説明

窓用空気調和機

【課題】 換気機構を併設した窓用空気調和機の構造に関する。
【解決手段】 枠体1には室内送風機2と、室外送風機3と、冷凍サイクルを構成する圧縮機4・コンデンサ5・エバボレータ6とを備え、室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板14の上方には、室外側に開口する給気口17と室内側に開口する吹出口18とを備えた給気通路19で構成する換気通路を配置し、給気通路19で構成する換気通路内には給気ファン19aで構成する換気ファンを設け、換気ファンの駆動軸20は室内送風機2に連動しており、室内送風機2の運転時に、換気通路を使って換気運転を行う。また、室内空気吹出口9を開閉するルーバー15を備え、圧縮機4の停止時に室内送風機2を運転したままルーバー15によって室内空気吹出口9を閉止することで、室内空気吹出口9からの送風を停止して換気ファンによる換気運転のみを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は窓用空気調和機の換気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窓用空気調和機は枠体内にエバボレータ・コンデンサ・圧縮機からなる冷凍サイクルを備え、枠体は前後に仕切られており、室外側にコンデンサを、室内側にエバボレータを配置し、室内送風機によって室内空気が室内空気吸入口から枠体内に送られてエバボレータを通過するときに冷却され、この冷却された室内空気を室内空気吹出口から室内に戻すことによって室内空気の空気調和が行われている。
【0003】
そして、前記コンデンサが配置される室内側空気流路や前記エバポレータが配置される室内側空気流路の空気流路天板には室内送風機や室外送風機の軸受けが配置されており、この軸受けによって室内送風機や室外送風機は空気流路天板に固定されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−361048号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年室内空気のきれいさが重要視されており、一般の室内においても、建材に含まれる有害物質の除去や、タバコや調理によって発生する煙等の迅速な処理が要求されている。このため、空気清浄機などを使ってこれらの物質の除去も最近では一般化してきているものの、建材などに含まれる有害物質の除去は極めて困難であり、換気による室外への排出が最も効果的である。
【0005】
このような換気機構を、室内と室外との間に設置されるエアコンのような空気調和機に要求する使用者は年々増えてきているが、この空気調和機の中で、窓に設置場所が限定される窓用空気調和機にこの機能が要求される場合には、窓用空気調和機では構造上窓の寸法の規制を受け、また、設置時に日照を妨げることにより、近年小型化の要求が強く、この流れに逆行して窓用空気調和機に換気機構を併設して枠体を大きくすることは難しかった。
【0006】
特に、窓用空気調和機は冷凍サイクルを構成する全てを一つの枠体内に組み込まれているから、多くの部品が複雑に配置されており、この小型化された枠体内に更に換気機能を組み込むためには枠体の大型化は避けられず、換気機能の付加価値をアピールしても、市場の小型化の要求に相反するから、直ちに受け入れられるものではなかった。
【0007】
本願発明は、窓用空気調和機に換気機構を併設する構成であっても、枠体の大型化をすることなく、しかも換気性能の向上を実現することができる空気調和機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記課題を解決するもので、枠体1には室内送風機2と、室外送風機3と、冷凍サイクルを構成する圧縮機4・コンデンサ5・エバボレータ6とを備えるとともに、前記枠体1は室内側にフロントパネル1aと、室外側に向けたリアパネル1bと、枠体1内を二室に分割する仕切板7とを設け、前記フロントパネル1aには室内空気吸入口8と室内空気吹出口9とを配置し、前記仕切板7で仕切られて室内空気吸入口8から室内空気吹出口9を連絡する室内側空気流路10には、前記エバボレータ6と前記室内送風機2とを配置し、前記リアパネル1bには室