説明

立坑における作業用足場構造、及び作業用足場構造の構築方法、及び足場取付構造

【課題】ライナープレート製の立坑の内壁に設けた螺旋状の昇降タラップの中間に水平な作業用足場を設置する場合に、構成を単純にして、安価にかつ能率的に施工可能にする。
【解決手段】昇降タラップ6は複数の短尺タラップ11、12、13を螺旋状に設置してなる。各短尺タラップは、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなしている。短尺タラップとして、台形の側辺挟み角が互いに異なるN種類(N≧3)のものを用いる。作業用足場41、42は複数の短尺足場21、22、23を水平に連接してなる。各短尺足場は同じく平面視略台形をなし、かつ、その側辺挟み角の種類は短尺タラップの側辺挟み角の種類と同じだけある。短尺足場と短尺タラップの側辺挟み角についての種類が同じなので、螺旋状の昇降タラップと水平な作業用足場の繋がりがスムーズで、かつ足場構成部材(短尺足場)の種類が少なくかつ施工性が良好な作業用足場構造が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップを備えた立坑において、前記昇降タラップの中間に水平な作業用足場を介在させた作業用足場構造に関し、特に地すべり防止用の集水井に適用して好適な立坑における作業用足場構造、及び作業用足場構造の構築方法、及び足場取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は地すべりが起こりやすい場所で地下水を集めて川等に流すための集水井としてライナープレートを用いて構築された立坑(集水井)1の一般的な構造を示すもので、図2(イ)に示すようなライナープレート2を円周方向及び鉛直方向に連結して構築する。
図2(ロ)は、この種の集水井1の設置状況を説明するもので、地すべりが起こりやすい斜面に、例えば内径が3.5m等で地盤状況に応じた深さの集水井1が設置され、この集水井1に、集水のための複数本の集水管3が接続され、かつ、川等に流すための1本の排水管4が接続される。すべり面を破線5で示す。
【0003】
ライナープレート2を用いて構築した円形断面の集水井1では、一般に、立坑の上端縁から内壁に沿って螺旋状に底近傍まで延びる螺旋状の昇降タラップが設けられる。図1に模式的に示した昇降タラップを符号6で示す。この種の集水井1において、集水管3が例えば目詰まりなどなく正常に集水機能を果たしているか等の点検作業をする場合、昇降タラップ6から点検することができない場合は、集水管3の位置に合わせて水平な作業用足場を設ける等の対処が必要となる。
【0004】
ライナープレートで構築した立坑内に作業用足場を設ける従来構造として、例えば特許文献1のライナープレート用足場がある。
このライナープレート用足場は、同じサイズの複数の足場板を内壁に円周方向に連接して内向き鍔状をなす構造(特許文献1の図7、図8)である。
この特許文献1では、その図1〜図4に示すように、足場板1に固定したアーム2に、上下のライナープレートのフランジ部を接合しているボルトの頭又はナットが入る取付孔9を持つ載置部4を有する取付部材3を回転可能に取り付け、互いにボルト接合された上下のライナープレートのフランジ部を前記取付部材3の載置部4と足場板側のアーム2とで挟持することで、足場板をライナープレートのフランジ部に取り付ける構造であり、足場板の取り付け、取り外しを簡単にできるようにしたというものである。
なお、このライナープレート用足場は、実施例としては深礎工法において適用されており、ライナープレートからなる立坑内で、底から始めて順次高い位置で配筋をする際の配筋作業用の作業用足場として用いられており、取り付け・取り外しが繰り返される。
【0005】
また、特許文献2の「立抗用足場及び立抗用足場組立・撤去方法」は、同じくライナープレートで構築した立坑内に作業用足場を設けるものであり、例えば、概ね立坑断面全体を占める広さの作業用足場(特許文献2の図1における2つの半円形足場7と間詰めパネル9)を、立坑内部の所定の高さ位置に安全に組立設置、撤去することができるというものである。特許文献2では、作業用足場の周縁部に設けた爪部を立坑内壁側に単に引っ掛けることで作業用足場を内壁側に係合(掛着)させることでき、また、作業用足場を単にクレーンで吊り上げることで取り外すことができる構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−111092
【特許文献2】特開2008−133596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の引用文献1の作業用足場(ライナープレート用足場)は、施工後は内部にコンクリートが充填されて立坑ではなくなる深礎工法に適用した実施例で説明しているように、螺旋状の昇降タラップを備えた立坑の作業用足場には向いていない。すなわち、集水井の点検作業等のための半ば恒久的な作業用足場の場合、着脱を繰り返すことはないので、引用文献1のような着脱の容易に特殊な構造は無用なコスト高になる。また、昇降タラップとは全く別構造の作業用足場を設けることになるので、全体として繁雑なものとなり、コスト高になる。
また、引用文献2の作業用足場のような、概ね立坑断面全体を占める広さの作業用足場は、集水井の点検作業等のための半ば恒久的な作業用足場としては当然使用できない。
引用文献2の場合、集水井に適用する実施例で説明しており、したがって、作業用足場が螺旋階段(螺旋状の昇降タラップ)を備えている場合を想定しているが、やはり、昇降タラップとは全く別構造の作業用足場を設けることになるので、全体として繁雑なものとなり、コスト高になる。
【0008】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップを備えた集水井などの立坑に水平な作業用足場を設ける場合に、昇降タラップと作業用足場とに共通性ないし関連性を持たせることで、作業用足場を設けることで構造が煩雑になることを極力なくし、安価にかつ能率的に施工できる立坑における作業用足場構造、及び、作業用足場構造の構築方法、及び足場取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1の発明は、ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップを備えた立坑における前記昇降タラップの中間に水平な作業用足場を介在させた作業用足場構造であって、
前記昇降タラップは、立坑中心に向かって延びる複数のステップを有するとともに上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなす複数の短尺タラップからなり、当該複数の短尺タラップを螺旋状の配置で立坑内壁に取り付けてなるものであり、
前記複数の短尺タラップとして、前記平面視略台形の側辺挟み角が互いに異なるN種類(N≧3)のものが用いられており、
前記作業用足場は、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持ちかつ短尺タラップの前記N種類の側辺挟み角にそれぞれ等しい側辺挟み角を持つN種類の平面視略台形状の短尺足場からなり、当該N種類の短尺足場を水平方向に連接しかつ立坑内壁に取り付けてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2は、請求項1の作業用足場構造において、昇降タラップのN種類の短尺タラップのうちの1種類が、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状の短尺タラップ構造部の下端部に、いずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ四角形状の踊り場を一体に設けた踊り場付きの短尺タラップであることを特徴とする。
