管端封止装置
【構成】 管端封止装置10は、更生管100の管端102を封止するために用いられるものであり、更生管100の管端102に挿入される栓部材12、および更生管100の外面側から管端102を締め付ける締め付け部材14を備えている。栓部材12は、円柱状に形成され、その外周面には、周方向の全長に亘る溝状の凹部(18)が形成される。締め付け部材14は、線部材28、および押さえ部材30を含み、栓部材12を管端102に挿入した状態で凹部(18)の位置に設けられる。線部材28は、更生管100を周回して、端部がそれぞれ上方に延び、押さえ部材30の開口44に通される。そして、開口44を通って押さえ部材30の上側に突き出した線部材28の端部のねじ山34が、ナット部材48に螺合される。
【効果】 施工性に優れ、しかも更生管の管端を適切に密封することが可能である。
【効果】 施工性に優れ、しかも更生管の管端を適切に密封することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管端封止装置に関し、特にたとえば、老朽化した既設管を内側から補修する更生管の管端を封止するために用いられる、管端封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み変形等の縮径加工を施した更生管を既設管に挿入した状態で、更生管の両端を封止した状態で更生管の内部に蒸気や温水などの加熱流体を供給し、加熱流体によって更生管を円筒形に復元することにより、既設管内に更生管路を形成する技術が公知である。
【0003】
たとえば、特許文献1には、既設管内面に内張りされるライニング用樹脂管の施工用の管端封止装置が開示されている。この管端封止装置は、弾性材からなる栓体と、ライニング用樹脂管の管端部を締め付けるための締付用バンド部材とを備えている。そして、ライニング用樹脂管の管端部に栓体を挿入(密嵌)し、その管端部を外周側から締付用バンド部材で締め付けることによって、ライニング用樹脂管の管端を閉塞させる。
【特許文献1】実開平5−50288号[F16L 55/10]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、ライニング用樹脂管の管端部を外周側から締め付ける締付用バンド部材の具体的な態様が開示されていない。
【0005】
たとえば、ゴムホースの締結に一般に利用されているような締結用バンド部材を採用することが考えられるが、その場合には、ライニング用樹脂管の管端部にしわがよらないように、先ず、締付用バンド部材をライニング用樹脂管の外周側に配置しておいて、締付用バンド部材をある程度締め付けておき、その後で、栓体をライニング用樹脂管の管端部に挿入する必要があるので、その締め付け作業に手間や時間がかかってしまい、施工性が悪い。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、管端封止装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、施工性に優れる、管端封止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、更生管の管端を封止するために用いられる管端封止装置であって、円柱状に形成され、管端に挿入される栓部材、および栓部材を管端に挿入した状態で当該管端を更生管の外面側から締め付ける締め付け部材を備え、締め付け部材は、更生管を周回して各端部がそれぞれ上方に向けて延びる線部材、線部材の各端部を通す2つの開口を有する押さえ部材、および開口から押さえ部材の上側に突き出した線部材の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段を含む、管端封止装置である。
【0010】
第1の発明では、管端封止装置(10)は、栓部材(12)、および締め付け部材(14)を備え、更生管(100)の管端(102)を封止するために用いられる。栓部材は、たとえば鉄やステンレス等の金属によって円柱状に形成され、更生管の管端に挿入される。締め付け部材は、線部材(28)、および押さえ部材(30)を含み、栓部材を管端に挿入した状態で当該管端を更生管の外面側から締め付ける。線部材は、たとえば弾性を有する可撓性材料で形成される線材であり、更生管を周回して端部がそれぞれ上方に向けて延びる。押さえ部材は、線部材の端部を押さえ部材の上側に通すための開口(44)を有している。そして、開口を通って押さえ部材の上側に突き出した線部材の端部を、引き上げ手段(34,48)によって上方に引き上げると、線部材が更生管の管壁の外面に圧接されて、更生管が締め付けられる。実施例では、線部材の端部にねじ山(34)が形成され、開口を通って押さえ部材の上側に突き出した線部材のねじ山がナット部材(48)の内側のねじ溝に螺合される。そして、ねじ山およびナット部材をさらに螺合させることにより、線部材によって更生管が締め付けられる。このようにして、更生管の管壁の内面が栓部材に接触するまで更生管を締め付けることにより、更生管の管端を密封することが可能である。
【0011】
第1の発明によれば、更生管の管端に栓部材を挿入し、それを更生管の外面側から締め付け部材によって締め付けるだけの簡単な作業で、更生管の管端を適切に密封することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、栓部材の外周面には、凹部が形成され、締め付け部材は、栓部材を管端に挿入した状態で凹部の位置に設けられる。
【0013】
第2の発明では、栓部材(12)の外周面には、凹状に窪んだ凹部(18)が形成される。また、締め付け部材(14)は、栓部材を更生管(100)の管端(102)に挿入した状態で凹部の位置に設けられる。そして、更生管の管端を密封する際には、締め付け部材によって締め付けた更生管の管壁の内面が栓部材の凹部に接触するようにする。
【0014】
第3の発明は、第2の発明に従属し、凹部は、底面にシール材が設けられた溝である。
【0015】
第3の発明では、栓部材(12)の外周面には、凹部(18)として、周方向の全長に亘る溝が形成されており、この溝の底面には、耐熱ゴム等からなるシール材(20)が設けられる。このため、管端封止装置(10)によって更生管(100)の管端(102)を封止する際に、締め付け部材(14)によって締め付けた更生管の管壁の内面がシール材に接触するので、栓部材と更生管との間の水密性および気密性を保持することが可能になる。
【0016】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明に従属し、線部材は、更生管の管頂から両側に沿い、管底で交差して、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びる。
【0017】
第4の発明では、締め付け部材(14)の線部材(28)は、更生管(100)の管頂から両側に沿い、管底で交差して、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びるようにされる。
【0018】
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明に従属し、締め付け部材は、前記押さえ部材の下面に形成されるかつ前記線部材の位置決めを行う保持部をさらに含む。
【0019】
第5の発明では、押さえ部材(30)の下面(40)には、線部材(28)の位置決めを行う保持部(46)が形成される。そして、この保持部によって、更生管(100)の軸方向への線部材の動きが制限される。
【0020】
第5の発明によれば、線部材が位置ずれをおこすことがないので、締め付け部材による締め付け力を有効に機能させることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、更生管を加熱および加圧によって復元させる際に、簡単な施工で更生管内を安定した密閉状態に保持することができるので、施工性に優れる。
【0022】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す正面図である。
【図2】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す側面図である。
【図3】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す上面図である。
【図4】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す下面図である。