外空気吸入口8と室外空気吹出口9とを配置し、前記仕切板7で仕切られて室外空気吸入口11から室外空気吹出口12を連絡する室外側空気流路13には、前記コンデンサ5と前記室外送風機3とを配置し、前記圧縮機4で高温高圧に圧縮された冷媒はコンデンサ5によって液化し、液化した冷媒はエバボレータ6で気化して室内側空気流路10を通過する室内空気を冷却する窓用空気調和機において、前記枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板14の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、該換気通路内に換気ファンを設け、該換気ファンの駆動軸は前記枠体1内に配置した前記室内送風機2に連動しており、前記室内送風機2の運転時に、前記換気通路を使って換気運転を行うと共に、前記室内空気吹出口9にはその室内空気吹出口9を開閉するルーバー15を可動自在に取り付け、前記換気ファンを駆動する前記室内送風機2は前記圧縮機4の停止時においても送風運転可能となっており、圧縮機4の停止時に前記室内空気吹出口9をルーバー15によって閉止して、前記室内送風機2が運転したまま室内空気吹出口9からの送風を停止し、換気ファンによる換気運転のみを行うことを特徴とする。
【0009】
また、圧縮機4の運転時において、ルーバー15が閉位置に駆動したときは、圧縮機4が停止するから、換気運転のみ行うときは、換気運転を選択するだけで自動的に換気運転に切換わるものである。
【0010】
また、室内と室外を連絡する前記換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、換気機能はダンパー機構によって停止可能となっていると共に、ルーバー15とダンパー機構とが連動し、ダンパー機構によって換気機能が停止しているときは、ルーバー15が開位置を保持するから、空気調和運転時に換気機能を必要としないときにも対応できると共に、室内空気吹出口9と換気通路が同時に閉路となることはなく、空気調和機の運転を適切に切換えることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明では、枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板14の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、この換気通路内に換気ファンを設け、この換気ファンの駆動軸25は枠体1内に配置した室内送風機2と連動して回転する構成となっており、室内送風機2の運転時に、換気運転を行うものである。
また、換気ファンを駆動する室内送風機2が圧縮機4の運転と直接連動するのではなく、また、圧縮機4の停止時においても、室内送風機2によって換気ファンが駆動できる構成であるから、換気機能部分に換気ファンの駆動用モータを持たない構成でも、空気調和機能と換気機能とを併用できる。
そして、この圧縮機4の停止時に室内空気吹出口9に備えたルーバー15を閉止位置に駆動すると、室内空気吹出口9がルーバー15によって閉ざされて室内側空気流路10が閉路となり、室内送風機2が回転していても室内側空気流路10には空気流が形成されないから、室内送風機2が運転したまま室内への送風が停止でき、換気ファンによる送風のみが有効となって換気専用運転が可能となった。このとき室内送風機2は空気流の抵抗が少なくなって送風トルクが低下し、室内送風機2の回転数が上昇するものであり、室内送風機2によって駆動する換気ファンの回転数も上昇して換気ファンの送風能力が上がるので、換気専用運転を行うときには換気能力が向上できるようになった。
【0012】
また、室内への送風が停止される換気専用運転のときは、圧縮機4を運転する必要がないものであるから、空気調和機運転中に室内空気吹出口9をルーバー15によって閉ざして室内側空気流路10を閉路としたときは、圧縮機4が停止して換気専用運転に移行できるものであり、使用者は空気調和機の運転の切換操作を行うだけでよく、換気専用運転中にエバポレータ6が氷結するトラブルを発生させることもない。
【0013】
