説明

端止め付き防虫網

【課題】巻取り式網戸に用いられる防虫網であって、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に簡単な操作で取付けてなる、コストの削減及び品質の安定化を図った端止め付き防虫網を提供する。
【解決手段】巻取り式網戸に用いられ、巻き取られる側の端部が、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される防虫網であって、前記端部が巻込み部材のスリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、該端部に製編織時において編み込み若しくは織込みをしてなる端止め付き防虫網である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端止め付き防虫網に関する。さらに詳しくは、本発明は、巻取り式網戸に用いられる防虫網であって、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に、製編織時において編み込み若しくは織り込むことにより、コスト削減及び品質の安定化を図った端止め付き防虫網に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部からの虫の侵入を防止する家屋用防虫施設として、家屋の窓に嵌め込まれた網戸や、窓際に配設された巻取り式網戸(例えば、特許文献1、2参照)などが知られている。
これらの防虫施設に用いられる防虫網としては、一般に、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を素材としたモノフィラメント、マルチフィラメント、スパン糸などを用い、網目が14〜32メッシュ程度の平織、綾織、あるいはラッセル編みされたネット状編織物などが知られている。
前記家屋用防虫施設の中で巻取り式網戸としては、一般に左右開閉式と巻上げ式があり、これらの巻取り式網戸に用いられる防虫網は、巻き取られる側の端部を、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから前記端部が抜脱するのを防止するために、該端部に端止め材が設けられている。
従来、前記端止め材の取付けについては、平織、綾織、ラッセル編みなどにより製編織されたネットの巻き取られる側の端部に、別の部材を縫製又は熱融着などで取付けることが行われていた。
しかしながら、このような後付けは、加工の手間と費用がかかり、コスト高になるのを免れないという問題があった。
【特許文献1】特開平9−256755号公報
【特許文献2】特開2000−328861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、巻取り式網戸に用いられる防虫網であって、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に簡単な操作で取付けてなる、コストの削減及び品質の安定化を図った端止め付き防虫網を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、端止め材をネットの製編織時に編み込み若しくは織込むことにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]巻取り式網戸に用いられ、巻き取られる側の端部が、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される防虫網であって、前記端部が巻込み部材のスリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、該端部に製編織時において編み込み若しくは織込みをしてなる端止め付き防虫網、
[2]巻取り式網戸が左右開閉式又は巻上げ式である上記[1]項に記載の端止め付き防虫網、
[3]パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される端部とは反対側の端部に、取手部材のスリットに着脱自在に係止することができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、製編織時において編み込み若しくは織込みをしてなる上記[1]又は[2]項に記載の端止め付き防虫網、
[4]端止め材が、ロープ、紐又は極太モノフィラメントである上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の端止め付き防虫網、及び
[5]網目が14〜32メッシュであって、合成繊維を使用してなる上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の端止め付き防虫網、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、巻取り式網戸に用いられる防虫網であって、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に、製編織時において編み込み若しくは織り込むことにより、コスト削減及び品質の安定化を図った端止め付き防虫網を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の防虫網は、巻取り式網戸に用いられ、巻き取られる側の端部が、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される防虫網であって、前記端部が巻込み部材のスリットから抜脱するのを防止するための端止め材が、該端部に設けられている。
本発明の防虫網において、ネットを構成する素材としては、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂からなる合成繊維、あるいはガラス繊維などが挙げられるが、これらの中で合成繊維が好ましい。
また、糸の形状としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパン糸などがあるが、特にしなやかさと引張り強度の観点から、ポリエステルのマルチフィラメントが好ましい。このポリエステルのマルチフィラメントは、通常モノフィラメント16〜48本程度、好ましくは24〜36本程度から構成されており、その繊度は通風、強度のバランスの観点から、通常30〜150デニール程度、好ましくは50〜80デニールである。
【0007】
