説明

窒化ケイ素体及びその製造方法

【課題】高密度化された窒化ケイ素を提供する。
【解決手段】高密度化された窒化ケイ素体は、ランタナ系焼結助剤(ランタン、ネオジウム)、アルミニウム化合物系焼結助剤を用いて形成することができる。この窒化珪素と焼結助剤とを混合した組成物は、1750℃の焼結温度において、焼結及び熱間等静圧圧縮成形によって高密度化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素組成物に関し、特にはランタンを含む窒化ケイ素体に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ケイ素(Si34)材料は、高摩耗用途、例えば、軸受、切削工具、羽根及びブレード、並びにバルブ及びシールにおいて優れた特性を提供することが示されているセラミック類を含む。これらの特性としては、低い密度、高い硬度、高い温度許容度、高い絶縁耐力、及び向上した摩耗性能が挙げられる。典型的には、窒化ケイ素の軸受部材は、鋼部材に比べて、低い密度、高い硬度、高い弾性率、及び高い温度定格を有する。これら及び他の理由から、窒化ケイ素部材は、多くの用途で鋼及び合金部材に取って代わっている。1つの例は、窒化ケイ素の転動体と鋼のレースからなる高速ハイブリッド軸受の使用である。
【0003】
窒化ケイ素体を形成する幾つかの方法が知られている。典型的には、窒化ケイ素体は、窒化ケイ素粉末の未処理体に熱及び圧力を適用することによって高密度化される。これらの技術は、焼結助剤の存在下における焼結及び/又は安定した耐久性のある本体を形成するための熱間等静圧圧縮成形(HIP)を含む。公知の焼結助剤としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)及び酸化イットリウム(イットリア)が挙げられる。焼結助剤は、高密度化の前に微細メッシュ粉末の形態で窒化ケイ素粉末に添加することができ、種々の材料が硬度などの特性を改善するために開発されている。
【0004】
Pujariらの米国特許第5,908,796号明細書では、小粒径のTiCを用いて作成された窒化ケイ素体が記載されている。Pujariの開示によれば、得られる窒化ケイ素体は、改善された摩耗及び曲げ特性を提供する。軸受部材等の製品は、これらの改善された摩耗及び曲げ特性によって利益を得ることができる。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様では、8.0MPa・m1/2よりも高い破壊靱性を有する高密度化(緻密化)された窒化ケイ素体が提供される。
【0006】
別の態様では、1650〜1800℃の温度で窒化ケイ素粉末の未処理体を焼結する工程、及び1680〜1800℃の温度で焼結体を熱間等静圧圧縮成形して窒化ケイ素体を形成する工程を含む、窒化ケイ素体の製造方法が提供される。
【0007】
別の態様では、窒化ケイ素、1%以上のランタン、及び1%以上のネオジムを含む窒化ケイ素の軸受部材が提供される。
【0008】
別の態様では、窒化ケイ素粉末を含む未処理体を焼結して焼結体を形成する工程、及び該焼結体を熱間等静圧圧縮成形して、8.0MPa・m1/2よりも高い破壊靱性を示す窒化ケイ素体を形成する工程を含む、高い破壊靱性を示す窒化ケイ素体の製造方法が提供される。
【0009】
別の態様では、1%に等しいか又はそれを超えるランタン、及び1%に等しいか又はそれを超えるネオジムを含む、焼結された窒化ケイ素体が提供される。
【0010】
本願の主題は、場合により、相互に関連する製品、特定の課題に対する別の解決策、及び/又は単一のシステム又は物品の複数の異なる使用を伴うことがある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】高密度化された窒化ケイ素材料の1つの実施態様の走査電子顕微鏡写真のコピーである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「窒化ケイ素体」は、70wt%以上の窒化ケイ素を含む単一体である。
【0013】
窒化ケイ素体の「破壊靱性」は、種々の用途、例えば、軸受部材などにおいて材料の有用性を評価するために測定される重要なパラメータであり得る。破壊靱性は、様々な技術によって測定することができ、異なる試験方法が用いられる場合には、窒化ケイ素系材料の破壊靱性を直接的に比較することは難しい場合がある。例えば、押し込み系の試験方法が用いられる場合、押し込み体の形状及びサイズが結果に影響を及ぼすことがあると考えられる。それゆえ、異なる押し込み技術を用いた異なる方法による試験結果の直接比較は有用でない場合がある。「押し込み強度の4点曲げ」技術を用いた破壊靱性(K1C)の測定は合理的に一致した結果を提供することができると考えられ、それゆえ、本明細書に記載の材料はこのような技術を用いて試験した。具体的には、使用した方法は、その参照により本明細書に含められるJ.Mater,Sci.Letter,V.2,p.221,1983においてNiiharaによって変更が加えられたLaugier、Evans及びLawnの式に基づくものである。この方法は、再現可能で及び/又は発明者らに公知の他の方法よりも良い一致した結果を提供することがわかった。本明細書で用いられる場合には、「破壊靱性」とは、この方法及びNiiharaによって記載される以下の式を用いて決定されたK1Cを指すものである。
