筆記具
【課題】キャップを簡単にかつ外れないように本体に取り付けでき、取り外す際はノック操作で容易に取り外せるようにした筆記具を提供する。
【解決手段】外面に凹部5を形成した本体1を、本体カバー(キャップ)4内に収納する。この本体カバー4内には上記凹部5に嵌り込む凸部14を有するアーム部13がある。このアーム部13は、ハート型カム機構によりノック操作で前進位置と後退位置に移動され、それぞれその位置に保持される。アーム部は、後退位置にあるとき広がっているが、前進位置に移動したとき閉じられ、凸部14が凹部5に入り込んで本体1をチャックする。本体1をノックすると、アーム部13は後退位置に移動し凸部14は凹部5から離れ、本体カバー4は外れる。
【解決手段】外面に凹部5を形成した本体1を、本体カバー(キャップ)4内に収納する。この本体カバー4内には上記凹部5に嵌り込む凸部14を有するアーム部13がある。このアーム部13は、ハート型カム機構によりノック操作で前進位置と後退位置に移動され、それぞれその位置に保持される。アーム部は、後退位置にあるとき広がっているが、前進位置に移動したとき閉じられ、凸部14が凹部5に入り込んで本体1をチャックする。本体1をノックすると、アーム部13は後退位置に移動し凸部14は凹部5から離れ、本体カバー4は外れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを有する筆記具において、簡単にキャップが外れないように本体に取り付けでき、筆記の際には容易に本体からキャップを取り外すことができるようにした筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筆記具のキャップは、筆記先端を保護するため、本体の先端に着脱自在に嵌着されている。本体にキャップを着脱自在に取り付ける構造として、本体に環状の突起を形成し、キャップの内面に小突起を設け、キャップを本体に嵌着したとき小突起が本体の環状の突起を乗り越えて両突起が係合し、キャップを本体に装着する構成が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。筆記の際は、本体を支持してキャップを強く引けば、上記突起の係合が外れ、キャップを本体から取り外すことができる。
【0003】
通常、上記キャップには、ポケット等の縁に引っ掛けて保持しておくためにクリップが設けられている。しかし、上記のように、従来の筆記具のキャップは本体の外面とキャップの内面に設けた突起を係合することによりキャップを本体に取り付けてあるだけなので、本体に衝撃や引張力が作用すると、突起間の係合が外れて、キャップが脱落してしまうことがある。
【0004】
キャップと本体をねじ嵌めする構成も知られているが、この構成では、使用に際にキャップを本体の回りで回転させなければならないので、取り扱いが面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−208185号公報(段落0005、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、本体にキャップを簡単かつ確実に取り付けでき、筆記の際にはノック操作でキャップを容易に外すことができるキャップ付きの筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたことを特徴とする筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、本発明によれば、上記カム機構は、本体カバー内に固定され内方突起を有する固定カムと、該固定カム内に軸方向に移動可能にかつ回転可能に設けられ上記内方突起が入り込むハート型カム溝を有する筒状のカム筒と、該カム筒の内方に連結され後部に上記アーム部を形成したカム受けを含み、上記固定カムはアーム部が前進した際該アーム部を縮径させる手段となっている上記筆記具が提供される。さらに、上記固定カムとカム筒間にはカム筒が前進位置若しくは後退位置に移動する際、カム筒の移動に抵抗を与えるよう弾性的に係脱するガイド片と案内突起が設けられている上記筆記具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成され、先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたから、本体カバー内に本体を挿入してアーム部を前進位置に移動させると、アーム部は縮径してアーム側係止部と本体側係止部が係合し、本体はアーム部によりチャックされ、振動、衝撃が作用しても本体カバーが外れないように本体の先部をキャップすることができる。
【0010】
