説明

筆記具のグリップ

【課題】内グリップ1の表面と外グリップ2の内面との間に適宜の空間部を構成することにより、外グリップ2を把持した時に内グリップ1の突部1A及び外グリップ2が弾性変形をして把持し易い筆記具のグリップを提供する。
【解決手段】筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、そのグリップを軟質材からなる内グリップ1と軟質材からなる外グリップ2の二層構造で構成する。この内グリップ1の表面に突部1Aを形成し、内グリップ1の表面と外グリップ2の内面の間に適宜の空間部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具を把持する部分に取り付けられたグリップとしては、内方層と表面層との上下に積層した軟質材で形成し、内方層のショアー硬度がHs(JIS A)5〜30、表面層のショアー硬度がHs(JIS A)40以上で構成した筆記具のグリップが知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−355185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した筆記具のグリップは、内方層と表面層の間に空間部がなく、手で把持した時に十分な弾性変形が得られなかった。
本発明は、上記課題を解消する筆記具のグリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、そのグリップを、軟質材からなる内グリップと軟質材からなる外グリップの二層構造で構成し、前記内グリップの表面に突部を形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを第1の要旨とする。
【0005】
また、内グリップの表面に円周状に伸びた突部を複数形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを第2の要旨とする。
【0006】
更に、内グリップの表面に多数の柱状の突部を形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを第3の要旨とする。
【0007】
更にまた、内グリップの両端に外鍔を形成し、この2つの外鍔により内グリップを外グリップに嵌合したことを第4の要旨とする。
【0008】
更にまた、外グリップを透明性を有した軟質材で構成したことを第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、内グリップの表面に突部を形成して内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成することにより、手で外グリップを把持した時に外グリップが十分に弾性変形をするので非常に把持し易い効果が奏せられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
内グリップの表面と外グリップの内面との間に適宜の空間部を構成することにより、外グリップを把持した時に外グリップが弾性変形をして把持し易い筆記具のグリップを実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、図1及び図2に基づいて本発明における実施例1の筆記具のグリップを説明する。先ず、軟質材で作製された内グリップ1の表面に等間隔に多数の四角柱形の突部1Aを形成する。また、内グリップ1の前端と後端に外鍔1Bを形成する。次に、軟質材で作製された外グリップ2の前端に内鍔2Aを形成する。また、外グリップ2の外形は両端から中間部に向かって徐々に曲線状に細径に形成されている。この外グリップ2を前記内グリップ1に被せて筆記具のグリップを構成する。
【0012】
次に、図3により本発明の筆記具のグリップをノック式シャープペンシルに設けた例で説明する。先ず、チャック3の頭部3Aを複数に分割して拡開可能に形成し、この頭部3Aにテーパー面を形成する。前記チャック3の頭部3Aに締リング4を外嵌し、チャック3の後部にパイプ状の芯タンク5を圧入固着する。また、締リング4を受け止めるワッシャー6と芯タンク5の間にスプリング7を張架し、チャック3のテーパー面が締リング4に押圧され機構部が構成される。
【0013】
軸筒8の前部8Aは細径に形成され、この前部8Aに前記内グリップ1を外嵌する。次に、内グリップ1に前記外グリップ2を外嵌する。すると、内グリップ1の外鍔1B及び突部1Aが外グリップ2の内面に接触し、内グリップ1の表面と外グリップ2の内面の間に適宜の空間部が構成される。
【0014】
この実施例1の場合には、突部1Aが小さい程柔らかい感触となる。また、突部1Aが高い程柔らかい感触となる。更に、突部1Aの間隔が広い程柔らかい感触となる。
【0015】
この軸筒8の前方より前記機構部を挿入した後、軸筒8に口金9を螺合し、口金9の内段9Aと軸筒8の前端でワッシャー6を挟持する。また、口金9が螺合されることによって口金9の後端と軸筒8の外段8Bによって外グリップ2が挟持され、外グリップ2の内鍔2Aと軸筒8の前部外段8Cにより内グリップ1が挟持される。
【実施例2】
【0016】
図4は本発明における実施例2の内グリップ11を示したものである。内グリップ11の表面に等間隔に円周方向に伸びた突部11Aを複数形成する。また、内グリップ11の前端と後端に外鍔11Bを形成する。この場合には、実施例1よりやや硬い感触が得られる。
【実施例3】
【0017】
