説明

管継手における樹脂管の接続構造

【課題】 樹脂管と継手本体とを押圧スリーブにより強固に密着させることにより樹脂管と管継手とを接続する接続構造において、管継手をコンパクトにする。
【解決手段】 樹脂管31が外嵌される筒状部3を有する継手本体2と、樹脂管31に外嵌される押圧スリーブ21とを備えた管継手1であって、前記押圧スリーブ21を筒状部3の外周面に移動させることにより、筒状部3と押圧スリーブ21との間で樹脂管31を密着させて管継手1に接続する、管継手における樹脂管の接続構造において、前記樹脂管31は先端外周面に薄肉部32が形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管継手における樹脂管の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂管を管継手に接続する場合、樹脂管の先端を予め拡げて拡張部を形成し、拡張部の内側を継手本体に外嵌し、拡張部の外側には固定具を装着しておき、拡張部を継手本体と固定具とにより密着させることで樹脂管と管継手とを接続する接続構造として公知のものに、例えば特許文献1がある。この特許文献1の接続構造では、管継手は、樹脂管を外嵌する差し込み範囲と差し込み範囲より大径のフランジとを備える継手本体と、継手本体の差し込み範囲に外嵌された樹脂管を外側から押圧固定する滑りスリーブとを有しており、予め先端を拡張して拡張部が形成された樹脂管を継手本体の差し込み範囲に差し込んだ後、樹脂管の外周に装着された滑りスリーブを移動させて拡張部の外周に押し嵌めると、樹脂管は差し込み範囲の外周面に密着するとともにその一部は押し出されていき、滑りスリーブの内周壁に形成された内径拡張部や先端内周の旋削部に樹脂管が埋め込まれた状態となり、樹脂管と管継手とが強固に固定されるものである。
【特許文献1】特公平4−56198号公報
【0003】
この種の管継手における樹脂管の接続は、樹脂管と継手本体とを滑りスリーブを介して強固に密着させる構造であるため、作業者は樹脂管を管継手に接続させる際に、樹脂管の管継手への挿入量を十分に確保して接続作業を行うのが一般的である。接続管の管継手への挿入量を十分に確保することは重要であるが、滑りスリーブの移動によって樹脂管はその一部が大きく変形して押し出されるため、樹脂管が外嵌する差し込み範囲の全長は、樹脂管の変形長さを吸収できるように長く設定しなければならず、管継手そのものの全長が長くなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、樹脂管と継手本体とを押圧スリーブにより強固に密着させることにより樹脂管と管継手とを接続する接続構造において、管継手をコンパクトにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、樹脂管が外嵌される筒状部を有する継手本体と、樹脂管に外嵌される押圧スリーブとを備えた管継手であって、前記押圧スリーブを筒状部の外周面に移動させることにより、筒状部と押圧スリーブとの間で樹脂管を密着させて管継手に接続する、管継手における樹脂管の接続構造において、前記樹脂管は先端外周面に薄肉部が形成されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、樹脂管の先端外周面に薄肉部が形成されたので、押圧スリーブの移動によって生じる樹脂管の変形長さを短くすることにより、この変形長さを吸収するための筒状部の長さを短くすることができるため、従来と比較して継手本体の筒状部の全長は短くすることができる。即ち、管継手の全長を短くしコンパクトにすることができる。また、押圧スリーブにより押し出された樹脂管を、筒状部と確認リングとの間の空間に容易に誘導することができ、樹脂管の接続を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を具体化した実施例を図に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は、樹脂管31を管継手1に接続する前の状態の断面図であり、樹脂管31が接続される管継手1は、樹脂管31が嵌合される継手本体2と、継手本体2に外嵌される確認リング11と、樹脂管31を継手本体2に押圧するとともに、確認リング11の上部に装着される押圧スリーブ21とから構成されている。
【0009】
前記継手本体1は金属製または樹脂製の略円筒形状で、フランジ部5を挟んで一方にはヘッダー等の物品に接続するための接続部6が形成され、他方には筒状部3が形成されている。この筒状部3はその外径が樹脂管31の内径より少し大きな円筒形状で、先端部近傍の外周面には複数個の環状のリブ4(本実施例では3箇所)が外方に突出して形成されている。
【0010】