【図5】図1の更生管を示す斜視図である。
【図6】図1の栓部材を示す斜視図である。
【図7】図1の締め付け部材を示す正面図である。
【図8】図4の押さえ部材を示す断面図である。
【図9】既設管内に更生管を挿入する様子を示す図解図である。
【図10】(a)は、締め付け部材を更生管の管端に配置した様子を示す図解図であり、(b)は、締め付け部材によって更生管の外面側から管端を締め付けた様子を示す図解図である。
【図11】(a)は、締め付け部材を更生管の管端に配置した様子を示す図解図であり、(b)は、締め付け部材によって更生管の外面側から管端を締め付けた様子を示す図解図である。
【図12】既設管内に挿入した状態で更生管を復元する様子を示す図解図である。
【図13】(a)は、この発明の他の実施例の管端封止装置の栓部材を示す斜視図であり、(b)は、栓部材の凹部の位置を示す断面図である。
【図14】この発明のさらに他の実施例の管端封止装置の押さえ部材を示す上面図である。
【図15】この発明のさらに他の実施例の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1−図4を参照して、この発明の一実施例である管端封止装置10は、図9に示すような老朽化した既設管200を内側から補修する更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、更生管100の管端102を封止するために用いられる。
【0025】
なお、既設管200の用途および構成材料には、種々のものを適用し得るが、たとえば、ガス、上下水道、通信ケーブル保護または電力ケーブル保護等の用途であってよいし、また、鉄筋コンクリート管、鋳鉄管、鋼管ならびに合成樹脂管等から構成される管路であってよい。
【0026】
ここで、加熱装置10の具体的な説明に先立って、更生管100について説明しておく。
【0027】
図5に示すように、更生管100は、縮径加工により周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管である。この略U字状の押し込まれた部分を押し込み部分104という。更生管100の構成材料は、合成樹脂(塩化ビニル、ポリエチレン,ポリブテン,ポリプロピレン,ナイロン等)であるが、ここでは硬質塩化ビニルの実施例を示す。更生管100は既設管200の長さよりも長くされた長尺管であり、その厚みは、たとえば13mmである。
【0028】
ただし、更生管100としては、周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管に限定されるものではなく、たとえば折り畳み加工により折り畳まれた縮径管であってもよいし、扁平加工により扁平化されるとともに、上下方向の中間部が左右両側から押し込まれた断面略瓢箪形状を有する縮径管であってもよいし、形状をそのままに管径を既設管200よりも小さくした縮径管であってもよい。
【0029】
この更生管100は、従来公知の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略する。簡単に言えば、所定の径で押出成形された直管に対して、軟化点以上融点以下の範囲における所定の温度(この実施例では、たとえば約100℃程度)に加熱して、押し板やローラ等を用いて縮径加工を施すことによって押し込み部分104を形成する。こうすることにより、再び軟化点以上融点以下の温度に加熱し加圧することによって、押し込み部分104が外面側へ戻されて、円筒形等に復元することが可能となる。なお、更生管100は、復元したときの外径が既設管200の内径と略等しいかやや小さいサイズとなるように設定されている。
【0030】
管端封止装置10の説明に戻って、管端封止装置10は、図1−図4に示すように、更生管100の管端102(の開口)に挿入される栓部材12と、更生管100の外面側から管端102を締め付ける締め付け部材14とを備え、上述したように、更生管100の管端102を封止するために用いられる。
【0031】
図6に示すように、栓部材12は、鉄やステンレス等の金属からなり、中空円柱形状の本体部16を有している。ただし、ここでいう「円柱形状」とは、厳密に円柱形状と一致するか否かを定義するものではなく、一方端面または両端面が軸に対して斜めにされた形状や、一方端面から他方端面に向けてテーパがかかった形状などを含んだ略円柱状の形状を意味する。本体部16の直径は、復元した更生管100の内径と略等しいかそれよりも少し大きい所定の寸法に設定される。本体部16の外周面には、周方向の全長に亘って延びる溝状の凹部18が形成されており、凹部18の底面には、耐熱ゴム等からなるシール材20が設けられている。
【0032】
本体部16には、本体部16を軸方向に貫通する複数、この実施例では3つの連通部22,24,26が設けられる。連通部22,24,26は、たとえば鉄やステンレス等の金属からなる中空パイプであり、管端封止装置10によって更生管100の管端102を封止したときに、更生管100の内外を連通する。ただし、連通部22,24,26は、通常キャップ等で封止されていて、必要なときだけ適宜開放される。
【0033】
この実施例では、1つ目の連通部22は、更生管100内に所定温度に加熱し加圧した蒸気を供給するための蒸気供給口として利用される。この蒸気供給口22には、詳細は後に説明するように、更生管100を復元させる際に、ボイラ等の蒸気発生装置208から延びる供給ホース214が接続される。
【0034】
また、2つ目の連通部24は、圧力計等の圧力検出手段(図示せず)を接続するための圧力計用接続口として利用される。そして、更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、この圧力計用接続口24に接続した圧力検出手段により、更生管100内の圧力が計測される。
【0035】
さらに、3つ目の連通部26は、更生管100内に生じた凝縮水を排出するためのドレン排出口として利用される。そして、更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、このドレン排出口26を通して、更生管100の内面に蒸気が接触すること等により生じた凝縮水が排出される。なお、ドレン排出口26からの凝縮水の排出は、自然流下によって行うようにしてもよいし、ドレン排出口26にホースを差し込んで固定して、内圧を利用して抜き出すようにしてもよい。
【0036】
図1−図4に戻って、締め付け部材14は、線部材28、および押さえ部材30を含み、更生管100の管端102に栓部材12を挿入した状態で凹部18の位置に設けられる。
【0037】
線部材28は、断面略真円形状を有する線材であり、その線径は、たとえば8mmである。線部材28は、バネ鋼などある程度弾性を有する可撓性材料で形成され、更生管100の管頂から両側に沿い、管底で交差して端部がそれぞれ上方に向けて延びる。このようにして、線部材28は、更生管100を周回して、更生管100を円周方向に囲むリング部分32を形成する。
【0038】
ただし、ここでいう「上方」とは、厳密に鉛直上向きと一致するか否かを定義するものではなく、斜め上方向を含む上方向を意味する。
【0039】
線部材28の各端部は、外周面にねじが切られており、そこにねじ山34が形成されている。そして、このねじ山34と、後述するナット部材48とが、線部材28の端部を上方に引き上げる引き上げ手段として機能する。
【0040】
また、押さえ部材30は、線部材28のねじ山34およびナット部材48を螺合したときに、更生管100の管頂で線部材28を押さえ付ける部分であり、鉄やステンレス等の金属によって形成される。押さえ部材30は、図7に示すように、正面視で上辺が下辺より長い台形状であってかつ上面視で矩形状に形成される中空の本体部36を有している。本体部36は、上板38、下板40、および側板42を含み、それらを溶接等で固着することによって形成される。
【0041】
上板38は、矩形の板状に形成され、押さえ部材30の上面を構成する。上板38の幅方向の両端部には、線部材28の端部を通すための孔であってかつ上板38を厚み方向に貫通する開口44がそれぞれ形成される。そして、各開口44に、更生管100の管底から上方に向けて延ばされた線部材28の端部が通される(つまり、挿通される)。各開口44は、押さえ部材30の奥行き方向(つまり、更生管100の軸方向)に所定寸法ずらして形成されている(図3参照)。こうすることにより、線部材28の端部を、押さえ部材30の奥行き方向にずらすことなく、更生管100の管底からそのまま上方に延ばして開口44に通すことができるので、線部材28のねじ山34およびナット部材48の螺合がスムーズに行えるようになる。
