説明

管路

柔軟な材料から作られた管状部(2)を備える管路(1)。外部のらせん状の形成物(7)が、前記管状部(2)の外面を巡って前記管状部(2)の軸に平行に延びており、前記管状部(2)の第1の領域を定めている。外部のらせん状の形成物(7)は、前記管状部(2)を支持する。さらに、内部のらせん状の形成物(10)が、前記管状部(2)の内面から内側へと突き出し、前記管状部(2)の軸に平行に延びており、前記管状部(2)の第2の領域を定めている。内部のらせん状の形成物(10)は、前記管状部(2)を通過する流体にらせん状の流れを付与する。前記第1の領域は、前記第2の領域の全体には及んでいない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路および管路の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病的血管を抱える個人へと埋め込まれる人工の血管として代用血管(vascular graft)を提供することが、技術的に公知である。例えば、或る個人がアテローム性動脈硬化を患う場合に、血管の一部を代用血管で置き換え、あるいはバイパスすることが可能である。
【0003】
そのような代用血管における問題は、とりわけ代用血管と両端の血管との間の接合部において、代用血管を通って運ばれる血液の流れに、乱流が生じがちな点にある。これが、プラークまたは組織の形成、可能な流量の減少、ならびに血栓症または血管の閉塞につながる可能性がある。
【0004】
WO−A−00/38591が、内面に4つの畝が等間隔で設けられている代用血管を開示している。各々の畝が、軸方向に延びているつる巻きの形態である。畝が、代用血管を通過する血液にらせん状の流れを生じさせる。らせん状の血流をもたらすことで、代用血管における血液の乱流が少なくなり、結果としてプラークの形成、可能な流量の減少、血栓、または閉塞の可能性が少なくなる。
【0005】
内面のらせん状の形成物を有するか否かにかかわらず、代用血管全般における問題は、代用血管が、通常は柔軟であるが、置換される血管の物理的な特性を正確には再現していない点にある。通常は、代用血管は、曲げられたときに滑らかな曲線をたどる。しかしながら、埋め込みの際または体内での曲げ運動(例えば、関節において生じる曲げ)に起因して過度に曲げられた場合に、代用血管が、滑らかな曲線を形成する代りに、代用血管の断面を実質的に遮るよじれを生じる恐れがある。代用血管の埋め込み時によじれが生じると、血流が大きく減少し、あるいは遮断されてしまうため、きわめて危険となりうる。
【0006】
この問題に対する1つの解決策が、WO−A−2005/092240に開示されている。内面のらせん状の形成物と、外面のらせん状の形成物とを備える代用血管が開示されており、内面のらせん状の形成物が、8°〜20°の間の範囲のつる巻き角度を有しており、代用血管を通過する血液にらせん状の流れを付与し、外面のらせん状の形成物が、50°よりも大きいつる巻き角度を有しており、代用血管を支持して代用血管のよじれを防止する。この代用血管は、良好に機能し、患者へと成功裏に埋め込まれてきているが、最適とは言えない構造上のいくつかの特徴を有している。特には、代用血管に内面のらせん状の形成物および外面のらせん状の形成物の両方が存在することで、代用血管が、埋め込みを行う執刀医の希望よりもこわばったものになる可能性があることが、明らかになっている。これは、代用血管が患者の鼠径部から患者の膝の直上へと埋め込まれる場合(すなわち、膝上大腿膝窩動脈バイパス代用血管)に、これらの部位において医師にとって埋め込み手術のための空間がきわめて限られているため、特に当てはまる。
【0007】
WO−A−2005/092240における代用血管の構成は、内面のらせん状の形成物が、代用血管の外面のらせん状の溝に位置する外側の変形つる巻きによって補強されるような構造である。外面のらせん状の形成物と変形つる巻きとが、それらの交点において溶着されている。この構成における1つの潜在的な欠点は、例えば埋め込み時の誤った取り扱いによって外面のらせん状の形成物が損傷を被った場合に、変形つる巻きが外れ、内面のらせん状の形成物の構造的な完全性が弱まる可能性がある点にある。
【0008】
本発明は、上述の問題のうちの1つ以上を軽減しようと試みるものであり、内面のらせん状の形成物が存在する領域において代用血管から外面のらせん状の形成物を省略することにより、代用血管のよじれの恐れを過度に大きくすることなく代用血管の剛性を下げることで、代用血管の剛性と柔軟性との間の良好なバランスを達成できるという認識から生まれている。そのような代用血管は、あらゆる埋め込み部位において有用であるが、代用血管の曲げがほとんど不要またはまったく不要(例えば、膝上大腿膝窩動脈バイパス代用血管)であり、あるいは曲げが通常であり、すなわち代用血管の経路が関節を横切る(例えば、膝下大腿膝窩動脈バイパスにおいて膝を横切る)身体構造上の位置にある埋め込み部位において、特に有用である。そのような代用血管は、これらに限られるわけではないが、肘を横切る透析アクセス代用血管、腋窩大腿動脈代用血管、および臀部を横切る大動脈両大腿動脈代用血管など、他の部位への埋め込みにおいても有益となりうる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、
・柔軟な材料から作られた管状部と、
・前記管状部の外面を巡って前記管状部の軸に平行に延びており、前記管状部の第1の領域を定めるとともに、前記管状部を支持する外部のらせん状の形成物と、
