説明

箸洗浄装置

【課題】より確実に箸を乾燥させることができる箸洗浄装置を提供すること。
【解決手段】複数の箸Cを収容し供給する箸供給部103と、箸供給部103から供給された箸Cを搬送する箸搬送部130と、箸搬送部130から搬送された箸Cを洗浄する箸洗浄部120と、箸洗浄部120で洗浄された箸Cを乾燥する箸乾燥部150と、を備える箸洗浄装置100であって、箸乾燥部150は、箸Cの長手方向に沿って気流を発生させる気流手段151を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の箸を収容し供給する箸供給部と、箸供給部から供給された箸を搬送する箸搬送部と、箸搬送部で箸を洗浄する箸洗浄部と、を備える箸洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の箸を一対のベルトで挟持して搬送し、箸に対して洗浄液を噴射して洗浄した後に、乾燥用空気を吹き付けて、箸を乾燥させている箸の再生装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−276198号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の箸洗浄装置にあっては、一対のベルトで挟持して搬送しているため、箸に付着した汚れが落ちにくく、また、乾燥する場合にも、水切れが悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、より確実に箸を乾燥させることができる箸洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の箸洗浄装置は、
複数の箸を収容し供給する箸供給部と、該箸供給部から供給された前記箸を搬送する箸搬送部と、該箸搬送部から搬送された前記箸を洗浄する箸洗浄部と、該箸洗浄部で洗浄された前記箸を乾燥する箸乾燥部と、を備える箸洗浄装置であって、
前記箸乾燥部は、前記箸の長手方向に沿って気流を発生させる気流手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、気流手段により、箸の長手方向に沿って気流を発生させて吹き付けることで、箸洗浄部で洗浄された後の箸の乾燥を、より確実に行うことができる。気流を、箸の長手方向に沿わせることで、箸の表面に付着した水が、長手方向に沿って飛ばされるとともに、水の重力により下側にも水が落ちるため、箸をより乾燥しやすくできる。
【0007】
本発明の箸洗浄装置は、
前記気流手段は、前記箸の一端から他端に対して前記気流を発生させることを特徴としている。
この特徴によれば、気流を、箸の長手方向に沿わせるとともに、箸の一端から他端に対して気流を発生させて吹き付けるため、箸の一端から他端まで、箸の表面に付着した水を吹き飛ばして乾燥させることができる。
【0008】
本発明の箸洗浄装置は、
前記気流手段は、前記箸の一端の面積が大きい方から小さい方に対して前記気流を発生させることを特徴としている。
この特徴によれば、箸の一端の面積が大きい方は、箸の持ち手部分の周面の表面積も大きいため、箸に付着する水分も多くなるので、箸の一端の面積が大きい方側から気流を発生させて吹き付けることで、水の表面張力を利用して水分をまとめて吹き飛ばすことができる。
【0009】
本発明の箸洗浄装置は、
前記気流手段の前記気流の蛇行を抑制する第二気流を発生させる第二気流手段を備え、
前記第二気流手段は、前記気流手段の離れた位置に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、気流手段の気流は蛇行しやすいので、気流手段の少し離れた位置に第二気流手段を配置して、第二気流を第一気流に対して、例えば平行に発生させることで、この蛇行を抑制して直線的に気流を発生させることができる。
【0010】
本発明の箸洗浄装置は、
前記気流手段は、前記気流を吹き出す第一吹出口を備え、
前記第二気流手段は、前記第二気流を吹き出す第二吹出口を備え、
前記箸乾燥部は、前記第一吹出口から吹き出された前記気流と、前記第二吹出口から吹き出された前記第二気流とを吸い込む共通の吸込口を有することを特徴としている。
この特徴によれば、共通の吸込口で、前記第一吹出口から吹き出された前記気流と、前記第二吹出口から吹き出された前記第二気流とを同時に吸い込むことができるので、第二気流により、第一気流の蛇行をより抑制することができる。
【0011】
本発明の箸洗浄装置は、
前記箸搬送部は、1本の前記箸の長手方向側の両端部側を支持して搬送し、
前記気流手段は、前記箸搬送部で搬送される前記1本の箸に対して前記気流を発生させることを特徴としている。
この特徴によれば、箸の長手方向側の両端部側を支持して、両端部側間には空隙が形成された状態となるので、箸の乾燥を容易に行え、また、箸がより乾燥しやすくなる。
【0012】
本発明の箸洗浄装置は、
前記箸搬送部は、1本の前記箸を収容可能な複数の溝部を有する回転体を複数備え、前記溝部内に配置された前記1本の箸を一の回転体から他の回転体へ搬送させ、
前記一の回転体で搬送される部分を、前記箸洗浄部とし、
前記他の回転体で搬送される部分を、前記箸乾燥部とすることを特徴としている。
この特徴によれば、回転体ごとに、機能を分けることができ、一つ目の回転体は、箸洗浄部により、溝部内に収容させた1本の箸を洗浄する洗浄機能を有することができる。他の回転体は、箸乾燥部による箸の乾燥を行う乾燥機能をもたせることができる。各回転体は、溝部内に1本の箸を配置するため、一本ずつ洗浄、乾燥をそれぞれ行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における箸洗浄装置を示す平面図である。
【図2】図1における箸洗浄装置のA−A断面図である。
【図3】図2における箸洗浄装置のB−B断面図である。
【図4】図2における箸収容部と第1搬送ギアとを示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図5】箸が第1搬送ギアの溝部に収容された状態を示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図6】図1における箸洗浄装置のD−D断面図である。
【図7】箸が第1搬送ギアの溝部に収容された状態を示す箸洗浄装置のD−D断面図である。
【図8】実施例2における箸洗浄装置を示す平面図である。
【図9】図8における箸洗浄装置のE−E断面図である。
【図10】図9における箸洗浄装置のF−F断面図である。
【図11】図9における箸収容部と搬送ディスクとを示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図12】供給口に配置された箸が分離板によって搬送ディスクの溝部内に収容された箸と分離された状態を示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図13】図8における箸洗浄装置のG−G断面図である