【0042】
下板40は、更生管100に沿うように湾曲した板状に形成され、押さえ部材30の下面を構成する。下板40には、線部材の位置決めを行うための保持部46が形成される。この実施例では、図8に示すように、押さえ部材30の奥行き方向(つまり、更生管100の軸方向)に所定の間隔を隔てて1対の保持部46が形成され、下板40から下方向に突出する。なお、保持部46の突出寸法は、線部材28の線径よりも小さい所定の値に設定されている。そして、一方の保持部46と他方の保持部46との間に線部材28が配置される。
【0043】
図7に戻って、側板42は、上板38および下板40の奥行き方向の両側縁において、上板38と下板40とを繋いでおり、押さえ部材30の側面を構成する。
【0044】
さらに、開口44を通って押さえ部材30の上側に突き出した線部材28の端部のねじ山34は、押さえ部材30の上側でナット部材48の内側のねじ溝に螺合される。つまり、図10(a)および図10(b)に示すように、線部材28のねじ山34およびナット部材48をさらに螺合させることにより、線部材28は徐々にそのリング部分32が小さくなる(つまり、縮径する)ように変形する。ナット部材48としては、たとえば汎用のナットを利用することができる。
【0045】
図9−図12を参照して、老朽化した既設管200を更生管100によって補修する工法の手順を説明する。
【0046】
先ず、両端にマンホール等がない場合には、立坑202および204を掘削して、既設管200の両端を立坑202および204内でそれぞれ開口させる。そして、始点の立坑202および終点の立坑204の近辺に、施工に必要な各種装置等を準備する。
【0047】
たとえば、始点の立坑202側には、縮径加工が施された更生管100を巻き取ったドラム206を準備する。また、ボイラ等の蒸気発生装置208も配置する。一方、終点の立坑204側には、牽引ワイヤ212を巻き取るためのウインチ210を配置しておく。
【0048】
そして、更生管100を既設管200に挿入する際には、終点の立坑204側から牽引ワイヤ212を既設管200内に挿通し、更生管100の先端にワイヤ取付具等を介してこの牽引ワイヤ212を接続する。そして、図9に示すように、牽引ワイヤ212をウインチ210で巻き取ることによって、更生管100を既設管200内に引き込む。更生管100はその先端が既設管200の立坑204に到達するまで挿入される。
【0049】
なお、引き込み(挿入)の際には、必要に応じてたとえば蒸気発生装置208等を用いて更生管100を所定温度(約80℃程度)に加熱して軟化させ、更生管100を曲がり易くして挿入抵抗をさらに低減するようにしてもよい。
【0050】
更生管100の先端が立坑204に到達すると、更生管100の両側の管端102,102に管端封止装置10を装着して、管端102,102を封止する。
【0051】
具体的には、更生管100の管端102を所定温度に加熱して軟化させることによって略円形に復元し、その管端102(の開口)に栓部材12を挿入し、更生管100の外面側に締め付け部材14を配置する。すなわち、図10(a)および図11(a)に示すように、更生管100の管端102を線部材28のリング部分32に通し、線部材28を栓部材12の凹部18に対応する位置に配置する。そして、線部材28の各ねじ山34およびナット部材48を、所定のトルクで少しずつ螺合させる。すると、線部材28のねじ山34が少しずつ上昇して、図10(b)および図11(b)に示すように、線部材28はそのリング部分32が更生管100よりも小さくなるように変形する。つまり、更生管100の管壁の外面に圧接された線部材28によって更生管100が締め付けられ、更生管100の管壁は潰れて縮径する。そして、更生管100の管壁の内面が栓部材12の凹部18のシール材20に接触するまで更生管100を締め付けることにより、栓部材12(のシール材20)と更生管100との間の水密性および気密性が確保されて、更生管100の管端102が密封されることとなる。
【0052】
ただし、図10では、図面の簡素化のために、更生管100および押さえ部材30を仮想線で示し、栓部材12の図示を省略していることに留意されたい。
【0053】
次に、更生管100の内部に蒸気を供給して、蒸気による加熱および加圧によって更生管100を円筒形に復元する。
【0054】
具体的には、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22に、蒸気発生装置208から延びる供給ホース214を接続するとともに、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の出口として開放する。それから、蒸気発生装置208を作動させて、供給ホース214から供給された蒸気を蒸気供給口22を介して更生管100内に供給する。
【0055】
そして、更生管100内に蒸気を供給した後、所定圧力に加圧する。この蒸気の圧力は、圧力計用接続口24に接続した圧力検出手段によって適宜計測され、更生管100が破裂しない程度に設定される。このようにして、更生管100は加熱されるとともに内圧がかけられ、その断面形状が真円または真円に十分に近い略真円形に復元、または既設管200の内面に密着するまで拡径するので、図12に示すように、そのまま復元した更生管100の外周面の全体を既設管路200の内周面の全体に略密着させる。ただし、加熱により形状復元する樹脂であれば、加圧は必ずしも必要ではない。
【0056】
次に、たとえば所定時間経過後、内圧を保持した状態で、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうち、蒸気の出口として開放したものを除く連通部のいずれかを開放し、そこから更生管100内に冷却ノズル(図示せず)を投入する。そして、冷却ノズルから更生管100内に冷却空気を供給し、更生管100を冷却する。冷却後、更生管100内から圧力空気を排出し、更生管100による既設管200の補修が完了する。
【0057】
以上のように、この実施例では、更生管100の管端102に栓部材12を挿入して、それを更生管100の外面側から締め付け部材14によって締め付けるだけの簡単な作業で、更生管100の管端102を封止することが可能である。
【0058】
すなわち、更生管100を周回した線部材28の端部を上方に向けて延ばし、押さえ部材30の開口44を通して、押さえ部材30の上側でその端部のねじ山34をナット部材48に螺合させるようにしたので、線部材28の各ねじ山34およびナット部材48を締める作業をするだけで、線部材28の端部が上方に引き上がり、線部材28が更生管100の管壁の全周に亘って圧接されて、更生管100が締め付けられる。
【0059】
したがって、この実施例によれば、簡単な施工で更生管100の管端102を適切に密封することができるので、施工性に優れる。
【0060】
また、この実施例では、栓部材12の凹部18の底面にシール材20が設けられる。このため、更生管100の管端102を締め付け部材14によって締め付けたときに、更生管100の管壁の内面が栓部材12のシール材20に接触する。したがって、栓部材12と更生管100との間の水密性および気密性を安定して保持することができる。
【0061】
さらに、この実施例では、押さえ部材30の下面40に保持部46が形成され、この保持部46が、更生管100の軸方向への線部材28の動きを制限する。このため、線部材28が位置ずれをおこすことがなく、締め付け部材14による締め付け力を有効に機能させることができる。
【0062】
さらにまた、栓部材12(の本体部16)が円柱状に形成されるとともに、この管端封止装置10によって更生管100の管端102を密封したときに、更生管100の周囲には、その上方を除いて、更生管100を周回する線部材28しか存在しない構造を有しているので、たとえば管端封止装置10によって管端102を密封した更生管100をマンホールの底面に設けられたインバートに配置するときにも、マンホールの底面を管端封止装置10の形状に合わせて撤去する必要がなく、また、その撤去した部分を復旧させる必要もない。
【0063】
なお、上述の実施例では、栓部材12に3つの連通部22,24,26が形成された。そして、連通部22を蒸気供給口として利用し、連通部24を圧力計用接続口として利用し、連通部26をドレン排出口として利用したが、これに限定される必要はなく、連通部22,24,26のうち任意の連通部を蒸気供給口、圧力計用接続口、ドレン排出口として利用すればよい。
