説明

管体の敷設構造

【構成】土砂等に埋設された埋設管Pに対して、埋設管Pの口径の1/5から3/2までの距離の上方の位置に、弾性板体1を設置する。
【効果】管体側方が圧密されて固められるため、管体が扁平することを防止できる。そして、管体側方の上の土面に盛土を施工する必要がなく、時間がかからず、作業性に優れる。また管体に対する土圧が軽減されるため、管体が扁平、圧壊することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、管体の敷設構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土砂等に埋設された管体は、管体上部の土圧によって、管体が扁平、圧壊するという問題があった。上記土圧に耐えるようにするために、管体上面に管形状に沿うように加工された弾性体15を設ける技術が提案されている(図3に図示)(実開平3−58380号公報)。
【0003】また、管体側方の土砂を固めると管体が扁平しないため、管体側方の上の土面に盛土を施工して、盛土の重量によって、管体側方の土砂を圧密させて固めることも知られている。
【0004】更に、管体の敷設方法として、管体の周囲を土砂や砕石等の剛性の高い基礎材によって、管体の上方(管頂から、管外径の1/5程度の距離)まで隠れるように埋設することも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実開平3−58380号公報の技術では、弾性体を管体上面に管形状に沿うように管体の外径に合わせて、管径毎に加工する必要があるという問題があった。
【0006】また、盛土を施工する場合は、管体側方の地盤が圧密されるまでの時間がかかり、作業性が悪い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を解決するものであり、土砂等に埋設された管体に対して、弾性板体を管体の管頂から、管外径の1/5から3/2までの距離の上方の位置に、管体に並列させて埋設することを特徴とする構成とする。
【0008】本発明に使用する弾性板体は、圧縮性を有するとともに弾性を有していて復元性を有する板体であり、合成樹脂の発泡体、ゴム等が好ましく、管体を埋設する土砂等より低い弾性係数(25〜130kgf/cm2 程度)が好ましい。これらの性質を有するものとして、EPS(Expanded Poly-Styrol) ブロック等の発泡スチロール、架橋ポリエチレンの発泡体がある。
【0009】弾性板体の寸法は、肉厚を20〜70cmとすることが適度に圧縮されるので好ましく、幅を管外径と同じか若干長い程度とすることが、図1に示すように弾性板体1の上方の土Aの圧力が管体側方の土b、cに向かうので好ましく、長さを管体と並列に連続させて設けられるものにすることが好ましい。
【0010】本発明においては、弾性板体を管体の管外径の1/5から3/2までの距離の上方の位置に設けなければならない。弾性板体をこの距離にすると、管体側方の土b、cが好適に圧密される。
【0011】弾性板体が、管径の1/5の距離の上方の位置より管体に近いと、剛性の高い基礎材によって管が隠れるように埋設した場合、剛性の高い基礎材内に弾性板体が入り込むことにより、弾性板体が圧縮できず、管体側方の土b、cが圧密されない。
【0012】弾性板体が、管径の3/2の距離の上方の位置より管体から遠いと、弾性板体上方の土Aの圧力が、弾性板体上方の土A側方の土B、Cに向かうため、管体側方の土b、cが圧密されない。
【0013】また、本発明の管体の敷設構造と併用して、管形状に沿うように加工された弾性体を管体上面に敷設することが、管体の扁平、圧壊することを更に防止できるので好ましい。
【0014】埋設される管体として、合成樹脂管、強化プラスチックコンクリート複合管、コンクリート管、鋳鉄管等が使用されるが特に限定されない。また、管体の管軸に直交する断面の形状は、円形、卵形、楕円形、円形に近い多角形等、どのような形状であってもよい。
【0015】
【作用】本発明の管体の敷設構造は、弾性板体上方の土Aの圧力が、弾性板体の圧縮によって、管体側方の土b、cに向かうため、弾性板体下方の土aにかかる圧力は減少するが、管体側方の土b、cにかかる圧力が増加して、管体側方の土b、cが圧密される。この圧密によって管体の扁平を防止する。
【0016】また、弾性板体上方の土Aは、弾性板体の弾性力による圧縮によって、下方に沈み込むが、弾性板体上方の土A側方の土B、Cはそのままの状態で動かないから、摩擦力が生じて、B、Cから受ける反力によって、管体に対する土圧が軽減される。この土圧が軽減によって管体の扁平、圧壊を防止する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の管体の敷設構造の実施例の断面を示している。図2は本発明の管体の敷設構造に用いられる弾性板体の別実施例の断面を示している。図3は従来技術の実施例を示している。
【0018】1は断面が長方形の弾性板体であり、管体Pに沿って並列されており、長尺の板状のEPSブロックの発泡スチロールである。EPSブロックは弾性係数50kgf/cm2 であり、超軽量、圧縮性、高衝性の材料特性、並びに大量生産による均質性を有する。弾性板体1の厚みは50mm、幅は950mmである。
【0019】管体Pは、管体の外径が940mm、肉厚が30mmの強化プラスチック複合管である。弾性板体1は管頂から1000mm上方であり、地面から2000mm下方に設けられる。
【0020】施工順序を説明する。先ず、土面を掘削して開削溝4を形成し、溝底や溝壁の地盤を締め固めて、その上に配管すべき管体P、P・・・の必要本数を配置し、相互に接続する。接続された管体Pの周囲に土砂や砕石の剛性の高い基礎材2によって、管体Pの上方には管頂から管外径の1/5程度の距離まで隠れるように突き固めて埋設する。次に、所定に高さまで公知の方法により埋め戻しを行う。その際に、弾性板体1を管頂から1000mm上方、地面から2000mm下方になるように敷設する。
【0021】別実施例の弾性板体11、12、13、14は、軸方向に直交する断面においての中央部の厚みを両端部よりも厚くすることで、弾性板体上方の土Aの圧力が、中央部から両端部へ向かう、そして、管体側方の土b、cに向かいやすくなり、管体側方の土b、cが更に圧密されやすくなる。
【0022】実際、本発明を施工したところ、管体側方の土b、cは圧密されて、強化され、管体Pは扁平していなかった。
【0023】
【発明の効果】本発明の管体の敷設構造は、弾性板体上方の土Aの圧力が、弾性板体の圧縮によって、管体側方の土b、cに向かうため、弾性板体下方の土aにかかる圧力は減少するとともに、管体側方の土b、cにかかる圧力が増加して、管体側方の土b、cが圧密される。そのため、管体側方の上の土面に盛土を施工して、管体側方の土b、cが圧密されるまで待つ必要がない。したがって、管体が扁平しない。
【0024】また、弾性板体上方の土Aは、弾性板体の弾性力による圧縮によって、下方に沈み込むが、弾性板体上方の土A側方の土B、Cはそのままの状態で動かないから、摩擦力が生じて、B、Cから受ける反力によって、管体に対する土圧が軽減される。そのため管体が扁平、圧壊しない。
【0025】更に、従来技術のように弾性体を管体上面に管形状に沿うように管体の外径に合わせて、管径毎に加工する必要がないため作業性に優れる。そして、どのような管体の管径、形状でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の管体の敷設構造の実施例の断面図
【図2】 本発明の管体の敷設構造に用いられる弾性板体の別実施例の断面図
【図3】 従来技術の弾性体が設置された管体の斜視図
【符号の説明】
1 弾性板体
2 基礎材
4 開削溝
15管形状に合わせて加工された弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】土砂等に埋設された管体に対して、弾性板体を管体の管頂から、管外径の1/5から3/2までの距離の上方の位置に、管体に並列させて埋設することを特徴とする管体の敷設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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