説明

立体現出カード及びその製造方法

【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的な立体現出カード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】薄片1を展開した際、この薄片1の上面に該薄片1を切り抜いて形成した立体2が起き上がることで現出する立体現出カードであって、前記立体2は前記薄片1と一部が連設された状態で切り抜いて形成され、更に、前記立体2は展開した前記薄片1を閉じた際、前記立体2を切り抜くことで前記薄片1に形成される切り抜き部4に収納されるものであり、更に、前記立体2の外縁2aと前記切り抜き部4の内縁4aとの間には隙間Sが設けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開した際に立体が現出する立体現出カード及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、特開2000−56684号により、薄片を展開した際、彫刻,建築物,動物若しくは空間図形のような立体物、または図柄若しくはメッセージなどの立体が現出する立体現出カード(以下、立体現出カードK)を提案している。
【0003】
この立体現出カードKは、従前から提案されていた立体現出カードと異なり、薄片を展開した際に現出する立体を該薄片から切り抜かれた構造とすることにより、薄片を閉じた際にかさ張ったり立体部分のみが厚くなったりせず、しかも、製造時にゴミの発生を可及的に低減することができるなど極めて商品価値の高いものである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−56684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この立体現出カードKには以下の問題点がある。
【0006】
即ち、立体現出カードKは、前述したように薄片を閉じた際にかさ張ったり立体部分のみが厚くなったりしない構造とすべく、薄片を開いた際に現出する立体を該薄片から切り抜いた構造(閉じた際に立体が薄片に形成された切り抜き部に収納される構造)としているが、この切り抜き部の内縁と該切り抜き部に収納される立体の外縁との間にある程度の隙間が無いと、薄片を展開した際、この切り抜き部の内縁と立体の外縁とが当接したり、係止したりし、立体が良好に起き上がらない場合がある。また、この切り抜き部の内縁と立体の外縁とが係止した状態において、更に薄片を強引に展開することで立体が破損してしまう場合もある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑み、更なる研究・開発を進めた結果、従来にない作用効果を発揮する画期的な立体現出カード及びその製造方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
薄片1を展開した際、この薄片1の上面に該薄片1を切り抜いて形成した立体2が起き上がることで現出する立体現出カードであって、前記立体2は前記薄片1と一部が連設された状態で切り抜いて形成され、更に、前記立体2は展開した前記薄片1を閉じた際、前記立体2を切り抜くことで前記薄片1に形成される切り抜き部4に収納されるものであり、更に、前記立体2の外縁2aと前記切り抜き部4の内縁4aとの間には隙間Sが設けられていることを特徴とする立体現出カードに係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の立体現出カードにおいて、前記隙間Sは金型により前記立体2の外縁2a若しくは前記切り抜き部4の内縁4aが切除されて設けられたものであることを特徴とする立体現出カードに係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の立体現出カードにおいて、前記隙間Sは前記薄片1から前記立体2をレーザー光3の照射により切り抜く際、前記レーザー光3の巾を調整することで設けられたものであることを特徴とする立体現出カードに係るものである。
【0012】
また、請求項3記載の立体現出カードにおいて、前記薄片1から前記立体2を切り抜く際の前記レーザー光3の巾は0,25mm〜0,5mmに設定されていることを特徴とする立体現出カードに係るものである。
【0013】
また、薄片1を展開した際、この薄片1の上面に該薄片1を切り抜いて形成した立体2が起き上がることで現出する立体現出カードの製造方法であって、前記立体2を前記薄片1の一部が連設した状態でレーザー光3の照射により切り抜いて形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体2は展開した前記薄片1を閉じた際、前記立体2を切り抜くことで前記薄片1に形成される切り抜き部4に収納されるものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0015】
