立坑用足場及び立坑用足場の組立・撤去方法
【課題】立坑内で、所定の場所に作業用足場を設ける作業は、高所作業となるために危険を伴う。また、足場を取り付ける場合には、立坑内壁に沿って設けられる階段等との接触を避ける必要がある。
【解決手段】立坑内部に設けられる、例えば半円形状の作業用足場であって、立坑の土留材(例えば、ライナープレート)の補強材に設けられた爪部aに掛着される爪部bを有する取付金具と、取付金具の所定の位置に取り付けられた受金具の爪部cに掛着される、爪部dを有する足場とから構成されることを特徴とする立坑用足場及び立坑用足場の組立方法。
【解決手段】立坑内部に設けられる、例えば半円形状の作業用足場であって、立坑の土留材(例えば、ライナープレート)の補強材に設けられた爪部aに掛着される爪部bを有する取付金具と、取付金具の所定の位置に取り付けられた受金具の爪部cに掛着される、爪部dを有する足場とから構成されることを特徴とする立坑用足場及び立坑用足場の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地すべり防止用の集水井の立坑作業で構築される、作業用足場に係るものである。
【背景技術】
【0002】
地すべり防止用の集水井とは、地すべり予想地帯から地下水を排水することにより、地すべりの発生を予防する目的で構築される集水井(立坑)をいう。
図8(a)は、その集水井を構築して、地すべりの発生を予防する様子を示した地形の断面図である。
地すべりの発生が予想される箇所(図中すべり面で囲まれる箇所)に、立坑(集水井)を掘り、その立坑の途中から山の斜面に向かってボーリングして、その箇所の地下水を集水パイプで集水する。集水した水は、排水パイプにより排水溝に排水される。地下水脈の位置に応じて、集水井の異なる位置から山の斜面に向かってボーリング作業が必要となる。
図8(b)は、同じ地形の平面図である。集水井から各方向に向かって集水用のボーリングがなされる。
【0003】
集水井(立坑)の平面形状は、概ね円形(楕円形を含む)、直線と半円を組合わせた形状(小判形)、以上合わせて本明細書では「概ね円筒形状」と呼ぶ、あるいは正方形若しくは矩形のもの等がある。
図9(a)は、平面形状が円形の立坑の平面図である。立坑の直径は、約1.5mから10m等、用途に応じて様々な大きさの立坑が構築される。
例えば図9(a)に示す、概ね円筒形状の立坑では、土留材としてライナープレート1が用いられている。ライナープレートは波形の鋼板で、その外観形状を図10に示す。
集水井を掘削しながら、複数のライナープレート1の左右を継手板5a同士、上下をフランジ5b同士、それぞれボルト締めすることによって、互いに接続し、順次下方に延長して土留材として組み立てられる。
なお、図10において、上部のライナープレートの継手板5aは鳥瞰図で、下部のライナープレートの継手板は透視図で表しているが、両者共に同一の構造である。
【0004】
図9(b)は、表面形状が矩形の立坑の平面図である。同じく土留材としてライナープレート1が使用されている。
図9(c)は、円形あるいは矩形の立坑の側面図である。土留材の強度を上げるために、ライナープレート1の間に複数の補強材3が設けられている。立坑は、その底部に基礎コンクリート2が打たれ、立坑深さHは、立坑の規模や形状により異なるが、深いものでは数10mに達する。
図9(a)は、更に垂直方向の補強材として補強材4(この例ではH型鋼)が設けられている様子を示す。立坑の規模に応じて、適宜、水平方向の補強材3及び垂直方向の補強材4が設けられる。
【0005】
立坑内部には、点検作業員等が上り下りする為の螺旋階段等が設けられている。図11は、円筒形状の立坑上部から底部を見た図である。螺旋階段が立坑内壁に沿って設けられている様子を示している。
集水井(立坑)内部には、集水用のボーリングをするための作業用足場を設ける必要がある。この作業用足場にボーリング機械等を設置して、図8で説明したボーリング作業を行う。
本発明は、この作業用足場及び作業用足場の組立・撤去方法に係る発明である。
【0006】
以下、立坑で用いられる作業用足場に係る従来技術を、実用新案文献1を例にとって説明する。なお、この考案に係る立坑は、地中に円形状に掘削した坑内に鉄筋を組み立て、その後コンクリートを打設して構築する深礎坑に係る立坑である。また、この作業用足場は、深礎工事用で孔底から最上部まで鉄筋を組み立てる際に用いられるものである。
図13〜14は、実用新案文献1に係る考案の実施の態様を示す図である。
図14において、ライナープレート31のフランジ35に支持腕32の水平板36をボルト締めし、支持腕から水平方向に伸びる腕板34上に、円形の足場37(図13)を搭載したあと、腕板と足場をボルト締めして固定し、鉄筋38を構築する作業用足場が紹介されている。
図14において、腕板34の先端部に設けられた孔は、作業用足場を固定するためのボルト孔である。
足場を撤去する際には、逆に足場37を腕板34に固定しているボルトを取外して、足場をクレーン等で吊り上げて撤去した後で、支持腕32をライナープレート31から取外す旨が記載されている。
【0007】
しかしこの作業用足場構築方式によれば、水平板36をライナープレートのフランジ35にボルト締めする作業が発生する。
図12(a)に示すように、作業員Aは立坑上部からケーブルにより吊り下げられた状態で、水平板36のライナープレート31へのボルト締め作業を行う必要がある。あるいは、作業員Bのように、立坑内部に設けられた螺旋階段から手を伸ばして、ボルト締め作業をする必要がある。
通常、作業用足場を設ける場所は、立坑底面(図9(c)、基礎コンクリート2)から数mあるいは数10m上の高さにあり、この作業は高所作業となり、危険を伴うこととなる。
【0008】
また実用新案文献1では、円形の足場37を支持腕32上に設置する構造となっている(図13)。前述したように集水井等の立坑内壁には点検作業員が立坑内を上下に移動するための螺旋階段等が設けられることが多い。階段が設けられていると、円形の足場を吊り下げる作業を妨げることになる。
従って、足場を組立設置する前に螺旋階段等を設けることができず、集水用のボーリング作業を完了してから階段を設置することになり、湧き水が出ている中での階段取付作業は危険である。
実用新案文献1 実開平6-87557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来技術では立坑内部に作業用足場を設ける作業は危険を伴い、また、螺旋階段等を設置する作業にも制限が生じるものであった。
そこで、本発明の目的は、立坑内部に作業用足場を設ける作業において危険作業を回避し、作業用足場の組立設置、撤去作業の簡素化を図る点にある。
また、立坑内に設けられる螺旋階段、垂直方向の補強材等の設置作業と足場の組立設置作業の作業手順の制限を少なくし、効率的な作業の実現を図る点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、本発明の第1の態様は、
立坑内部に設けられる作業用足場であって、立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、補強材の爪部aに掛着される、受金具が設けられた爪部bを有する取付金具と、受金具の爪部cに掛着される爪部dを有する足場とから構成されることを特徴とする立坑用足場である。
すなわち、取付金具を補強材の爪部aに掛着させ、その取付金具の受金具の爪部cに足場を掛着させる立坑用足場である。
【0011】
本発明の第2の態様は、補強材の爪部a、取付金具の爪部b、受金具の爪部c若しくは足場の爪部dの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする立坑用足場である。
【0012】
本発明の第3の態様は、受金具が取付金具に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする立坑用足場である。
【0013】
本発明の第4の態様は、立坑内部に設けられる作業用足場であって、立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、爪部bを有する取付金具と、補強材の爪部aに取付金具の爪部bが掛着される取付金具が設けられた足場と、から構成されることを特徴とする立坑用足場である。