・前記管状部の内面から内側へと突き出し、前記管状部の軸に平行に延びており、前記管状部の第2の領域を定めるとともに、前記管状部を通過する流体にらせん状の流れを付与する内部のらせん状の形成物と
を備えており、前記第1の領域が、前記第2の領域の全体には及んでいない管路が提供される。
【0010】
好ましくは、管路が代用血管であり、流体が血液である。
【0011】
好都合には、前記外部のらせん状の形成物のつる巻き角度が、前記内部のらせん状の形成物のつる巻き角度とは異なっている。
【0012】
好ましくは、前記外部のらせん状の形成物のつる巻き角度が、前記内部のらせん状の形成物のつる巻き角度よりも大きい。
【0013】
好都合には、前記外部のらせん状の形成物のつる巻き角度が、50°よりも大きく、好ましくは65°〜80°の間である。
【0014】
好ましくは、前記内部のらせん状の形成物のつる巻き角度が、8°〜20°の間であり、より好ましくは12°〜18°の間であり、さらに好ましくは12°〜14°の間である。
【0015】
好ましくは、前記第1および第2の領域が重なっている。
【0016】
好都合には、前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記外部のらせん状の形成物の1〜5回転分、好ましくは2〜5回転分、最も好ましくは1.5〜2.5回転分(例えば、2回転分)の長さである。あるいは、前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記内部のらせん状の形成物の1回転の50%未満または80%未満である。
【0017】
好ましくは、前記第1の領域が、前記第2の領域の広がりのうちの前記管状部が完全な外周を有している部位に関して、該部位の全体には及んでいない。
【0018】
好都合には、前記内部のらせん状の形成物が、軸方向に延びる変形つる巻きによって変形させられた前記環状部の部位を含んでいる。
【0019】
好ましくは、前記外部のらせん状の形成物が、前記変形つる巻きとの交点において、前記変形つる巻きに溶着させられる。
【0020】
好都合には、前記変形つる巻きが、ポリウレタンからなる。
【0021】
好ましくは、前記管状部が、ePTFEからなる。
【0022】
好都合には、前記変形つる巻きが、前記管状部へと焼結される。
【0023】
好都合には、前記内部のらせん状の形成物は、1回転の80%〜120%で構成される。
【0024】
好ましくは、前記内部のらせん状の形成物が、前記管状部の一端にて終わっている。
【0025】
好都合には、前記管状部の前記一端が、内側の基部から外側の先端へと先細りであり、前記管状部の前記一端が、略楕円形の開口を定めている。
【0026】
好都合には、前記内部のらせん状の形成物が、前記管状部の前記一端によって定められる前記開口において、前記内側の基部の各側の90°の範囲内の円弧に沿った点において終わっている。
【0027】
好ましくは、前記内部のらせん状の形成物の他端が、前記管状部の他端よりも手前の地点で終わっている。前記内部のらせん状の形成物が、前記管状部の前記他端のいかなる部分よりも手前の地点で終わることが、特に好ましい。
【0028】
例えば、前記内部のらせん状の形成物の延在の範囲は、前記管状部の全長の50%未満、25%未満、または10%未満である。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、管路を製作する方法であって、
(i)外面の一領域に沿ってあらかじめ形成されたらせん状の形成物が軸方向に延びている柔軟な管状部を用意するステップと、
(ii)成型用の液体を、前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物と同じつる巻き角度および位相を有し、前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物の一端を過ぎて軸方向に延びる第1のらせん状の形態へと、連続する外部のらせん状の形成物が形成されるように前記管状部の外面に流すステップと、
(iii)前記成型用の液体を固化させるステップとを含んでいる方法が提供される。
【0030】
好都合には、ステップ(ii)が、前記成型用の液体を、前記管状部の外面を巡って軸方向に延びている第2のらせん状の形態へと流すステップをさらに含んでいる。
【0031】
好ましくは、前記第1および第2のらせん状の形態の各々が、異なるつる巻き角度を有する。
【0032】
好都合には、前記第1のらせん状の形態のつる巻き角度が、前記第2のらせん状の形態のつる巻き角度よりも大きい。
【0033】
好都合には、前記第1のらせん状の形態のつる巻き角度が、50°よりも大きく、好ましくは65°〜80°の間である。
【0034】
好都合には、前記第2のらせん状の形態のつる巻き角度が、8°〜20°の間であり、好ましくは12°〜18°の間であり、さらに好ましくは12°〜14°の間である。
【0035】
好都合には、ステップ(ii)が、(a)前記管状部の内面上の内部のらせん状の突起、および、対応する外部のらせん状の溝をもたらすように、前記環状部を変形させるステップと、(b)前記成型用の液体を、前記外部のらせん状の溝へと流し、前記第2のらせん状の形態を形成するステップとを含む。
【0036】
好都合には、前記連続する外部のらせん状の形成物が、前記管状部の第1の領域を定め、前記第2のらせん状の形態が、前記管状部の第2の領域を定め、前記第1の領域が前記第2の領域の全体には及んでいない。
【0037】
好都合には、前記第1の領域および前記第2の領域が、重なっている。
【0038】
好ましくは、前記第1の領域が、前記第2の領域の広がりのうちの前記管状部が完全な外周を有している部位に関して、該部位の全体には及んでいない。
