けられている請求項1記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項11】
皮膚を穿刺するカートリッジ方式の穿刺針カートリッジが装着される穿刺装置であって、
前記穿刺針カートリッジは、請求項1記載の穿刺針カートリッジであり、前記穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダを保持するケーシングと、
前記ランセットを保持して穿刺針の軸方向に駆動するプランジャとを備える穿刺装置。
【請求項12】
皮膚を穿刺するカートリッジ方式の穿刺針カートリッジが装着される穿刺装置であって、
前記穿刺針カートリッジは、請求項1記載の穿刺針カートリッジであり、
前記穿刺針カートリッジの穿刺針ホルダを保持するケーシングと、
前記ランセットを保持して穿刺針の軸方向に駆動するプランジャとを備え、
前記第1の状態にある前記穿刺針カートリッジが装着されたときには、前記第1アームを弾性変形させて、前記プランジャに保持された前記ランセットを穿刺針の軸方向に駆動可能にし、前記穿刺針カートリッジが穿刺装置から取り外されるときには、前記ランセットと前記プランジャとの保持が開放されることに応じて、前記穿刺針カートリッジを第3の状態に変化させる穿刺装置。
【請求項13】
皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、
前記ランセットは、前記軸方向の互いに異なる位置に、第1の要素と第2の要素とを有し、
前記穿刺針ホルダは、開口部を有し、
前記第1の要素及び/又は前記第2の要素が、前記開口部から露出した際に前記開口部に当接する穿刺針カートリッジ。
【請求項14】
前記ランセットは、前記外周面から外方に突出した、一対の第1の要素と、前記第1のアームに対して前記穿刺針の軸方向又は周方向に異なる位置に、前記外周面から外方に突出した、第2の要素とを備え、
前記穿刺針ホルダは、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の第1の位置にあるときに、前記第1の要素又は前記第2の要素を収納し、かつ、
前記ランセットが前記穿刺針の軸方向の第2の位置にあるときに、前記第1の要素又は前記第2の要素を外部に突出させる開口部を備える請求項13記載の穿刺針カートリッジ。
【請求項15】
皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記穿刺針とは分離可能に形成された保護キャップとを有するランセットと、前記ランセットが前記穿刺針の軸方向に移動可能なように、前記ランセットを保持する穿刺針ホルダを備える穿刺針カートリッジであって、
前記ランセットは、前記軸方向の互いに異なる位置に、第1の要素と第2の要素とを有し、
前記穿刺針ホルダは、前記第1の要素及び/又は前記第2の要素が、前記穿刺針ホルダの外方に露出し得る開口部を有し、
前記第1の要素のみが前記開口部から露出して、前記第1の要素が前記開口部と当接し得る第1の状態と、
前記第1の要素と前記第2の要素が共に前記開口部から露出しない第2の状態と、
前記第1及び第2の要素が共に前記開口部から露出して、前記第2の要素が前記開口部と当接し得る第3の状態とを取り得る穿刺針カートリッジ。
【請求項16】
皮膚を穿刺する穿刺針と、前記穿刺針の先端を除く部分を保持し、穿刺装置に装着可能な本体部と、前記穿刺針の先端の一部又は全部を覆うように保護し、かつ前記本体部と分離可能に形成された保護キャップと、を有するランセットと、
前記本体部を前記穿刺針の軸方向に移動可能に保持する穿刺針ホルダと、を備える穿刺針カートリッジであって、
前記穿刺針ホルダは、開口部を有し、
前記ランセットは、
前記本体部が前記穿刺装置に装着され前記穿刺針による穿刺が実施されるまでは前記穿刺針ホルダの内部に位置し、前記穿刺針による穿刺が実施された後であって前記本体部が前記穿刺装置から引き抜かれる際に前記穿刺ホルダの前記開口部から露出して前記穿刺針ホルダに対する前記本体部の移動を規制する規制手段を有する、穿刺針カートリッジ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A.B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−67565(P2011−67565A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235664(P2009−235664)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】