説明

立体視訓練具および立体視訓練具を備えた本

【課題】特に平行法による目視の仕方をより容易に体得できるようにする。
【解決手段】表示シートSに、平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素Ha〜Hgが表示される。表示シートSのうち表示要素Ha〜Hgの上方または下方に、複数の指標1,2が左右方向に間隔をあけて表示される。表示シートSは、複数の指標1,2の間が透明または空間とされて、複数の指標1、2の間を通して遠方が目視可能とされている、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視訓練具および立体視訓練具を備えた本に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面に表示された表示要素が、平行法または交差法によって目視することによって、前後方向にずれて見える立体視状態を得ることが提案されている。非特許文献1には、紙面に描かれた絵柄を平行法または交差法と呼ばれる手法でもって目視すると、絵柄や絵柄に隠れた隠し絵が立体的に見える立体視状態となるものが開示されている(立体視状態で得られる画像の不思議さや美しさを楽しんでもらうためのもの)。
【0003】
特許文献1には、立体視を利用して外国語を効果的に学習できるようにものが提案されている。
特許文献2には、透明シートに立体視用の表示要素を表示することによって、特に平行法による目視状態が容易に得られるようにした立体視訓練具が提案されている。
【非特許文献1】株式会社宝島社 2003年7月12日発行 「スペシャル版 どんどん目がよくなるマジカル・アイ」
【特許文献1】特許第4047364号公報
【特許文献2】実用新案登録第3139376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
、平行法または交差法による立体視は、目線の焦点を、表示面(表示画面)から大きくずらして、極めて遠くまたは極めて近くになるようにする必要がある。この一方、日常生活では、表示面に目線の焦点を合わせるクセがあるために、平行法または交差法による目視をできない人が多く存在する。平行法または交差法による目視は、通常であれば、数分〜十数分の訓練によって体得できるが、約4割程度の人は、平行法または交差法による目視が全くできないか、またはできたとしてもほんの一瞬の時間だけというのが実情である。このため、特許文献2に記載のような立体視訓練具も提案されているが、より効果的に立体視訓練を行えるものが要請されている。すなわち、特許文献2に記載のものは、立体視を得るための複数の表示要素を見つつ(通して)遠方を見るような立体視訓練であるために、目の焦点を近くの表示要素に合わせてしまう傾向が強くなってしまうことになり、遠方に目の焦点を合わせるという観点からはさらに改良の余地がある。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、特に平行法による目視の仕方をより容易に体得できるようにした立体視訓練具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明における立体視訓練具にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
表示シートに、平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示され、
前記表示シートのうち前記表示要素の上方または下方に、複数の指標が左右方向に間隔をあけて表示され、
前記表示シートは、前記複数の指標の間が透明または空間とされて、該複数の指標の間を通して遠方が目視可能とされている、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、複数の指標の間を通して遠方を見ることによって、目の焦点を容易に遠方に合わせることができる。この場合、平行法で見たときに、指標の数が通常の目視状態で見えるときの数よりも1つ多い数となったときに、遠方に目の焦点が合って平行法による立体視が可能な状態となっているということが確認される。この遠方に目の焦点が合った状態で、そのまま目線をわずかに上方または下方にずらせば、表示要素が立体視されることになる。本発明では、表示要素がノイズとなることなく遠方に目の焦点を合わせることの容易化と、遠方に目の焦点があった状態からわずかに目線を移動させるだけで表示要素を見ることができるので、つまり遠方に目の焦点が合った状態を強く維持して表示要素を見ることができるので、表示要素を見たときの立体視状態をより容易に得ることができる。そして、一旦表示要素を立体視できるようになると、立体視するために必要な見方に慣れて、やがては、指標を利用することなく、表示要素を見ただけで容易に立体視状態を得ることが可能となる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項6に記載のとおりである。
