筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法
【課題】スポーツ用のボトムウェア等のボトムウェアや、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材として使用される耐久性に優れた筒状編地製品並びにその素材及び耐久性に優れた筒状編地製品並びにその素材の製造方法を提供する。
【解決手段】筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法が、少なくとも伸縮抑制部となる筒状編地部分の編成に際し、編針に複数の編糸を給糸して編成されるとき、当該複数の編糸の間に熱溶融接着糸が位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸同士を固結して伸縮抑制部を形成するようにした。
【解決手段】筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法が、少なくとも伸縮抑制部となる筒状編地部分の編成に際し、編針に複数の編糸を給糸して編成されるとき、当該複数の編糸の間に熱溶融接着糸が位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸同士を固結して伸縮抑制部を形成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は主として丸編機で編成される筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法であって、特にスポーツ用のアンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材として使用される筒状編地製品及び筒状編地製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年スポーツ用のボトムウェアとして脚の筋肉を部分的に押圧することにより、運動性を高めるようにしたものが種々提案されている。
その例として特許文献１に記載されているように、筋肉を押圧する編地部分に樹脂やラバー−を貼着するようにしたものや、特許文献２に記載されているように、カットボスにより補強された編地部分を形成するようにしたものが知られている。
【０００３】
ところが、筋肉を押圧する編地部分に樹脂やラバーを貼着するようにしたものでは、樹脂やラバーの貼着作業に手かがかかり、生産性が低下し高価になるだけでなく、樹脂やラバーを表面に貼着したものでは見栄えが悪く商品価値が低くなるという問題があった。
【０００４】
一方、カットボスにより補強された編地部分を形成するようにしたものでは、渡り糸部分をカットする作業手間を要し、生産性が低下し高価になるだけでなく、カットされた渡り糸部分が無駄な糸となり、歩留まりが悪くなると言う問題や、熱溶解接着紙を熱収縮させて固定するので当該部分が固くなり、着心地が悪くなるという問題があった。
【０００５】
そこで、こうした問題点を解消すべく本出願人は、少なくとも伸縮抑制部となる筒状編地部分の編成が、編針に複数の編糸を給糸して編成されるときに、当該複数の編糸の間に熱溶融接着糸が位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部を形成するようにしたものを先に提案している（特許文献３）。
【０００６】
しかしながら、先の出願では、図に示すように熱溶融接着糸が供給されるために、この熱溶融接着糸が溶融したときに複数の編糸に十分に浸透せず、その接着力が低いために、伸びを抑制する機能や耐久性に問題があった。
【特許文献１】特開２００３−２８６６０６号公報
【特許文献２】特開２００１−２１４３０３号公報
【特許文献３】特開２００７−２７７７７７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、上記問題点に鑑み、スポーツ用のボトムウェア等のボトムウェアや、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材として使用される耐久性に優れた筒状編地製品及び耐久性に優れた筒状編地製品の製造方法を提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、本発明に係る筒状編地製品の製造方法は、筒状に編成されることにより形成される筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材となる筒状編地の所望する部分に、伸縮抑制部分の形成部を形成しながら編成する筒状編地製品並びにその素材の製造方法において、筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材が、１本の編針に複数の編糸を給糸して編成されるものであって、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしたことを最も主要な特徴とするものである。
【０００９】
本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材は、屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分および／または筋肉押圧のための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地部分の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融し上記伸縮抑制編地部分の編糸が接着されることにより、伸縮抑制編地部分が形成されていることを最も主要な特徴とするものである。
【００１０】
本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材が、筒状編地製品がスポーツ用アンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材であることも特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明にかかる筒状編地製品の製造方法では、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしてあるので、当該部分の編地を形成する複数の編糸は確実にかつ強力に接着固結されているので、伸びを抑制する機能や耐久性が著しく向上する筒状編地製品の製造方法を提供することができる利点がある。
【００１２】