【0011】
請求項3は、請求項1又は2の作業用足場構造において、設置高さ位置が互いに異なる上側の第1の作業用足場及び下側の第2の作業用足場と、前記第1、第2の2つの作業用足場間を連絡する繋ぎ用昇降タラップとを有するとともに、前記第1の作業用足場を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計と第2の作業用足場を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計との総計が360°であることを特徴とする。
【0012】
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項の作業用足場構造において、立坑が、その内壁の円周方向に間隔をあけた複数箇所に垂直補強部材を垂直に取り付けている場合に、前記N種類の平面視略台形状の短尺足場のうちの1種類として、前記垂直補強部材との干渉を避けるための切欠きを有する短尺足場が用いられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5は、請求項2の作業用足場構造において、立坑が、その内壁の円周方向に間隔をあけた複数箇所に垂直補強部材を垂直に取り付けている場合に、前記踊り場付きの短尺タラップにおける踊り場部分を、前記垂直補強部材と干渉しない態様で垂直補強部材の位置に配するとともに、前記N種類の平面視略台形状の短尺足場のうちの1種類として、前記垂直補強部材との干渉を避けるための切欠きを有する短尺足場が用いられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6は、請求項1〜5のいずれか1項の作業用足場構造において、立坑が集水井であることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の既設の昇降タラップを備えた既設の立坑を対象として、請求項3の作業用足場構造を構築する作業用足場構造の構築方法であって、
前記螺旋状の既設の昇降タラップの中間の1又は複数の短尺タラップを内壁から取り外し、残された上側の既設の昇降タラップの下端に隣接する態様で、1又は複数の短尺足場からなる第1の作業用足場の一端を立坑内壁へ設置し、この第1の作業用足場の他端に、前記取り外した1又は複数の短尺タラップを利用して構成した前記繋ぎ用昇降タラップの上端が隣接する態様で、繋ぎ用昇降タラップを立坑内壁へ設置し、この繋ぎ用昇降タラップの下端に隣接する態様で、前記第2の作業用足場の一端を立坑内壁へ設置し、この第2の作業用足場の他端に、前記残された下側の既設の昇降タラップの上端が隣接することを特徴とする立坑における。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項の立坑における作業用足場構造において、作業用足場を構成する各短尺足場を立坑内壁に取り付ける足場取付構造であって、
立坑内壁に基端側を取り付けたブラケットの上面に短尺足場を固定してなり、
前記ブラケットは、基端側が立坑内壁に取付けられ先端側が立坑中心方向に延びる水平材と、上端側が前記水平材の先端側に固定され基端側が水平材の基端側の下方で立坑内壁に取付けられる斜め材とからなり、
前記水平材又は斜め材の基端側を立坑内壁に取り付ける取付部は、
水平材又は斜め材の基端側に一端が固定され立坑内壁側へ水平に延びる部分の他端に下向き突出部を有しボルト孔を有する取付部材と、
立坑内壁側へ水平に延びてその端部に上向き突出部を有しボルト孔を有する金具と、
横部と縦部とで横向きT字形断面をなし、前記横部が、上下のライナープレートのフランジを接合するボルトでフランジに固定された横向きT型部材とを備え、
前記取付部材と金具とで前記横向きT型部材の縦部を上下から挟み取付ボルトとナットで両取付部材を締め付けることで、水平材又は斜め材の基端側を立坑内壁に取り付けた構造であることを特徴とする。
【0017】
請求項9は、請求項8の足場取付構造において、ブラケットを、短尺足場の側辺挟み角の中心軸線位置に配置したことを特徴とする。
【0018】
請求項10は、請求項8の足場取付構造において、ブラケットを、短尺足場の側辺挟み角の中心軸線位置を挟む両側に配置したことを特徴とする。
【0019】
請求項11は、請求項8〜10のいずれか1項の足場取付構造において、取付部材と金具との間に、高さが前記横向きT型部材の縦部寸法より僅かに小さいパイプ状の間座を介在させ、間座内を通した取付ボルトで締め付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
立坑内壁に複数の短尺タラップを螺旋状の配置で取り付けて昇降タラップを設置する場合、立坑内壁の構造(外形的構造)からくる制約のために、平面視略台形の短尺タラップの側辺挟み角の種類を1種類で済ますことはできず、一般に、複数種類必要となるが、施工性を良好にするために、短尺タラップの種類(側辺挟み角の種類)を極力少なくすることが望ましい。
螺旋状の昇降タラップだけであれば、複数種の短尺タラップを一定のパターンの組み合わせで配置していくことで、構成部材(短尺タラップ)の種類を極力少なくすることができ、かつ施工性も良好にすることが比較的容易である。
しかし、例えば集水井に水平な作業用足場を設置する場合などでは、作業用足場の設置を必要とする箇所がケースバイケースであることが多いので、作業用足場を設置する構造が煩雑となりがちである。特に、螺旋状の昇降タラップと水平な作業用足場の繋がりがスムーズで、しかも足場構成部材の種類が極力少なくかつ施工性が良好な構造とすることは必ずしも容易でない。
しかし、本発明では、作業用足場を平面視略台形の短尺足場を連接して構成するとともに、短尺足場の側辺挟み角の種類を、上から見た昇降タラップの側辺挟み角の種類と同じにしたことで、螺旋状の昇降タラップと水平な作業用足場の繋がりがスムーズで、しかも足場構成部材(短尺足場)の種類が少なくかつ施工性が良好な作業用足場構造を得ることができる。
【0021】
本発明は、後述のように、昇降タラップのみあって作業用足場のない既設の立坑に適用する場合に特に効果が大きいが、新設の立坑にも採用することが有効である。
すなわち、例えば特許文献1のように同じサイズの複数の足場板を用いて作業用足場を設置する方式では、既設の立坑における昇降タラップの途中に作業用足場を設置する場合、既設の昇降タラップの大半をそのまま残す施工は困難である。一方、新設の立坑に設置する場合と既設の立坑に設置する場合とで別の設計をすると、設計自体が繁雑になり、施工管理も繁雑になり、種々の点で無用な作業が多くなり、作業性も低くなる。
昇降タラップのある既設の立坑に作業用足場を設置することが必要となる場合が数多くあることを考慮すると、本発明を新設の立坑に適用する場合の効果も十分大きい。
【0022】
ライナープレートを用いた立坑の場合、立坑内壁の円周方向の複数箇所に垂直補強部材を設ける場合があるが、請求項4、5のように、垂直補強部材との干渉を避ける切欠きを有する短尺足場を用いることで、そのような立坑における作業用足場設置の施工性を損なわないで済む。
【0023】
請求項3によれば、上側の第1の作業用足場より上側の昇降タラップと、下側の第2の作業用足場より下側の昇降タラップとは、第1、第2の作業用足場が存在しない場合における、立坑上端から底近傍まで連続した通常の昇降タラップの大部分(繋ぎ昇降タラップを除いた部分)を占める。
したがって、作業用足場を必要とする立坑の場合でも、少なくとも昇降タラップに関しては、昇降タラップのみを有する立坑の場合とあまり変更の少ない設計で対応することができる。したがって、施工性も良好であり、部材の調達などを含めて種々の点で好都合である。
