説明

筐体とカバーの固定構造

【課題】 カバーと筐体の仮止めができ、しかも、確実な固定が可能な筐体とカバーの固定構造を提供する。
【解決手段】 電子機器を収納する筐体1に合成樹脂製のカバー2を固定するねじ3と、カバーに設けられ、ねじが挿着されるねじ穴4の周囲から筐体の内部11に向って延設されたねじ受け5と、筐体に設けられ、ねじ受けが挿通されるねじ受け挿通穴6の周囲から内部に向って延設されたねじ受け嵌合部7とで構成され、カバーの表面22側におけるねじ穴の径Cが、端部53側における径Dより大となるよう、ねじ受けはカバーの表面に対して傾斜を有して成形され、また、ねじ受けは、ねじ受け嵌合部の端部71に係止される爪51を備え、ねじ受けの長さAは、爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されるよう、筐体の表面からねじ受け嵌合部の端部までの長さBと実質的に等しい。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は筐体とカバーの固定構造に係わり、特に、ねじと爪を採用した筐体とカバーの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インターホン、電話機等は、内部に電子機器を収納した筐体にカバーを固定して構成されている。
図2に示すように、筐体10の表面12に穴60が穿設され、カバー20には引っ掻け爪59を備えたカバー止め50が突設されている。
【0003】
内部に電子機器を収納した筐体10にカバー20を固定するには、筐体10の穴60に、カバー20のカバー止め50を挿通し、引っ掻け爪59が筐体10に係止されることによって固定している。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、従来のように、筐体10の穴60に、引っ掻け爪59を備えたカバー止め50を挿通して筐体10とカバー20を固定しても、引っ掻け爪59を挿通する分、筐体10の穴60は大きいので容易にカバー20が筐体10から外れてしまうという難点があった。
【0005】
本考案は、上記従来の難点を解決するためになされたもので、仮止めおよび確実な固定に適した筐体とカバーの固定構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案による筐体とカバーの固定構造は、電子機器を収納する筐体に合成樹脂製のカバーを固定するねじと、カバーに設けられ、ねじが挿着されるねじ穴の周囲から筐体の内部に向って延設されたねじ受けと、筐体に設けられ、ねじ受けが挿通されるねじ受け挿通穴の周囲から内部に向って延設されたねじ受け嵌合部とで構成され、カバーの表面側におけるねじ穴の径が、ねじ受け嵌合部に挿通される端部側におけるねじ穴の径より大となるよう、ねじ受けはカバーの表面に対して傾斜を有して成形されている。
【0007】
また、本考案による筐体とカバーの固定構造のねじ受けは、ねじ受け挿通穴からねじ受け嵌合部に嵌合されたとき、ねじ受け嵌合部の端部に係止される爪を備え、ねじ受けの長さは、爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されるよう、筐体の表面からねじ受け嵌合部の端部までの長さと実質的に等しいものである。
カバーに設けられたねじ受けと筐体に設けられたねじ受け嵌合部により、カバーと筐体の仮止めができ、しかも、ねじの螺着により、傾斜を有するねじ受けの弾性を利用してカバーと筐体の確実な固定が可能である。また、ねじ受けの爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されるので固定がより確実になる。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、本考案による筐体とカバーの固定構造の実施例を図面を参照して詳述する。
インターホン、電話機等は、内部に電子機器を収納した筐体にカバーを固定して構成されている。
【0009】
図1(a)に示すように、電子機器を収納する筐体1に合成樹脂製のカバー2を固定するねじ3と、カバー2に設けられ、ねじ3が挿着されるねじ穴4の周囲から筐体1の内部11に向って延設されたねじ受け5と、筐体1に設けられ、ねじ受け5が挿通されるねじ受け挿通穴6の周囲から内部11に向って延設されたねじ受け嵌合部7とで構成され、カバー2の表面22側におけるねじ穴4の径Cが、ねじ受け嵌合部7に挿通される端部53側におけるねじ穴4の径Dより大(C>D)となるよう、ねじ受け5はカバー2の表面22に対して傾斜を有して成形されている。
【0010】
また、本考案による筐体1とカバー2の固定構造のねじ受け5は、ねじ受け挿通穴6からねじ受け嵌合部7に嵌合されたとき、ねじ受け嵌合部7の端部71に係止される爪51を備え、ねじ受け5の長さA(カバー2の内面23から爪51の基部54まで)は、ねじ受け5がねじ受け嵌合部7に嵌合されたとき、爪51がねじ受け嵌合部7の端部71に係止されるよう、筐体1の表面12からねじ受け嵌合部7の端部71までの長さBと実質的に等しく(A≒B)成形されている。
【0011】
以下に、図1に示される本考案による筐体とカバーの固定構造の動作を説明する。
図1(b)に示すように、筐体1のねじ受け嵌合部7に対して筐体1のねじ受け挿通穴6から、カバー2のねじ受け5を嵌合させる。ここで、筐体1とカバー2は仮止めされる。ついで、同図(c)に示すように、ねじ3をねじ受け5に刻設されたねじ山52に螺着する。このとき、ねじ受け5の端部53側はねじ3の挿通により押し広げられて、ねじ受け5の内径Dは内径Cと等しくなって、ねじ受け5の爪51がねじ受け嵌合部7の端部71にしっかり係止され、筐体とカバーの固定はより確実になる。
【0012】
カバー2を外すときには、まずねじ3を外し、ねじ受け5とねじ受け嵌合部7によって仮止め状態にあるカバー2を筐体1から外す。
このように、カバー2と筐体1が仮止めされているので、ねじ3の着脱がスムーズに行われる。
【0013】
【考案の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本考案による筐体とカバーの固定構造は、電子機器を収納する筐体に合成樹脂製のカバーを固定するねじと、カバーに設けられ、ねじが挿着されるねじ穴の周囲から筐体の内部に向って延設されたねじ受けと、筐体に設けられ、ねじ受けが挿通されるねじ受け挿通穴の周囲から内部に向って延設されたねじ受け嵌合部とで構成され、カバーの表面側におけるねじ穴の径が、ねじ受け嵌合部に挿通される端部側におけるねじ穴の径より大となるよう、ねじ受けはカバーの表面に対して傾斜を有して成形されているので、カバーに設けられたねじ受けと筐体に設けられたねじ受け嵌合部により、カーバーと筐体の仮止めができ、しかも、ねじの螺着により、傾斜を有するねじ受けの弾性を利用してカーバーと筐体の確実な固定が可能である。
【0014】
また、ねじ受けは、ねじ受け挿通穴からねじ受け嵌合部に嵌合されたとき、ねじ受け嵌合部の端部に係止される爪を備え、ねじ受けの長さは、爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されるよう、筐体の表面からねじ受け嵌合部の端部までの長さと実質的に等しいので、ねじ受けの爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されて固定がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本考案による筐体とカバーの固定構造を説明する図である。
【図2】従来の筐体とカバーの固定を示す図である。
【符号の説明】
1 ‥筐体
11 ‥筐体の内部
12 ‥筐体の表面
2 ‥カバー
22 ‥カバーの表面
3 ‥ねじ
4 ‥ねじ穴
5 ‥ねじ受け
51 ‥爪
53 ‥ねじ受けの端部
6 ‥ねじ受け挿通穴
7 ‥ねじ受け嵌合部
71 ‥ねじ受け嵌合部の端部
A ‥ねじ受けの長さ
B ‥筐体の表面からねじ受け嵌合部の端部までの長さ
C ‥カバーの表面側におけるねじ受け挿通穴の径
D ‥筐体の内部側におけるねじ受け挿通穴の径

