説明

第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含む1つの手荷物用の安全装置

【課題】手荷物用の安全装置を提供する。
【解決手段】本発明は、手荷物用の安全装置に関し、第1の外側ジッパー1と第2の内側ジッパー2を含み、2つのジッパー1,2は、互いの頂部に直接配置され、ジッパーの歯1a,2aは、外側ジッパー1に対して外部圧力が加えられるとき、尖ったツールPに接触するようになる。これにより、外側ジッパー1の歯が、前記ツールPの力によって外れかつ下方に移動するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含む1つの手荷物用の安全装置に関する。
本発明は、特にジッパーを備える手荷物の安全性を改善するのに特に有効である。
【0002】
本発明は、一般的にスーツケース、PCケース、種々のコンテナー、ビジネス用アクセサリー、バッグ、ナップザック、等の手荷物に、車輪のあるなしに関係なく適用される。
【背景技術】
【0003】
ジッパーを備える手荷物は、パッドロックを備えているジッパーであっても、泥棒に対する保護が不適切である。実際、ジッパーを備える手荷物は、所有者自身が見ることができず、かつ搬送オペレータによって処理されるとき、ジッパーは、ジッパーの歯の間を尖った物またはチップからの圧力で開けることができる。このように、ジッパーの歯の間に実行された圧力によって、ジッパーの歯が後方に押圧されることにより、歯を分離しかつ損傷させることができる。いくつかの歯がはずれると、簡単に引っ張るだけでジッパーを開くことが可能であり、ジッパー全体が一度に開かれてしまうので、スーツケース又は手荷物を開くことが可能になる。適度の圧力で実行されるこの動作は、分離したジッパーの歯に目に見える跡が残らない。手荷物の中身を調べた後、また、選択的にある一部を取り除くとき、オペレータは、スライダを前後移動によってジッパーを再び閉じるので、跡が残らない。
【0004】
特許文献1は、クロロプレンゴムで特に作られた、湿ったスーツ用の閉鎖手段を開示する。この閉鎖手段は、手荷物用の安全装置を構成することはできない。なぜなら、外側ジッパーの歯が、外側ジッパー上のチップ又は尖ったツールによって外側からの圧力によって容易に分離されてしまうからである。さらに、この閉鎖手段の配置は、しばしば開閉が必要とされる手荷物に用いることができない、内側シーリング層と中間シールから構成されている。
【0005】
特許文献2は、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含むシーリング閉鎖体を記載している。このシーリング閉鎖体は、手荷物用の安全装置を構成することができない。なぜなら、第1の外側ジッパーの歯は、チップまたは尖ったツールによって圧力をかけることによって容易に開いてしまうからである。
【0006】
特許文献3は、硬い外側表面を有する武器用ケースを記載する。この武器用ケースは、外側ジッパーと下側シーリングリップを含む。この武器用ケースは、単一ジッパーの歯が、チップまたは尖ったツールによって実行される分離力に抵抗することができないので、手荷物用の安全装置として用いることができない。
【0007】
特許文献4は、耐候性を有する衣類用のジッパーを開示する。このジッパーは、その歯が、チップ又は尖ったツールによって分離できるという事実によって、手荷物用の安全装置として使用することができない。
【0008】
特許文献5は、気密性容器について記載されている。この気密性容器は、2つの内側弾性シールバンドの組合せに関連したジッパーを含む。この装置は、ジッパーの歯がチップまたは尖ったツールによって分離されるという事実によって、手荷物用の安全装置として用いることはできない。
【0009】
特許文献6は、ジッパー用のシーリング手段に関する。このシーリング手段とジッパーの組合せは、手荷物用の安全装置を構成することはできない。なぜなら、外側ジッパーの歯が、チップまたは尖ったツールによって分離でき、また、チップまたは尖ったツールによって歯を分離することによって第2のジッパーを開く前に、シーリング手段が分離されるからである。
【0010】
特許文献7は、2つのジッパーと中間シーリング手段を含む閉鎖体を開示する。この閉鎖体は、外側ジッパーの歯が、チップまたは尖ったツールによって分離されるという事実によって、手荷物用の安全装置として用いることができない。
【0011】
特許文献8は、エア、ガス、及び水に対してシールされなければならない開口の閉鎖体を記載する。この閉鎖体は、手荷物用の安全装置として用いることができない。なぜなら、チップまたは尖ったツールによって、外側ジッパーの歯が分離されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,223,349−B1号明細書
【特許文献2】米国特許第2,641,037号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開2008/0264815−A1号明細書