前記確認リング11は金属製または樹脂製の略環形状で、その一端には段部12が形成されており、この段部12によって前記継手本体2のフランジ部5に当接するように装着される。
【0011】
前記押圧スリーブ21は金属製または樹脂製の略円筒形状で、その内径は樹脂管31の外径と略同径であり、その上下両端には一部を切り欠いて傾斜面22が形成されている。この押圧スリーブ21は、継手本体2の筒状部3に外嵌された樹脂管31に対し外側から押圧することで、樹脂管31を継手本体2に固定する役割を果たすものである。
【0012】
管継手1に接続される樹脂管31はポリエチレン,ポリブテン等の合成樹脂から形成されており、その先端外周面には薄肉部32が形成されている。この薄肉部32は樹脂管31の先端外周面を面取りしたもので、樹脂管31を管継手1に接続する際、押圧スリーブ21の押圧方向に対する移動に伴い、筒状部3と確認リング11との間に形成された空間Aに樹脂管31の先端を容易に導入させるためのものである。なお、樹脂管の薄肉部は本実施例で示す面取りだけでなく、先端の肉厚が薄いものであればどのような形状でもよい。
【0013】
次に、樹脂管を管継手に接続する手順について説明する。
まず、確認リング11を継手本体2のフランジ部5に当接させるように装着するとともに、押圧スリーブ21を樹脂管31に外嵌させておく。そして樹脂管31は、工具等により、その先端部分を前記筒状部3のリブ4上に嵌め込み可能な内径まで一時的に塑性変形させることにより拡張端部33を形成させ、図1に示すように、拡張端部33の先端が確認リング11の上面に当接する位置まで嵌め込んでおく。
【0014】
次に、押圧スリーブ21を図1中の下方向へ移動させていく。そうすると、押圧スリーブ21の移動に対して、筒状部3に外嵌された樹脂管31の拡張端部33は筒状部3の外周面に押圧される。このとき、図2に示すように、拡張端部33の一部は押圧スリーブ21の傾斜面22により、その肉厚が減少して差し込み方向に押し出されるように変形していくが、樹脂管31は先端外周面に薄肉部32が形成されているので、樹脂管32の変形する長さはごく少量である。継手本体2の筒状部3は、樹脂管31の変形長さを吸収できるような長さに設定されるが、本発明では樹脂管31の変形長さが短いため、従来と比較して筒状部3の全長を短くすることができる。即ち、管継手1の全長を短くすることができる。
また、樹脂管31の先端外周面に形成された薄肉部32により、押圧スリーブ21により押し出された樹脂管31は継手本体2の筒状部3と確認リング11との間の空間Aに容易に案内されていく。
【0015】
そして、押圧スリーブ21を継手本体2のフランジ部5に当接するまで移動させると、図3に示すように、樹脂管31は継手本体2と押圧スリーブ21とにより強固に密着された状態となり、管継手1と樹脂管31との接続が完了する。
【0016】
以上のように、樹脂管の先端に薄肉部を形成し、押圧スリーブの移動によって生じる樹脂管の変形長さを短くすることにより、この変形長さを吸収するための筒状部を短くすることができるため、従来と比較して継手本体の筒状部の全長を短くすることができ、管継手の全長を短くしコンパクトに形成することができる。また、押圧スリーブにより押し出された樹脂管を、筒状部と確認リングとの間の空間に容易に誘導することができ、樹脂管の接続を確実に行うことができる。
なお、本実施例では継手本体と確認リングとは別々の物品としたが、これに限定されることなく、一体に形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の樹脂管を用いた管継手を示す説明図であり、押圧スリーブを移動させる前の状態を示す断面図。
【図2】押圧スリーブを移動させている状態を示す断面図。
【図3】押圧スリーブを移動させた後の状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0018】
1 : 管継手
2 : 継手本体
3 : 筒状部
4 : リブ
21: 押圧スリーブ
31: 樹脂管
32: 薄肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管が外嵌される筒状部を有する継手本体と、樹脂管に外嵌される押圧スリーブとを備えた管継手であって、前記押圧スリーブを筒状部の外周面に移動させることにより、筒状部と押圧スリーブとの間で樹脂管を密着させて管継手に接続する、管継手における樹脂管の接続構造において、前記樹脂管は先端外周面に薄肉部が形成されたことを特徴とする管継手における樹脂管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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