【0064】
また、上述の実施例では、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22から蒸気を供給し、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の排出口として開放したが、これに限定される必要はなく、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22から蒸気を供給し、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の排出口として開放するようにしてもよい。
【0065】
さらに、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうち、蒸気の出口として開放したものを除く連通部のいずれかを開放し、そこから更生管100内に冷却ノズル(図示せず)を投入して、冷却ノズルから更生管100内に冷却空気を供給したが、これに限定される必要もない。
【0066】
たとえば、栓部材12に4つ目の連通部を形成して、それを冷却ノズルの投入口や蒸気の排出口として利用するようにしてもよい。
【0067】
さらにまた、栓部材12に必ずしも3つの連通部22,24,26を形成する必要もなく、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10において、蒸気供給口として利用するものを除く残りの連通部を、圧力計用接続口、ドレン排出口として兼用するようにしてもよいし、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10において、蒸気の排出口として利用するものを除く残りの連通部を、冷却ノズル投入口、ドレン排出口として兼用するようにしてもよい。
【0068】
また、上述の実施例では、線部材28の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段として、線部材28の各端部にねじ山34を形成して、このねじ山34とナット部材48とを押さえ部材30の上側で螺合させるようにしたが、これに限定される必要はない。線部材28の各端部を上方に引き上げることができるのであれば、引き上げ手段として、任意の手段を採用することができる。
【0069】
さらに、上述の実施例では、断面略真円形状を有する線部材28の各端部の外周面にねじ山34が形成されたが、これに限定される必要はなく、線部材28断面形状は略真円形状でなくてもよい。たとえば、図示は省略するが、断面矩形状に形成した線部材28の各端部の外面に、外周面にねじ山を有するねじ部材を外嵌させて、そのねじ部材をナット部材48に螺合させるようにしてもよい。
【0070】
さらにまた、上述の実施例では、栓部材12の本体部16の外周面に、周方向の全長に亘って延びるかつ底面にシール材20が設けられた溝状の凹部18が形成されたが、必ずしも凹部18を本体部36の周方向に延びる溝状に形成する必要はない。
【0071】
一例を挙げると、図13に示すように、栓部材12の本体部16の外周面に、曲面を窪ませて平面状にした凹部18を一定の間隔を隔てて形成し、その凹部18の奥行き方向の(つまり、更生管100の軸方向の)両側に、本体部36の外周面に沿う円環状に形成したシール材20を設けるようにしてもよい。ただし、シール材20は凹部18の奥行き方向の片側にのみ設けるようにしてもよい。
【0072】
要は、締め付け部材14によって更生管100を締め付けたときに、更生管100の管壁の内面が凹部18の位置で栓部材12に接触することで、更生管100の管壁の内面と栓部材12との隙間を適切に閉塞させることができるのであれば、凹部18の形状は特に限定されない。
【0073】
さらに、栓部材12の本体部16を弾性材によって構成したり、栓部材12の本体部16の外周面の全体を弾性材によって被覆したりする場合には、更生管100の管壁の内面と栓部材12との間の水密性および気密性を確保できるので、必ずしも栓部材12の本体部16の外周面に凹部18を設けなくてもよい。
【0074】
さらにまた、上述の実施例では、押さえ部材30の幅方向の両端部には、線部材28の端部を通すための孔である開口44がそれぞれ形成されたが、これに限定される必要はない。線部材28の各端部を押さえ部材30の上側に通すことができるのであれば、開口44の形状は特に限定されない。
【0075】
たとえば、図14に示すように、押さえ部材30の幅方向の両端部に、押さえ部材30の奥行き方向の一方側の端縁を他方側に向けてU字状に窪ませた形状の開口44を形成し、その開口44を通して、線部材28の各端部が押さえ部材30の上側に突き出すようにしてもよい。この場合には、各開口44が互いに異なる方向に向けてU字状に窪むようにすると、線部材28の位置ずれが生じにくいので、好適である。
【0076】
また、上述の実施例では、押さえ部材30(の本体部36)は、上板38、下板40、および側板42によって、正面視で上辺が下辺より長い台形状であってかつ上面視で矩形状に形成されたが、これに限定される必要はなく、少なくとも更生管100の管頂で線部材28を押さえることができて、かつ線部材28の端部を自身の上側に通す開口44が形成されているのであれば、押さえ部材30の形状は特に限定されるものではない。
【0077】
一例を挙げると、図15に示すように、押し付け部材30を矩形の平板状に形成して、その下面の中央部が更生管100の管頂で線部材28に接触するようにしてもよい。押し付け部材30の幅方向の両端部には、開口44がそれぞれ形成され、各開口44を通って押さえ部材30の上側に突き出した線部材28の各端部のねじ山34が、押さえ部材30の上側でナット部材48に螺合される。
【0078】
また、押さえ部材30の下面に、押さえ部材30の奥行き方向に所定の間隔を隔てた1対の保持部46が形成されたが、これに限定される必要もない。図示は省略するが、押さえ部材30の下面に、線部材28の形状に合わせたかつ線部材28の線径よりも小さい所定の深さの凹状の溝を形成し、その溝を保持部46として利用するようにしてもよい。
【0079】
さらにまた、必ずしも押さえ部材30の本体部36を中空体として形成する必要もなく、中実体として形成するようにしてもよい。
【0080】
また、上述の実施例では、栓部材12の本体部16が中空の円柱形状に形成されたが、これに限定される必要はない。栓部材12の本体部16を、一方端面または両端面が軸に対して斜めにされた形状や、一方端面から他方端面に向けてテーパがかかった形状などを含んだ略円柱状の形状に形成してもよいことは、上述のとおりであり、さらに、栓部材12の本体部16を中実体として形成するようにしてもよい。
【0081】
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 …管端封止装置
12 …栓部材
14 …締め付け部材
18 …凹部
28 …線部材
30 …押さえ部材
44 …開口
48 …ナット部材
100 …更生管
102 …管端
200 …既設管
【技術分野】
【0001】
この発明は、管端封止装置に関し、特にたとえば、老朽化した既設管を内側から補修する更生管の管端を封止するために用いられる、管端封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み変形等の縮径加工を施した更生管を既設管に挿入した状態で、更生管の両端を封止した状態で更生管の内部に蒸気や温水などの加熱流体を供給し、加熱流体によって更生管を円筒形に復元することにより、既設管内に更生管路を形成する技術が公知である。
【0003】
たとえば、特許文献1には、既設管内面に内張りされるライニング用樹脂管の施工用の管端封止装置が開示されている。この管端封止装置は、弾性材からなる栓体と、ライニング用樹脂管の管端部を締め付けるための締付用バンド部材とを備えている。そして、ライニング用樹脂管の管端部に栓体を挿入(密嵌)し、その管端部を外周側から締付用バンド部材で締め付けることによって、ライニング用樹脂管の管端を閉塞させる。
【特許文献1】実開平5−50288号[F16L 55/10]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、ライニング用樹脂管の管端部を外周側から締め付ける締付用バンド部材の具体的な態様が開示されていない。
【0005】
