説明

管理装置、管理システム、及びプログラム

【課題】電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの更新に係る利便性を向上させる。
【解決手段】電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの一例としてのファームウェア(FW)を該記憶部に記憶されているFWのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、該利用規約を利用者に提示して利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、該処理の実行後に利用者から承諾が得られた場合に、電子機器の記憶部に記憶されているFWが新しいバージョンのFWに更新されるように制御する(手動更新)。また、該新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、上記処理を実行することなく該記憶部に記憶されているFWが新しいバージョンのFWに更新されるように制御する(自動更新)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置と、画像形成装置のファームウェア等の制御情報を記憶する情報サーバと、制御情報の格納先を記憶する管理サーバとがネットワークを介して接続され、作業者が画像形成装置のUI装置からファームウェアの更新を指示することにより、画像形成装置が管理サーバから制御情報の格納先を取得して、該格納先から制御情報を取得して更新するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの更新に係る利便性を向上させることができる管理装置、管理システム、及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の管理装置は、電子機器に設けられた記憶部に記憶されている該電子機器の制御のためのソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段と、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段と、を備えている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の管理装置において、前記第1制御手段は、前記処理において、更に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアのバージョンと前記新しいバージョンとの機能の差分を示す機能差分情報が前記利用規約と共に前記利用者に提示されるように制御するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の管理装置において、前記第2制御手段は、更に、前記記憶部に記憶されているソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新された場合に、更新完了の旨と共に、更新前のバージョンと更新後のバージョンとの機能の差分を示す機能差分情報が前記利用者に提示されるように制御するものである。
【0008】
請求項4の発明の管理システムは、記憶部が設けられた電子機器であって、前記記憶部に前記電子機器の制御のためのソフトウェアが記憶された電子機器と、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段、及び前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段、を備えた管理装置と、を有するものである。
【0009】
請求項5の発明は、コンピュータを、電子機器に設けられた記憶部に記憶されている該電子機器の制御のためのソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段、及び前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの更新に係る利便性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、更新を承諾するか否かを判断するときの判断材料を利用者に提供できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、利用者の承諾無しでソフトウェアが更新された場合であっても利用者に対してソフトウェアの更新完了と更新前後の機能の差分を認識させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの更新に係る利便性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子機器に設けられた記憶部に記憶され該電子機器の制御のためのソフトウェアの更新に係る利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の管理システムの概略構成を示した図である。
【図2】管理装置の構成を示す図である。
【図3】電子機器の構成を示す図である。
【図4】端末装置の構成を示す図である。
【図5】(A)はバーション管理テーブルの一例を示す図であり、(B)は、ファームウェアFW−Aの利用規約管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】更新指示生成処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図7】手動更新処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図8】手動更新処理のフローチャートの他の例を示す図である。
【図9】自動更新処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図10】(A)は利用規約問い合せ受信処理を示すフローチャートであり、(B)は利用規約問い合せ受信処理を示すフローチャートであり、(C)は利用規約・機能差分情報問い合せ受信処理を示すフローチャートである。
【図11】電子機器が更新可否及び更新方法を判断する場合の更新処理のフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態の管理システム10の概略構成を示した図である。
【0018】
図1に示すように、管理装置12、電子機器14、及び端末装置16はネットワーク等の通信手段18を介して接続されており、互いに通信が可能である。ここで言う通信手段の一例としてのネットワークは、例えば、インターネットやイントラネットなどであってもよい。