また、上記本体をノックするとカム機構によりアーム部は後退位置に移動し、アーム部は拡径されるから、アーム側係止部と本体側係止部の係合が外れ、本体のチャックは開放され、該本体を本体カバーから簡単に取り外すことができる。カム機構を構成する固定カムとカム筒間に、カム筒が前進位置若しくは後退位置に移動する際、カム筒の移動に抵抗を与えるよう弾性的に係脱するガイド片と案内突起を設けると、ノック操作をしたとき、ノック作用を確認することができ、使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す、本体をロックした状態の断面図。
【図2】本体のロックを解除した状態の断面図。
【図3】使用状態の断面図。
【図4】本体カバーを示し、(A)はリブから離れた部分の断面図、(B)はリブに沿った部分の断面図、(C)は(B)図のC−C線断面図。
【図5】カム受けを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は側面図。
【図6】固定カムを示し、(A)は底面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は側面図。
【図7】カム筒を示し、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は底面図、(D)は側面図。
【図8】カムの説明図。
【図9】ガイド片と案内突起を示し、(A)はカム筒を縦断面した方向から見た説明図、(B)は底面から見た説明図、(C)はカム筒に沿った断面から見た説明図。
【図10】ロック状態の一部の拡大断面図。
【図11】ロック解除の途中の状態の一部の拡大断面図。
【図12】ロックを解除した状態の一部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3を参照し、本発明の筆記具は、内部にリフィール2を収納した筒状の本体1と、該本体を収納するよう一端が開口3した筒状の本体カバー(キャップ)4を有し、本体カバー4の長さは、該本体カバー4内に上記本体1を収納した状態で該本体1の後端が本体カバー4から少し突出する程度に、本体1より少し長く形成されている。上記本体1は先部外面に本体側係止部5が形成され、図に示す実施例では先部に装着したテーパー6の外面に凹部を形成して係止部5としてある。この凹部は凸部に形成することもできる。上記リフィール2は、図に示す実施例では、ボールペンリフィールが示されているが、マーカーやシャープペンシルその他適宜のリフィールに適用することができる。リフィール2は、本体1の後端から挿入され、筆記端7を上記テーパー6の先端から突出させ、本体1の後端に装着した尾栓8で後部が支持されている。
【0013】
上記本体カバー4は底部9を有し、図4に示すように、底部9の中心に軸方向に延びる支持軸10が形成され、本体カバーの内壁に沿ってリブ11が形成され、かつ底部9近くには本体カバー側係止部12が設けられている。なお、該リブ11の長さは、本体カバー4を外して本体1の後端を該本体カバー4の開口3から挿入したとき、本体1の筆記端7が本体カバー4から露出した状態で本体1の後端にリブ11の先端が当って、筆圧が作用した際に本体1が本体カバー内に没入しない程度の長さにしてある(図3参照)。
【0014】
上記本体カバー4内には、本体カバーの軸方向に前進・後退可能にアーム部13が設けられており、該アーム部13は、上記本体1のテーパー6を取り囲むことができるよう後方に拡径している。該アーム部13は自ら有する弾性により後端が外方に広がっており、弾性的に縮径可能である。このアーム部13には、上記本体側係止部5に係合可能なアーム側係止部14が設けられている。図に示す実施例では、上記本体側係止部5が凹部に形成されているので、アーム側係止部14は凸部に形成されている。上記本体側係止部5を凸部に形成してアーム側係止部14を凹部に形成したり、両係止部を断面略山形形状等の噛み合い面や粗面に形成してもよい(図示略)。
【0015】
図5に示すように、上記アーム部13は、カム受け15と一体的に形成され、上記本体カバー4の支持軸10に装着したばね16で後退方向に付勢されている。該カム受け15は、後端側に上記アーム部13を有する略筒状に形成され、該アーム部13は割り溝17を介して半円弧状に対向しており、内面に沿って上記アーム側係止部14となる凸起が形成されている。アーム部13の外面には隆起部18が形成されている。カム受け15の内方には、上記リフィール2の筆記端7を受け入れる孔19が形成されている。該カム受け15の前端側には、上記ばね16の一端が入り込む受孔20が形成されている。また、前部の外周には傾斜面とそれに続く受溝を有するカム受け側係止部21が設けられ、組み立ての際に、該カム受け側係止部21が内方に撓むことができるようスリット22が設けられている。
【0016】