【特許文献4】独国出願公開第19935380−A1号明細書
【特許文献5】米国特許第2,166,885号明細書
【特許文献6】米国特許第3,102,570号明細書
【特許文献7】米国特許第2,454,214号明細書
【特許文献8】米国特許第1,734,434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含む手荷物用の新しい安全装置を提案することにより、公知の欠点を取り除くことである。
【0014】
本発明の第2の目的は、経済的に生産でき、かつ簡単に、かつ人間工学的に使用できる、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含む手荷物用の安全装置を提供することである。
【0015】
手荷物用のジッパーは、実際に容易に開閉することができ、この理由から、開閉が困難でかつ高い破壊点を受け入れられる、射出成形で作られた厚い歯を構成することができない。
【0016】
手荷物用に通常用いられるジッパーは、一般的に、小さい歯、好ましくは、ポリアミド(登録商標「ナイロン」)で作られ、非常に低い破壊点を有して、直線、コーナー、及び曲線を設けて容易に開閉する閉鎖体である。
【0017】
本発明の第3の目的は、ジッパーが、複数の歯の大きさを有し、かつ単一のジッパーを備える手荷物用の通常用いられるものに対してより密な特徴を有している、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを備える手荷物用の改良された安全装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、その対象として、第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーを含む手荷物用の安全装置であって、
前記2つのジッパーは、互いに近くに近接して重なり合い、前記ジッパーの歯が、チップまたは尖ったツールを用いて、外側ジッパーの外部圧力の作用の下で接触させ、前記チップまたは前記尖ったツールの圧力の下で、外側ジッパーの歯が外れるのを防止する。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、
−2つのジッパーは、外側圧力の作用下で、歯間の接触を確実にするオフセットを有して重なり合っている。
−2つのジッパーは、互いに基本的に重なり合っている。
−第1の外側ジッパーの自由幅は、第2の内側ジッパーの自由幅よりも大きい。
−第1の外側ジッパーの自由幅は、第2の内側ジッパーの自由幅に近い。
−第1の外側ジッパーの自由幅は、第2の内側ジッパーの自由幅に僅かに小さい。
−第1の外側ジッパーと第2の内側ジッパーの各端部は、互いに対してその位置を決めるため互いに統合される。
−2つのジッパーは、2つの重なり合うスライダを含む独特のスライダ手段によって制御される。
−2つの重なり合ったスライダは、オフセットを有して重なり合うスライダである。
−2つの重なり合ったスライダは、互いに正確に重なり合うスライダである。
−単一のスライダ手段が、第1、第2スライダを含み、重なり合って、単一の引きタブを支持するブリッジと一体となっている。
本発明は、添付する図面を参照して、限定しない例として提供される以下の記載を用いてより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従う装置の第1実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図2】本発明に従う装置の第2実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図3】本発明に従う装置の第3実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図4】本発明に従う装置の第4実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図5】本発明に従う装置の第5実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図6】本発明に従う装置の第6実施形態の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【図7】本発明に従う装置の単一のスライダ手段の斜視図を図式的に示す。
【図8】本発明に従う装置の別の単一のスライダ手段の横断線に沿って図式的にみた断面図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図8において、同一のまたは作動的に等価な要素は、同一の参照番号によって参照されている。
図1において、本発明の第1実施形態は、第1の外側ジッパー1と第2の内側ジッパー2を含む。
【0022】