【0039】
好都合には、前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記外部のらせん状の形成物の1〜5回転分、好ましくは2〜5回転分、最も好ましくは1.5〜2.5回転分(例えば、2回転分)の長さである。あるいは、前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記内部のらせん状の形成物の1回転の50%未満または80%未満である。
【0040】
好ましくは、ステップ(ii)が、前記管状部をマンドレル上に配置するステップと、前記管状部を金型の内部に入れて、前記管状部を前記マンドレルと前記金型との間に挟むステップとを含む。
【0041】
好都合には、前記マンドレルが、表面に軸方向に延びるらせん状の溝を有しており、ステップ(a)が、前記成型用の液体を前記管状部と前記金型との間に導入し、前記成型用の液体によって前記管状部を前記マンドレルの表面の前記らせん状の溝へと押し付けて前記管状部を変形させ、前記内部のらせん状の突起をもたらすステップをさらに含む。
【0042】
好都合には、この方法が、前記管状部を前記マンドレル上に配置するステップと、前記管状部を前記金型の内部に入れるステップとの間に、前記管状部を前記マンドレルの前記らせん状の溝へと少なくとも部分的に押し込むステップをさらに含む。
【0043】
好都合には、前記成型用の液体を導入するステップが、前記成型用の液体を前記金型へと前記マンドレルの前記らせん状の溝の上方に注入するステップを含む。
【0044】
好都合には、前記金型が、内面を巡って軸方向に延びているらせん状の溝を有しており、ステップ(b)が、前記成型用の液体を、前記金型の前記らせん状の溝へと流れるように、前記管状部と前記金型との間に導入するステップをさらに含む。
【0045】
好ましくは、前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物が、前記金型の内面を巡って軸方向に延びている前記らせん状の溝と同じ位相に位置し、かつ該溝に重なり、あるいは該溝に当接するように、前記管状部が前記金型において整列させられる。前記軸方向に延びるらせん状の溝および前記あらかじめ形成されるらせん状の形成物のつる巻き角度は、同じである。
【0046】
好都合には、前記管状部の一端が、該一端によって略楕円形の開口が定められるように、内側の基部から外側の先端へと先細りである。
【0047】
好都合には、前記マンドレルの表面の前記軸方向に延びるらせん状の溝が、前記管状部の前記一端によって定められる前記開口において、前記内側の基部の各側の90°の範囲内の円弧に沿った点において終わるように、前記管状部が前記マンドレル上に整列させられる。
【0048】
好都合には、この方法が、ステップ(ii)および(iii)の間に、前記成型用の液体を前記柔軟な材料または前記管状部へと焼結させるステップをさらに含む。
【0049】
好都合には、ステップ(ii)が、600〜800kPaの間および170℃〜210℃の間で実行され、好ましくは689kPaおよび190℃で実行される。
【0050】
好ましくは、前記成型用の液体が、ポリウレタンを含んでいる。
【0051】
好都合には、前記柔軟な材料が、ePTFEを含んでいる。
【0052】
用語「つる巻き(helix)」および「らせん(helical)」は、本明細書において、つる巻きおよびらせんの数学的定義、ならびにらせんおよび渦巻きの数学的定義の任意の組み合わせを包含して使用される。
【0053】
用語「つる巻き角度」は、本明細書において、管路に関して、管路上のつる巻きと管路の長手軸との間の角度を指して使用される。
【0054】
本明細書において、らせん状の形成物が管状部の軸に平行に延びると述べられる場合、これは、らせん状の形成物の軸が管状部の軸に平行であることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態による代用血管の斜視図である。
【図2】図1に示した代用血管の矢印Aに沿った図である。
【図3】図1に示した代用血管の矢印Bに沿った図である。
【図4】図1の代用血管の線C−Cに沿った断面図である。
【図5】本発明の方法に先立つ代用血管および本発明の一実施の形態において使用される金型設備の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態による代用血管1が示されている。代用血管1は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作られたおおむね円形の断面を有する柔軟な管状部2を備えている。管状部2は、第1および第2の端部3、4を有している。管状部2は、中空であり、したがって第1および第2の端部3、4が、管状部2の内側の管腔へのアクセスをもたらす第1および第2のそれぞれの開口を定めている。第1の端部3が、管状部2の長手軸に対して直角に終わっている。しかしながら、第2の端部4は、第2の端部4が先細りとなるように、管状の代用血管2の長手軸に対して斜めである線に沿って切断されている。より具体的には、第2の端部4が、矢印B(図3を参照)の方向にて眺めたときに第2の端部4が「卵形」の開口を定めるよう、正弦曲線状に切断されている。すなわち、第2の端部4の開口は、ほぼ楕円形であるが、比較的大きな曲率半径で湾曲した内側の基部5(すなわち、鈍な端部)と、比較的小さな曲率半径で湾曲した外側の先端6(すなわち、より鋭い端部)とを有している。
【0057】