(式1)K1C=0.0186[(E/H)]1/8[S(P×9.807)1/33/4
式中、Eは、焼結された窒化ケイ素材料に関するヤング率であって、典型的には約310GPaであり、
Hは、焼結された窒化ケイ素材料に関する硬度であって、典型的には約15GPaであり、
Sはピーク応力であって、Niiharaによって記載されるように、各試料に関して実験的に決定されるものであり、
Pは押し込み荷重であって、本明細書で用いられる場合には特に断りのない限り10kgである。
【0014】
ピーク応力(S)が高密度化された窒化ケイ素体に関して決定されると、K1Cはこの式を用いて算出することができる。結果はMPa・m1/2の単位で与えられる。
【0015】
特に断りのない限り、本明細書で与えられるすべての百分率は質量ベースである。
【0016】
1つの態様では、ランタナを含む混合物から製造される窒化ケイ素組成物は、改善された摩耗特性を示す窒化ケイ素体を提供することができる。この組成物が有用であり得る1つの分野は、高いレベルの耐摩耗性によって利益を得ることができる用途、例えば、ころ軸受、バルブ及びシール、並びに切削工具である。窒化ケイ素中にランタナを含むことで、得られる窒化ケイ素体に、改善された特性、例えば、靱性及び硬度を付与することができる。ランタナは、例えば、1wt%に等しいか若しくはそれよりも高い、2wt%に等しいか若しくはそれよりも高い、3wt%に等しいか若しくはそれよりも高い、4wt%に等しいか若しくはそれよりも高い、又は5wt%に等しいか若しくはそれよりも高いレベルで使用することができる。他の実施態様では、ランタナは、10%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、又は2%未満の量で使用することができる。
【0017】
別の態様では、製造方法は、窒化ケイ素粉末とランタナ粉末の両方を含む未処理体を形成する工程、続いて該未処理体を高密度化する工程を含む。例えば、未処理体は、焼結及び熱間等静圧圧縮成形(HIP)して窒化ケイ素体を形成することができる。この高密度化によって、(混合則を用いた)理論密度の99.5%超、99.7%超、又は99.9%超の密度を有する窒化ケイ素体を得ることができる。高密度体の得られる気孔率は、不連続なものである場合があり、0.5%未満、0.2%未満又は0.1%未満であることができる。最大気孔サイズは、SEM分析で、例えば、10μm未満、5μm未満又は2μm未満であることができる。最大気孔サイズを決定するためのSEM分析は、特に断りのない限り以下の方法によって実施される。10個の異なるSEM像を20μmのバーを用いて選択する(拡大)。それぞれの像は、評価される材料の同じ表面の異なる領域である。像のディスプレイ上でカーソルを用いて、各像から10個の気孔を測定し、合計で100個の気孔の測定値を得る。「最大気孔サイズ」は、得られた100個の測定値のうち最も大きな1つの測定値である。したがって、すべての測定された気孔は、「最大気孔サイズ」に等しいか又はそれよりも小さいサイズを有することになる。例えば、測定された100個のうち最も大きな気孔サイズが2.0μmであれば、この材料の最大気孔サイズは2.0μmである。
【0018】
1つの実施態様では、ランタンを含む窒化ケイ素体は、最初にランタンをランタナ粉末として組成物に導入することによって製造することができる。この混合物を焼結及び/又は熱間等静圧圧縮成形して、Niiharaによって規定されるK1Cで決定した場合に7.0MPa・m1/2以上、7.5MPa・m1/2以上、8.0MPa・m1/2以上、又は8.1MPa・m1/2以上の破壊靱性を示す窒化ケイ素体を製造することができる。10kgの試験荷重で測定したビッカース硬度の値は、1GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい、5GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい、10GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい、13.5GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい、14.0GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい、又は14.5GPaに等しいか若しくはそれよりも大きい。
【0019】