すなわち、あらかじめ取付金具が設けられた足場を、補強材の爪部aに掛着させる立坑用足場である。
【0014】
本発明の第5の態様は、補強材の爪部a若しくは受金具の爪部cの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする立坑用足場である。
【0015】
本発明の第6の態様は、土留材がライナープレートであることを特徴とする立坑用足場である。
【0016】
本発明の第7の態様は、取付金具が、取付金具の支持部材と、支持部材の少なくとも一端に取り付けられた係止金具とからなり、当該係止金具に設けられた爪部bの端部と支持部材の端部との間隔は、補強材の爪部aの厚み以上であることを特徴とする立坑用足場である。
【0017】
本発明の第8の態様は、立坑が概ね円筒形状の立坑であり、立坑に設けられる足場が、概ね円形状、概ね半円形状、あるいは概ね扇形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0018】
本発明の第9の態様は、立坑が概ね矩形あるいは正方形の形状の立坑であり、立坑に設けられる足場が、概ね正方形あるいは矩形の形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0019】
本発明の第10の態様は、足場が、外周部分の一部に切欠き部を有する形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0020】
本発明の第11の態様は、立坑内部の所定の位置に、作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具の所定の位置に受金具を取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により取付金具を立坑内に吊り下げ、
(c)土留材に設けられた補強材の爪部aに取付金具の爪部bを掛着し、
(d)立坑上部からクレーン等により足場を立坑内に吊り下げ、
(e)受金具の爪部cに足場の爪部dを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法である。
【0021】
本発明の第12の態様は、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部cに掛着された作業用足場を吊り上げ、
(b)立坑上部からクレーン等により、立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに掛着された取付金具を吊り上げること、
からなる、立坑用足場の撤去方法である。
【0022】
本発明の第13の態様は、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具を足場に取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により、取付金具を取り付けた足場を立坑内に吊り下げ、
(c)立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに、足場に取り付けられた取付金具の爪部bを掛着することからなる、立坑用足場の組立方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば作業員が高所作業をすることなく、立坑内部の所定の位置に安全に作業用足場を組立設置、撤去することが出来、作業の安全性が高まる。
また、作業用足場の組立設置前に立坑の補強材、螺旋階段等の設置が可能となり、作業手順の自由度があがり、それに伴って作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明者は、以下の手段によって上述した問題を解決した。
すなわち、土留材(例えばライナープレート)と土留材の継ぎ目部分に爪部を有する水平方向の補強材を設け、その爪部に取付金具の爪部を掛着させる。この取付金具には、あらかじめ所定の位置に作業用足場の受金具をボルト締め等にて取り付けておく。
上記取付金具を補強材の爪部に掛着、すなわち、ぶら下がり、引っ掛けるように取り付けることにより、立坑上部からクレーン等で取付金具を上記補強材に取り付けることを可能とする。
その後、例えば半円形の作業用足場を、立坑上部からクレーン等で吊り下げ、螺旋階段等に接触しないように半円形の足場を適宜回転させながら降下させ、足場に設けられた爪部を、上記取付金具にボルト締め等された受金具の爪部に掛着させることにより足場を固定する。
【0025】
また、作業用足場を撤去するときには、立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部に掛着された作業用足場を吊り上げ、撤去した後、クレーン等により、立坑の土留材に設けられた補強材の爪部に掛着された取付金具を吊り上げて撤去する。
それぞれ相対する爪部が掛着されることにより固定されることから、足場を組立設置する際も撤去する際も、作業員が高所でボルト締め等などの危険作業をする必要がなく、また、取り付け取り外し作業が簡便に行え、作業時間の短縮も図れる。
【0026】
また、立坑内部に点検用の螺旋階段等を残置する場合であっても、螺旋階段を取外すことなく、半円形状の足場、扇形状の足場、正方形の足場、矩形の足場若しくは外周部分の一部に切欠き部を有する足場を、螺旋階段、垂直方向の補強材等に接触することなく、適宜回転させながらクレーン等で吊り上げ、作業用足場を撤去することが可能となる。
ここで扇形状の足場とは、概扇形の足場であって、その扇の開き角度が90度以上180度以下である足場を言う。足場の円周部分に設けられた爪部が、補強材の爪部に掛着されることにより足場が保持される形状を想定したものである。
【0027】
(実施例1)
本発明の第1の実施態様について以下、図を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の実施例の一つである作業用足場が設置された円筒形状の立坑の平面図、図1(b)はその側面図である。
本実施例では、土留材として前述したライナープレート1が使用されている。ライナープレートとライナープレートの継ぎ目には、所定の間隔で補強材3がリング状に設けられている(図1(b)参照)。土留材の強度を保つためである。また、垂直方向にも補強材4が設けられる場合もある(図1(a)参照)。
概ね半円形状の足場7が2枚相対して設置され、2つの足場の間には間詰めパネル9が被せられている。半円形状の足場7には、外周部分の一部に切欠き部が設けられている。垂直方向の補強材4と足場が接触しないためである。
立坑内壁に螺旋階段等が設けられている場合には、その螺旋階段と接触しないように足場に切欠き部を設けることも可能である。
半円形状若しくは扇形状等の分割足場の場合には、切欠き部を設けなくても、当該足場をクレーンで吊り上げ、吊下ろしする際に回転させることにより、階段等に接触しないようにすることが可能となる。
【0028】
前述したように、ライナープレートは継手板5a同士、フランジ5b同士をボルト締め等することにより接続される。
図5は、2枚のライナープレート1をボルト締めする様子を示す、断面図である。図5(a)に、上下2枚のライナープレート1の間にH形鋼で構成される補強材3aを取り付ける方法を示す。2枚のライナープレート1のフランジ5bと補強材3aをボルト締めする。H形鋼のH形形状の端部20aが補強材3aの爪部aを構成する。
図5(b)は、L形鋼を用いた補強材3bのライナープレートへの取付方法を示した図である。同じくL形形状の端部20aが補強材3bの爪部aを構成する。
H形鋼、L形鋼に限らず、溝形鋼(U字形鋼)等このような爪部を有する形鋼であれば同様の効果を発揮することができる。
【0029】
図2(a)〜(d)は、取付金具10の形状を示す図である。ここで、図2(a)は取付金具の正面図である。後述する受金具11は、この取付金具の取付部12にボルト締め等にて着脱可能に取り付けられる。取付金具の端部には係止金具15が設けられている。
本実施例では、係止金具15は支持部材14の上下両端に設けているが、どちらか一方に設けてもよい。
図2(b)のa−a線からみた図が図2(c)、b−b線から見た図が図2(d)である。支持部材14は取付金具10が補強材3を押さえる役目を果たす(図6)。