また、本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材では、屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融されることにより、伸縮抑制編地部分の編地を形成する編糸は確実にかつ強力に接着固結されているので、伸びを抑制する機能や耐久性が著しく向上した筒状編地製品を提供することができる利点がある。
【００１３】
そして、本発明の筒状編地製品並びにその素材が、スポーツ用アンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材である場合、腹筋と背筋等、身体の筋肉のバランスを保ち、目的に合わせて形成された伸縮抑制機能を強力にかつ長期間にわたり持続して作用させることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
上記目的を達成するための本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法の最も好ましい実施に形態を図面に基づいて詳述する。
図１は本発明にかかる筒状編地製品の１例としてのショーツの正面図、図２はその背面図であって、図中符号１はショーツを全体的に示す。
このショーツ１は、後述するように、丸編み機の細かいゲージで筒状に編成された素材を裁断及び縫製等の加工により形成したもので、上端の履き口部分２にゴムベルト部３が形成され、正面の中央部および背面の上下の部分には伸びを規制して体形を補正することができる伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃが形成されている。
尚、同図中符号５は股下部分のマチ部である。
【００１５】
次にこのショーツを製造する手順を図３乃至図７に基づいて説明する。
図３は丸編機の作用を説明するための平面図である。
この丸編み機は、先の提案にかかるものと同様に構成されており、回転シリンダ６に対してヤーンフィーダ（給糸口）７を４個設け、シリンダの１回転で４コースの編成が行える生産性の高い物となっており、各ヤーンフィーダ７の近傍には熱溶融接着糸１４のカットされた端部を吸引して保持する保持部８が設けられている。
【００１６】
そして、この丸編機を用いて図４及び図５に示すショーツ素材９を編成する場合、図上の下方から上方に向けて筒状に編成される。
この編成において、編み出し部１０の近傍から上記マチ部分５に至るまでは、図６のＡに示すように１本の編針１１には表面に現れる編糸１２と筒状編地の内側に現れる編糸１３とが給糸されて編成される。
この表側または裏側に現れる両編糸１２・１３は、捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１４が使用されることにより十分な伸縮性が保持されている。
【００１７】
マチ部分５では、肌感触を確保するために、当該四角形状の部分をパイル編若しくはアコーデオン編にしてある。
そして、筒状の編地（ショーツ素材９）の背面及び正面で、筋肉を押圧して伸びを抑制する伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃになると、当該部分を編成するさいの編針には上記表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１６・１７に加えて、熱溶融接着糸１４が加えられる。
【００１８】
この熱溶解接着糸１４は、図６のＢに示すように、表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３の中側に位置するように挿入される。
上記熱溶融接着糸１４の挿入密度は連続して挿入してもよいし、所定間隔置きに挿入することができるのはいうまでもないことである。
この熱溶融接着糸１４としては、例えば東レ株式会社商品名「エルダー（登録商標）糸」がある。
ここで、熱溶融接着糸１４は、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの編成コースにおいて、その始端部が保持部８に保持された状態で挿入されて編成が開始されると保持部８が熱溶融接着糸１４の端部を開放し、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの終端部で再び熱溶融接着糸１４の端部を保持した後、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃ側の熱溶融接着糸１４を切断する。
【００１９】
履き口部分２の近傍になると、ゴム糸やＦＴＹ等の弾性糸が挿入若しくは弾性糸のみで履き口部分２にゴムベルト部３が形成される。
ゴムベルト部３が形成された後、終端部の端部処理が行われて丸編機から編地が払い落されると、図４及び図５に示す筒状のショーツ素材９が形成される。
斯くして形成された筒状のショーツ素材９は、図７に示すように編地の前後が左右に位置するように扁平にし、これを２点鎖線１５で示すように、マチ部分５から足刳り部分１６を形成する曲線部分を経て前記マチ部分５に連結される部分１７が形成されるように裁断され、その切断された周縁部に、レースやフリル等がオーバーロック等により解れ止めを兼ねて縫着される。
【００２０】
上記のようにして形成されたショーツ１は、成型のために加熱されると、給糸された熱溶融接着糸１４の溶融で表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３を接着するとともに、給糸された熱溶融接着糸１４の溶融で、周辺の表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸１２・１３で編成された編地の組織を接着して固定する。
そして、溶融した熱溶融接着糸１４は、編地の内外に現れることがなく、捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編地の組織が熱溶融接着糸１４の溶融でしっかりと固定されるので、見た目もきれいな編地で商品価値も高いものとなる。
【００２１】
尚、上記実施の形態では、ショーツ１のヒートセットの成形時に熱溶融接着糸１４を溶融して当該部分の編地組織を接着して固定するようにしてあるが、こうしたものに限られず、染色等の後処理工程が施される場合、この工程で伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの熱溶融接着糸１４を溶融して当該部分の編地組織を接着して固定するようにしてもよいことはもちろんのことである。