【0019】
管理装置12は、電子機器14に設けられた記憶部に記憶されている該電子機器14の制御のためのソフトウェア(ここでは、ファームウェアとする)の更新に関する管理を行う。電子機器14は、記憶部に記憶されたファームウェアを実行し利用者に対して予め定められたサービスを提供する機器である。電子機器14は、例えば、印刷、複写、ファクシミリ送受信及びスキャン等のサービスを提供する複合機であってもよいが、複合機に限定されない。なお、図1では、電子機器14が通信手段18に複数台接続されている場合を図示したが、通信手段18に接続される電子機器14は1台であってもよい。端末装置16は、電子機器14を利用する利用者20が操作する端末装置である。
【0020】
次に、図2、図3、及び図4を参照して、管理装置12、電子機器14、及び端末装置16の構成について説明する。
【0021】
図2は、管理装置12の構成を示す図である。
【0022】
管理装置12には、CPU30、メモリ32、入出力IF34、ネットワーク通信制御部40、及び記憶部42が設けられており、これらはバス44を介して互いに接続されている。
【0023】
CPU30は、記憶部42のプログラム記憶領域42aに記憶されている各種プログラムを実行する。メモリ32は、例えば、CPU30がプログラムを実行する際のワークメモリとして使用される。
【0024】
入出力IF34には、表示装置36及び操作装置38が接続されている。表示装置36は、CPU30の制御により各種画像を表示する。操作装置38は、利用者20により操作され、例えばキーボードやボタン等により構成される。
【0025】
ネットワーク通信制御部40は、通信手段18経由で情報の送受信を行うための制御部である。
【0026】
記憶部42は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の書換え可能な記憶部である。記憶部42には、前述のプログラム記憶領域42aが設けられている。プログラム記憶領域42aには、電子機器14のファームウェアの更新を管理する更新管理プログラムや、記憶部42に対するデータのネットワークを介したアップロードやダウンロード等のサービスを含むWEBサービスを提供するためのWEBサービスプログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0027】
更にまた、記憶部42には、ファームウェア記憶領域42bが設けられている。ファームウェア記憶領域42bには、電子機器14のファームウェアが記憶されている。ファームウェアは、電子機器14のメーカ等により、不具合が修正されたり、新しい機能が追加されたりすると、新しいバージョン(版)がリリースされる。ファームウェア記憶領域42bには、ファームウェアがバージョンアップされる度に、新しいバージョンのファームウェアが上書きされることなく追加的に記憶される。従って、管理装置12のファームウェア記憶領域42bには、ファームウェアがバージョン毎に記憶される。また、電子機器14に複数種類のファームウェアが記憶されて用いられる場合には、該複数種類のファームウェアがバージョン毎に記憶される。電子機器14がファームウェアを更新する際には、ここに記憶されているファームウェアが通信手段18を介して電子機器14にダウンロードされて用いられる。
【0028】
なお、ファームウェアには、ファームウェアの利用に関する利用規約がファームウェアの提供者によって付与される場合がある。また、利用規約は、ファームウェアのバージョンに応じて、付与される場合もあるし、付与されない場合もある。
【0029】
例えば、新たにリリースされるバージョンが、1つ前のバージョンのファームウェアに対して、機能の追加や修正が無いものである場合や、小規模な不具合修正などを目的とするものである場合においては、利用規約を不要としたり、ファームウェアを有料で提供する場合には利用規約を付与し、無料で提供する場合には利用規約を付与しない、としたりする場合等が考えられる。
【0030】
こうした利用規約のファイルも、利用規約が付与されているバージョンのファームウェアが管理装置12の記憶部42に記憶される際に、該ファームウェアのバージョン情報に関連付けて、ファームウェア記憶領域42bに記憶される。更にまた、ファームウェアの最初のバージョン以外のバージョンについては、各バージョン情報に関連付けて、1つ前にリリースされたバージョンとの機能の差分を示す機能差分情報も記憶される。機能差分情報はファームウェアの変更内容を示す情報とも言える。
【0031】
更にまた、記憶部42には、バージョン管理テーブルと、利用規約管理テーブルとが記憶されている。
【0032】
バージョン管理テーブルは、電子機器14の各々に格納され動作しているファームウェアの種類及びバージョン情報が、各電子機器14に対応付けられて記憶される。図5(A)はバーション管理テーブルの一例を示す図である。図5(A)に示す例では、電子機器14の各々を識別する識別番号に対応付けられて、電子機器14に現に記憶されているファームウェアの各々を識別する識別情報(図5では「FW−A」及び「FW−B」)毎にバージョン情報が記憶されている。
【0033】
利用規約管理テーブルは、利用規約の記憶先を示す情報と、機能差分情報の記憶先を示す情報とがファームウェアの各バージョンに対応付けて記憶されている。利用規約管理テーブルは、ファームウェア毎に設けられる。図5(B)は、ファームウェアFW−Aの利用規約管理テーブルの一例を示す図である。数字が小さいほど古いバージョンであることを示す。
【0034】
利用規約の記憶先の情報は、利用規約が記憶されている記憶領域を示す情報であって、この記憶先にアクセスすることで、利用規約を取得し参照することができる。図5(B)に示す例では、バージョン1.0及びバージョン1.1については、利用規約は付与されていない(存在しない)ため利用規約の記憶先を示す情報は記憶されていないが、バージョン1.2については利用規約が付与されており(存在しており)、該利用規約の記憶先を示す情報がバージョン1.2に対応付けて記憶されている。なお、記憶先を示す情報としては、例えば、該利用規約が存在する場所を示すURL(Uniform Resource Locator)としてもよい。
【0035】
また、機能差分情報の記憶先の情報は、機能差分情報が記憶されている記憶領域を示す情報であって、この記憶先にアクセスすることで、機能差分情報を取得し参照することができる。機能差分情報は、1つ前のバージョンとの差分を示す情報であるため、最も古いバージョン、すなわち最初のバージョンについては、機能差分情報は存在しない。