上記アーム部13をノック操作により本体カバー4の軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構が設けられている。このような機能を有するカム機構としては、ノック式筆記具等に用いられている各種のカム機構が知られており、これらのカム機構を適宜採用することができる。実施例においては、下記するように、いわゆるハート型カム溝を用いたハートカム機構が示されている。図1において、本体カバー4内には固定カム23が固定されている。該固定カム23は、図6に示すように、本体カバー内に内接する筒状に形成され、外面には上記本体カバー4の本体カバー側係止部12に係合する固定カム側係止部24と、固定カムの回転を阻止するよう本体カバー4に形成したリブ11が入り込む受溝25が設けられ、内面には内方突起26が突設されている。また、該内方突起26に対向する固定カム23の壁部には略コ字状の切欠き27を介して一端に自由端を有するガイド片28が形成されている。該がイド片の自由端側の内面にはスライド突起29が設けられ、該自由端は弾性的に半径方向に揺動可能である。
【0017】
上記固定カム23の内方にはカム筒30が軸方向に移動可能にかつ回転可能に挿入されている。該カム筒30の外面には、図7に示すように、固定カム23の上記内方突起26が入り込む略ハート型のカム溝31が形成されている。該カム溝31は、環状に形成され、組み立ての際上記内方突起26をカム溝31に入れるための傾斜入口部32を前端側に有し、図8に示すように、本体カバー4内に本体1を収納してロックするとき内方突起26が係止される収納段部33と、本体カバー4から本体1を外してロック解除したとき内方突起26が係止される解除段部34が設けられ、ノック操作によりカム筒30を図8において左方に移動した後、ノック操作を止めてばね16の作用でカム筒15が図8において右行することにより、相対的に、該収納段部33と解除段部34間を内方突起26が循環して移動するよう環状に設けられている。実際には、固定カム23は回転しないから、この移動は、カム筒30が軸方向に前後動しかつ回転することにより行われる。また、カム筒30は、上記カム受け15を収納できる内径に形成され、内面には、該カム受け15のカム受け側係止部21に係合するカム筒側係止部35が設けられている。図に示す実施例ではこのカム筒側係止部35は上記カム受け側係止部21の受溝に入り込む環状の突起に形成されている。
【0018】
上記カム筒30の外面には、カム筒30の移動にクリック感を与えるよう固定カム23のガイド片28に設けた上記スライド突起29が摺接して係脱するよう案内突起36が設けられている。該案内突起36は、図7及び図9に示すように、上記カム溝31に対応して該カム溝と反体側のカム筒15の表面に設けた案内凹部37内に、一端が傾斜する断面略山形状に形成してある。該案内凹部37の前端側には、組み立ての際上記スライド突起29が通過する傾斜入口部38があり、この案内凹部37内の、上記カム溝31の解除段部34に対応する部分から収納段部33に対応する部分に向かう途中の部位と、収納段部33に対応する部分から内方突起26が該収納段部33から外れる部分に対応する部位に設けられている。そして、ノック操作した際、スライド突起29が次第に案内突起36の傾斜面に乗り上げるときガイド片28が外方に反り、該案内突起36を通過したとき、すなわち傾斜面からスライド突起29が外れたと、ガイド片28の反りが戻り、このときの小さな衝撃がノックしている人(使用者)に伝わるようにしてある。
【0019】
上記本体カバー4内には、上記アーム部13が前進位置にあるとき、該アーム部13を縮径する手段が設けられている。図に示す実施例では、アーム部4が前進位置に移動するとき上記固定カム23の後端内面にアーム部13の隆起部18が摺接して該アーム部13を縮径するよう固定カム23の後部の内面に緩やかに傾斜する縮径面39を形成してある。固定カム23とは別に、本体カバー4の内面の適宜の位置に押圧リブや環状の突起等を設けてアーム部を縮径できるようにしてもよい(図示略)。
【0020】
図10〜図12を参照し、使用状態を説明すると、本体1の筆記端7を本体カバー4の開口3から本体カバー4内に挿入し、該筆記端7をカム受け15の孔19内に入れてカム受け15を前方に押し込むと、アーム部13は前進する。押圧を止めると、上記固定カム23、カム筒30を介して固定カム23の内方突起26はカム筒30の収納段部33に係合し、アーム部13は前進位置で保持され、アーム部13は縮径される。その結果、アーム側係止部14と本体側係止部5が係合し、本体1はアーム部13でチャックされ、本体カバー4内に収納された状態でロックされ(図10、図1)、振動、衝撃によって本体1が本体カバー4から外れるおそれはない。
【0021】