また、上記実施の形態では、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃを、表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３とその中に熱溶融接着糸１４を挿入するようにしてあるが、編糸が３本以上の複数本である場合、熱溶融接着糸１４を編み糸間に配置可能な複数本にすることも可能である。
さらに、上記本発明はショーツに限られず、スポーツ用のボトムウェアやアンダーウェア、矯正用の下着、医療用着衣（リハビリ用着衣やコルセット等）に実施することができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの正面図である。
【図２】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの背面図である。
【図３】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材を編成する丸編機の作用を説明するための概略平面図である。
【図４】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の正面図である。
【図５】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の背面図である。
【図６】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材を編成する丸編機における編針の正面図である。
【図７】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の裁断手順を示す正面図である。
【符号の説明】
【００２３】
１・・・ショーツ
２・・・履き口部分
３・・・ゴムベルト部
４ａ、４ｂ、４ｃ・・・伸縮抑制部分
５・・・マチ部
９・・・ショーツ素材
１１・・・編針
１２・・・表面に現れる編糸
１３・・・裏面に現れる編糸
【技術分野】
【０００１】
本発明は主として丸編機で編成される筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法であって、特にスポーツ用のアンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材として使用される筒状編地製品及び筒状編地製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年スポーツ用のボトムウェアとして脚の筋肉を部分的に押圧することにより、運動性を高めるようにしたものが種々提案されている。
その例として特許文献１に記載されているように、筋肉を押圧する編地部分に樹脂やラバー−を貼着するようにしたものや、特許文献２に記載されているように、カットボスにより補強された編地部分を形成するようにしたものが知られている。
【０００３】
ところが、筋肉を押圧する編地部分に樹脂やラバーを貼着するようにしたものでは、樹脂やラバーの貼着作業に手かがかかり、生産性が低下し高価になるだけでなく、樹脂やラバーを表面に貼着したものでは見栄えが悪く商品価値が低くなるという問題があった。
【０００４】
一方、カットボスにより補強された編地部分を形成するようにしたものでは、渡り糸部分をカットする作業手間を要し、生産性が低下し高価になるだけでなく、カットされた渡り糸部分が無駄な糸となり、歩留まりが悪くなると言う問題や、熱溶解接着紙を熱収縮させて固定するので当該部分が固くなり、着心地が悪くなるという問題があった。
【０００５】
そこで、こうした問題点を解消すべく本出願人は、少なくとも伸縮抑制部となる筒状編地部分の編成が、編針に複数の編糸を給糸して編成されるときに、当該複数の編糸の間に熱溶融接着糸が位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部を形成するようにしたものを先に提案している（特許文献３）。
【０００６】
しかしながら、先の出願では、図に示すように熱溶融接着糸が供給されるために、この熱溶融接着糸が溶融したときに複数の編糸に十分に浸透せず、その接着力が低いために、伸びを抑制する機能や耐久性に問題があった。
【特許文献１】特開２００３−２８６６０６号公報
【特許文献２】特開２００１−２１４３０３号公報
【特許文献３】特開２００７−２７７７７７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、上記問題点に鑑み、スポーツ用のボトムウェア等のボトムウェアや、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材として使用される耐久性に優れた筒状編地製品及び耐久性に優れた筒状編地製品の製造方法を提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、本発明に係る筒状編地製品の製造方法は、筒状に編成されることにより形成される筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材となる筒状編地の所望する部分に、伸縮抑制部分の形成部を形成しながら編成する筒状編地製品並びにその素材の製造方法において、筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材が、１本の編針に複数の編糸を給糸して編成されるものであって、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしたことを最も主要な特徴とするものである。
【０００９】
本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材は、屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分および／または筋肉押圧のための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地部分の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融し上記伸縮抑制編地部分の編糸が接着されることにより、伸縮抑制編地部分が形成されていることを最も主要な特徴とするものである。
【００１０】