【図14】図13における箸洗浄装置のH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る箸洗浄装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る箸洗浄装置につき、図1から図7を参照して説明する。以下、図1の紙面下側と、図2と図4及び図5の紙面手前側と、図3の紙面右側と、図6及び図7の紙面左側を箸洗浄装置の正面側(前方側)として説明する。
【0016】
図1の符号1は、本発明の適用された箸洗浄装置である。この箸洗浄装置1は、例えば、飲食店等にて、飲食客が使用した後の箸Cを自動的に洗浄するために使用される装置である。
【0017】
図1と図2及び図4に示すように、箸洗浄装置1は筐体2を有しており、この筐体2内の左側上部には、飲食客等の使用した複数の箸Cを投入するための箸供給部3が設けられている。筐体2内の左右幅方向の略中央部には、本発明における箸搬送部及び回転体としての歯車である第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とが配置されている。実施例1では、回転体を三つ設けており、一つ目の回転体である第1搬送ギア10a,10bは、箸供給部から供給された複数の箸を個別に離間させて溝部内に1本の箸を収容させて搬送することで離間機能を有し、二つ目の回転体である筐体2内における第2搬送ギア11,11は、溝部内に収容させた1本の箸を洗浄する洗浄機能を有し、三つ目の回転体である第3搬送ギア12,12は、箸のすすぎを行うすすぎ機能と箸の乾燥を行う乾燥機能とをもたせている。これら各回転体は、溝部内に配置された1本の箸を一の回転体から他の回転体へ搬送させることで、箸を搬送している。これら第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とは、硬質の樹脂材により構成されている。
【0018】
以下、箸Cの搬送される順に説明すると、この箸供給部3は、平面視で略方形状の箱体に形成されており、特に底板は、筐体2の右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ3aに形成されている。
【0019】
このスロープ3aの右端部には、箸供給部3に収容された箸Cを後述する第1搬送ギア10a,10bに向けて供給するための供給口3bに形成されており、更に供給口3bには、後述する押圧突起4c,8a,8bと上下幅方向で対向するように切欠3cが形成されている。
【0020】
また、図2に示すように、箸供給部3の上部には、飲食店の従業員等が複数の箸Cを載置するための載置板3dが取り付けられている。この載置板3dの左端部と箸供給部3の左内側面との間には、箸Cを載置板3d上でスライド移動させながら箸供給部3内に投入するための箸投入口3eが形成されている。この箸投入口3eは、箸供給部3の前後幅方向に向けて長寸となるように形成されている。このため、箸供給部3は、箸Cの長手方向側を筐体2の前後幅方向側に向けて収容できる。
【0021】
一方、図1と図4及び図5に示すように、スロープ3aの下方における後部側には、スロープ3aの左右幅方向を向く揺動ブラケット4が配置されている。この揺動ブラケット4の左右幅方向の略中央部は、箸供給部3の前後幅方向を向き、筐体2に端部が支持された水平軸5に枢支されている。この揺動ブラケット4の左端部には、スロープ3aに対して下方から振動を与えるためのハンマー4aが設けられている。また、揺動ブラケット4の右端部には、前後幅方向を向く押圧軸4bと、スロープ3aに向けて突出する押圧突起4cが形成されている。
【0022】
揺動ブラケット4の左端部の下方には、筐体2に端部が支持された付勢ブラケット6が延設配置されており、揺動ブラケット4の左端部と付勢ブラケット6との間には、揺動ブラケット4の左端部を上方に向けて付勢するコイルバネ7が設けられている。このコイルバネ7の付勢力によって揺動ブラケット4に水平軸5周りの力を与えることができるようになっている。
【0023】
また、図1と図6及び図7に示すように、スロープ3aの下方における前部側には、筐体2の図6及び図7視での左方を向く略コ字状に形成された揺動ブラケット8が配置されている。この揺動ブラケット8の左下部は、筐体2の前後幅方向を向き、筐体2に端部が支持された水平軸9に枢支されている。
【0024】
更に、揺動ブラケット8の図6及び図7視での左上部は、スロープ3aに形成された切欠3cと上下方向で対向する位置まで延設されており、この揺動ブラケット8の左上部には、上方を向く押圧突起8a,8bが左右幅方向に並設されている。一方、揺動ブラケット8の左下部は、筐体2の前部側に配置された第1搬送ギア10aの背面側と対向するように、第1搬送ギア10aの近傍に近接配置されている。
【0025】
図4及び図6に示すように、供給口3bの直上方である箸供給部3の内側面には、スロープ3aを供給口3bに向けて斜下方にスライド移動しようとする箸Cの数を規制する箸規制部16が設けられている。この箸規制部16は、筐体2の左方側に向けて下方へ傾斜をなす箸規制板16aと、この箸規制板16aの前後に配置された一対の側板16bとで構成されている。
【0026】
箸規制板16aは、図4に示すように、箸収容部3に箸Cが大量に投入されると、供給口3bに向けて殺到する箸Cの本数を規制するようになっている。また、両側板16bは、供給口3bの左右幅寸法と略同寸の左右幅寸法に形成されているとともに、両側板16bとスロープ3aとの間には、箸Cが1本分のみが通過可能な間隙が形成されている。このため、これら箸規制板16aと両側板16bとによって、スロープ3aを供給口3bに向けてスライド移動しようとする箸Cの数を規制するようになっており、これによって供給口3b付近に箸Cが殺到することを防止している。
【0027】
尚、箸供給部3内の上部には、下方に向けて前洗浄用の水を噴射する第1噴射ノズル17が設けられており、この水の噴射によって、箸供給部3に投入された複数の箸Cに付着した飯粒等の大きめの汚れを予め剥離除去し易いように軟化させることができるようになっている。
【0028】
図1及び図2に示すように、第1搬送ギア10a,10bは、供給口3bの下方にて、上端部を供給口3bに近接させた状態で一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第1搬送ギア10a,10bは、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部が回転可能に支持された水平軸13に固定されており、各第1搬送ギア10a,10bの周面には、水平軸13方向を向く溝部10cと突部10dとが全周に亘って交互に等間隔に形成されている。
【0029】
溝部10cの第1搬送ギア10a,10bの周方向側の幅寸法は、箸Cの長手方向側の端部を収容配置可能な程度の幅寸法に形成されており、供給口3bから箸Cが第1搬送ギア10a,10bに向けて供給されることで、溝部10c内に1本の箸Cの長手方向側の端部のみが収容配置されるようになっている。
【0030】
また、筐体2の前部側に配置された第1搬送ギア10aの背面には、第1搬送ギア10aの周方向に沿って複数の押圧ピン10eが等間隔に取り付けられている。これら押圧ピン10eは、第1搬送ギア10aが正面視で時計回りに回転することで、間欠的に揺動ブラケット8のコ字状下方端部を押圧するようになっている。
【0031】