【0024】
請求項7の作業用足場構造の構築方法によれば、螺旋状の昇降タラップのみを有する既設の立坑において、水平な作業用足場を設置する必要が生じた場合に、既設の昇降タラップのすべて利用して、作業用足場を設置することができ、昇降タラップのみを有する既設の立坑に作業用足場を設置する場合の施工を極めて簡単にし、施工費用を大幅に安くすることができる。
その場合に、既設の昇降タラップの大半はそのまま利用し一部は移設することになるが、移設する昇降タラップを極力少なくすることができるので、施工が簡単で、施工費用を大幅に安くできる。
【0025】
請求項8の足場取付構造によれば、短尺足場を水平材と斜め材とからなるブラケットで立坑内壁に取り付ける構造であり、簡単かつコンパクトな構造で立坑内壁への取り付けを実現できる。
また、ブラケットの基端部を上下のライナープレートのフランジ接合部の接合用のボルトを利用して立坑内壁に取り付ける構造であるから、ブラケットの立坑内壁への取付部を簡単かつコンパクトな構造で実現できる。
短尺足場の例えば側辺挟み角の中心線軸線位置に配置したブラケットを、上下のライナープレートのフランジ接合部の接合用のボルトを利用して取り付けようとする場合、ブラケットとライナープレートのボルト孔との立坑円周方向の位置関係が一定でなく、ずれが生じる。しかし、横向きT型部材の縦部をブラケット側の上下の取付部材で挟み込みボルト締めして取り付ける構造になっているので、ブラケット側の上下の取付部材は横向きT型部材に対して円周方向にスライド可能である。したがって短尺足場をフランジ接合用のボルトの位置の制約を受けずに任意の箇所に取り付けることができる。
【0026】
請求項11によれば、取付部材と金具との間に、高さが横向きT型部材の縦部寸法より僅かに小さいパイプ状の間座を介在させてボルト締めする構造なので、強固な取付構造が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例で対象とする立坑である集水井の一般的な構造を説明するもので、(イ)は集水井の断面図、(ロ)は模式的に示した平面図である。
【図2】(イ)は図1の集水井に用いられているライナープレートの構造を示す斜視図、(ロ)は集水井の設置状況の説明図である。
【図3A】昇降タラップを有する既設の立坑(集水井)に本発明の作業用足場構造を構築する実施例を説明するための図で、作業用足場を構築する前の既設の立坑の内壁面を展開して示した内壁面展開図である。
【図3B】図3Aの既設の立坑に作業用足場構造を構築する際に、昇降タラップの中間の一部を移設する要領を説明する図である。
【図3C】図3Aの既設の立坑に作業用足場構造を構築した本発明の一実施例の作業用足場構造を備えた立坑(集水井)を説明する図であり、立坑の内壁面を展開して示した内壁面展開図である。
【図4】図3Cで内壁面展開図を示した立坑の、図3CのP位置より上側の昇降タラップ及び作業用足場とP位置より左側の作業用足場のみを示した平面図である。
【図5】図3Cで内壁面展開図を示した立坑の、図3CのP位置より右側かつ深さP位置以下の昇降タラップ及び作業用足場のみを示した平面図である。
【図6】上記立坑における昇降タラップを構成する3種の短尺タラップのうちのA型の短尺タラップを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、(ハ)は(イ)のB−B断面図、(ニ)は(イ)のC−C断面図である。
【図7】上記立坑における昇降タラップを構成する3種の短尺タラップのうちのB型の短尺タラップを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のD−D断面図、(ハ)は(イ)のE−E断面図、(ニ)は(イ)のF−F断面図である。
【図8】上記立坑における昇降タラップを構成する3種の短尺タラップのうちのC型の短尺タラップを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のD’−D’断面図、(ハ)は(イ)のE’−E’断面図、(ニ)は(イ)のF’−F’断面図である。
【図9】上記立坑における作業用足場を構成する3種の短尺足場のうちのA’型の短尺足場を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)の背面図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
【図10】上記立坑における作業用足場を構成する3種の短尺足場のうちのB’型の短尺足場を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)の背面図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
【図11】上記立坑における作業用足場を構成する3種の短尺足場のうちのc’型の短尺足場を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)の背面図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
【図12】図4における1つのA型の短尺タラップの部分を拡大した図(但し、向きを変えており、かつ、立坑内壁への取付部は一部省略)である。
【図13】(イ)、(ロ)、(ハ)は、A型の短尺タラップを立坑内壁に取り付ける場合の短尺タラップの上部及び下部に採用する取付部のパターンをそれぞれ説明する図である。
【図14】短尺タラップを立坑内壁に取り付ける取付部の一例を示すもので、(イ)は図12のG部又はG’部についての取付部の一例の詳細図、(ロ)は(イ)のH−H断面図(図13(イ)のJ部の拡大図)、(ハ)は支柱の上端部を立坑内壁に取り付ける場合の実施例を示す図(図13(イ)のK部の拡大図)である。
【図15】短尺タラップを立坑内壁に取り付ける取付部の他の例を示すもので、(イ)は図12のG部又はG’部についての他の例の取付部(但し支柱の上端部)の詳細図、(ロ)は(イ)のH’−H’断面図(図13(ハ)のM部の拡大図)、(ハ)は支柱の下端部を立坑内壁に取り付ける場合の実施例を示す図(図13(ロ)のN部の拡大図)である。
【図16】短尺足場を立坑内壁に取り付ける構造を説明するための図で、図4の一部を抜粋した図に相当する。
【図17】短尺足場を立坑内壁に取り付ける足場取付構造の一実施例を示すもので、図16の例えばI−I断面等(ブラケット幅中心線位置断面)の断面図である。
【図18】(イ)は図17の足場取付構造におけるブラケットの水平材のみを示した平面図、(ロ)はブラケットの斜め材の下端部及びこれに固定した取付部材の平面図である。
【図19】(イ)は図17における横向きT型部材のみを示した平面図、(ロ)は(イ)の側面図である。
【図20】(イ)は図17におけるL形金具のみを示した平面図、(ロ)は(イ)の側面図である。
【図21】図16〜図20で説明した足場取付構造によれば、ブラケットの立坑内壁への取り付け位置(すなわち短尺足場の立坑内壁への取り付け位置)に自由度があることを説明する図である。
【図22】横向きT型部材の位置が、円周方向に隣接するライナープレートの互いに接合される端面プレートの位置にくる場合について説明する図である。
【図23】図16における隣接する短尺足場どうしのボルト接合部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施した立坑における作業用足場構造、及び作業用足場構造の構築方法、及び足場取付構造について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の実施例で対象とする立坑である集水井1の一般的な構造を説明するもので、(イ)は集水井(立坑)1を模式的に示した縦断面図、(ロ)は模式的に示した平面図である。