なお、記憶先を示す情報としては、例えば、該機能差分情報が存在する場所を示すURL(Uniform Resource Locator)としてもよい。
【0036】
図3は、電子機器14の構成を示す図である。
【0037】
電子機器14には、CPU50、メモリ52、操作パネル54、ネットワーク通信制御部56、サービス実行部58、及び記憶部60が設けられており、これらはバス62を介して互いに接続されている。
【0038】
CPU50は、記憶部60に記憶されている各種プログラム(後述する更新処理プログラム等を含む)を実行する。メモリ52は、例えば、CPU50がプログラムを実行する際のワークメモリとして使用される。
【0039】
操作パネル54には、LCD等から成る表示部54a、及びテンキーやタッチパネル等から成り利用者による操作を受付ける操作受付部54bが設けられている。
【0040】
ネットワーク通信制御部56は、通信手段18経由で情報の送受信を行うための制御部である。
【0041】
サービス実行部58は、利用者20に提供するサービスを実行する。例えば、電子機器14が、複合機であれば、サービス実行部58は、印刷やスキャン等のサービスを実行する。
【0042】
記憶部60は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の書換え可能な記憶部である。記憶部60には、電子機器14の制御のためのファームウェアが記憶されている。更にまた、記憶部60には、更新処理プログラム、及びWEBサービスプログラムが記憶されている。更新処理プログラムは、記憶部60に記憶されているファームウェアの更新処理を行うためのプログラムであり、後述する手動更新処理及び自動更新処理を行うプログラムが含まれる。WEBサービスプログラムは、WEB(World Wide Web)に関するサービス(例えば、WEBページをネットワーク上に公開して他の装置から閲覧可能とするサービス等)を提供するためのプログラムである。また、記憶部60には、利用者20のメールアドレスを示す情報も記憶されている。
【0043】
図4は、端末装置16の構成を示す図である。端末装置16には、CPU70、メモリ72、入出力IF74、ネットワーク通信制御部80、及び記憶部82が設けられており、これらはバス84を介して互いに接続されている。
【0044】
CPU70は、記憶部82に記憶されている各種プログラムを実行する。メモリ72は、例えば、CPU70がプログラムを実行する際のワークメモリとして使用される。
【0045】
入出力IF74には、表示装置76及び操作装置78が接続されている。表示装置76は、CPU70の制御により各種画像を表示する。操作装置78は、利用者20により操作され、例えばキーボードやボタン等により構成される。
【0046】
ネットワーク通信制御部80は、通信手段18経由で情報の送受信を行うための制御部である。
【0047】
記憶部82は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部である。記憶部82には、電子メールの送受信を行うためのアプリケーション・プログラムや、ネットワーク上に公開されているWEBページを閲覧するためのブラウザアプリケーション・プログラム等、様々なプログラムが記憶されている。
【0048】
次に、本実施の形態に係る管理システムの作用について説明する。
【0049】
管理装置12は、管理している電子機器14から電子機器14の記憶部60に記憶されているファームウェアのバージョン情報を受信することにより、個々の電子機器14に現に記憶されているファームウェアのバージョン情報をバージョン管理テーブルに登録する。例えば、電子機器14がポーリング機能の実行時に管理装置12に対して電子機器14自身に記憶されているファームウェアのバージョン情報を送信するようにしてもよい。或いは、管理装置12が予め設定されているタイミングで、電子機器14に通信して問い合せ、電子機器14からバージョン情報を取得するようにしてもよい。
【0050】
また、ファームウェアの新しいバージョンがリリースされ、該新しいバージョンのファームウェア、その利用規約、及び機能差分情報が、管理装置12の記憶部42に記憶された場合には、該ファームウェアに対応する利用規約管理テーブルに、該新しいバージョンに対応付けて利用規約の記憶先の情報及び機能差分情報の記憶先の情報を追加登録して利用規約管理テーブルを更新する。なお、利用規約が付与されていないバージョンの場合には、利用規約管理テーブルにおける、利用規約の記憶先の項目には、「利用規約無し」を示すフラグが登録される。利用規約管理テーブルの更新は、管理装置12自身が記憶部42に新しいファームウェアが記憶されたことをトリガとして自動で行うようにしてもよいが、ファームウェアの提供者等が手動で行うようにしてもよい。
【0051】
電子機器14の利用者20が、操作パネル54の表示部54aに表示された問い合せボタンを押下した場合、予め定められたタイミングが到来した場合(例えば、電源ボタンが押下され電源がオンしたとき等)、或いは予め定められた時間が経過する毎等に、電子機器14の更新処理プログラムが起動して、該電子機器14のファームウェアの更新可否問い合せを電子機器14から管理装置12に送信する。
【0052】
管理装置12が電子機器14から更新可否問い合せを受信すると、更新管理プログラムが起動し、図6に示す更新指示生成処理が開始される。なお、以下では、説明を簡単にするため、電子機器14に記憶されているファームウェアがFW−Aの1種類であると仮定して説明する。
【0053】
ステップ100では、バージョン管理テーブル及び利用規約管理テーブルを参照する。
【0054】
ステップ102では、更新可否問い合せの送信元の電子機器14について、ファームウェアの更新可否を判断する。具体的には、更新可否問い合せを送信した電子機器14の識別番号に対応付けられてバージョン管理テーブルに記憶されているファームウェアのバージョン情報(現バージョン情報)と、利用規約管理テーブルに記憶されている最新のバージョン情報とを比較する。最新のバージョン情報より現バージョン情報が古ければ、更新可能と判断し、最新のバージョン情報と現バージョン情報とが等しければ、更新不可能と判断する。
【0055】
例えば、図5(A)に示すように、更新可否問い合せを送信した電子機器14が識別番号「AAA」の電子機器14の場合、識別番号「AAA」の電子機器14に記憶されているFW−Aの現バージョン情報は1.1であるが、図5(B)に示すように、最新のバージョン情報が1.2である場合には、更新可能と判断される。また、更新可否問い合せを送信した電子機器14が識別番号「BBB」の電子機器14の場合、識別番号「BBB」の電子機器14に記憶されているFW−Aの現バージョン情報は1.2であり、最新バージョン情報は1.2であることから、更新不可能と判断される。