ロックを解除するには、図1に示す状態で本体カバー4から突出している本体1の後端をノックすると、図11に示すように、カム筒30はさらに少し前進し、押圧を止めると、内方突起26がカム溝31の収納段部33から解除段部34に移動する位置までカム筒30及びカム受け15がばねの作用で後退し、後退位置に保持される。そして、上記アーム部13は固定カム23から外れ、自ら有する弾性作用で拡径し、アーム側係止部14と本体側係止部5の係合が外れる。したがって、本体1は自由になって本体カバー4を外すことができ、後端を図3に示すように本体カバー4内に差し込んで、筆記することができる。
【0022】
上記ハート型カム機構として、実施例においては固定カムに内方突起を設け、カム筒にカム溝を形成してあるが、固定カムにカム溝を形成し、カム筒に該カム溝に係合する突起を設けるようにしてもよい(図示略)。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
4 本体カバー
5 本体側係止部
13 アーム部
14 アーム側係止部
15 カム受け
16 ばね
23 固定カム
26 内方突起
30 カム筒
31 カム溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを有する筆記具において、簡単にキャップが外れないように本体に取り付けでき、筆記の際には容易に本体からキャップを取り外すことができるようにした筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筆記具のキャップは、筆記先端を保護するため、本体の先端に着脱自在に嵌着されている。本体にキャップを着脱自在に取り付ける構造として、本体に環状の突起を形成し、キャップの内面に小突起を設け、キャップを本体に嵌着したとき小突起が本体の環状の突起を乗り越えて両突起が係合し、キャップを本体に装着する構成が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。筆記の際は、本体を支持してキャップを強く引けば、上記突起の係合が外れ、キャップを本体から取り外すことができる。
【0003】
通常、上記キャップには、ポケット等の縁に引っ掛けて保持しておくためにクリップが設けられている。しかし、上記のように、従来の筆記具のキャップは本体の外面とキャップの内面に設けた突起を係合することによりキャップを本体に取り付けてあるだけなので、本体に衝撃や引張力が作用すると、突起間の係合が外れて、キャップが脱落してしまうことがある。
【0004】
キャップと本体をねじ嵌めする構成も知られているが、この構成では、使用に際にキャップを本体の回りで回転させなければならないので、取り扱いが面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−208185号公報(段落0005、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、本体にキャップを簡単かつ確実に取り付けでき、筆記の際にはノック操作でキャップを容易に外すことができるキャップ付きの筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたことを特徴とする筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、本発明によれば、上記カム機構は、本体カバー内に固定され内方突起を有する固定カムと、該固定カム内に軸方向に移動可能にかつ回転可能に設けられ上記内方突起が入り込むハート型カム溝を有する筒状のカム筒と、該カム筒の内方に連結され後部に上記アーム部を形成したカム受けを含み、上記固定カムはアーム部が前進した際該アーム部を縮径させる手段となっている上記筆記具が提供される。さらに、上記固定カムとカム筒間にはカム筒が前進位置若しくは後退位置に移動する際、カム筒の移動に抵抗を与えるよう弾性的に係脱するガイド片と案内突起が設けられている上記筆記具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成され、先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたから、本体カバー内に本体を挿入してアーム部を前進位置に移動させると、アーム部は縮径してアーム側係止部と本体側係止部が係合し、本体はアーム部によりチャックされ、振動、衝撃が作用しても本体カバーが外れないように本体の先部をキャップすることができる。
【0010】