また、請求項5,6いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片1から前記立体2を切り抜く際の前記レーザー光3の巾を0,25mm〜0,5mmに設定したことを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0016】
また、請求項5〜7いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片1の所定位置に展開した前記薄片1を閉じる際の折り曲げの基点となる凹溝5aを前記レーザー光3の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0017】
また、請求項5〜8いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片1と前記立体2との連設部6に折り曲げの基点となる凹溝5bを前記レーザー光3の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0018】
また、請求項5〜9いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体2の所定位置に前記立体2の折り曲げの基点となる凹溝5cを前記レーザー光3により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0019】
また、請求項5〜10いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体2には該立体2と一部が連設した状態で前記レーザー光3の照射により切り抜いた切り抜き体7が形成され、前記立体2と前記切り抜き体7との連設部8に折り曲げ基点となる凹溝5dを前記レーザー光3の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0020】
また、請求項5〜11いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片1の下面に該薄片1の前記切り抜き部4を隠蔽する覆片10を重合せしめることを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0021】
また、請求項12記載の立体現出カードにおいて、前記覆片10は前記薄片1を折り曲げて形成されるものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0022】
また、請求項5〜13いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片1は紙やプラスチックなどの薄くて曲げが可能な素材を使用したものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【0023】
また、請求項5〜14いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体2は彫刻、建築物、動物若しくは空間図形などの視覚障害者が手で触って鑑賞できる鑑賞物であることを特徴とする立体現出カードの製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上述のように構成したから、薄片を展開した際、立体が良好に起き上がることになるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な立体現出カードとなる。
【0025】
また、請求項5記載の発明においては、極めて量産性及びコスト面に秀れ、しかも、極めて良好なデザインに形成することができるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な立体現出カードの製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて簡単に説明する。
【0027】
本発明は、立体2は薄片1と一部が連設された状態で切り抜いて形成されており、立体2は展開した薄片1を閉じた際、立体2を切り抜くことで薄片1に形成される切り抜き部4に収納される。
【0028】
また、本発明は、立体2の外縁2aと切り抜き部4の内縁4aとの間には隙間Sが設けられている。
【0029】
従って、薄片1を展開した際、この切り抜き部4の内縁4aと立体2の外縁2aとは前記隙間Sの存在により係止することなく立体2は良好に起き上がることになる。
【0030】
また、請求項5記載の発明は、立体2を、薄片1の一部が連設した状態でレーザー光3の照射により切り抜いて形成する。