【0056】
ステップ102で、更新不可能と判断した場合には、ステップ112で、更新可否問い合せの送信元である電子機器14に更新不可能通知を送信する。
【0057】
ステップ102で、更新可能と判断した場合には、ステップ104に進む。ステップ104では、更新可能なファームウェアについて、現バージョン情報が示すバージョンより新しいバージョン(以下、更新バージョンという)に利用規約が付与されているか否かを判断する。例えば、図5(A)、(B)に示すように、「AAA」の識別番号の電子機器14のファームウェア「FW−A」を、バージョン1.2に更新する場合には、利用規約管理テーブルには、バージョン1.2に対応付けられて利用規約の記憶先の情報が記憶されているため、ステップ104では、利用規約有り(手動更新処理を行う)と判断される。また、仮に、利用規約管理テーブルにおいて、利用規約の記憶先の情報がバージョン1.2に対応付けられて記憶されていなければ、利用規約無し(自動更新処理を行う)と判断される。すなわち、ここでは、利用規約の有無に応じて更新方法が判断される。
【0058】
ステップ104で利用規約有りと判断された場合には、ステップ106に進み、手動更新指示を生成する。手動更新指示は、利用者20に対して利用規約を提示して、利用者20からファームウェアの更新の承諾が得られた場合にファームウェアを更新させる更新指示である。
【0059】
一方、ステップ104で利用規約無しと判断された場合には、ステップ108に進み、自動更新指示を生成する。自動更新指示は、利用者20に対する利用規約の提示及び利用者20の承諾を不要とし、自動的にファームウェアを更新させる更新指示である。
【0060】
なお、手動更新指示及び自動更新指示の双方には、各々、更新可能なファームウェアの識別情報、該ファームウェアの更新バージョンを示すバージョン情報(上記例では、「1.2」を示す情報)と、管理装置12の記憶部42のファームウェア記憶領域42b内の、更新バージョンのファイルの記憶先を示す情報(上記例では、バージョン1.2のファームウェアFW−Aの記憶先を示す情報、例えば、URL等。)とを含む更新情報が含まれる。
【0061】
ステップ110では、更新指示を送信する。すなわち、ステップ106で手動更新指示を生成した場合には、該手動更新指示を電子機器14に送信し、ステップ108で自動更新指示を生成した場合には、該自動更新指示を電子機器14に送信する。
【0062】
電子機器14は、管理装置12から手動更新指示を受信すると、図7に示す手動更新処理を開始する。
【0063】
ステップ200では、手動更新指示に含まれる更新情報に基づき、更新可能なファームウェアの更新バージョンに付与されている利用規約の記憶先の情報を取得するための利用規約問い合せを生成して管理装置12に送信する。
【0064】
管理装置12は、利用規約問い合せを受信すると、図10(A)に示す利用規約問い合せ受信処理を実行する。ステップ400で、更新可能なファームウェアの更新バージョンのバージョン情報に対応付けられた利用規約の記憶先の情報を利用規約管理テーブルから読み出し、ステップ402で、該読み出した利用規約の記憶先の情報を電子機器14に送信する。
【0065】
ステップ202では、利用規約の記憶先の情報を管理装置12から受信したか否かを判断し、受信したと判断するまでは待ち状態を継続する。ステップ202で記憶先の情報を受信したと判断した場合には、ステップ204に進む。
【0066】
ステップ204では、利用規約の記憶先の情報が示す記憶先から、利用規約を取得する。
【0067】
ステップ206では、取得した利用規約を、更新可能なファームウェアの識別情報及び該ファームウェアの更新バージョンを示すバージョン情報と共に操作パネル54の表示部54aに表示する。また、表示部54aには、更新を承諾する承諾ボタンと、更新を承諾しない非承諾ボタンも表示する。利用者20はファームウェアを更新するか否かを、表示された利用規約を参酌した上で判断し、判断結果を操作パネル54に表示された承諾ボタンか非承諾ボタンをタッチすることで入力する。
【0068】
ステップ208では、利用者20が更新を承諾したか否か、ここでは、承諾ボタンが押下されたか否かを判断する。ステップ208で肯定判断した場合には、ステップ210に進み、ファームウェアの更新を行う。具体的には、手動更新指示に含まれる更新情報が示す記憶先から、更新バージョンのファイルを取得(ダウンロード)し、電子機器14自身の記憶部60に記憶されている古いバージョンのファームウェアを、該取得した更新バージョンのファームウェアに置き換えて更新する。
【0069】
また、ステップ208で否定判断した場合には、ステップ210のファームウェア更新処理は行わずに終了する。
【0070】
なお、上記では、電子機器14が手動更新指示を受信した場合に、利用規約を利用者20に提示する例について説明したが、利用規約と共に機能差分情報を提示するようにしてもよい。この場合の手動更新処理のフローチャートを図8に示す。
【0071】
ステップ220では、手動更新指示に含まれる更新情報に基づき、更新可能なファームウェアの更新バージョンに付与されている利用規約の記憶先の情報及び機能差分情報の記憶先の情報を取得するための利用規約・機能差分情報問い合せを生成して管理装置12に送信する。
【0072】
管理装置12は、利用規約・機能差分情報問い合せを受信すると、図10(C)に示す利用規約・機能差分情報問い合せ受信処理を実行する。ステップ600で、更新可能なファームウェアの更新バージョンのバージョン情報に対応付けられた利用規約の記憶先の情報を利用規約管理テーブルから読み出し、ステップ602で、更新可能なファームウェアの更新バージョンのバージョン情報に対応付けられた機能差分情報の記憶先の情報を利用規約管理テーブルから読み出し、ステップ604で、該読み出した利用規約の記憶先の情報と、機能差分情報の記憶先の情報とを電子機器14に送信する。
【0073】
ステップ222では、利用規約の記憶先の情報及び機能差分情報の記憶先の情報を管理装置12から受信したか否かを判断し、受信したと判断するまでは待ち状態を継続する。ステップ222で該情報を受信したと判断した場合には、ステップ224に進む。
【0074】
ステップ224では、利用規約の記憶先の情報が示す記憶先から、利用規約を取得する。ステップ226では、機能差分情報の記憶先の情報が示す記憶先から、機能差分情報を取得する。