前記指標が左右一対の2個とされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、指標の数を極力少なくしつつ、しかも指標そのものに気をとられることを極力排除して、遠方に目の焦点を合わせることに集中させることができる。
【0009】
前記表示シートは、前記左右一対の指標の左右部分も透明または空間とされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、指標の間のみならず、指標の左右側方も透明または空間とされているので、遠方に目の焦点を合わせさせる上でより好ましいものとなる。
【0010】
前記指標が柱状とされている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、指標そのものを極力単純化させて、指標に気を取られることの排除と、指標が上下方向に伸びることとなって指標の間の空間を強く認識させて、遠方に目の焦点を合わせさせる上で好ましいものとなる。
【0011】
前記表示シートが全体的に透明なシートによって形成されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、指標の間を通して遠方に目の焦点があった状態で、表示要素に目線をわずかに移動させたときに、表示要素の周辺部分を通して遠方が見えることから、遠方に目の焦点を合わせて状態をより一層確実に維持させる上で好ましいものとなる。
【0012】
前記表示シートがプラスチック製とされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、表示シートを耐久性に優れたものとして、繰り返し立体視訓練を行なう上で好ましいものとなる。
【0013】
前記目的を達成するため、本発明における立体視訓練具を備えた本にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項7に記載のように、
各頁に平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示されてなる本に使用される立体視訓練具であって、
本に挟み込まれるかまたは綴じ込まれた訓練用シートと、
前記訓練用シートから上方または下方へ突出するように設けられ、左右方向に間隔をあけて配置され複数の指標と、
を備え、
前記訓練用シートを本から離脱させた状態において、前記複数の指標の間に形成されている空間を通して遠方が目視可能とされている、
ようにしてある。
【0014】
上記解決手法によれば、本から離脱させた訓練用シートを、立体視用の表示要素が表示されている頁の裏側に位置させて、指標が本の上方または下方から突出するようにして使用することによって、実質的に請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。特に、立体視によって楽しんだり学習する等のための本に立体視訓練具を組み込むことにより、立体視用の本を購入したにもかかわらず、立体視できないために本を購入した意味合いが無くなってしまうような事態を防止する上でも好ましいものとなる。勿論、立体視状態を得るための表示要素そのものは、訓練用シート以外の頁に表示されているものをそのまま利用できるので、訓練用シートに立体視用の表示要素を表示しておく必要はないが、訓練用シートにも立体視用の表示要素を表示しておくことにより、訓練用シート単体でもって立体視の訓練を行うことも可能となる。
【0015】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項8に記載のとおりである。すなわち、
前記訓練用シートが、本の各頁と同一の大きさに設定されると共に、本に綴じ込まれており、
前記訓練用シートが本に綴じ込まれた状態では、前記複数の指標は、該訓練用シートの一部に描かれた形態とされて、該複数の指標の間が切り抜かれていない状態とされ、
本には、使用に際しての案内文として、前記訓練用シートを本から切り離して使用すると共に前記複数の指標の間を切り抜いて使用する旨の表示がされている、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、訓練用シートを、本の他の頁と同様の頁として扱えるので、容易に製本しつつ、請求項7に対応した効果を得ることができる。