本実施例では、T型断面(図2(c)、(d))の取付金具の実施例を示したが、T型断面の取付金具の他に、L型、H型等の形鋼でもよいし、閉断面の鋼管でも良い。
【0030】
図3(a)は、例えばH形鋼にて構成される受金具11の側面図である。受金具11は取付金具10にボルト締め等される。必要に応じて補強板13が設けられてもよい。
補強材3は、土留材であるライナープレートを補強する目的で、所定の間隔で設けられるのに対して(図1(b)の3参照)、集水用のボーリングをする位置は地形的な条件から決められる(図8(a)参照)。従って、ボーリング作業用の機器を載せる足場の位置は補強材の位置とは必ずしも一致しない。そこで、取付金具10の所定の位置に、あらかじめ受金具11をボルト締め等して足場を設置する位置を調整する。
例えば、図2(a)に示すように、取付金具10の複数箇所に受金具取付部12を設けておき、補強材3の位置と集水用のボーリング位置によって、必要でない受金具を撤去してもよい。また、ボーリング位置が予め想定できる場合には、受金具を複数場所に取り付けなくてもよい。
【0031】
本発明において、補強材3にあらかじめ爪部を溶接、ボルト締め等する方法もありうるが、補強材として広く利用される形鋼の端部を、爪部として利用することにより、特別な部材を用いることなく取付金具、足場の掛着を実現することができる。
【0032】
取付金具10が、補強材3aに掛着される様子を示す断面図を図6に示す。
図6は、2枚のライナープレート1の間にボルト締め等された補強材3aの爪部20aに、取付金具10の係止金具15の爪部20bが掛着される様子を示す。
取付金具の支持部材14が補強材3aを押さえ、取付金具10が図面左右方向に振れるのを防止している。また、係止金具15の爪部20bの端部と支持部材14の端部との間隔は、補強材の爪部20aの厚み以上であり、当該爪部20aが挿入可能となっている。また、この間隔を調整することにより、掛着作業の容易性及び取付金具10の左右の振れを調整することもできる。
また、係止金具15と補強材3aの間に、板を折り曲げた弾性により、くさび効果のある部材を差し込んで振れ止めとしても良い。具体的には、図6において、支持部材14と補強材3aの間、あるいは係止金具の爪部20bと補強材3aの爪部20aの間に上記くさび効果のある部材を差し込んで取付金具10が振れるのを防止しても良い。
【0033】
次に図1等を用いて、作業用足場について説明する。
図1は、前述したように本発明の実施例1に係る円筒形状の立坑用に組立設置された足場7を示す図である。概ね半円形の足場7aの平面図を図4(a)に示す。
図4(b)は、この足場の側面図である。足場には、強度を持たすために梁材8が設けられ、足場外周には例えば形鋼(L形鋼、H形鋼、溝形鋼他)で構成される爪部材20dが設けられている。
足場の材料としては、縞鋼板、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の鋼板が用いられる。
図7は、半円形状の足場の外観図である。この足場では、クレーン等で吊り下げるために計4個の吊下金具22が設けられている。
【0034】
足場の形状は半円形状に限らず、立坑の直径に応じて概ね円形状(楕円を含む)、概ね扇形状など様々な形状が採用できる。
直径が小さい立坑の場合には、概ね円形状の足場を採用してもよい。立坑の直径が大きい場合には、足場の重量が大きくなることから、半円形状あるいは扇形状等の分割足場が適している場合もある。いずれの場合にも、複数の爪部dによる掛着によって、足場が安定して保持される形状であることが必要である。
円形状の足場の場合には、上述したように螺旋階段部分又は垂直方向の補強材4との接触を防ぐために、外周部分の一部に切欠き部を設ける必要がある場合もある。半円形状あるいは扇形状等の場合には、切欠き部を設けなくても、クレーン等で立坑内に吊り下げるときに、螺旋階段の設けられた位置を避けるように足場を回転させながら降下させることができる。
【0035】
正方形あるいは矩形の立坑の場合には、足場は立坑の形状に応じて、矩形の足場、あるいは正方形の足場が採用される。また、複数の足場から構成される矩形あるいは正方形の足場も採用できる。
この矩形の立坑の場合も、立坑内壁に沿って設置された階段と足場が接触しないように、矩形の足場あるいは正方形の足場を適宜回転させながら、あるいは移動させながら吊り下げることが出来る。また、これらの足場の外周部分の一部に切欠き部を設けて、階段や垂直方向の補強材と足場が接触しないようにすることも可能である。
【0036】
本発明による足場を、立坑内で組み立てる方法を以下説明する。
(a)まず、最初に集水用のボーリングをする位置に応じて、取付金具10の所定の位置に受金具11をボルト締め等する(図2、図3参照)。
(b)次に、立坑上部からクレーン等により、取付金具10を立坑内に吊り下げる。
(c)ライナープレート1の補強材3の爪部20aに、取付金具10の爪部20bを掛着する(図1(b)、図6参照)。
(d)次に立坑上部からクレーン等により足場7を立坑内に吊り下げる(図7、図12(b)参照)。
(e)取付金具10にボルト締め等された受金具11の爪部20cに足場の爪部20dを掛着させる(図3、図4(b)参照)。その際には必要に応じて、作業員Cは立坑内壁に設けられた螺旋階段等からロープ等で足場の爪部を受金具の爪部に掛着する位置を誘導する(図12(b)参照)。
【0037】
本実施例による足場を、撤去する方法を以下説明する。
(a)立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部cに掛着された作業用足場を吊り上げる。足場7はその爪部dが取付金具10の受金具11の爪部cに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
(b)クレーンにより吊り上げられる足場は、半円形状、扇形状あるいは外周部分の一部に切欠き部を有するために、クレーンで吊り上げる際に適宜回転させることにより、螺旋階段、垂直方向の補強材4等に接触することなく吊り上げ、立坑内から撤去することができる。
(c)次に、立坑上部からクレーン等により、補強材の爪部aに掛着された取付金具を吊り上げる。この取付金具10もその爪部bが補強材3の爪部aに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
【0038】
(実施例2)
次に本発明の、第2の実施の態様について以下説明する。第2の実施例は、予め作業用足場7に取付金具10を取り付けておく立坑用足場の組立方法である。
図15は、第2の実施例を示す図である。図15(a)は、取付金具10が取り付けられた足場7の側面図である。図15(b)は、足場7が受金具11を介して、取付金具10にボルト6により、取り付けられている様子を示す。
第2の実施の態様による組み立て方法は、以下の手順により行われる。
(a)取付金具10の所定の位置に受金具11をボルト締め等する。前述したように足場の位置を集水用のボーリングをする位置に合わせる必要があるためである(図15(a))。次に、受金具11を取り付けた取付金具10を、足場7にボルト締め等により取り付ける(図15(b))。
(b)立坑上部からクレーン等により、取付金具10を取り付けた足場7を立坑内に吊り下げる。
(c)立坑の土留材に設けられた補強材3の爪部20aに、足場に取り付けた取付金具の爪部20bを掛着する(図6)。
【0039】
なお、この実施の態様では、取付金具10の複数場所に受金具11が取り付けられた態様を示している。足場の位置を調整するのに予め複数の受金具が取付金具に取り付けられている方が便利な場合が多いからである。
しかし、受金具11を介さずに直接取付金具10を足場7にボルト締め、あるいは溶接等することも可能である。
【0040】
本実施例による足場を、撤去する方法を以下説明する。
(a)立坑上部からクレーン等により、作業用足場を吊り上げる。足場7はその取付金具の受金具11の爪部cが補強材の爪部aに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