管状部2の外面を巡り、第1の端部3から、管状部2の長手軸に対して平行に、外部の支持つる巻き7が延びている。外部の支持つる巻き7は、50°よりも大きく、好ましくは65°〜80°の間であるつる巻き角度を有しており、ポリウレタンから成型されている。したがって、外部の支持つる巻き7は、管状部2の外面からわずかに外へと突き出している。外部の支持つる巻き7は、管状部2の第1の端部3から延び、終息点8にて終わっている。したがって、外部の支持つる巻きが、管状部2の第1の端部3から終息点8まで延びる管状部2の第1の領域を定めている。
【0058】
開始点9(終息点8よりもわずかに管状部2の第1の端部3に近い)から出発し、内部の誘導つる巻き10が、管状部2に沿って延びている。内部の誘導つる巻き10は、管状部2を管状部2のおおむね円形の断面から内側へと変形させることによって形成されている。したがって、内部の誘導つる巻き10は、管状部2の残りの部分の内面から管状部2の管腔へと突き出している。内部の誘導つる巻き10は、管状部2の長手軸に平行に延びており、8°〜20°の間、好ましくは12°〜18°の間、より好ましくは12°〜14°の間のつる巻き角度を有している。したがって、外部の支持つる巻き7のつる巻き角度は、内部の誘導つる巻き10のつる巻き角度と異なっており、実際のところ内部の誘導つる巻き10のつる巻き角度よりも大きい。内部の誘導つる巻き10は、管状部2の内面に沿って延びて完全に1回転した後に、管状部2の第2の端部4の内側の基部5にて終わっている。内部の誘導つる巻き10が正確に内側の基部5にて終わることは、本発明にとって必須ではない。いくつかの別の実施の形態においては、内部の誘導つる巻き10が、第2の端部4によって定められる開口において、内側の基部5の両側の90°の範囲内の円弧に沿った地点(すなわち、外側の先端6よりもむしろ内側の基部5に近い地点)で終わっている。内側の基部5の両側の45°の範囲内で終わることが好ましい。
【0059】
内部の誘導つる巻き10は、対応する外部の変形つる巻き11を有しており、外部の変形つる巻き11が、管状部2の外面に沿って延び、内部の誘導つる巻き10の経路をたどっている。外部の変形つる巻き11は、ポリウレタンから作られ、管状部2の外面と同一面に位置し、管状部2の外面の残りの部分によって定められる外周から半径方向内側へと突き出し、内部の誘導つる巻き10の構造を補強している(図4を参照)。
【0060】
内部の誘導つる巻き10および外部の変形つる巻き11が協働して、開始点9から管状部2の第2の端部4の内側の基部5まで延びる管状部2の第2の領域を定めている。
【0061】
したがって、第1の領域および第2の領域は、終息点8と開始点9との間でわずかに重なっている。特には、終息点8に隣接する外部の支持つる巻き7の2回転分が、変形つる巻き11のうちの開始点9に隣接する部分に重なっている。外部の支持つる巻き7および変形つる巻き11の両方が、ポリウレタンから作られており、2つのつる巻きが交わる場所において、外部の支持つる巻き7および変形つる巻き11が溶着させられている。このようにして、変形つる巻き11が所定の場所に固定され、外部の支持つる巻き7の最後の数回転分が、内部の誘導つる巻き10の完全性の喪失を生じさせかねない変形つる巻き11の管状部2からの浮き上がりを防止する。さらに、管状部2の第2の領域が、外部の支持つる巻き7が第2の領域を最後まで延びる場合と比べて、より柔軟であり、より剛性が低い。この相対的な柔軟性により、執刀医が、特には患者の体の比較的アクセスしにくい部位に、代用血管1をより容易に埋め込むことが可能になる。
【0062】
上述の実施の形態においては、外部の支持つる巻き7の2回転分が、変形つる巻き11および内部の誘導つる巻き10に重なっている。しかしながら、別の実施の形態においては、重なりが、外部の支持つる巻き7の1〜5回転分の間であり、いくつかの実施の形態においては、重なりが存在しない(例えば、外部の支持つる巻き7が変形つる巻き11および内部の誘導つる巻き10に当接する)。他の実施の形態においては、外部の支持つる巻き7と内部の誘導つる巻き10との間の重なりが、内部の誘導つる巻きの1回転の80%未満、または50%未満である(実際には、6、8、または10cm未満)。
【0063】
上述のように、図1に示した実施の形態においては、第2の端部4が先細りであり、いくつかの代案の実施の形態においては、内部の誘導つる巻き10が、第2の端部4によって定められる開口において、内側の基部5の各側の地点で終わっている。したがって、これらの代案の実施の形態においては、内部の誘導つる巻き10が、管状部2において、先細りの第2の端部4の一部を形成している部位にも延びており、完全な外周を有していない部位(すなわち、先細りの第2の端部4においては、管状部2の軸に垂直な管状部2の断面が、完全な円を形成していない)にも延びている。
【0064】
しかしながら、第1および第2の領域が重なる場合でも、第1の領域は、第2の領域の広がりのうちの管状部2が完全な外周を有している部位に関して、そのような部位を最後まで延びることがないことが好ましい。すなわち、先細りの第2の端部4に加えて、第2の領域の一部分が、第1の領域が及ばない管状部2の主たる部位に及んでいる。これは、代用血管1の柔軟性の向上が、先細りの第2の端部4においてだけでなく、管状部2の軸方向の中央により近い部位(したがって、完全な外周を有している)において望まれるがゆえに好ましい。
【0065】