また、上記本体をノックするとカム機構によりアーム部は後退位置に移動し、アーム部は拡径されるから、アーム側係止部と本体側係止部の係合が外れ、本体のチャックは開放され、該本体を本体カバーから簡単に取り外すことができる。カム機構を構成する固定カムとカム筒間に、カム筒が前進位置若しくは後退位置に移動する際、カム筒の移動に抵抗を与えるよう弾性的に係脱するガイド片と案内突起を設けると、ノック操作をしたとき、ノック作用を確認することができ、使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す、本体をロックした状態の断面図。
【図2】本体のロックを解除した状態の断面図。
【図3】使用状態の断面図。
【図4】本体カバーを示し、(A)はリブから離れた部分の断面図、(B)はリブに沿った部分の断面図、(C)は(B)図のC−C線断面図。
【図5】カム受けを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は側面図。
【図6】固定カムを示し、(A)は底面図、(B)は正面図、(C)は断面図、(D)は側面図。
【図7】カム筒を示し、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は底面図、(D)は側面図。
【図8】カムの説明図。
【図9】ガイド片と案内突起を示し、(A)はカム筒を縦断面した方向から見た説明図、(B)は底面から見た説明図、(C)はカム筒に沿った断面から見た説明図。
【図10】ロック状態の一部の拡大断面図。
【図11】ロック解除の途中の状態の一部の拡大断面図。
【図12】ロックを解除した状態の一部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3を参照し、本発明の筆記具は、内部にリフィール2を収納した筒状の本体1と、該本体を収納するよう一端が開口3した筒状の本体カバー(キャップ)4を有し、本体カバー4の長さは、該本体カバー4内に上記本体1を収納した状態で該本体1の後端が本体カバー4から少し突出する程度に、本体1より少し長く形成されている。上記本体1は先部外面に本体側係止部5が形成され、図に示す実施例では先部に装着したテーパー6の外面に凹部を形成して係止部5としてある。この凹部は凸部に形成することもできる。上記リフィール2は、図に示す実施例では、ボールペンリフィールが示されているが、マーカーやシャープペンシルその他適宜のリフィールに適用することができる。リフィール2は、本体1の後端から挿入され、筆記端7を上記テーパー6の先端から突出させ、本体1の後端に装着した尾栓8で後部が支持されている。
【0013】
上記本体カバー4は底部9を有し、図4に示すように、底部9の中心に軸方向に延びる支持軸10が形成され、本体カバーの内壁に沿ってリブ11が形成され、かつ底部9近くには本体カバー側係止部12が設けられている。なお、該リブ11の長さは、本体カバー4を外して本体1の後端を該本体カバー4の開口3から挿入したとき、本体1の筆記端7が本体カバー4から露出した状態で本体1の後端にリブ11の先端が当って、筆圧が作用した際に本体1が本体カバー内に没入しない程度の長さにしてある(図3参照)。
【0014】
上記本体カバー4内には、本体カバーの軸方向に前進・後退可能にアーム部13が設けられており、該アーム部13は、上記本体1のテーパー6を取り囲むことができるよう後方に拡径している。該アーム部13は自ら有する弾性により後端が外方に広がっており、弾性的に縮径可能である。このアーム部13には、上記本体側係止部5に係合可能なアーム側係止部14が設けられている。図に示す実施例では、上記本体側係止部5が凹部に形成されているので、アーム側係止部14は凸部に形成されている。上記本体側係止部5を凸部に形成してアーム側係止部14を凹部に形成したり、両係止部を断面略山形形状等の噛み合い面や粗面に形成してもよい(図示略)。
【0015】
図5に示すように、上記アーム部13は、カム受け15と一体的に形成され、上記本体カバー4の支持軸10に装着したばね16で後退方向に付勢されている。該カム受け15は、後端側に上記アーム部13を有する略筒状に形成され、該アーム部13は割り溝17を介して半円弧状に対向しており、内面に沿って上記アーム側係止部14となる凸起が形成されている。アーム部13の外面には隆起部18が形成されている。カム受け15の内方には、上記リフィール2の筆記端7を受け入れる孔19が形成されている。該カム受け15の前端側には、上記ばね16の一端が入り込む受孔20が形成されている。また、前部の外周には傾斜面とそれに続く受溝を有するカム受け側係止部21が設けられ、組み立ての際に、該カム受け側係止部21が内方に撓むことができるようスリット22が設けられている。
【0016】