たとえば、ゴムホースの締結に一般に利用されているような締結用バンド部材を採用することが考えられるが、その場合には、ライニング用樹脂管の管端部にしわがよらないように、先ず、締付用バンド部材をライニング用樹脂管の外周側に配置しておいて、締付用バンド部材をある程度締め付けておき、その後で、栓体をライニング用樹脂管の管端部に挿入する必要があるので、その締め付け作業に手間や時間がかかってしまい、施工性が悪い。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、管端封止装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、施工性に優れる、管端封止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、更生管の管端を封止するために用いられる管端封止装置であって、円柱状に形成され、管端に挿入される栓部材、および栓部材を管端に挿入した状態で当該管端を更生管の外面側から締め付ける締め付け部材を備え、締め付け部材は、更生管を周回して各端部がそれぞれ上方に向けて延びる線部材、線部材の各端部を通す2つの開口を有する押さえ部材、および開口から押さえ部材の上側に突き出した線部材の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段を含む、管端封止装置である。
【0010】
第1の発明では、管端封止装置(10)は、栓部材(12)、および締め付け部材(14)を備え、更生管(100)の管端(102)を封止するために用いられる。栓部材は、たとえば鉄やステンレス等の金属によって円柱状に形成され、更生管の管端に挿入される。締め付け部材は、線部材(28)、および押さえ部材(30)を含み、栓部材を管端に挿入した状態で当該管端を更生管の外面側から締め付ける。線部材は、たとえば弾性を有する可撓性材料で形成される線材であり、更生管を周回して端部がそれぞれ上方に向けて延びる。押さえ部材は、線部材の端部を押さえ部材の上側に通すための開口(44)を有している。そして、開口を通って押さえ部材の上側に突き出した線部材の端部を、引き上げ手段(34,48)によって上方に引き上げると、線部材が更生管の管壁の外面に圧接されて、更生管が締め付けられる。実施例では、線部材の端部にねじ山(34)が形成され、開口を通って押さえ部材の上側に突き出した線部材のねじ山がナット部材(48)の内側のねじ溝に螺合される。そして、ねじ山およびナット部材をさらに螺合させることにより、線部材によって更生管が締め付けられる。このようにして、更生管の管壁の内面が栓部材に接触するまで更生管を締め付けることにより、更生管の管端を密封することが可能である。
【0011】
第1の発明によれば、更生管の管端に栓部材を挿入し、それを更生管の外面側から締め付け部材によって締め付けるだけの簡単な作業で、更生管の管端を適切に密封することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、栓部材の外周面には、凹部が形成され、締め付け部材は、栓部材を管端に挿入した状態で凹部の位置に設けられる。
【0013】
第2の発明では、栓部材(12)の外周面には、凹状に窪んだ凹部(18)が形成される。また、締め付け部材(14)は、栓部材を更生管(100)の管端(102)に挿入した状態で凹部の位置に設けられる。そして、更生管の管端を密封する際には、締め付け部材によって締め付けた更生管の管壁の内面が栓部材の凹部に接触するようにする。
【0014】
第3の発明は、第2の発明に従属し、凹部は、底面にシール材が設けられた溝である。
【0015】
第3の発明では、栓部材(12)の外周面には、凹部(18)として、周方向の全長に亘る溝が形成されており、この溝の底面には、耐熱ゴム等からなるシール材(20)が設けられる。このため、管端封止装置(10)によって更生管(100)の管端(102)を封止する際に、締め付け部材(14)によって締め付けた更生管の管壁の内面がシール材に接触するので、栓部材と更生管との間の水密性および気密性を保持することが可能になる。
【0016】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明に従属し、線部材は、更生管の管頂から両側に沿い、管底で交差して、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びる。
【0017】
第4の発明では、締め付け部材(14)の線部材(28)は、更生管(100)の管頂から両側に沿い、管底で交差して、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びるようにされる。
【0018】
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明に従属し、締め付け部材は、前記押さえ部材の下面に形成されるかつ前記線部材の位置決めを行う保持部をさらに含む。
【0019】
第5の発明では、押さえ部材(30)の下面(40)には、線部材(28)の位置決めを行う保持部(46)が形成される。そして、この保持部によって、更生管(100)の軸方向への線部材の動きが制限される。
【0020】
第5の発明によれば、線部材が位置ずれをおこすことがないので、締め付け部材による締め付け力を有効に機能させることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、更生管を加熱および加圧によって復元させる際に、簡単な施工で更生管内を安定した密閉状態に保持することができるので、施工性に優れる。
【0022】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す正面図である。
【図2】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す側面図である。
【図3】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す上面図である。
【図4】図1の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す下面図である。
【図5】図1の更生管を示す斜視図である。
【図6】図1の栓部材を示す斜視図である。
【図7】図1の締め付け部材を示す正面図である。
【図8】図4の押さえ部材を示す断面図である。
【図9】既設管内に更生管を挿入する様子を示す図解図である。
【図10】(a)は、締め付け部材を更生管の管端に配置した様子を示す図解図であり、(b)は、締め付け部材によって更生管の外面側から管端を締め付けた様子を示す図解図である。
【図11】(a)は、締め付け部材を更生管の管端に配置した様子を示す図解図であり、(b)は、締め付け部材によって更生管の外面側から管端を締め付けた様子を示す図解図である。
【図12】既設管内に挿入した状態で更生管を復元する様子を示す図解図である。
【図13】(a)は、この発明の他の実施例の管端封止装置の栓部材を示す斜視図であり、(b)は、栓部材の凹部の位置を示す断面図である。
【図14】この発明のさらに他の実施例の管端封止装置の押さえ部材を示す上面図である。
【図15】この発明のさらに他の実施例の管端封止装置を更生管の管端に装着した様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1−図4を参照して、この発明の一実施例である管端封止装置10は、図9に示すような老朽化した既設管200を内側から補修する更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、更生管100の管端102を封止するために用いられる。
【0025】
なお、既設管200の用途および構成材料には、種々のものを適用し得るが、たとえば、ガス、上下水道、通信ケーブル保護または電力ケーブル保護等の用途であってよいし、また、鉄筋コンクリート管、鋳鉄管、鋼管ならびに合成樹脂管等から構成される管路であってよい。
【0026】
ここで、加熱装置10の具体的な説明に先立って、更生管100について説明しておく。
【0027】
図5に示すように、更生管100は、縮径加工により周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管である。この略U字状の押し込まれた部分を押し込み部分104という。更生管100の構成材料は、合成樹脂(塩化ビニル、ポリエチレン,ポリブテン,ポリプロピレン,ナイロン等)であるが、ここでは硬質塩化ビニルの実施例を示す。更生管100は既設管200の長さよりも長くされた長尺管であり、その厚みは、たとえば13mmである。