集水井1は、前述した通り、地すべりが起こりやすい場所で地下水を集めて川等に流すために設ける土木構造物であり、図2(イ)に示すような円弧状のライナープレート2を円周方向及び鉛直方向に連結して構築される。この集水井1に、図2(ロ)にも示すように、集水のための複数本の集水管3が接続され、かつ、川等に流すための1本の排水管4が接続される。すべり面5を破線で示す。
【0030】
ライナープレート2は、円弧状の波付け鋼板部2aの波付け方向の両端に鋼板を折り曲げて形成した円周フランジ2bを持ち、波付け方向と直交する方向の両端に、別部材の端面プレートを溶接固定した垂直フランジ2cを持つ。2dは上下に隣接するライナープレート2の円周フランジ2bどうしを接合するためのボルト孔を示す。
複数のライナープレート2を、垂直フランジ2c同士をボルト接合してリングを形成するとともに、上下に隣接するライナープレート2の円周フランジ2b同士をボルト接合して、円筒状の立坑(集水井)1を構築する。その施工は一般に、立坑の頂部(最初の1〜3リング分)を組み立てその周囲を裏込めしかつ固定した後、掘削、組立てを繰り返してライナープレートを下に継ぎ足していき、所望の深さの立坑1を構築する。
また、通常、高さ方向の適宜の間隔で、上下に隣接するライナープレート2間に、ライナープレート2と同様に円弧状をなすH形鋼による補強リング7を介在させる。また、この実施例では、ライナープレートに対する鉛直方向の補強材としてH形鋼の垂直補強部材8を円周方向に90°間隔をあけた4箇所に設けている。
【0031】
図3Cは本発明の一実施例の作業用足場構造を備えた立坑(集水井)1の内壁面を展開して示した内壁面展開図、図4は図3Cで内壁面展開図を示した立坑1の、P位置より上側の昇降タラップ及び作業用足場とP位置より左側の作業用足場のみを示した平面図、図5はP位置より右側かつ深さP位置以下の昇降タラップ及び作業用足場のみを示した平面図である。
この実施例は、図3Aで内壁面展開図を示した既設の立坑(集水井)1’のように、立坑内壁に立坑上端縁から底近傍まで達する螺旋状の昇降タラップ6を備えているが水平な作業用足場のない既設の立坑1’を対象として、昇降タラップの中間に水平な作業用足場を構築する場合のものである。
【0032】
図示例の昇降タラップは、実質的にA型、B型、C型の3種類の短尺タラップ11、12、13を螺旋状に設けてなる。
A型の短尺タラップ11の構造を図6に示す。図6(イ)は短尺タラップ11の正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、(ハ)は(イ)のB−B断面図、(ニ)は(イ)のC−C断面図である。
短尺タラップ11の本体11aは、壁面側の垂直支柱11b及び立坑中心側の垂直支柱11b’と、各垂直支柱11b、11b’に上端がそれぞれ固定された壁面側の傾斜支柱11c及び立坑中心側の傾斜支柱11c’と、両傾斜支柱11c、11c’間に固定された図示例では6段のステップ11dと、垂直支柱11b、11b’と傾斜支柱11c、11c’の下端近傍間を連結する下部部材11e、11e’と、両垂直支柱11b、11b’の下端間を連結する下端部材11fとを備えている。
壁面側の垂直支柱11bの上端に、当該短尺タラップ11の上端部を壁面に取り付けるための取付部材14が固定され、壁面側の垂直支柱11b及び傾斜支柱11cの下端にそれぞれ、当該短尺タラップ11の下端部を壁面に取り付けるための取付部材15、16が固定されている。各取付部材14、15、16は、取付用のボルト孔14b、15b、16bを有し、先端に下向き折曲部14a、15a、16aを有している。
また、立坑中心側の傾斜支柱11c’に手摺17が取り付けられている。
壁面側の下部部材11eは立坑中心側の下部部材11e’より長く、ステップ11d、下端部材11fは立坑中心方向をなしている。
上記の構成により短尺タラップ11の本体11aは、図6(ニ)、図4、図5に示すように、上から見ていずれも立坑中心に向かう図示例では等長の2側辺を持つ等脚台形状をなしている。
上から見て等脚台形をなすこの短尺タラップ11の2つの側辺の側辺挟み角は20.25°である。
【0033】
B型の短尺タラップ12の構造を図7に示す。図7(イ)は短尺タラップ12の正面図、(ロ)は(イ)のD−D断面図、(ハ)は(イ)のE−E断面図、(ニ)は(イ)のF−F断面図である。
この短尺タラップ12は、図6の短尺タラップ11とはサイズ等は異なるが、基本的な構造は同じである。すなわち、短尺タラップ12の本体12aが、壁面側の垂直支柱12b及び立坑中心側の垂直支柱12b’、壁面側の傾斜支柱12c及び立坑中心側の傾斜支柱12c’、ステップ12d、下部部材12e、12e’、下端部材12fなどからなり、また、上端部の取付部材14、下端部の取付部材15、16、手摺17などを備えているという基本構造は同じである。
しかし、ステップ12dの段数が少ない4段であり高さ寸法が短いこと、
上から見ていずれも立坑中心に向かう等長の2側辺を持つ等脚台形状をなすこの短尺タラップ12の側辺挟み角が13.5°であること等が異なり、それらの違いに伴って各部の寸法が異なっている。
【0034】
C型の短尺タラップ13の構造を図8に示す。図8(イ)は短尺タラップ13の正面図、(ロ)は(イ)のD’−D’断面図、(ハ)は(イ)のE’−E’断面図、(ニ)は(イ)のF’−F’断面図である。
このC型の短尺タラップ13は、B型タラップ部分(短尺タラップ構造部)20の下端に踊り場18を取り付けている構造である。
B型タラップ部分20は、図7で説明したB型の短尺タラップ12とは殆んど同じ構造であり、ステップ12dの段数が4段、上から見ていずれも立坑中心に向かう等長の2側辺を持つ等脚台形状をなすこのB型タラップ部分20の側辺挟み角が13.5°である。しかし、垂直支柱12b、12b’が下方に延長されている(下方延長部をm、m’で示す)。また、傾斜支柱12c、12c’の下端部間に下端部材12gを固定している。
踊り場18は、いずれも立坑中心に向かう等長の2側辺を持つ台形枠18aの上面にプレート18bを固定し、前記台形枠18aの側面をB型タラップ部分20側に溶接接合するとともに、台形枠18aをB型タラップ部分20の下部に設けた支持構造19で支持した構成である。なお、踊り場18の形状は、必ずしも等長の2側辺を持つ台形状である必要はないが、四角形とする。
支持構造19は、B型タラップ部分20の垂直支柱12b、12b’の下方延長部m、m’と、この下方延長部m、m’の下端部間に固定した下端部材13fと、この下方延長部m、m’の下端部から斜めに延びる斜め材19aなどを含む。また、下方延長部mの下端にも壁面への取付部材15が固定されている。台形枠18aの側面がB型タラップ部分20側の下端部材12gにボルト接合されている。
踊り場18の台形枠18aの上から見た側辺挟み角は22.5°であり、B型タラップ部分20の側辺挟み角と合わせると36°である。
図3A、図3B、 図3C、図4、図5などにおいて、C型の短尺タラップ13のB型タラップ部分20をb、踊り場18部分をcとして示す(C型=「b+c」型)。
【0035】
前記C型の踊り場付きの短尺タラップ13は、図3C、図4、図5に示すように、垂直補強部材8の位置に対応して配されており、かつ、踊り場18の部分が垂直補強部材8と干渉しない態様で設けられている。
実施例のように垂直補強部材8を有する立坑では一般に、立坑内面から突出する垂直補強部材8との干渉を避けるための離避型タラップとして、垂直補強部材8の位置に実施例のような踊り場付きの短尺タラップ13を配置する。したがって、垂直補強部材8の存在で踊り場付きの短尺タラップ13の位置が予め決まってしまう。このため、通常この踊り場から水平な作業用足場を連接するため、昇降タラップの中間に作業用足場を設置する場合、作業用足場から下側の昇降タラップについては、短尺タラップの配置に制約が生じるという問題がある。後述するように本発明ではそのような制約を生じさせない構造である。