水平軸13の第1搬送ギア10a,10b間には、第1搬送ギア10a,10bよりも小径の円板カム18が固定されている。この円板カム18は、第1搬送ギア10a,10bとともに本発明における回転体を構成している。更に、図4及び図5に示すように、この円板カム18の周面には、複数の突部18aが等間隔に形成されており、隣り合う突部18a間には、一方の突部18aから正面視で時計回り側の他の突部18aに向けて円板カム18の中心へ傾斜をなす傾斜部18bが等間隔に形成されている。円板カム18は、正面視で時計回りに回転することで、これら傾斜部18bが間欠的に押圧軸4bを上方に向けて押圧するようになっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、第1搬送ギア10a,10bよりも右側には、第2搬送ギア11,11が一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第2搬送ギア11,11は、両第1搬送ギア10a,10bを筐体2の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0033】
第2搬送ギア11よりも右側には、第3搬送ギア12,12が一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第3搬送ギア12,12は、両第2搬送ギア11,11を筐体2の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0034】
これら第2搬送ギア11及び第3搬送ギア12は、第1搬送ギア10a,10bと同様に、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部がそれぞれ支持された水平軸14,15に固定されているとともに、周面には、第2搬送ギア11及び第3搬送ギア12の周方向側の幅寸法を、箸Cの長手方向側の端部を収容可能な程度の幅寸法の溝部11a,12aと、突部11b,12bとが形成されている。
【0035】
水平軸13,14,15は、筐体2の外部にて図示しないモータ等の駆動手段に噛合部29を介して接続されており、この図示しないモータが駆動することによって正面視で時計周りに同期して回転するようになっている。つまり、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12及び円板カム18は、水平軸13,14,15の回転によって正面視で時計周りに同期して回転する。
【0036】
尚、図1及び図2に示すように、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12の上方である筐体2内の前後幅方向の中央寄りには、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12との周面に沿う形状に形成された一対の押えフレーム19が配置されている。
【0037】
図2及び図3に示すように、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12との上方には、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12とによって筐体2内の右側に向けて搬送される箸Cを洗浄するための円筒形状の洗浄ブラシ21が配置されている。この洗浄ブラシ21は、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部が支持された水平軸22に固定されている。
【0038】
この水平軸22は水平軸13,14,15と同様に図示しないモータ等の駆動手段に接続されており、この図示しないモータが駆動することによって水平軸22が回転するようになっている。尚、洗浄ブラシ21の前後幅寸法は、第3搬送ギア12,12間の前後幅寸法よりも若干長寸に形成されている。
【0039】
筐体2内における洗浄ブラシ21の左側には、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11とによって筐体2の右側に向けて搬送される箸Cに対して洗浄液を噴射する第2噴射ノズル23が設けられており、洗浄ブラシ21の右側には、洗浄ブラシ21によって洗浄された箸Cを濯ぐための水を噴射する第3噴射ノズル24が設けられている。
【0040】
筐体2内における第3搬送ギア12の右側には、筐体2の右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ板25が設けられている。このスロープ板25の右側である筐体2の右外側部には、箸Cを回収するための箱上に形成された箸回収部26が設けられており、第3搬送ギア12の回転によって第3搬送ギア12から脱落した箸Cは、スロープ板25上をスライド移動した後、最終的にこの箸回収部26に収容されるようになっている。
【0041】
尚、第3搬送ギア12の右側には、第3搬送ギア12の右部及びスロープ板25の左端部に向けて圧縮空気等を噴射して箸Cを乾燥させるための第4噴射ノズル27が設けられている。第4噴射ノズル27は、箸Cの長手方向に沿って、箸Cの一端の面積が大きい方から小さい方に対して気流を発生させるような位置に設けるようにしてもよい。これにより、箸Cの表面に付着した水が、長手方向に沿って飛ばされるとともに、水の重力により下側にも水が落ちるため、箸Cをより乾燥しやすくできる。
【0042】
尚、図2に示すように、筐体2の底部には、箸洗浄装置1の外部の図示しない排水管等に接続されたドレン管28が接続されており、第1噴射ノズル17及び第3噴射ノズル24から噴射された水と、第2噴射ノズル23から噴射された洗浄液はこのドレン管28から箸洗浄装置1外に排出されるようになっている。
【0043】
次に、前述のように構成した箸洗浄装置1の動作について説明する。先ず、図2と図4及び図6に示すように、飲食店の従業員等が載置板3d上に複数の箸Cを長手方向が箸洗浄装置1の前後幅方向を向くように載置する。そして、これら箸Cを箸投入口3eに向けてスライド移動させ、箸供給部3内に上方から複数の箸Cを投入する。
【0044】
この状態で、図示しないモータを駆動させることによって第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12と円板カム18と洗浄ブラシ21の回転を開始させ、円板カム18の傾斜部18bに沿って押圧軸4bを上方に向けて順次押圧するとともに、押圧ピン10eによって揺動ブラケット8のコ字状下方端部を上方に向けて順次押圧する。
【0045】
このとき、図5における揺動ブラケット4の右端部と、図7における揺動ブラケット8の左上部とが上方に向けて揺動され、押圧突起4c,8a,8bが切欠3cを介してスロープ3aの上方に突出する。これら押圧突起4c,8a,8bがスロープ3aの上方に突出することで、スロープ3a上に配置されている複数の箸Cを上方に向けて押し上げ、隣り合う箸C間で間隙を生じさせる。このため、隣り合う箸C間に生じる摩擦力を軽減し、箸Cを供給口3bから第1搬送ギア10a,10bに向けて供給しやすくすることができる。
【0046】
同時に、揺動ブラケット4の左端部は、下方に向けて揺動されるので、コイルバネ7に揺動ブラケット4の左端部を上方に向けて付勢する付勢力が蓄積される。
