説明

窓用養生シート

【課題】一般住宅や集合住宅などの建物の外壁塗装時に、室内外の空気の換気ができて、室内に湿気や臭気が滞留することのない窓用養生シートを提供する。
【解決手段】薄板偏平状からなる基板の左右両側に垂直折れスジを設けて、左右の垂直折れスジの中央側に正面部を設け、正面部の左右両側に側辺折り返し部を設け、当該正面部に、対向して設けられた垂直切り込みの上辺に水平折れスジと下辺に水平切り込みとを設けた横長帯状からなる開閉弁を等間隔に並列して複数設け、基板の下部に水平折れスジを設けて、正面部の下側に連接突出した下辺折り返し部を設けたことを特徴とする窓用養生シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や集合住宅などの建物の外壁塗装時に窓を覆うために用いられる、窓用養生シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁塗装時には建物の外壁以外の場所に塗料が付着することを防止するために、養生テープと養生シートを用いて、窓全体を覆って密閉してしまうのが一般的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのために、次のような問題点があった。
(イ)室内外の空気が出入できないために、使用後や清掃後の浴室に換気扇では対応しきれない湿気がこもり、かびの発生の原因となった。
(ロ)また、使用後のトイレの換気ができないために、臭気がトイレ内に長時間滞留してしまい、複数名でのトイレ利用時に不快な臭害問題があった。
(ハ)これを解決するために、窓を覆った養生シートに、室内外の空気を通気させる目的で、刃物で縦に複数の切り込みを入れる方法があるが、切り込みに塗料が上方から落下直撃した際には、塗料が浸入してしまうという問題があると共に、開口面積が小さいために換気効果がほとんど得られないという問題があった。
(ニ)窓を開閉できるように養生する方法があるが、窓を開閉可能に養生するためには作業に相当な手間と時間を要するという問題があり、さらに、いつ上方から塗料が落ちてくるか分からないために、塗装作業中は窓を開けておくことができないという問題があった。
(ホ)以上のようなことから、建物の外壁塗装工事の期間中は、室内に湿気や臭気が滞留して不快な状況で過ごさなければならないという問題があったが、建物の保護と美化のために我慢を強いられていた。本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(イ)薄板偏平状からなる基板(1)の左右両側に垂直折れスジ(2)を設けて、左右の垂直折れスジ(2)の中央側に正面部(3)を設け、正面部(3)の左右両側に側辺折り返し部(4)を設ける。
(ロ)正面部(3)に、対向して設けられた垂直切り込み(5)の上辺に水平折れスジ(6)と下辺に水平切り込み(7)とを設けた横長帯状からなる開閉弁(8)を等間隔に並列して複数設ける。
(ハ)基板(1)の下部に水平折れスジ(9)を設けて、正面部(3)の下側に連接突出した下辺折り返し部(10)を設ける。
以上を特徴とする窓用養生シートである。
【発明の効果】
【0005】
薄板偏平状からなる基板の両側の側辺折り返し部を正面部の背面側に垂直折れスジにて180度折り返し、正面部の下側に連接突出した下辺折り返し部を正面部の背面側に水平折れスジにて180度折り返し、正面部の周囲四方を養生テープで建物の窓または従来の養生シートを併用して窓の一部に貼付し、正面部に等間隔に並列に設けられた複数の横長帯状からなる開閉弁を上辺の水平折れスジにて折り曲げて斜めに起こすことで開閉弁が軒を形成し、各軒下に複数の開口部ができるとともに、開口部の左右端が正面部の背面側に折り返された側辺折り返し部によって塞がれ、尚且つ正面部下側の背面側に折り返された下辺折り返し部によって塗料受け部が形成されるので、上方から落ちてくる塗料は各軒で開口部への侵入を防止し、上方左右から開口部の左右端に斜めに落ちてくる塗料は背面左右の側辺折り返し部で侵入を防止し、開口部の左右端から入り込んで正面部と背面左右の側辺折り返し部との隙間を伝わって垂れて落ちる塗料は正面部下部の背面側に折り返された下辺折り返し部による塗料受け部で浸入を防止されるが、空気は開口部から自由に出入することができるので、塗装作業中であっても室内外の空気の換気ができて、室内に湿気や臭気が滞留することがなくなり、塗装期間中の不快な状況が解消されるとともに、冷房装置のない夏季の室内温度の低下が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)薄板偏平状からなる基板(1)の左右両側に垂直折れスジ(2)を設けて、左右の垂直折れスジ(2)の中央側に正面部(3)を設け、正面部(3)の左右両側に側辺折り返し部(4)を設ける。