次に、図5を参照して、本発明の一実施の形態による代用血管の製造方法を説明する。代用血管の素材12が用意される。代用血管の素材12は、ePTFEから作られた柔軟な管状部13と、あらかじめ形成された外部の支持つる巻き29とを備えており、外部の支持つる巻き29は、ポリウレタンで作られている。あらかじめ形成された外部の支持つる巻き29は、管状部の第1の端部3からあらかじめ形成された終息点14まで延びており、終息点14は、終息点8および開始点9と比べて第1の端部3により近いが、他のすべての点においては、あらかじめ形成された外部の支持つる巻き29は、図1に示した最終的な製品の外部の支持つる巻き7と同一である。このような代用血管の素材12は、Vascutek Ltd,Renfrewshire,UKから入手可能である。必要であれば、あらかじめ形成される終息点14を超える外部の支持つる巻きが、続く工程に先立って取り除かれる。
【0066】
ePTFEから作られた柔軟な管状部13を備えるいくつかの代用血管の素材12が市販されており、本発明がいかなる特定の種類または構成にも限定されないことを、理解すべきである。例えば、代用血管の素材は、これらに限られるわけではないが、標準的な肉厚、薄肉、超薄肉、被覆有り、または被覆なしなど、任意の種類であってよい。さらに、代用血管の素材12は、「包まれて」いても、「包まれて」いなくてもよく、すなわち、あらかじめ形成される外部の支持つる巻き29の追加に先立ってePTFEのさらなる層が巻き付けられていても、巻き付けられていなくてもよい。他の例として、管状部13を構成するePTFEは、任意の範囲のノード間間隔を有することができる。
【0067】
代用血管の素材12に外部の支持つる巻き7の残りの部分および変形つる巻き11を設けるために、金型15がマンドレル16とともに用意される。マンドレル16は、軸方向に延びるらせん状の溝17を外面に有する細長い円筒である。らせん状の溝17は、内部の誘導つる巻き10と同じつる巻き角度を有している。この実施の形態においては、マンドレル16の長さおよびらせん状の溝17のつる巻き角度が、らせん状の溝17がらせんの完全な1回転を形成してマンドレルの終息点18で終わるように選択されている。
【0068】
金型15は、第1および第2の金型ブロック19、20を備えている。各々の金型ブロック19、20は、直方体であり、直方体のブロック19、20の1つの面23、24に沿って軸方向に延びる半円形の溝21、22を有している。半円形の溝21、22が互いに隣接し、2つの半円形の溝21、22が協働することによって、マンドレル16を代用血管の素材12を存在させるためにちょうど充分な空間を残しつつ収容することができる円柱形の腔が形成される。
【0069】
各々の金型ブロック19、20の半円形の溝21、22の内面に、1対の弓形の溝25が設けられ、そのような1対の弓形の溝25は、金型ブロック19、20が互いに隣接させられたときに各々の金型ブロック19、20の弓形の溝25がつながり、形成された腔の内面を巡って軸方向に延びるただ1つのらせん状の溝が形成されるように配置されている。ただ1つのらせん状の溝は、2回転で構成され、外部の支持つる巻き7と同じつる巻き角度を有している。弓形の溝25は、第1および第2の金型ブロック19、20によって定められる腔にマンドレル16が存在するときに、このただ1つのらせん状の溝が、マンドレルの終息点18に隣接するらせん状の溝17の周囲に存在するように配置されている。
【0070】
注入溝26、27が、各々の金型ブロック19、20に設けられ、それぞれの半円形の溝21、22から金型ブロック19、20の外部へと続いている。注入溝26、27は、金型ブロック19、20が互いに隣接させられたときに、2つの注入溝26、27が整列して金型15の外部から半円形の溝21、22によって形成される円柱形の腔へとつながるただ1つの注入穴が形成されるように配置されている。
【0071】
2つの金型ブロック19、20を円柱形の腔およびただ1つの注入穴が形成された状態に一体に固定するための手段が設けられる(図示されていない)。いくつかの実施の形態においては、この手段が、保持用のねじを備える。
【0072】
最終的な代用血管1を製造するために、金型15が加熱される。この実施の形態においては、金型15が190℃に加熱されるが、各々の実施の形態において使用される正確な温度は、プロセスに使用される材料に依存する。
【0073】
2つの金型ブロック19、20およびマンドレル16が、互いに分離される。次いで、代用血管の素材12が、図4の矢印28の方向にマンドレル16へと装着される。代用血管の素材12は、マンドレル16の表面のらせん状の溝17が代用血管の素材12の第2の端部4の内側の基部5において終わるように、マンドレル16上に整列させられる。いくつかの実施の形態においては、管状部13の長手軸に平行に延びる可視の線(図示されていない)が、代用血管の素材12の外面にあらかじめ印刷される。この可視の線によれば、代用血管の素材12を、管状部13にねじれがないようにマンドレル16に装着して整列させることができる。代用血管の素材12が、マンドレル16の表面のらせん状の溝17へと部分的に押し込まれる。これを、へらを使用して行うことができる。
【0074】
次いで、代用血管の素材12が配置されたマンドレル16が、金型ブロック19、20の2つの半円形の溝21、22に、らせん状の溝26、27によって形成される注入穴がマンドレル16の表面のらせん状の溝17に整列するように配置される。代用血管の素材12がマンドレル16の表面のらせん状の溝17へと部分的に押し込まれているため、この整列を視覚的に確認することが可能である。さらに、マンドレル16は、代用血管の素材12とともに、あらかじめ形成された外部の支持つる巻き19の連続的な回転が、金型ブロック19、20の弓形の溝25によって形成されるらせん状の溝に整列し、これらのらせん状の溝と同位相になるように整列させられる。特には、弓形の溝25によって形成されるらせん状の溝が、あらかじめ形成された外部の支持つる巻き29にわずかに重なり(あるいは、当接し)、代用血管の素材12の第2の端部4の方向において、あらかじめ形成された終息点14を超えてつながる。次いで、2つの金型ブロック19、20が、例えば保持用のねじによってぴったりと保持される。