【0047】
この状態から円板カム18の更なる回転によって突部18aによる押圧軸4bの押圧が終了すると、図4に示すように、コイルバネ7の付勢力が揺動ブラケット4の左端部を上方に移動させることによって、ハンマー4aがスロープ3aを叩き、スロープ3aを振動させる。
【0048】
また、第1搬送ギア10a,10bの溝部10cは、このハンマー4aによってスロープ3aが振動された過程で、供給口3bと対向する位置に配置される。このため、箸Cは第1搬送ギア10a,10bの回転に伴い溝部10cに向けて落下し、第1搬送ギア10a,10bの溝部10c内に長手方向側の端部が収容される。
【0049】
この状態から更に第1搬送ギア10a,10bが回転することで、図5に示すように、円板カム18が傾斜部18bに沿って押圧軸4bを上方に向けて押圧するとともに、第1搬送ギア10a,10bの突部10dが供給口3bに対向配置されるので、1つの溝部10cに対する供給口3bから、溝部10cに長手方向側の端部が収容された箸Cと隣り合っていた箸Cが連続して供給されることが防止されている。つまり、溝部10cと突部10dとは、本発明における箸離間手段を構成しており、第1搬送ギア10a,10bの溝部10cは確実に箸供給部3内で隣あっていた箸Cを離間させて1本ずつ搬送することができる。
【0050】
第1搬送ギア10a,10bの溝部10cに長手方向側の端部が収容された箸Cは、第1搬送ギア10a,10bが正面視で時計回りに同期して回転することで、第1搬送ギア10a,10bの右部にて第2搬送ギア11の溝部11aに箸Cの長手方向側の端部が受け渡され、第2搬送ギア11の正面視で時計回りの回転によって筐体2内を右側に向けて搬送される。
【0051】
この第2搬送ギア11の正面視で時計回りの回転による搬送によって、図2に示すように、箸Cは、順次箸Cの周方向側の向きを変更されながら第2噴射ノズル23から洗浄液を噴射された後、回転する洗浄ブラシ21に摺接することによって洗浄される。
【0052】
そして、洗浄ブラシ21による洗浄後の箸Cは、第2搬送ギア11の右部にて第3搬送ギア12の溝部12aに長手方向側の端部が受け渡され、第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転によって筐体2内を右側に向けて搬送される。
【0053】
第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転による搬送によって、箸Cは、順次向きを変更されながら第3噴射ノズル24から水を噴射された後、第4噴射ノズル27から圧縮空気を噴射されることで、箸Cへの濯ぎと乾燥がなされる。
【0054】
尚、このように、箸Cは第2搬送ギア11と第3搬送ギア12とによる搬送途上にて、第2噴射ノズル23からの洗浄液の噴射と、洗浄ブラシ21による洗浄と、第3噴射ノズル24からの水の噴射と、第4噴射ノズル27からの圧縮空気の噴射と、による圧力を受けるが、押えフレーム19が箸Cの溝部11a,12aからの浮き上りを規制するため、これら押えフレーム19によって箸Cの溝部11a,12aからの脱落が防止されている。
【0055】
最後に、第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転によって箸Cの長手方向側の端部が収容されている溝部12aが筐体2の右側下方を向くことで、箸Cは溝部12aから滑落し、スロープ板25上をスライド移動して箸回収部26内に収容される。
【実施例2】
【0056】
次に、実施例2に係る箸洗浄装置1につき、図8から図14を参照して説明する。実施例2では、実施例1と箸離間手段の構成が異なり、また、回転体を四つ設けている。この実施例2では、一つ目の回転体は、ディスクで構成し、箸供給部から供給された複数の箸を個別に離間させて溝部内に1本の箸を収容させて搬送することで離間機能を有し、二つ目の回転体は、溝部内に収容させた1本の箸を洗浄する洗浄機能を有し、三つ目の回転体は、箸のすすぎを行うすすぎ機能、四つ目の回転体は、箸の乾燥を行う乾燥機能をもたせている。
【0057】
図8と図9及び図11に示すように、本実施例の箸洗浄装置100は筐体102を有しており、この筐体102内の左側上部には、飲食客等の使用した複数の箸Cを投入するための箸供給部103が設けられている。
【0058】
筐体102内には、筐体102の左方側から右方側にかけて本発明における箸搬送部及び回転体としての正面視で略円形状に形成された搬送ディスク130,130と第1搬送ギア110,110と第2搬送ギア111,111と第3搬送ギア112,112とが配置されている。各回転体は、硬質の樹脂材により構成され、特に、搬送ディスク130,130は、弾性変形する部材で形成されている。
【0059】
一つ目の回転体である搬送ディスク130,130は、箸供給部103から供給された複数の箸Cを個別に離間させて溝部130c内に1本の箸Cを収容させて搬送することで離間機能を有している。二つ目の回転体である筐体2内における第1搬送ギア110,110は、水平軸113方向を向く溝部110cと突部110dとが全周に亘って交互に等間隔に形成されており、溝部110c内に収容させた1本の箸Cを洗浄する洗浄機能を有している。
【0060】
また、三つ目の回転体である第2搬送ギア111,111は、水平軸114方向を向く溝部111aと突部111bとが全周に亘って交互に等間隔に形成されており、箸Cのすすぎを行うすすぎ機能を有しており、四つ目の回転体である第3搬送ギア112,112は、水平軸115方向を向く溝部112aと突部112bとが全周に亘って交互に等間隔に形成されており、箸Cの乾燥を行う乾燥機能とを有している。
【0061】
これら各回転体は、溝部130c,110c,111a,112a内に配置された1本の箸Cを一の回転体から他の回転体へ搬送させることで、箸Cを搬送している。このため、隣接する回転体は、相互に重なるため、例えば、筐体102内における搬送ディスク130,130の略右半分から第2搬送ギア111,111の略左半分の上方を、箸Cを洗浄するための箸洗浄部120に構成するようにしてもよい。
【0062】
また、第2搬送ギア111,111の略右半分から第3搬送ギア112,112の左端部の上方は、箸洗浄部120にて洗浄された箸Cを濯ぐための箸濯ぎ部140に構成されており、第3搬送ギア112,112の左端部よりも右側の上方は、箸洗浄部120にて洗浄された箸Cを乾燥するための箸乾燥部150に構成することができる。
【0063】
以下、箸Cの搬送される順に説明すると、この箸供給部103は、平面視で略方形状の箱体に形成されており、特に底部には、箸供給部103の左端部から右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ103aと、箸供給部103の右端部から左方側に向けて下方へ傾斜をなす本発明における分離手段及び接触部材としての分離板104と、が設けられている。
【0064】