ジッパー1,2は、アセンブリライン4a、4bに沿ってその全体は示されていない手荷物のシェルの端部3a、3bにおいて組み立てられる。
基部に近いアセンブリライン、ここでは、4a、4b間の外側ジッパー1の中間ラインによって定められる曲線の長さは、自由幅と呼ばれ、参照番号l1によって参照される。
【0023】
基部に近いアセンブリライン、ここでは、4a、4b間に含まれ、かつ第2の内側ジッパー2の中間ラインによって定められる曲線の長さは、自由幅と呼ばれ、参照番号l2によって参照される。
【0024】
各ジッパー1,2は、協働歯1aまたは2aの対と、対応歯1aまたは2aの組合せ用の2つの縁1bまたは2bの配置を含んでいる。
チップPまたは尖ったツールによって外側ジッパーの歯1a上に圧縮力が加わると、縁1bは曲がり、そして、歯1aが、第2の内側ジッパー2の歯2a上に残る。
【0025】
第2の内側ジッパー2の歯2aによって与えられる硬い支持体は、チップまたは尖ったツールPの圧力下で外側ジッパー1の歯が外れるのを防止し、かつ第1の外側ジッパー1の歯1aの間をチップPが貫通することを防止する。
【0026】
この加えられた力に対する保護は、第1の外側ジッパー1の自由幅l1が、第2の内側ジッパー2の自由幅l2と同一かまたはそれより大きいという事実の結果である。
【0027】
図1の実施形態において、ジッパー1,2は、本質的に互いに重なり合う。
図2において、本発明に従う装置の第2実施形態は、図1に関して記載された要素と同一の要素を含んでいる。
【0028】
この実施形態において、2つのジッパー1,2は、オフセットdを有して重なり合っている。このオフセットdは、外部圧力が、チップPまたは尖ったツールによって外側ジッパー1に加わるとき、ジッパー1,2の歯1a、2aが接触するように、当業者によって選択されている。
【0029】
ジッパー1,2の歯1a、2aの接触により、硬い支持体は、第1の外側ジッパー1の歯が、チップまたは尖ったツールPの圧力の下で、外れないようになっている。
第1の外側ジッパー1の自由幅l1は、第2の内側ジッパー2の自由端l2と同一またはそれより大きくなっている。
【0030】
また、本発明は、第1の外側ジッパー1の自由幅は、第2の内側ジッパー2の自由幅に近いかまたはわずかに小さい、図示しない変形例にも適用できる。そのために、圧力が、チップまたは尖ったツールによって外側ジッパー1に加わるとき、外側ジッパー1の歯は、第2のジッパー2の歯に接触することが肝心なことである。
【0031】
図3において、本発明に従う第3の実施形態は、2つのジッパー1,2を含んでいる。
端部または縁1b、2bは、第1、第2のジッパー1,2を交互に位置決めるためにライン4,5に沿って前もって組合せられる。
【0032】
2つのジッパーの組合せライン4,5は、手荷物のシェルに対するアタッチメントに対して、ラインの外側または内側に位置決めることができる。
ジッパー1,2は、各々、図示されていないが、それ自身のスライダにより個々に制御される。
【0033】
この例では、第1の外側ジッパー1の自由幅は、基端側の組合せライン4,5の間の中央ラインの長さである。第2の内側ジッパー2の自由幅は、基端側の組合せライン4,5の間の中央ラインの長さである。
【0034】
組合せライン4,5に沿うアタッチメントによって、好ましくは縫うことによって、ジッパー1,2の予備的位置決めが実行された後、ジッパー1,2の組合せは、アタッチメントライン8,9に沿って手荷物の壁6,7に取り付けられる。
【0035】
2つのジッパーの組合せライン4,5が、手荷物のシェルに対するアタッチメントのためのラインの外側に位置している場合、第1の外側ジッパー1の自由幅は、端部側アタッチメントライン8,9の間の中央ラインの長さとなるであろう。また、第2の内側ジッパー2の自由幅は、端部側アタッチメントライン8,9の間の中央ラインの長さとなるであろう。
【0036】
第1の外側ジッパー1にチップまたは尖ったツールPによって圧力が加わると、第1のジッパーの歯1aは、第2の内側ジッパー2の歯2aに接触するようになり、そして、チップまたは尖ったツールPの貫通に耐えるため、第2の内側ジッパー上に残り、歯が外れないように維持される。
【0037】
図4において、本発明に従う第4実施形態は、第1の外側ジッパー1と第2の内側ジッパー2を含む。
各ジッパー1,2は、互いに働く歯1a、2aとエッジ又は縁1bまたは2bを有する。
第1ジッパー1のエッジまたは縁1aは、好ましくは、位置決めライン4,5に沿って第2の内側ジッパー2の端部または縁2a上に組み合わされる。
【0038】
2つのジッパーの組合せライン4,5は、手荷物のシェルの外側または内側に位置決めることができ、即ち、一方では、歯1a、2aの間、他方では、縁1bまたは2bの端部に位置決めることができる。
【0039】
こうして製造された組立体は、保護リップ10a、10b、好ましくは、PVC(ポリ塩化ビニール)によって作られた、手荷物の硬い部分のシェルの端部3a,3bに取り付けられる。
【0040】