【0075】
ステップ228では、取得した利用規約及び機能差分情報を、更新可能なファームウェアの識別情報及び該ファームウェアの更新バージョンを示すバージョン情報と共に操作パネル54の表示部54aに表示する。また、表示部54aには、更新を承諾する承諾ボタンと、更新を承諾しない非承諾ボタンも表示する。
【0076】
ステップ230では、利用者20が更新を承諾したか否か、ここでは、承諾ボタンが押下されたか否かを判断する。ステップ230で肯定判断した場合には、ステップ232に進み、上記ステップ210と同様に、ファームウェアの更新を行う。
【0077】
一方、ステップ230で否定判断した場合には、ステップ232のファームウェア更新処理は行わずに終了する。
【0078】
また、電子機器14は、管理装置12から自動更新指示を受信すると、図9に示す自動更新処理を開始する。
【0079】
ステップ300では、上記ステップ210と同様に、ファームウェアの更新を行う。
【0080】
ステップ302では、更新されたファームウェアの更新バージョンに対して記憶されている機能差分情報の記憶先の情報を取得するための機能差分情報問い合せを生成して管理装置12に送信する。
【0081】
管理装置12は、機能差分情報問い合せを受信すると、図10(B)に示す利用規約問い合せ受信処理を実行する。ステップ500で、更新されたファームウェアの更新バージョンのバージョン情報に対応付けられた機能差分情報の記憶先の情報を利用規約管理テーブルから読み出し、ステップ502で、該読み出した機能差分情報の記憶先の情報を電子機器14に送信する。
【0082】
ステップ304では、機能差分情報の記憶先の情報を管理装置12から受信したか否かを判断し、受信したと判断するまでは待ち状態を継続する。ステップ304で記憶先の情報を受信したと判断した場合には、ステップ306に進む。
【0083】
ステップ306では、機能差分情報の記憶先の情報が示す記憶先から、機能差分情報を取得する。
【0084】
ステップ308では、取得した機能差分情報を、更新が完了した旨と共に操作パネル54の表示部54aに表示する。
【0085】
なお、ここでは、ステップ302以下の処理により、利用者20に対して更新完了の旨を報知するようにしたが、ステップ302以下は省略してもよい。
【0086】
また、更新が終了した後、更新完了の旨と共に機能差分情報を操作パネル54の表示部54aに表示するのではなく、利用者20のメールアドレスに、更新完了の旨と共に機能差分情報の記憶先の情報を含むメールを生成して送信するようにしてもよい。利用者20は、端末装置16により該メールを受信すると、更新完了を把握できるだけでなく、メールに含まれる記憶先の情報から機能差分情報を取得し、閲覧することができる。また、機能差分情報の記憶先の情報ではなく、機能差分情報そのものをメールに含めて送信するようにしてもよい。
【0087】
上記では、更新バージョンが複数存在する場合の処理例、及び更新可能なファームウェアが複数存在する場合の制御についての詳細な説明は省略したが、以下では、これらの場合の制御について詳しく説明する。
【0088】
(具体例1)
ここで、管理装置12に記憶されているファームウェアFW−Aの各バージョンの利用規約の有無は、以下の通りであると仮定する。
【0089】
<FW−A>
1.0(利用規約無し)
1.1(利用規約無し)
1.2(利用規約有り)
2.0(利用規約有り)・・・最新バージョン
【0090】
そして、更新可否問い合せをした電子機器14の記憶部60に記憶されているファームウェアのバージョン情報(現バージョン情報)に応じて、以下のように処理する。
【0091】
(1)現バージョン情報:1.1の場合
この場合、更新バージョンは1.2、2.0であり、双方のバージョンとも、利用規約が存在する。従って、手動更新指示が生成され、各々のバージョンについて利用規約が操作パネル54を介して利用者20に提示されることになる(図8に示したように利用規約と共に機能差分情報を提示してもよい)。
【0092】
ここで、利用者20が双方の更新を承諾した場合には、バージョン2.0まで順に更新され、バージョン1.2については承諾したが、2.0については承諾しなかった場合には、バージョン1.2まで更新される。また、ファームウェアが、バージョンをスキップせずに古いバージョンから順番に更新する必要がある仕様となっている場合において、バージョン1.2を承諾しなかったときは、ファームウェアの更新がされないよう制御される。また、バージョン1.2、2.0の双方とも承諾しなかった場合にも、ファームウェアの更新はされないよう制御されることとなる。
【0093】
なお、ファームウェアが、古いバージョンから順番に更新する必要がなくバージョンをスキップして新しいバージョンに更新することが可能な仕様となっている場合もある。この場合において、バージョン1.2については承諾せず、バージョン2.0を承諾したときには、ファームウェアの更新はされないように制御してもよいし、バージョン1.2をとばして、バージョン2.0に更新されるように制御してもよい。
【0094】
なお、利用者20の承諾を得る際には、各バージョンについて個別に承諾ボタン、非承諾ボタンを表示して、利用者20に選択させるようにしてもよいが、全てのバージョンの更新を一括して更新させる一括承諾ボタン、一括して承諾しない一括非承諾ボタンを表示して何れか一方を押下させるようにしてもよい。一括承諾ボタンが押下された場合には、更新バージョンの全ての更新を承諾したものとして、該全てのバージョンのファイルが取得され更新に用いられる。一括非承諾ボタンが押下された場合には、全てのバージョンの更新が承諾されなかったものとして、ファームウェアの更新が行なわれない。
【0095】
(2)現バージョン情報:1.0の場合
この場合、更新バージョンは1.1、1.2、2.0であり、バージョン1.1については利用規約が存在しないが、バージョン1.2、2.0については、利用規約が存在する。従って、利用規約が存在しないバージョン1.1については、自動更新指示が生成され、バージョン1.2、2.0については、手動更新指示が生成される。自動更新指示が生成されたバージョンについては、上述したように、利用者20の承諾が不要であるため、利用規約等が提示されることなく、利用者20の承諾を得ずに更新する自動更新処理が実行される。そして、バージョン1.1までファームウェアが更新された後、電子機器14は、手動更新指示に従って、バージョン1.2、2.0の各々について利用規約が操作パネル54を介して利用者20に提示されることになる(図8に示したように利用規約と共に機能差分情報を提示してもよい)。これ以降の処理は、上記(1)の場合と同様であるため説明を省略する。