一方、この発明は室内送風機2の回転によって換気ファンが駆動される構成であるから、空気調和機として機能しているときには、必ず換気ファンが回転するものである。この発明の実施例では、室内と室外を連絡する換気通路には、この換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、このダンパー機構によって換気通路を閉路にすれば、空気調和機運転中であっても換気機能を停止することが可能になる。
そして、このダンパー機構によって換気通路が閉路となるときは、室内側空気流路10が開路となるようルーバー15が開位置を保持するものであり、ルーバー15とダンパー機構が連動する構成であるから、空気調和機の運転を適切に切換えることができ、使用者がルーバー15とダンパー機構の位置関係を切換える必要はなく、使い勝手が非常に良くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施例を示す図によってこの構成を説明すると、1は窓用空気調和機を構成する枠体、1aは枠体1の室内側を構成するフロントパネル、1bは枠体1の室外側を構成する室外側に向けたリアパネル、7は枠体1内を室内側と室外側の二室に分割する仕切板である。
8は空気調和するために枠体1内に室内空気を取り込む室内空気吸入口、9は空気調和後の空気を室内に吹出す室内空気吹出口であり、共に前記フロントパネル1aに設けられている。10は前記仕切板7で仕切られて室内空気吸入口8から室内空気吹出口9を連絡するよう構成された室内側空気流路、2はこの室内側空気流路10内に配置した室内送風機である。
11は室内空気を空気調和するための処理空気を室外から取り込む室外空気吸入口、12はこの処理空気を室外に排出する室外空気吹出口であり、共に前記リアパネル1bに設けられている。13は前記仕切板7で仕切られて室外空気吸入口11から室外空気吹出口12を連絡するよう構成された室外側空気流路、3はこの室外側空気流路13内に配置した室外送風機である。
【0015】
4は枠体1内に設置された圧縮機、5は前記室外側空気流路13内に設置したコンデンサ、6は前記室内側空気流路10内に設置したエバボレータ、4aは圧縮機4とコンデンサ5とエバポレータ6とを接続する冷媒配管であり、この圧縮機4によって圧縮されて高圧高温のガス状となった冷媒はコンデンサ5に送られて液化し、この液体の冷媒は次にエバポレータ6に送られて気化し、この時の気化熱で室内側空気流路10の室内空気を冷却する。そして、エバポレータ6で気化した冷媒は再び圧縮機4に送られて圧縮されてコンデンサ5に送られており、冷凍サイクルを構成している。
【0016】
最近では人が生活する環境である室内空気の質の改善が重要視されており、なかでも、室内においては建材に含まれる揮発性の有害物質や、タバコや調理によって発生する煙等の不快なガスの迅速な処理が要求されており、換気による室外への排出が強く望まれているものであった。このような換気要求のために室内用換気扇が一般化しているが、この器具の設置のためには専用の換気口がないときには窓パネルを利用することになり、窓用空気調和機と換気扇の併用は躊躇されるところであった。
【0017】
このため、個別設置の換気扇に代えて、換気機能を窓用空気調和機に要求することもあったが、窓用空気調和機においては窓に据え付けられて窓の大きな面積を塞いでしまう構造上、日照を妨げることや設置する場所の条件から小型に設計されることが重要であるが、換気扇の機能を盛り込むということは、枠体内に多くの部品が複雑に配置されることから、窓用空気調和機の本来の小型化の要求と相反する要求となり、従来では空気調和機能を実現しながら換気機能を追加するには、器具の大型化は避けることができなかった。
【0018】
この発明は、このような問題点を改善できる新たな部品配置にかかる換気機能の実現を提案するものであり、窓用空気調和機は設置形態で窓の開閉を要求されることから、窓用空気調和機を窓に取付けた時は、その枠体の多くは室内側に位置し、その室内側の上部の空間の多くがデッドスペースとなっている。また、窓用空気調和機の室内送風機2や室外送風機3はその上部が空気流路天板によって固定されており、この空気流路天板と枠体天板とは一般に別部材で構成され、その間に隙間が形成されている。
【0019】