このスロープ103aの下端部と分離板104の下端部との間には、箸供給部103に収容された箸Cを後述する搬送ディスク130,130に向けて供給するための供給口103bに形成されている。供給口103bは、箸供給部103の下方側に設けられる開口した部分であり、搬送ディスク130,130に向けて箸Cを供給するために箸Cの長さ分に相当する前後幅と、搬送ディスク130,130の周面の一部が供給口103bの開口した部分に入り込める長さ分に相当する左右幅が、予め設定されており、筐体102内における両搬送ディスク130,130を前後幅方向から挟む位置には、上方に向けて円弧状に湾曲形成されたガイド体132,132が配置されている。
【0065】
供給口103bでは、投入された複数の箸Cは、両搬送ディスク130,130の周面及び溝部130cと、ガイド体132,132により支持されており、両搬送ディスク130,130の溝部130cに収容された箸Cだけが、両搬送ディスク130,130により回転されて、次の回転体に搬送されるようになっており、溝部130cに収容されていない他の箸Cは、供給口103b上の両搬送ディスク130,130の周面と、ガイド体132,132により支持され、溝部130cに収容されていない他の箸Cは、搬送ディスク130の周面と、ガイド体132を、搬送ディスク130の回転方向に移動したり、搬送ディスク130の周面が斜め上方に移動するにつれ、自重により斜め下方に移動したりする。
【0066】
更に、図8に示すように、スロープ103aの下端部には、箸供給部103の前後幅方向に一対の切欠103cが形成されており、分離板104の下端部にも、箸供給部103の前後幅方向に一対の切欠104aが形成されている。これら切欠103c,103cと切欠104a,104aとは、箸供給部103の前後幅方向で互いに対向配置されている。
【0067】
分離板104は、本発明における分離手段であり、後述する溝部130c,130c内に収容された1本の箸Cと、当該1本の箸Cに隣接する他の箸Cとを分離するため、他の箸Cの長手方向の少なくとも一部に接触するようになっている。つまり、本実施例における分離板104は、分離手段とともに接触部材を構成している。
【0068】
また、分離板104は、下端部の一対の切欠104aにより、搬送ディスク130,130に接触しないように構成されている。このため、搬送ディスク130には分離板104が接触しないので搬送ディスク130による箸Cの搬送に、影響を与えることなく、他の箸Cにのみ接触して二つの箸を確実に分離することができる。
【0069】
尚、箸供給部103内の上部には、下方に向けて前洗浄用の水を噴射する第1噴射ノズル117が設けられており、この水の噴射によって、箸供給部103に投入された複数の箸Cに付着した飯粒等の大きめの汚れを予め剥離除去し易いように軟化させることができるようになっている。
【0070】
図8及び図9に示すように、搬送ディスク130,130は、弾性変形可能な軟質樹脂材により構成されており、供給口103b内において、搬送ディスク130,130の左上部の周面が分離板104に当接しないよう、供給口103b上の切欠103c,104a内に挿入配置させた状態で一対となって筐体102の前後幅方向に並列配置されている。このため、分離板104は搬送ディスク130,130に近接して対向配置されている。
【0071】
これら搬送ディスク130,130は、筐体102の前後幅方向を向き筐体102に両端部が回転可能に支持された水平軸131に固定されており、各搬送ディスク130,130の周面には、所定間隔毎に水平軸131方向を向いて形成された本発明における箸離間手段としての溝部130c及び搬送ディスク130における正面視で時計回り方向側でこの溝部130cに近接して形成された突部130dと、が全周に亘ってそれぞれ等間隔に形成されている。
【0072】
尚、本実施例において、突部130dは、溝部130cに対して、一つおきに設けているが、各溝部130cに隣接する位置にそれぞれ設けてもよく、また、各溝部130cの前後両側に設けるようにしてもよい。搬送ディスク130が、正面視で時計回り方向側に回転したときに、搬送ディスク130の周面にある複数の箸Cが突部130dにより攪拌され動かされることで、水の表面張力などにより接触してくっついてしまっている複数の箸Cを一本ずつに分離することができる。このように、搬送ディスク130が溝部130cに箸Cを収容させるときに、隣接する突部130dの部分に箸Cが乗り上げることで、複数の箸Cが分離されやすくなり、確実に、溝部に1本の箸を収容させることができる。
【0073】
各溝部130cの、搬送ディスク130,130における周方向側の幅寸法は、1本の箸Cの長手方向側における略中央部を収容配置可能な程度の幅寸法に形成されており、供給口103bから箸Cが搬送ディスク130,130に向けて供給されることで、溝部130c内に1本の箸Cのみが収容配置されるようになっている。筐体102内における両搬送ディスク130,130を前後幅方向から挟む位置には、上方に向けて円弧状に湾曲形成されたガイド体132,132が配置されている。
【0074】
図8及び図9に示すように、搬送ディスク130,130よりも右側には、二つ目の回転体である第1搬送ギア110,110が一対となって筐体102の前後幅方向に並列配置されている。これら第1搬送ギア110,110は、両搬送ディスク130,130を筐体102の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0075】
第1搬送ギア110,110よりも右側には、三つ目回転体である第2搬送ギア111,111が一対となって筐体102の前後幅方向に並列配置され、更に、第2搬送ギア111よりも右側には、四つ目の転体である第3搬送ギア112,112が一対となって筐体102の前後幅方向に並列配置されている。これら第2搬送ギア111,111は、両第1搬送ギア110,110及び第3搬送ギア112,112を筐体102の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0076】
これら第1搬送ギア110、第2搬送ギア111及び第3搬送ギア112は、搬送ディスク130,130と同様に、筐体102の前後幅方向を向き筐体102に両端部がそれぞれ支持された水平軸113,114,115に固定されているとともに、周面には、第1搬送ギア110、第2搬送ギア11及び第3搬送ギア12の周方向側の幅寸法を、箸Cの長手方向側の端部を収容可能な程度の幅寸法の溝部110c,111a,112aと、突部110d,111b,112bとが交互に形成されている。
【0077】
水平軸131,113,114,115は、筐体102の外部にて図示しないモータ等の駆動手段に噛合部129を介して接続されており、この図示しないモータが駆動することによって正面視で時計周りに同期して回転するようになっている。つまり、搬送ディスク130と第1搬送ギア110と第2搬送ギア111及び第3搬送ギア112は、水平軸131,13,14,15の回転によって正面視で時計周りに同期して回転する。
【0078】
尚、図8及び図9に示すように、第1搬送ギア110と第2搬送ギア111と第3搬送ギア112の上方には、第1搬送ギア110と第2搬送ギア111と第3搬送ギア112との周面に沿う形状に形成された一対の押えフレーム119が配置されている。
【0079】