本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材が、筒状編地製品がスポーツ用アンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材であることも特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明にかかる筒状編地製品の製造方法では、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしてあるので、当該部分の編地を形成する複数の編糸は確実にかつ強力に接着固結されているので、伸びを抑制する機能や耐久性が著しく向上する筒状編地製品の製造方法を提供することができる利点がある。
【００１２】
また、本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材では、屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融されることにより、伸縮抑制編地部分の編地を形成する編糸は確実にかつ強力に接着固結されているので、伸びを抑制する機能や耐久性が著しく向上した筒状編地製品を提供することができる利点がある。
【００１３】
そして、本発明の筒状編地製品並びにその素材が、スポーツ用アンダーウェア、矯正用下着ないし医療用着衣、若しくはそれらの素材である場合、腹筋と背筋等、身体の筋肉のバランスを保ち、目的に合わせて形成された伸縮抑制機能を強力にかつ長期間にわたり持続して作用させることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
上記目的を達成するための本発明にかかる筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法の最も好ましい実施に形態を図面に基づいて詳述する。
図１は本発明にかかる筒状編地製品の１例としてのショーツの正面図、図２はその背面図であって、図中符号１はショーツを全体的に示す。
このショーツ１は、後述するように、丸編み機の細かいゲージで筒状に編成された素材を裁断及び縫製等の加工により形成したもので、上端の履き口部分２にゴムベルト部３が形成され、正面の中央部および背面の上下の部分には伸びを規制して体形を補正することができる伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃが形成されている。
尚、同図中符号５は股下部分のマチ部である。
【００１５】
次にこのショーツを製造する手順を図３乃至図７に基づいて説明する。
図３は丸編機の作用を説明するための平面図である。
この丸編み機は、先の提案にかかるものと同様に構成されており、回転シリンダ６に対してヤーンフィーダ（給糸口）７を４個設け、シリンダの１回転で４コースの編成が行える生産性の高い物となっており、各ヤーンフィーダ７の近傍には熱溶融接着糸１４のカットされた端部を吸引して保持する保持部８が設けられている。
【００１６】
そして、この丸編機を用いて図４及び図５に示すショーツ素材９を編成する場合、図上の下方から上方に向けて筒状に編成される。
この編成において、編み出し部１０の近傍から上記マチ部分５に至るまでは、図６のＡに示すように１本の編針１１には表面に現れる編糸１２と筒状編地の内側に現れる編糸１３とが給糸されて編成される。
この表側または裏側に現れる両編糸１２・１３は、捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１４が使用されることにより十分な伸縮性が保持されている。
【００１７】
マチ部分５では、肌感触を確保するために、当該四角形状の部分をパイル編若しくはアコーデオン編にしてある。
そして、筒状の編地（ショーツ素材９）の背面及び正面で、筋肉を押圧して伸びを抑制する伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃになると、当該部分を編成するさいの編針には上記表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１６・１７に加えて、熱溶融接着糸１４が加えられる。
【００１８】
この熱溶解接着糸１４は、図６のＢに示すように、表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３の中側に位置するように挿入される。
上記熱溶融接着糸１４の挿入密度は連続して挿入してもよいし、所定間隔置きに挿入することができるのはいうまでもないことである。
この熱溶融接着糸１４としては、例えば東レ株式会社商品名「エルダー（登録商標）糸」がある。
ここで、熱溶融接着糸１４は、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの編成コースにおいて、その始端部が保持部８に保持された状態で挿入されて編成が開始されると保持部８が熱溶融接着糸１４の端部を開放し、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの終端部で再び熱溶融接着糸１４の端部を保持した後、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃ側の熱溶融接着糸１４を切断する。
【００１９】
履き口部分２の近傍になると、ゴム糸やＦＴＹ等の弾性糸が挿入若しくは弾性糸のみで履き口部分２にゴムベルト部３が形成される。
ゴムベルト部３が形成された後、終端部の端部処理が行われて丸編機から編地が払い落されると、図４及び図５に示す筒状のショーツ素材９が形成される。
斯くして形成された筒状のショーツ素材９は、図７に示すように編地の前後が左右に位置するように扁平にし、これを２点鎖線１５で示すように、マチ部分５から足刳り部分１６を形成する曲線部分を経て前記マチ部分５に連結される部分１７が形成されるように裁断され、その切断された周縁部に、レースやフリル等がオーバーロック等により解れ止めを兼ねて縫着される。
【００２０】
上記のようにして形成されたショーツ１は、成型のために加熱されると、給糸された熱溶融接着糸１４の溶融で表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３を接着するとともに、給糸された熱溶融接着糸１４の溶融で、周辺の表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸１２・１３で編成された編地の組織を接着して固定する。
そして、溶融した熱溶融接着糸１４は、編地の内外に現れることがなく、捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編地の組織が熱溶融接着糸１４の溶融でしっかりと固定されるので、見た目もきれいな編地で商品価値も高いものとなる。