図に示す実施例は、このような窓用空気調和機独自の構成や、その設置状態を利用してその部品配置を特定することで窓用空気調和機に換気機能を実施しており、14は前記枠体1内の室内側空気流路10と室外側空気流路13の上板である空気流路天板、16は前記枠体1の上板を構成する枠体天板である。19は窓用空気調和機が設置される窓などで区画された室外と室内とを連絡するための換気通路を構成する給気通路、17は給気通路19の室外側の開口である給気口、18は給気通路19の室内側の開口である吹出口であって、この換気通路(給気通路19)は窓用空気調和機が設置された時の室内側に位置する前記空気流路天板14の上方に配置されている。
【0020】
2aは室内側空気流路10に配置した室内送風機2の回転軸、3aは室外側空気流路13に配置した室外送風機3の回転軸、19aは前記給気通路19内に配置した換気ファンを構成する給気ファン、20は換気ファンの駆動軸であり、図1に示す実施例では、室内送風機2の回転軸2aは空気流路天板14から更に上方に伸ばされ、この回転軸2aと前記換気ファンの駆動軸20とは同軸で構成されており、前記室内送風機2が回転すると換気ファンも一緒に回転する構成となっている。
なお、この換気ファンの駆動軸20は他の実施例として、回転軸2aと駆動軸20が同軸接続ではなく、軸芯が外れた時には回転ギヤや回転ベルトで駆動される構成であっても良い。この回転ギヤや回転ベルトで駆動されるときには、換気ファンの駆動軸20の位置が回転軸2aの位置に規制されなくなり、換気通路の最適位置に換気ファンを配置できるようになる。
【0021】
このため、窓用空気調和機の室内送風機2を運転するときには、同時に換気ファンを構成する給気ファン19aが回転し、前記給気通路19内に室外の給気口17から室内の吹出口18へ向う空気流を発生させることができ、窓用空気調和機を運転しながら室内の空気の入れ替えをする換気運転ができるようになったものである。
一般に、空気調和機の実施形態において、普通は閉路空間として冷房などの空気調和運転をする時に要求される換気機能であるから、本願発明のように室内送風機2の運転時に換気ファンを駆動することは非常に有効であり、また、換気機能を達成するための専用の換気ファンを駆動する専用のファンモータをなくすことができ、製品は非常にコンパクトに構成できるようになった。また、高価なモータを追加することが無いから非常に安価に換気機能付きの高付加価値製品を提供できるものとなった。
特に、換気機能の配置位置を空気流路天板14の上方に特定しており、この部分は窓用空気調和機を窓へ取付ける窓枠のよりも室内側に位置して、少しばかり背が高くなることがあっても、窓枠や空気調和機本体の改造がほとんどなく実施できる構造であり、このような換気機能つきの機種と換気機能なしの機種を併用して製造販売が可能となる特徴が生まれた。
【0022】
また、空気調和機において、換気機能の要求は窓用空気調和機の運転中がほとんどであるが、エアコンなどの空気調和を実施しないときにおける換気機能の要求に対して、この発明の実施例では、前記圧縮機4を停止した状態でも、室内送風機2を運転する換気ファンを駆動する運転モードを設けており、このモードを換気運転モードとしている。
このような運転モードを設けることによって、冷房運転するまでもない気候のときでも、窓を開けることなく室内の換気ができるものであり、換気ファンが室内送風機2によって運転される時には、室内空気のサーキュレーター効果が期待できるものとなった。
【0023】
また、換気機能を備えた空気調和機において、換気性能の向上や室内への送風を行うことなく換気運転を行いたいという要求がある。しかしながら、換気ファンが室内送風機2によって回転する構成では、換気ファンが回転するときには必ず室内送風機2も回転するため、常に室内への送風が行われており、換気専用運転の要求に応えることはできなかった。一方、換気性能の向上を図るためには換気ファンの送風能力の向上が必要であるが、空気調和機は小型化の要求があることから換気通路や換気ファンの大型化は難しいため、換気ファンの回転数を上げることが考えられるが、このためには室内送風機2の送風能力を上げなければならず、ファンモータの高性能化が必要となったり室内空気吹出口9からの送風が強くなってしまう問題がある。
【0024】
