説明

立毛状立体編物

【課題】 自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子等の乗物用の座席シート表皮材、オフィスや家具等の椅子張り材、ドアの内貼り、天井材等の自動車内装材、ベッドパッドや枕等の寝具、カーペット等の敷物等に有効に利用でき、外観及び表面風合いが良好で耐摩耗性に優れたクッション材を提供する。
【解決手段】 表裏2層の編地と、これらを連結する連結糸とからなる立体編物の少なくとも一方の編地表面に、電気植毛用の繊維が電気植毛された立毛状立体編物であって、電気植毛された編地表面の開孔率が0〜50%であることを特徴とする立毛状立体編物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立毛状立体編物に関し、特に外観及び表面風合いが良好で、耐摩耗性に優れた立毛状立体編物に関する。
【背景技術】
【0002】
立体編物は、クッション性と通気性の特性を活かし、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子等の乗物用の座席シート表皮材、オフィスや家具等の椅子張り材、ドアの内貼り、天井材等の自動車内装材、ベッドパッドや枕等の寝具、カーペット等の敷物等の各種クッション材として、数多くの用途に利用されている。立体編物は、表面編地に色柄やメッシュ柄等の意匠性を付与することが可能であると共に、高通気性で蒸れ難いという効果を活かして、乗物用シートや椅子の表皮材や、寝具等の表面材として用いられる場合が多い。
【0003】
立体編物を表面材として使用する場合は、表面の風合いが非常に重要となる。立体編物の表面風合いを改良する方法として、表面を立毛状にする方法が提案されており、特許文献1には立体編物表面に電気植毛することにより、表面をソフト風合いにし、圧縮時の音発生レベルを下げた立毛状立体編物が提案されている。しかしながら、特許文献1による立毛状立体編物は、表面編地が開孔率の大きいメッシュ状編地であるため、立体編物表面が擦られた場合、表面のメッシュ編目列に集中して負荷が掛かったり、負荷を受ける面積が小さいため、植毛の耐摩耗性が劣るという問題があった。又、特許文献2には、立体編物の地組織を起毛して触感を改良する方法が提案されているが、このような立毛状立体編物においては、地組織のニットループ面が起毛される形となるため、地組織の強度を維持するには過度の起毛が困難であり、ニットループ目が完全に消えた良好な外観の立毛品を得ることが困難であった。
【特許文献1】特開2004−3094
【特許文献2】特開平10−325056
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、前記問題点を解決し、外観及び表面風合いが良好で、耐摩耗性に優れた立毛状立体編物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を達成するため、立体編物の表面に電気植毛を行い、立毛化する際の、電気植毛された編地表面の開孔率等を鋭意検討した結果、特に耐摩耗性に優れる条件を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)表裏2層の編地と、これらを連結する連結糸とを有する立体編物の少なくとも一方の編地表面に、電気植毛用の繊維が電気植毛された立毛状立体編物であって、電気植毛された編地表面の開孔率が0〜50%であることを特徴とする立毛状立体編物。
(2)電気植毛用の繊維がポリトリメチレンテレフタレート系繊維であり、そのカット長が0.2〜3.0mmの短繊維であることを特徴とする立毛状立体編物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の立毛状立体編物は、外観及び表面風合いが良好であると共に、耐摩耗性に優れ、乗物用の座席シート表皮材やオフィスや家具等の椅子張り材、ドアの内貼り、天井材等の自動車内装材、ベッドパッドや枕等の寝具、カーペット等の敷物等に有効に利用できるクッション材である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう立体編物とは、表裏2層の編地を連結糸で連結した、表層、連結層、裏層の少なくとも3層で形成される立体的な編地のことをいい、ダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で形成される編地を指す。
【0009】
立体編物の連結糸に用いる繊維素材としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができるが、目標の圧縮硬さとし、かつ良好な弾力性とするために、連結糸はモノフィラメントが好ましく、特に連結糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントであると、反発性が良好となると共に、繰り返し圧縮される際の回復性が良好となるのでより好ましい。
【0010】
又、表裏の編地を形成する繊維素材としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。尚、綿、レーヨン等の吸湿性の高い繊維を用いると、蒸れ防止性を改善する上で好ましい。特に吸放湿性の高いキュプラレーヨンを用いると、蒸れ防止性がより良好となる。又、表側の編地を構成する繊維に嵩高糸を用いると電気植毛する際の接着剤の保持性が向上し、例えば、仮撚加工糸、ジェットスタッファー加工糸、押し込み加工糸、紡績糸、ループ状毛羽を有する流体噴射加工糸等、嵩高性が付与された糸を用いることが好ましい。
【0011】
本発明の立毛状立体編物は、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が電気植毛されてなる。電気植毛加工は、相対する電極間に高電圧の静電界を発生させ、一方の電極側に接着剤を塗布した立体編物を配置させ、電植処理された短繊維に電荷を与えて反対側の電極から立体編物に向かって短繊維を飛ばして植毛する方法等によって行われるものである。