【0028】
ただし、更生管100としては、周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管に限定されるものではなく、たとえば折り畳み加工により折り畳まれた縮径管であってもよいし、扁平加工により扁平化されるとともに、上下方向の中間部が左右両側から押し込まれた断面略瓢箪形状を有する縮径管であってもよいし、形状をそのままに管径を既設管200よりも小さくした縮径管であってもよい。
【0029】
この更生管100は、従来公知の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略する。簡単に言えば、所定の径で押出成形された直管に対して、軟化点以上融点以下の範囲における所定の温度(この実施例では、たとえば約100℃程度)に加熱して、押し板やローラ等を用いて縮径加工を施すことによって押し込み部分104を形成する。こうすることにより、再び軟化点以上融点以下の温度に加熱し加圧することによって、押し込み部分104が外面側へ戻されて、円筒形等に復元することが可能となる。なお、更生管100は、復元したときの外径が既設管200の内径と略等しいかやや小さいサイズとなるように設定されている。
【0030】
管端封止装置10の説明に戻って、管端封止装置10は、図1−図4に示すように、更生管100の管端102(の開口)に挿入される栓部材12と、更生管100の外面側から管端102を締め付ける締め付け部材14とを備え、上述したように、更生管100の管端102を封止するために用いられる。
【0031】
図6に示すように、栓部材12は、鉄やステンレス等の金属からなり、中空円柱形状の本体部16を有している。ただし、ここでいう「円柱形状」とは、厳密に円柱形状と一致するか否かを定義するものではなく、一方端面または両端面が軸に対して斜めにされた形状や、一方端面から他方端面に向けてテーパがかかった形状などを含んだ略円柱状の形状を意味する。本体部16の直径は、復元した更生管100の内径と略等しいかそれよりも少し大きい所定の寸法に設定される。本体部16の外周面には、周方向の全長に亘って延びる溝状の凹部18が形成されており、凹部18の底面には、耐熱ゴム等からなるシール材20が設けられている。
【0032】
本体部16には、本体部16を軸方向に貫通する複数、この実施例では3つの連通部22,24,26が設けられる。連通部22,24,26は、たとえば鉄やステンレス等の金属からなる中空パイプであり、管端封止装置10によって更生管100の管端102を封止したときに、更生管100の内外を連通する。ただし、連通部22,24,26は、通常キャップ等で封止されていて、必要なときだけ適宜開放される。
【0033】
この実施例では、1つ目の連通部22は、更生管100内に所定温度に加熱し加圧した蒸気を供給するための蒸気供給口として利用される。この蒸気供給口22には、詳細は後に説明するように、更生管100を復元させる際に、ボイラ等の蒸気発生装置208から延びる供給ホース214が接続される。
【0034】
また、2つ目の連通部24は、圧力計等の圧力検出手段(図示せず)を接続するための圧力計用接続口として利用される。そして、更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、この圧力計用接続口24に接続した圧力検出手段により、更生管100内の圧力が計測される。
【0035】
さらに、3つ目の連通部26は、更生管100内に生じた凝縮水を排出するためのドレン排出口として利用される。そして、更生管100を加熱および加圧によって復元させる際に、このドレン排出口26を通して、更生管100の内面に蒸気が接触すること等により生じた凝縮水が排出される。なお、ドレン排出口26からの凝縮水の排出は、自然流下によって行うようにしてもよいし、ドレン排出口26にホースを差し込んで固定して、内圧を利用して抜き出すようにしてもよい。
【0036】
図1−図4に戻って、締め付け部材14は、線部材28、および押さえ部材30を含み、更生管100の管端102に栓部材12を挿入した状態で凹部18の位置に設けられる。
【0037】
線部材28は、断面略真円形状を有する線材であり、その線径は、たとえば8mmである。線部材28は、バネ鋼などある程度弾性を有する可撓性材料で形成され、更生管100の管頂から両側に沿い、管底で交差して端部がそれぞれ上方に向けて延びる。このようにして、線部材28は、更生管100を周回して、更生管100を円周方向に囲むリング部分32を形成する。
【0038】
ただし、ここでいう「上方」とは、厳密に鉛直上向きと一致するか否かを定義するものではなく、斜め上方向を含む上方向を意味する。
【0039】
線部材28の各端部は、外周面にねじが切られており、そこにねじ山34が形成されている。そして、このねじ山34と、後述するナット部材48とが、線部材28の端部を上方に引き上げる引き上げ手段として機能する。
【0040】
また、押さえ部材30は、線部材28のねじ山34およびナット部材48を螺合したときに、更生管100の管頂で線部材28を押さえ付ける部分であり、鉄やステンレス等の金属によって形成される。押さえ部材30は、図7に示すように、正面視で上辺が下辺より長い台形状であってかつ上面視で矩形状に形成される中空の本体部36を有している。本体部36は、上板38、下板40、および側板42を含み、それらを溶接等で固着することによって形成される。
【0041】
上板38は、矩形の板状に形成され、押さえ部材30の上面を構成する。上板38の幅方向の両端部には、線部材28の端部を通すための孔であってかつ上板38を厚み方向に貫通する開口44がそれぞれ形成される。そして、各開口44に、更生管100の管底から上方に向けて延ばされた線部材28の端部が通される(つまり、挿通される)。各開口44は、押さえ部材30の奥行き方向(つまり、更生管100の軸方向)に所定寸法ずらして形成されている(図3参照)。こうすることにより、線部材28の端部を、押さえ部材30の奥行き方向にずらすことなく、更生管100の管底からそのまま上方に延ばして開口44に通すことができるので、線部材28のねじ山34およびナット部材48の螺合がスムーズに行えるようになる。
【0042】
下板40は、更生管100に沿うように湾曲した板状に形成され、押さえ部材30の下面を構成する。下板40には、線部材の位置決めを行うための保持部46が形成される。この実施例では、図8に示すように、押さえ部材30の奥行き方向(つまり、更生管100の軸方向)に所定の間隔を隔てて1対の保持部46が形成され、下板40から下方向に突出する。なお、保持部46の突出寸法は、線部材28の線径よりも小さい所定の値に設定されている。そして、一方の保持部46と他方の保持部46との間に線部材28が配置される。
【0043】
図7に戻って、側板42は、上板38および下板40の奥行き方向の両側縁において、上板38と下板40とを繋いでおり、押さえ部材30の側面を構成する。
【0044】
さらに、開口44を通って押さえ部材30の上側に突き出した線部材28の端部のねじ山34は、押さえ部材30の上側でナット部材48の内側のねじ溝に螺合される。つまり、図10(a)および図10(b)に示すように、線部材28のねじ山34およびナット部材48をさらに螺合させることにより、線部材28は徐々にそのリング部分32が小さくなる(つまり、縮径する)ように変形する。ナット部材48としては、たとえば汎用のナットを利用することができる。
【0045】
図9−図12を参照して、老朽化した既設管200を更生管100によって補修する工法の手順を説明する。
【0046】
先ず、両端にマンホール等がない場合には、立坑202および204を掘削して、既設管200の両端を立坑202および204内でそれぞれ開口させる。そして、始点の立坑202および終点の立坑204の近辺に、施工に必要な各種装置等を準備する。
【0047】
たとえば、始点の立坑202側には、縮径加工が施された更生管100を巻き取ったドラム206を準備する。また、ボイラ等の蒸気発生装置208も配置する。一方、終点の立坑204側には、牽引ワイヤ212を巻き取るためのウインチ210を配置しておく。
【0048】