図1に示す実施例において、15は室内空気吹出口9に可動自在に設けたルーバー、15aはルーバー15を駆動する駆動モータであり、ルーバー15は駆動モータ15aによって可動して室内空気吹出口9から吹出す風の吹出方向を変えることができる。また、15bはルーバー15に備えた閉止板であり、閉止板15bは室内空気吹出口9ほぼ同じ大きさとなるように形成してあり、ルーバー15を閉止位置まで可動したときに閉止板15bによって室内空気吹出口9を塞ぐことができる構造になっており、ルーバー15によって室内空気吹出口9が開閉可能となっている。
【0025】
この発明では空気調和機が運転中であってもルーバー15が閉止位置に可動可能となっており、圧縮機4が停止した換気運転モードにおいて、ルーバー15によって室内空気吹出口9を閉ざすと、室内空気吹出口9から風が吹出すことができなくなり、室内空気吸入口8から空気が流入できなくなるから、室内側空気流路10には空気流が形成されず、室内送風機2が回転したまま室内空気吹出口9からの送風が停止する。
このように、換気運転モードにおいて室内空気吹出口9を閉ざしたときは室内送風機2の送風が停止するが、室内送風機2は回転したままであるので換気ファンも一緒に回転しており、換気ファンによって換気通路を通過する空気流は発生しており、換気ファンが室内送風機2によって回転する構成でも換気専用運転が可能となったものであり、室内送風機2による送風を必要としないときにも対応できるものとなり、使い勝手が向上した。
また、通常は室内送風機2にかかる送風トルクによって室内送風機2を駆動するファンモータが最大回転数よりも低い回転数で回転しているが、換気専用運転を行うために室内空気吹出口9を閉ざしたときは、室内送風機2が空気流の抵抗を受けなくなって送風トルクが低下するので、ファンモータの回転数が上昇し、室内送風機2と換気ファンの回転数も上昇するから、換気ファンの送風能力が向上し、室内送風機2を駆動するファンモータの能力はそのままで換気性能が向上できるものとなった。
【0026】
また、ルーバー15によって室内空気吹出口9を閉ざしたときは、室内送風機2による送風を行わないときであるから、圧縮機4を運転する必要はないものであり、圧縮機4が運転したまま室内空気吹出口9を塞いでしまうと、室内空気がエバポレータ6を通過しないため、エバポレータ6が低温度になってエバポレータ6が氷結するトラブルを発生させる恐れがある。
【0027】
この発明では、ルーバー15によって室内空気吹出口9を閉ざしたときは、圧縮機4の運転を停止する構成にしたものであり、換気専用運転を選択すると、駆動モータ15aがルーバー15を閉止位置に切換えると共に、圧縮機4が運転しているときは圧縮機4を停止して、換気専用運転に移行するので、空気調和機が冷房運転しているときに換気専用運転への切換え操作を行っても、エバポレータ6が氷結するトラブルを発生させることはないものである。
一方、換気専用運転を行っているときにおいて、冷房運転を選択すると、圧縮機4の運転が開始されるが、このときは駆動モータ15aが駆動してルーバー15を開位置に切換えるので、室内空気吹出口9が開口して空気調和機が冷房運転を行うことができるものである。また、換気専用運転の停止が指示されたときは、駆動モータ15aがルーバー15を開位置に切換え、換気専用運転の前の運転モードに復帰するものであり、使用者は運転モードを選択するだけでよく、運転モードを切換える際に特別な操作を行う必要はない。
【0028】
また、換気通路を空気流路天板14の上部に配置するに当たり、21はこの空気流路天板14と前記枠体天板16との間に形成した換気用空間であり、前記換気通路はこの換気用空間21内に配置してある。
従来、空気流路天板14と枠体天板16との間は隙間を介して対峙するだけであったが、この間の寸法を大とすることで、換気通路を収納する換気用空間を構成してある。このため、枠体1内に配置される換気通路が存在しても、実質的に窓用空気調和機の本体部分の構造にかかる設計変更は全く必要がなくなり、一方、換気通路の形状は空気の誘導部分やファンケーシングの形状を外観にとらわれずに、性能本位に最適な形状で構成することができる。
【0029】
一般に、外部の新鮮な空気を取り入れる給気構造や、室内の汚れた空気を排出する排気構造にかかる換気機能ではなく、使用者によっては高気密高断熱住宅に適する本格的な給排気の換気機能が同時に可能な換気を期待するときがあり、図3に示す実施例は、換気通路として吸気と排気が可能な本格的な換気機能が実現できるものである。