【0096】
このように、複数の更新バージョンに、利用規約が存在するバージョンと存在しないバージョンとが混在する場合の他の制御例として、更新バージョンに、利用規約が存在するバージョンが1つでも存在していれば、更新可能な全てのバージョンについて利用者20の承諾を必須として、利用規約が存在するバージョンについては利用規約を取得して提示すると共に各更新バージョンについて利用者20の承諾を得るようにしてもよい。
【0097】
その際、前述したように、全てのバージョンの更新を一括して更新させる一括承諾ボタン、一括非承諾ボタンを表示して何れか一方を押下させるようにしてもよいし、各々個別に承諾が得られるようにバージョン毎に承諾ボタン、非承諾ボタンを表示して押下させるようにしてもよい。
【0098】
(具体例2)
管理装置12に記憶されているファームウェアFW−Aの各バージョンの利用規約の有無は、以下の通りであると仮定する。
【0099】
<FW−A>
1.0(利用規約無し)
1.1(利用規約無し)
2.0(利用規約有り)
2.1(利用規約無し)・・・最新バージョン
【0100】
更新可否問い合せをした電子機器14の記憶部60に記憶されているファームウェアFW−Aのバージョン情報(現バージョン情報)が1.1の場合には、更新バージョンは2.0、2.1であり、バージョン2.0については利用規約が存在するが、バージョン2.1については、利用規約が存在しない。まず、利用規約が存在するバージョン2.0については、手動更新指示が生成される。そして、自動更新指示は、該手動更新指示により利用者20の承諾が得られてFW−Aがバージョン2.0に更新された後に生成される。これ以降は、各更新指示に従って上記と同様に処理すればよい。なお、他の処理例として、ファームウェアFW−Aが、バージョンをスキップして更新することができる仕様となっている場合には、バージョン2.0の手動更新指示は生成せずに、バージョン2.1の自動更新指示を生成して処理してもよい。
【0101】
(具体例3)
次に、複数種類のファームウェアが存在する場合において、該複数種類のファームウェアの各々が更新可能である場合の制御について説明する。複数種類のファームウェアが存在する場合には、個々のファームウェアについて個別に判断して処理すればよい。
【0102】
ここで、管理装置12に記憶されている2つのファームウェアFW−A、FW−Bの各バージョンの利用規約の有無が、以下の通りであると仮定する。
【0103】
<FW−A>
1.0(利用規約無し)
1.1(利用規約無し)
1.2(利用規約有り)
2.0(利用規約有り)・・・最新バージョン
【0104】
<FW−B>
1.0(利用規約無し)
1.1(利用規約無し)
2.0(利用規約有り)
2.1(利用規約無し)・・・最新バージョン
【0105】
そして、更新可否問い合せをした電子機器14の記憶部60に記憶されているファームウェアのバージョン情報(現バージョン情報)に応じて、以下のように処理する。
【0106】
(1)現バージョン情報:FW−A=1.2、FW−B=2.0の場合
この場合、FW−Aの更新バージョンは2.0であり、FW−Bの更新バージョンは2.1である。FW−Aのバージョン2.0については利用規約が存在するが、FW−Bのバージョン2.1については、利用規約が存在しない。従って、利用規約が存在しないFW−Bのバージョン2.1については、自動更新指示が生成され、FW−Aのバージョン2.0については、手動更新指示が生成される。自動更新指示が生成されたFW−Bについては、上述したように、利用者20の承諾が不要であるため、利用規約等が提示されることなく、利用者20の承諾を得ずに更新する自動更新処理が実行される。一方、FW−Aのバージョン2.0については、電子機器14は、手動更新指示に従って、FW−Aのバージョン2.0について利用規約を取得して操作パネル54を介して利用者20に提示する(図8に示したように利用規約と共に機能差分情報を提示してもよい)。提示後、承諾されれば更新され、承諾されなければ、更新されない。
【0107】
(2)現バージョン情報:FW−A=1.0、FW−B=1.1の場合
この場合、FW−Aの更新可能なバージョンは1.1、1.2、2.0であり、バージョン1.1については利用規約が存在しないが、バージョン1.2、2.0については、利用規約が存在する。従って、前述した具体例1の(2)と同様に処理すればよい。
一方、FW−Bの更新可能なバージョンは2.0、2.1であり、バージョン2.0については利用規約が存在するが、バージョン2.1については、利用規約が存在しない。従って、上記具体例2と同様に処理すればよい。
【0108】
上記実施の形態によれば、例えば、電子機器14の利用者と電子機器14のファームウェアを提供する提供者側とが電子機器14の設置時或いはファームウェアの更新の必要が生じる度に利用規約の取り交わしを行う場合に比べて、電子機器14のファームウェアの提供者側及び利用者の負担が軽減し、利便性が向上する。更にまた、上記実施の形態では、利用規約が存在しないバージョンについては自動更新処理が実行され、高い利便性が得られると共に、利用規約が存在するバージョンについて手動更新処理を実行する場合であっても、利用者は容易に利用規約を把握することができるため、利便性が向上する。
【0109】
[変形例]
【0110】
なお、上記実施の形態では、管理装置12は、管理装置12が管理している電子機器14から、電子機器14に記憶されているファームウェアのバージョン情報を受信することにより、個々の電子機器14に現に記憶されているファームウェアのバージョン情報を取得してバージョン管理テーブルに登録する例について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器14が管理装置12からファームウェアがダウンロードされたことをもって、管理装置12は電子機器14のファームウェアが該ダウンロードされたバージョンに更新されたと判断して、管理装置12がバージョン管理テーブルを更新するようにしてもよい。また、管理装置12で、バージョン管理テーブルを使用しない構成としてもよい。例えば、電子機器14から更新可否問い合せを管理装置12に送信する際に、電子機器14の記憶部60に現に記憶されているファームウェアのバージョン情報を該問い合せに含めて送信するようにすればよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、各ファームウェアのバージョン毎に機能差分情報を記憶し、利用規約管理テーブルにその記憶先の情報を登録しておく例について説明したが、手動更新処理時に利用者20の承諾を得る際に機能差分情報を提示せず、また、更新完了時に利用者20に機能差分情報を提示しない場合には、機能差分情報の記憶及び該テーブルへの登録は必須ではない。