図9に示すように、第1搬送ギア110と第2搬送ギア111との上方には、第1搬送ギア110と第2搬送ギア111と第3搬送ギア112とによって筐体102内の右側に向けて搬送される箸Cを洗浄するための円筒形状の洗浄ブラシ121が配置されている。この洗浄ブラシ121は、筐体102の前後幅方向を向き筐体2に両端部が支持された水平軸122に固定されている。
【0080】
この水平軸122は水平軸131,113,114,115と同様に図示しないモータ等の駆動手段に接続されており、この図示しないモータが駆動することによって水平軸122が回転するようになっている。
【0081】
筐体102内における洗浄ブラシ121の左側には、第1搬送ギア110,110によって筐体2の右側に向けて搬送される箸Cに対して洗浄液を噴射する第2噴射ノズル123が設けられており、洗浄ブラシ121の右側には、洗浄ブラシ121によって洗浄された箸Cを濯ぐための水を噴射する第3噴射ノズル124が設けられている。
【0082】
図8、図9、図13及び図14に示すように、筐体102には、第3搬送ギア112の上方にて筐体102の正面側から配管154が接続されているとともに、筐体102の背面側からは配管156が吸込口157を介して接続されている。これら配管154,156は図示しないヒーター及び送風機に接続されており、配管154から筐体102内に向けて前記ヒーターにより加熱された温風160を送風可能となっている。
【0083】
図13に示すように、この配管154は、筐体102内における第3搬送ギア112の上方にて背面側の内壁に取り付けられた送風ボックス151に接続されている。この送風ボックス151の正面側には、本発明における気流手段としての第1吹出口152及、この第1吹出口152よりも上方に離間して本発明における第二気流手段としての第2吹出口153が形成されている。
【0084】
この送風ボックス151は、内部構造は省略するが、配管154から送風されてきた温風160を第1吹出口152から吸込口157に向けて送風する第1気流152aと、配管154から送風されてきた温風160を第2吹出口153から、箸C第3搬送ギア112,112によって搬送される箸Cの長手方向である筐体102の前後幅方向を向いて吸込口157に向けて送風する第2気流153aとに内部で分流可能となっている。
【0085】
そして、送風ボックス151から送風された第1気流152a及び第2気流153aは、吸込口157を介して配管156から前記送風機におくられ、再び温風160’として配管154から送風ボックス151に送風されるようになっている。
【0086】
第1気流152aを、箸Cの長手方向に沿わせるとともに、箸Cの一端の面積が大きい方から小さい方に対して気流を発生させて吹き付けるため、箸Cの一端から他端まで、箸Cの表面に付着した水を吹き飛ばすことで箸Cを乾燥するとともに、第2気流153aを吸込口157に向けて第1気流152aの上方にて第1気流152aと平行に送風することで、第1気流152aの蛇行を抑制するができる。また、吸込口157を共通の吸込口とすることで、第1気流152a及び第2気流153aを同時に吸い込むことができるので構成が簡単になり、また、第2気流153aにより、第1気流152aの蛇行をより抑制することができる。
【0087】
筐体102内における第3搬送ギア112の右側には、筐体102の右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ板125が設けられている。このスロープ板125の右側である筐体102の右外側部には、箸Cを回収するための図示しない箸回収部が設けられており、第3搬送ギア112の回転によって第3搬送ギア112から脱落した箸Cは、スロープ板125上をスライド移動した後、最終的に前記箸回収部に収容されるようになっている。
【0088】
次に、前述のように構成した箸洗浄装置100の動作について説明する。先ず、図9、図11に示すように、飲食店の従業員等が複数の箸Cを面積の大きい一端側を正面側に向け、面積の小さい他端側を背面側に向けた状態で箸供給部103内に投入する。これにより、箸Cの持ち手側が正面側に向き、箸Cの先端側は背面側を向くようにして投入される。箸供給部103内に投入された複数の箸Cは、スロープ103a上若しくは分離板104上を供給口103bに向けてスライド移動する。
【0089】
この状態で、図示しないモータを駆動させることによって搬送ディスク130と第1搬送ギア110と第2搬送ギア111と第3搬送ギア112との回転を開始させる。この搬送ディスク130の回転によって、供給口103bの下部に配置された箸Cの長手方向の略中央部が両搬送ディスク130,130の溝部130c,130c内に収容配置される。
【0090】
この際、搬送ディスク130が回転したときに、複数の箸Cが突部130dに乗り上げて攪拌され動かされることで、水の表面張力などにより接触してくっついてしまっている複数の箸を一本ずつに分離しやすくなり、確実に、溝部130c内に1本の箸が収容されることとなる。箸Cは、溝部130c内に収容配置されることで、供給口103bにて隣り合っていた複数の他の箸Cとは離間される。
【0091】
そして、搬送ディスク130が正面視で時計回りに回転していくことで、溝部130c内に収容された箸Cは、円弧を描きながら右斜め上方である搬送ディスク130の上端部に向けて搬送される。この搬送ディスク130の回転による箸Cの搬送においては、箸Cは、図10に示すように、長手方向の両端部を両ガイド体132,132の上面に摺接させながら搬送される。このため、搬送ディスク130でも箸Cの搬送中に、溝部130cから箸Cが落下してしまうことが防止されている。
【0092】
このとき、図11及び図12に示すように、突部130dは搬送ディスク130,130の回転によって供給口103bに下方から入り込み、溝部130c内に収容された箸C以外の他の箸Cを上方に向けて押し上げ、これら箸供給部103内の箸C間に間隙を生じさせる。
【0093】
更に、溝部130c内に収容された箸Cに水の表面張力等によりいまだに他の箸Cが接触したままの状態で箸Cが搬送される場合には、図12に示すように、溝部130c内に収容された箸Cに付着した他の箸Cのみが長手方向の略全長に亘って分離板104の上面に当接する。そして、他の箸Cは、搬送ディスク130の回転方向への移動が分離板104によって阻害されるとともに、搬送ディスク130の回転によって溝部130c内に収容された箸Cと他の箸Cとが離間する。
【0094】
溝部130c内に収容された箸Cと離間した後の他の箸Cは、分離板104と搬送ディスク130の周面上を供給口103bに向けて下方にスライド移動し、供給口103bにて搬送ディスク130の溝部130c内に収容されるまで、供給口103b内に位置する搬送ディスク130の周面とガイド体132にて支持されて待機した状態となる。
【0095】
この状態から更に搬送ディスク130が回転することで、搬送ディスク130の右部にて、搬送ディスク130に同期して回転する第1搬送ギア110の溝部110cに箸Cが受け渡され、箸Cは、第1搬送ギア110の正面視で時計回りの回転によって筐体102内を右側に向けて搬送される。
【0096】
この第1搬送ギア110の正面視で時計回りの回転による搬送によって、図9に示すように、箸Cは、箸洗浄部120にて順次箸Cの周方向側の向きを変更されながら第2噴射ノズル123から洗浄液を噴射された後、回転する洗浄ブラシ121に摺接することによって洗浄される。