24は窓用空気調和機が設置される窓などで区画された室外と室内とを連絡するための換気通路を構成する排気通路、22は排気通路24の室内側の開口である換気口、23は排気通路24の室外側の開口である排気口であって、この換気通路(排気通路24)も前記空気流路天板14の上方で前記枠体天板16との間の換気用空間21に配置してある。24aは前記排気通路24内に配置した換気ファンを構成する排気ファンであり、給気ファン19aと同様に、前記室内送風機2の回転軸2aに換気ファンを構成する排気ファン24aが取付けられている。
図3の実施例のように、換気ファンを構成する給気ファン19aと排気ファン24aの羽根はファンベース板を共通してその両側に配置されており、このファンベース板が前記回転軸2aに取付けられて回転できるようになっている。
【0030】
このように給気通路19と排気通路24を構成して、同時に給気と排気がファンベース板を共通する換気ファンによって実現できたから、建物の構造が高気密高断熱住宅であっても、効率よく換気運転が可能になり、更に、この換気通路は隣接した給気通路19と排気通路24によって構成することにより、換気通路の全体はコンパクトに構成することができ、前記換気用空間21に換気通路を配置したときでも、空気流路天板14から枠体天板16までの寸法を狭くすることができ、窓用空気調和機の室内側に位置する枠体天板16の位置が低くでき、本格的に同時に給気と排気を行う換気機能を実現しても、窓用空気調和機の大きさが巨大化することはない。
【0031】
上記の換気機能の要求は、先に説明したように窓用空気調和機の運転中がほとんどであるが、換気運転による空気調和能力の低下を避けたいという要求もある。特にこの発明のように、窓用空気調和機の運転中は必ず換気ファンが回転する構成では、そのままではこの要求に答えることができない。
図3において、25は給気通路19や排気通路24に取付けてダンパー機構を構成する開閉板、25aは前記開閉板25を開閉操作するために開閉操作軸、25bはこの開閉操作軸25aを駆動するソレノイドであり、図3の実施例ではソレノイド25bが非通電時に開閉操作軸25aが下位に位置して開閉板25は換気通路を開き、ソレノイド25bが通電時に開閉操作軸25aが上動して開閉板25は換気通路を閉ざしている。
【0032】
このように図3の実施例ではソレノイド25bによって、この開閉操作軸25aを操作して開閉板25によって給気通路19や排気通路24を閉路とすれば、窓用空気調和機が運転中に前記換気ファンが回転しても、給気通路19や排気通路24には空気流が発生しないから、換気運転が停止できるようになった。
特に、外気温が高いときの冷房運転のように、室内を冷房するための窓用空気調和機の能力が限界のときに、高温の外気が室内に入る換気運転を止めることができるから、使用者の好みに合った能力によって窓用空気調和機が利用可能になる。
【0033】
ところで、換気通路にダンパー機構を備えているときは、ルーバーとダンパー機構が同時に空気吹出口と換気通路を閉ざしてしまうと、空気の流れが全くなくなって空気調和機として機能しなくなるから、ルーバーとダンパー機構の位置関係を適切に切換える必要がある。
換気通路にダンパー機構を備えているものにおいて、使用者が換気専用運転を選択すると、駆動モータ15aによってルーバー15が閉止位置に駆動して室内空気吹出口9を閉ざすと共に、圧縮機4が運転しているときは圧縮機4を停止し、ソレノイド25bに通電されているときはソレノイド25bの通電を停止して開閉板25が換気通路を開路とし、換気専用運転に移行する。
また、換気専用運転中に、換気専用運転の中止を指示すると、駆動モータ15aがルーバー15を開位置に切換えて室内空気吹出口9を開口し、換気専用運転を行う前の運転状態に復帰するものである。一方、換気専用運転中に換気機能の停止を指示すると、ソレノイド25bに通電して開閉板25が換気通路を閉路とすると共に、駆動モータ15aがルーバー15を開位置に可動して室内空気吹出口9を開口し、空気調和運転に移行するものである。