(ロ)正面部(3)に、対向して設けられた垂直切り込み(5)の上辺に水平折れスジ(6)と下辺に水平切り込み(7)とを設けた横長帯状からなる開閉弁(8)を等間隔に並列して複数設ける。
(ハ)基板(1)の下部に水平折れスジ(9)を設けて、正面部(3)の下側に連接突出した下辺折り返し部(10)を設ける。
(ニ)薄板偏平状からなる基板(1)の両側の側辺折り返し部(4)を正面部(3)の背面側に垂直折れスジ(2)にて180度折り返す。
(ホ)正面部(3)の下側に連接突出した下辺折り返し部(10)を正面部(3)の背面側に水平折れスジ(9)にて180度折り返す。
(ヘ)従来の養生シート(11)で窓(12)を覆い、左右両側の側辺折り返し部(4)と下側の下辺折り返し部(10)とを正面部(3)の背面側に折り返した正面部(3)の大きさに合わせて覆った養生シート(11)の一部を切り取り、正面部(3)の周囲四方を養生テープ(13)で切り取った箇所に貼付する。
(ト)その際最初に、左右両側の側辺折り返し部(4)と下側の下辺折り返し部(10)とを正面部(3)の背面側に折り返した正面部(3)を、窓(12)に養生テープ(13)で周囲四方を貼付した後、窓(12)の覆われていない箇所に従来の養生シート(11)を貼付してもよい。
(チ)正面部(3)に等間隔に並列に設けられた複数の横長帯状からなる各開閉弁(8)を、上辺の水平折れスジ(6)にて折り曲げて斜めに起こす。
(リ)以上によって開閉弁(8)が軒(14)を形成し、各軒下に複数の開口部(15)ができるとともに、開口部(15)の左右端が正面部(3)の背面側に折り返された側辺折り返し部(4)によって塞がれ、尚且つ正面部(3)の下側の背面側に折り返された下辺折り返し部(10)によって塗料受け部(16)が形成されるので、上方から落ちてくる塗料は各軒(14)で開口部(15)への侵入を防止し、上方左右から開口部(15)の左右端に斜めに落ちてくる塗料は背面左右の側辺折り返し部(4)で侵入を防止し、開口部(15)の左右端から入り込んで正面部(3)と背面左右の側辺折り返し部(4)との隙間を伝わって垂れて落ちる塗料は正面部(3)下部の背面側に折り返された下辺折り返し部(10)による塗料受け部(16)で浸入を防止されるが、空気は開口部(15)から自由に出入することができるので、塗装作業中であっても室内外の空気の換気ができて、室内に湿気や臭気が滞留することがなくなり、塗装期間中の不快な状況が解消されるとともに、冷房装置のない夏季の室内温度の低下が図れる。
(ヌ)基板(1)の材料は、切断や折り返しを容易にできる、薄くて軽く安価なポリエチレンテレフタレート・ポリプロピレン・塩化ビニール等が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の基板の斜視図
【図2】同上側辺折り返し部と下辺折り返し部とを折り返した状態を示す斜視図
【図3】同上左下部の折り返し部分の拡大図
【図4】同上開閉弁を開いた使用時の状態を示す斜視図
【図5】同上中央横断面図
【図6】同上中央下部縦断面図
【図7】同上窓に貼付して開閉弁を開いた使用例を示す斜視図
【図8】同上使用例の左下部開口部の拡大図
【符号の説明】
【0008】
1 基板
2 垂直折れスジ
3 正面部
4 側辺折り返し部
5 垂直切り込み
6 水平折れスジ
7 水平切り込み
8 開閉弁
9 水平折れスジ
10 下辺折り返し部
11 従来の養生シート
12 窓
13 養生テープ
14 軒
15 開口部
16 塗料受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板偏平状からなる基板(1)の左右両側に垂直折れスジ(2)を設けて、左右の垂直折れスジ(2)の中央側に正面部(3)を設け、正面部(3)の左右両側に側辺折り返し部(4)を設け、当該正面部(3)に、対向して設けられた垂直切り込み(5)の上辺に水平折れスジ(6)と下辺に水平切り込み(7)とを設けた横長帯状からなる開閉弁(8)を等間隔に並列して複数設け、基板(1)の下部に水平折れスジ(9)を設けて、正面部(3)の下側に連接突出した下辺折り返し部(10)を設けたことを特徴とする窓用養生シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−80343(P2011−80343A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248235(P2009−248235)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(501255538)