この材料の改善された特性により、結果として、少なくとも部分的に、粒子成長の境界におけるランタン原子の相互作用のために粒子幅の成長を制御することができ、そして、ランタンを使用することで、c軸に沿った成長が促進されてより長くかつより狭い粒子形状を得ることができると考えられる。実験結果は、他の焼結助剤、例えば、イットリアよりもランタナとともに焼結した場合に、粒子長さと粒子幅の比(アスペクト比)が高くなり得ることを示している。例えば、ランタナとともに焼結された窒化ケイ素粒子の平均アスペクト比は2.0以上であり、ある場合には2.1以上である。平均の粒子幅は、0.50μmに等しいか若しくはそれよりも小さい、0.40μmに等しいか若しくはそれよりも小さい、0.30μmに等しいか若しくはそれよりも小さい、又は0.29μmに等しいか若しくはそれよりも小さい。得られた粒子の形状により、他の窒化ケイ素体と比較して、例えば、より高い破壊靱性、硬度、及びつぶれ耐性を示す材料を得ることができる。
【0020】
加えて、高密度化された窒化ケイ素体における粒間ガラス相(三重点)の最大寸法は、2μm未満であることができ、ある場合には約1μmであることができる。この小さな粒間ガラス相は、他の焼結助剤を用いて製造した材料と比較して、剥離の頻度を低減するのに有用な場合がある。
【0021】
ランタナは、当技術分野で公知の方法を用いて窒化ケイ素に導入することができる。例えば、ランタナ粉末は、成形の前に窒化ケイ素粉末とともに粉砕してもよい。好ましくは、ランタナは高純度であり、例えば、99.5超、99.9超、又は99.99超の純度であることができる。窒化ケイ素粒子中の均一な分散を促進するためには、ランタナ粉末は約2μmよりも小さいサイズにおいて提供されることが好ましい場合がある。ランタナ粉末は、例えば、高エネルギー混合及び/又はボールミル粉砕、摩擦粉砕又は振動粉砕によって混合物全体に均一に分散させることができることが見出された。
【0022】
ランタナに加えて、他の化合物を焼結又は他の作用を助けるのに使用してもよい。例えば、他の希土類酸化物、例えば、酸化ネオジム又はイットリアを添加してもよい。例えば、これらの化合物は、有効な焼結温度を低下させるのに有用な場合がある。追加の化合物としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム等の窒化物、マグネシア、酸化チタン、及び金属炭化物、例えば、炭化チタン等を挙げることができる。
【0023】
幾つかの実施態様では、窒化ケイ素体は、ランタン及び/又はネオジム以外の希土類元素を本質的に含まなくてもよい。窒化ケイ素体がこれらの元素を本質的に含まない場合には、それは組成物の特性を実質的に変更しない微量又は少量のみを含む。1つの実施態様では、窒化ケイ素体は、イットリア及び/又はストロンチウムを本質的に含まなくてもよい。
【0024】
下表1は、1つの実施態様において有用であることが見出された様々な構成要素に関する濃度範囲の例を与えるものである。当然ながら、焼結及び熱間等静圧圧縮成形は、組成物内で化学的な変化を生じさせる場合があり、最終組成物は、出発組成物とは化学的に同一でない場合がある。それゆえ、表に記載した化合物及び濃度は、出発材料に関するものであり、必ずしも高密度化された窒化ケイ素体に関するものではない。
【0025】
【表1】

【0026】
1つの実施態様では、窒化ケイ素体は、例えば、焼結及び熱間等静圧圧縮成形によって高密度化することができる。出発材料は、約0.8μm以下の粒子サイズ及び99%以上の純度を有する窒化ケイ素粉末を含むことができる。この出発材料は、焼結助剤及び他の添加剤、例えば、表1に記載されるものと混合することができ、この混合物は、粉砕又は当業者に公知の他の混合技術を用いて均質にすることができる。
【0027】
未処理体は、粉末から所望の最終生成物の一般的な形状、例えば、ボール、針又はローラーに成形することができる。未処理体は、適切な温度で適切な時間にわたって脱ガスして焼結することができる。例えば、焼結温度は1800℃未満であることができる。幾つかの実施態様では、焼結の範囲は1650〜1800℃であることができ、場合によっては1730〜1770℃であることができる。焼結時間は、焼結温度に部分的に依存していることがあるが、場合によっては1時間よりも長くかつ6時間よりも短いか、又は2時間よりも長くかつ4時間よりも短いか、又は約160〜200分であることができる。
【0028】
得られた焼結体は、焼結後に熱間等静圧圧縮成形によって高密度化することができる。HIP圧力は、具体的な焼結体によって変わる場合があるが、約70〜250MPaの範囲の圧力によって改善された特徴を示す窒化ケイ素体を得ることができることが見出された。幾つかの実施態様では、HIP温度の範囲は1800℃よりも低い場合がある。例えば、適切な範囲は約1650〜1800℃であることができ、好ましい範囲は1680〜1750℃である。幾つかの実施態様では、ガラス封入熱間等静圧圧縮成形を用いることができる。
【0029】
実施態様の1つの組では、出発窒化ケイ素粉末は、ベータ相の粒子及びアルファ相の粒子を含むことができる。例えば、出発材料は、1%超、1.5%超、1.8%超、又は2%超のベータ相の窒化ケイ素粒子を含むことができる。残りは、典型的にはアルファ相の粒子であることができる。例えば、焼結及び/又は熱間等静圧圧縮成形による高密度化の後、アルファ相の材料の大部分又はすべてをベータ相の材料として再析出させることができる。幾つかの実施態様では、高密度体の窒化ケイ素部材は、98%超、99%超又は99.9%超のベータ相の窒化ケイ素を含むことができる。