上記アーム部13をノック操作により本体カバー4の軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構が設けられている。このような機能を有するカム機構としては、ノック式筆記具等に用いられている各種のカム機構が知られており、これらのカム機構を適宜採用することができる。実施例においては、下記するように、いわゆるハート型カム溝を用いたハートカム機構が示されている。図1において、本体カバー4内には固定カム23が固定されている。該固定カム23は、図6に示すように、本体カバー内に内接する筒状に形成され、外面には上記本体カバー4の本体カバー側係止部12に係合する固定カム側係止部24と、固定カムの回転を阻止するよう本体カバー4に形成したリブ11が入り込む受溝25が設けられ、内面には内方突起26が突設されている。また、該内方突起26に対向する固定カム23の壁部には略コ字状の切欠き27を介して一端に自由端を有するガイド片28が形成されている。該がイド片の自由端側の内面にはスライド突起29が設けられ、該自由端は弾性的に半径方向に揺動可能である。
【0017】
上記固定カム23の内方にはカム筒30が軸方向に移動可能にかつ回転可能に挿入されている。該カム筒30の外面には、図7に示すように、固定カム23の上記内方突起26が入り込む略ハート型のカム溝31が形成されている。該カム溝31は、環状に形成され、組み立ての際上記内方突起26をカム溝31に入れるための傾斜入口部32を前端側に有し、図8に示すように、本体カバー4内に本体1を収納してロックするとき内方突起26が係止される収納段部33と、本体カバー4から本体1を外してロック解除したとき内方突起26が係止される解除段部34が設けられ、ノック操作によりカム筒30を図8において左方に移動した後、ノック操作を止めてばね16の作用でカム筒15が図8において右行することにより、相対的に、該収納段部33と解除段部34間を内方突起26が循環して移動するよう環状に設けられている。実際には、固定カム23は回転しないから、この移動は、カム筒30が軸方向に前後動しかつ回転することにより行われる。また、カム筒30は、上記カム受け15を収納できる内径に形成され、内面には、該カム受け15のカム受け側係止部21に係合するカム筒側係止部35が設けられている。図に示す実施例ではこのカム筒側係止部35は上記カム受け側係止部21の受溝に入り込む環状の突起に形成されている。
【0018】
上記カム筒30の外面には、カム筒30の移動にクリック感を与えるよう固定カム23のガイド片28に設けた上記スライド突起29が摺接して係脱するよう案内突起36が設けられている。該案内突起36は、図7及び図9に示すように、上記カム溝31に対応して該カム溝と反体側のカム筒15の表面に設けた案内凹部37内に、一端が傾斜する断面略山形状に形成してある。該案内凹部37の前端側には、組み立ての際上記スライド突起29が通過する傾斜入口部38があり、この案内凹部37内の、上記カム溝31の解除段部34に対応する部分から収納段部33に対応する部分に向かう途中の部位と、収納段部33に対応する部分から内方突起26が該収納段部33から外れる部分に対応する部位に設けられている。そして、ノック操作した際、スライド突起29が次第に案内突起36の傾斜面に乗り上げるときガイド片28が外方に反り、該案内突起36を通過したとき、すなわち傾斜面からスライド突起29が外れたと、ガイド片28の反りが戻り、このときの小さな衝撃がノックしている人(使用者)に伝わるようにしてある。
【0019】
上記本体カバー4内には、上記アーム部13が前進位置にあるとき、該アーム部13を縮径する手段が設けられている。図に示す実施例では、アーム部4が前進位置に移動するとき上記固定カム23の後端内面にアーム部13の隆起部18が摺接して該アーム部13を縮径するよう固定カム23の後部の内面に緩やかに傾斜する縮径面39を形成してある。固定カム23とは別に、本体カバー4の内面の適宜の位置に押圧リブや環状の突起等を設けてアーム部を縮径できるようにしてもよい(図示略)。
【0020】
図10〜図12を参照し、使用状態を説明すると、本体1の筆記端7を本体カバー4の開口3から本体カバー4内に挿入し、該筆記端7をカム受け15の孔19内に入れてカム受け15を前方に押し込むと、アーム部13は前進する。押圧を止めると、上記固定カム23、カム筒30を介して固定カム23の内方突起26はカム筒30の収納段部33に係合し、アーム部13は前進位置で保持され、アーム部13は縮径される。その結果、アーム側係止部14と本体側係止部5が係合し、本体1はアーム部13でチャックされ、本体カバー4内に収納された状態でロックされ(図10、図1)、振動、衝撃によって本体1が本体カバー4から外れるおそれはない。
【0021】