(b)クレーンにより吊り上げられる足場は、半円形状、扇形状あるいは外周部分の一部に切欠き部を有するために、クレーンで吊り上げる際に適宜回転させることにより、螺旋階段、垂直方向の補強材4等に接触することなく吊り上げ、立坑内から撤去することができる。
【0041】
(その他の実施例)
本発明は、地すべり防止用の集水井に限らず、概ね垂直に掘削された立坑であって、その内部の所定の位置に足場を設ける立坑において幅広く活用できる。
本発明により足場を組立設置した後で、必要に応じて取付金具と補強材、取付金具と足場の間をボルト締め、あるいは取り外し等することは、本発明の技術的特徴を損なうものではない。
足場を構築してからのボルト締め等の補強作業は、高所作業とならず、危険作業を回避するという本発明の目的を達成できるからである。
本発明の作業用足場は、集水井用の立坑で集水パイプを構築する際の作業用足場を例に説明したが、足場の用途はこの例に限らず、例えば、立坑の点検用足場、立坑への落下防止用の台又は落下物防止用の台等としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、立坑用足場の構成を示す図である。図1(a)は立坑用足場の平面図、図1(b)は、立坑内に足場を組立設置した状態を示す立坑の側面図である。
【図2】図2は、取付金具の構成を示す図である。図2(a)は取付金具の正面図、図2(b)は、その側面図である。図2(c)は、図2(b)のa−a線から見た図、図2(d)は、b−b線から見た図である。
【図3】図3は、受金具の構成を示す図である。図3(a)は受金具の側面図、図3(b)は、その正面図である。
【図4】図4は、半円形足場の構成を示す図である。図4(a)は半円形足場の平面図、図4(b)は、その側面図である。
【図5】図5は、ライナープレートに補強材を取り付ける様子を示す図である。図5(a)はH形鋼による補強材取り付けの側面図、図5(b)はL形鋼による補強材の取り付けの側面図である。
【図6】図6は、取付金具が補強材に掛着される様子を示す側面図である。
【図7】図7は、概ね半円形状の足場の外観図である。
【図8】図8は、集水井の設置状況を説明する図である。図8(a)は地形の断面図、図8(b)は、地形の平面図である。
【図9】図9は、集水井を構成する立坑の形状を示す図である。図9(a)は円形の立坑の平面図を、図9(b)は矩形の立坑の平面図を示す。図9(c)は、円形あるいは矩形の立坑の側面図である。
【図10】図10は、2枚のライナープレートを接続する様子を示す図である。
【図11】図11は、円形立坑内に設けられた螺旋階段を、立坑上部から見た図である。
【図12】図12は、立坑内で足場を設置する作業を行っている様子を示す図である。図12(a)は、ケーブルにより懸垂された作業員が足場を設置する様子を、図12(b)は、螺旋階段に立って作業する作業員の様子を示す図である。
【図13】図13は、従来技術に係る立坑内の足場を構築する作業を示す図である。
【図14】図14は、従来技術に係る支持腕の構成等を示す図である。
【図15】図15(a)は、取付金具を取り付けた足場の側面図である。図15(b)は、足場に取付金具を取り付けた構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1:ライナープレート
2:基礎コンクリート
3:補強材(水平方向)
3a:補強材(H形鋼)
3b:補強材(L形鋼)
4:補強材(垂直方向)
5a:継手板(ライナープレート)
5b:フランジ(ライナープレート)
6:ボルト
7:(作業用)足場
7a:半円形足場
8:梁材(足場)
9:間詰めパネル
10:取付金具
11:受金具
12:受金具取付部(取付孔)
13:受金具の補強板
14:取付金具の支持部材
15:取付金具の係止金具
20:爪部
20a:爪部a(補強材)
20b:爪部b(取付金具)
20c:爪部c(受金具)
20d:爪部d(足場)
22:吊下金具(足場)
31:ライナープレート
32:支持腕
34:腕板
35:フランジ
36:水平板
37:足場
38:鉄筋
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地すべり防止用の集水井の立坑作業で構築される、作業用足場に係るものである。
【背景技術】
【0002】
地すべり防止用の集水井とは、地すべり予想地帯から地下水を排水することにより、地すべりの発生を予防する目的で構築される集水井(立坑)をいう。
図8(a)は、その集水井を構築して、地すべりの発生を予防する様子を示した地形の断面図である。
地すべりの発生が予想される箇所(図中すべり面で囲まれる箇所)に、立坑(集水井)を掘り、その立坑の途中から山の斜面に向かってボーリングして、その箇所の地下水を集水パイプで集水する。集水した水は、排水パイプにより排水溝に排水される。地下水脈の位置に応じて、集水井の異なる位置から山の斜面に向かってボーリング作業が必要となる。
図8(b)は、同じ地形の平面図である。集水井から各方向に向かって集水用のボーリングがなされる。
【0003】
集水井(立坑)の平面形状は、概ね円形(楕円形を含む)、直線と半円を組合わせた形状(小判形)、以上合わせて本明細書では「概ね円筒形状」と呼ぶ、あるいは正方形若しくは矩形のもの等がある。
図9(a)は、平面形状が円形の立坑の平面図である。立坑の直径は、約1.5mから10m等、用途に応じて様々な大きさの立坑が構築される。
例えば図9(a)に示す、概ね円筒形状の立坑では、土留材としてライナープレート1が用いられている。ライナープレートは波形の鋼板で、その外観形状を図10に示す。
集水井を掘削しながら、複数のライナープレート1の左右を継手板5a同士、上下をフランジ5b同士、それぞれボルト締めすることによって、互いに接続し、順次下方に延長して土留材として組み立てられる。
なお、図10において、上部のライナープレートの継手板5aは鳥瞰図で、下部のライナープレートの継手板は透視図で表しているが、両者共に同一の構造である。
【0004】
図9(b)は、表面形状が矩形の立坑の平面図である。同じく土留材としてライナープレート1が使用されている。
図9(c)は、円形あるいは矩形の立坑の側面図である。土留材の強度を上げるために、ライナープレート1の間に複数の補強材3が設けられている。立坑は、その底部に基礎コンクリート2が打たれ、立坑深さHは、立坑の規模や形状により異なるが、深いものでは数10mに達する。
図9(a)は、更に垂直方向の補強材として補強材4(この例ではH型鋼)が設けられている様子を示す。立坑の規模に応じて、適宜、水平方向の補強材3及び垂直方向の補強材4が設けられる。
【0005】
立坑内部には、点検作業員等が上り下りする為の螺旋階段等が設けられている。図11は、円筒形状の立坑上部から底部を見た図である。螺旋階段が立坑内壁に沿って設けられている様子を示している。
集水井(立坑)内部には、集水用のボーリングをするための作業用足場を設ける必要がある。この作業用足場にボーリング機械等を設置して、図8で説明したボーリング作業を行う。
本発明は、この作業用足場及び作業用足場の組立・撤去方法に係る発明である。
【0006】
以下、立坑で用いられる作業用足場に係る従来技術を、実用新案文献1を例にとって説明する。なお、この考案に係る立坑は、地中に円形状に掘削した坑内に鉄筋を組み立て、その後コンクリートを打設して構築する深礎坑に係る立坑である。また、この作業用足場は、深礎工事用で孔底から最上部まで鉄筋を組み立てる際に用いられるものである。
図13〜14は、実用新案文献1に係る考案の実施の態様を示す図である。
図14において、ライナープレート31のフランジ35に支持腕32の水平板36をボルト締めし、支持腕から水平方向に伸びる腕板34上に、円形の足場37(図13)を搭載したあと、腕板と足場をボルト締めして固定し、鉄筋38を構築する作業用足場が紹介されている。
図14において、腕板34の先端部に設けられた孔は、作業用足場を固定するためのボルト孔である。
足場を撤去する際には、逆に足場37を腕板34に固定しているボルトを取外して、足場をクレーン等で吊り上げて撤去した後で、支持腕32をライナープレート31から取外す旨が記載されている。
【0007】
しかしこの作業用足場構築方式によれば、水平板36をライナープレートのフランジ35にボルト締めする作業が発生する。