【００２１】
尚、上記実施の形態では、ショーツ１のヒートセットの成形時に熱溶融接着糸１４を溶融して当該部分の編地組織を接着して固定するようにしてあるが、こうしたものに限られず、染色等の後処理工程が施される場合、この工程で伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃの熱溶融接着糸１４を溶融して当該部分の編地組織を接着して固定するようにしてもよいことはもちろんのことである。
また、上記実施の形態では、伸縮抑制部分４ａ、４ｂ、４ｃを、表側または裏側に現れる捲縮糸やＦＴＹ等の弾性糸からなる編糸１２・１３とその中に熱溶融接着糸１４を挿入するようにしてあるが、編糸が３本以上の複数本である場合、熱溶融接着糸１４を編み糸間に配置可能な複数本にすることも可能である。
さらに、上記本発明はショーツに限られず、スポーツ用のボトムウェアやアンダーウェア、矯正用の下着、医療用着衣（リハビリ用着衣やコルセット等）に実施することができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの正面図である。
【図２】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの背面図である。
【図３】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材を編成する丸編機の作用を説明するための概略平面図である。
【図４】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の正面図である。
【図５】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の背面図である。
【図６】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材を編成する丸編機における編針の正面図である。
【図７】は本発明にかかる筒状編地製品であるショーツの素材の裁断手順を示す正面図である。
【符号の説明】
【００２３】
１・・・ショーツ
２・・・履き口部分
３・・・ゴムベルト部
４ａ、４ｂ、４ｃ・・・伸縮抑制部分
５・・・マチ部
９・・・ショーツ素材
１１・・・編針
１２・・・表面に現れる編糸
１３・・・裏面に現れる編糸
【特許請求の範囲】
【請求項１】
筒状に編成されることにより形成される筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材となる筒状編地の所望する部分に、伸縮抑制部分の形成部を形成しながら編成する筒状編地製品並びにその素材の製造方法において、筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材が、１本の編針に複数の編糸を給糸して編成されるものであって、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしたことを特徴とする筒状編地製品並びにその素材の製造方法。
【請求項２】
屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分および／または筋肉押圧のための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地部分の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融し上記伸縮抑制編地部分の編糸が接着されることにより、伸縮抑制編地部分が形成されていることを特徴とする筒状編地製品並びにその素材。
【請求項３】
請求項１又は請求項２の筒状編地製品並びにその素材が、スポーツ用アンダーウエア、矯正用下着ないし医療用着衣若しくはその素材であるもの。
【請求項１】
筒状に編成されることにより形成される筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材となる筒状編地の所望する部分に、伸縮抑制部分の形成部を形成しながら編成する筒状編地製品並びにその素材の製造方法において、筒状編地製品、若しくは筒状に編成された編地を縫製して筒状編地製品にする素材が、１本の編針に複数の編糸を給糸して編成されるものであって、伸縮抑制部分となる編地部分の編成時に、熱溶融接着糸が１本の編針に給糸される複数の編糸の内側に挟まれた状態に位置するように編針に給糸して編成した後、当該筒状編地を製品に縫製する前に、または筒状編地を製品に縫製した後に、前記筒状編地若しくは筒状編地製品を熱処理することにより、熱溶融接着糸を溶融して当該部分の編地のループを形成する複数の編糸を固結して伸縮抑制部分を形成するようにしたことを特徴とする筒状編地製品並びにその素材の製造方法。
【請求項２】
屈伸運動時に伸びる側となる関節部分を除く少なくとも一部の伸縮抑制編地部分および／または腹部等の締め込みのための伸縮抑制編地部分および／または筋肉押圧のための伸縮抑制編地部分が複数の編糸で編成されており、当該伸縮抑制編地部分の編成時に複数の編地編成用編糸の間に熱溶融接着糸が挿入され、当該熱溶融接着糸が熱処理により溶融し上記伸縮抑制編地部分の編糸が接着されることにより、伸縮抑制編地部分が形成されていることを特徴とする筒状編地製品並びにその素材。
【請求項３】
請求項１又は請求項２の筒状編地製品並びにその素材が、スポーツ用アンダーウエア、矯正用下着ないし医療用着衣若しくはその素材であるもの。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１０−７２０８（Ｐ２０１０−７２０８Ａ）
【公開日】平成２２年１月１４日（２０１０．１．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１６８３７９（Ｐ２００８−１６８３７９）
【出願日】平成２０年６月２７日（２００８．６．２７）
【出願人】（５９７１０４６８４）株式会社クワトロ・エー (6)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１月１４日（２０１０．１．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年６月２７日（２００８．６．２７）
【出願人】（５９７１０４６８４）株式会社クワトロ・エー (6)
【Ｆターム（参考）】
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