【0097】
そして、洗浄ブラシ121による洗浄後の箸Cは、第1搬送ギア110の右部にて第2搬送ギア111の溝部111aに長手方向側の端部が受け渡され、第2搬送ギア111の正面視で時計回りの回転によって筐体102内を右側に向けて搬送される。
【0098】
第2搬送ギア111の正面視で時計回りの回転による搬送によって、箸Cは、箸濯ぎ部140にて順次向きを変更されながら第3噴射ノズル124から噴射された水によって箸洗浄部120で第2噴射ノズルから123噴射された洗浄液を落とす。そして、箸Cは、第2搬送ギア111の右部にて第3搬送ギア112の溝部112aに長手方向側の端部が受け渡され、第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転によって筐体2内を右側に向けて搬送される。
【0099】
この第3搬送ギア112における箸Cの搬送の途上で、図13に示すように、箸乾燥部150にて、第1気流152aと第2気流153aとが箸Cの面積が大きい一端側から面積の小さい他端側に向けて箸Cの長手方向の略全長に亘って吹き付けることにより、箸Cの乾燥が行われる。尚、本実施例における第2気流153aは、第1気流152aの上方を流れることで第1気流152aを整流する役割を果たしている。このため、第1気流152aは、第1吹出口152から吸込口157までの間で蛇行してしまうことが抑制されており、箸Cの乾燥にむらが生じてしまうことが防止されている。
【0100】
最後に、第3搬送ギア112の正面視で時計回りの回転によって箸Cの長手方向側の端部が収容されている溝部112aが筐体102の右側下方を向くことで、箸Cは溝部112aから滑落し、スロープ板125上をスライド移動して前記箸回収部内に収容される。
【0101】
以上、本実施例における箸洗浄装置100にあっては、箸乾燥部150は、箸Cの長手方向に沿って気流を発生させる第1吹出口152を有するので、第1吹出口152により、箸Cの長手方向に沿って気流を発生させて吹き付けることで、箸洗浄部120で洗浄された後の箸Cの乾燥を、より確実に行うことができる。また、気流を、箸Cの長手方向に沿わせることで、箸Cの表面に付着した水が、長手方向に沿って飛ばされるとともに、水の重力により下側にも水が落ちるため、箸Cをより乾燥しやすくできる。
【0102】
また、第1吹出口152は、箸Cの一端から他端に対して第1気流152aを発生させるので、第1気流152aを、箸Cの長手方向に沿わせるとともに、箸Cの一端から他端に対して第1気流152aを発生させて吹き付けるため、箸Cの一端から他端まで、箸Cの表面に付着した水を吹き飛ばして乾燥させることができる。
【0103】
また、第1吹出口152は、箸Cの一端の面積が大きい方から小さい方に対して第1気流152aを発生させるので、箸Cの一端の面積が大きい方は、箸Cの持ち手部分の周面の表面積も大きいため、箸Cに付着する水分も多くなるので、箸Cの一端の面積が大きい方側から第1気流152aを発生させて吹き付けることで、水の表面張力を利用して水分をまとめて吹き飛ばすことができる。
【0104】
また、第2吹出口153は、第1吹出口152の離れた位置に配置されるので、第1吹出口152の第1気流152aは蛇行しやすいので、第1吹出口152の少し離れた位置に第2吹出口153を配置して、第2気流153aを第1気流152aに対して、例えば平行に発生させることで、この蛇行を抑制して直線的に気流を発生させることができる。特に、第2気流153aを第1気流152aに対して垂直方向に上側に平行して発生させることで、上昇しやすい温風の第1気流152aの蛇行を第2気流153aにより抑制することができる。
【0105】
また、箸乾燥部150は、第1吹出口152から吹き出された第1気流152aと、第2吹出口153から吹き出された第2気流153aとを吸い込む共通の吸込口157を有するので、共通の吸込口157で、第1吹出口152から吹き出された第1気流152aと、第2吹出口153から吹き出された第2気流153aとを同時に吸い込むことができるので、第2気流153aにより、第1気流152aの蛇行をより抑制することができる。
【0106】
また、搬送ディスク130,第1搬送ギア110,第2搬送ギア111及び第3搬送ギア112は、1本の箸Cの長手方向側の両端部側を支持して搬送し、第1吹出口152は、第3搬送ギア112で搬送される1本の箸Cに対して第1気流152aを発生させるので、箸Cの長手方向側の両端部側を支持して、両端部側間には空隙が形成された状態となるので、箸Cの乾燥を容易に行え、また、箸Cがより乾燥しやすくなる。
【0107】
また、1本の箸Cを収容可能な複数の溝部110c,111a,112aを有する第1搬送ギア110,第2搬送ギア111及び第3搬送ギア112を備え、溝部110c内に配置された1本の箸Cを第1搬送ギア110から第3搬送ギア112へ搬送させ、第1搬送ギア110で搬送される部分を、箸洗浄部120とし、第3搬送ギア112で搬送される部分を、箸乾燥部150とするので、第2搬送ギア111から第3搬送ギア112ごとに、機能を分けることができ、第1搬送ギア110は、箸洗浄部120により、溝部110c内に収容させた1本の箸Cを洗浄する洗浄機能を有することができる。第3搬送ギア112は、箸乾燥部150による箸Cの乾燥を行う乾燥機能をもたせることができる。第1搬送ギア110及び第3搬送ギア112は、溝部110c,112a内に1本の箸Cを配置するため、一本ずつ洗浄、乾燥をそれぞれ行うことができる。
【0108】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0109】
例えば、前記実施例1では、箸洗浄部20に洗浄液を噴射する第2噴射ノズル23と、回転して箸Cを洗浄する洗浄ブラシ21と、水を噴射して箸Cを濯ぐ第3噴射ノズル24と、を設けたが、箸Cを十分に洗浄可能であれば、噴射ノズルから高圧で水を噴射させ、この水圧で箸Cを洗浄するようにしてもよい。
【0110】
また、前記実施例1では、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とを同期させて回転させることにより、箸Cを箸洗浄部20にて回転する洗浄ブラシ21で洗浄しつつ箸回収部26に向けて搬送したが、第1搬送ギア10a,10b、第2搬送ギア11,11及び第3搬送ギア12,12の回転速度を遅くさせ、箸Cを箸洗浄部20にて長時間洗浄するようにしてもよい。
【0111】
また、前記実施例1では、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とを同期させて回転させることにより、箸Cを箸洗浄部20にて回転する洗浄ブラシ21で洗浄しつつ箸回収部26に向けて搬送したが、第1搬送ギア10a,10b、第2搬送ギア11,11及び第3搬送ギア12,12の回転速度に対して洗浄ブラシ21の回転速度を高速にすることで、箸Cをより確実に洗浄できるようにしてもよい。
【0112】