図5において、本発明に従う第5実施形態は、第1の外側ジッパー1と第2の内側ジッパー2とを含み、第1の外側ジッパーは、歯1a、及び縁または端部1bを備え、第2の内側ジッパーは、歯2a、及び縁または端部2bを備える。
【0041】
端部または縁1b、2bは、好ましくは、位置決めライン4,5に沿って互いに位置決められ、かつ取り付けられている。
2つのジッパーの組立ライン4,5は、手荷物のシェルに対するアタッチメントのためのラインの外側または内側に位置決めることができる。
【0042】
こうして、製造された組立体は、スーツケースの柔軟な壁3a、3b又は手荷物の柔軟部分の内側ライニング11a、11b上に取り付けられる。
【0043】
組立ライン4,5の位置決めの結果、外側ジッパー1の歯1a上の尖ったツールPまたはチップによって加えられる力が、歯1aに生じて支持体の歯2aと接触する。そして、チップ又は尖ったツールPの作用の下で、歯1aが貫通しかつ分離するのを防止できる。
本発明は、バッグ、手荷物、種々のコンテナーの全てに適用でき、これらが、車輪を備えているか否か、そして、硬いかまたは柔軟であるかに係わらず適用できる。
【0044】
図6において、本発明に従う第6実施形態は、柔軟な、または半硬質の手荷物に適用するのに、特に有効である。
【0045】
この装置は、第1の外側ジッパー1と第2の内側ジッパー2とを含み、第1の外側ジッパーは、歯1a、及び端部または縁1bを備え、第2の内側ジッパーは、歯2a、及び端部または縁2bを備える。
【0046】
ジッパー1,2は、柔軟な手荷物のシェルの柔軟性ファブリック3a,3bで組み立てる前に、好ましくは、2つの位置決めライン4,5に沿う組立によって位置決められる。
好ましくは、外側ジッパー1と内側ジッパー2は、実質一方の上に他方が配置される。
2つのジッパー1,2の歯1a、2aの係合及び離脱は、単一のスライダ手段13の動きによって制御される。
【0047】
しかしながら、本発明は、また、2つのジッパーが、小さな横方向オフセットdを有し、このオフセットが、ジッパーの歯の2つの幅より小さくなっている場合を含んでいる。
2つの外側ジッパーおよび内側ジッパーの歯の間の垂直方向のスペースは、1つの歯及びジッパーの半分の厚さより少ないことが望ましい。
【0048】
単一のスライダ手段13のおかげで、外側閉鎖部及び内側閉鎖部が同時に閉じられる。手荷物を完全に閉じた後、2つの歯1aの間に挿入されるチップまたは尖った対象物Pは、無理な侵入によってスーツケースまたは手荷物の柔軟部分を開くことができるように、歯1aを貫通または離脱させることはできない。
【0049】
内側ジッパーの歯2aによって与えられる支持体による、外側ジッパーの歯1aをロック及び保持することにより、オペレータが、無理な侵入によってスーツケースまたは手荷物の柔軟部分を開くことを防止する。
【0050】
こうして、本発明は、外側ジッパー1の下側に直接内側ジッパー2を有する内側支持体を配置することを可能にし、全長にわたって外側ジッパーの歯1aが、貫通および離脱するのを防止する。
【0051】
この内側ジッパー2は、外側ジッパーの歯1aを補強及び保持するために構成された支持構造体を提供する。
【0052】
単一の中央スライダ13は、外側ジッパーの歯1aとともに働く第1スペースと、内側ジッパーの歯2aとともに働く第2スペースを含む。
好ましくは、単一の中央スライダ13は、2つの上記スペースの間の分離、好ましくは、中間バー13aを含み、このバーの厚さは、歯1aまたは2aの厚さよりも少ない。
【0053】
単一の中央スライダ13のおかげで、外側ジッパー1の作動と内側ジッパー2の作動が同時に行われる。
また、それぞれの歯1aと2aの同時作動及び協働により、外側ジッパー1と内側ジッパー2のそれぞれの位置決めの信頼性を補強する。
【0054】
二重動作を有する中央スライダ13を用いて、歯1aと2aの間の閉じた位置におけるスペースを減少させることができ、これは、また、内側ジッパーの歯2aによって得られた支持体を用いて達成される、チップPの貫通に対する抵抗力を改善する。
【0055】
図7において、単一の中央スライダは、従来公知の2つのスライダの形状を作り出し、単一の上部ブリッジ13bを用いて一方を他方の上に重ね合わす。この上部ブリッジは、パッドロック等のロック要素の挿入を可能にするように設計される小穴13cを備えている。
【0056】
ブリッジ13bは、図示しない単一の引きタブと協働するように形作られている。この単一の引きタブを作動することにより、使用者は、従来の安全でないスーツケースに実行される操作と同一の迅速かつ容易な操作を実行することによって、2つの重ね合わせたジッパーを開閉する。
【0057】
本発明は、また、異なる大きさの2つのジッパーを含む装置にも適用できる。この変形例では、図示しない単一の中央スライダの場合に、スライダは、上側半分に、下側半分と異なる形状を有し、これにより、複数の形状が、ジッパーの異なる大きさに適合される。
【0058】