【0112】
また、上記実施の形態では、管理装置12が、電子機器14から更新可否問い合せを受信したことをトリガとして、更新指示生成処理を開始する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、管理装置12に、新しいバージョンのファームウェアが記憶されたことをトリガとして、更新指示生成処理を開始するようにしてもよい。また、更新可否問い合せではなく、日々実施されるポーリング通知をトリガとして、更新指示生成処理を開始するようにしてもよい。
【0113】
更にまた、上記実施の形態では、更新可否問い合せを受信した際に、自動又は手動更新指示(或いは更新不可能通知)を生成して送信する例について説明したが、これに限定されない。例えば、管理装置12に新しいバージョンのファームウェアが記憶されたことをトリガとして管理装置12で自動又は手動更新指示を作成し、これを送信せずに記憶部42に記憶しておく。その後電子機器14から更新可否問い合せを受信した際或いは日々のポーリング通信が実施された際に、該記憶しておいた自動又は手動更新指示(或いは更新不可能通知)を電子機器14に送信するようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、ファームウェア、利用規約、機能差分情報の各々を管理装置12の記憶部42に記憶しておく例について説明したが、これに限定されず、他の装置に記憶しておくようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、管理装置12は、電子機器14から利用規約の問い合せがあった際には、利用規約の記憶先の情報を該電子機器14に送信する例について説明したが、これに限定されない。例えば、利用規約のファイルそのものを電子機器14に送信するようにしてもよい。機能差分情報の問い合せについても同様である。
【0116】
また、上記実施の形態では、自動更新指示及び手動更新指示の双方にファームウェアの記憶先の情報を含めるようにしたが、これに限定されず、例えば、手動更新指示については、該記憶先の情報を含めずに生成することとし、利用者20から更新の承諾が得られた場合に、電子機器14から承諾された旨を管理装置12に通知するようにして、該通知を管理装置12が受け取った場合に、更新可能なファームウェアの更新バージョンのファイルの記憶先の情報を電子機器14に通知するようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、電子機器14が手動更新指示を受信した場合に、図7に示すように、操作パネル54の表示部54aに利用規約を表示して利用者20に提示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、管理装置12から利用規約の記憶先の情報を取得し、利用者20のメールアドレスに対して、該利用規約の記憶先の情報を含むメールを生成して送信するようにしてもよい。或いは、電子機器14が手動更新指示を受信した場合に、管理装置12から利用規約の記憶先の情報を取得して、該記憶先から利用規約を取得(ダウンロード)して電子機器14の記憶部60に記憶し、該利用規約を記憶した記憶先を示す情報(例えばURL等)を含むメールを生成して、利用者20のメールアドレスに対して送信するようにしてもよい。
【0118】
利用者20は、端末装置16により該メールを受信すると、Webブラウザを介して該メールに含まれるURLにアクセスし、利用規約を参照することができる。利用者20はこれを閲覧して、更新を承諾するか否かを示すメールを生成して電子機器14に送信する。電子機器14は、該メールにより承諾が得られた場合に、ファームウェアの更新を行うようにしてもよい。
【0119】
また、電子機器14が手動更新指示を受信した場合に、管理装置12から利用規約の記憶先の情報及び機能差分情報の記憶先の情報を取得して、利用者20のメールアドレスに対して、これら取得した情報を含むメールを生成して送信するようにしてもよい。或いは、電子機器14が手動更新指示を受信した場合に、管理装置12から利用規約の記憶先の情報及び機能差分情報の記憶先の情報を取得し、利用規約及び機能差分情報を取得(ダウンロード)して電子機器14の記憶部60に記憶し、該記憶した記憶先を示す情報(例えばURL等)を含むメールを生成して、利用者20のメールアドレスに対して送信するようにしてもよい。
【0120】
利用者20は、端末装置16により該メールを受信すると、Webブラウザを介して該メールに含まれるURLにアクセスし、利用規約及び機能差分情報を参照することができる。利用者20はこれを閲覧して、更新を承諾するか否かを示すメールを生成して電子機器14に送信する。電子機器14は、該メールにより承諾が得られた場合に、ファームウェアの更新を行うようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、電子機器14が自動更新指示を受信したときにファームウェアの更新を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、自動更新指示を受信したときに、電子機器14のサービス実行部58でサービスを実行中の場合、或いは実行中ではないが、実行予約されたサービスが電子機器14に存在する場合には、該サービスの実行が終了した後に、ファームウェアを更新するようにしてもよい。更にまた、自動更新指示を受信した後、サービスが予め定められた時間実行されなかった場合、或いは操作パネル54が予め定められた時間操作されなかった場合に、ファームウェアを更新するようにしてもよい。
【0122】
また、電子機器14は、自動更新指示を受信した後、電子機器14の電源をオフする操作ボタンが押下されたときに、ファームウェアの更新を実施し、更新が完了した後に電子機器14の電源をオフするようにしてもよい。
【0123】
また、電子機器14は、自動更新指示を受信した後、次回の電子機器14が起動されたときに(電源ONされたとき)にファームウェアの更新を行うようにしてもよい。
【0124】
また、電子機器14は、自動更新指示を受信した後、電子機器14の一部の構成要素に対する電力を停止する節電モードに移行するタイミングで、ファームウェアの更新を行うようにしてもよい。
【0125】
また、電子機器14が自動更新指示を受信してからすぐには更新を行わない場合に、どのタイミングで更新するかを予め設定可能に構成してもよい。この場合、電子機器14が自動更新指示を受信してから、利用者20が電子機器14に対して設定したタイミングで更新が行なわれる。