また、前記実施例2では、分離手段の接触部材である分離板104は、切欠104a部分以外は、他の箸Cの上面に、長手方向の略全長に亘って当接する場合を示したが、他の箸Cの長手方向の少なくとも一部に接触するような構成で、他の箸Cと溝部130cに収容された箸Cとを分離できるような構成であればよい。例えば、一方の搬送ディスク130とガイド体132の間部分において、他の箸Cに当接するような板状の分離板としてもよい。
【0113】
また、前記実施例2では、他の箸Cの先端部分に当接しやすいように、図10に示す正面視において、分離板104の底辺を斜めにして、分離板104の縦辺の長さを右側より左側を長くしてもよい。これにより、他の箸Cにより当接しやすくなり、より確実に他の箸Cを分離することができる。
【0114】
また、前記実施例2においては、搬送ディスク130を樹脂製のディスク状としているが、ドラム型の樹脂製の回転体にしてもよい。この場合、ドラム型の回転体に、水平軸方向に沿って溝部と突部を設けることができる。
【0115】
また、前記実施例1または2においては、回転体を三つまたは四つ設ける場合を示したが、回転体を一つだけ設けて、一つの回転体に四つの上記機能を備えるようにしてもよい。この場合、回転体の回転により箸Cを搬送させながらそれぞれの機能を実行できるように、箸供給部103から供給された複数の箸Cを個別に離間させて溝部130c内に1本の箸Cを収容させる離間機能、溝部110c内に収容させた1本の箸Cを洗浄する洗浄機能、箸Cのすすぎを行うすすぎ機能、箸Cの乾燥を行う乾燥機能を、回転体に対して順番に設けるようにできる。
【0116】
また、前記実施例2では、送風ボックス151に第1吹出口152と第2吹出口153を設け、第1吹出口152から第1気流152aを吸込口157に向けて送風するとともに、第2吹出口153から第2気流153aを吸込口157に向けて送風したが、更に送風ボックス151に吹出口を設け、3つ以上の気流を吸込口157に向けて送風するようにしてもよい。例えば、第3気流は、第1気流152aを送風する第1吹出口152の下側に第3吹出口を設けて送風することができる。これにより、上下両側から第2気流と第3気流とで挟み込むことで、第1気流の蛇行をより抑制することができる。また、第1気流152aを送風する第1吹出口152の水平方向に平行な位置であって、第1吹出口152の両側に第4吹出口及び第5吹出口をさらに設け、第4吹出口から送風される第4気流と第5吹出口から送風される第5気流とを、第1気流152aに対して水平方向に平行に送風するようにしてもよい。これにより、第1気流の両側から第2気流と第3気流とで挟み込むことで、第1気流の蛇行をより抑制することができる。
【0117】
また、前記実施例1において、第4噴射ノズル27は、箸Cの長手方向に沿って、箸Cの一端の面積が大きい方から小さい方に対して気流を発生させるような位置に設けるようにした場合、第4噴射ノズル27から離れた位置に、第2気流手段を設けて、第2気流を発生させるようにしてもよい。この場合、第2気流手段は、第1気流手段である第4噴射ノズル27の垂直方向の上側や、水平方向の離れた位置に設けるようにしてもよい。
【0118】
また、前記実施例2では、送風ボックス151から吸込口157に向けて送風される第1気流152a及び第2気流153aは、吸込口157から配管156を介して前記ヒーター及び送風機に送られるとともに、温風160として配管154を介して再び送風ボックス151に送風されたが、配管156を前記送風機に接続せずに箸洗浄装置100の外方に向くように配置し、箸Cを乾燥させた後の湿度が上昇した第1気流152a及び第2気流153aを箸洗浄装置100外に排気するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 箸洗浄装置
3 箸供給部
3a スロープ
3b 供給口
4 揺動ブラケット
4a ハンマー
10a,10b 第1搬送ギア(回転体,箸搬送部)
10c 溝部(箸離間手段)
10d 突部(箸離間手段)
11 第2搬送ギア(回転体,箸搬送部)
11a 溝部
11b 突部
12 第3搬送ギア(回転体,箸搬送部)
12a 溝部
12b 突部
13 水平軸
16 箸規制部
16a 箸規制板
16b 側板
18 円板カム(回転体)
20 箸洗浄部
100 箸洗浄装置
103 箸供給部
104 分離板(分離手段,接触部材)
110 第1搬送ギア(回転体,箸搬送部)
111 第2搬送ギア(回転体,箸搬送部)
112 第3搬送ギア(回転体,箸搬送部)
120 箸洗浄部
130 搬送ディスク(回転体,箸搬送部)
130c 溝部(箸離間手段)
140 箸濯ぎ部
150 箸乾燥部
151 送風ボックス
152 第1吹出口(気流手段)
152a 第1気流
153 第2吹出口(第二気流手段)
153a 第2気流
C 箸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の箸を収容し供給する箸供給部と、該箸供給部から供給された前記箸を搬送する箸搬送部と、該箸搬送部から搬送された前記箸を洗浄する箸洗浄部と、該箸洗浄部で洗浄された前記箸を乾燥する箸乾燥部と、を備える箸洗浄装置であって、
前記箸乾燥部は、前記箸の長手方向に沿って気流を発生させる気流手段を有することを特徴とする箸洗浄装置。
【請求項2】
前記気流手段は、前記箸の一端から他端に対して前記気流を発生させることを特徴とする請求項1に記載の箸洗浄装置。
【請求項3】
前記気流手段は、前記箸の一端の面積が大きい方から小さい方に対して前記気流を発生させることを特徴とする請求項2に記載の箸洗浄装置。
【請求項4】
前記気流手段の前記気流の蛇行を抑制する第二気流を発生させる第二気流手段を備え、
前記第二気流手段は、前記気流手段の離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の箸洗浄装置。
【請求項5】
前記気流手段は、前記気流を吹き出す第一吹出口を備え、
前記第二気流手段は、前記第二気流を吹き出す第二吹出口を備え、
前記箸乾燥部は、前記第一吹出口から吹き出された前記気流と、前記第二吹出口から吹き出された前記第二気流とを吸い込む共通の吸込口を有することを特徴とする請求項4に記載の箸洗浄装置。
【請求項6】
前記箸搬送部は、1本の前記箸の長手方向側の両端部側を支持して搬送し、
前記気流手段は、前記箸搬送部で搬送される前記1本の箸に対して前記気流を発生させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに箸洗浄装置。
【請求項7】
前記箸搬送部は、1本の前記箸を収容可能な複数の溝部を有する回転体を複数備え、前記溝部内に配置された前記1本の箸を一の回転体から他の回転体へ搬送させ、
前記一の回転体で搬送される部分を、前記箸洗浄部とし、
前記他の回転体で搬送される部分を、前記箸乾燥部とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の箸洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−55643(P2012−55643A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204883(P2010−204883)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)