【0012】
接着剤としては酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル系あるいはウレタン系のものまたはこれらの混合物等が用いられる。
【0013】
電気植毛用の繊維は、ナイロン6や66等のポリアミド繊維やポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維(カチオン可染等の共重合ポリエステルを含む)、ポリオレフィン繊維等の短繊維であって、カット長が0.2mm〜3.0mm、好ましくは0.5mm〜3.0mm、さらに好ましくは0.7mm〜1.5mmのものが好ましく用いられる。カット長が3.0mmを超えると耐毛倒れ性が悪化して表面品位が不良となり、又0.2mmより短すぎると高級感、ソフト感が損なわれることがある。繊維素材としては、圧縮による毛倒れ性を防止する上で、ポリトリメチレンテレフタレート繊維がより好ましい。又、これらの繊維を混用して植毛してもよく、特にタイルカーペット等のカーペット用途では、導電性繊維を併用して植毛することが好ましい。
【0014】
本発明に用いる電気植毛用の繊維は、常法に従って、未延伸糸トウを延伸したり、延伸糸を束ねてトウとしたりする方法によって得られた数十万〜数百万デニールのトウを、ギロチンカッター等で0.2mm〜3.0mmにカットすることにより得ることができる。単糸デニールは、任意な太さの繊維が選定できるが、0.1dtex以上、100dtex以下が好ましく、特に0.3dtex以上、80dtex以下が好ましいが、用途に応じて適宜選定すればよい。例えばカーシート等の自動車内装材用途や家具、椅子張り等の用途では0.1dtex以上、特に0.3dtex以上、10dtex以下、特に6dtex以下が好ましい。又、タイルカーペット等のカーペット用途やバスマット、キッチンマット用途では5dtex以上、特に20dtex以上、80dtex以下、60dtex以下が好ましい。
【0015】
本発明に用いる電気植毛用の繊維は、集合している短繊維の分離性、飛昇性を良好にするための電植処理、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ素化合物や、さらにはギ酸カリウム、酢酸カリウム等の水溶性カリウム化合物の処理液で、電植処理されていることが好ましい。尚、植毛用繊維は顔料や染色により原料着色や先染(トウ状、短繊維状での染色)されていることが好ましいが、植毛後後染めしてもよい。
【0016】
又、本発明の立毛状立体編物においては、電気植毛された編地表面の開孔率が0〜50%であることが必要である。ここでいう開孔率とは、電気植毛された編地表面を直角方向から見た場合に、全体の面積に対する開孔部の面積率を示すものである。該面積率は、編地表面の拡大写真(5〜20倍)を撮影し、開孔部の面積比率を写真の重量比で計算したものである。尚、開孔部と非開孔部の境界は、電気植毛された短繊維の先端部を結んだ輪郭である。
【0017】
電気植毛された編地表面の開孔率が50%を超えると、表面が一定荷重で擦られる場合に、編地表面に局部的に掛かる負荷が増大するため、植毛された繊維の耐摩耗性が極端に低下するものとなる。尚、より好ましい開孔率は0〜40%以下、さらに好ましくは0〜35%であり、下限の開孔率である0%に近いほど好ましい。
【0018】
さらに、本発明の立毛状立体編物は直径100mmの圧縮面積で50%の厚みに圧縮する際の50%圧縮荷重が100〜500Nであることが好ましい。50%圧縮荷重が100N未満では立体編物が柔らかすぎるため、摩擦等の負荷が掛かる場合に表面層の変形が過度となり、耐摩耗性に劣るものとなる。又、500Nを超えると、硬くクッション性の劣るものとなる。より好ましい範囲は120N〜450N、更に好ましくは130N〜400Nである。
【0019】
立毛状立体編物の50%圧縮荷重を適正な範囲とするには、立体編物の連結糸の繊度、編密度、連結糸の傾斜角、厚みを十分考慮して生機を作成し、ヒートセット仕上げ時の幅出し等により、圧縮硬さを調整する必要がある。特に、立体編物の2.54cm角(6.45cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸のデシテックスをT(g/1×106cm)、連結糸の比重をρ(g/cm3)とした時に、立体編物2.54cm角の面積中にある連結糸の総断面積(N・ T/1×106・ρ)を、0.02〜0.25cm2とすることが好ましい。尚、立毛状立体編物の圧縮回復性を良好にするために、立体編物の連結糸の構造を見掛け状、クロス構造や、トラス構造、筋交い構造とすることが好ましく、さらに、編み始め方向から見た断面における、裏面編地と連結糸とで形成される角度(鋭角側)を、少なくとも20%以上の連結糸において40〜80度とすることが好ましい。
【0020】
連結糸の繊度は20〜1000デシテックスが好ましい。20デシテックス未満であるとクッション性が劣ると共に、立毛状立体編物の50%圧縮荷重が低く耐摩耗性に劣るものとなる。又、1000デシテックスを超えると硬く、クッション性に乏しいものとなる。より好ましい範囲は50〜500デシテックスである。
【0021】
本発明の立毛状立体編物の厚みは2〜30mmであることが好ましい。2mm未満であるとクッション性に乏しく、30mmを超えると立体編物のヒートセット加工が困難なものとなる。
【0022】