【0031】
この構成は、立体現出カードの製造方法として極めて画期的である。
【0032】
即ち、所定巾を有するレーザー光3の照射により切断した薄片1には所定巾の切断線が形成される。従って、レーザー光3の照射により薄片1から立体2を切り抜いて形成する請求項5記載の発明は、このレーザー光3の照射により、薄片1に形成された切り抜き部4の内縁と該切り抜き部4に収納される立体2の外縁との間に所定巾の隙間Sが形成される。
【0033】
この隙間Sにより、薄片1を展開した際、切り抜き部4の内縁と立体2の外縁とが係止することなく、切り抜き部4から立体2が良好に起き上がることが可能となる。
【0034】
従って、薄片1に形成された切り抜き部4から良好に起き上がる立体2をレーザー光3の照射により切り抜くだけで簡易且つ迅速に形成できて極めて量産性に秀れ、しかも、コスト面にも秀れることになる。
【0035】
また、レーザー光3の巾は任意に設定可能(微調整が可能)であり、前述した切り抜き部4の内縁と立体2の外縁との間の隙間Sを、薄片1に形成された切り抜き部4から立体2が係止したりせずして起き上がる巾であって、且つ、切り抜き部4が立体2に比して極端に大きくならず、若しくは立体2が切り抜き部4に比して極端に小さくならない巾に設定でき、よって、デザイン性が損なわれないなど、最適な隙間Sが簡易且つ確実に得られることになる。
【0036】
また、請求項5記載の発明は、細かいデザインを良好に形成することができ、デザインの自由度が飛躍的に向上することになる。
【実施例】
【0037】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0038】
本実施例は、図1,2に図示したようにカード状の薄片1を180°開いた際、前記薄片1の上面に該薄片1を切り抜いて形成した竜(辰)を模した立体2が起き上がることで現出する立体現出カードKであり、この立体2は薄片1の一部を連設した状態(一部を残した状態)で切り抜き起立させたもので、且つ、360°どの方向からでも看取することができるものである。
【0039】
この薄片1の中央には、展開した薄片1を閉じる際の折り曲げの基点となる凹溝5a(図5に図示したように薄片1を貫通しない所定深さの溝)が形成されている。従って、この凹溝5aを基点(折り曲げ線)として、薄片1は良好に180°展開することができる。
【0040】
尚、薄片1の展開角度は180°に限らず、90°でも360°でも適宜設計変更し得るものである。この場合、薄片1の上面に立ち上がる立体2の構造(デザイン)もこの展開角度に対応したものとする。
【0041】
また、薄片1の下面には立体2が切り抜かれた薄片1の切り抜き部4を隠蔽する該薄片1と同じ大きさの覆片10が貼着されている。
【0042】
この覆片10は、薄片1の左右部位を折り曲げて形成されたものであり、薄片1の左右所定位置に切込部9を形成し、この切込部9を利用して下方へ折り曲げ、薄片1の下面に該覆片10は貼着される。
【0043】
この切込部9は、覆片10の一部が薄片1に連設し、その他の部分は貫通した状態(破線の状態)となるように形成されている。従って、この切込部9を折り曲げの基点(折り曲げ線)として、左右の覆片10は良好に下方へ折り曲げられ、薄片1の下面に重合されることになる。
【0044】
前述した薄片1及び覆片10は薄く且つ曲げが可能な素材(曲げに強い素材)で構成されていており、具体的には紙やプラスチックが使用される。
【0045】
また、薄片1と立体2との連設部6には、該連設部6を横断する折り曲げの基点となる凹溝5b(図5に図示したように薄片1を貫通しない所定深さの溝)が形成されている。
従って、この連設部6に形成した凹溝5bを折り曲げの基点(折り曲げ線)として、連設部6を折り曲げることで薄片1に対する立体2の起き上がりが良好に行われることになる。
【0046】
また、立体2の所定位置には、立体2の折り曲げの基点となる凹溝5c(図5に図示したように立体2を貫通しない所定深さの溝)が形成されている。従って、この立体2に形成した凹溝5cを折り曲げの基点(折り曲げ線)として、立体2を折り曲げたり(デザインの為)、立体2に設けられる糊代部11を折り曲げたりすることができる。
【0047】
また、立体2には、該立体2と一部が連設した状態のデザインとしての切り抜き体7が切り抜き形成され、立体2と切り抜き体7との連設部8には、該連設部8を横断する折り曲げ基点となる凹溝5d(図5に図示したように立体2を貫通しない所定深さの溝)が形成されている。従って、この連設部8に形成された凹溝5を折り曲げの基点(折り曲げ線)として、連設部8を折り曲げることで立体2に対する切り抜き体7の起き上がりが良好に行われることになる。
【0048】
尚、各凹溝5a,5b,5c,5dは、貫通しない所定巾の切り込みによって形成する他、所定巾の押圧により形成する所定巾の凹部でも良い。