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】電子機器を収納する筐体(1)に合成樹脂製のカバー(2)を固定するねじ(3)と、前記カバーに設けられ、前記ねじが挿着されるねじ穴(4)の周囲から前記筐体の内部(11)に向って延設されたねじ受け(5)と、前記筐体に設けられ、前記ねじ受けが挿通されるねじ受け挿通穴(6)の周囲から前記内部に向って延設されたねじ受け嵌合部(7)とで構成され、前記カバーの表面(22)側における前記ねじ穴の径(C)が、前記ねじ受け嵌合部に挿通される端部(53)側における前記ねじ穴の径(D)より大となるよう、前記ねじ受けは前記カバーの表面に対して傾斜を有して成形されたことを特徴とする筐体とカバーの固定構造。
【請求項2】前記ねじ受けは、前記ねじ受け挿通穴から前記ねじ受け嵌合部に嵌合されたとき、前記ねじ受け嵌合部の端部(71)に係止される爪(51)を備え、前記ねじ受けの長さ(A)は、前記爪がねじ受け嵌合部の端部に係止されるよう、前記筐体の表面(12)から前記ねじ受け嵌合部の端部までの長さ(B)と実質的に等しいことを特徴とする請求項1記載の筐体とカバーの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3037187号
【登録日】平成9年(1997)2月19日
【発行日】平成9年(1997)5月6日
【考案の名称】筐体とカバーの固定構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−10867
【出願日】平成8年(1996)10月25日
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)