【0016】
前記目的を達成するため、本発明における立体視訓練具を備えた本にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項9に記載のように、
各頁に平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示されてなる本に使用される立体視訓練具であって、
本の特定の頁に、複数の指標が左右方向に間隔をあけてかつ本の上方または下方に向けて突出するように形成され、
前記複数の指標は、その基部から折り曲げることによって本の頁間に挟み込まれた収納状態と、本の上方または下方から突出する使用状態と、を選択的にとり得るようにされている、
ようにしてある。
【0017】
上記解決手法によれば、立体視訓練のときは指標を使用状態とすることによって、請求項7に対応した効果を得ることができる。また、立体視訓練をしないときは指標を収納状態として、本棚等に本を収納するときに指標が邪魔になってしまうこともない。
【0018】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項10に記載のとおりである。すなわち、
前記特定の頁が、本の裏表紙を含むその近くの頁、または表表紙を含むその近くの頁の少なくとも一方の頁とされている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、立体視を行うために本を開いたときに、指標を使用状態とすることによって、開かれた頁の背面から指標が突出した状態を得ることが可能となって、立体視用の表示要素が表示された各頁それぞれについて立体視訓練を行ないつつ、各頁に表示された立体視用の表示要素を立体視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明による立体視訓練具を示す図1において、Sは表示シートであり、表示シートSは、プラスチック製の透明シートとされている。そして、表示シートSは、可撓性を有するかまたはハードボードタイプとされて、耐久性に優れたものとされている。
【0020】
表示シートSの上縁部Saからは、左右一対の指標1,2が上方へ伸びるように突出形成されている。指標1,2は、表示シートSと一体成形されている(指標1,2もプラスチック製の透明シート)。そして、指標1,2は、全体的に柱状として上下方向に細長く伸びるように形成されている。指標1,2の間は、表示シートSが存在しない空間K1とされている。同様に、左側の指標1の左方側も表示シートSが存在しない空間K2とされ、右側の指標2の右方側にも表示シートSが存在しない空間K3とされている。なお、指標1と2との間隔(例えば左端位置同士の間隔)は、人間の左右の目の間隔程度かやや短い間隔に設定するのが好ましく、例えば4〜7cmの範囲で設定することができる。
【0021】
表示シートSには、指標1,2の下方において、立体視用の複数の表示要素Ha〜Hgが表示されている。この表示要素は、上下3段に分割表示されて、もっとも上方部分には、「intellectual」という英語(原語)からなる表示要素Haと、その日本語訳である「知的な」という訳語からなる表示要素Hbと、英語の表示要素Haの発音記号となる表示要素Hcとが表示され、しかも「知的な」を表示する画像(女性の顔部分)となる表示要素Hdとが表示されている。複数の表示要素Haは互いに左右方向に間隔をあけて配置され、同様に、複数の表示Hbは互いに左右方向に間隔をあけて配置され、複数の表示Hcは互いに左右方向に間隔をあけて配置され、複数の表示Hdは互いに左右方向に間隔をあけて配置されている。
【0022】
複数の画像Hdの左右端位置同士での左右間隔は互いに等しく設定されて、後述する平行法(または交差法)によって立体視したときでも、互いに同一平面上に見えるように設定されている。これに対して、複数の表示Ha〜Hcは、その左右端位置同士での左右間隔が適宜変更されて、立体視したときに、表示要素Hdに対して前後にずれて見えるように、かつ表示要素Ha〜Hcの間でも前後方向にずれて見えるように設定されている。
【0023】
表示シートSに表示された立体視用の複数の表示要素のうち、中段位置には、表示要素Heとしての建物の画像が複数左右方向に間隔をあけて表示されている。表示要素Heの左右端位置での左右間隔は、左から2番目と3番目との左右間隔がもっとも大きく設定されている。通常視では、表示要素Heが4つ表示されているが、平行法で立体視したときには表示要素Heが5つ見えて、その中央に位置する表示要素Heが他の表示要素Heに対して後方へずれて見えるように設定されている。
【0024】