図12(a)に示すように、作業員Aは立坑上部からケーブルにより吊り下げられた状態で、水平板36のライナープレート31へのボルト締め作業を行う必要がある。あるいは、作業員Bのように、立坑内部に設けられた螺旋階段から手を伸ばして、ボルト締め作業をする必要がある。
通常、作業用足場を設ける場所は、立坑底面(図9(c)、基礎コンクリート2)から数mあるいは数10m上の高さにあり、この作業は高所作業となり、危険を伴うこととなる。
【0008】
また実用新案文献1では、円形の足場37を支持腕32上に設置する構造となっている(図13)。前述したように集水井等の立坑内壁には点検作業員が立坑内を上下に移動するための螺旋階段等が設けられることが多い。階段が設けられていると、円形の足場を吊り下げる作業を妨げることになる。
従って、足場を組立設置する前に螺旋階段等を設けることができず、集水用のボーリング作業を完了してから階段を設置することになり、湧き水が出ている中での階段取付作業は危険である。
実用新案文献1 実開平6-87557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来技術では立坑内部に作業用足場を設ける作業は危険を伴い、また、螺旋階段等を設置する作業にも制限が生じるものであった。
そこで、本発明の目的は、立坑内部に作業用足場を設ける作業において危険作業を回避し、作業用足場の組立設置、撤去作業の簡素化を図る点にある。
また、立坑内に設けられる螺旋階段、垂直方向の補強材等の設置作業と足場の組立設置作業の作業手順の制限を少なくし、効率的な作業の実現を図る点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、本発明の第1の態様は、
立坑内部に設けられる作業用足場であって、立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、補強材の爪部aに掛着される、受金具が設けられた爪部bを有する取付金具と、受金具の爪部cに掛着される爪部dを有する足場とから構成されることを特徴とする立坑用足場である。
すなわち、取付金具を補強材の爪部aに掛着させ、その取付金具の受金具の爪部cに足場を掛着させる立坑用足場である。
【0011】
本発明の第2の態様は、補強材の爪部a、取付金具の爪部b、受金具の爪部c若しくは足場の爪部dの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする立坑用足場である。
【0012】
本発明の第3の態様は、受金具が取付金具に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする立坑用足場である。
【0013】
本発明の第4の態様は、立坑内部に設けられる作業用足場であって、立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、爪部bを有する取付金具と、補強材の爪部aに取付金具の爪部bが掛着される取付金具が設けられた足場と、から構成されることを特徴とする立坑用足場である。
すなわち、あらかじめ取付金具が設けられた足場を、補強材の爪部aに掛着させる立坑用足場である。
【0014】
本発明の第5の態様は、補強材の爪部a若しくは受金具の爪部cの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする立坑用足場である。
【0015】
本発明の第6の態様は、土留材がライナープレートであることを特徴とする立坑用足場である。
【0016】
本発明の第7の態様は、取付金具が、取付金具の支持部材と、支持部材の少なくとも一端に取り付けられた係止金具とからなり、当該係止金具に設けられた爪部bの端部と支持部材の端部との間隔は、補強材の爪部aの厚み以上であることを特徴とする立坑用足場である。
【0017】
本発明の第8の態様は、立坑が概ね円筒形状の立坑であり、立坑に設けられる足場が、概ね円形状、概ね半円形状、あるいは概ね扇形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0018】
本発明の第9の態様は、立坑が概ね矩形あるいは正方形の形状の立坑であり、立坑に設けられる足場が、概ね正方形あるいは矩形の形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0019】
本発明の第10の態様は、足場が、外周部分の一部に切欠き部を有する形状の足場であることを特徴とする立坑用足場である。
【0020】
本発明の第11の態様は、立坑内部の所定の位置に、作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具の所定の位置に受金具を取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により取付金具を立坑内に吊り下げ、
(c)土留材に設けられた補強材の爪部aに取付金具の爪部bを掛着し、
(d)立坑上部からクレーン等により足場を立坑内に吊り下げ、
(e)受金具の爪部cに足場の爪部dを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法である。
【0021】
本発明の第12の態様は、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部cに掛着された作業用足場を吊り上げ、
(b)立坑上部からクレーン等により、立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに掛着された取付金具を吊り上げること、
からなる、立坑用足場の撤去方法である。
【0022】
本発明の第13の態様は、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具を足場に取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により、取付金具を取り付けた足場を立坑内に吊り下げ、
(c)立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに、足場に取り付けられた取付金具の爪部bを掛着することからなる、立坑用足場の組立方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば作業員が高所作業をすることなく、立坑内部の所定の位置に安全に作業用足場を組立設置、撤去することが出来、作業の安全性が高まる。
また、作業用足場の組立設置前に立坑の補強材、螺旋階段等の設置が可能となり、作業手順の自由度があがり、それに伴って作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明者は、以下の手段によって上述した問題を解決した。
すなわち、土留材(例えばライナープレート)と土留材の継ぎ目部分に爪部を有する水平方向の補強材を設け、その爪部に取付金具の爪部を掛着させる。この取付金具には、あらかじめ所定の位置に作業用足場の受金具をボルト締め等にて取り付けておく。
上記取付金具を補強材の爪部に掛着、すなわち、ぶら下がり、引っ掛けるように取り付けることにより、立坑上部からクレーン等で取付金具を上記補強材に取り付けることを可能とする。
その後、例えば半円形の作業用足場を、立坑上部からクレーン等で吊り下げ、螺旋階段等に接触しないように半円形の足場を適宜回転させながら降下させ、足場に設けられた爪部を、上記取付金具にボルト締め等された受金具の爪部に掛着させることにより足場を固定する。
【0025】
また、作業用足場を撤去するときには、立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部に掛着された作業用足場を吊り上げ、撤去した後、クレーン等により、立坑の土留材に設けられた補強材の爪部に掛着された取付金具を吊り上げて撤去する。
それぞれ相対する爪部が掛着されることにより固定されることから、足場を組立設置する際も撤去する際も、作業員が高所でボルト締め等などの危険作業をする必要がなく、また、取り付け取り外し作業が簡便に行え、作業時間の短縮も図れる。
【0026】
また、立坑内部に点検用の螺旋階段等を残置する場合であっても、螺旋階段を取外すことなく、半円形状の足場、扇形状の足場、正方形の足場、矩形の足場若しくは外周部分の一部に切欠き部を有する足場を、螺旋階段、垂直方向の補強材等に接触することなく、適宜回転させながらクレーン等で吊り上げ、作業用足場を撤去することが可能となる。