【0075】
マンドレル16、半円形の溝21、22によって形成される円柱形の腔、および代用血管の素材12が、代用血管の素材12が2つの金型ブロック19、20およびマンドレル16の間にしっかりと挟まれるように寸法付けられていることを、理解すべきである。
【0076】
次いで、金型15が、代用血管の素材12とともに、加圧腔射出成型装置に配置される。この実施の形態においては、圧力が100PSI(689kPa)まで上げられるが、各々の実施の形態において使用すべき圧力の最適値は、使用される材料に応じて決まる。
【0077】
溶融されたポリウレタンが、注入溝26、27によって形成される注入穴を介して金型15の内部へと注入される。溶融ポリウレタンが、代用血管の素材12をマンドレル16のらせん状の溝17へと押し込むことによって変形させて代用血管1の外面にらせん状の溝を生じさせ、この溝へと溶融ポリウレタンが流れ、変形つる巻き11が形成される。これと同時に、対応する内部の誘導つる巻き10(図1〜4を参照)が、代用血管1の内面に生じる。
【0078】
また、溶融ポリウレタンは、金型ブロック19、20の弓形の溝25によって形成されるらせん状の溝に沿って流れる。したがって、ただ1回の溶融ポリウレタンの注入しか必要とせずに、代用血管1の外面のらせん状の溝および金型ブロック19、20のらせん状の溝の両方が満たされる。
【0079】
金型ブロック19、20のらせん状の溝を満たす溶融ポリウレタンは、連続的な外部の支持つる巻き7が存在するように、あらかじめ形成された外部の支持つる巻き29を、代用血管の素材12の第2の端部4の方向に、さらなる連続する2回転分について、あらかじめ形成された終息点14を超えて効果的に延長する。熱および圧力が、ポリウレタンをePTFE製の代用血管12へと焼結させる。その後に、金型15を開き、仕上がった代用血管1をマンドレル16から取り外して冷やすことができる。外部の支持つる巻き7の追加の連続的な回転が変形つる巻き11と交わる場所において、2つのつる巻きが単一のポリウレタン部品として融着し、したがって変形つる巻き11が開始点9において動かぬように保持される。
【0080】
変形つる巻き11および支持つる巻き7を形成するためにポリウレタンが使用され、管状部2を形成するためにePTFEが使用される場合、100PSI(689kPa)の成型圧力および190℃の作業温度の組み合わせが、焼結工程のための最適な組み合わせをもたらすことが明らかになっている。特には、管状部2を過度に変形させることなく、溶融ポリウレタンの流れが最大化され、5秒という最短の成型時間がもたらされる。結果として、2つのポリウレタン製のつる巻き7、11が形成された代用血管1が、迅速かつ容易に完成される。
【0081】
使用のために、仕上がった代用血管1は、通常は執刀医によって技術的に公知のとおりに患者へと埋め込まれる。このような代用血管を、これらに限られるわけではないが、膝上大腿膝窩動脈バイパス、膝下大腿膝窩動脈バイパス、肘を横切る透析アクセス代用血管、腋窩大腿動脈代用血管、臀部を横切る大動脈両大腿動脈代用血管、ならびにふくらはぎ中央部への大腿遠位代用血管または患者の膝の下方/膝を横切る大腿遠位代用血管などの手術において埋め込むことができる。
【0082】
要約すると、バイパスすべき血管の損傷した部位に隣接する血管の健全な部位に、開口が形成される。開口は、わずかに小さい点を除き、代用血管1の第2の端部4によって定められる開口に一致する形状の「卵形」である。代用血管の第2の端部4が、血管に形成された開口を覆うように配置され、次いで執刀医が、代用血管1を血管の健全な部位へと縫合し、代用血管1の第2の端部4の縁を血管の開口の縁へと接合する。代用血管1の第2の端部4によって定められる開口の卵形により、縫合工程を実行するために最大量の材料が執刀医に提供され、執刀医による手術の実行を助ける。この追加の材料を有することは、代用血管1の第2の端部4の内側の基部5の周囲の縫合時に、執刀医にとって特に有用である。代用血管1の第2の領域の相対的な柔軟性が、執刀医が代用血管1を血管へとより容易に縫合することを可能にする。さらに、内部の誘導つる巻き10が、管状部2の第2の端部4において、内側の基部5の各側の90°の範囲内に終端を有するため、執刀医が代用血管の配置において或る程度の余裕を有する。より具体的には、たとえ代用血管の整列が健全な血管に対して中心ずれしても、あるいは代用血管の接近の角度が比較的大きくても、内部の誘導つる巻き10によって付与される血液のらせん状の流れが、依然として維持される。
【0083】
さらに、代用血管1の第1の端部3が、代用血管1によって血管の損傷した部位がバイパスされるよう、健全な血管の別の部位へと縫合される。第1の端部3を取り付けるプロセスは、第2の端部4を取り付けるプロセスに相当できる。可視の線が管状部2に前もって印刷されている実施の形態においては、執刀医が、埋め込み手術の際に、この可視の線を参照して代用血管がねじれていないことを確認することができる。
【0084】