そして、更生管100を既設管200に挿入する際には、終点の立坑204側から牽引ワイヤ212を既設管200内に挿通し、更生管100の先端にワイヤ取付具等を介してこの牽引ワイヤ212を接続する。そして、図9に示すように、牽引ワイヤ212をウインチ210で巻き取ることによって、更生管100を既設管200内に引き込む。更生管100はその先端が既設管200の立坑204に到達するまで挿入される。
【0049】
なお、引き込み(挿入)の際には、必要に応じてたとえば蒸気発生装置208等を用いて更生管100を所定温度(約80℃程度)に加熱して軟化させ、更生管100を曲がり易くして挿入抵抗をさらに低減するようにしてもよい。
【0050】
更生管100の先端が立坑204に到達すると、更生管100の両側の管端102,102に管端封止装置10を装着して、管端102,102を封止する。
【0051】
具体的には、更生管100の管端102を所定温度に加熱して軟化させることによって略円形に復元し、その管端102(の開口)に栓部材12を挿入し、更生管100の外面側に締め付け部材14を配置する。すなわち、図10(a)および図11(a)に示すように、更生管100の管端102を線部材28のリング部分32に通し、線部材28を栓部材12の凹部18に対応する位置に配置する。そして、線部材28の各ねじ山34およびナット部材48を、所定のトルクで少しずつ螺合させる。すると、線部材28のねじ山34が少しずつ上昇して、図10(b)および図11(b)に示すように、線部材28はそのリング部分32が更生管100よりも小さくなるように変形する。つまり、更生管100の管壁の外面に圧接された線部材28によって更生管100が締め付けられ、更生管100の管壁は潰れて縮径する。そして、更生管100の管壁の内面が栓部材12の凹部18のシール材20に接触するまで更生管100を締め付けることにより、栓部材12(のシール材20)と更生管100との間の水密性および気密性が確保されて、更生管100の管端102が密封されることとなる。
【0052】
ただし、図10では、図面の簡素化のために、更生管100および押さえ部材30を仮想線で示し、栓部材12の図示を省略していることに留意されたい。
【0053】
次に、更生管100の内部に蒸気を供給して、蒸気による加熱および加圧によって更生管100を円筒形に復元する。
【0054】
具体的には、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22に、蒸気発生装置208から延びる供給ホース214を接続するとともに、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の出口として開放する。それから、蒸気発生装置208を作動させて、供給ホース214から供給された蒸気を蒸気供給口22を介して更生管100内に供給する。
【0055】
そして、更生管100内に蒸気を供給した後、所定圧力に加圧する。この蒸気の圧力は、圧力計用接続口24に接続した圧力検出手段によって適宜計測され、更生管100が破裂しない程度に設定される。このようにして、更生管100は加熱されるとともに内圧がかけられ、その断面形状が真円または真円に十分に近い略真円形に復元、または既設管200の内面に密着するまで拡径するので、図12に示すように、そのまま復元した更生管100の外周面の全体を既設管路200の内周面の全体に略密着させる。ただし、加熱により形状復元する樹脂であれば、加圧は必ずしも必要ではない。
【0056】
次に、たとえば所定時間経過後、内圧を保持した状態で、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうち、蒸気の出口として開放したものを除く連通部のいずれかを開放し、そこから更生管100内に冷却ノズル(図示せず)を投入する。そして、冷却ノズルから更生管100内に冷却空気を供給し、更生管100を冷却する。冷却後、更生管100内から圧力空気を排出し、更生管100による既設管200の補修が完了する。
【0057】
以上のように、この実施例では、更生管100の管端102に栓部材12を挿入して、それを更生管100の外面側から締め付け部材14によって締め付けるだけの簡単な作業で、更生管100の管端102を封止することが可能である。
【0058】
すなわち、更生管100を周回した線部材28の端部を上方に向けて延ばし、押さえ部材30の開口44を通して、押さえ部材30の上側でその端部のねじ山34をナット部材48に螺合させるようにしたので、線部材28の各ねじ山34およびナット部材48を締める作業をするだけで、線部材28の端部が上方に引き上がり、線部材28が更生管100の管壁の全周に亘って圧接されて、更生管100が締め付けられる。
【0059】
したがって、この実施例によれば、簡単な施工で更生管100の管端102を適切に密封することができるので、施工性に優れる。
【0060】
また、この実施例では、栓部材12の凹部18の底面にシール材20が設けられる。このため、更生管100の管端102を締め付け部材14によって締め付けたときに、更生管100の管壁の内面が栓部材12のシール材20に接触する。したがって、栓部材12と更生管100との間の水密性および気密性を安定して保持することができる。
【0061】
さらに、この実施例では、押さえ部材30の下面40に保持部46が形成され、この保持部46が、更生管100の軸方向への線部材28の動きを制限する。このため、線部材28が位置ずれをおこすことがなく、締め付け部材14による締め付け力を有効に機能させることができる。
【0062】
さらにまた、栓部材12(の本体部16)が円柱状に形成されるとともに、この管端封止装置10によって更生管100の管端102を密封したときに、更生管100の周囲には、その上方を除いて、更生管100を周回する線部材28しか存在しない構造を有しているので、たとえば管端封止装置10によって管端102を密封した更生管100をマンホールの底面に設けられたインバートに配置するときにも、マンホールの底面を管端封止装置10の形状に合わせて撤去する必要がなく、また、その撤去した部分を復旧させる必要もない。
【0063】
なお、上述の実施例では、栓部材12に3つの連通部22,24,26が形成された。そして、連通部22を蒸気供給口として利用し、連通部24を圧力計用接続口として利用し、連通部26をドレン排出口として利用したが、これに限定される必要はなく、連通部22,24,26のうち任意の連通部を蒸気供給口、圧力計用接続口、ドレン排出口として利用すればよい。
【0064】
また、上述の実施例では、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22から蒸気を供給し、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の排出口として開放したが、これに限定される必要はなく、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の蒸気供給口22から蒸気を供給し、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうちいずれかを蒸気の排出口として開放するようにしてもよい。
【0065】
さらに、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10の栓部材12の連通部22,24,26のうち、蒸気の出口として開放したものを除く連通部のいずれかを開放し、そこから更生管100内に冷却ノズル(図示せず)を投入して、冷却ノズルから更生管100内に冷却空気を供給したが、これに限定される必要もない。
【0066】
たとえば、栓部材12に4つ目の連通部を形成して、それを冷却ノズルの投入口や蒸気の排出口として利用するようにしてもよい。
【0067】
さらにまた、栓部材12に必ずしも3つの連通部22,24,26を形成する必要もなく、更生管100の後端側の管端102を封止している管端密着装置10において、蒸気供給口として利用するものを除く残りの連通部を、圧力計用接続口、ドレン排出口として兼用するようにしてもよいし、更生管100の先端側の管端102を封止している管端密着装置10において、蒸気の排出口として利用するものを除く残りの連通部を、冷却ノズル投入口、ドレン排出口として兼用するようにしてもよい。
【0068】
また、上述の実施例では、線部材28の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段として、線部材28の各端部にねじ山34を形成して、このねじ山34とナット部材48とを押さえ部材30の上側で螺合させるようにしたが、これに限定される必要はない。線部材28の各端部を上方に引き上げることができるのであれば、引き上げ手段として、任意の手段を採用することができる。