ここで扇形状の足場とは、概扇形の足場であって、その扇の開き角度が90度以上180度以下である足場を言う。足場の円周部分に設けられた爪部が、補強材の爪部に掛着されることにより足場が保持される形状を想定したものである。
【0027】
(実施例1)
本発明の第1の実施態様について以下、図を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の実施例の一つである作業用足場が設置された円筒形状の立坑の平面図、図1(b)はその側面図である。
本実施例では、土留材として前述したライナープレート1が使用されている。ライナープレートとライナープレートの継ぎ目には、所定の間隔で補強材3がリング状に設けられている(図1(b)参照)。土留材の強度を保つためである。また、垂直方向にも補強材4が設けられる場合もある(図1(a)参照)。
概ね半円形状の足場7が2枚相対して設置され、2つの足場の間には間詰めパネル9が被せられている。半円形状の足場7には、外周部分の一部に切欠き部が設けられている。垂直方向の補強材4と足場が接触しないためである。
立坑内壁に螺旋階段等が設けられている場合には、その螺旋階段と接触しないように足場に切欠き部を設けることも可能である。
半円形状若しくは扇形状等の分割足場の場合には、切欠き部を設けなくても、当該足場をクレーンで吊り上げ、吊下ろしする際に回転させることにより、階段等に接触しないようにすることが可能となる。
【0028】
前述したように、ライナープレートは継手板5a同士、フランジ5b同士をボルト締め等することにより接続される。
図5は、2枚のライナープレート1をボルト締めする様子を示す、断面図である。図5(a)に、上下2枚のライナープレート1の間にH形鋼で構成される補強材3aを取り付ける方法を示す。2枚のライナープレート1のフランジ5bと補強材3aをボルト締めする。H形鋼のH形形状の端部20aが補強材3aの爪部aを構成する。
図5(b)は、L形鋼を用いた補強材3bのライナープレートへの取付方法を示した図である。同じくL形形状の端部20aが補強材3bの爪部aを構成する。
H形鋼、L形鋼に限らず、溝形鋼(U字形鋼)等このような爪部を有する形鋼であれば同様の効果を発揮することができる。
【0029】
図2(a)〜(d)は、取付金具10の形状を示す図である。ここで、図2(a)は取付金具の正面図である。後述する受金具11は、この取付金具の取付部12にボルト締め等にて着脱可能に取り付けられる。取付金具の端部には係止金具15が設けられている。
本実施例では、係止金具15は支持部材14の上下両端に設けているが、どちらか一方に設けてもよい。
図2(b)のa−a線からみた図が図2(c)、b−b線から見た図が図2(d)である。支持部材14は取付金具10が補強材3を押さえる役目を果たす(図6)。
本実施例では、T型断面(図2(c)、(d))の取付金具の実施例を示したが、T型断面の取付金具の他に、L型、H型等の形鋼でもよいし、閉断面の鋼管でも良い。
【0030】
図3(a)は、例えばH形鋼にて構成される受金具11の側面図である。受金具11は取付金具10にボルト締め等される。必要に応じて補強板13が設けられてもよい。
補強材3は、土留材であるライナープレートを補強する目的で、所定の間隔で設けられるのに対して(図1(b)の3参照)、集水用のボーリングをする位置は地形的な条件から決められる(図8(a)参照)。従って、ボーリング作業用の機器を載せる足場の位置は補強材の位置とは必ずしも一致しない。そこで、取付金具10の所定の位置に、あらかじめ受金具11をボルト締め等して足場を設置する位置を調整する。
例えば、図2(a)に示すように、取付金具10の複数箇所に受金具取付部12を設けておき、補強材3の位置と集水用のボーリング位置によって、必要でない受金具を撤去してもよい。また、ボーリング位置が予め想定できる場合には、受金具を複数場所に取り付けなくてもよい。
【0031】
本発明において、補強材3にあらかじめ爪部を溶接、ボルト締め等する方法もありうるが、補強材として広く利用される形鋼の端部を、爪部として利用することにより、特別な部材を用いることなく取付金具、足場の掛着を実現することができる。
【0032】
取付金具10が、補強材3aに掛着される様子を示す断面図を図6に示す。
図6は、2枚のライナープレート1の間にボルト締め等された補強材3aの爪部20aに、取付金具10の係止金具15の爪部20bが掛着される様子を示す。
取付金具の支持部材14が補強材3aを押さえ、取付金具10が図面左右方向に振れるのを防止している。また、係止金具15の爪部20bの端部と支持部材14の端部との間隔は、補強材の爪部20aの厚み以上であり、当該爪部20aが挿入可能となっている。また、この間隔を調整することにより、掛着作業の容易性及び取付金具10の左右の振れを調整することもできる。
また、係止金具15と補強材3aの間に、板を折り曲げた弾性により、くさび効果のある部材を差し込んで振れ止めとしても良い。具体的には、図6において、支持部材14と補強材3aの間、あるいは係止金具の爪部20bと補強材3aの爪部20aの間に上記くさび効果のある部材を差し込んで取付金具10が振れるのを防止しても良い。
【0033】
次に図1等を用いて、作業用足場について説明する。
図1は、前述したように本発明の実施例1に係る円筒形状の立坑用に組立設置された足場7を示す図である。概ね半円形の足場7aの平面図を図4(a)に示す。
図4(b)は、この足場の側面図である。足場には、強度を持たすために梁材8が設けられ、足場外周には例えば形鋼(L形鋼、H形鋼、溝形鋼他)で構成される爪部材20dが設けられている。
足場の材料としては、縞鋼板、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の鋼板が用いられる。
図7は、半円形状の足場の外観図である。この足場では、クレーン等で吊り下げるために計4個の吊下金具22が設けられている。
【0034】
足場の形状は半円形状に限らず、立坑の直径に応じて概ね円形状(楕円を含む)、概ね扇形状など様々な形状が採用できる。
直径が小さい立坑の場合には、概ね円形状の足場を採用してもよい。立坑の直径が大きい場合には、足場の重量が大きくなることから、半円形状あるいは扇形状等の分割足場が適している場合もある。いずれの場合にも、複数の爪部dによる掛着によって、足場が安定して保持される形状であることが必要である。
円形状の足場の場合には、上述したように螺旋階段部分又は垂直方向の補強材4との接触を防ぐために、外周部分の一部に切欠き部を設ける必要がある場合もある。半円形状あるいは扇形状等の場合には、切欠き部を設けなくても、クレーン等で立坑内に吊り下げるときに、螺旋階段の設けられた位置を避けるように足場を回転させながら降下させることができる。
【0035】
正方形あるいは矩形の立坑の場合には、足場は立坑の形状に応じて、矩形の足場、あるいは正方形の足場が採用される。また、複数の足場から構成される矩形あるいは正方形の足場も採用できる。
この矩形の立坑の場合も、立坑内壁に沿って設置された階段と足場が接触しないように、矩形の足場あるいは正方形の足場を適宜回転させながら、あるいは移動させながら吊り下げることが出来る。また、これらの足場の外周部分の一部に切欠き部を設けて、階段や垂直方向の補強材と足場が接触しないようにすることも可能である。
【0036】
本発明による足場を、立坑内で組み立てる方法を以下説明する。
(a)まず、最初に集水用のボーリングをする位置に応じて、取付金具10の所定の位置に受金具11をボルト締め等する(図2、図3参照)。
(b)次に、立坑上部からクレーン等により、取付金具10を立坑内に吊り下げる。
(c)ライナープレート1の補強材3の爪部20aに、取付金具10の爪部20bを掛着する(図1(b)、図6参照)。
(d)次に立坑上部からクレーン等により足場7を立坑内に吊り下げる(図7、図12(b)参照)。
(e)取付金具10にボルト締め等された受金具11の爪部20cに足場の爪部20dを掛着させる(図3、図4(b)参照)。その際には必要に応じて、作業員Cは立坑内壁に設けられた螺旋階段等からロープ等で足場の爪部を受金具の爪部に掛着する位置を誘導する(図12(b)参照)。