手術が行われている間、血液は手術対象の血管を通過することがないようにされるが、ひとたび代用血管1の血管への縫合が完了すると、血液は血管を通って代用血管1へと第1の端部3から第2の端部4へと通過できるようにされる。血液が内部の誘導つる巻き10を通過するとき、らせん状の流れが血液に与えられ、このらせん状の流れが、血液が代用血管1の第2の端部4を健全な血管へと通過するときも継続する。血液のらせん状の流れは、代用血管1と血管との間の接合部における乱流を少なくし、細胞の損傷およびプラークの蓄積を最小化する。血管の損傷した部位は、通常は閉塞させられ、周囲の組織へと完全に取り入れられるが、場合によっては除去される。
【0085】
予想外にも、このような代用血管1が、患者の関節を横切ることがない部位(例えば、膝上大腿膝窩動脈バイパス)および患者の関節を横切る部位(例えば、膝下大腿膝窩動脈バイパス、肘を横切る血管アクセス代用血管、臀部を横切る大動脈両大腿動脈代用血管、ならびにふくらはぎ中央部への大腿遠位代用血管または患者の膝の下方/膝を横切る大腿遠位代用血管)の両方において、埋め込みの際の代用血管の柔軟性および埋め込まれたときの代用血管の剛性(よじれを防止するため)の要件をバランスさせることが、明らかになっている。
【0086】
本発明の好ましい実施の形態においては、炭素コーティングが管状部2の内面に適用される。コーティングを加える利点は、代用血管1の生体適合性および組織応答が向上する点にある。代用血管1の内側を炭素でコーティングするプロセスは、技術的に公知である。
【0087】
代用血管1のサイズは、置き換えようとする血管に応じて決まる。典型的には、代用血管の直径は、末梢血管を置き換える場合には4mm〜12mmの間であり、末梢血管以外の血管を置き換える場合には18mm〜40mmの間である。しかしながら、これらの直径の範囲を外れる代用血管も、本発明の技術的範囲に包含される。代用血管1が、患者の鼠径部と膝の直上との間に埋め込まれる場合には、8mmの直径が特に好ましい。
【0088】
上述の実施の形態においては、代用血管1が、ePTFEから作られ、外部の支持つる巻き7および変形つる巻き11が、ポリウレタンから作られている。しかしながら、本発明の他の実施の形態においては、別の材料を、それらの材料の特有の特性を利用すべく選択することができる。例えば、ポリウレタンを使用する代りに、いくつかの実施の形態においては、液体の状態で注入して後に固めることができるポリエステルまたはPTFEなどの他の成型材料が使用される。
【0089】
同様に、いくつかの実施の形態においては、管状部2が、編まれたポリマー、織られたポリマー、あるいは押し出しされたポリマーなどの布地から製作される。いくつかの実施の形態においては、管状部2および成型材料が、それぞれePTFEおよびPTFEで構成され、あるいはどちらもポリウレタンで構成されるなど、同じまたは同種の材料で構成される。注入される成型材料が、管状部2を形成する材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有するべきであることが重要である。
【0090】
本発明の上述の実施の形態において、689kPaおよび190℃という条件が、あくまでも代用血管1がePTFEから製作され、ポリウレタンが上述のように金型15によって変形つる巻き11および外部の支持つる巻き7の続きを形成するために注入される場合について、そのような場合の最適条件として言及されていることを、理解すべきである。しかしながら、最適条件は、他の実施の形態においては異なるであろう。特には、最適条件は、金型の状態、管状部2を形成する材料、および注入に使用される成型材料に依存して決まる。しかしながら、おおむね好ましい条件の範囲は、600〜800kPaおよび170℃〜210℃である。
【0091】
いくつかの別の実施の形態においては、代用血管1に、2つ以上の変形つる巻き11および対応する内部の誘導つる巻き10ならびに/あるいは2つ以上の外部の支持つる巻き7が設けられる。これらの実施の形態においては、複数のつる巻きが代用血管1の円周を巡って等間隔に位置することが好ましい。
【0092】
本発明の上述の実施の形態は、代用血管に関して説明されているが、本発明の他の実施の形態においては、他の管路が提供される。例えば、本発明のいくつかの実施の形態においては、管状部2が、血管以外の代用物である。管状部2は、必ずしも正確に円形の断面である必要はない(ただし、正確に円形の断面であることが最も好ましい)が、断面は、好ましくは管状部2を通過する流体の流れに過度の乱流が生じないような断面であるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・柔軟な材料から作られた管状部と、
・前記管状部の外面を巡って前記管状部の軸に平行に延びており、前記管状部の第1の領域を定めるとともに、前記管状部を支持する外部のらせん状の形成物と、
・前記管状部の内面から内側へと突き出し、前記管状部の軸に平行に延びており、前記管状部の第2の領域を定めるとともに、前記管状部を通過する流体にらせん状の流れを付与する内部のらせん状の形成物とを備えており、
前記第1の領域が、前記第2の領域の全体には及んでいない管路。
【請求項2】
前記第1および第2の領域が、重なっている請求項1に記載の管路。
【請求項3】
前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記外部のらせん状の形成物の1〜5回転分の長さであり、好ましくは2回転分の長さである請求項2に記載の管路。
【請求項4】
前記内部のらせん状の形成物が、前記管状部の一端にて終わっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の管路。
【請求項5】
前記管状部の前記一端が、内側の基部から外側の先端へと先細りであり、
前記管状部の前記一端が、略楕円形の開口を定めている請求項4に記載の管路。