【実施例】
【0030】
窒化ケイ素体の物理的性質に関するランタナの添加効果を決定するために、ランタナとともに作成された窒化ケイ素体を製造し、追加の実験材料並びに商業的に入手可能な窒化ケイ素体と対照して試験した。wt%による各試験材料の組成を下表2に示す。組成物「N」はランタナを含むがイットリアを含まない実験組成物である。組成物「G」は商業的に入手可能な窒化ケイ素組成物である。組成物「B」はイットリアを含むがランタナを含まない実験組成物である。
【0031】
【表2】

【0032】
各材料は、下表3に記載の条件下で焼結/HIPによって0.5インチ直径のボールに高密度化した。各試料に関するHIP工程は、約210MPaの圧力において下表に示す温度及び時間で実施した。
【0033】
【表3】

【0034】
試料は、ビッカース硬度、破壊靱性、及び幾つかの試料については曲げ強度(MOR)に関して評価した。曲げ強度は、G試料及びB−2〜B−4試料については測定しなかった。特に興味深いものはN3試料であり、8.12MPa・m1/2の破壊靱性(K1C)を示した。加えて、N3の他の特性は、商業的に入手可能な組成物の特性と同等か又はそれよりも優れていることがわかった。図1は、N3材料の走査電子顕微鏡写真を与えるものであり、当該材料の高アスペクト比の微細粒子ミクロ構造を示している。
【0035】
N3材料はまた、ASTM法STP771(1982)を用いて転動疲労(RCF)に関しても評価した。結果は、材料のL10寿命が6.3GPaで3×107サイクルを超えるものであることを示した。これによって剥離がないか又は最小限の剥離で以って軸受寿命が延長していることを示すことができる。
【0036】
N3材料の粒子サイズのSEM分析は、0.282μmの粒子幅中央値及び0.576μmの粒子長中央値を示した。組成物G及びBと比べて、ランタナ系焼結助剤を使用することで、再析出の際に粒子幅の成長が制限されるようであり、したがって2.0:1よりも高い粒子のアスペクト比が提供される。材料の検査では、さらに「スノーフレーク(雪片)」がないことが明らかにされ、これは微小気孔が低減されたことを示すものである。スノーフレークのように見えるサブミクロンの気孔領域は、材料が剥離しやすいことを示すものである場合がある。したがって、スノーフレークがないことは、剥離が起こらないことを積極的に示すものであるとみなすことができる。
【0037】
ランタナ系焼結助剤を用いて作成した組成物Nの高密度化された窒化ケイ素材料は、イットリア系材料を用いて形成した窒化ケイ素体よりも優れた摩耗特性を有する窒化ケイ素体を提供した。破壊靱性は非常に高く(8.0よりも高く)、他の特性に関しても同等か又は改善された値であった。それゆえ、ランタナ系焼結助剤によって、高摩耗用途、例えば、高速軸受、特には高速軸受のための転動体において有用であり得る窒化ケイ素材料を得ることができる。これらのランタナ系窒化ケイ素により、従来の焼結窒化ケイ素と比べて、より長い摩耗を提供しかつ従来のイットリア系窒化ケイ素の軸受部材よりも高速で使用できる材料を得ることができる。加えて、ランタナは、従来の焼結助剤と比べて高純度でかつ妥当なコストで入手することができる。
【0038】
本発明の幾つかの実施態様が本明細書で説明及び例示されたが、当業者であれば、本明細書で記載される機能を果たすための、及び/又は本明細書で記載される結果を得るための、及び/又は本明細書で記載される利点の1つ又は複数を得るための種々の他の手段及び/又は構造に容易に想到するであろう。したがって、このような変形態様及び/又は改良のそれぞれは本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示を意図するものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が適用される具体的な用途によって決まるものであることを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書で記載される本発明の具体的な実施態様と同等な多くのものを理解するであろうし、又は単に日常的な実験によって確認することができるであろう。それゆえ、先の実施態様は単に例示として与えられるものであり、特許請求の範囲及びそれに等しいものの範囲内において、本発明は具体的に記載されそして特許請求の範囲に記載される以外の方法で実施できると解されるべきである。本発明は、本明細書で記載されるそれぞれ個々の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法に向けられる。加えて、このような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の2つ以上の如何なる組み合わせも、このような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が互いに矛盾していない場合には、本発明の範囲内に含まれるものである。
【0039】