【0049】
以下、本実施例に係る立体現出カードKの製造方法(以下、第一実施例)について詳述する。
【0050】
先ず、薄片1に立体2の設計図として展開図を描き、続いて、この設計図に基づいて金型により、立体2の切り抜き、切込部9の形成及び各凹溝5a,5b,5c,5dの形成を行う。
【0051】
具体的には、この立体2の切り抜きを金型で行う場合、前述した理由から、第一の金型で薄片1から立体2を切り抜いた後、この第一の金型よりも外径寸法の大きい第二の金型を使用して、当該第一の金型により薄片1に形成された切り抜き部4の内縁4aを縁取るように切り抜いており、薄片1を閉じた際における切り抜き部4の内縁4aと該切り抜き部4に収納される立体2の外縁2aとの間に隙間Sが生じるように形成している(図9参照)。尚、逆に立体2の外縁2aを縁取るように切り抜いても良い。
【0052】
また、第一実施例は、前述した各凹溝5a,5b,5c,5dの形成にも専用の金型(第三の金型)を使用している(薄片1を貫通しない程度に金型を押し付けることで各凹溝5a,5b,5c,5dを形成する。)。
【0053】
従って、この二つの金型を用いた形成方法により切り抜き部4の内縁と該切り抜き部4に収納される立体2の外縁との間に形成される隙間Sは、薄片1を展開した際、切り抜き部4の内縁と立体2の外縁とが当接したり、係止したりすることがなく、切り抜き部4から立体2が良好に起き上がることを可能にする隙間Sとなる。
【0054】
ところが、実際、この金型を用いた第一実施例は、製造工程が多く製造に手間がかかり量産性が悪く、しかも、デザイン毎に複数の金型(少なくとも三種類の金型)が必要となるため非常にコスト高である。
【0055】
また、第一実施例は、第一の金型で切り抜いて薄片1に形成された切り抜き部4の内縁4aを、第二の金型にて僅かの巾だけ縁取った状態で切り抜くことは技術上厄介である。
【0056】
また、前述した薄片1を閉じた際における切り抜き部4の内縁4aと該切り抜き部4に収納される立体2の外縁2aとの間の隙間Sは可及的に小さいことが望ましいが(デザイン上、切り抜き部4と立体2とは可及的に大きさを等しくし、形状も可及的に近似させたいという要求が作成者にはある)、金型を用いた製造方法によりこのような要求を満たすことは金型精度上の問題から限界がある。
【0057】
そこで、本発明者は、この立体現出カードKの製造方法について更なる研究・開発を進めた結果、画期的な製造方法(以下、第二実施例)を開発した。
【0058】
即ち、立体2の切り抜き、切込部9の形成及び各凹溝5a,5b,5c,5dの形成をレーザー光3の照射により行う方法である。
【0059】
具体的には、先ず、レーザー光3を照射するレーザー照射装置(図示省略)に立体2の設計図(展開図)を入力する。尚、立体2の設計図は、薄片1を180°開いた際には立体2が形成されるように、且つ、薄片1を折り畳んで閉じた際には該立体2が切り抜き部4に収納され得るように設定する。
【0060】
続いて、この設計図に基づいてレーザー照射装置から照射されるレーザー光3により、立体2の切り抜き、切込部9の形成及び各凹溝5a,5b,5c,5dの形成を行う(図3,4,5,6参照)。
【0061】
第二実施例では、立体2の切り抜きを行うレーザー光3の巾を0,25mmとし、切込部9の形成及び各凹溝5a,5b,5c,5dの形成を行うレーザー光3の巾を0,25mmに設定している。この立体2の切り抜きを行うレーザー光3の巾は、0,25mm〜0,5mmが良く、これは、切り抜き部4の内縁4aと立体2の外縁2aとの間の隙間Sを、薄片1に形成された切り抜き部4から起き上がる立体2が当接したり、係止したりしない巾であって、且つ、切り抜き部4が立体2に比して極端に大きくならずデザイン性を損なわないことを考慮した数値であり、第二実施例では、0,25mmに設定している(図7参照)。
【0062】
本発明者は、この立体2の切り抜きを行うレーザー光3の巾として、0,25mmよりも狭い巾のレーザー光3を照射して切り抜いた場合、切り抜き部4の内縁4aと立体2の外縁2aとが当接したり、係止したりする割合が比較的多くなり、また、0,5mmよりも広い巾のレーザー光3を照射して切り抜いた場合、立体2と切り抜き部4とのデザイン性が低下してしまうことを確認している。
【0063】
尚、第二実施例では、レーザー照射装置から所定巾のレーザー光3を照射することで前述した切り抜き作業や凹溝を形成する作業を行う構成であるが、例えば巾広のレーザー光3を照射して型(マスク)を通過させることでレーザー光3を所定巾(型に形成したスリット巾)とすることで、前述した切り抜き作業や凹溝の形成を行うようにしても良く、この場合より一層の量産性の向上が望める。
【0064】
続いて、レーザー光3の照射により切り抜かれた立体原型2’を、各折り曲げ部位を折り曲げたり、糊代部11を糊付けたりして立体2を組み立てる。尚、糊代部を設けると該糊代部分が厚くなるため、例えば和紙などの薄い素材で形成された継合部材を糊代部11の代わりとして使用するようにしても良い。