このようにルーバー15とダンパー機構が連動する構成であるから、室内空気吹出口9と換気通路が同時に閉路となることはなく、使用者は希望する運転モードを選択するだけでよく、確実に運転モードの切換ができるから、使い勝手が非常に良くなった。
【0034】
図1に示す実施例は他のダンパー機構を開示しており、16aは枠体天板16の枠体1の正面側に位置した可動天板、16bはこの可動天板16aの回動軸であり、この可動天板16aが回動軸16bを中心に可動した時に前記換気用空間21を室内側に開放することができる。そして、この可動天板16aによって室内に開放された換気用空間21内には、前記換気通路を構成する給気通路19の吹出口18や、排気通路24の換気口22が開口しており、この換気用空間21を介して室内空気の換気動作が行われる。
したがって、前記ダンパー機構を構成する可動天板16aを閉ざした状態では、実質的に給気通路19の吹出口18や、排気通路24の換気口22は室内に開口しなくなり、窓用空気調和機を運転しても、換気機能は得ることができない。
【0035】
また、室内側に給気通路19の吹出口18や排気通路24の換気口22が開口する構成であっても、この開口は枠体のフロントパネル1aに開口しているのではないから、空気調和機の外観は換気機能のないものと全く同じにすることができ、通常タイプの空気調和機をそのまま利用して高価格で販売できる換気機能付き機種が安価に製造できるようになった。
【0036】
また、この換気用空間21に給気通路19と排気通路24を一緒に構成する実施例にあっては、ダンパー機構を閉ざした状態では、給気通路19の吹出口18と、排気通路24の換気口22が同じ閉空間である換気用空間21内に開口しているから、吹出口18から吐出した空気がそのまま換気口22から吸込まれて排気口23から室外に流れるようになる。
図3の実施例では、ダンパー機構を構成する開閉板25によって直接換気通路を閉止する時には、換気ファンを駆動するための送風トルクが開閉板25の開閉によって変動するものであるが、この可動天板16aを使う実施例で、給気通路19と排気通路24を換気用空間21に構成するときには、ダンパー機構を構成する可動天板16aが枠体天板16の位置にあって換気用空間21が閉ざされた時でも、この換気ファンは通常の送風状態を続けているから、換気ファンにかかる送風トルクの変動は発生しない。
このため、換気ファンが室内送風機2の回転軸2aによって作動する構成であっても、ダンパー機構の作動が室内送風機2の送風能力に与える影響がなくなり、常に安定した送風力が維持できるという効果が得られる。
【0037】
図4の実施例では、ダンパー機構を構成する可動天板16aの開閉が手動で行われるときがあるが、この場合において、26は可動天板16aの開閉によって切換わるスイッチであり、スイッチ26は可動天板16aを閉じているときはルーバー15の閉止位置への駆動を不可としており、換気専用運転を選択してもルーバー15の駆動モータ15aが駆動せず、換気専用運転への切換えができないようにしている。一方、可動天板16aを開いているときは、ルーバー15の閉止位置への駆動を可能としており、換気専用運転を選択したときには駆動モータ15aが駆動してルーバー15を閉止位置に切換えて室内空気吹出口9を閉止できるようになっている。
また、ルーバー15を閉ざした換気専用運転を行っているときに、可動天板16aを閉じてスイッチ26が切換わったときは、駆動モータ15aが駆動してルーバー15を開位置に切換えて空気吹出口9が開口し、冷房運転や送風運転に切換わるものであり、ダンパー機構を手動で切換える構成でも、ルーバー15を閉じたまま圧縮機4を運転したり、ダンパー機構を閉ざすことはない。
【0038】
また、図1に示す実施例に示すように、換気通路の室外側の開口を、窓用空気調和機の室外側空気流路13内に開口することができる。このような開口の位置であれば、換気通路の吹出口18や排気口23を枠体1のリアパネル1bまで伸ばす必要がなくなると共に、このリアパネル1bと、このリアパネル1b付近に配置される窓用空気調和機を設置する窓枠は、換気機能が付加されていない窓用空気調和機に使用するものが、そのまま利用できるようになり、部品の共通化が促進できる。