表示シートSに表示されたもっとも下段に位置する表示要素HfとHgは、それぞれ4角形とされて、表示要素Hfが大面積の四角形を示し、表示要素HgがHfの中に描かれた小さい四角形とされている。そして、各表示要素HFとHgとのとなり合う4隅同士が、連結線αによって結ばれた表示とされている。複数の表示要素Hfの左右端位置に対して、複数の表示要素Hgの左右端位置の左右間隔が適宜相違するように設定されている。そして、左方から右方へ向かうほど、上記左右間隔が徐々に小さくなるように設定されている。これにより、通常視ではそれぞれ4つある表示要素HfとHgとは、平行法で立体視したときには5つ見えて、中央に位置する3つの表示要素Hgが他の表示要素Hfや左右端に位置する表示要素Hgよりも前方にずれて見える設定とされている。
【0025】
次に、表示シートSの使用方法について説明するが、表示シートSは、単体でもって立体視訓練具として使用されて、立体視を行うことができないあるいは立体視を長い時間維持できない者が使用することになる。
【0026】
まず、表示シートSの左右端部を両手で把持して、表示シートSが目の位置から20〜30cm離れた状態とする。この状態で、左右一対の指標1と2との間の空間K1を通して遠方を見る。遠方を見ている状態を維持すると、左右一対の指標が合計3つ見える状態となる。左右一対の指標1,2が合計3つ見える状態が立体視によって見ている状態となる(立体視された状態では、通常視で見える数よりも1つ多い数だけ見える)。
【0027】
指標1,2の間は空間K1となっていて遠方が見やすいことと、各指標1,2の左右も空間K2あるいはK3とされているので、遠方を見ること(遠方に目の焦点を合わせること)が容易であり、しかも指標1,2そのものも単純な柱状なので、指標1,2にさほど気をとられることなく、遠方を見ることに注意を注ぐことができる。
【0028】
指標1,2が合計で3つ見えている立体視の状態(目遠方に目の焦点が合った状態)のまま、わずかに目線を下方にずらして、表示要素Ha〜Hgを見る。これにより、通常視では3つ見えていた表示要素Ha〜Hcはそれぞれ4つづつ見えることになり、また通常視では4つ見える表示要素Hdが合計で5つ見えることになる。また、表示要素の左右端位置同士(右端位置同士等、同一部分同士)の左右間隔が大きいほど相対的に後方にずれて見え、左右間隔が小さいほど相対的に前方にずれて見えることになる。この立体視状態では、表示要素はHa〜Hcが、表示要素Hdに対して前後方向にずれて見え、しかも表示要素Ha〜Hcの間でも前後にずれて見える状態となるように設定されている。
【0029】
同様に、表示要素Heは、通常視では4つ見えるが、立体視では合計で5つ見えることになり、5つ見える表示要素Heのうり中央の表示要素Heのみが他の表示要素Heに対して後方にずれて見えることになる。
【0030】
表示要素Hf、Hgに関しては、立体視ではそれぞれ合計5つづつ見えるが、中央の3つの表示要素Hgが、他の表示要素Hfや左右端に位置する表示要素Hgに対して、前方にずれて見える。なお、交差法で目視したときは、平行法で目視したときとは逆に、前方にずれて見える表示要素が後方にずれて見えることになる。
【0031】
このように、指標1,2の間の空間K1を通して遠方に目の焦点を合わせた状態を容易に得られることになる(この場合、表示要素Ha〜Hgには注意がいかないので、遠方に目の焦点を合わせることに集中し易いものとなる)。そして、遠方に目の焦点が合った状態で、目線をわずかに下方に移動するだけで、立体視用の表示要素Ha〜Hgを見ることになるので、表示要素Ha〜Hgを見たときに遠方に目の焦点が合った状態が極めて維持されて易いものとなり、表示要素Ha〜Hgを平行法でもって立体視することが容易に得られることになる。ちなみに、遠方に目の焦点が合った状態が得られても、目線を大きく移動したり、一旦他の方向へ注意が向いたりすると、折角得られた遠方に目の焦点が合った状態がくずれ易いものとなる(通常視状態へ戻り易くなる)。
【0032】
表示シートSが透明なために、目線を空間K1から表示要素Ha〜Hgへとわずかに移動したときでも、表示シートSの透明部分(表示要素Ha〜Hgが表示されていない部分)を通して遠方を見ることが可能であって、立体視状態を維持する上でより一層好ましいものとなる。このような意味合いで、表示要素Ha〜Hgの示す面積割合(非透明部分の面積割合)は小さいほど好ましく、例えば10%以下とするのが好ましい(より好ましくは5%以下)。
【0033】