図8において、単一の中央スライダ14を有する別の手段が、図2を参照して記載される形式の装置に対応する横断オフセットdを有して重ね合わせる従来公知の2つのスライダの形状を作り出す。この場合、2つのジッパー1,2は、横断オフセットdを有して重ね合わされる。
【0059】
本発明は、オフセットの方向に関係なく、オフセットを有して重ね合わされる、従来公知の2つのスライダを用いて得られる装置の全ての変形例に適用される。部分的にスライダが長手方向のオフセットdを有して重ね合わされる場合、単一の中央スライダは、同一サイズの2つのジッパーが長手方向のオフセットを有して選択的に重ね合わされる装置に対応する。
【0060】
部分的にスライダが、傾斜部上にオフセットを有して重ね合わされる場合、このように構成される単一の中央スライダは、2つのジッパーが、オフセットを有して互いに重なり合う装置に対応しかつ傾斜部上にオフセットを有する横方向の構成要素に対応するように構成される。
【0061】
図8の単一の中央スライダ14は、パッドロック型要素の通路のために設計されるロック用小穴16を含む。図8の単一の中央スライダ14は、また、ジッパー歯の幅に近いオフセットdを有する場合、2つの分離介在物15a、15bを含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態を参照して記載された本発明は、限定されるものではなく、また反対に、本発明の精神及び範囲内において、いくつかの形状の修正及び変形例を包含する。
【0063】
また、本発明は、異なる形状の2つの半部スライダを用いることによって得られる装置に適用される。この図示しない変形例において、スライダは、左半分が右半分と異なる半部スライダを有し、種々のジッパー、または各々2つの半部スライダに対して異なる形状を有する他のものに適用される。
【0064】
本発明は、また、オフセット歯から分離する複数のバリアを含む2つの半部スライダを用いることにより得られる装置に適用される。この図示しない変形例において、スライダは、上側半分の分離バリア形状は、下側半分の分離バリア形状と異なり、緊張力を減じるように配置されている。
【0065】
本発明のおかげで、ジッパーを有する装置の開閉の円滑さと容易さは、従来公知の安全でないスーツケースおよび曲線部とコーナーの範囲内と同様に直線部内において、この開閉の円滑さと容易さが同一である。
【0066】
本発明に従う装置を組み立てるための好ましい方法は、次のステップを有する。
−例えば、縫うこと、または溶接又は接着動作によって重ね合わされる2つのジッパーを組み立て、
−2つのジッパーによる組み立てが、例えば、縫うこと、または溶接又は接着動作によって重ね合わされるときのみに組み立てる。
【0067】
本発明に従う好ましい組み立て方法のおかげで、2つのジッパーは、略同一長さを有し、スーツケースの種々の半径上の種々の曲線にかかわらず、単一の中央スライダを用いて均一な行路を与える。
半径における差にもかかわらず、頂部の半部スライダと底部の半部スライダは、同一距離を実際移動する。これは、単一の中央スライダの行路におけるオフセットを防止する。
【0068】
本発明に従う好ましい組み立て方法のおかげで、外側及び内側ジッパーの各歯は、最終製品の垂直軸線に沿って実質的に整列される。そして、この2つのジッパーは、可能な限り、互いの方向に引かれる。
【0069】
コーナーの通過を容易にし、かつコーナーにおける上側摩擦によるストリップの早期磨耗の危険を防止するために、単一の中央スライダを有する装置は、スライダの駆動及びブレーキングを防止するように配置され、そして、ジッパーが異なる半径上に配置されているとき2つのジッパーの長さの差を補償する。
【0070】
この目的のために、従来例に対して、バンド幅または縁を増加することが与えられ、スライダの通路を増加する。
また、スライダの引張りと前進を容易にするため、従来例に対して、引きタブの大きさを増加させている。
【0071】
スライダのブリッジの高さを減少させ、かつブリッジ上の引きタブの軸を位置決めることにより、開き動作中、スライダの後方へ、かつ、閉じ動作中、スライダの前方を越えて、長い移動を可能にさせ、さらに、スライダの重心により近くに引っ張り中心を引き出すことを可能にさせる。最後に、スライダの駆動及びブレーキングを防止するようにする。その結果、いくつかの付加的な圧力が、チップまたは尖ったツールのみに加わり、無理な侵入に対するロック動作及び抵抗動作を増加させることにより、内側ジッパーに対する外側ジッパーの覆いを補強する。
【0072】
当業者であれば、図示しない変形例に従って、無理な侵入に対する抵抗力を達成することにより、歯を支持しかつロックする動作を得るために、本発明を適用することができる。
【0073】
ジッパーの配列は、本発明の範囲内で変更することができ、重要なことは、図示した実施形態の各々に記載されている無理な侵入に対する抵抗力の動作を達成することである。