また、換気通路の室外側の開口を、窓用空気調和機の室外側空気流路13内に開口するときにおいて、給気通路19の給気口17を室外側空気流路13の入口に近く、また、排気通路24の排気口23を室外側空気流路13の室外送風機3の吸込み側に近く配置すると共に、換気ファンの回転時に室外送風機3が回転する構成とすれば、排気通路24を流れる排気空気はこの室外送風機3によっても吸引されるようになり、換気ファンの能力以上の排気が実現できる特徴が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施例を示す窓用空気調和機の側断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す窓用空気調和機の横断面図である。
【図3】この発明の実施例を示す部品の縦断面図である。
【図4】この発明の実施例を示す窓用空気調和機の要部の側断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 枠体
1a フロントパネル
1b リアパネル
2 室内送風機
3 室外送風機
4 圧縮機
5 コンデンサ
6 エバボレータ
7 仕切板
8 室内空気吸入口
9 室内空気吹出口
10 室内側空気流路
11 室外空気吸入口
12 室外空気吹出口
13 室外側空気流路
14 空気流路天板
15 ルーバー
16a 可動天板(ダンパー機構)
17 給気口(開口)
18 吹出口(開口)
19 給気通路(換気通路)
19a 給気ファン(換気ファン)
20 駆動軸
22 換気口(開口)
23 排気口(開口)
24 排気通路(換気通路)
24a 排気ファン(換気ファン)
25 開閉板(ダンパー機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体には室内送風機と、室外送風機と、冷凍サイクルを構成する圧縮機・コンデンサ・エバボレータとを備えるとともに、
前記枠体は室内側にフロントパネルと、室外側に向けたリアパネルと、枠体内を二室に分割する仕切板とを設け、
前記フロントパネルには室内空気吸入口と室内空気吹出口とを配置し、前記仕切板で仕切られて室内空気吸入口から室内空気吹出口を連絡する室内側空気流路には、前記エバボレータと前記室内送風機とを配置し、
前記リアパネルには室外空気吸入口と室外空気吹出口とを配置し、前記仕切板で仕切られて室外空気吸入口から室外空気吹出口を連絡する室外側空気流路には、前記コンデンサと前記室外送風機とを配置し、
前記圧縮機で高温高圧に圧縮された冷媒はコンデンサによって液化し、液化した冷媒はエバボレータで気化して室内側空気流路を通過する室内空気を冷却する窓用空気調和機において、
前記枠体内の室内側空気流路と室外側空気流路の上板である空気流路天板の上方に、室内側と室外側に開口を備えた換気通路を配置し、該換気通路内に換気ファンを設け、
該換気ファンの駆動軸は前記枠体内に配置した前記室内送風機に連動しており、
前記室内送風機の運転時に、前記換気通路を使って換気運転を行うと共に、
前記室内空気吹出口にはその室内空気吹出口を開閉するルーバーを可動自在に取り付け、
前記換気ファンを駆動する前記室内送風機は前記圧縮機の停止時においても送風運転可能となっており、
圧縮機の停止時に前記室内空気吹出口をルーバーによって閉止して、前記室内送風機が運転したまま室内空気吹出口からの送風を停止し、換気ファンによる換気運転のみを行うことを特徴とする窓用空気調和機。
【請求項2】
前記圧縮機の運転時において、前記ルーバーが閉位置に駆動したときは、前記圧縮機が停止することを特徴とする請求項1記載の窓用空気調和機。
【請求項3】
室内と室外を連絡する前記換気通路を開閉するダンパー機構を備えており、換気機能はダンパー機構によって停止可能となっていると共に、
前記ルーバーとダンパー機構とが連動し、前記ダンパー機構によって換気機能が停止しているときは、前記ルーバーが開位置を保持することを特徴とする請求項1または2に記載の窓用空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−178055(P2007−178055A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376780(P2005−376780)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】