本発明においては、前記の繊維、好ましくは合成繊維、より好ましくはポリエステルのマルチフィラメントを用い、ラッセル編み、平織、綾織などにより製編織して、網目が、好ましくは14〜32メッシュ程度のネットを作製する。網目が上記範囲より大きいと防虫効果に劣り、上記範囲より小さいと通気性が低下する。したがって、該網目は、より好ましくは16〜20メッシュである。
本発明においては、前記ネットの巻き取られる側の端部が、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止され、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、該端部に前記ネットの製編織時において編み込み若しくは織込みを行う。
当該端止め材としては、ロープ、紐、極太のモノフィラメントなどを用いることができる。太さとしては0.5〜2mm程度が好ましく、1mm程度のものがより好ましい。この端止め材の素材としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が好適である。
本発明においては、前記のパイプ状巻込み部材として、通常、外径が10〜30mm程度、好ましくは20〜25mmのアルミニウムパイプが用いられる。このパイプの外壁面に、該パイプの長尺方向に沿って設けられるスリットは、通常、幅が0.8〜2mm程度、好ましくは1〜1.3mmで、深さが1.5〜4mm程度、好ましくは2〜3mmである。
当該パイプ状巻込み部材のスリットに、ネットの巻き取られる側の端部を係止させる場合は、該ネット端部の下端を、当該パイプ状巻込み部材のスリットの上端に挿入し、下方に移動させることにより、該ネット端部をスリットに係止させることができる。
【0008】
本発明においては、ネットにおける、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される端部とは反対側の端部に、前記と同様にして、取手部材のスリットに着脱自在に係止することができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、製編織時に編み込み若しくは織込みを行うことができる。
取手部材の形状としては、取手として操作しやすい形状であればよく、特に制限はない。また、素材としては特に制限はないが、アルミニウム、プラスチック、木質系のものなどが用いられる。スリットの形状については、前述のパイプ状巻込み部材におけるスリットについて説明したとおりである。
本発明の端止め付き防虫網は、左右開閉式及び巻上げ式のいずれの巻取り式網戸にも適用することができる。
図1は、本発明の端止め付き防虫網の一態様を示す平面図であって、1は端止め付き防虫網、2は耳部、3は端止め材を示す。
図2は、パイプ状巻込み部材のスリットに、端止め付き防虫網の端部が係止された状態の一態様を示す断面図であって、パイプ状巻込み部材5に、端止め付き防虫網1が、端止め用突起部分4によって係止されている状態を示す。
本発明の端止め付き防虫網においては、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に、製編織時において編み込み若しくは織り込むことにより、コスト削減及び品質の安定化を図ることができる。
【実施例】
【0009】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする繊度75デニールのマルチフィラメント[東レ社製、商品名「テトロン長繊維T200」]を使用し、針間隔16ゲージのラッセル機で、1750コース(1m当り)のラッセルネット(通称レースネット)を製編時において、耳端に径1mmのポリエチレンロープを同時に挿入したネットを得た。このネットを用いて左右開閉式の防虫装置に装着した。
この防虫装置においては、従来、後加工で端止め材を貼り付けていたネットと、性能及び機能は全く変らず、パイプ状巻込み部材への装着の難易度、巻込み部材からの素抜けなどの問題点は、特になかった。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明の端止め付き防虫網は、巻取り式網戸に用いられる防虫網であって、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止させることができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、巻き取られる側の端部に、製編織時において編み込み若しくは織り込むことにより、コスト削減及び品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の端止め付き防虫網の一態様を示す平面図である。
【図2】パイプ状巻込み部材のスリットに、端止め付き防虫網の端部が係止された状態の一態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 端止め付き防虫網
2 耳部
3 端止め材
4 端止め用突起部分
5 パイプ状巻込み部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り式網戸に用いられ、巻き取られる側の端部が、パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される防虫網であって、前記端部が巻込み部材のスリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、該端部に製編織時において編み込み若しくは織込みをしてなる端止め付き防虫網。
【請求項2】
巻取り式網戸が左右開閉式又は巻上げ式である請求項1に記載の端止め付き防虫網。
【請求項3】
パイプ状巻込み部材のスリットに着脱自在に係止される端部とは反対側の端部に、取手部材のスリットに着脱自在に係止することができ、かつ該スリットから抜脱するのを防止するための端止め材を、製編織時において編み込み若しくは織込みをしてなる請求項1又は2に記載の端止め付き防虫網。
【請求項4】
端止め材が、ロープ、紐又は極太モノフィラメントである請求項1〜3のいずれかに記載の端止め付き防虫網。
【請求項5】
網目が14〜32メッシュであって、合成繊維を使用してなる請求項1〜4のいずれかに記載の端止め付き防虫網。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−163670(P2008−163670A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355266(P2006−355266)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(390028451)ダイオ化成株式会社 (10)