内側および外側ジッパーは、それらの形状及び製造材料に関する限り、同一または異なるものが可能である。この内側および外側ジッパーは、互いに対して対称的にまたは異なって配置することができる。2つのジッパーの歯は、手荷物の外側または内側に向けて示される。
【0074】
最後に、本発明は、オフセットがある場合とない場合における、2つの以上重ね合わされたジッパーまたは2つの以上の重ね合わされたスライダ、例えば、3つの重ね合わされたジッパーまたは3つの重ね合わされたスライダを備えた装置を用いる実施形態を包含する。
【0075】
好ましい実施形態は、対応する手荷物のシェルに取り付けられる前に、予め縫合された内側ジッパー及び外側ジッパーを用いる。内側ジッパーに対する外側ジッパーの配置及び無理な侵入に対する抵抗を可能にする他の付加的な手段、特に、内側ジッパーに対するVELCRO(登録商標)タイプの付属物は、本発明の範囲内で用いることができる。
【0076】
本発明は、また、互いにサイズを異にする2つのジッパーを重ね合わすことによって得られる装置に適用する。図示しないこの変形例では、スライダは、異なるサイズの2つのジッパーに適合するように、上側半部と下側半部とが異なる形状を有する。図示しない分化したジッパーを有するこの装置の変形例は、経済的であり、2つのジッパーにおいて異なる開閉速度を有するゆえ、湾曲した形状に適用でき、かつ容易で迅速に開くことができ、ジッパーの一方を畳み込むこと、または行路のオフセット、あるいは、スライダのロックを防止し、また、2つのジッパーの寸法または仕様における差異を取り除いて、スライダの品質及び開閉に伴うスムーズさを与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外側ジッパー(1)及び第2の内側ジッパー(2)を含む手荷物用の安全装置であって、
前記2つのジッパー(1,2)は、互いに近くに近接して重なり合い、前記ジッパー(1,2)の歯(1a,2a)が、チップ(P)または尖ったツールを用いて、外側ジッパー(1)の外部圧力の作用の下で接触させ、前記チップまたは前記尖ったツールの圧力の下で、外側ジッパー(1)の歯が外れるのを防止することを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記2つのジッパー(1,2)は、外部圧力の作用の下で、前記歯(1a,2a)間の接触を確実にするようにオフセット(d)を有して重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記2つのジッパー(1,2)は、互いに実質的に重なり合うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記第1の外側ジッパー(1)の自由幅(l1)が、第2の内側ジッパー(2)の自由幅(l2)よりも大きいかまたは等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の安全装置。
【請求項5】
前記第1の外側ジッパー(1)の自由幅は、前記第2の内側ジッパー(2)の自由幅に近いかまたは僅かに小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の安全装置。
【請求項6】
前記第1の外側ジッパー(1)と第2の内側ジッパー(2)の各端部(1b,2b)は、それぞれを互いに対して位置を決めるため互いに(4,5)統合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の安全装置。
【請求項7】
前記2つのジッパー(1,2)は、2つの重なり合ったスライダを含む単一のスライダ手段(13)によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項8】
前記2つの重なり合ったスライダは、スライダがオフセット(d)を有して重なり合っていることを特徴とする請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記2つの重なり合ったスライダは、互いに正確に重なり合うスライダであることを特徴とする請求項7に記載の安全装置。
【請求項10】
前記単一のスライダ手段(13,14)は、異なる寸法の第1、第2のスライダを含んで、重なり合い、かつ前記第1、第2のスライダは、単一の引きタブを支持するブリッジを用いて統合されることを特徴とする請求項7に記載の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524580(P2012−524580A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506545(P2012−506545)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050352
【国際公開番号】WO2010/122247
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501443490)
【Fターム(参考)】