ロックを解除するには、図1に示す状態で本体カバー4から突出している本体1の後端をノックすると、図11に示すように、カム筒30はさらに少し前進し、押圧を止めると、内方突起26がカム溝31の収納段部33から解除段部34に移動する位置までカム筒30及びカム受け15がばねの作用で後退し、後退位置に保持される。そして、上記アーム部13は固定カム23から外れ、自ら有する弾性作用で拡径し、アーム側係止部14と本体側係止部5の係合が外れる。したがって、本体1は自由になって本体カバー4を外すことができ、後端を図3に示すように本体カバー4内に差し込んで、筆記することができる。
【0022】
上記ハート型カム機構として、実施例においては固定カムに内方突起を設け、カム筒にカム溝を形成してあるが、固定カムにカム溝を形成し、カム筒に該カム溝に係合する突起を設けるようにしてもよい(図示略)。
【符号の説明】
【0023】
1 本体
4 本体カバー
5 本体側係止部
13 アーム部
14 アーム側係止部
15 カム受け
16 ばね
23 固定カム
26 内方突起
30 カム筒
31 カム溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
上記カム機構は、本体カバー内に固定され内方突起を有する固定カムと、該固定カム内に軸方向に移動可能にかつ回転可能に設けられ上記内方突起が入り込む略ハート型のカム溝を有するカム筒と、カム筒の内方に連結され後部に上記アーム部を形成したカム受けを具備する請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
上記固定カムの後部が、アーム部が前進した際該アーム部を縮径させる手段となっている請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
上記固定カムにはスライド突起を有するガイド片が形成され、カム筒にはスライド突起の移動に抵抗を与える案内突起が設けられている請求項2または3に記載の筆記具。
【請求項5】
上記本体カバーは本体より長く形成されている請求項1から4のいずれかに記載の筆記具。
【請求項6】
上記本体カバー内には本体を後端側から挿入した際、該本体の後端が当接するリブが形成されている請求項5に記載の筆記具。
【請求項1】
先部の外面に本体側係止部を有し内部にリフィールを収納した筒状の本体と、該本体を収納するよう一端が開口した筒状の本体カバーと、該本体カバーの内部に軸方向に前進・後退可能に設けられ本体の先部を取り囲むよう後方に拡径しアーム側係止部を有するアーム部と、該アーム部を後退方向に付勢するばねと、該アーム部をノック操作により本体カバーの軸方向に移動させた際、該アーム部を前進位置及び後退位置にそれぞれ保持するカム機構と、該アーム部が前進位置にあるときアーム部を縮径する手段を具備し、上記本体の先部をアーム部に挿入して該アーム部を前進位置に移動させ本体側係止部とアーム側係止部を係合させて本体を本体カバー内に保持するとともに、該本体をノックしてアーム部を後退位置に移動させアーム側係止部と本体側係止部の係合を外して本体を本体カバーから取り外すようにしたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
上記カム機構は、本体カバー内に固定され内方突起を有する固定カムと、該固定カム内に軸方向に移動可能にかつ回転可能に設けられ上記内方突起が入り込む略ハート型のカム溝を有するカム筒と、カム筒の内方に連結され後部に上記アーム部を形成したカム受けを具備する請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
上記固定カムの後部が、アーム部が前進した際該アーム部を縮径させる手段となっている請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
上記固定カムにはスライド突起を有するガイド片が形成され、カム筒にはスライド突起の移動に抵抗を与える案内突起が設けられている請求項2または3に記載の筆記具。
【請求項5】
上記本体カバーは本体より長く形成されている請求項1から4のいずれかに記載の筆記具。
【請求項6】
上記本体カバー内には本体を後端側から挿入した際、該本体の後端が当接するリブが形成されている請求項5に記載の筆記具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−81661(P2012−81661A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229926(P2010−229926)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(392005126)ミクロ株式会社 (33)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(392005126)ミクロ株式会社 (33)
[ Back to top ]