【0065】
続いて、薄片1の下面に覆片10を貼着し、凹溝5aで折り畳んで名刺やグリーティングカードなどの立体現出カードKとする。
【0066】
第一実施例及び第二実施例による立体現出カードKは、クリスマスカードや年賀状や招待状のようなメッセージカードとしての使用(尚、本実施例の立体現出カードKを折り畳んで葉書形状とした場合、薄片1の内面側に再剥離可能な手段(両面テープやノリなど)を設けて立体現出カードKを形成しても、該立体現出カードKは所定部分に凹凸が出ないため、該薄片1にそのまま切手を貼って郵送することができる。)、立体2を彫刻,建築物,動物若しくは空間図形等の鑑賞物とし、視覚障害者が手で触って鑑賞できる図鑑,教科書若しくは名刺など、従来と同じような立体本としての使用などが考えられる。従って、請求項でいう立体現出カードKは、このようなグリーティングカード,名刺,葉書若しくは本等を含むものである。
【0067】
第二実施例は上述のようにしたから、前述した第一実施例に比し、薄片1に形成された切り抜き部4から良好に起き上がる立体2をレーザー光3で切り抜くだけで簡易且つ迅速に形成できて極めて量産性に秀れ、しかも、製造する手間が省かれ高価な金型も不要となるからコスト面にも秀れることになる。
【0068】
また、第二実施例によれば、レーザー光3の巾は任意に設定可能(微調整が可能)であり、前述した切り抜き部4の内縁4aと立体2の外縁2aとの間の隙間Sを、薄片1に形成された切り抜き部4から起き上がる立体2が当接したり係止したりしない巾であって、且つ、切り抜き部4が立体2に比して極端に大きくならずデザイン性を損なわない巾に簡易に設定できるなど、第一実施例では厄介であった最適な隙間を簡易且つ確実に作成することができることになる。
【0069】
また、第二実施例によれば、前述した金型では不可能とされてきた細かいデザインも良好に形成することができ、デザインの自由度が飛躍的に向上することになる。
【0070】
また、第一実施例及び第二実施例によれば、薄片1を折り畳むと該立体2は切り抜き部4に位置(収納)することになり、折り畳まれた薄片1がかさ張ったり立体2部分のみが厚くて表面が凹凸したりしない実用性に秀れた立体現出カードKが得られる。
【0071】
また、第一実施例及び第二実施例によれば、立体2を切り抜いた薄片1はそのまま立体現出カードKの一部となるから、製造時にゴミの発生を可及的に防止することができる実用性に秀れた立体現出カードKが得られる。
【0072】
また、第一実施例及び第二実施例によれば、薄片1の裏面に覆片10を設けたから、折り畳んだ際には通常のカード類と全く同じとなり、薄片1の切り抜き部4を全く気にせずに取り扱うことができる実用性に秀れた立体現出カードKが得られる。
【0073】
また、第一実施例及び第二実施例によれば、立体2部分が厚くならないから、立体現出カードKを重ねて製本したりしても立体2の納まりが良好であり、該本の頁数を多くすることが可能で、図鑑のようにした際に多くの情報(立体2)を詰め込むことができるより一層実用性に秀れた立体現出カードKが得られる。
【0074】
また、第一実施例及び第二実施例によれば、立体2は360°どの方向からでも看取することができる立体2であるから、それだけ商品価値が高まるより一層実用性,商品性に秀れた立体現出カードKが得られる。
【0075】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施例に係る立体現出カードを示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る立体現出カードの動作説明図である。
【図3】本実施例に係る立体現出カードの製造方法説明図である。
【図4】本実施例に係る立体現出カードの製造方法説明図である。
【図5】本実施例に係る立体現出カードの製造方法説明図である。
【図6】本実施例に係る立体現出カードの製造方法説明図である。
【図7】本実施例に係る立体現出カードの要部を説明する拡大図である。
【図8】本実施例に係る立体現出カードの製造方法説明図である。
【図9】本実施例に係る立体現出カードの要部を説明する拡大図である。
【符号の説明】
【0077】
S 隙間
1 薄片
2 立体
2a 外縁
3 レーザー光
4 切り抜き部
4a 内縁
5a 凹溝
5b 凹溝
5c 凹溝
5d 凹溝
6 連設部
7 切り抜き体
8 連設部
10 覆片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片を展開した際、この薄片の上面に該薄片を切り抜いて形成した立体が起き上がることで現出する立体現出カードであって、前記立体は前記薄片と一部が連設された状態で切り抜いて形成され、更に、前記立体は展開した前記薄片を閉じた際、前記立体を切り抜くことで前記薄片に形成される切り抜き部に収納されるものであり、更に、前記立体の外縁と前記切り抜き部の内縁との間には隙間が設けられていることを特徴とする立体現出カード。