本発明に用いる立体編物は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができるが、精練や染色工程を省いて生機をヒートセットのみで仕上げることもできる。また仕上げセット時には本発明の目的を損なわなければ、通常、繊維加工に用いられている樹脂加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、難燃加工などの仕上げ加工を適用できる。仕上げセットで用いる熱処理機としては、ピンテンター、クリップテンター、ショートループドライヤー、シュリンクサーファードライヤー、ドラムドライヤー、連続およびバッチ式タンブラー等が使用できる
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例中の各特性の評価および測定は下記の方法で行った。
(1)開孔率H(%)
キーエンス社製の画像解析装置(VH−7000)を用い、立毛状立体編物の立毛側の拡大写真(5〜20倍)を編地表面の直角方向から撮影し、10cm角の写真(又は撮影写真のコピー)を得る。写真(又はコピー)から立毛状立体編物の表面編地(表糸および連結糸を含む)が形成されていない開孔部と、表面編地が形成されている非開孔部の境界に線を引き、開孔部を全て切り取る。開孔部の重量をA(g)、非開孔部の重量をB(g)としたときに、次式に示す重量の割合で開孔率を算出する。尚、開孔部と非開孔部の境界は、電気植毛された短繊維の先端部を結んだ輪郭とする。
【0024】
H(%)=A×100/(A+B)
(2)50%圧縮荷重
島津オートグラフAG−B型(島津製作所社製)を用い、直径100mmの円形の圧縮板により、剛体面上に置いた20cm角の立毛状立体編物を、10mm/minの速度で50%の厚みになるまで圧縮し、50%圧縮時の荷重(N)を測定する。測定は5点のサンプルで行い、平均値を求める。尚、立毛状立体編物の初期の厚みは5g/cmの荷重で測定した厚みとする。
(3)テーバー摩耗
JASOM403 A法(テーバーロータリアブレッサ法)に準じ、テーバー型摩耗試験機を用い、CS−10の摩耗輪により荷重4.9N、速度70rpmで1000回摩耗する。試験後に試験片の表面の摩耗状態を観察し、以下の等級判定を行う。
【0025】
5級:表面状態に変化がない
4級:やや毛の脱落と毛倒れがある
3級:毛の脱落と毛倒れが多い
2級:毛の脱落と毛倒れが激しい
1級:毛がほとんど脱落している
【0026】
[実施例1]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間8mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1 、L2 )から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をオールインの配列で供給し、連結糸を形成する筬(L3 )から390デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(ソロテックス社製)をオールインの配列で供給し、さらに、裏側の編地を形成する筬(L5、L6 )から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をオールインの配列で供給し、打ち込み13.2コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(×構造)を形成する表裏が緻密で平坦な立体編物の生機を編成した。得られた生機を70℃で精錬し、生機幅と同一の仕上幅で150℃×90秒の乾熱ヒートセットを行い、立体編物を得た。
【0027】
(編組織)
L1 :0222/4222/
L2 :2422/2022/
L3 :6820/861214/
L5 :2220/0002/
L6 :4420/4468/
さらに110デシテックス48フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維(丸型断面:ソロテックス社製)を束ねて100万デニールのトウとし、ギロチンカッターで1.0mmにカットした。次いで、ケイ酸ナトリウム1.5%、コロイダルシリカ3%、PH4(酢酸にて)、40℃の水溶液に、得られた短繊維を、14分間浸漬し、脱水し、乾燥し電植処理を施した。次いで先に得られた立体編物の表側の編地に接着剤としてアクリル系樹脂を均一に塗布した縦横20cmの基布に、電圧25KV、電極間距離10cmの条件で、電植処理を施した短繊維40gをパイルとして飛昇させて電気植毛加工を行った。尚、立体編物表面に接着しなかった植毛用繊維は十分に振り落とした。得られた立毛状立体編物の特性を表1に示す。
【0028】
[実施例2]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間8mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1 、L2 )から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を2本引き揃えて1000デシテックスとしたものを、L1の筬に2イン2アウトの配列で、L2の筬に2アウト2インの配列で供給し、連結糸を形成する筬(L3、L4)から390デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(ソロテックス社製)をL3の筬に2イン2アウトの配列で、L4の筬に2アウト2インの配列で供給し、さらに、裏側の編地を形成する筬(L5、L6 )から500デシテックス144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をオールインの配列で供給し、打ち込み11.2コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(×構造)を形成し、表側編地が若干開孔した立体編物の生機を編成した。得られた生機を70℃で精錬し、機上幅より8%幅出しして150℃×90秒の乾熱ヒートセットを行い、立体編物を得た。
【0029】
(編組織)
L1:81088/6444/2022/4666/