【0037】
本実施例による足場を、撤去する方法を以下説明する。
(a)立坑上部からクレーン等により、取付金具の受金具の爪部cに掛着された作業用足場を吊り上げる。足場7はその爪部dが取付金具10の受金具11の爪部cに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
(b)クレーンにより吊り上げられる足場は、半円形状、扇形状あるいは外周部分の一部に切欠き部を有するために、クレーンで吊り上げる際に適宜回転させることにより、螺旋階段、垂直方向の補強材4等に接触することなく吊り上げ、立坑内から撤去することができる。
(c)次に、立坑上部からクレーン等により、補強材の爪部aに掛着された取付金具を吊り上げる。この取付金具10もその爪部bが補強材3の爪部aに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
【0038】
(実施例2)
次に本発明の、第2の実施の態様について以下説明する。第2の実施例は、予め作業用足場7に取付金具10を取り付けておく立坑用足場の組立方法である。
図15は、第2の実施例を示す図である。図15(a)は、取付金具10が取り付けられた足場7の側面図である。図15(b)は、足場7が受金具11を介して、取付金具10にボルト6により、取り付けられている様子を示す。
第2の実施の態様による組み立て方法は、以下の手順により行われる。
(a)取付金具10の所定の位置に受金具11をボルト締め等する。前述したように足場の位置を集水用のボーリングをする位置に合わせる必要があるためである(図15(a))。次に、受金具11を取り付けた取付金具10を、足場7にボルト締め等により取り付ける(図15(b))。
(b)立坑上部からクレーン等により、取付金具10を取り付けた足場7を立坑内に吊り下げる。
(c)立坑の土留材に設けられた補強材3の爪部20aに、足場に取り付けた取付金具の爪部20bを掛着する(図6)。
【0039】
なお、この実施の態様では、取付金具10の複数場所に受金具11が取り付けられた態様を示している。足場の位置を調整するのに予め複数の受金具が取付金具に取り付けられている方が便利な場合が多いからである。
しかし、受金具11を介さずに直接取付金具10を足場7にボルト締め、あるいは溶接等することも可能である。
【0040】
本実施例による足場を、撤去する方法を以下説明する。
(a)立坑上部からクレーン等により、作業用足場を吊り上げる。足場7はその取付金具の受金具11の爪部cが補強材の爪部aに掛着されているので、クレーン等で吊り上げることにより簡単に取外すことができる。
(b)クレーンにより吊り上げられる足場は、半円形状、扇形状あるいは外周部分の一部に切欠き部を有するために、クレーンで吊り上げる際に適宜回転させることにより、螺旋階段、垂直方向の補強材4等に接触することなく吊り上げ、立坑内から撤去することができる。
【0041】
(その他の実施例)
本発明は、地すべり防止用の集水井に限らず、概ね垂直に掘削された立坑であって、その内部の所定の位置に足場を設ける立坑において幅広く活用できる。
本発明により足場を組立設置した後で、必要に応じて取付金具と補強材、取付金具と足場の間をボルト締め、あるいは取り外し等することは、本発明の技術的特徴を損なうものではない。
足場を構築してからのボルト締め等の補強作業は、高所作業とならず、危険作業を回避するという本発明の目的を達成できるからである。
本発明の作業用足場は、集水井用の立坑で集水パイプを構築する際の作業用足場を例に説明したが、足場の用途はこの例に限らず、例えば、立坑の点検用足場、立坑への落下防止用の台又は落下物防止用の台等としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、立坑用足場の構成を示す図である。図1(a)は立坑用足場の平面図、図1(b)は、立坑内に足場を組立設置した状態を示す立坑の側面図である。
【図2】図2は、取付金具の構成を示す図である。図2(a)は取付金具の正面図、図2(b)は、その側面図である。図2(c)は、図2(b)のa−a線から見た図、図2(d)は、b−b線から見た図である。
【図3】図3は、受金具の構成を示す図である。図3(a)は受金具の側面図、図3(b)は、その正面図である。
【図4】図4は、半円形足場の構成を示す図である。図4(a)は半円形足場の平面図、図4(b)は、その側面図である。
【図5】図5は、ライナープレートに補強材を取り付ける様子を示す図である。図5(a)はH形鋼による補強材取り付けの側面図、図5(b)はL形鋼による補強材の取り付けの側面図である。
【図6】図6は、取付金具が補強材に掛着される様子を示す側面図である。
【図7】図7は、概ね半円形状の足場の外観図である。
【図8】図8は、集水井の設置状況を説明する図である。図8(a)は地形の断面図、図8(b)は、地形の平面図である。
【図9】図9は、集水井を構成する立坑の形状を示す図である。図9(a)は円形の立坑の平面図を、図9(b)は矩形の立坑の平面図を示す。図9(c)は、円形あるいは矩形の立坑の側面図である。
【図10】図10は、2枚のライナープレートを接続する様子を示す図である。
【図11】図11は、円形立坑内に設けられた螺旋階段を、立坑上部から見た図である。
【図12】図12は、立坑内で足場を設置する作業を行っている様子を示す図である。図12(a)は、ケーブルにより懸垂された作業員が足場を設置する様子を、図12(b)は、螺旋階段に立って作業する作業員の様子を示す図である。
【図13】図13は、従来技術に係る立坑内の足場を構築する作業を示す図である。
【図14】図14は、従来技術に係る支持腕の構成等を示す図である。
【図15】図15(a)は、取付金具を取り付けた足場の側面図である。図15(b)は、足場に取付金具を取り付けた構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1:ライナープレート
2:基礎コンクリート
3:補強材(水平方向)
3a:補強材(H形鋼)
3b:補強材(L形鋼)
4:補強材(垂直方向)
5a:継手板(ライナープレート)
5b:フランジ(ライナープレート)
6:ボルト
7:(作業用)足場
7a:半円形足場
8:梁材(足場)
9:間詰めパネル
10:取付金具
11:受金具
12:受金具取付部(取付孔)
13:受金具の補強板
14:取付金具の支持部材
15:取付金具の係止金具
20:爪部
20a:爪部a(補強材)
20b:爪部b(取付金具)
20c:爪部c(受金具)
20d:爪部d(足場)
22:吊下金具(足場)
31:ライナープレート
32:支持腕
34:腕板
35:フランジ
36:水平板
37:足場
38:鉄筋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑内部に設けられる作業用足場であって、
当該立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、
当該補強材の爪部aに掛着される、受金具が設けられた爪部bを有する取付金具と、
当該受金具の爪部cに掛着される爪部dを有する足場と、
から構成されることを特徴とする立坑用足場。
【請求項2】
前記補強材の爪部a、前記取付金具の爪部b、前記受金具の爪部c若しくは前記足場の爪部dの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする請求項1に記載の立坑用足場。
【請求項3】
前記受金具が前記取付金具に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の立坑用足場。
【請求項4】
立坑内部に設けられる作業用足場であって、
当該立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、
爪部bを有する取付金具と、
前記補強材の爪部aに前記取付金具の爪部bが掛着される、前記取付金具が設けられた足場と、
から構成されることを特徴とする立坑用足場。
【請求項5】
前記補強材の爪部a若しくは前記取付金具の爪部bの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする請求項4に記載の立坑用足場。
【請求項6】