【請求項6】
前記内部のらせん状の形成物が、前記管状部の前記一端によって定められる前記開口において、前記内側の基部の各側の90°の範囲内の円弧に沿った点において終わっている請求項5に記載の管路。
【請求項7】
前記第1の領域が、前記第2の領域の広がりのうちの前記管状部が完全な外周を有している部位に関して、該部位の全体には及んでいない請求項1〜6のいずれか一項に記載の管路。
【請求項8】
管路を製作する方法であって、
(i)外面の一領域に沿ってあらかじめ形成されたらせん状の形成物が軸方向に延びている柔軟な管状部を用意するステップと、
(ii)成型用の液体を、前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物と同じつる巻き角度および位相を有し、前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物の一端を過ぎて軸方向に延びる第1のらせん状の形態へと、連続する外部のらせん状の形成物が形成されるように前記管状部の外面に流すステップと、
(iii)前記成型用の液体を固化させるステップとを含んでいる方法。
【請求項9】
ステップ(ii)が、前記成型用の液体を、前記管状部の外面を巡って軸方向に延びている第2のらせん状の形態へと流すステップをさらに含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)が、
(a)前記管状部の内面上の内部のらせん状の突起、および、対応する外部のらせん状の溝をもたらすように、前記環状部を変形させるステップと、
(b)前記成型用の液体を、前記外部のらせん状の溝へと流し、前記第2のらせん状の形態を形成するステップとを含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii)が、
前記管状部をマンドレル上に配置するステップと、
前記管状部を金型の内部に入れて、前記管状部を前記マンドレルと前記金型との間に挟むステップとを含んでいる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金型が、内面を巡って軸方向に延びているらせん状の溝を有しており、
ステップ(b)が、前記成型用の液体を、前記金型の前記らせん状の溝へと流れるように、前記管状部と前記金型との間に導入するステップをさらに含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記あらかじめ形成されたらせん状の形成物が、前記金型の内面を巡って軸方向に延びている前記らせん状の溝と同じ位相に位置し、かつ該溝に重なり、あるいは該溝に当接するように、前記管状部が前記金型において整列させられる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マンドレルが、表面に軸方向に延びるらせん状の溝を有しており、
ステップ(a)が、前記成型用の液体を前記管状部と前記金型との間に導入し、前記成型用の液体によって前記管状部を前記マンドレルの表面の前記らせん状の溝へと押し付けて前記管状部を変形させ、前記内部のらせん状の突起をもたらすステップをさらに含んでいる請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記管状部の一端が、該一端によって略楕円形の開口が定められるように、内側の基部から外側の先端へと先細りである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マンドレルの表面の前記軸方向に延びるらせん状の溝が、前記管状部の前記一端によって定められる前記開口において、前記内側の基部の各側の90°の範囲内の円弧に沿った点において終わるように、前記管状部が前記マンドレル上に整列させられる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記連続する外部のらせん状の形成物が、前記管状部の第1の領域を定め、
前記第2のらせん状の形態が、前記管状部の第2の領域を定め、
前記第1の領域が、前記第2の領域の全体には及んでいない請求項8〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の領域が、前記第2の領域に重なっている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1および第2の領域の間の重なりが、前記連続する外部のらせん状の形成物の1〜5回転分の長さであり、好ましくは2回転分の長さである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の領域が、前記第2の領域の広がりのうちの前記管状部が完全な外周を有している部位に関して、該部位の全体には及んでいない請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−510617(P2013−510617A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538404(P2012−538404)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002121
【国際公開番号】WO2011/061493
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(511281095)バスキュラー フロー テクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】