図2は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符合を付してその重複した説明は省略する。本実施形態では、表示シートSを、使用する本の頁の大きさに合わせて大きさとしてある。つまり、図2に示すシートXは、表示シートSよりも大きく設定されて、例えば本がA4サイズであれば、シートXもA4サイズとされ、本がB5サイズであれば、シートXもB5サイズとされて、シートXが本からはみ出さないようにされている(本の一部の頁を構成するような態様)。シートXが用いられる本は、その各頁(多くの頁)が、立体視用の表示面とされている(例えば非特許文献1や特許文献1に開示されているような本で、平行法または交差法で目視したときに一部の表示要素が他の表示要素に対して前後方向にずれて見えるような立体視用の表示態様)。
【0034】
シートXには、表示シートSに相当する部分が、空間K1〜K3を除いて全て有している。そして、シートXは、指標1,2とは反対側の縁部が、他の頁と同様に本に綴じ込まれた状態(一体の状態)でもって提供される。この綴じ込まれた状態において、シートXを本から全体的に切り取るために切り取り線βが表示される(切取線βをミシン目のような弱化線としておいてもよい)。また、シートXには、図1に示す空間K1〜K3を得るための切り取り線γが合わせて表示されている。使用に際しての注意書きつまり案内文として、「切取線に沿って切り抜いて使用して下さい」というような表示が行われ、この表示は、実施形態ではシートXに行うようにしてあるが、本の他の頁部分(特に最初の案内頁部分)に行うようにしてもよい。
【0035】
切取線βに沿って切り取ることにより、シートXを本から離脱させ、その後、切取線γに沿って切り取ることにより、図1に示すように、空間K1〜K3を有する表示シートSが得られることになる。
【0036】
図3〜図5は、本発明の第3の実施形態を示すものである。本実施形態では、訓練用シートYに、左右一対の指標1,2のみを設けたものとなっている(図1の態様から、表示要素Ha〜Hgの表示を無くしたものに相当)。本実施形態では、前述した第2の実施形態で説明した各頁に立体視用の表示要素が表示されている本に使用されるもので、使用に際しては、図4,図5に示すように、まず本Bを開いて立体視する頁Baを露出させ、この立体視する頁Baのすぐ裏側に訓練用シートYを差し込めばよい。左右一対の指標1,2の空間K1を通して遠方に目の焦点が合った状態を得た後、頁Baに目線をわずかに移動させれば、頁Baを立体視でもって見ることができる。
【0037】
図6,図7は本発明の第4の実施形態を示すものである。本実施形態では、前記第3の実施形態で説明したような各頁に立体視用の表示要素が表示されている本B2(Bに相当)に対して、特定の頁Bbに、左右一対の指標1,2を設けたものである。なお、特定の頁Bbには、図1に示すような立体視用の表示要素Ha〜Hgに相当するような表示要素を表示してもよいが、表示しなくてもよい。特定の頁Bbとしては、立体視するための頁よりも後の頁を選択するのが好ましい(裏表紙を含むその近くの頁)。本実施形態では、指標1,2が、図6に示す使用状態と、図7に示す収納状態とが選択的にとり得るようになっている。すなわち、指標1,2は、その基部から折り曲げ可能とされて、図6の使用状態では、本の上縁部よりも上方へ突出した状態とされ、この状態で、立体視するべき頁を特定の頁Bb上に重なるようにすることによって、図5のような状態が得られる。また、指標1,2を図7に示す収納状態とすることによって、本から指標1,2が突出することなく、本を本棚等に収納する際に指標1,2が邪魔になることもない。なお、指標1,2が設けられる特定の頁Bbを、表表紙を含むその近くの頁としてもよく、また、表表紙を含むその近くの頁および裏表紙を含むその近くの頁の両方に設けるようにしてもよい。
【0038】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合もを含むものである。指標1,2は、左右一対(2つ)に限らず、3以上であってもよい。指標1,2の左右側方に空間K2、K3が存在しないようにしてもよい(空間K2、K3に相当する部分にシートSあるいはXが存在する)。指標1,2は、シートS、Xや本B、B2の下方に突出させるようにしてもよい。指標1,2の形状は、例えば先端に向けて凸となるような三角形状のような上下方向に伸びる突起状にする等適宜選択できるものであり、特に上下方向に細長く伸びる形状とするのが好ましい。図2の実施形態において、シートXを全体的に透明シートによって形成して、この透明シートに指標1,2や各表示要素Ha〜Hgを表示するようにしてもよく、この場合は、シートX単体でもって立体視訓練具として使用することができ、また、立体視用の本に挟み込んで提供することもできる。立体視用の表示要素は、例えば非特許文献1に記載のようなものでもよく、要は、通常視では前後方向にずれて見える立体視が得られない一方、平行法(または交差法)で見たときに前後方向にずれて見える立体視が得られるものであれば、どのような表示態様であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を示す表示シートの平面図。