L2:2022/4666/81088/6444/
L3:810810/6464/2020/4646/
L4:2020/4646/810810/6464/
L1:0002/2220/
L2:2268/6620/
さらに、実施例1と同様にして電気植毛加工を行った。尚、立体編物の開孔部に入り、表面に接着しなかった植毛用繊維は十分に振り落とした。得られた立毛状立体編物の特性を表1に示す。
【0030】
[実施例3]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.5mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1、L2)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を、L1の筬に3イン1アウトの配列で、L2の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から56dtexのナイロンモノフィラメントをオールインの配列で供給し、裏側の編地を形成する筬(L5、L6)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸をオールインの配列で供給し、打ち込み30コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(×構造)を形成し、表側編地が若干開孔した立体編物の生機を編成した。
【0031】
得られた生機を70℃で精錬後、生機幅と同一の仕上幅で180℃×45秒の乾熱ヒートセットを行い、立体編物を得た。
【0032】
(編組織)
L1:2022/2422/2022/2444/6866/6466/
6866/6444/
L2:6866/6466/6866/6444/2022/2422/
2022/2444/
L3:2020/2424/
L1:2220/2224/
L2:0046/4420/
さらに、実施例1と同様にして電気植毛加工を行った。尚、立体編物の開孔部に入り、表面に接着しなかった植毛用繊維は十分に振り落とした。得られた立毛状立体編物の特性を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
[比較例1]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間6mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1 、L2 )から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1の筬に1イン1アウトの配列で、L2の筬に1アウト1インの配列で供給し、連結糸を形成する筬(L3、L4)から200デシテックスのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(ソロテックス社製)をL3の筬に1イン1アウトの配列で、L4の筬に1アウト1インの配列で供給し、さらに、裏側の編地を形成する筬(L5、L6 )から167デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をL5の筬に1イン1アウトの配列で、L6の筬に1アウト1インの配列で供給し、打ち込み22コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(×構造)を形成し表側編地が大きく開孔した立体編物の生機を編成した。得られた生機を70℃で精錬し、機上幅より14%幅出しして180℃×45秒の乾熱ヒートセットを行い、立体編物を得た。
【0035】
(編組織)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/
2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/
4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:4242/4646/4242/810810/4242/4646/
6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L4:6868/6464/6868/2020/6868/6464/
4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/
2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/
4446/4442/4446/4442/4446/4442/
さらに、実施例1と同様にして電気植毛加工を行った。尚、立体編物の開孔部に入り、表面に接着しなかった植毛用繊維は十分に振り落とした。得られた立毛状立体編物の特性を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の立毛状立体編物は、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子等の乗物用の座席シート表皮材、オフィスや家具等の椅子張り材、ドアの内貼り、天井材等の自動車内装材、ベッドパッドや枕等の寝具、カーペット等の敷物等に有効に利用でき、外観及び表面風合いが良好で耐摩耗性に優れたクッション材である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏2層の編地と、これらを連結する連結糸とを有する立体編物の少なくとも一方の編地表面に、電気植毛用の繊維が電気植毛された立毛状立体編物であって、電気植毛された編地表面の開孔率が0〜50%であることを特徴とする立毛状立体編物。
【請求項2】
電気植毛用の繊維がポリトリメチレンテレフタレート系繊維であり、そのカット長が0.2〜3.0mmの短繊維であることを特徴とする立毛状立体編物。