【0126】
更にまた、上記実施の形態では、管理装置12が更新可否及び更新方法の判断を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器14に管理装置12の機能を設け、電子機器14自身が管理装置として更新可否及び更新方法を判断して更新制御するようにしてもよい。具体的には、例えば、管理装置12は、バージョン管理テーブルを保持せず、利用規約管理テーブルのみを保持し、図11に示す更新処理を電子機器14が実行するようにしてもよい。
【0127】
図11において、電子機器14は、更新可否問い合せを送信する代わりに、ステップ700で、管理装置12に対して、管理装置12に記憶されている利用規約管理テーブルの情報を要求する。そして、電子機器14は、該テーブルの情報を取得すると、ステップ702で、該取得したテーブルの情報を参照して、管理装置12から利用規約管理テーブルに記憶されている情報と、電子機器14に現在記憶されているファームウェアのバージョン情報(現バージョン情報)とを比較する。ステップ704では、ファームウェアの更新可否を判断する。
【0128】
ステップ704では、電子機器14は、現バージョン情報が、取得したテーブルに記憶されている最新のバージョン情報より古ければ、更新可能と判断し、現バージョン情報が、取得したテーブルに記憶されている最新のバージョン情報に等しければ、更新不可能と判断する。
【0129】
ステップ704で更新不可能と判断した場合には、本更新処理を終了する。
【0130】
また、ステップ704で更新可能と判断した場合には、ステップ706で、更新可能なファームウェアについて、更新バージョンに利用規約が有るか否かを判断する。ステップ706で肯定判断した場合には、ステップ708で手動更新処理を実行すると判断し、ステップ710で手動更新処理を実行する。手動更新処理は、図7、及び図8を用いて説明した通りであるが、電子機器14は既に管理装置12から利用規約管理テーブルの情報を受信しているため、ここでは利用規約問い合せや利用規約・機能差分情報問い合せは不要である。
【0131】
また、ステップ706で否定判断した場合には、ステップ712で、自動更新すると判断し、ステップ714で自動更新処理を実行する。自動更新処理は、図9を用いて説明した通りであるが、電子機器14は既に管理装置12から利用規約管理テーブルの情報を受信しているため、ここでは機能差分情報問い合せは不要である。
【0132】
なお、更新可否の判断は管理装置12側で行ない、この判断結果に基づいて、更新方法の判断は電子機器14側で行うようにしてもよい。
【0133】
以上のように、電子機器14側で判断して処理しても、管理装置12側で判断するのと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0134】
10 管理システム
12 管理装置
14 電子機器
16 端末装置
18 通信手段
30 CPU
32 メモリ
36 表示装置
38 操作装置
40 ネットワーク通信制御部
42 記憶部
50 CPU
52 メモリ
54 操作パネル
56 ネットワーク通信制御部
58 サービス実行部
60 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられた記憶部に記憶されている該電子機器の制御のためのソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段と、
前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段と、
を備えた管理装置。
【請求項2】
前記第1制御手段は、前記処理において、更に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアのバージョンと前記新しいバージョンとの機能の差分を示す機能差分情報が前記利用規約と共に前記利用者に提示されるように制御する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記第2制御手段は、更に、前記記憶部に記憶されているソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新された場合に、更新完了の旨と共に、更新前のバージョンと更新後のバージョンとの機能の差分を示す機能差分情報が前記利用者に提示されるように制御する
請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
記憶部が設けられた電子機器であって、前記記憶部に前記電子機器の制御のためのソフトウェアが記憶された電子機器と、
前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段、及び前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段、を備えた管理装置と、
を有する管理システム。
【請求項5】
コンピュータを、
電子機器に設けられた記憶部に記憶されている該電子機器の制御のためのソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されているときには、前記利用規約を利用者に提示して前記利用者から更新の承諾を得るための処理が実行されるように制御すると共に、前記処理の実行後に前記利用者から承諾が得られた場合に、前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第1制御手段、及び
前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアを該ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンに更新する場合において、前記新しいバージョンに利用規約が付与されていないときには、前記処理を実行することなく前記記憶部に記憶されている前記ソフトウェアが前記新しいバージョンのソフトウェアに更新されるように制御する第2制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248018(P2012−248018A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119533(P2011−119533)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】