【図2】本発明の第の2実施形態を示す平面図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示すもので、図1に対応した平面図。
【図4】図3に示す訓練用シートの使用方法を示す説明図。
【図5】図3に示す訓練用シートの使用方法を示す説明図。
【図6】本発明第4の実施形態を示すもので、指標が使用状態のときを示す斜視図。
【図7】本発明第4の実施形態を示すもので、指標が収納状態のときを示す斜視図。
【符号の説明】
【0040】
S:表示シート
K1:空間(中央)
K2:空間(左方)
K3:空間(右方)
Ha〜Hg:表示要素
X:シート
Y:訓練用シート
B:本
Ba:特定の頁
B2:本
Bb:特定の頁
1,2:指標


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示シートに、平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示され、
前記表示シートのうち前記表示要素の上方または下方に、複数の指標が左右方向に間隔をあけて表示され、
前記表示シートは、前記複数の指標の間が透明または空間とされて、該複数の指標の間を通して遠方が目視可能とされている、
ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項2】
請求項1において、
前記指標が左右一対の2個とされている、ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項3】
請求項2において、
前記表示シートは、前記左右一対の指標の左右部分も透明または空間とされている、ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記指標が柱状とされている、ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記表示シートが全体的に透明なシートによって形成されている、ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記表示シートがプラスチック製とされている、ことを特徴とする立体視訓練具。
【請求項7】
各頁に平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示されてなる本に使用される立体視訓練具であって、
本に挟み込まれるかまたは綴じ込まれた訓練用シートと、
前記訓練用シートから上方または下方へ突出するように設けられ、左右方向に間隔をあけて配置され複数の指標と、
を備え、
前記訓練用シートを本から離脱させた状態において、前記複数の指標の間に形成されている空間を通して遠方が目視可能とされている、
ことを特徴とする立体視訓練具を備えた本。
【請求項8】
請求項7において、
前記訓練用シートが、本の各頁と同一の大きさに設定されると共に、本に綴じ込まれており、
前記訓練用シートが本に綴じ込まれた状態では、前記複数の指標は、該訓練用シートの一部に描かれた形態とされて、該複数の指標の間が切り抜かれていない状態とされ、
本には、使用に際しての案内文として、前記訓練用シートを本から切り離して使用すると共に前記複数の指標の間を切り抜いて使用する旨の表示がされている、
ことを特徴とする立体視訓練具を備えた本。
【請求項9】
各頁に平行法で見たときに立体視状態が得られる立体視用の表示要素が表示されてなる本に使用される立体視訓練具であって、
本の特定の頁に、複数の指標が左右方向に間隔をあけてかつ本の上方または下方に向けて突出するように形成され、
前記複数の指標は、その基部から折り曲げることによって本の頁間に挟み込まれた収納状態と、本の上方または下方から突出する使用状態と、を選択的にとり得るようにされている、
ことを特徴とする立体視訓練具を備えた本。
【請求項10】
請求項9において、
前記特定の頁が、本の裏表紙を含むその近くの頁、または表表紙を含むその近くの頁の少なくとも一方の頁とされている、ことを特徴とする立体視訓練具を備えた本。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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