【0036】
なお、図3A、図3Cにおける昇降タラップの最上部の短尺タラップ11は、本発明の説明を分かり易くするために立坑上端縁に達していないように図示しているが、実際には図6で説明したA型の短尺タラップ11そのものではなく、A型の短尺タラップ11の垂直支柱11b、11b’を上方に延長しその延長した垂直支柱間に複数のステップ11dを固定して垂直タラップとした構造のものを用いており、立坑上端縁から容易に降りられるようにしている。A型の短尺タラップ11に垂直タラップを設けた最上部の短尺タラップを別の型と見ると、昇降タラップとして4種類の短尺タラップを用いていることになる。
【0037】
図3Aのような既設の立坑1’、すなわち、実質的にA、B、Cの3種の短尺タラップ11、12、13を螺旋状に連接した既設の昇降タラップ6’を備えているが水平な作業用足場を持たない既設の立坑1’に、水平な作業用足場を設ける場合の施工方法を、以下に説明する。
この実施例では、立坑(集水井)1の壁面に複数の集水管3の開口部が、既設の昇降タラップ6’に対して図示のような位置関係にある場合であり、主としてこの集水管3に対する点検作業をするための水平な作業用足場を昇降タラップの中間に、昇降タラップにスムーズに繋がるように設置する場合である。
既設の昇降タラップ6’は、短尺タラップが上から順にA、A、B、C(=b+c)、A、A、B、C(=b+c)、A、Aという順に設置されている。
なお、各短尺タラップの側辺挟み角は、A=20.25°、B=b=13.5°、c=22.5°であるから、A、A、B、C(=b+c)の各側辺挟み角を合わせた側辺挟み角の合計は、20.25×2+13.5×2+22.5=90°であり、A、A、B、C(=b+c)の組み合わせを4つ設置すると360°(1周)となり、螺旋の1周ごとに同じパターンとなる。
その既設の昇降タラップ6’のうちの、図示例では水平に並んだ10本の集水管3の高さ位置の近傍の3つの短尺タラップA、A、B(上側のCと下側のCとの間の3つの短尺タラップ)を、立坑内壁から取り外す。取り外した3つの短尺タラップを図3Bにおいて横にずらして示す(取り外す3つの短尺タラップを説明するだけであり、その位置に取り付けてはいない)。
そして、取り外したなかの上側のAを矢印のように、元の位置から円周方向に「A+A+B+C」に相当する幅Sだけ図3Bで右方に移設(2点鎖線で示す)し、この移設したAの下に取り外したBを繋ぐ。このAとBとの2つの短尺タラップが繋ぎ用昇降タラップ6Bとなる。
また、取り外した上から2番目のAを矢印のように斜めに下げて(2点鎖線で示す)、下側のCの上に繋ぐ。
【0038】
移設した繋ぎ用昇降タラップ6Bの上端とその上側の昇降タラップ6Aの下端との間に設置する第1の作業用足場41、及び、繋ぎ用昇降タラップ6Bの下端とその下側の昇降タラップ6Cの上端との間に設置する第2の作業用足場42にそれぞれ用いる短尺足場の構造について説明する。
【0039】
2つの作業用足場41、42はいずれも、A、B、C(=b+c)の3種類の短尺タラップ11、12、13に対応して、図9〜図11に示すA’、B’(=b’)、c’の3種の短尺足場21、22、23を用いる。
A’型の短尺足場21の構造を図9に示す。図9(イ)は短尺足場21の平面図、(ロ)は(イ)の上側から見た図(立坑内壁側から見た図)、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
B’型の短尺足場22の構造を図10に示す。図10(イ)は短尺足場22の平面図、(ロ)は(イ)を立坑内壁側(図で上側)から見た図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
c’型の短尺足場23の構造を図11に示す。図11(イ)は短尺足場23の平面図、(ロ)は(イ)を立坑内壁側(図で上側)から見た図、(ハ)は(イ)の右側から斜めに見た図である。
【0040】
すなわち、短尺タラップAに対して図9に示す短尺足場A’を対応させ、短尺タラップBに対して図10に示す短尺足場B’を対応させる。踊り場付きの短尺タラップCに対しては、bで示したB型タラップ部分20に対応する短尺足場として前記図10の短尺足場b’(=B’)を用い、cで示した踊り場18に対応する短尺足場として図11に示す専用の短尺足場c’を用いる。すなわち、踊り場付きの短尺タラップCに対応して短尺足場b’(=B’)と短尺足場c’との2つを用いる。
各短尺足場A’、B’(=b’)、c’はいずれも、上から見ていずれも立坑中心に向かう図示例では等長の2側辺を持つ等脚台形状をなす等脚台形枠21a、22a、23aの上面に例えばエキスパンドメタル等の足場板21b、22b、23bを溶接固定した構造である。なお、エキスパンドに代えて、縞鋼板、平鋼板その他の部材を用いることができる。また、いずれも立坑中心側に転落防止用の手摺26を取り付けている。
短尺足場A’の側辺挟み角は短尺タラップAと同じ20.25°、短尺足場B’(=b’)の側辺挟み角は短尺タラップBと同じ13.5°、短尺足場c
’の側辺挟み角は短尺タラップCの踊り場18の部分cと同じ22.5°である。
各短尺足場A’、B’(=b’)、c’の左右の側辺の側面に、隣接する短尺足場どうしをボルトで連結するためのボルト孔24を有する。短尺足場A’、B’の中央(側辺挟み角の中心軸線位置)には当該短尺足場A’、B’を後述のブラケット61にボルトで固定するためのボルト孔25を有する。短尺足場c’には両側(側辺挟み角の中心軸線を挟む両側)に当該短尺足場c’を2本のブラケット61にそれぞれボルトで固定するためのボルト孔25を有する。
【0041】
前述のA’、B’(=b’)、c’の3種の短尺足場21、22、23を用いて、移設した繋ぎ用昇降タラップ6Bの上端とその上側の昇降タラップ6Aの下端との間に、図3Cのように第1の作業用足場41を設置する。この第1の作業用足場41は、上から見て図3Aにおける中間の4つの短尺タラップA、A、B、C(=b+c)の領域S1の対応するもので、A、A、B、b、cに対応させて短尺足場をA’、A’、B’、b’、c’の順に配置している。
すなわち、短尺タラップAに対応して短尺足場A’を配置し、短尺タラップBに対応して短尺足場B’を配置し、踊り場付きの短尺タラップCのb部分に対応して短尺足場b’(=B’)を配置し、短尺タラップCのc部分に対応して短尺足場c’を配置している。それらの対応関係、すなわちAとA’、BとB’、bとb’、cとc’との対応関係は、いずれも立坑中心に向かう2側辺の挟み角(側辺挟み角)が等しい関係にある。
【0042】
次に、移設した繋ぎ用昇降タラップ6Bの下端とその下側の昇降タラップ6Cの上端との間に、図3Cのように第2の作業用足場42を設置する。
この第2の作業用足場42は、繋ぎ用昇降タラップ6Bの下端に続いて、A’とB’(=b’)とc’の3種で合計15個の短尺足場をA’、b’、c’/A’、A’、B’、b’、c’/
A’、A’、B’、b’、c’/ A’、B’という順序で連接している。
この第2の作業用足場42は、配列の基本としては、3種(A’、B’(=b’)、c’)で5つの短尺足場を、A’、A’、B’、b’、c’の順とするが、第2の作業用足場42の高さ位置を集水管3に対して適切な高さ位置とするために、繋ぎ用昇降タラップ6Bとして移動させる既設の短尺タラップをAとAではなくAとBとしていることから、第2の作業用足場42の両端の短尺足場の順序は前記基本の順序と変えている。なお、A’、A’、B’、b’、c’のうちの中間のA’とB’との位置交換は全体の配列パターンを崩すことにはならず、内壁の構造物の設置状に応じて前記の位置交換を行ってもよい。