前記土留材がライナープレートであることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項7】
前記取付金具が、当該取付金具の支持部材と、当該支持部材の少なくとも一端に取り付けられた係止金具とからなり、当該係止金具に設けられた爪部bの端部と前記支持部材の端部との間隔は、前記補強材の爪部aの厚み以上であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項8】
前記立坑が概ね円筒形状の立坑であり、当該立坑に設けられる前記足場が、概ね円形状、概ね半円形状、あるいは概ね扇形状の足場であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項9】
前記立坑が概ね矩形あるいは正方形の形状の立坑であり、当該立坑に設けられる前記足場が、概ね正方形あるいは矩形の形状の足場であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項10】
前記足場が、外周部分の一部に切欠き部を有する形状の足場であることを特徴とする請求項8又は9いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項11】
立坑内部の所定の位置に、作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具の所定の位置に受金具を取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により当該取付金具を立坑内に吊り下げ、
(c)土留材に設けられた補強材の爪部aに当該取付金具の爪部bを掛着し、
(d)立坑上部からクレーン等により前記足場を立坑内に吊り下げ、
(e)前記受金具の爪部cに前記足場の爪部dを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法。
【請求項12】
請求項11に記載の、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)立坑上部からクレーン等により、前記取付金具の受金具の爪部cに掛着された前記作業用足場を吊り上げ、
(b)立坑上部からクレーン等により、前記立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに掛着された前記取付金具を吊り上げること、
からなる、立坑用足場の撤去方法。
【請求項13】
立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具を前記足場に取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により、前記取付金具を取り付けた前記足場を立坑内に吊り下げ、
(c)前記立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに、前記足場に取り付けられた前記取付金具の爪部bを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法。
【請求項1】
立坑内部に設けられる作業用足場であって、
当該立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、
当該補強材の爪部aに掛着される、受金具が設けられた爪部bを有する取付金具と、
当該受金具の爪部cに掛着される爪部dを有する足場と、
から構成されることを特徴とする立坑用足場。
【請求項2】
前記補強材の爪部a、前記取付金具の爪部b、前記受金具の爪部c若しくは前記足場の爪部dの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする請求項1に記載の立坑用足場。
【請求項3】
前記受金具が前記取付金具に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の立坑用足場。
【請求項4】
立坑内部に設けられる作業用足場であって、
当該立坑の土留材に設けられた爪部aを有する補強材と、
爪部bを有する取付金具と、
前記補強材の爪部aに前記取付金具の爪部bが掛着される、前記取付金具が設けられた足場と、
から構成されることを特徴とする立坑用足場。
【請求項5】
前記補強材の爪部a若しくは前記取付金具の爪部bの内いずれか1つ以上の爪部が形鋼で構成され、当該爪部が、H形鋼のH形形状の端部、L形鋼のL形形状の端部あるいは溝形鋼のU字形状の端部等であることを特徴とする請求項4に記載の立坑用足場。
【請求項6】
前記土留材がライナープレートであることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項7】
前記取付金具が、当該取付金具の支持部材と、当該支持部材の少なくとも一端に取り付けられた係止金具とからなり、当該係止金具に設けられた爪部bの端部と前記支持部材の端部との間隔は、前記補強材の爪部aの厚み以上であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項8】
前記立坑が概ね円筒形状の立坑であり、当該立坑に設けられる前記足場が、概ね円形状、概ね半円形状、あるいは概ね扇形状の足場であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項9】
前記立坑が概ね矩形あるいは正方形の形状の立坑であり、当該立坑に設けられる前記足場が、概ね正方形あるいは矩形の形状の足場であることを特徴とする請求項1又は4いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項10】
前記足場が、外周部分の一部に切欠き部を有する形状の足場であることを特徴とする請求項8又は9いずれか1項に記載の立坑用足場。
【請求項11】
立坑内部の所定の位置に、作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具の所定の位置に受金具を取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により当該取付金具を立坑内に吊り下げ、
(c)土留材に設けられた補強材の爪部aに当該取付金具の爪部bを掛着し、
(d)立坑上部からクレーン等により前記足場を立坑内に吊り下げ、
(e)前記受金具の爪部cに前記足場の爪部dを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法。
【請求項12】
請求項11に記載の、立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)立坑上部からクレーン等により、前記取付金具の受金具の爪部cに掛着された前記作業用足場を吊り上げ、
(b)立坑上部からクレーン等により、前記立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに掛着された前記取付金具を吊り上げること、
からなる、立坑用足場の撤去方法。
【請求項13】
立坑内部の所定の位置に作業用足場を設ける足場組立方法において、
(a)取付金具を前記足場に取り付け、
(b)立坑上部からクレーン等により、前記取付金具を取り付けた前記足場を立坑内に吊り下げ、
(c)前記立坑の土留材に設けられた補強材の爪部aに、前記足場に取り付けられた前記取付金具の爪部bを掛着すること、
からなる、立坑用足場の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−133596(P2008−133596A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318504(P2006−318504)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(506394463)ダイチ株式会社 (1)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(506394463)ダイチ株式会社 (1)
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