【0069】
さらに、上述の実施例では、断面略真円形状を有する線部材28の各端部の外周面にねじ山34が形成されたが、これに限定される必要はなく、線部材28断面形状は略真円形状でなくてもよい。たとえば、図示は省略するが、断面矩形状に形成した線部材28の各端部の外面に、外周面にねじ山を有するねじ部材を外嵌させて、そのねじ部材をナット部材48に螺合させるようにしてもよい。
【0070】
さらにまた、上述の実施例では、栓部材12の本体部16の外周面に、周方向の全長に亘って延びるかつ底面にシール材20が設けられた溝状の凹部18が形成されたが、必ずしも凹部18を本体部36の周方向に延びる溝状に形成する必要はない。
【0071】
一例を挙げると、図13に示すように、栓部材12の本体部16の外周面に、曲面を窪ませて平面状にした凹部18を一定の間隔を隔てて形成し、その凹部18の奥行き方向の(つまり、更生管100の軸方向の)両側に、本体部36の外周面に沿う円環状に形成したシール材20を設けるようにしてもよい。ただし、シール材20は凹部18の奥行き方向の片側にのみ設けるようにしてもよい。
【0072】
要は、締め付け部材14によって更生管100を締め付けたときに、更生管100の管壁の内面が凹部18の位置で栓部材12に接触することで、更生管100の管壁の内面と栓部材12との隙間を適切に閉塞させることができるのであれば、凹部18の形状は特に限定されない。
【0073】
さらに、栓部材12の本体部16を弾性材によって構成したり、栓部材12の本体部16の外周面の全体を弾性材によって被覆したりする場合には、更生管100の管壁の内面と栓部材12との間の水密性および気密性を確保できるので、必ずしも栓部材12の本体部16の外周面に凹部18を設けなくてもよい。
【0074】
さらにまた、上述の実施例では、押さえ部材30の幅方向の両端部には、線部材28の端部を通すための孔である開口44がそれぞれ形成されたが、これに限定される必要はない。線部材28の各端部を押さえ部材30の上側に通すことができるのであれば、開口44の形状は特に限定されない。
【0075】
たとえば、図14に示すように、押さえ部材30の幅方向の両端部に、押さえ部材30の奥行き方向の一方側の端縁を他方側に向けてU字状に窪ませた形状の開口44を形成し、その開口44を通して、線部材28の各端部が押さえ部材30の上側に突き出すようにしてもよい。この場合には、各開口44が互いに異なる方向に向けてU字状に窪むようにすると、線部材28の位置ずれが生じにくいので、好適である。
【0076】
また、上述の実施例では、押さえ部材30(の本体部36)は、上板38、下板40、および側板42によって、正面視で上辺が下辺より長い台形状であってかつ上面視で矩形状に形成されたが、これに限定される必要はなく、少なくとも更生管100の管頂で線部材28を押さえることができて、かつ線部材28の端部を自身の上側に通す開口44が形成されているのであれば、押さえ部材30の形状は特に限定されるものではない。
【0077】
一例を挙げると、図15に示すように、押し付け部材30を矩形の平板状に形成して、その下面の中央部が更生管100の管頂で線部材28に接触するようにしてもよい。押し付け部材30の幅方向の両端部には、開口44がそれぞれ形成され、各開口44を通って押さえ部材30の上側に突き出した線部材28の各端部のねじ山34が、押さえ部材30の上側でナット部材48に螺合される。
【0078】
また、押さえ部材30の下面に、押さえ部材30の奥行き方向に所定の間隔を隔てた1対の保持部46が形成されたが、これに限定される必要もない。図示は省略するが、押さえ部材30の下面に、線部材28の形状に合わせたかつ線部材28の線径よりも小さい所定の深さの凹状の溝を形成し、その溝を保持部46として利用するようにしてもよい。
【0079】
さらにまた、必ずしも押さえ部材30の本体部36を中空体として形成する必要もなく、中実体として形成するようにしてもよい。
【0080】
また、上述の実施例では、栓部材12の本体部16が中空の円柱形状に形成されたが、これに限定される必要はない。栓部材12の本体部16を、一方端面または両端面が軸に対して斜めにされた形状や、一方端面から他方端面に向けてテーパがかかった形状などを含んだ略円柱状の形状に形成してもよいことは、上述のとおりであり、さらに、栓部材12の本体部16を中実体として形成するようにしてもよい。
【0081】
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 …管端封止装置
12 …栓部材
14 …締め付け部材
18 …凹部
28 …線部材
30 …押さえ部材
44 …開口
48 …ナット部材
100 …更生管
102 …管端
200 …既設管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更生管の管端を封止するために用いられる管端封止装置であって、
円柱状に形成され、前記管端に挿入される栓部材、および
前記栓部材を前記管端に挿入した状態で当該管端を前記更生管の外面側から締め付ける締め付け部材を備え、
前記締め付け部材は、
前記更生管を周回して端部がそれぞれ上方に向けて延びる線部材、
前記線部材の各端部を通す2つの開口を有する押さえ部材、および
前記開口を通って前記押さえ部材の上側に突き出した前記線部材の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段を含む、管端封止装置。
【請求項2】
前記栓部材の外周面には、凹部が形成され、前記締め付け部材は、前記栓部材を前記管端に挿入した状態で前記凹部の位置に設けられる、請求項1記載の管端封止装置。
【請求項3】
前記凹部は、底面にシール材が設けられた溝である、請求項2記載の管端封止装置。
【請求項4】
前記線部材は、前記更生管の管頂から両側に沿って管底で交差し、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びる、請求項1ないし3のいずれかに記載の管端封止装置。
【請求項5】
前記締め付け部材は、前記押さえ部材の下面に形成されるかつ前記線部材の位置決めを行う保持部をさらに含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の管端封止装置。
【請求項1】
更生管の管端を封止するために用いられる管端封止装置であって、
円柱状に形成され、前記管端に挿入される栓部材、および
前記栓部材を前記管端に挿入した状態で当該管端を前記更生管の外面側から締め付ける締め付け部材を備え、
前記締め付け部材は、
前記更生管を周回して端部がそれぞれ上方に向けて延びる線部材、
前記線部材の各端部を通す2つの開口を有する押さえ部材、および
前記開口を通って前記押さえ部材の上側に突き出した前記線部材の各端部を上方に引き上げる引き上げ手段を含む、管端封止装置。
【請求項2】
前記栓部材の外周面には、凹部が形成され、前記締め付け部材は、前記栓部材を前記管端に挿入した状態で前記凹部の位置に設けられる、請求項1記載の管端封止装置。
【請求項3】
前記凹部は、底面にシール材が設けられた溝である、請求項2記載の管端封止装置。
【請求項4】
前記線部材は、前記更生管の管頂から両側に沿って管底で交差し、そこから端部がそれぞれ上方に向けて延びる、請求項1ないし3のいずれかに記載の管端封止装置。
【請求項5】
前記締め付け部材は、前記押さえ部材の下面に形成されるかつ前記線部材の位置決めを行う保持部をさらに含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の管端封止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−207677(P2012−207677A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71502(P2011−71502)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【出願人】(000149206)株式会社大阪防水建設社 (44)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【出願人】(000149206)株式会社大阪防水建設社 (44)
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