第1の作業用足場41を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計と第2の作業用足場42を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計との総計は360°である。すなわち、第1、第2の作業用足場41、42を合わせると、立坑内壁の1周分となる。
【0043】
上記の通りであり、螺旋状の昇降タラップのみを有する既設の立坑1’において、水平な作業用足場を設置する必要が生じた場合に、既設の昇降タラップ6’をすべて利用して、作業用足場を設置することができる。したがって、昇降タラップのみを有する既設の立坑に作業用足場を設置する場合の施工を極めて簡単にし、施工費用を大幅に安くすることができる。その場合に、既設の昇降タラップ6’の大半はそのまま利用し、一部は移設することになるが、移設する昇降タラップを極力少なくすることができるので、施工が簡単で、施工費用を大幅に安くできる。
【0044】
上述した作業用足場構造の説明では、螺旋状の昇降タラップのみを有する既設の立坑に水平な作業用足場を構築する場合として説明したが、新規に立坑を構築する際に、昇降タラップとともに作業用足場を設ける場合にも、当然この作業用足場構造を適用することができる。
その場合にも、作業用足場を構成する短尺足場の側辺挟み角の種類が、昇降タラップを構成する短尺タラップの側辺挟み角の種類と同じなので、螺旋状の昇降タラップと水平な作業用足場の繋がりがスムーズで、しかも足場構成部材(短尺足場)の種類が少なくかつ施工性が良好な作業用足場構造を得ることができる。
また、例えば特許文献1のように同じサイズの複数の足場板を用いて作業用足場を設置する方式では、既設の立坑における昇降タラップの途中に作業用足場を設置する場合、既設の昇降タラップの大半をそのまま残す施工は困難である。一方、新設の立坑に設置する場合と既設の立坑に設置する場合とで別の設計をすると、設計自体が繁雑になり、施工管理も繁雑になり、種々の点で無用な作業が多くなり、作業性も低くなる。昇降タラップのある既設の立坑に作業用足場を設置することが必要となる場合が数多くあることを考慮すると、本発明は新設の立坑に適用する場合の効果も十分大きい。
【実施例2】
【0045】
短尺タラップを立坑内壁に取り付ける構造について説明する。
A型、B型、C型の3種の短尺タラップ11、12、13の取付構造は同じであるので、A型の短尺タラップ11について説明する。なお、C型の踊り場付き短尺タラップ13は、そのB型タラップ部分20を立坑内壁に固定する。
図12は図4における1つのA型の短尺タラップ11の部分を拡大した図である(但し、向きを変えており、かつ、立坑内壁への取付部は一部省略)。
この短尺タラップ11は、図13の(イ)、又は(ロ)、又は(ハ)の態様で立坑内壁に取り付ける。
図14は短尺タラップ11を上下のライナープレート2のボルト接合されたフランジ部2bに取り付ける場合、図15は上下のライナープレート2のフランジ2b間にH形鋼の補強リング7を介在させた箇所における前記補強リング7のフランジ7aに取り付ける場合を示す。
【0046】
図14(ロ)は図13(イ)の下端の取付部(J部)の拡大図、図14(イ)は図14(ロ)の平面図である。
短尺タラップ11のライナープレート2の円周フランジ2bへの取付には、立坑内壁側の垂直支柱11b(又は傾斜支柱11c)の下端面に固定した前述の取付部材15(又は16)と、一端側の丸孔のボルト孔51aと他端側の長孔のボルト孔51bとを持つ細長い略長方形の取付プレート51と、パイプ状の間座52と、取付ボルト53及びナット54を用いる。
隣接する上下のライナープレート2の重ねた円周フランジ2bの上に、前記細長い取付プレート51の一端部を載せ、フランジ接合用のボルト28とナット29で円周フランジ2bと一緒に締め付け固定する。
この取付プレート51と支柱11b(又は11c)の下端面に固定した取付部材15(又は16)との間に間座52を介在させ、取付ボルト53を取付プレート51の長孔51b、間座52内、取付部材15(又は16)のボルト孔15b(又は16b)に通し、ナット54を螺合させ締め付けることで、支柱11b(又は11c)の下端部をライナープレート2の円周フランジ2bのボルト接合部(フランジ接合用のボルト28の部分)に取り付ける。
この場合、取付プレート51が一定の長さを有しかつボルト孔51bが長孔なので、短尺タラップ11の垂直支柱11b(又は傾斜支柱11c)の位置がライナープレートのフランジ接合用のボルト28の位置に対して円周方向に若干ずれていても、そのずれに応じて図14(イ)のように取付プレート51の角度が変わることで対応できる。
短尺タラップ11の垂直支柱11bの上端の取付部材14を立坑内壁に取り付ける場合は、基本的に同じ構造であり、図13(イ)の上端の取付部(K部)を拡大した図14(ハ)のような構造となる。
【0047】
図15(ロ)は図13(ハ)の上端の取付部(M部)の拡大図、図15(イ)は図15(ロ)の平面図である。補強リング7は、隣接する上下のライナープレート2の円周フランジ2b間に配置され、フランジ接合用のボルト28とナット29で上下の円周フランジ2bと一体に固定されている。
短尺タラップ11の補強リング7への取付には、立坑内壁側の垂直支柱11bの上端面に固定した前述の取付部材14と、上向き折曲部55aを有するL形断面形状をなしボルト孔55bを有するL形金具55と、前記と同様なパイプ状の間座56と、取付ボルト57及びナット58を用いる。
補強リング7の立坑中心側のフランジ7aの上縁に、短尺タラップ11の垂直支柱11bの上端に固定された前記取付部材14を載せ、L形金具55を、取付部材14とでフランジ7aを挟持するようにフランジ7aの下端に当てて配置し、かつ、取付部材14とL形金具55との間に間座56を介在させ、取付ボルト57をL形金具55のボルト孔55b、間座56内、取付部材14のボルト孔14bに通し、ナット58を螺合させ締め付けることで、支柱11bの上端部を補強リング7のフランジ7aに取り付ける。
この場合、補強リング7のフランジ7aを上側の取付部材14と下側のL形金具55とで挟み取付ボルト57とナット58で締め付けて取り付ける構造であり、補強リング7に対してスライド可能であるから、取付部材14の立坑円周方向位置についての制約はなく、したがって、短尺タラップ11の支柱11bを補強リング7の任意の位置に取り付けることができる。
この取付構造を採用して、短尺タラップ11の垂直支柱11b(又は傾斜支柱11c)の下端の取付部材15(16)を補強リング7のフランジ7aに取り付ける場合は、基本的に同じ構造であり、図13(ロ)の下端の取付部(N部)を拡大した図15(ハ)のような構造となる。
【0048】
作業用足場の各短尺足場21、22、23を立坑内壁に取り付ける足場取付構造70について説明する。
図16は図4におけるA’型、b’型(=B’型)、c’型の短尺足場21、22、23の部分を拡大した図である。
いずれの足場取付構造70も、図17に示したブラケット61を用いる。
A’型、B’(=b’)型の2つの短尺足場21、22は、側辺挟み角の中心軸位置の1箇所においてブラケット61で取り付ける。
c’型の短尺足場23は、側辺挟み角の中心軸位置の両側の2箇所においてブラケット61で取り付ける。
短尺足場を取り付けるブラケット61は、基端側が立坑内壁に取付けられ先端側が立坑中心方向に延びる水平材62と、上端側が前記水平材62の先端側に固定され基端側が水平材62の基端側の下方で立坑内壁に取付けられる斜め材63とからなる。
前記水平材62又は斜め材63の基端側を立坑内壁に取り付ける取付部60について説明する。
この取付部60は、取付部材64(又は64’)と、L形金具65と、横向きT型部材69と、間座66と、取付ボルト67及びナット68を備えている。