【請求項2】
請求項1記載の立体現出カードにおいて、前記隙間は金型により前記立体の外縁若しくは前記切り抜き部の内縁が切除されて設けられたものであることを特徴とする立体現出カード。
【請求項3】
請求項1記載の立体現出カードにおいて、前記隙間は前記薄片から前記立体をレーザー光の照射により切り抜く際、前記レーザー光の巾を調整することで設けられたものであることを特徴とする立体現出カード。
【請求項4】
請求項3記載の立体現出カードにおいて、前記薄片から前記立体を切り抜く際の前記レーザー光の巾は0,25mm〜0,5mmに設定されていることを特徴とする立体現出カード。
【請求項5】
薄片を展開した際、この薄片の上面に該薄片を切り抜いて形成した立体が起き上がることで現出する立体現出カードの製造方法であって、前記立体を前記薄片の一部が連設した状態でレーザー光の照射により切り抜いて形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体は展開した前記薄片を閉じた際、前記立体を切り抜くことで前記薄片に形成される切り抜き部に収納されるものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項7】
請求項5,6いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片から前記立体を切り抜く際の前記レーザー光の巾を0,25mm〜0,5mmに設定したことを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片の所定位置に展開した前記薄片を閉じる際の折り曲げの基点となる凹溝を前記レーザー光の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項9】
請求項5〜8いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片と前記立体との連設部に折り曲げの基点となる凹溝を前記レーザー光の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項10】
請求項5〜9いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体の所定位置に前記立体の折り曲げの基点となる凹溝を前記レーザー光により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項11】
請求項5〜10いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体には該立体と一部が連設した状態で前記レーザー光の照射により切り抜いた切り抜き体が形成され、前記立体と前記切り抜き体との連設部に折り曲げ基点となる凹溝を前記レーザー光の照射により形成することを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項12】
請求項5〜11いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片の下面に該薄片の前記切り抜き部を隠蔽する覆片を重合せしめることを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の立体現出カードにおいて、前記覆片は前記薄片を折り曲げて形成されるものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項14】
請求項5〜13いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記薄片は紙やプラスチックなどの薄くて曲げが可能な素材を使用したものであることを特徴とする立体現出カードの製造方法。
【請求項15】
請求項5〜14いずれか1項に記載の立体現出カードの製造方法において、前記立体は彫刻、建築物、動物若しくは空間図形などの視覚障害者が手で触って鑑賞できる鑑賞物であることを特徴とする立体現出カードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−192889(P2009−192889A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34237(P2008−34237)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(598078610)
【出願人】(599010901)株式会社 明間印刷所 (4)