図5及び図6は本発明における実施例3の内グリップ21を示したものである。内グリップ21の上側半分の表面に長手方向に伸びた突部21Cを等間隔に複数形成する。また、内グリップ21の下側半分の表面に円周方向に伸びた突部21Dを等間隔に複数形成する。この場合には下側がやや柔らかい感触となる。
【実施例4】
【0018】
図7は本発明における実施例4の内グリップ31を示したものである。内グリップ31の上側半分の表面は極めて狭い等間隔で突部31Aを複数形成し、下側半分の表面は長手方向にやや広い等間隔で突部31Aを複数形成する。この場合には下側半分がやや柔らかい感触となる。
【実施例5】
【0019】
図8は本発明における実施例5の内グリップ41を示したものである。内グリップ41の表面に等間隔に円柱状の突部41Eを多数形成する。尚、図示していないが、突部はその他半円形や円錐形等種々の形状が考えられる。
【0020】
尚、上記実施例は、内グリップの突部が外グリップの内面に接触して構成されているが、内グリップの突部は必ずしも外グリップの内面に接触している必要はなく、隙間が設けられていても本発明の目的は十分に得られるものである。また、外グリップの外形は、中間部を太径にしたりあるいは単に円筒形にしたり、断面形状を三角形にしたり、肉厚を任意に変えたり等、種々の形状が考えられる。更に、本発明の内グリップは、等間隔に複数形成した突部の一部を模様や文字表示を表わすように突部を切り欠くことも可能である。
【0021】
更に、内グリップを着色した軟質材で形成するとともに、外グリップを透明な軟質材で形成すれば、内グリップの突部を模様として表わすことができる。また、外グリップを透明な軟質材で形成するとともに内グリップも透明な軟質材で形成すれば、軸筒が透けて見えるので新たな外観が表現できる。
【0022】
更にまた、内グリップは、硬さ(JIS A)10、30あるいは50といったシリコンラバーや、硬さ(JIS A)30、50あるいは70といったエラストマーが考えられる。これらの内グリップと組み合わされる外グリップとしては、硬さ(JIS A)50のシリコンラバーを用いることによって、種々の柔らかさのグリップが設定可能となる。
【0023】
更にまた、本発明の筆記具のグリップは、ノック式シャープペンシルに限定されるものではなく、ボールペン等種々の筆記具に利用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
筆記具のグリップの任意の箇所を任意の柔らかさに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1の筆記具のグリップを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図1のA−A線を示す断面図である。(実施例1)
【図3】実施例1の筆記具のグリップを設けたノック式シャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例1)
【図4】本発明の実施例2の内グリップを示す正面図である。(実施例2)
【図5】本発明の実施例3の内グリップを示す正面図である。(実施例3)
【図6】図5のA−A線を示す断面図である。(実施例3)
【図7】本発明の実施例4の内グリップを示す正面図である。(実施例4)
【図8】本発明の実施例5の内グリップを示す正面図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0026】
1 内グリップ
1A 内グリップ1の突部
1B 内グリップ1の外鍔
2 外グリップ
11 内グリップ
11A 内グリップ11の突部
11B 内グリップ11の外鍔
21 内グリップ
21C 内グリップ21の突部
21D 内グリップ21の突部
31 内グリップ
31A 内グリップ31の突部
41 内グリップ
41E 内グリップ41の突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、そのグリップを、軟質材からなる内グリップと軟質材からなる外グリップの二層構造で構成し、前記内グリップの表面に突部を形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを特徴とする筆記具のグリップ。
【請求項2】
内グリップの表面に円周状に伸びた突部を複数形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを特徴とする請求項1記載の筆記具のグリップ。
【請求項3】
内グリップの表面に多数の柱状の突部を形成し、内グリップの表面と外グリップの内面の間に適宜の空間部を構成したことを特徴とする請求項1記載の筆記具のグリップ。
【請求項4】
内グリップの両端に外鍔を形成し、この2つの外鍔により内グリップを外グリップに嵌合したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の筆記具のグリップ。
【請求項5】
外グリップを透明性を有した軟質材で構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の筆記具のグリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−320245(P2007−320245A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154786(P2006−154786)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)