本明細書で規定及び用いられるすべての定義は、辞書の定義、その参照により含められる文献の定義、及び/又は規定される用語の通常の意味を超えて及ぶものであると解されるべきである。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる「a」及び「an」という不定冠詞は、特に断りのない限り、「at least one(少なくとも1つ)」を意味すると解されるべきである。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる「及び/又は」という語は、そのように結合される構成要素、すなわち、ある場合には接続的に存在し、そして他の場合には選言的に存在する構成要素のうち「いずれか又は両方」を意味すると解されるべきである。他の構成要素も、特に断りのない限り、「及び/又は」の文節によって具体的に特定される構成要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、具体的に特定されるこれらの構成要素以外に任意選択で存在することができる。
【0042】
本願において引用又は言及されたすべての参考文献、特許、特許出願、及び刊行物は、その参照により全体として本明細書に含められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ケイ素粒子を含み、8.0MPa・m1/2よりも高い破壊靱性を示す、高密度化された窒化ケイ素体。
【請求項2】
2wt%を超えるランタナを含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項3】
約4wt%以上のランタナを含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項4】
1wt%を超えるネオジムを含む、請求項2に記載の窒化ケイ素体。
【請求項5】
0.50μm未満の平均粒子幅を示す粒子を含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項6】
0.30μm以下の平均粒子幅を示す粒子を含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項7】
2.0以上の平均アスペクト比を示す粒子を含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項8】
10kgの荷重で14GPaよりも大きなビッカース硬度を示す、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項9】
転動体を含む、請求項1に記載の窒化ケイ素体。
【請求項10】
軸受部材を含む、請求項9に記載の窒化ケイ素体。
【請求項11】
窒化ケイ素粉末を含む未処理体を焼結して焼結体を形成する工程、及び
該焼結体を熱間等静圧圧縮成形して8.0MPa・m1/2よりも高い破壊靱性を示す窒化ケイ素体を形成する工程
を含む、高い破壊靱性を示す窒化ケイ素体の製造方法。
【請求項12】
前記未処理体が2%以上のランタナを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記未処理体がイットリアを本質的に含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記窒化ケイ素体が、約5μm未満の平均粒子幅を示す粒子を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
1%以上のランタン、及び1%以上のネオジムを含む、焼結された窒化ケイ素体。
【請求項16】
イットリアを本質的に含まない、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。
【請求項17】
約4%以上のランタナを含む、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。
【請求項18】
8.0MPa・m1/2よりも高い破壊靱性を示す、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。
【請求項19】
ランタン及びネオジム以外の希土類元素を本質的に含まない、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。
【請求項20】
混合則によって99.9%超の密度を有する、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。
【請求項21】
軸受における転動体を含む、請求項15に記載の焼結された窒化ケイ素体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−229155(P2012−229155A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−133407(P2012−133407)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2009−543254(P2009−543254)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】