取付部材64(又は64’)は、図18(イ)、(ロ)にも示すように、水平材62又は斜め材63の基端側に一端が固定され、立坑内壁側へ水平に延びる部分の他端に下向き折曲部64aを有してL形断面形状をなし、ボルト孔64bを有する。
横向きT型部材69は、図19にも示すように、縦部69aと横部69bとで横向きT字形断面をなしている。レールの役目をする縦部69aは平坦な1枚の横長プレートであるが、円周フランジ2bに取り付けるための横部69bは隙間wをあけて縦部69aに溶接固定した2枚の略方形プレートであり、各横部69bにボルト孔69cをあけている。
L形金具65は図20にも示すように、立坑内壁側へ水平に延びてその端部に上向き折曲部65aを有するL形断面形状をなしボルト孔65bを有する。
そして、前記取付部材64とL形金具65との間にパイプ状の間座66を介在させ、かつ、横向きT型部材69の先端側の縦部69aを、取付部材64とL形金具65とで上下から挟み込んだ状態で、取付部材64のボルト孔64bと間座66内とL形金具65のボルト孔65bとに通した取付ボルト67及びこれに螺合させたナット68で締め付けている。
隣接する短尺足場どうしは、例えば図23に短尺足場21と短尺足場22との隣接部の場合を示したように、短尺足場の等脚台形枠21a、22a、23aの側辺部の側面にあけたボルト孔24に挿通した連結ボルト72で連結している。
【0049】
上記の取付部60によれば、取付ボルト67を強く締め付けない状態では、ブラケット61側の取付部材64・間座66・L形金具65を、レールの役目をする横向きT型部材69に対して、図21に2点鎖線で示すように、ライナープレート2の円周フランジ2bのボルト孔間隔(すなわち、フランジ接合用のボルト28の間隔)程度は円周方向にスライドできる。したがって、ブラケット61をフランジ接合用ボルト28の位置の制約を受けずに任意の箇所に取り付けることができる。これにより、作業用足場を構成する各短尺足場を水平方向に隙間なく連接することができる。
また、この取付部60は、取付部材64(64’)とL形金具65とで、ライナープレートのフランジ接合部に固定した横向きT型部材69の縦部69aを挟み込み、高さが横向きT型部材69の縦部69aの寸法より僅かに小さいパイプ状の間座66を介在させてボルト締めする構造なので、コンパクトかつ簡単な構造でありながら堅固な取付構造が得られている。
【0050】
なお、c’型の短尺足場23の場合は、図16に示すように、側辺挟み角の中心軸位置の両側の2箇所において、図17に示したブラケット61で取り付けている。
この短尺足場23の場合は、垂直補強部材8の位置にあるので、この垂直補強部材8との干渉を避けるための矩形溝状の切欠き71を設けている。この切欠き71の部分は、フラットバーを枠材としている。
【0051】
横向きT型部材69の2つの横部69b間の前記隙間wは、図22に示すように、ブラケット61の位置が、円周方向に隣接するライナープレート2の互いに接合される端面プレート(垂直フランジ)2cの近傍にくる時に、横向きT型部材69を端面プレート2cを跨いで円周フランジ2bに固定することを可能にするためのものである。
【0052】
ブラケット61の水平材62又は斜め材63のいずれかが補強リング7の位置にくる場合は、前記横向きT型部材69を用いる代わりに、H形鋼である補強リング7のフランジを利用することができる。この場合は、フランジ厚みとH形鋼のウエブ厚みとを加えた厚み分のスペーサを、斜め材63側の取付部材64’の下面に介在させることで、円周フランジ2b間に介在させたH形鋼(補強リング7)を利用することに伴う高さ調整をするとよい。
上記のように、基本としては、短尺足場をライナープレートのフランジ接合部に取り付けるものであるから、補強リング7を持たないライナープレート製立坑にも採用することができる。
【0053】
ところで、ライナープレート製の集水井は大半のものが直径3.5mである。一方、ライナープレートの円周フランジのボルト孔の間隔は157mmで設定されている。これを組み合わせて、直径3.5mの立坑を構成すると、円周フランジの円1周のボルト孔の数は70個になる。
実施例の集水井のように垂直補強部材8を設けた場合、実施例のように円周方向に90°間隔で配置されることが多い。その場合、円周方向の垂直補強部材8間に存在するボルト孔の数は70÷4=17.5となり、端数になる。
このため、垂直補強部材8を設けた立坑において、昇降タラップの短尺タラップを上下のライナープレートのフランジ接合部に接合用のボルトを利用して取り付ける場合、短尺タラップの支柱11b、11cの位置と接合用のボルト28の位置とが例えば図14(イ)のように互いにずれる等、両者の位置関係が一定しない。
それでこの実施例では、図14に示すように、短尺タラップの支柱11b、11cを、取付用の長孔51bを持つ連結プレート51を用いて取り付ける構造により、支柱11b、11cからずれた位置の接合用のボルト28に対応できるようにしている。
この取付プレート51による取付構造は、昇降タラップの場合は、各短尺タラップに対する負荷重量がそれほど大きくないことや、短尺タラップを上下の3箇所で立坑内壁に取り付けることや、上下の取付部の間隔が大(ライナープレートが上下に2つ又は3つ分)であることなどで、強度上の問題はない。
しかし、作業用足場の場合、通常、負荷重量をさらに大きく設定する必要があることや、1本のブラケットによる取り付けを採用した場合には上下の2箇所だけの取付けとなることや、上下の間隔が小(ライナープレートの1つ分)であること等から、前記取付プレート51による取付構造より更に耐荷重の大なる構造が望ましい。
上述した足場取付構造70はこのような要求に対応するものである。
また、ライナープレート2の円周フランジ2bに対して、ボルト28を用いて2箇所でとめる構造なので、応力を円周フランジ2bの1箇所へ集中させず2箇所へ分散させた固定ができる。
【実施例3】
【0054】
実施例では作業用足場を、主として集水管の点検作業に用いる場合を想定しているが、種々の点検作業に用いることができ、また、点検作業に限らず、集水井内で必要となる種々の作業用に用いることができ、用途は限定されない。
また、集水井に限らず、ライナープレート製の種々の立坑に適用することができる。
また、本発明における短尺タラップ及び短尺足場はいずれも、上から見て立坑中心に向かう等長の2側辺を持つ等脚台形状をなすが、等脚台形である必要はなく、支障のない範囲で形状を変えることを妨げるものではない。また、台形の上底及び下底を円弧状にすれば扇形となるが、そのような形状とすることも妨げるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 集水井(立坑)
1’(作業用足場のない)既設の集水井(立坑)
2 ライナープレート
2a 波付け鋼板部
2b 円周フランジ
2c 垂直フランジ(端面プレート)
3 集水管
4 排水管
5 すべり面
6 昇降タラップ
6A (繋ぎ用昇降タラップより)上側の昇降タラップ
6B 繋ぎ用昇降タラップ
6C (繋ぎ用昇降タラップより)下側の昇降タラップ
6’ 既設の昇降タラップ
7 補強リング(H形鋼)
7a フランジ
8 垂直補強部材(H形鋼)
11 A型の短尺タラップ
11a、12a、13a 本体
11b、12b、13b (立坑内壁側の)垂直支柱
11b’、12b’、13b’ (立坑中心側の)垂直支柱
11c、12c、13c (立坑内壁側の)傾斜支柱
11c’、12c’、13c’ (立坑中心側の)傾斜支柱
11d、12d、13d ステップ
11e、11e’、12e、12e’、13e、13e’ 下部部材
11f、12f、13f 下端部材
12 B型の短尺タラップ
12g 下端部材
13 C型(=「b+c」型)の短尺タラップ(踊り場付き短尺タラップ)
14 (短尺タラップ上端部の)取付部材
15、16 (短尺タラップ下端部の)取付部材
14a、15a、16a 下向き折曲部
14b、15b、16b ボルト孔
17 手摺
18 踊り場
18a 台形枠
18b プレート
19 支持構造
19a 斜め材
20 (踊り場付き短尺タラップ(C型)の)B型タラップ部分
m、m’ (B型タラップ部分の垂直支柱12b、12b’の)下方延長部
12f 下端部材
21 A’型の短尺足場
22 B’型(=b’型)の短尺足場
23 c’型の短尺足場
21a、22a、23a 台形枠
21b、22b、23b 足場板(エキスパンドメタル)
24 (短尺足場どうしの接合用の)ボルト孔
25 ボルト孔
26 手摺
28 (ライナープレートのフランジ接合用の)ボルト
29 ナット
41 第1の作業用足場
42 第2の作業用足場
51 取付プレート
51a ボルト孔(丸孔)
51b ボルト孔(長孔)
52、56 間座
53、57 取付ボルト
54、58 ナット
55 L形金具
55a 上向き折曲部
55b ボルト孔
56 間座
57 取付ボルト
58 ナット
60 取付部
61 ブラケット
62 水平材
63 斜め材
64、64’ 取付部材
64a 下向き折曲部
64b ボルト孔
65 L形金具
65a 上向き折曲部
65b ボルト孔
66 間座
67 取付ボルト
68 ナット
69 横向きT型部材
69a 縦部
69b 横部
w (2つの横部間の)隙間
69c ボルト孔
70 足場取付構造
71 切欠き
72 連結ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の昇降タラップを備えた立坑における前記昇降タラップの中間に水平な作業用足場を介在させた作業用足場構造であって、
前記昇降タラップは、立坑中心に向かって延びる複数のステップを有するとともに上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状をなす複数の短尺タラップからなり、当該複数の短尺タラップを螺旋状の配置で立坑内壁に取り付けてなるものであり、
前記複数の短尺タラップとして、前記平面視略台形の側辺挟み角が互いに異なるN種類(N≧3)のものが用いられており、
前記作業用足場は、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持ちかつ短尺タラップの前記N種類の側辺挟み角にそれぞれ等しい側辺挟み角を持つN種類の平面視略台形状の短尺足場からなり、当該N種類の短尺足場を水平方向に連接しかつ立坑内壁に取り付けてなることを特徴とする立坑における作業用足場構造。
【請求項2】
前記昇降タラップのN種類の短尺タラップのうちの1種類が、上から見ていずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ平面視略台形状の短尺タラップ構造部の下端部に、いずれも立坑中心に向かう2側辺を持つ四角形状の踊り場を一体に設けた踊り場付きの短尺タラップであることを特徴とする請求項1記載の立坑における作業用足場構造。
【請求項3】
設置高さ位置が互いに異なる上側の第1の作業用足場及び下側の第2の作業用足場と、前記第1、第2の2つの作業用足場間を連絡する繋ぎ用昇降タラップとを有するとともに、前記第1の作業用足場を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計と第2の作業用足場を構成する各短尺足場の側辺挟み角の合計との総計が360°であることを特徴とする請求項1又は2記載の立坑における作業用足場構造。
【請求項4】
前記立坑が、その内壁の円周方向に間隔をあけた複数箇所に垂直補強部材を垂直に取り付けている場合に、前記N種類の平面視略台形状の短尺足場のうちの1種類として、前記垂直補強部材との干渉を避けるための切欠きを有する短尺足場が用いられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の立坑における作業用足場構造。
【請求項5】
前記立坑が、その内壁の円周方向に間隔をあけた複数箇所に垂直補強部材を垂直に取り付けている場合に、前記踊り場付きの短尺タラップにおける踊り場部分を、前記垂直補強部材と干渉しない態様で垂直補強部材の位置に配するとともに、前記N種類の平面視略台形状の短尺足場のうちの1種類として、前記垂直補強部材との干渉を避けるための切欠きを有する短尺足場が用いられていることを特徴とする請求項2記載の立坑における作業用足場構造。
【請求項6】
前記立坑が集水井であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立坑における作業用足場構造。
【請求項7】
ライナープレートを用いて構築した円形断面の立坑の内壁に取り付けた螺旋状の既設の昇降タラップを備えた既設の立坑を対象として、請求項3の作業用足場構造を構築する作業用足場構造の構築方法であって、
前記螺旋状の既設の昇降タラップの中間の1又は複数の短尺タラップを内壁から取り外し、残された上側の既設の昇降タラップの下端に隣接する態様で、1又は複数の短尺足場からなる第1の作業用足場の一端を立坑内壁へ設置し、この第1の作業用足場の他端に、前記取り外した1又は複数の短尺タラップを利用して構成した前記繋ぎ用昇降タラップの上端が隣接する態様で、繋ぎ用昇降タラップを立坑内壁へ設置し、この繋ぎ用昇降タラップの下端に隣接する態様で、前記第2の作業用足場の一端を立坑内壁へ設置し、この第2の作業用足場の他端に、前記残された下側の既設の昇降タラップの上端が隣接することを特徴とする立坑における作業用足場構造の構築方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項の立坑における作業用足場構造において、作業用足場を構成する各短尺足場を立坑内壁に取り付ける足場取付構造であって、
立坑内壁に基端側を取り付けたブラケットの上面に短尺足場を固定してなり、
前記ブラケットは、基端側が立坑内壁に取付けられ先端側が立坑中心方向に延びる水平材と、上端側が前記水平材の先端側に固定され基端側が水平材の基端側の下方で立坑内壁に取付けられる斜め材とからなり、
前記水平材又は斜め材の基端側を立坑内壁に取り付ける取付部は、
水平材又は斜め材の基端側に一端が固定され立坑内壁側へ水平に延びる部分の他端に下向き突出部を有しボルト孔を有する取付部材と、
立坑内壁側へ水平に延びてその端部に上向き突出部を有しボルト孔を有する金具と、
横部と縦部とで横向きT字形断面をなし、前記横部が、上下のライナープレートのフランジを接合するボルトでフランジに固定された横向きT型部材とを備え、
前記取付部材と金具とで前記横向きT型部材の縦部を上下から挟み取付ボルトとナットで両取付部材を締め付けることで、水平材又は斜め材の基端側を立坑内壁に取り付けた構造であることを特徴とする足場取付構造。
【請求項9】
前記ブラケットを、短尺足場の側辺挟み角の中心軸線位置に配置したことを特徴とする請求項8記載の足場取付構造。
【請求項10】
前記ブラケットを、短尺足場の側辺挟み角の中心軸線位置を挟む両側に配置したことを特徴とする請求項8記載の足場取付構造。
【請求項11】
前記取付部材と金具との間に、高さが前記横向きT型部材の縦部寸法より僅かに小さいパイプ状の間座を介在させ、間座内を通した取付ボルトで締め付けたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の足場取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−77494(P2012−77494A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222460(P2010−222460)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)